JPH08146658A - トナー用樹脂組成物及びトナー - Google Patents

トナー用樹脂組成物及びトナー

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JPH08146658A
JPH08146658A JP6280513A JP28051394A JPH08146658A JP H08146658 A JPH08146658 A JP H08146658A JP 6280513 A JP6280513 A JP 6280513A JP 28051394 A JP28051394 A JP 28051394A JP H08146658 A JPH08146658 A JP H08146658A
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JP
Japan
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toner
resin component
resin
weight
resin composition
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Application number
JP6280513A
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English (en)
Inventor
Toru Takahashi
徹 高橋
Kazuhiro Noguchi
和裕 野口
Hiroko Minamino
裕子 南野
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐オフセット性、低温定着性、耐ブロッキン
グ性に優れ、特に低温定着性がより一層優れており、充
分に安定した画像が得られるトナー用樹脂組成物及びト
ナーを得る。 【構成】 このトナー用樹脂組成物及びトナーは、少な
くとも二種の樹脂からなる不均一系のミクロ相分離構造
であって、各樹脂成分がそれぞれ連続相を形成し、互い
に三次元に絡み合った相互貫入網目状である。特に、少
なくとも一つの樹脂成分中に、定着助剤(例えば、可塑
剤、脂肪酸エステル及びその金属塩、高級脂肪酸、高級
アルコール、脂肪酸アミド、パラフィン、テルペン系樹
脂、ロジン系樹脂など)又は無機微粒子(例えば、シリ
カ微粒子、カーボンブラックなど)、或いは上記定着助
剤と無機微粒子の両方が含有されているのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子写真等に使用す
るトナー用樹脂組成物及びトナーに関し、さらに詳しく
いえば、静電荷像を現像する方法において、乾式現像方
式に使用するトナー用樹脂組成物及びトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真等において、静電荷像を現像す
る方法として、乾式現像方式が多用されている。この乾
式現像方式では、バインダーとなるトナー用樹脂にカー
ボンブラック等の着色剤、その他添加剤を含有させた微
粉末に、鉄粉やガラスビーズ等のキャリアーを混合した
摩擦帯電性のトナー(現像剤)が用いられる。
【0003】複写物を得るには、通常、感光体上に静電
潜像を形成し、この静電潜像に摩擦帯電性のトナーを電
気的に付着させて現像し、ここで得られたトナー像を用
紙等のシート上に転写し、その後トナーに対して離型性
を有する熱圧ローラーで定着させて永久可視像とする。
【0004】この種のトナーには、主に、耐オフセット
性(定着用の熱圧ローラーにトナーが付着し、これが用
紙を汚さないこと)、低温定着性(低温でトナーが用紙
に強固に付着すること)、耐ブロッキング性(トナー粒
子が凝集しないこと)、画像安定性(帯電量の変化がな
く、画像濃度が均一であること)の優れたものが要求さ
れ、さらに、トナー製造のために、微粉砕性の良好なト
ナー用樹脂組成物も要求される。
【0005】上記のような諸性能を改善したトナーとし
て、マトリックス相と、このマトリックス相の中に分散
されたドメイン相とで形成されているトナー用樹脂組成
物及びこのトナー用樹脂組成物を用いたトナーが提案さ
れている(例えば、特公昭57−6586号公報及び特
開平4−366176号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなマトリック
ス相とドメイン相とからなる不均一系のミクロ相分離構
造のトナーは、耐オフセット性、低温定着性及び耐ブロ
ッキング性が相当に改善されるが、近年需要が伸びてい
る高速型や小型の電子複写機を用いて複写する場合に
は、必ずしも上記性能が充分に満足のいくものではな
く、特に低温定着性がより一層優れたトナーが要望され
ている。
【0007】この発明は、上記従来のトナーの有する問
題を解決するもので、その目的とするところは、耐オフ
セット性、低温定着性、耐ブロッキング性に優れ、特に
低温定着性がより一層優れており、高速型や小型の電子
複写機を用いて複写する場合でも、充分に安定した画像
が得られるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、少なくと
も二種の樹脂からなる不均一系のミクロ相分離構造であ
って、各樹脂成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三
次元に絡み合った相互貫入網目状であるトナー用樹脂組
成物及びこのトナー用樹脂組成物を用いたトナーによっ
て達成することができる。
【0009】この発明において、トナー用樹脂組成物を
構成する樹脂としては、バインダー樹脂として通常使用
されている樹脂の中から、少なくとも二種の実質的に非
相溶性の樹脂で、しかも相互貫入網目状の構造を形成で
きる樹脂が選定され、例えば、ビニル系樹脂、キシレン
樹脂、エポキシ樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレ
ン−ブタジエン−スチレン樹脂、ブチラール樹脂等の中
から選定される。
【0010】特に、製造(重合)の容易さ及び物性調整
の容易さからビニル系樹脂が好ましく、その中でも、ス
チレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合
体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体
が適当である。そして、これ等の樹脂は、耐ブロッキン
グを考慮すると、いずれもガラス転移点が50℃以上で
あるのが好ましい。
【0011】なお、これ等の非相溶性の樹脂のみでは相
互貫入網目状の構造を形成できなくても、相溶化剤等の
第三成分を用いて、実質的に非相溶性の樹脂の相溶性の
差を制御して、相互貫入網目状の構造を形成させてもよ
い。
【0012】そして、上記少なくとも二種の非相溶性の
樹脂成分のうち、少なくとも一つの樹脂成分は、トナー
の耐ブロッキング性や低温定着性などの性能を考慮する
と、軟化点が80〜150℃、なかでも80〜100℃
のものが好ましい。また、分子量分布における分散度
(重量平均分子量/数平均分子量)が5以下のものが好
ましい。
【0013】ここで、軟化点は、高化式フローテスター
により、試料1gを荷重20 kg/cm2 、昇温速度6℃
/分の条件でダイ(1mmΦ×1mm)の細孔より押出し、
プランジャー降下距離(mm)と温度との関係を示す流れ
曲線を作成し、プランジャー降下距離が全ストロークの
50%となる時の温度である。また、分子量分布におけ
る分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
(GPC)によって測定される重量平均分子量と数平均
分子量との比から求められる値である。
【0014】また、上記少なくとも二種の非相溶性の樹
脂成分のうち、一つの樹脂成分は、低分子量のビニル系
樹脂成分からなり、その重量平均分子量が4万以下で、
全樹脂成分に対して50〜95重量%を占めるのが好ま
しい。このような低分子量のビニル系樹脂成分は、硬質
で脆い性質を有し、微粉砕性や耐ブロッキング性に大き
く影響し、この樹脂成分が上記範囲にあることにより、
主に微粉砕性及び耐ブロッキング性が一層改善される。
【0015】また、上記少なくとも二種の非相溶性の樹
脂成分のうち、もう一つの樹脂成分は、高分子量のビニ
ル系樹脂成分からなり、その重量平均分子量が10万以
上で、全樹脂成分に対して50〜5重量%を占めるのが
好ましい。このような高分子量のビニル系樹脂成分は、
軟質で粘り強い性質を有し、低温定着性や耐オフセット
性に大きく影響し、この樹脂成分が上記範囲にあること
により、主に低温定着性や耐オフセット性が一層改善さ
れる。
【0016】ここで、各樹脂成分の重量平均分子量は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によ
って測定される値である。また、各樹脂成分のガラス転
移点は、示差走査熱量計(DSC)で測定される値であ
る。
【0017】この発明のトナー用樹脂組成物は、例え
ば、上記低分子量のビニル系樹脂成分と高分子量のビニ
ル系樹脂成分とを混合し、これをロールミル、ニーダ
ー、押出機等で溶融混練することにより製造することが
できる(溶融混合法)。また、上記低分子量のビニル系
樹脂成分と高分子量のビニル系樹脂成分とを、適当な有
機溶剤を用いて溶液中で混合することにより製造するこ
とができる(溶剤混合法)。
【0018】また、一方の樹脂成分、例えば上記高分子
量のビニル系樹脂成分の存在下で、他方の樹脂成分、例
えば上記低分子量のビニル系樹脂成分を構成するモノマ
ーを(共)重合することにより製造することができる
(共存重合法)。特に、このような共存重合法を採用す
ると、より経済的にトナー用樹脂組成物を製造すること
ができ、特に両方の樹脂成分が混じりにくい時は、均一
な相互貫入網目状の構造を得るうえで有効な方法であ
る。
【0019】上記いずれの方法においても、低分子量の
ビニル系重合体成分及び高分子量のビニル系重合体成分
の組成(極性)、重量平均分子量、ガラス転移温度、溶
融混練の条件、溶液中での混合条件等を適当に設定する
ことによって、不均一系のミクロ相分離構造であって、
各樹脂成分がそれぞれ実質的に連続相を形成し、互いに
三次元に絡み合った相互貫入網目状の構造を形成させる
ことができる。
【0020】上記両方の樹脂成分が、分子レベルで均一
に相溶化すると均一系の相溶構造(単相構造)となり、
両方の樹脂成分の特性が平均化されていき、トナーとし
て充分な低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング
性及び微粉砕性が得られない。これに対し、上記両方の
樹脂成分が、分子レベルで不均一に相溶化すると不均一
系のミクロ相分離構造(複相構造)となる。
【0021】このような不均一系のミクロ相分離構造に
は、具体的には、マトリックス相と、このマトリックス
相の中に分散されたドメイン相とで形成され、その構造
が粒子状又はシリンダ状又はラメラ状のもの、及び各樹
脂成分がそれぞれ実質的に連続相を形成し、互いに三次
元に絡み合った相互貫入網目状(一般にIPNと呼ばれ
る)のものが存在する。これ等のミクロ相分離構造は、
例えば、ウルトラミクロトーム切片の走査電子顕微鏡等
により確認することができる。
【0022】この発明のトナー用樹脂組成物は、上記不
均一系のミクロ相分離構造のうち、特に、各樹脂成分が
それぞれ約0.1〜数μm の径で実質的に連続的に広が
った連続相を形成し、互いに不規則に三次元に絡み合っ
た複雑な相互貫入網目状のもので、このような相互貫入
網目状のミクロ相分離構造のものが、その他のミクロ相
分離構造のもの(粒子状又はシリンダ状又はラメラ状)
に比べて、トナーとして優れた諸性能を有することを見
出した。
【0023】この発明のトナー用樹脂組成物において
は、特に、連続相の径が約5μm 以下のものが好まし
い。連続相の径が大きすぎると、このトナー用樹脂組成
物を用いてトナーを作製したときに、トナー粒子に含ま
れる各相の比率にばらつきが生じ、トナーの諸性能に悪
影響を及ぼす。
【0024】さらに、この発明のトナー用樹脂組成物に
おいては、トナーとしての諸性能をより一層改善するた
めに、樹脂組成物を構成する少なくとも一つの樹脂成分
中に、定着助剤及び/又は無機微粒子を含有させるのが
好ましい。
【0025】この場合、各樹脂成分は、これに定着助剤
又は無機微粒子或いはその両方を安定して包含させるた
めに、これ等の定着助剤又は無機微粒子と作用し得る官
能基を有するか、或いは立体障害性の側鎖を有するか、
或いは多くの分岐構造を有するものか、或いは多くの架
橋構造を有するものが好ましい。
【0026】上記定着助剤は、主にトナーの低温定着性
を改善する作用を有するもので、この定着助剤を含有す
る樹脂成分に親和しやすいものが用いられ、例えば、可
塑剤、脂肪酸エステル及びその金属塩、高級脂肪酸、高
級アルコール、脂肪酸アミド、パラフィン、テルペン系
樹脂、ロジン系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも
一種の化合物が好適に用いられる。
【0027】ここで、可塑剤としては、例えば、フタル
酸エステル系、トリメリット酸エステル、リン酸エステ
ル、フマル酸エステル系、マレイン酸エステル系、アジ
ピン酸エステル系、アゼライン酸エステル系、セバシン
酸エステル系、クエン酸エステル系、フマル酸エステル
系等の低分子量可塑剤、及びポリエステル系、エポキシ
系等の高分子量可塑剤が挙げられる。
【0028】脂肪酸エステル及びその金属塩としては、
上記可塑剤と一部重複するが、融点が50〜120℃の
ものが好ましく、例えば、ステアリルステアレート、リ
グノセリン酸ミリシル、ステアリン酸グリセリド、或い
はトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グ
リセリン等の酸エステル、及びその鉛塩、亜鉛塩、カル
シウム塩、マグネシウム塩などが用いられる。
【0029】高級脂肪酸としては、融点が50〜120
℃のものが好ましく、例えば、オレイン酸、ステアリン
酸、ベヘン酸、エルカ酸等の合成品のほか、牛脂等の動
物油、ナタネ油等の植物油からの分離精製品が挙げられ
る。
【0030】高級アルコールとしては、融点が50〜1
20℃のものが好ましく、例えば、1−ヘプタデカノー
ル、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−
アイコサノール、1−ドコサノール、1−ヘキサコノー
ル等が挙げられる。
【0031】脂肪酸アミドとしては、融点が50〜12
0℃のものが好ましく、例えば、エルカ酸アミド、オレ
イン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、
エチレンビスステアロアミド、エチレンビスオレイン酸
アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラ
ウリン酸アミド等が挙げられる。
【0032】パラフィンとしては、融点が50〜120
℃のものが好ましく、例えば、主成分がn−パラフィン
であるパラフィンワックスや主成分がイソパラフィンで
あるマイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0033】テルペン系樹脂としては、軟化点が50〜
100℃のものが好ましく、例えば、α−ピネンの重合
体やβ−ピネンの重合体であるテルペン樹脂、α−ピネ
ンやβ−ピネンとフェノール樹脂との共重合体であるテ
ルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
【0034】ロジン系樹脂としては、軟化点が50〜1
00℃のものが好ましく、例えば、、アビエチン酸を主
成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジ
ン、水添ロジン、重合ロジン、これ等ロジンのグリセリ
ンエステル、ペンタエリスリトールエステル等が挙げら
れる。
【0035】これ等の定着助剤において、常温で液状の
ものは比較的少量で効果がある。一方、常温で固体状の
ものを用いる場合は、融点或いは軟化点が上記範囲より
低くなると、樹脂の軟化点の低下とともにガラス転移温
度が大きく低下して、トナーの耐ブロッキング性が悪く
なることがあり、逆に融点或いは軟化点が上記範囲より
高くなると、樹脂の軟化点が充分に下がらず、トナーの
低温定着性が充分に改善されないことがある。
【0036】そして、これ等の定着助剤は、いずれも全
樹脂成分に対して、一般に5〜30重量%の範囲で含有
されるのが好ましい。定着助剤の含有量が上記範囲より
少なくなると、樹脂の軟化点が充分に下がらず、トナー
の低温定着性が充分に改善されないことがあり、逆に定
着助剤の含有量が上記範囲より多くなると、樹脂の軟化
点の低下とともにガラス転移温度が大きく低下して、耐
ブロッキング性が悪くなったり、耐オフセット性が低下
したり、充分な定着強度が得られないことがある。
【0037】また、上記無機微粒子は、トナーの耐オフ
セット性を改善する作用を有するもので、例えば、チタ
ン、珪素、硼素、鉄、ニッケル、亜鉛、カドミウム、コ
バルト、バリウム等の酸化物、炭化物、硫化物、硫酸
塩、及びカーボンブラックが好適に用いられる。なお、
無機微粒子は、この無機微粒子を含有する樹脂成分への
親和性を増すために、その表面にシランカップリング剤
等の有機化合物がグラフト或いはコーティングされてい
てもよい。
【0038】このような無機微粒子は、樹脂成分に含有
されて高次の凝集構造を形成するものが、トナーの耐オ
フセット性の改善効果が大きくなるので好ましく、その
ため、平均粒径が0.1μm 以下のものが好適に用いら
れる。平均粒径は、電子顕微鏡を用いて測定する方法な
ど公知の方法によって測定される。これ等の無機微粒子
は、全樹脂成分に対して、一般に3〜20重量%の範囲
で含有されるのが好ましい。
【0039】この発明においては、いずれか一つの樹脂
成分中のみに上記定着助剤又は無機微粒子或いはその両
方が含有されてもよく、いずれか二種以上の樹脂成分中
に上記定着助剤又は無機微粒子或いはその両方が含有さ
れてもよく、また全樹脂成分中に上記定着助剤又は無機
微粒子或いはその両方が含有されてもよい。
【0040】特に、相互貫入網目状の構造が前述の低分
子量のビニル系樹脂成分と高分子量のビニル系樹脂成分
から構成される場合は、前者の低分子量のビニル系樹脂
成分が微粉砕性や耐ブロッキング性に大きく影響し、後
者の高分子量のビニル系樹脂成分が低温定着性や耐オフ
セット性に大きく影響するので、後者の高分子量のビニ
ル系樹脂成分中のみに上記定着助剤又は無機微粒子或い
はその両方が含有されているのが好ましい。
【0041】定着助剤又は無機微粒子或いはその両方
を、所望の樹脂成分中に選択的に含有させるには、前述
の溶融混練法、溶剤混合法、或いは共存重合法によりト
ナー用樹脂組成物を製造する際に、低分子量のビニル系
重合体成分及び高分子量のビニル系重合体成分の組成
(極性)、定着助剤の種類、無機微粒子の粒径、溶融混
練の条件、溶液中での混合条件等を適当に設定すること
により行われる。特に、樹脂成分(重合体成分)の極性
の調節が有効である。
【0042】こうして、この発明のトナー用樹脂組成物
が得られる。この発明のトナー用樹脂組成物を用いて、
この発明のトナーを製造するには、例えば、上記方法で
得られたトナー用樹脂組成物に、必要に応じて着色剤、
帯電制御剤、その他の従来慣用のトナー用添加剤を配合
し、これをロールミル、ニーダー、押出機等で溶融混練
した後、冷却して微粉砕する方法が採用される。なお、
微粉砕されたトナーには、トナー粒子の流動性を上げる
ために、疎水性シリカ等を後添加(外添)してもよい。
【0043】上記着色剤としては、カーボンブラック、
クロームイエロー、アニリンブルー等のこの種のトナー
に慣用されている着色剤が使用される。また、帯電制御
剤としては、ニグロシン、スピロンブラック(保土ケ谷
化学社製)等の染料、その他フタロシアニン系の顔料か
らなる帯電制御剤が使用される。また、複写機の定着用
の熱圧ローラーに対して剥離作用のあるポリプロピレン
ワックス、低分子ポリエチレン等が配合されてもよい。
【0044】
【作用】少なくとも二種の樹脂からなる不均一系のミク
ロ相分離構造であって、各樹脂成分がそれぞれ連続相を
形成し、互いに三次元に絡み合った相互貫入網目状であ
るトナー用樹脂組成物を用いたトナーは、界面は各連続
相が互いにまじり合った複雑な複合構造をとっており、
これが安定した良好な耐オフセット性、低温定着性及び
耐ブロッキング性をもたらす。
【0045】さらに、このような相互貫入網目状構造の
トナー用樹脂組成物において、少なくとも一つの樹脂成
分中に、定着助剤及び/又は無機微粒子が含有されてい
ると、このようなトナー用樹脂組成物を用いたトナー
は、加熱定着の際に定着助剤の作用により軟化温度が下
がり、耐ブロッキング性や耐オフセット性はあまり影響
されない。その結果、トナーの低温定着性が改善され
る。
【0046】また、加熱定着の際に無機微粒子の作用に
より耐オフセット性が向上し、そのため、より軟化しや
すい樹脂成分を用いることができる。その結果、トナー
の低温定着性が改善される。
【0047】特に、樹脂成分中に無機微粒子が凝集構造
を形成して含有されると、このような樹脂成分は、特に
高温時における熱変形に対して粘り強いものとなるた
め、トナーの耐オフセット性がより一層改善され、その
ため、より一層軟化しやすい樹脂成分を用いることがで
きる。その結果、トナーの低温定着性がより一層改善さ
れる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0049】実施例1 樹脂成分(A)の調製 5リットルの丸型反応器に、脱イオン水2000重量
部、アラビアゴム(分散剤)18重量部、リグニンスル
ホン酸(分散剤)18重量部を入れてウォーターバスに
セットし、これに板状の羽根を備えた攪拌装置、ジムロ
ート冷却管、滴下装置、窒素導入管を取り付け、窒素バ
ブリングしながら80℃に昇温した。
【0050】系内が均一な状態になるのを待って窒素バ
ブリングを窒素気流に切り換え、これにn−ブチルアク
リレートモノマー129重量部と、メチルメタクリレー
トモノマー496重量部と、過酸化ベンゾイル(重合開
始剤)2.75重量部との混合溶液をゆっくりと滴下な
がら18時間懸濁重合を行った。
【0051】得られた重合体の分散液を水洗濾過し乾燥
させて、高分子量のn−ブチルアクリレート−メチルメ
タクリレート共重合体からなる樹脂成分(A)を得た。
この樹脂成分(A)の重量平均分子量(Mw)は100
万、ガラス転移温度(Tg) は55℃であった。
【0052】樹脂成分(B)の調製及びトナー用樹脂組
成物の作製(共存重合法) 1リットルの丸型反応器に、上記高分子量のn−ブチル
アクリレート−メチルメタクリレート共重合体からなる
樹脂成分(A)20重量部、トリメリット酸エステル
(トリー2−エチルヘキシルトリメリテート)(定着助
剤)10重量部、トルエン(溶剤)150重量部を入れ
てオイルバスにセットし、これに攪拌装置、還流冷却
器、窒素導入管、温度測定用熱電対を取り付け、トルエ
ンの還流温度で上記樹脂成分(A)を溶解した。
【0053】その後、これに、スチレンモノマー65重
量部と、n−ブチルアクリレートモノマー5重量部と、
過酸化ベンゾイル(重合開始剤)6重量部との混合溶液
を2時間かけて滴下し、上記樹脂成分(A)の存在下で
溶液重合を行い、得られた重合体溶液から溶剤を除去し
て、定着助剤を含有するトナー用樹脂組成物を得た。こ
の場合、上記スチレンモノマー65重量部とn−ブチル
アクリレートモノマー5重量部との共重合により樹脂成
分(B)が構成される。
【0054】なお、参考のため、上記樹脂成分(A)及
び定着助剤を用いずに、スチレンモノマー65重量部
と、n−ブチルアクリレートモノマー5重量部とを上記
と同じ条件で溶液重合を行って、上記樹脂成分(B)に
相当する共重合体を得た。この共重合体の重量平均分子
量(Mw)は8.5万、軟化点は100℃、ガラス転移温
度(Tg) は55℃であった。
【0055】トナー用樹脂組成物の作製 上記定着剤を含有するトナー用樹脂組成物100重量部
と、カーボンブラック(MA−100:三菱化成社製)
6重量部と、スピロンブラックTRH(保土ケ谷化学社
製)1重量部と、ポリプロピレンワックス(ビスコール
660P:三洋化成社製)3重量部とを、ニーダーで溶
融混練し、冷却後粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉
砕し分級して、平均粒径約10μm のトナー粉末(トナ
ー用樹脂組成物)を得た。
【0056】このトナー粉末の一部をエポキシ樹脂に包
埋し、ウルトラミクロトームで面出し、染色したもの
を、走査電子顕微鏡で観察したところ、染色性の違いか
ら、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形成された不
均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂成分がそれ
ぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合った相互貫
入網目状の構造をとっていることが確認された。
【0057】トナーの作製 このトナー粉末に、疎水性シリカ粉末(R−972:日
本アエロジル社製)0.3重量部を後添加してトナーを
作製した。このトナー10gを100mlのサンプル瓶
に採り、50℃の恒温槽中に48時間放置した後、トナ
ーの凝集性を観察したところ、トナーに凝集は全く認め
られなかった。
【0058】また、このトナー4重量部と平均粒径約5
0〜80μm の鉄粉キャリアー96重量部とを均一に混
合して現像剤を作り、この現像剤を用い、次のようにし
て、定着温度域を測定した。その結果、定着温度域は1
20〜200℃の全域で定着性良好であった。
【0059】<定着温度域の測定>電子写真複写機の定
着用の熱圧ローラーの設定温度を段階的に変えて複写を
行い、オフセット(2重画像)の発生がなく、この複写
画像をタイプライター用砂消しゴムで摩擦したとき、複
写画像の濃度の低下が10%未満である場合を定着良好
と判定し、そのような温度範囲を求めた。なお、使用し
た電子写真複写機は、富士ゼロックス社製のVivac
e310を定着用の熱圧ローラーの温度が120〜20
0℃まで変えられるように改造したものである。
【0060】実施例2 無機微粒子含有の樹脂成分(A)の調製 実施例1で用いた樹脂成分(A)90重量部と、無機微
粒子として粒径0.01〜0.1μm 程度に微粉砕した
疎水性シリカ粉末(R−972:日本アエロジル社製)
36重量部とを混合し、これをロールミルで溶融混練し
て、無機微粒子の樹脂成分(A)を得た。
【0061】樹脂成分(C)の調製 また、実施例1において参考として述べたと同様な方法
で、スチレンモノマー65重量部とn−ブチルアクリレ
ートモノマー5重量部とを溶液重合して、スチレン−n
−ブチルアクリレート共重合体からなる樹脂成分(C)
を得た。この樹脂成分(C)の重量平均分子量は0.6
万、軟化点は85℃、ガラス転移温度は55℃であっ
た。
【0062】トナー用樹脂組成物の作製(溶融混練法) 上記無機粒子含有の樹脂成分(A)42部重量部と、樹
脂成分(C)70重量部と、カーボンブラック(MA−
100:三菱化成社製)6重量部と、スピロンブラック
TRH(保土ケ谷化学社製)1重量部と、ポリプロピレ
ンワックス(ビスコール660P:三洋化成社製)3重
量部とを、ニーダーで溶融混練し、冷却後粗粉砕し、さ
らにジェットミルで微粉砕し分級して、平均粒径約10
μm のトナー粉末(トナー用樹脂組成物)を得た。
【0063】このトナー粉末(トナー用樹脂組成物)
は、走査電子顕微鏡による観察で、樹脂成分(A)と樹
脂成分(C)とで形成された不均一系のミクロ相分離構
造であって、各樹脂成分がそれぞれ連続相を形成し、互
いに三次元に絡み合った相互貫入網目状の構造をとって
いることが確認された。
【0064】トナーの作製 このトナー粉末に、疎水性シリカ粉末(R−972:日
本アエロジル社製)0.3重量部を後添加してトナーを
作製した。このトナー10gを100mlのサンプル瓶
に採り、50℃の恒温槽中に48時間放置した後、トナ
ーの凝集性を観察したところ、トナーに凝集は全く認め
られなかった。
【0065】また、このトナー4重量部と平均粒径約5
0〜80μm の鉄粉キャリアー96重量部とを均一に混
合して現像剤を作り、この現像剤を用いて、定着温度域
を測定した。その結果、定着温度域は120〜200℃
の全域で定着性良好であった。
【0066】実施例3 トナー用樹脂組成物の作製(溶融混練法) 実施例1で用いた樹脂成分(A)10重量部と、スチレ
ン重合体からなる樹脂成分(D)(重量平均分子量0.
9万、軟化点120℃、ガラス転移温度65℃)80重
量部と、定着助剤としてポリエステル(ポリプロピレン
グリコールセバケート、20℃における粘度3000ポ
イズ)7重量部と、無機微粒子として粒径0.01〜
0.1μm 程度に微粉砕した疎水性シリカ粉末(R−9
72:日本アエロジル社製)7重量部とを混合し、ロー
ルミルで予備混練した。
【0067】その後、上記予備混練物100重量部と、
カーボンブラック(MA−100:三菱化成社製)6重
量部と、スピロンブラックTRH(保土ケ谷化学社製)
1重量部と、ポリプロピレンワックス(ビスコール66
0P:三洋化成社製)3重量部とをニーダーで溶融混練
し、冷却後粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕し分
級して、平均粒径約10μm のトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)を得た。
【0068】このトナー粉末(トナー用樹脂組成物)
は、走査電子顕微鏡による観察で、樹脂成分(A)と樹
脂成分(D)とで形成された不均一系のミクロ相分離構
造であって、各樹脂成分がそれぞれ連続相を形成し、互
いに三次元に絡み合った相互貫入網目状の構造をとって
いることが確認された。
【0069】トナーの作製 このトナー粉末に、疎水性シリカ粉末(R−972:日
本アエロジル社製)0.3重量部を後添加してトナーを
作製した。このトナー10gを100mlのサンプル瓶
に採り、50℃の恒温槽中に48時間放置した後、トナ
ーの凝集性を観察したところ、トナーに凝集は全く認め
られなかった。
【0070】また、このトナー4重量部と平均粒径約5
0〜80μm の鉄粉キャリアー96重量部とを均一に混
合して現像剤を作り、この現像剤を用いて、定着温度域
を測定した。その結果、定着温度域は120〜200℃
の全域で定着性良好であった。
【0071】実施例4 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定
着助剤としてステアリルステアレート(融点60℃)1
0重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様に行っ
た。
【0072】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0073】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0074】実施例5 定着助剤であるポリエステル(ポリプロピレングリコー
ルセバケート)7重量部に替えて、定着助剤としてポリ
エステル(ポリブチレングリコールセバケート)7重量
部を用いたこと以外は、実施例3と同様に行った。
【0075】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(D)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0076】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0077】実施例6 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定
着助剤としてグリセリンのステアリン酸及びホウ酸エス
テル(融点58〜64℃)(レジスタットPE139:
第一工業製薬社製)10を用いたこと以外は、実施例1
と同様に行った。
【0078】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0079】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0080】実施例7 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定
着助剤としてベヘン酸(融点81℃)10重量部を用い
たこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0081】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0082】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0083】実施例8 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定
着助剤としてベヘニルアルコール(融点69〜71℃)
10重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様に行っ
た。
【0084】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0085】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0086】実施例9 定着助剤であるポリエステル(ポリプロピレングリコー
ルセバケート)7重量部に替えて、定着助剤としてステ
アリルアルコール(融点64℃)7重量部を用いたこと
以外は、実施例3と同様に行った。
【0087】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(D)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0088】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0089】実施例10 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定
着助剤としてオレイン酸アミド(融点74℃)10を用
いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0090】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0091】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0092】実施例11 定着助剤であるポリエステル(ポリプロピレングリコー
ルセバケート)7重量部に替えて、定着助剤としてエル
カ酸アミド(融点65〜68℃)7重量部を用いたこと
以外、実施例3と同様に行った。
【0093】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(D)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0094】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。実施例12 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリ2−エチ
ルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定着
助剤としてパラフィンワックス(融点54℃)(パラフ
ィンワックスM:日本石油社製)10を用いたこと以外
は、実施例1と同様に行った。
【0095】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0096】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0097】実施例13 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定
着助剤としてイソパラフィン(融点60℃以上)(サン
タイトS:精工化学社製)10重量部を用いたこと以
外、実施例1と同様に行った。
【0098】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0099】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0100】実施例14 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部に替えて、定
着助剤としてロジン系樹脂(軟化点68℃)(エステル
ガムH:荒川化学社製)10重量部を用いたこと以外、
実施例1と同様に行った。
【0101】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0102】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。
【0103】実施例15 定着助剤であるポリエステル(ポリプロピレングリコー
ルセバケート)7重量部に替えて、定着助剤としてロジ
ン系樹脂(軟化点68℃)(エステルガムH:荒川化学
社製)7重量部を用いたことそれ以外は、実施例3と同
様に行った。
【0104】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(D)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0105】また、トナーに凝集は全く認められず、し
かも定着温度域は120〜200℃の全域で定着性良好
であった。実施例16 定着助剤であるトリメリット酸エステル(トリー2−エ
チルヘキシルトリメリテート)10重量部を用いなかっ
たこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0106】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0107】また、トナーに凝集は全く認められなかっ
た。また、定着温度域は130〜200℃で、定着温度
域は実施例1よりやや劣るが比較的良好であった。実施例17 無機微粒子である粒径約0.01〜0.1μm 程度に粉
砕した疎水性シリカ粉末36重量部を用いなかったこと
以外は、実施例2と同様に行った。
【0108】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(C)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0109】また、トナーに凝集は全く認められなかっ
た。また、定着温度域は130〜200℃で、定着温度
域は実施例2よりやや劣るが比較的良好であった。
【0110】実施例18 定着助剤としてポリエステル(ポリプロピレングリコー
ルセバケート)7重量部と無機微粒子である粒径約0.
01〜0.1μm 程度に粉砕した疎水性シリカ粉末7重
量部とを用いなかったこと以外は、実施例3と同様に行
った。
【0111】この場合も、このトナー粉末(トナー用樹
脂組成物)は、樹脂成分(A)と樹脂成分(D)とで形
成された不均一系のミクロ相分離構造であって、各樹脂
成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元に絡み合
った相互貫入網目状の構造をとっていることが確認され
た。
【0112】また、トナーに凝集は全く認められなかっ
た。また、定着温度域は130〜200℃で、実施例3
に比べて低温定着性がやや劣るが比較的良好であった。
【0113】比較例1 樹脂成分(E)の調製 5リットルの丸型反応器に、脱イオン水2000重量
部、アラビアゴム(分散剤)18重量部、リグニンスル
ホン酸(分散剤)18重量部を入れてウォーターバスに
セットし、これに板状の羽根を備えた攪拌装置、ジムロ
ート冷却管、滴下装置、窒素導入管を取り付け、窒素バ
ブリングしながら80℃に昇温した。
【0114】系内が均一な状態になるのを待って窒素バ
ブリングを窒素気流に切り換え、これにn−ブチルアク
リレートモノマー179重量部と、メチルメタクリレー
トモノマー446重量部と、過酸化ベンゾイル(重合開
始剤)2.75重量部との混合溶液をゆっくりと滴下な
がら18時間懸濁重合を行った。
【0115】得られた重合体の分散液を水洗濾過し乾燥
させて、高分子量のn−ブチルアクリレート−メチルメ
タクリレート共重合体からなる樹脂成分(E)を得た。
この樹脂成分(A)の重量平均分子量は100万、ガラ
ス転移温度は30℃であった。
【0116】樹脂成分(F)の調製及びトナー用樹脂組
成物の作製 1リットルの丸型反応器に、上記高分子量のn−ブチル
アクリレート−メチルメタクリレート共重合体からなる
樹脂成分(E)30重量部と酢酸エチル(溶剤)150
重量部を入れてオイルバスにセットし、これに攪拌装
置、還流冷却器、窒素導入管、温度測定用熱電対を取り
付け、酢酸エチルの還流温度で上記樹脂成分(E)を溶
解した。
【0117】その後、これに、スチレンモノマー70重
量部とN,N' −アゾビスイソブチロニトリル(重合開
始剤)6重量部との混合溶液を2時間かけて滴下し、上
記樹脂成分(E)の存在下で溶液重合を行い、得られた
重合体溶液から溶剤を除去して、トナー用樹脂組成物を
得た。この場合、上記スチレンモノマー70重量部の重
合により樹脂成分(F)が構成される。
【0118】なお、参考のため、上記樹脂成分(E)を
用いずに、スチレンモノマー70重量部を上記と同じ条
件で溶液重合を行って、上記樹脂成分(F)に相当する
重合体を得た。この重合体の重量平均分子量は0.75
万、軟化点は100℃、ガラス転移温度は65℃であっ
た。
【0119】トナー用樹脂組成物の作製 上記トナー用樹脂組成物112重量部と、カーボンブラ
ック(MA−100:三菱化成社製)6重量部と、スピ
ロンブラックTRH(保土ケ谷化学社製)1重量部と、
ポリプロピレンワックス(ビスコール660P:三洋化
成社製)3重量部とを、ニーダーで溶融混練し、冷却後
粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕し分級して、平
均粒径約12μm のトナー粉末(トナー用樹脂組成物)
を得た。以後、実施例1と同様に行った。
【0120】この場合、マトリックス相(樹脂成分F)
と、このマトリックス相の中に分散されたドメイン相
(樹脂成分E)の粒子とで形成された不均一系のミクロ
相分離構造であることが確認された。
【0121】また、トナーに凝集は全く認められなかっ
た。しかし、定着温度域は135〜200℃で、各実施
例に比べて低温定着性が劣るものであった。
【0122】上記実施例1〜18及び比較例1の結果を
まとめて表1〜表4に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
【0127】
【発明の効果】上述の通り、この発明のトナー用樹脂組
成物は、少なくとも二種の樹脂からなる不均一系のミク
ロ相分離構造で、各樹脂成分それぞれ連続相を形成し、
互いに三次元に絡み合った相互貫入網目状に形成されて
おり、このようなトナー用樹脂組成物を用いて得られる
トナーは、耐オフセット性、低温定着性、耐ブロッキン
グ性に優れ、しかも微粉砕性が良好で、特に低温定着性
がより一層優れており、高速型や小型の電子複写機を用
いて複写する場合でも、充分に安定した画像が得られる
という顕著な効果を奏する。
【0128】さらに、上記トナー用樹脂組成物におい
て、少なくとも一つの樹脂成分に定着助剤及び/又は無
機微粒子が含有されていると、上記諸性能がより一層優
れたトナー用樹脂組成物及びトナーが得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも二種の樹脂からなる不均一系
    のミクロ相分離構造であって、各樹脂成分がそれぞれ連
    続相を形成し、互いに三次元に絡み合った相互貫入網目
    状であることを特徴とするトナー用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 各樹脂成分のガラス転移温度が50℃以
    上であることを特徴とする請求項1記載のトナー用樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 少なくとも一つの樹脂成分中に、定着助
    剤及び/又は無機微粒子が含有されていることを特徴と
    する請求項1又は2記載のトナー用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 定着助剤が、可塑剤、脂肪酸エステル及
    びその金属塩、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸ア
    ミド、パラフィン、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂から
    なる群より選ばれた少なくとも一種の化合物からなるこ
    とを特徴とする請求項3記載のトナー用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 無機微粒子が凝集構造を形成して含有さ
    れていることを特徴とする請求項3又は4記載のトナー
    用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載のトナ
    ー用樹脂組成物が用いられてなることを特徴とするトナ
    ー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009116354A (ja) * 1999-03-03 2009-05-28 Panasonic Corp トナーの製造方法
JP2015045858A (ja) * 2013-07-31 2015-03-12 キヤノン株式会社 トナー
JP2020140049A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 キヤノン株式会社 記録物形成方法、記録物およびトナー

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