JPH08146003A - 免疫学的測定用成形品とその製造方法 - Google Patents

免疫学的測定用成形品とその製造方法

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JPH08146003A
JPH08146003A JP29254594A JP29254594A JPH08146003A JP H08146003 A JPH08146003 A JP H08146003A JP 29254594 A JP29254594 A JP 29254594A JP 29254594 A JP29254594 A JP 29254594A JP H08146003 A JPH08146003 A JP H08146003A
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JP
Japan
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metal element
general formula
molded article
alkyl group
aromatic ring
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JP29254594A
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English (en)
Inventor
Koji Sakairi
幸司 坂入
Yoshihiro Hino
好弘 日野
Toshiaki Yoshihara
俊昭 吉原
Ryukichi Matsuo
龍吉 松尾
Naoki Takanashi
直樹 高梨
Taeko Morimoto
妙子 森本
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S R L KK
Toppan Inc
Original Assignee
S R L KK
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 測定に使用される溶液内の抗体や抗原等の濃
度が低い場合でも免疫学的測定を可能にする免疫学的測
定用成形品とその製造法を提供すること。 【構成】 この免疫学的測定用成形品は、その表面に一
般式M(OR)n[Mは金属元素、Rは水素元素若しく
はアルキル基でn個のRの内その2個以上が水素元素、
nは金属元素の酸化数]で示される有機金属化合物、又
はPhmM(OR)n-m[Phは芳香族環若しくは芳香族
環を有する置換基、Rは水素元素若しくはアルキル基で
(n−m)個のRの内その2個以上が水素元素、Mとn
は同上]で示される有機金属化合物の重合体被膜を有す
ることを特徴とする。これ等被膜内には抗体若しくは抗
原等と親和性を有しその固相化に寄与する酸素元素等の
極性基と疎水基が適切に存在しているため、溶液内の抗
体や抗原等の濃度が低い場合でも抗体若しくは抗原の大
量かつ安定な固相化を図ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医学的若しくは生化学
的分野等に利用される免疫学的測定用成形品とその製造
方法に係り、特に、測定に使用される溶液内の抗体や抗
原等の濃度が従来より低い場合でも免疫学的測定を可能
とする免疫学的測定用成形品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、モノクローナル抗体作製技術の急
速な進展に伴い、生化学や医学の幅広い分野で免疫反応
系を利用した測定分析手法が取入れられている。すなわ
ち、極めて微量なアレルギー物質や病理原性物質の定量
あるいは定性等が行われ有用な知見が得られている。
【0003】免疫反応を利用した分析方法としては様々
な手法を挙げることができ、例えば、酵素免疫測定法
(以下EIA)、ラジオイムノアッセイ、蛍光抗体法、
凝集反応法、免疫電気泳動法、免疫クロマトグラフィー
等がある。
【0004】これ等の免疫反応において、抗体若しくは
抗原を予め不溶性担体に固相化、不溶化しておき、その
後に抗原あるいは抗体と反応させて濃度を検出する方法
を『固相免疫測定法』という。代表的な例として、EI
Aやラジオイムノアッセイがあり、感度の極めて良好な
免疫試験法として利用されている。
【0005】そして、この『固相免疫測定法』において
不溶性担体として一般的に用いられているものは、その
材質としてガラス又はポリスチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリカーボネート等のプラスチックが挙げられ、これ等
がビーズ、試験管、マイクロプレート、ディスク等に成
形され上記免疫学的測定用成形品として『固相免疫測定
法』に供されている。
【0006】ところで、この固相免疫測定法において
は、いずれの材質あるいは形態の不溶性担体を利用した
場合でも検出感度を低下させないことが要求される。
【0007】このためには不溶性担体への抗体若しくは
抗原の大量かつ安定な固相化が重要であると考えられ、
様々な方法が検討されかつ報告されている。例えば、紫
外線やγ線を照射してプラスチック表面に親水基を導入
する方法(特開昭48-81966号公報、特開昭60-260857号
公報参照)や、プラズマ処理を施して不溶性担体の表面
を改質する方法(特開昭59-80442号公報参照)、硝酸セ
ルロース等の重合体をコーティングする方法(特開昭62
-25264号公報参照)、プラスチック表面に酸化処理を施
して酸素原子/炭素原子の比率を調整する方法(特開昭
62-242857号公報参照)等が挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これ等の方
法を適用することにより不溶性担体への抗体や抗原の吸
着性が従来より改善され、かつ、検出感度の向上も認め
られている。
【0009】しかし、上記不溶性担体へ充分な量の抗体
や抗原を吸着固相化させるためにはこれ等抗体若しくは
抗原の高濃度溶液を使用することを必要とし、これ等濃
度の低い溶液を用いた場合にはその吸着量が低減し検出
感度の安定性を損なう恐れを有していた。すなわち、固
相免疫測定法においては、抗体や抗原の固相化のため、
従来、不溶性担体に実際に吸着される量の約10倍程度
と考えられる濃度の抗体や抗原溶液を用いることが必要
とされており、このため不溶性担体に吸着されなかった
大半の抗体や抗原が無駄に廃棄されるといった問題を有
している。そして、吸着性を改善した上述の方法を適用
した場合でも同様に抗体若しくは抗原濃度の高い溶液を
使用する必要があった。
【0010】この様に従来の免疫学的測定用成形品を適
用した場合には、固相免疫測定法において高価でかつ貴
重な抗体若しくは抗原が無駄に廃棄されてしまうといっ
た問題点を有していた。
【0011】本発明はこの様な問題点に着目してなされ
たもので、その課題とするところは、測定に使用される
溶液内の抗体や抗原等の濃度が従来より低い場合でも免
疫学的測定に支障を来さない程度の抗体若しくは抗原の
固相化が確保される免疫学的測定用成形品とその製造方
法を提供し、もって上述した固相免疫測定法の問題点を
改善することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、免疫学的測定に用いられる成形品を前提と
し、一般式、M(OR)n[但し、Mは金属元素、Rは
水素元素若しくはアルキル基でかつn個のRの内その2
個以上が水素元素であり、nは金属元素の酸化数であ
る]で示される有機金属化合物の重合体から成る被膜が
成形品表面に設けられていることを特徴とし、また、請
求項2に係る発明は、一般式、PhmM(OR)n-m[但
し、Phは芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、
Mは金属元素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつ
(n−m)個のRの内その2個以上が水素元素であり、
nは金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合
物の重合体から成る被膜が成形品表面に設けられている
ことを特徴とするものである。
【0013】そして、請求項1記載の発明に係る免疫学
的測定用成形品においてはその表面に設けられた被膜が
一般式M(OR)nで示される有機金属化合物の重合体
で構成され、また、請求項2記載の発明に係る免疫学的
測定用成形品においてはその被膜が一般式PhmM(O
R)n-mで示される有機金属化合物の重合体で構成され
ていることから、これ等被膜内には抗体若しくは抗原等
と親和性を有しその固相化に寄与する酸素元素(O)等
の極性基と疎水基が適切に存在しているため、測定に使
用される溶液内の抗体や抗原等の濃度が低い場合でも抗
体若しくは抗原の大量かつ安定な固相化を図ることが可
能となると考えている。
【0014】尚、上記被膜は、一般式M(OR)nで示
される有機金属化合物と一般式PhmM(OR)n-mで示
される有機金属化合物の共重合体で構成しても同様の作
用を有し、また、この場合における一般式M(OR)n
の配合モル比は50%以下であることが望ましい。請求
項3及び請求項4に係る発明はこの様な技術的理由から
なされている。
【0015】すなわち、請求項3に係る発明は、免疫学
的測定に用いられる成形品を前提とし、一般式M(O
R)n[但し、Mは金属元素、Rは水素元素若しくはア
ルキル基でかつn個のRの内その2個以上が水素元素で
あり、nは金属元素の酸化数である]で示される有機金
属化合物と、一般式PhmM(OR)n-m[但し、Phは
芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、Mは金属元
素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつ(n−m)
個のRの内その2個以上が水素元素であり、nは金属元
素の酸化数である]で示される有機金属化合物との共重
合体から成る被膜が成形品表面に設けられていることを
特徴とするものであり、また、請求項4に係る発明は、
請求項3記載の発明に係る免疫学的測定用成形品を前提
とし、上記一般式M(OR)nの配合モル比が50%以
下であることを特徴とする。
【0016】次に、請求項5に係る発明は一般式M(O
R)n若しくは一般式PhmM(OR)n-mの金属元素M
を、また、請求項6に係る発明は一般式PhmM(O
R)n-mのPhを特定した発明に関する。
【0017】すなわち、請求項5に係る発明は、請求項
1〜4いずれかに記載の発明に係る免疫学的測定用成形
品を前提とし、上記一般式M(OR)n若しくは一般式
PhmM(OR)n-mの金属元素Mが、Si、Al又はT
iであることを特徴とするものであり、また、請求項6
に係る発明は、請求項2〜5いずれかに記載の発明に係
る免疫学的測定用成形品を前提とし、上記一般式Phm
M(OR)n-mのPhがフェニル基であることを特徴と
するものである。
【0018】次に、上記被膜の原料となる一般式M(O
R)n、若しくは一般式PhmM(OR)n-mで示される
有機金属化合物を得るためには、一般式M(OR')
n[但し、Mは金属元素、R'はアルキル基、nは金属元
素の酸化数である]で示される有機金属化合物、若しく
は一般式PhmM(OR')n-m[但し、Phは芳香族環
若しくは芳香族環を有する置換基、Mは金属元素、R'
はアルキル基、nは金属元素の酸化数である]で示され
る有機金属化合物を加水分解して調製することができ
る。
【0019】一般式M(OR')n[但し、Mは金属元
素、R'はアルキル基、nは金属元素の酸化数である]
で示される有機金属化合物としては、テトラエトキシシ
ラン[Si(OC254]やテトラプロピルチタン
[Ti(OC373]等が例示でき、また一般式Phm
M(OR')n-m[但し、Phは芳香族環若しくは芳香族
環を有する置換基、Mは金属元素、R'はアルキル基、
nは金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合
物としては、トリエトキシフェニルシラン[C65Si
(OC253]やジエトキシジフェニルシラン[(C6
52Si(OC252]等が例示される。尚、金属
元素Mは上述したようにSi、Al、Tiが望ましい
が、中でもSiの特性が良好である。そして、一般式M
(OR')nあるいは一般式PhmM(OR')n-mで示さ
れた有機金属化合物を加水分解して加水分解液を調製
し、この加水分解液を成形品の表面に塗工しかつ加熱乾
燥させて一般式M(OR)n若しくは一般式PhmM(O
R)n-mで示される有機金属化合物の重合体から成る被
膜を形成する。
【0020】上記塗工の方法としては、成形品の材質、
形状等に応じて適切な手段を選択すればよく、例えば、
ディッピング法、スプレーコーティング法等が挙げられ
る。また、加熱条件も成形品の特性に応じてそれぞれ適
当な条件を選べばよいが、加熱温度が低過ぎると成膜が
不充分になる可能性を有するため注意を要する。また、
被膜の厚さも特に限定されるものではないが、厚過ぎる
と被膜にひび割れが生ずることがあるため注意を要す
る。請求項7〜請求項9に係る発明は、一般式M(O
R')nあるいは一般式PhmM(OR')n-mで示される
有機金属化合物を用いて免疫学的測定用成形品を製造す
る方法を特定した発明に関する。
【0021】すなわち、請求項7に係る発明は、一般
式、M(OR')n[但し、Mは金属元素、R'はアルキ
ル基、nは金属元素の酸化数である]で示される有機金
属化合物を加水分解して加水分解液を調製し、この分解
溶液を成形品の表面に塗工しかつ加熱乾燥させて、一般
式、M(OR)n[但し、Mは金属元素、Rは水素元素
若しくはアルキル基でかつn個のRの内その2個以上が
水素元素であり、nは金属元素の酸化数である]で示さ
れる有機金属化合物の重合体から成る被膜を形成するこ
とを特徴とし、請求項8に係る発明は、一般式、Phm
M(OR')n-m[但し、Phは芳香族環若しくは芳香族
環を有する置換基、Mは金属元素、R'はアルキル基、
nは金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合
物を加水分解して加水分解液を調製し、この分解溶液を
成形品の表面に塗工しかつ加熱乾燥させて、一般式、P
mM(OR)n-m[但し、Phは芳香族環若しくは芳香
族環を有する置換基、Mは金属元素、Rは水素元素若し
くはアルキル基でかつ(n−m)個のRの内その2個以
上が水素元素であり、nは金属元素の酸化数である]で
示される有機金属化合物の重合体から成る被膜を形成す
ることを特徴とし、また、請求項9に係る発明は、一般
式、M(OR')n[但し、Mは金属元素、R'はアルキ
ル基、nは金属元素の酸化数である]で示される有機金
属化合物、及び、一般式、PhmM(OR')n-m[但
し、Phは芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、
Mは金属元素、R'はアルキル基、nは金属元素の酸化
数である]で示される有機金属化合物を加水分解して加
水分解液をそれぞれ調製し、かつ、これ等加水分解液の
混合物を成形品の表面に塗工しかつ加熱乾燥させて、一
般式M(OR)n[但し、Mは金属元素、Rは水素元素
若しくはアルキル基でかつn個のRの内その2個以上が
水素元素であり、nは金属元素の酸化数である]で示さ
れる有機金属化合物と、一般式PhmM(OR)n-m[但
し、Phは芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、
Mは金属元素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつ
(n−m)個のRの内その2個以上が水素元素であり、
nは金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合
物との共重合体から成る被膜を形成することを特徴とす
るものである。
【0022】尚、本発明に用いられる免疫学的測定用成
形品の材質としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等
のプラスチック、ガラス、セラミックス等が例示でき、
また、その形状は一般に固相免疫測定法に用いられるも
のでよく、例えば、ビーズ、マイクロプレート、キュベ
ット、試験管等が挙げられる。
【0023】また、これ等の成形品においてプラスチッ
クを材質とするものについては、上述した被膜との密着
性をよくするため、予めプラズマ処理やコロナ処理を施
し、表面に官能基を創出させた上で上記被膜を形成させ
てもよい。
【0024】
【作用】請求項1〜6記載の発明に係る免疫学的測定用
成形品によれば、その表面に設けられた被膜が、一般式
M(OR)n若しくは一般式PhmM(OR)n-mで示さ
れる有機金属化合物の重合体、あるいは、一般式M(O
R)nで示される有機金属化合物と一般式PhmM(O
R)n-mで示される有機金属化合物の共重合体で構成さ
れていることから、これ等被膜内には抗体若しくは抗原
等と親和性を有しその固相化に寄与する酸素元素(O)
等の極性基と疎水基が適切に存在しているため、測定に
使用される溶液内の抗体や抗原等の濃度が低い場合でも
抗体若しくは抗原の大量かつ安定な固相化を図ることが
可能となる。
【0025】次に、請求項7記載の発明に係る免疫学的
測定用成形品の製造方法によれば、一般式、M(O
R')n[但し、Mは金属元素、R'はアルキル基、nは
金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合物を
加水分解して加水分解液を調製し、この分解溶液を成形
品の表面に塗工しかつ加熱乾燥させて、一般式、M(O
R)n[但し、Mは金属元素、Rは水素元素若しくはア
ルキル基でかつn個のRの内その2個以上が水素元素で
あり、nは金属元素の酸化数である]で示される有機金
属化合物の重合体から成る被膜を形成し、請求項8記載
の発明に係る免疫学的測定用成形品の製造方法によれ
ば、一般式、PhmM(OR')n-m[但し、Phは芳香
族環若しくは芳香族環を有する置換基、Mは金属元素、
R'はアルキル基、nは金属元素の酸化数である]で示
される有機金属化合物を加水分解して加水分解液を調製
し、この分解溶液を成形品の表面に塗工しかつ加熱乾燥
させて、一般式、PhmM(OR)n-m[但し、Phは芳
香族環若しくは芳香族環を有する置換基、Mは金属元
素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつ(n−m)
個のRの内その2個以上が水素元素であり、nは金属元
素の酸化数である]で示される有機金属化合物の重合体
から成る被膜を形成しており、また、請求項9記載の発
明に係る免疫学的測定用成形品の製造方法によれば、一
般式、M(OR')n[但し、Mは金属元素、R'はアル
キル基、nは金属元素の酸化数である]で示される有機
金属化合物、及び、一般式、PhmM(OR')n-m[但
し、Phは芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、
Mは金属元素、R'はアルキル基、nは金属元素の酸化
数である]で示される有機金属化合物を加水分解して加
水分解液をそれぞれ調製し、かつ、これ等加水分解液の
混合物を成形品の表面に塗工しかつ加熱乾燥させて、一
般式M(OR)n[但し、Mは金属元素、Rは水素元素
若しくはアルキル基でかつn個のRの内その2個以上が
水素元素であり、nは金属元素の酸化数である]で示さ
れる有機金属化合物と、一般式PhmM(OR)n-m[但
し、Phは芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、
Mは金属元素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつ
(n−m)個のRの内その2個以上が水素元素であり、
nは金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合
物との共重合体から成る被膜を形成しているため、上記
請求項1〜6に係る免疫学的測定用成形品を簡便に製造
することができ、かつ、加水分解液の塗工並びに加熱乾
燥により被膜を形成しているため様々な形状の成形品に
対し適用することが可能となる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明は実施例に記載された材料により限定され
るものではない。
【0027】[実施例1]テトラエトキシシラン[Si
(OC254:以下TEOSと称する]、及び、トリ
エトキシフェニルシラン[C65Si(OC253
の各々1モルを、0.1N(規定)の塩酸水溶液を用い
て既知の方法により加水分解して重合前駆体を調製し
た。次に、これ等をエタノールで希釈し、SiO2 濃度
に換算したとき約0.6%溶液となるように濃度を調整
した。
【0028】そして、それぞれの溶液を重量比で30/
70となるように混合して塗工溶液を調製し、この塗工
溶液を市販のポリスチレン製マイクロプレート(未処理
のもの)表面にスプレーガンで均一に噴霧し塗工した
後、80℃のオーブンにて加熱し溶媒を除去すると共に
TEOSとトリエトキシフェニルシランの加水分解物を
重合させ、この重合体から成る被膜を有する免疫学的測
定用成形品を得た。
【0029】『免疫反応性の比較』次に、実施例に係る
免疫学的測定用成形品と、市販されている未処理の上記
ポリスチレン製マイクロプレートを比較例として免疫反
応性を検討した。尚、この検討は固相免疫測定法の内、
2抗体サンドイッチ法により行った。
【0030】まず、固相化抗体[抗原をマウス免疫グロ
ブリン(以下マウスIgGと略称する)として免疫動物
ヤギで作成された抗体(オルガノンテクニカ社製)]濃
度が5μg/mlとなるように0.1モルのリン酸緩衝
液(pH7.0)で調製した。この濃度は、同手法で用
いられている一般的な固相化濃度の1/5〜1/10に
相当する。そして、この抗体溶液を実施例に係る免疫学
的測定用成形品と比較例に係るポリスチレン製マイクロ
プレートの各ウェルに100μl分注し、既知の方法に
より固相化させた。
【0031】次に、余剰抗体を除去並びに洗浄しかつ既
知の方法によりブロッキングした後、抗原であるマウス
IgGをリン酸緩衝液で希釈し、濃度10ng/ml並
びに100ng/mlの各溶液を調製し、100μlず
つ各ウェルに分注して抗原抗体反応を行わせた。反応
後、余剰抗原を除去かつ洗浄し、ペルオキシダーゼ標識
抗マウスIgG抗体(バイオソースインターナショナル
社製)をリン酸緩衝液で希釈したものを100μlずつ
分注し反応させた。
【0032】次いで、上記反応後、余剰抗原を除去かつ
洗浄し、テトラメチルベンジジン、過酸化水素を発色基
質とする既知の方法により抗原と結合しているペルオキ
シダーゼ標識抗マウスIgG抗体を発色させた。発色は
2Nの硫酸で停止し、450nmの吸収を測定し発色の
程度を比較した。すなわち、抗原量0ng/mlとした
反応での発色値をそれぞれの測定値から減じ、各抗原濃
度出の各プレートの反応性として検討した。そして、以
下の表1に結果を示す。
【0033】
【表1】 この結果から、抗原濃度が10ng/mlのとき、比較
例に係るポリスチレン製マイクロプレートを使用した場
合には上記発色値が0.062であるのに対し、実施例
に係る免疫学的測定用成形品(すなわち、上述した重合
体から成る被膜が形成されたポリスチレン製マイクロプ
レート)を使用した場合にはその発色値が0.102で
あった。
【0034】そして、一般的に発色値(抗原量0ng/
mlでの発色値との差)が0.1以下では値として小さ
過ぎ、測定誤差と考えられるので比較例に係るポリスチ
レン製マイクロプレートを使用した場合には10ng/
mlの抗原は検出されなかったと判断される。これに対
し、実施例に係る免疫学的測定用成形品を使用した場合
には、抗原濃度10ng/mlで0.102の発色値が
得られているので検出が可能と判断された。すなわち、
実施例に係る免疫学的測定用成形品を使用した場合、固
相化抗体の濃度について従来の一般的濃度の1/5〜1
/10に設定しても抗原検出性に支障を来していないこ
とを示しており、本発明の適用により抗原検出性が改善
されていることを確認できた。
【0035】[実施例2]TEOS及びジエトキシジフ
ェニルシラン[(C652Si(OC252]につい
て実施例1と略同一の条件で加水分解して重合前駆体を
調製し、かつ、これ等をエタノールで希釈しSiO2
度に換算したとき約0.5%溶液となるように濃度を調
整した後、それぞれの溶液を重量比で50/50になる
ように混合して塗工溶液を調製した。
【0036】そして、この塗工溶液を実施例1と同様
に、市販されている未処理のポリスチレン製マイクロプ
レート表面にスプレーガンで均一に噴霧し塗工した後、
80℃のオーブンにて加熱し溶媒を除去すると共にTE
OSとジエトキシジフェニルシランの加水分解物を重合
させ、この重合体から成る被膜を有する免疫学的測定用
成形品を得た。
【0037】『免疫反応性の比較』次に、この実施例に
係る免疫学的測定用成形品と、市販されている未処理の
上記ポリスチレン製マイクロプレートを比較例として実
施例1と同様の免疫反応性を検討した。尚、この検討も
固相免疫測定法の内、2抗体サンドイッチ法により行っ
た。この結果を以下の表2に示す。
【0038】
【表2】 そして、この結果から、実施例1と同一の理由により比
較例に係るポリスチレン製マイクロプレートを使用した
場合には10ng/mlの抗原は検出されなかったと判
断されるのに対し(発色値が0.017と0.1以下で
ある)、実施例2に係る免疫学的測定用成形品を使用し
た場合には、抗原濃度10ng/mlで0.104の発
色値が得られ検出が可能と判断された。
【0039】
【発明の効果】請求項1〜6記載の発明に係る免疫学的
測定用成形品によれば、測定に使用される溶液内の抗体
や抗原等の濃度が低い場合でも抗体若しくは抗原の大量
かつ安定な固相化が図れるため、固相免疫測定法におい
て高価でかつ貴重な抗体や抗原等を有効に利用できる効
果を有している。
【0040】また、請求項7〜9記載の発明に係る免疫
学的測定用成形品の製造方法によれば、上記利点を有す
る請求項1〜6に係る免疫学的測定用成形品を簡便に製
造できると共に様々な形状の成形品にも適用できる効果
を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉原 俊昭 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 松尾 龍吉 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 高梨 直樹 東京都新宿区西新宿二丁目4番1号 株式 会社エスアールエル内 (72)発明者 森本 妙子 東京都新宿区西新宿二丁目4番1号 株式 会社エスアールエル内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】免疫学的測定に用いられる成形品におい
    て、 一般式、M(OR)n[但し、Mは金属元素、Rは水素
    元素若しくはアルキル基でかつn個のRの内その2個以
    上が水素元素であり、nは金属元素の酸化数である]で
    示される有機金属化合物の重合体から成る被膜が成形品
    表面に設けられていることを特徴とする免疫学的測定用
    成形品。
  2. 【請求項2】免疫学的測定に用いられる成形品におい
    て、 一般式、PhmM(OR)n-m[但し、Phは芳香族環若
    しくは芳香族環を有する置換基、Mは金属元素、Rは水
    素元素若しくはアルキル基でかつ(n−m)個のRの内
    その2個以上が水素元素であり、nは金属元素の酸化数
    である]で示される有機金属化合物の重合体から成る被
    膜が成形品表面に設けられていることを特徴とする免疫
    学的測定用成形品。
  3. 【請求項3】免疫学的測定に用いられる成形品におい
    て、 一般式M(OR)n[但し、Mは金属元素、Rは水素元
    素若しくはアルキル基でかつn個のRの内その2個以上
    が水素元素であり、nは金属元素の酸化数である]で示
    される有機金属化合物と、一般式PhmM(OR)
    n-m[但し、Phは芳香族環若しくは芳香族環を有する
    置換基、Mは金属元素、Rは水素元素若しくはアルキル
    基でかつ(n−m)個のRの内その2個以上が水素元素
    であり、nは金属元素の酸化数である]で示される有機
    金属化合物との共重合体から成る被膜が成形品表面に設
    けられていることを特徴とする免疫学的測定用成形品。
  4. 【請求項4】上記一般式M(OR)nの配合モル比が5
    0%以下であることを特徴とする請求項3記載の免疫学
    的測定用成形品。
  5. 【請求項5】上記一般式M(OR)n若しくは一般式P
    mM(OR)n-mの金属元素Mが、Si、Al又はTi
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の免疫学的測定用成形品。
  6. 【請求項6】上記一般式PhmM(OR)n-mのPhがフ
    ェニル基であることを特徴とする請求項2〜5のいずれ
    かに記載の免疫学的測定用成形品。
  7. 【請求項7】一般式、M(OR')n[但し、Mは金属元
    素、R'はアルキル基、nは金属元素の酸化数である]
    で示される有機金属化合物を加水分解して加水分解液を
    調製し、この分解溶液を成形品の表面に塗工しかつ加熱
    乾燥させて、一般式、M(OR)n[但し、Mは金属元
    素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつn個のRの
    内その2個以上が水素元素であり、nは金属元素の酸化
    数である]で示される有機金属化合物の重合体から成る
    被膜を形成することを特徴とする免疫学的測定用成形品
    の製造方法。
  8. 【請求項8】一般式、PhmM(OR')n-m[但し、P
    hは芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、Mは金
    属元素、R'はアルキル基、nは金属元素の酸化数であ
    る]で示される有機金属化合物を加水分解して加水分解
    液を調製し、この分解溶液を成形品の表面に塗工しかつ
    加熱乾燥させて、一般式、PhmM(OR)n-m[但し、
    Phは芳香族環若しくは芳香族環を有する置換基、Mは
    金属元素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつ(n
    −m)個のRの内その2個以上が水素元素であり、nは
    金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合物の
    重合体から成る被膜を形成することを特徴とする免疫学
    的測定用成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】一般式、M(OR')n[但し、Mは金属元
    素、R'はアルキル基、nは金属元素の酸化数である]
    で示される有機金属化合物、及び、一般式、Phm
    (OR')n-m[但し、Phは芳香族環若しくは芳香族環
    を有する置換基、Mは金属元素、R'はアルキル基、n
    は金属元素の酸化数である]で示される有機金属化合物
    を加水分解して加水分解液をそれぞれ調製し、かつ、こ
    れ等加水分解液の混合物を成形品の表面に塗工しかつ加
    熱乾燥させて、一般式M(OR)n[但し、Mは金属元
    素、Rは水素元素若しくはアルキル基でかつn個のRの
    内その2個以上が水素元素であり、nは金属元素の酸化
    数である]で示される有機金属化合物と、一般式Phm
    M(OR)n-m[但し、Phは芳香族環若しくは芳香族
    環を有する置換基、Mは金属元素、Rは水素元素若しく
    はアルキル基でかつ(n−m)個のRの内その2個以上
    が水素元素であり、nは金属元素の酸化数である]で示
    される有機金属化合物との共重合体から成る被膜を形成
    することを特徴とする免疫学的測定用成形品の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008170238A (ja) * 2007-01-10 2008-07-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd バイオチップ用基板の製造方法
JP2008527333A (ja) * 2004-12-29 2008-07-24 コーニング インコーポレイテッド バイオセンサ上に対照領域および試料領域を作製する方法ならびにバイオセンサ
JP2016528510A (ja) * 2013-08-21 2016-09-15 ミカルティス エヌブイMycartis Nv 不均質表面官能化

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