JPH08140966A - 乳房ｘ線撮影装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】散乱Ｘ線、焦点外Ｘ線を抑制して画質の低下を
防止することにある。 【構成】Ｘ線管１の照射窓２付近に絞りマスク３を備
え、また絞りマスク４を複数枚構成にし、さらに圧迫板
５の内部に絞りマスク６を備え、Ｘ線管１から乳房にＸ
線を照射する。これにより、散乱Ｘ線等を効果的に抑制
することができ、画質の低下を防げる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、乳房専用のＸ線撮影装
置に係り、特にＸ線絞り装置及びＸ線の制限に好適な装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の乳房Ｘ線撮影装置を図４により説
明する。支持アーム２５の上端にＸ線管、絞り装置２２
（図示省略）が設けられ、下端にＸ線像を得るためのカ
セッテを装填するカセッテ支持板９が設けられている。
また、支持アーム２５の中心付近に軸を備えており、こ
の軸を中心にＸ線管とカセッテ支持板９が回転運動可能
となっている。この軸は、Ｘ線高電圧装置２３などが組
み込まれた支柱部２４に垂直移動可能に支持され、支持
アーム２５を被検体の高さに合わせて設定できるように
なっている。また、Ｘ線管とカセッテ支持板９の間の空
間には乳房を押さえつけるために圧迫板５があり、この
圧迫板５は支持アーム２５に設けられ、任意の高さに設
定できる。

【０００３】このように構成された乳房Ｘ線撮影装置で
は、被検体の乳房の高さに合わせて支持アーム２５を移
動させ、カセッテを装填したカセッテ支持板９上に被検
体の乳房を載置し、乳房の上部から圧迫板５で押さえつ
け、この状態でＸ線を照射する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来装置では、カ
セッテ支持板上の乳房を圧迫板で挟んで撮影するが、こ
のとき乳房以外にはＸ線が照射されないように、絞り装
置によりＸ線を制限していた。この絞り装置には、鉄製
あるいはステンレス製の板状の絞りマスクで構成された
ものや、ツーブスと呼ばれるＸ線束を限定するよう筒状
に構成されたものがある。そして、このような絞り装置
の照射野の形状は、半円などの乳房の形状に近くなるよ
うにしている。

【０００５】しかし、絞りマスクやツーブスなどで構成
された絞り装置だけでは十分にＸ線を制限できず、Ｘ線
フィルムに散乱Ｘ線や焦点外Ｘ線が入り込んで、画像に
ぼけ等が生じてしまい画質が低下してしまうことがあっ
た。

【０００６】そこで本発明の目的は、散乱Ｘ線、焦点外
Ｘ線を抑制して画質の低下を防止することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、Ｘ線管と、このＸ線管の前面に位置し絞
りマスクによりＸ線を制限するＸ線絞り装置と、前記Ｘ
線管と対向して配置されカセッテ等を装填すると共に乳
房を載置する撮影部と、前記Ｘ線管及び撮影部を支持す
る支持部と、前記支持部に設置され撮影部に載置した乳
房を圧迫する圧迫板と、前記支持部を回転及び垂直方向
へ移動可能に支持する支柱部と、前記Ｘ線管からＸ線を
照射させるＸ線高電圧装置を有する乳房Ｘ線撮影装置に
おいて、前記Ｘ線絞り装置内に格納され前記Ｘ線管の照
射窓付近に位置しＸ線を制限する第１の遮蔽板と、前記
圧迫板内に位置しＸ線を制限する第２の遮蔽板とを備え
ると共に、上記Ｘ線絞り装置の絞りマスクを複数枚で構
成したものである。

【０００８】

【作用】Ｘ線管から照射されたＸ線を、Ｘ線管の照射窓
付近に備えた第１の遮蔽板で制限し、次に複数枚で構成
した絞りマスクでさらに絞り込み、最後に圧迫板に備え
た第２の遮蔽板で乳房にのみＸ線が照射されるように制
限する。これにより、散乱Ｘ線等を効果的に抑制するこ
とができ、画質の低下を防げる。

【０００９】

【実施例】本発明の一実施例を図１乃至図４により説明
する。図１は本実施例の絞りマスクの一部断面及びこれ
により形成されるＸ線束を示す図、図２は絞りマスクの
形状を示す斜視図、図３は焦点ＦのＸ線束と焦点外Ｘ線
の仮の焦点ｆ’のＸ線束との関係を示す絞りマスクの一
部断面図、図４は乳房Ｘ線撮影装置の外観を示す斜視図
である。本実施例の外観は従来装置と同様であり、上端
にＸ線管１と絞り装置２２を格納すると共に下端にカセ
ッテ８を装填するカセッテ支持部９を設けた支持アーム
２５が、支柱部２４に回転及び垂直移動可能に取り付け
られている。また、支持アーム２５のＸ線管とカセッテ
支持部９の間には、乳房を押さえつける圧迫板５が上下
動可能に取り付けられている。支柱部２４の背面にはＸ
線高電圧装置２３が配置され、また側面にはＸ線を防護
する防護壁２６が取り付けられている。

【００１０】次に、Ｘ線を乳房にのみ照射させるための
絞りマスク３、４及び６について説明する。それぞれの
絞りマスク３、４、６は、遮蔽板に乳房の形状に類似さ
せた半楕円の照射孔を設けた形状となっている。そし
て、絞りマスク３はＸ線管１の照射窓２の近傍に配置さ
れ、照射窓２直後の不要なＸ線いわゆる散乱Ｘ線や焦点
外Ｘ線の大半を除去する。絞りマスク４は遮蔽板を２枚
上下に組み合わせて構成しており、上部の照射孔より下
部の照射孔を大きくしている。また、絞りマスク３及び
絞りマスク４はＸ線管１の前面に備え付けた絞り装置２
２内に設けられている。絞りマスク６は圧迫板５の内部
に設けられ、絞りマスク４で制限したＸ線を乳房にのみ
Ｘ線が照射されるようさらに制限する。この結果焦点Ｆ
からのＸ線は、絞りマスク３、絞りマスク４さらに絞り
マスク６を通ることにより、乳房にだけＸ線が照射され
るようなＸ線となり、必要なＸ線だけを取り出すことが
でき、良好なＸ線像が得られる。

【００１１】次に、焦点からのＸ線と焦点外Ｘ線との関
係を説明する。Ｘ線管１の焦点をＦとし、フィラメント
からの電子が焦点Ｆ以外に衝突して発生する焦点外Ｘ線
の焦点をｆ’とする。まず、従来装置の図３（ａ）に示
すような１枚の絞りマスクのものでは、焦点ＦからのＸ
線は、絞りマスク２２で乳房の大きさに制限される。こ
のとき、乳房の任意の位置Ａ，Ｂは、Ｘ線フィルム１０
のＡ’，Ｂ’に写しだされる。つぎに、焦点Ｆの近くに
存在する焦点ｆ’からの焦点外Ｘ線について見ると、焦
点ｆ’からのＸ線は、絞りマスクを通って乳房に照射さ
れる。すると、乳房の任意位置Ａ，ＢのＸ線フィルム１
０の位置はそれぞれａ’，ｂ’となり、焦点Ｆで写しだ
されたＡ’，Ｂ’とは異なる位置に写しだされる。その
結果、Ｘ線フィルム１０には焦点Ｆとｆ’の両方のＸ線
による画像が写しだされてしまい広い範囲でぼけた画像
となる。

【００１２】これに対して本実施例では図３（ｂ）に示
すように、乳房の任意の位置Ａ，Ｂは焦点ＦからＸ線が
照射されると、Ｘ線フィルム１０にはＡ’，Ｂ’の位置
に撮影される。そして、焦点ｆ’からの焦点外Ｘ線は、
絞り装置２２の絞りマスク３で大半が除去され、Ｘ線フ
ィルム１０に到達する焦点外Ｘ線が減少するため、焦点
Ｆとｆ’の両方のＸ線により２重に写しだされる範囲
は、図におけるｂ’より左側の範囲となる。つまり画像
がぼける範囲が狭くなり、画質の低下を抑制できる。

【００１３】本実施例では、絞り装置２２内の絞りマス
ク４を２枚構成としたが、３枚あるいはそれ以上の枚数
でもよく、このように構成すれば、さらに散乱Ｘ線及び
焦点外Ｘ線を抑制できる。また、それぞれの絞りマスク
３、４、６に開けた照射孔の形状を半楕円としたが、被
検体によって形状を変えて撮影ごとに取替え可能にして
もよい。

【００１４】

【発明の効果】本発明では、Ｘ線管の照射窓付近に第一
の遮蔽板を配置し、また絞りマスクを複数枚で構成し、
さらに圧迫板に第二の遮蔽板を備えたため、撮影範囲内
への散乱Ｘ線及び焦点外Ｘ線の入り込みを抑制すること
ができ、ぼけの少ない画像を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の絞りマスクの一部断面及びこれによ
り形成されるＸ線束を示す図

【図２】絞りマスクの形状を示す斜視図

【図３】焦点ＦのＸ線束と焦点外Ｘ線の仮の焦点ｆ’の
Ｘ線束との関係を示す絞りマスクの一部断面図

【図４】乳房Ｘ線撮影装置の外観を示す斜視図

【符号の説明】

１ Ｘ線管 ２ 照射窓 ３ 絞りマスク ４ 絞りマスク ６ 絞りマスク ５ 圧迫板 ７ 被検体 ８ カセッテ ９ カセッテ支持部 １０ Ｘ線フィルム ２２ 絞り装置 ２３ Ｘ線高電圧装置 ２４ 支柱部 ２５ 支持アーム ２６ 防護壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｘ線管と、このＸ線管の前面に位置し絞り
   マスクによりＸ線を制限するＸ線絞り装置と、前記Ｘ線
   管と対向して配置されカセッテ等を装填すると共に乳房
   を載置する撮影部と、前記Ｘ線管及び撮影部を支持する
   支持部と、前記支持部に設置され撮影部に載置した乳房
   を圧迫する圧迫板と、前記支持部を回転及び垂直方向へ
   移動可能に支持する支柱部と、前記Ｘ線管からＸ線を照
   射させるＸ線高電圧装置を有する乳房Ｘ線撮影装置にお
   いて、前記Ｘ線絞り装置内に格納され前記Ｘ線管の照射
   窓付近に位置しＸ線を制限する第１の遮蔽板と、前記圧
   迫板内に位置しＸ線を制限する第２の遮蔽板とを備えた
   ことを特徴とする乳房Ｘ線撮影装置。
2. 【請求項２】上記Ｘ線絞り装置の絞りマスクを複数枚で
   構成した請求項１記載の乳房Ｘ線撮影装置。