JP2004202119A - 乳房画像撮影装置 - Google Patents
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- A61B6/00—Apparatus for radiation diagnosis, e.g. combined with radiation therapy equipment
- A61B6/48—Diagnostic techniques
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Abstract
【課題】小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保して、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影することのできる乳房画像撮影装置を提供する。
【解決手段】乳房画像撮影装置には、放射線源と、放射線源に対峙するように被写体を支持する被写体台とが備わっている。放射線源の焦点サイズが30μm以上250μm以下である。そして、被写体台上における照射野の広さが18cm×24cm以上である。
【選択図】 図1
【解決手段】乳房画像撮影装置には、放射線源と、放射線源に対峙するように被写体を支持する被写体台とが備わっている。放射線源の焦点サイズが30μm以上250μm以下である。そして、被写体台上における照射野の広さが18cm×24cm以上である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳房画像撮影装置に係り、特に、位相コントラスト画像を撮影することが可能な乳房画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の乳房画像撮影装置は、放射線源に対峙した被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線画像検出器で検出して放射線画像情報を取得するようになっている。この乳房画像撮影装置には、焦点サイズが250μmよりも大きい大焦点の放射線源と、焦点サイズが250μm以下の小焦点の放射線源とが切換自在に設けられており、大焦点の放射線源を用いた場合には、被写体を等倍に撮影でき、小焦点の放射線源を用いた場合には、被写体を拡大して撮影できるようになっている。
【0003】
近年、位相コントラスト画像を撮影する乳房画像撮影装置が提案されている。位相コントラスト画像とは、屈折コントラスト画像とも呼ばれるもので、以前はSPring−8など放射光X線源から得る単色の平行X線による撮影や、10μm程度の焦点サイズをもつマイクロ焦点X線源による撮影によって得られるものと言われていたが、医療用のX線源でも得ることが可能であることが分かってきた(特開2001−91479号公報参照)。位相コントラスト画像は、通常の吸収コントラストのみの画像に比べ、鮮鋭性が良く、高精細なX線画像を得ることが可能である。
上記公報記載の乳房画像撮影装置は放射線源と放射線画像検出器との間隔が、従来の乳房画像撮影装置のそれよりも広く設定することが可能であり、また、被写体台と放射線検出器との間隔も広く設定することが可能であるので、これにより位相コントラスト画像を撮影することが可能になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−238871号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記した位相コントラスト画像を撮影する場合には、被写体と放射線画像検出器との間隔が広いために、大焦点の放射線源を用いると、幾何学的不鋭による鮮鋭性の低下を招いてしまい、小焦点の放射線源を用いなければ明瞭な画像を得ることができない。従来、乳房画像撮影装置にあっては、小焦点の放射線源は拡大画像を得る場合にのみ使用されていたために、被写体の拡大部分、つまり被写体の一部分のみに放射線を照射すればよく、その被写体における照射野は、吸収コントラスト画像を撮影する場合よりも小さかった。このため、位相コントラスト画像の撮影領域は吸収コントラスト画像の撮影領域よりも小さくなり、従来の乳房画像撮影装置では、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影できなかった。
【0006】
本発明の課題は、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保して、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影することのできる乳房画像撮影装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の乳房画像撮影装置は、
放射線源と、
前記放射線源に対峙するように被写体を支持する被写体台とを備え、
前記放射線源の焦点サイズが30μm以上250μm以下であり、
前記被写体台上における照射野の広さが18cm×24cm以上であることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、焦点サイズが30μm以上250μm以下である小焦点の放射線源であっても、被写体台上における照射野の広さが、大焦点の放射線源のそれとほぼ同等以上となる18cm×24cm以上であるので、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源の焦点サイズが、50μm以上200μm以下であることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源と前記被写体台との間隔が50cm以上80cm以下であることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、放射線源と被写体台との間隔を50cm以上80cm以下とすることで、被写体と放射線源とを位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。これにより、位相コントラスト画像を撮影する際においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影することが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源と前記被写体台との間隔が60cm以上70cm以下であることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、放射線源と被写体台との間隔を60cm以上70cm以下とすることで、被写体と放射線源とを、より位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源のターゲット角度が12度以上20度以下であることを特徴としている。
【0016】
通常、放射線源には、電子線がぶつかることにより一定の面積から放射線を発生するターゲットが備わっている。ここで、電子線がターゲットに衝突して放射線が発生する場所の大きさに対して被写体側から見た実効的な大きさのことを焦点サイズという。このターゲットが放射線を発生した後に、一部の放射線はターゲット物質に吸収されてしまって、陽極(アノード)側に比べて陰極(カソード)側の方が、放射線強度が高まってしまう。このように、放射線強度が偏ると、照射野内で放射線強度ムラを生じさせてしまい、画質の低下を招いてしまう。焦点サイズを上記した範囲内に収めようとすると、必然的にターゲット角度を小さくしなければならないが、ターゲット角度が小さすぎると放射線強度の偏りが高まってしまい、照射野内での放射線強度ムラがひどくなる。しかしながら、請求項5記載の発明によれば、ターゲット角度が12度以上20度以下であるので、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.6以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、画質を安定化させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源のターゲット角度が14度以上18度以下であることを特徴としている。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、ターゲット角度が14度以上18度以下であるので、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.8以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、より画質を安定化させることができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記被写体台を介して前記放射線源に対峙し、前記被写体を透過した放射線源を検出する放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器を保持する検出器保持部とを備え、
前記検出器保持部は、前記放射線源と前記放射線画像検出器との間隔が75cm以上、前記被写体台と前記放射線画像検出器との間隔が15cm以上となるように、配置されることを特徴としている。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性がよく、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の乳房画像撮影装置において、
前記検出器保持部は、前記放射線源と前記放射線画像検出器との間隔が100cm以上、前記被写体台と前記放射線画像検出器との間隔が30cm以上となるように、配置されることを特徴としている。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性がよく、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線画像検出器が、輝尽性蛍光体プレート若しくはフラットパネルディテクタであることを特徴としている。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、放射線画像検出器として、輝尽性蛍光体プレート若しくはフラットパネルディテクタを用いた乳房画像撮影装置であっても、請求項7又は8記載に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項7〜9のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源、前記放射線画像検出器を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記放射線画像検出器の検出結果に対して、感度補正を行うことを特徴としている。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、制御部が、放射線画像検出器の検出結果に対して感度補正を行うので、撮影時の放射線強度に偏り、ムラがあったとしても、感度補正されることにより出力される画像の画質を安定させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。なお、以下の説明において、「X線」と「放射線」は同義に扱う。
【0028】
図1は、本発明が適用された実施形態の乳房画像撮影装置の主要部構成を示した説明図である。この乳房画像撮影装置1は、マンモグラフィ用の放射線画像撮影装置である。乳房画像撮影装置1には、放射線源2を支持する本体部3が設けられている。この本体部3には、放射線源2の照射方向に移動自在で被写体Hを支持する被写体台4と、本体部3に対して鉛直に垂下する支持軸5と、電源部6、制御部7(図3参照)とが設けられている。
【0029】
被写体台4の下部には、通常画像撮影モードの際に用いられる第一放射線画像検出器(放射線画像検出器)8が、制御部7の制御に基づいて、被写体台4の基端側を中心に水平位置からA位置まで回動するように設けられている。この第一放射線画像検出器8が水平位置にある場合には、被写体台4の上面、つまり被写体Hと第一放射線画像検出器8との間隔が、ほぼ0となる。
【0030】
また、被写体台4の上方には、被写体台4により支持された被写体Hを圧迫する被写体圧迫部9が、本体部3に上下動可能に支持されている。なお、放射線量検出部を被写体圧迫部9に設けることも可能である。
被写体台4の下方には、支持軸5に支持され、制御部7の制御に基づいて、第一回転軸10を中心に水平位置からB位置まで回動する第一検出器保持部(検出器保持部)11が設けられている。この第一検出器保持部11には第二放射線画像検出器(放射線画像検出器)12が着脱可能に搭載されており、第一検出器保持部11は、第二放射線画像検出器12の有無を制御部7に出力する。この第二放射線画像検出器12が水平位置にある場合には、放射線源2と第二放射線画像検出器12との間隔が75cm以上となる位置に設定されている。この条件を満たしたうえに、第二放射線画像検出器12の水平位置における、被写体台4の上面と第二放射線画像検出器12との間隔R21は30cm≦R21≦80cmの範囲に収まっていることが好ましい。
【0031】
第一検出器保持部11の下方には、支持軸5に支持され、第二回転軸13を中心に水平位置からC位置まで回動する第二検出器保持部(検出器保持部)14が設けられている。この第二検出器保持部14は水平位置においては伸長状態であって、C位置に移動する前にスライドして収縮するようになっている。
また、第二検出器保持部14には、第三放射線画像検出器(放射線画像検出器)15が水平位置にある場合に着脱可能に載置されており、第二検出器保持部14は、第三放射線画像検出器15の有無を制御部7に出力する。この第三放射線画像検出器15が第二検出器保持部14に載置されると、被写体台4の上面と第三放射線画像検出器15の間隔R22が、上記間隔R21よりも大きく設定されていなければならない。この条件を満たしたうえに、第三放射線画像検出器15が水平位置にある場合には、装置の大型化を防ぐために、少なくとも放射線源2と第三放射線画像検出器15との間隔が150cm以下となる位置に設定されていることが好ましい。
【0032】
放射線源2としては、放射線の波長が0.1〜1Å前後のX線を放射するX線管を用いる。このX線管は熱励起によって生ずる電子を高電圧で加速して陰極に衝突させて、その運動エネルギを放射エネルギに変換することによってX線が放射されるものである。X線画像を撮影するとき、この加速電圧を管電圧として、また電子の発生量を管電流として、そして、X線放射時間を露光時間として設定する。電子が衝突する陽極(対陰極)は銅、モリブデン、ロジウム、タングステンなど、その種類を変えることで、放射されるX線エネルギスペクトルを変えることができる。銅、モリブデン、ロジウムなどを陽極として用いる場合、X線のエネルギ分布の狭い比較的エネルギの低い線スペクトルが得られ、その特性を利用してX線回折結晶分析や微細な構造を判読する乳房撮影に用いられる。タングステンを陽極として用いる場合は広いスペクトルの比較的高いエネルギのX線で、人体の胸部や腹部、頭部、そして工業一般の非破壊検査に用いられる。医療用あるいは工業用では照射するX線量が多いことが特徴である。すなわち回転陽極を用いることが一般的である。本実施の形態の撮影装置は、医療用を目的として用いる装置であるので、モリブデン、ロジウム、タングステンの回転陽極をもつX線管が好ましく、乳房撮影を目的として用いる装置であればモリブデン又はロジウムであることが望ましい。
【0033】
X線管には、図2に示すように、X線管内部の陰極で発生した電子線がぶつかることにより、放射線を発生するターゲットTが備わっている。ターゲットTに電子線が衝突した大きさを実焦点と呼び、被写体H側から見た実質的な大きさを実効焦点と呼ぶ。ここでは実効焦点のサイズを焦点サイズとする。一般に実効焦点の形状は正方形であり、その1辺の長さが焦点サイズである。焦点の形状が円である場合はその直径を、長方形である場合はその短辺をさすことが多い。焦点形状が長方形である場合の実焦点及び実効焦点の焦点サイズの関係は、実焦点の大きさ(幅:Fa、長さ:Fb)、実効焦点の大きさ(幅:FA、長さ:FB)、ターゲット角度αとすると、FA=Fa、FB=Fbsinαとなる。
【0034】
第一放射線画像検出器8を用いてX線撮影を行うと、被写体Hと第一放射線画像検出器8との間隔は、ほぼ0となって、吸収コントラストのみの画像が得られる。本実施形態ではこれを「通常画像撮影モード」と呼ぶ。
【0035】
一方、第二放射線画像検出器12若しくは第三放射線画像検出器15を用いてX線撮影を行うと、第一放射線画像検出器8を用いた場合よりも、被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22は広いため、X線の屈折に起因するエッジ強調(=位相コントラスト強調)画像を得ることができる。X線が物体を通過するときに屈折して物体の境界内側のX線密度が疎になり、さらに被写体Hの外側は被写体Hを通過しないX線と重なることからX線密度が上昇する。このようにして被写体Hの境界部分であるエッジが画像として強調される。これは被写体Hと空気とのX線に対する屈折率の差から生じる現象と考えられる。エッジ強調画像(位相コントラスト画像)を得るには被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22を所定値以上にすることが必要であり、本発明ではこの撮影モードを「位相コントラスト画像撮影モード」と呼ぶ。
【0036】
しかしながら、位相コントラスト画像撮影モードでは、X線の焦点サイズが大きいと放射されるX線量が多くなり、いわゆる半影が生じる。半影とは、焦点サイズの大きさに起因して被写体H上の1点が、放射線読取部上で大きさを持った像として検出される現象であり、いわゆるボケのことである。したがって、X線源が、単色の平行X線を出射するシンクロトロンや、点焦点と見なせるマイクロ焦点X線源と異なり、通常の医療用のX線源では、有限な大きさの焦点サイズを有するが故に、この半影の影響が問題となる。
【0037】
そして、上述したように被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22が大きいと半影によるボケ幅が増加することがわかる。こうしたことから一定以上のX線量を得るために焦点サイズの下限値が決まり、そして屈折コントラストを半影のボケをしのいで実現して高鮮鋭な画像を得るために被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22、放射線源2から被写体Hとの間隔R1などから、焦点サイズの上限が決まる。焦点サイズが小さすぎると十分な強度の放射線が得られず、撮影時間が長くなり被写体Hの動きによるボケによって鮮鋭性が低下してしまう。一方、焦点サイズが大きすぎると位相コントラストによるエッジ強調より半影によるボケが支配的になり鮮鋭性が低下してしまう。したがって通常の医療施設で位相コントラスト撮影を行うには、焦点サイズは30μm以上で250μm以下であることが必要であり、好ましくは50μm以上200μm以下である。
【0038】
本実施形態では、放射線源2として、焦点サイズ300μmのX線管及び焦点サイズ100μmのX線管が切換可能に備えられており、通常画像撮影モードでは焦点サイズ300μmのX線管が、位相コントラスト画像撮影モードでは焦点サイズ100μmのX線管が使用されるようになっている。
【0039】
そして、放射線源2と被写体台4との間には、通常画像撮影モード用のX線管及び位相コントラスト画像撮影モード用のX線管の両者においても、被写体台4上における照射野の広さが18cm×24cm以上となるように、X線の照射野を変動させる照射野調整器16(図3参照)が設けられている。この照射野調整器16には、例えばX線の絞りを変動させることで、被写体台4上の照射野の広さを18cm×24cm以上とするものや、所定の範囲以外にはX線が照射されないようにして、被写体台4上の照射野の広さを18cm×24cm以上にするX線制限器を用いたものが挙げられる。
【0040】
ここで、焦点サイズを決定する要因の1つとして、ターゲットTのターゲット角度が挙げられるが、焦点サイズを位相コントラスト画像撮影モードで適用可能な範囲に収めようとすると、通常画像撮影モード用のX線管よりも必然的にターゲット角度を小さくしなければならない。しかしながら、小さくしすぎるとターゲットTがX線を発生した後に、X線がターゲット物質に吸収されてしまい、陽極(アノード)側に比べて陰極(カソード)側の方が、X線強度が高まって、照射野内でX線強度ムラを生じさせてしまう。照射野内でのX線強度ムラは50%以内でなければ、診断に耐えうる画質を得ることが難しい。すなわち、照射野調整器16で、被写体台4上における照射野の広さを18cm×24cm以上とすると、通常画像撮影モード用のX線管では、診断に耐えうる画質で撮影することができるものの、位相コントラスト画像撮影モード用のX線管では画質が不安定になってしまう。このため、位相コントラスト画像撮影モード用のX線管であっても、被写体台4上の照射野内での放射線強度ムラを抑えるために、ターゲット角度を12度以上20度以下にすると、胸壁部分のX線強度を1とした場合に、最もX線強度が低くなる乳頭側でも0.6以上のX線強度となって、X線強度ムラを40%以内に収めることができる。さらに、ターゲット角度を14度以上18度以下にすると、乳頭側でも0.8以上のX線強度となって、X線強度ムラを20%以内に収めることができる。これにより、位相コントラスト画像撮影モードであってもX線強度の偏りを抑えて、画質を安定化させることができる。
【0041】
また、位相コントラスト画像撮影モードにおける、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)は少なくとも75cm以上でなければならない。そして、放射線源2と被写体台4との間隔R1は、少なくとも50cm≦R1≦80cm、好ましくは60cm≦R1≦70cmであるので、位相コントラスト画像撮影モードで撮影する場合には、被写体台4を昇降させて間隔R1を上記範囲内に収める。なお、間隔R1が上記範囲以外となるように、被写体台4を昇降させれば、従来の小焦点のX線管による拡大撮影を行うことが可能である。
【0042】
間隔R21、R22が大きい方が位相コントラストによるエッジ効果が大きくなるが、間隔R1に対して間隔R21、R22が大きくなりすぎると半影のボケの影響で鮮鋭性が低下する。したがって、間隔R1及び間隔R21、R22がともに長いことが画質向上の面からは望まれる。しかし、実際に乳房画像撮影装置を撮影室で使用する場合には、装置を回転して使用する場合があることや撮影室の大きさから、それほど大きなものになると、使用勝手が悪くなるという問題点がある。そのため、画質面と使いやすさという面から上記の間隔R1や間隔R21、R22の望ましい大きさが決められる。
【0043】
放射線画像検出器は、▲1▼X線蛍光増感紙とハロゲン化銀写真フィルムとを組み合わせた組体、▲2▼輝尽性蛍光体プレート、▲3▼X線エネルギを光に変換するシンチレータとその光を読み取る光半導体素子を2次元に配列した放射線画像検出器、▲4▼X線エネルギを直接に電気信号に変換する光導電体とその電気信号を読み取る半導体素子を2次元に配列した放射線画像検出器、▲5▼X線を光に変換するシンチレータとその光をCCDやCMOSなどに集光するためのレンズとを組み合わせたものを2次元に配列した放射線画像検出器、あるいは▲6▼X線を光に変換するシンチレータとその光を光ファイバでCCDやCMOSに導いて電気信号に置き換える放射線画像検出器を使うことができる。
【0044】
放射線画像検出器を▲1▼のようにX線蛍光増感紙とハロゲン化銀写真フィルムとの組体としたものは、SFシステム(スクリーンフィルムシステム)とも呼ばれる。X線蛍光増感紙はタングステン酸カルシウムやガドリニウムオキシサルファイドなどの希土類蛍光体を有するもので、X線エネルギを青色あるいは緑色発光に置き換えるものである。特に希土類蛍光体を用いた増感紙については特開平6−67365号公報で開示されている技術を使用しても構わない。またハロゲン化銀写真フィルムは、支持体の片面のみに感光性乳剤が塗布されたものや支持体の両面に感光性乳剤が塗布されたものなどを使用することが好ましい。特に両面フィルムの場合、フィルム支持体を挟んだそれぞれの乳剤層の写真特性が異なる写真感光材料を使用することは好ましい態様である。また両面フィルムのそれぞれの乳剤面の間にクロスーオーバー光を吸収する層を有する写真フィルムを使用することは好ましい。本発明で使用する片面そして両面フィルムのサイズは六つ切りサイズから半切サイズまで、あらゆるサイズのフィルムを用いることができる。これらハロゲン化銀写真感光材料は、特開平6−67365号公報や、例えば“改訂 写真工学の基礎 −銀塩写真編―”(日本写真学会編コロナ社1998年)に概説されている。また写真フィルムの現像処理については、現像処理温度を上げることやその処理時間を延ばすことで平均階調を上げることができるが、自動現像処理を行うときには原則的にはフィルムメーカー指定の現像処理条件で処理することが好ましい。
【0045】
上記▲2▼で言う輝尽性蛍光体とは、照射後に可視光を照射することにより、既に照射したX線強度に対応する可視光発光が誘起されるものである。すなわちX線照射後にこの蛍光体をレーザ読取装置に移して輝尽発光を読み取り、読み取った発光を光電子倍増管で電気信号に置き換えて、X線画像の電気信号を得るものである。この電気信号は適切な画像処理を行った後に、モニタ等の画像表示手段に表示するか、あるいはレーザイメージャ等の画像出力手段を用いてX線画像のハードコピーを得る。このとき、拡大撮影された画像であれば、予め拡大倍率を入力しておくことにより、自動的に実寸サイズに戻して、モニタ上に表示あるいはハードコピーに出力することが好ましい態様である。輝尽性蛍光体を用いる放射線画像検出器に関しては、特願平2000−245721号で開示されている蛍光体、及び輝尽発光読取等の画像の可視化技術を本発明で使用することは好ましい態様である。
【0046】
上記▲3▼〜▲6▼で説明した放射線を電気信号に変換する読取装置については、“Handbook of MedicalImaging”Vol.1,第4章“Flat panel imagers for digital radiography”(ed.R.V.Matter 他、SPIE Press,Bellingham,2000)に開示されている技術を使用することは好ましい態様である。これらの場合、放射線画像検出器で得られたX線画像の電気信号を適切に処理し、モニタ上あるいはハードコピーに画像を描いて、画像診断等に供せられる。
【0047】
この▲1▼〜▲6▼を適用した放射線画像検出器を使用する場合においては、通常画像撮影モードでは、従来主に使用されている18cm×24cmや24cm×30cmの大きさの放射線画像検出器が使用される。一方、位相コントラスト画像撮影モードでは、拡大撮影であるので、大きなものを使用することが好ましい。具体的に放射線画像検出器の大きさは、25cm×32cm以上が好ましく、扱い易さを考慮すると35cm×43cm程度の大きさであることが好ましい。
【0048】
被写体台4及び第一検出器保持部11のそれぞれには、放射線の照射量を検出する放射線量検出部17、18(いわゆるフォトタイマ:図3参照)が放射線源2の照射野から退避可能に装填されている。この放射線量検出部17、18には、照射された放射線量に応じて瞬時に発光する蛍光体シートと、蛍光体シートから発せられる発光光を検出する光検出器を備える蛍光体シートタイプ及び放射線を検出する半導体検出器を備える半導体検出器タイプなどがある。蛍光体シートタイプの場合、放射線画像検出器の全範囲をカバーすることが望ましい。
【0049】
また、放射線画像検出器として上記した▲3▼〜▲6▼のようないわゆるフラットパネルディテクタであって、直接放射線エネルギを電気的に取り出すことのできる場合は、放射線画像検出器の下方に放射線量検出部を設けなくとも、放射線画像検出器自体を放射線量検出部として機能させることができる。
【0050】
そして、被写体台4及び第一検出器保持部11のそれぞれに設けられた放射線量検出部17、18は、制御部7に電気的に接続されており、この制御部7に照射量の情報を出力する。
ここで、制御部7について、図2を参照に説明する。図2は、制御部の主要構成を表すブロック図である。
【0051】
図2に示すように、制御部7の全動作を制御するCPU19には、システムバス20と画像バス21と入力インタフェイス22とが接続されている。システムバス20と画像バス21には撮影制御部23、切り換え部24、誤操作判断部25、メモリ26、ディスク制御部27、画像処理部28、フレームメモリ制御部29、そして出力インタフェイス30などが接続されている。システムバス20を利用しCPU19によって各部の動作が制御されるとともに、画像バス21を介して各部間での放射線画像情報の転送等が行われる。
【0052】
撮影制御部23では、各放射線画像検出器(第一放射線画像検出器8、第二放射線画像検出器12、第三放射線画像検出器15)の動作や読取ゲイン等を制御するための制御信号を生成して各放射線画像検出器に供給するとともに、各放射線画像検出器から放射線画像情報を読み出してフレームメモリ制御部29に供給する。撮影制御部23は、入力部35より入力された入力画素サイズA及び最小出力画素サイズBに基づいて、
【0053】
拡大率M=入力画素サイズA/最小出力画素サイズB (1)
となる拡大率Mを算出するようにしてもよい。
【0054】
ここで、入力画素サイズとは、放射線画像検出器により検出される放射線画像を構成させる最小の単位要素の大きさであり、放射線画像検出器を構成する光や電気信号を読取る半導体素子の大きさにより定まる。放射線画像検出器として輝尽性蛍光体プレートを用いる場合には、別途、輝尽性蛍光体プレートにレーザ光を走査して、輝尽性蛍光体プレートに蓄積、記録された放射線エネルギを輝尽発光させ、この輝尽発光光の強弱を電気信号として読取る必要があるが、このレーザ光の走査単位、あるいは、電気信号を読取る半導体素子の大きさにより、入力画素サイズが定まる。入力画素サイズは、高精度の画像を得るためには、30μm以上300μm以下であることが好ましく、特に乳房画像を撮影する場合には、30μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0055】
最小出力画素サイズとは、高精度の画像を得るためには、画像データを出力装置により記録媒体に記録する際に、画像を構成させる最小の単位要素の大きさである。最小出力画素サイズは、30μm以上100μm以下であることが好ましく、特に乳房画像を出力する場合には、30μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0056】
また、拡大率とは、被写体Hの大きさに対する放射線画像の大きさの割合であり、被写体Hと放射線画像検出器との間隔により定まる。拡大率は、位相コントラスト画像によるエッジ効果及び乳房画像撮影装置1の取扱い上の便宜を考慮すると、1.2以上3.0以下であることが好ましい。
【0057】
撮影制御部23は、算出した拡大率に基づいて、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び照射野調整器16との関係を演算するようになっている。
【0058】
拡大率と、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び照射野調整器16の関係について説明すると、式1における拡大率Mの画像を得るためには、被写体Hに放射線が照射される照射範囲に対して、放射線画像検出器に照射される照射範囲が、A/B倍となるように、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)及び放射線源2と被写体台4との間隔R1を設定する必要がある。同時に、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び照射野調整器16の関係において、放射線源2から被写体H全体に放射線が照射されるように照射野調整器16の絞り量を設定する必要がある。
【0059】
切り換え部24は、上述の「位相コントラスト画像撮影モード」と「通常画像撮影モード」の切り換えを行う切り換え手段である。切り換え指示は、入力部35から入力するようにしてもよい。切り換え部24には、照射野調整器16が接続されており、X線管の被写体台4上における照射野の広さを、18cm×24cm以上となるように、各モードで使用されるX線管の照射野を変動させる。
【0060】
フレームメモリ制御部29には、フレームメモリ31が接続されており、放射線画像検出器で生成された放射線画像情報がフレームメモリ31に記憶される。フレームメモリ31に記憶された放射線画像情報は読み出されてディスク制御部27に供給される。また、フレームメモリ31には、放射線画像検出器から供給された放射線画像情報を画像処理部28で処理してから記憶するものとしてもよい。
【0061】
フレームメモリ31からディスク制御部27に放射線画像情報を供給する際には、例えば連続して放射線画像情報が読み出されてディスク制御部27内のFIFOメモリに書き込まれ、その後順次ディスク装置32に記憶される。
【0062】
フレームメモリ31から読み出された放射線画像情報やディスク装置32から読み出された放射線画像情報は、出力インタフェイス30を介して画像出力手段としての画像出力装置33や画像表示手段としてのモニタ34に供給されて、可視画像としてユーザに提供される。
【0063】
誤操作判断部25には、放射線量検出部17、18が接続され、撮影モードに応じて使用する放射線量検出部17、18を決定し、切り換える。例えば、通常画像撮影モード、つまり第一放射線画像検出器8が用いられる場合には、第一検出器保持部11に設けられた放射線量検出部18が使用される。また、位相コントラスト画像撮影モード、つまり第二放射線画像検出器12若しくは第三放射線画像検出器15が用いられる場合には、被写体台4に設けられた放射線量検出部17が使用される。
【0064】
画像処理部28では、放射線画像検出器から撮影制御部23を介して供給された放射線画像情報の照射野認識処理、関心領域設定、正規化処理及び階調処理等を行う。また、周波数強調処理やダイナミックレンジ圧縮処理等を行うものとしてもよい。さらに画像処理部28では、反影の影響を防止するための処理や、位相コントラスト撮影が行われたときに、被写体の輪郭を判別し易くする等の処理を行う。また、画像処理部28は、算出された拡大率Mを入力し、この拡大率Mに対応する縮小率1/Mにより縮小した画像データを生成するようになっている。さらに、画像処理部28は、周波数強調処理やダイナミックレンジ圧縮処理等を行うようにしてもよい。画像処理部28は、このようにして生成した画像データを画像出力装置33に対して出力するようになっている。なお、画像処理部28をCPU19が兼ねる構成として、画像処理等を行うことも可能である。
【0065】
入力インタフェイス22には、放射線量検出部17、18または放射線画像検出器からの放射線強度情報、放射線画像検出器から画像電気信号、そして切り換え部24から撮影モード情報、その他読取装置の感度や放射戦管設定電圧値などの情報が入力される。また、入力インタフェイス22にはキーボード等の入力部35が接続される。この入力部35を操作することで、撮影によって得られた放射線画像情報を識別するための情報やX線画像の拡大率などの撮影に関する情報等の管理情報の入力が行われる。また、管理情報の入力は、キーボードを使用するだけでなく、磁気カード、バーコード、HIS(病院内情報システムネットワークによる情報管理)等を利用しても行われる。
【0066】
なお、フレームメモリ31には、放射線画像検出器から供給された放射線画像情報を記憶するものとしたが、供給された放射線画像情報を画像処理部28等で処理してから記憶するものとしてもよい。また、ディスク装置32には、フレームメモリ31に記憶されている放射線画像情報、すなわち放射線画像検出器から供給された放射線画像情報を画像処理部28で処理した放射線画像情報を管理情報等とともに保存することができる。
【0067】
SFシステムや輝尽性蛍光プレートを放射線画像検出器として使用する場合、制御部7は、放射線画像検出器や放射線量検出部17、18からの放射線強度情報と、撮影モード情報から、予めメモリ26に記憶させている焦点サイズ情報と制御プログラムなどを用いて撮影条件を算出し、X線源コントローラ36を通じて撮影制御を行うことになる。
【0068】
放射線画像検出器から放射線画像情報の電気信号が入力される場合、制御部7は、この電気信号情報、被写体台4や放射線画像検出器の位置判別情報、撮影モード情報や読取装置感度やX線管設定電圧から、予めメモリ26に記憶させている焦点サイズ情報と制御プログラムなどを用いて撮影条件が算出し、X線源コントローラ36を通じて撮影制御を行う。
【0069】
メモリ26には、放射線源2と被写体Hとの間隔R1、放射線量検出部17、18の検出条件(例えばゲインなど)、放射線源2の放射線照射量の関係を示した第一関係テーブル及び放射線量検出部17、18の検出照射量、放射線源2の放射線照射量の関係を示した第二関係テーブル等が記録されており、制御部7は、被写体台4の移動距離から間隔R1を認識し、この間隔R1及び第一関係テーブルを基に、放射線源2の放射線照射量及び放射線量検出部17、18のゲインを決定するようになっている。また、制御部7は、放射線量検出部17、18から入力された検出照射量及び第二関係テーブルを基に、撮影時の放射線照射量を決定するようになっている。
【0070】
また、制御部7は、入力部35から被写体被爆線量上限値が入力されると、放射線量検出部17、18から入力された照射量が被写体被爆線量上限値を超えると、放射線源2からの放射線の照射を停止するようになっている。
ここで放射線照射量を変更する方法としては、単位時間あたりの照射量を一定として、照射時間を変更する方法や、単位時間あたりの照射量を変更する方法が挙げられる。
【0071】
次に、本実施形態の乳房画像撮影装置1の撮影時の動作について説明する。
【0072】
先ず、被写体台4に患者の撮影部位(被写体H)が載せられると、被写体圧迫部9が下がって被写体Hを圧迫する。その後制御部7は、入力部から入力された撮影モードに応じて、使用する放射線量検出部17、18及び放射線源2の焦点サイズを決定する。具体的には、位相コントラスト画像撮影モードであれば、被写体台4に搭載される放射線量検出部17及び焦点サイズ100μmのX線管を使用し、通常画像撮影モードであれば、前記放射線量検出部17を被写体台4から離間させて、第一検出器保持部11に設けられた放射線量検出部18及び焦点サイズ300μmのX線管を使用する。
【0073】
そして、制御部7は選択されたモード及び倍率に適するように、使用する放射線画像検出器を決定し、使用しない放射線画像検出器は、放射線源2の照射野外に退避させる。
【0074】
具体的には、高倍率の位相コントラスト画像撮影モードの場合には、第二検出器保持部14を水平位置に配置して、第三放射線画像検出器15を放射線源2と対峙させる。この際、制御部7は、第一放射線画像検出器8をA位置に、第一検出器保持部11をB位置に移動させて、第一放射線画像検出器8及び第二放射線画像検出器12を放射線源2の照射野から退避させる。
【0075】
また、低倍率の位相コントラスト画像撮影モードの場合には、第一検出器保持部11を水平位置に配置して、第二放射線画像検出器12を放射線源2と対峙させる。この際、制御部7は、第一放射線画像検出器8をA位置に、第二検出器保持部14をB位置に移動させて、第一放射線画像検出器8及び第三放射線画像検出器15を放射線源2の照射野から退避させる。
【0076】
そして、通常画像撮影モードの場合には、作業者が、水平位置に配置された第一検出器保持部11から第二放射線画像検出器12を取り出してから、放射線量検出部18を放射線源2と対峙させるとともに、第一放射線画像検出器8を水平位置に配置して放射線源2と対峙させる。この際、制御部7は、第二検出器保持部14をB位置に移動させて、第一放射線画像検出器8及び第三放射線画像検出器15を放射線源2の照射野から退避させる。
【0077】
また、制御部7は、いずれのX線管においても被写体台4上の照射野が18cm×24cmとなるように照射野調整器16を制御する。
【0078】
このように、各部を撮影モードに応じてセットすると、制御部7は、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び被写体台4と、使用する放射線画像検出器との間隔R21、R22を認識し、これと関係テーブルとを基に放射線源2の放射線照射量及び放射線量検出部17、18の検出条件を決定し、放射線照射を開始する。これにより、放射線源2に対峙する放射線画像検出器には、被写体Hを透過して被写体情報を含んだ放射線が照射される。この際、撮影に使用されている放射線量検出部17、18は、被写体Hを透過して照射された放射線を基に照射量を検出して照射量管理を行う。
【0079】
以上のように、本実施形態の乳房画像撮影装置1によれば、焦点サイズが30μm以上250μm以下である小焦点のX線管、つまり位相コントラスト画像撮影モード用のX線管であっても、被写体台4上における照射野の広さが、大焦点のX線管、つまり通常画像撮影モード用のX線管のそれとほぼ同等以上となる18cm×24cm以上にできるので、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と、吸収コントラスト画像を同視野で撮影することができる。
また、放射線量検出部17が被写体H及び放射線画像検出器の間に配置されているので、位相コントラスト画像を得るために放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)を75cm以上に、また、被写体台4と放射線画像検出器との間隔R21、R22を15cm以上に設定した場合であっても、照射量管理に必要なだけの放射線量を確保できる位置に、放射線量検出部17を配置することができ、照射量管理の精度を向上させることができる。
【0080】
ここで従来の吸収コントラスト画像を撮影する条件、すなわち被写体台4と放射線画像検出器との間隔R21、R22が15cm未満の撮影条件で、放射線量検出部17を被写体H及び放射線画像検出器の間に配置すると、放射線量検出部17によって散乱した放射線が放射線画像検出器に照射されて画質が劣化してしまうが、本実施形態では、被写体台4と放射線画像検出器との間隔R21、R22が15cm以上にして、放射線量検出部17と放射線画像検出器との間隔を大きくすることができる。そして、放射線量検出部17と放射線画像検出器との間ではエアギャップ効果が生じて、散乱した放射線は除去されることになる。したがって、位相コントラスト画像を撮影する乳房画像撮影装置1であっても、画質を劣化させずに、照射量管理を精度良く行うことができる。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、ターゲット角度を所定の範囲に収めることで、小焦点のX線源であっても、抑えて被写体台4上における照射野を18cm×24cm以上として、その照射野内のX線強度ムラを抑える構成を例示したが、これに加えて、制御部7が放射線画像検出器の検出結果を基に、物理的に生じたX線強度ムラを感度補正する構成であってもよい。具体的には、予め、被写体台4に何も載せない状態で放射線を照射して一様露光画像を撮影する。この撮影時に得られた放射線画像検出器の検出結果には、X線強度ムラが含まれているので、これを基に補正用の変換テーブルを作成する。変換テーブルの作成方法としては、例えば、検出結果で最高値を示した部分を1とすると、最高値よりも小さい値を示した部分(例1:最高値の半分の値)は、0以上1未満の値(例1では0.5)となり、この値の逆数(例1では1/0.5=2)を各部分毎に求めることで、変換テーブルが作成される。そして、制御部7は、変換テーブルを基に、撮影時における放射線画像検出器の検出結果に対して、各部分に応じる逆数をかけて補正を行う。これにより、撮影時の放射線強度に偏り、ムラがあったとしても、感度補正され、出力される画像の画質を安定させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、第一放射線画像検出器8、第二放射線画像検出器12、第三放射線画像検出器15の3つの放射線画像検出器を所定位置に設置し、各撮影モードに応じて、撮影時に使用される放射線画像検出器が切り換えられる構成を例示したが、放射線画像検出器を照射方向に移動自在に設けることで、1つの放射線画像検出器であっても各撮影モードに応じた撮影が行える構成としてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、焦点サイズの異なる複数のX線管が切り換え可能に備わっていることで、通常画像撮影モードと位相コントラスト画像撮影モードとに応じてX線管を切り換える構成を例示したが、これ以外にも、X線管が1つであっても、ターゲット角度が変動自在となるターゲットを備えたり、ターゲット角度の異なる複数のターゲットを備えたりすることで、通常画像撮影モードと位相コントラスト画像撮影モードとに応じる照射野を確保するようにしてもよい。ここで、複数のターゲットを備える場合には、通常画像撮影モードの照射野を確保できるターゲット角度の通常撮影用ターゲットと、位相コントラスト画像撮影モードの照射野を確保できるターゲット角度の位相撮影用ターゲットとを切り換え可能に設ける。なお、ターゲット角度の切り換えは、切り換え部24若しくは入力部35の指示に基づいて行われる。
【0084】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と、吸収コントラスト画像を同視野で撮影することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0085】
請求項3記載の発明によれば、被写体と放射線源とを位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。これにより、位相コントラスト画像を撮影する際においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影することが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、放射線源と被写体台との間隔を60cm以上70cm以下とすることで、被写体と放射線源とを、より位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。
請求項5記載の発明によれば、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.6以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、画質を安定化させることができる。
請求項6記載の発明によれば、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.8以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、より画質を安定化させることができる。
【0086】
請求項7記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性がよく、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
請求項8記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性が良く、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
請求項9記載の発明によれば、放射線画像検出器として、輝尽性蛍光体プレート若しくはフラットパネルディテクタを用いた乳房画像撮影装置であっても、請求項7又は8記載に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項10記載の発明によれば、撮影時の放射線強度に偏り、ムラがあったとしても、感度補正されることにより出力される画像の画質を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された実施の形態の乳房画像撮影装置の主要部構成を示した説明図である。
【図2】図1の乳房画像撮影装置に備わる放射線源のターゲットを表す説明図である。
【図3】図1の乳房画像撮影装置に備わる制御部の主要構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 乳房画像撮影装置
2 放射線源
4 被写体台
7 制御部
8 第一放射線画像検出器(放射線画像検出器)
11 第一検出器保持部(検出器保持部)
12 第二放射線画像検出器(放射線画像検出器)
14 第二検出器保持部(検出器保持部)
15 第三放射線画像検出器(放射線画像検出器)
H 被写体
R1、R21、R22 間隔
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳房画像撮影装置に係り、特に、位相コントラスト画像を撮影することが可能な乳房画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の乳房画像撮影装置は、放射線源に対峙した被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線画像検出器で検出して放射線画像情報を取得するようになっている。この乳房画像撮影装置には、焦点サイズが250μmよりも大きい大焦点の放射線源と、焦点サイズが250μm以下の小焦点の放射線源とが切換自在に設けられており、大焦点の放射線源を用いた場合には、被写体を等倍に撮影でき、小焦点の放射線源を用いた場合には、被写体を拡大して撮影できるようになっている。
【0003】
近年、位相コントラスト画像を撮影する乳房画像撮影装置が提案されている。位相コントラスト画像とは、屈折コントラスト画像とも呼ばれるもので、以前はSPring−8など放射光X線源から得る単色の平行X線による撮影や、10μm程度の焦点サイズをもつマイクロ焦点X線源による撮影によって得られるものと言われていたが、医療用のX線源でも得ることが可能であることが分かってきた(特開2001−91479号公報参照)。位相コントラスト画像は、通常の吸収コントラストのみの画像に比べ、鮮鋭性が良く、高精細なX線画像を得ることが可能である。
上記公報記載の乳房画像撮影装置は放射線源と放射線画像検出器との間隔が、従来の乳房画像撮影装置のそれよりも広く設定することが可能であり、また、被写体台と放射線検出器との間隔も広く設定することが可能であるので、これにより位相コントラスト画像を撮影することが可能になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−238871号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記した位相コントラスト画像を撮影する場合には、被写体と放射線画像検出器との間隔が広いために、大焦点の放射線源を用いると、幾何学的不鋭による鮮鋭性の低下を招いてしまい、小焦点の放射線源を用いなければ明瞭な画像を得ることができない。従来、乳房画像撮影装置にあっては、小焦点の放射線源は拡大画像を得る場合にのみ使用されていたために、被写体の拡大部分、つまり被写体の一部分のみに放射線を照射すればよく、その被写体における照射野は、吸収コントラスト画像を撮影する場合よりも小さかった。このため、位相コントラスト画像の撮影領域は吸収コントラスト画像の撮影領域よりも小さくなり、従来の乳房画像撮影装置では、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影できなかった。
【0006】
本発明の課題は、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保して、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影することのできる乳房画像撮影装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の乳房画像撮影装置は、
放射線源と、
前記放射線源に対峙するように被写体を支持する被写体台とを備え、
前記放射線源の焦点サイズが30μm以上250μm以下であり、
前記被写体台上における照射野の広さが18cm×24cm以上であることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、焦点サイズが30μm以上250μm以下である小焦点の放射線源であっても、被写体台上における照射野の広さが、大焦点の放射線源のそれとほぼ同等以上となる18cm×24cm以上であるので、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源の焦点サイズが、50μm以上200μm以下であることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源と前記被写体台との間隔が50cm以上80cm以下であることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、放射線源と被写体台との間隔を50cm以上80cm以下とすることで、被写体と放射線源とを位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。これにより、位相コントラスト画像を撮影する際においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影することが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源と前記被写体台との間隔が60cm以上70cm以下であることを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、放射線源と被写体台との間隔を60cm以上70cm以下とすることで、被写体と放射線源とを、より位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源のターゲット角度が12度以上20度以下であることを特徴としている。
【0016】
通常、放射線源には、電子線がぶつかることにより一定の面積から放射線を発生するターゲットが備わっている。ここで、電子線がターゲットに衝突して放射線が発生する場所の大きさに対して被写体側から見た実効的な大きさのことを焦点サイズという。このターゲットが放射線を発生した後に、一部の放射線はターゲット物質に吸収されてしまって、陽極(アノード)側に比べて陰極(カソード)側の方が、放射線強度が高まってしまう。このように、放射線強度が偏ると、照射野内で放射線強度ムラを生じさせてしまい、画質の低下を招いてしまう。焦点サイズを上記した範囲内に収めようとすると、必然的にターゲット角度を小さくしなければならないが、ターゲット角度が小さすぎると放射線強度の偏りが高まってしまい、照射野内での放射線強度ムラがひどくなる。しかしながら、請求項5記載の発明によれば、ターゲット角度が12度以上20度以下であるので、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.6以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、画質を安定化させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源のターゲット角度が14度以上18度以下であることを特徴としている。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、ターゲット角度が14度以上18度以下であるので、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.8以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、より画質を安定化させることができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記被写体台を介して前記放射線源に対峙し、前記被写体を透過した放射線源を検出する放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器を保持する検出器保持部とを備え、
前記検出器保持部は、前記放射線源と前記放射線画像検出器との間隔が75cm以上、前記被写体台と前記放射線画像検出器との間隔が15cm以上となるように、配置されることを特徴としている。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性がよく、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の乳房画像撮影装置において、
前記検出器保持部は、前記放射線源と前記放射線画像検出器との間隔が100cm以上、前記被写体台と前記放射線画像検出器との間隔が30cm以上となるように、配置されることを特徴としている。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性がよく、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線画像検出器が、輝尽性蛍光体プレート若しくはフラットパネルディテクタであることを特徴としている。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、放射線画像検出器として、輝尽性蛍光体プレート若しくはフラットパネルディテクタを用いた乳房画像撮影装置であっても、請求項7又は8記載に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項7〜9のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源、前記放射線画像検出器を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記放射線画像検出器の検出結果に対して、感度補正を行うことを特徴としている。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、制御部が、放射線画像検出器の検出結果に対して感度補正を行うので、撮影時の放射線強度に偏り、ムラがあったとしても、感度補正されることにより出力される画像の画質を安定させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。なお、以下の説明において、「X線」と「放射線」は同義に扱う。
【0028】
図1は、本発明が適用された実施形態の乳房画像撮影装置の主要部構成を示した説明図である。この乳房画像撮影装置1は、マンモグラフィ用の放射線画像撮影装置である。乳房画像撮影装置1には、放射線源2を支持する本体部3が設けられている。この本体部3には、放射線源2の照射方向に移動自在で被写体Hを支持する被写体台4と、本体部3に対して鉛直に垂下する支持軸5と、電源部6、制御部7(図3参照)とが設けられている。
【0029】
被写体台4の下部には、通常画像撮影モードの際に用いられる第一放射線画像検出器(放射線画像検出器)8が、制御部7の制御に基づいて、被写体台4の基端側を中心に水平位置からA位置まで回動するように設けられている。この第一放射線画像検出器8が水平位置にある場合には、被写体台4の上面、つまり被写体Hと第一放射線画像検出器8との間隔が、ほぼ0となる。
【0030】
また、被写体台4の上方には、被写体台4により支持された被写体Hを圧迫する被写体圧迫部9が、本体部3に上下動可能に支持されている。なお、放射線量検出部を被写体圧迫部9に設けることも可能である。
被写体台4の下方には、支持軸5に支持され、制御部7の制御に基づいて、第一回転軸10を中心に水平位置からB位置まで回動する第一検出器保持部(検出器保持部)11が設けられている。この第一検出器保持部11には第二放射線画像検出器(放射線画像検出器)12が着脱可能に搭載されており、第一検出器保持部11は、第二放射線画像検出器12の有無を制御部7に出力する。この第二放射線画像検出器12が水平位置にある場合には、放射線源2と第二放射線画像検出器12との間隔が75cm以上となる位置に設定されている。この条件を満たしたうえに、第二放射線画像検出器12の水平位置における、被写体台4の上面と第二放射線画像検出器12との間隔R21は30cm≦R21≦80cmの範囲に収まっていることが好ましい。
【0031】
第一検出器保持部11の下方には、支持軸5に支持され、第二回転軸13を中心に水平位置からC位置まで回動する第二検出器保持部(検出器保持部)14が設けられている。この第二検出器保持部14は水平位置においては伸長状態であって、C位置に移動する前にスライドして収縮するようになっている。
また、第二検出器保持部14には、第三放射線画像検出器(放射線画像検出器)15が水平位置にある場合に着脱可能に載置されており、第二検出器保持部14は、第三放射線画像検出器15の有無を制御部7に出力する。この第三放射線画像検出器15が第二検出器保持部14に載置されると、被写体台4の上面と第三放射線画像検出器15の間隔R22が、上記間隔R21よりも大きく設定されていなければならない。この条件を満たしたうえに、第三放射線画像検出器15が水平位置にある場合には、装置の大型化を防ぐために、少なくとも放射線源2と第三放射線画像検出器15との間隔が150cm以下となる位置に設定されていることが好ましい。
【0032】
放射線源2としては、放射線の波長が0.1〜1Å前後のX線を放射するX線管を用いる。このX線管は熱励起によって生ずる電子を高電圧で加速して陰極に衝突させて、その運動エネルギを放射エネルギに変換することによってX線が放射されるものである。X線画像を撮影するとき、この加速電圧を管電圧として、また電子の発生量を管電流として、そして、X線放射時間を露光時間として設定する。電子が衝突する陽極(対陰極)は銅、モリブデン、ロジウム、タングステンなど、その種類を変えることで、放射されるX線エネルギスペクトルを変えることができる。銅、モリブデン、ロジウムなどを陽極として用いる場合、X線のエネルギ分布の狭い比較的エネルギの低い線スペクトルが得られ、その特性を利用してX線回折結晶分析や微細な構造を判読する乳房撮影に用いられる。タングステンを陽極として用いる場合は広いスペクトルの比較的高いエネルギのX線で、人体の胸部や腹部、頭部、そして工業一般の非破壊検査に用いられる。医療用あるいは工業用では照射するX線量が多いことが特徴である。すなわち回転陽極を用いることが一般的である。本実施の形態の撮影装置は、医療用を目的として用いる装置であるので、モリブデン、ロジウム、タングステンの回転陽極をもつX線管が好ましく、乳房撮影を目的として用いる装置であればモリブデン又はロジウムであることが望ましい。
【0033】
X線管には、図2に示すように、X線管内部の陰極で発生した電子線がぶつかることにより、放射線を発生するターゲットTが備わっている。ターゲットTに電子線が衝突した大きさを実焦点と呼び、被写体H側から見た実質的な大きさを実効焦点と呼ぶ。ここでは実効焦点のサイズを焦点サイズとする。一般に実効焦点の形状は正方形であり、その1辺の長さが焦点サイズである。焦点の形状が円である場合はその直径を、長方形である場合はその短辺をさすことが多い。焦点形状が長方形である場合の実焦点及び実効焦点の焦点サイズの関係は、実焦点の大きさ(幅:Fa、長さ:Fb)、実効焦点の大きさ(幅:FA、長さ:FB)、ターゲット角度αとすると、FA=Fa、FB=Fbsinαとなる。
【0034】
第一放射線画像検出器8を用いてX線撮影を行うと、被写体Hと第一放射線画像検出器8との間隔は、ほぼ0となって、吸収コントラストのみの画像が得られる。本実施形態ではこれを「通常画像撮影モード」と呼ぶ。
【0035】
一方、第二放射線画像検出器12若しくは第三放射線画像検出器15を用いてX線撮影を行うと、第一放射線画像検出器8を用いた場合よりも、被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22は広いため、X線の屈折に起因するエッジ強調(=位相コントラスト強調)画像を得ることができる。X線が物体を通過するときに屈折して物体の境界内側のX線密度が疎になり、さらに被写体Hの外側は被写体Hを通過しないX線と重なることからX線密度が上昇する。このようにして被写体Hの境界部分であるエッジが画像として強調される。これは被写体Hと空気とのX線に対する屈折率の差から生じる現象と考えられる。エッジ強調画像(位相コントラスト画像)を得るには被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22を所定値以上にすることが必要であり、本発明ではこの撮影モードを「位相コントラスト画像撮影モード」と呼ぶ。
【0036】
しかしながら、位相コントラスト画像撮影モードでは、X線の焦点サイズが大きいと放射されるX線量が多くなり、いわゆる半影が生じる。半影とは、焦点サイズの大きさに起因して被写体H上の1点が、放射線読取部上で大きさを持った像として検出される現象であり、いわゆるボケのことである。したがって、X線源が、単色の平行X線を出射するシンクロトロンや、点焦点と見なせるマイクロ焦点X線源と異なり、通常の医療用のX線源では、有限な大きさの焦点サイズを有するが故に、この半影の影響が問題となる。
【0037】
そして、上述したように被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22が大きいと半影によるボケ幅が増加することがわかる。こうしたことから一定以上のX線量を得るために焦点サイズの下限値が決まり、そして屈折コントラストを半影のボケをしのいで実現して高鮮鋭な画像を得るために被写体Hと放射線画像検出器との間隔R21、R22、放射線源2から被写体Hとの間隔R1などから、焦点サイズの上限が決まる。焦点サイズが小さすぎると十分な強度の放射線が得られず、撮影時間が長くなり被写体Hの動きによるボケによって鮮鋭性が低下してしまう。一方、焦点サイズが大きすぎると位相コントラストによるエッジ強調より半影によるボケが支配的になり鮮鋭性が低下してしまう。したがって通常の医療施設で位相コントラスト撮影を行うには、焦点サイズは30μm以上で250μm以下であることが必要であり、好ましくは50μm以上200μm以下である。
【0038】
本実施形態では、放射線源2として、焦点サイズ300μmのX線管及び焦点サイズ100μmのX線管が切換可能に備えられており、通常画像撮影モードでは焦点サイズ300μmのX線管が、位相コントラスト画像撮影モードでは焦点サイズ100μmのX線管が使用されるようになっている。
【0039】
そして、放射線源2と被写体台4との間には、通常画像撮影モード用のX線管及び位相コントラスト画像撮影モード用のX線管の両者においても、被写体台4上における照射野の広さが18cm×24cm以上となるように、X線の照射野を変動させる照射野調整器16(図3参照)が設けられている。この照射野調整器16には、例えばX線の絞りを変動させることで、被写体台4上の照射野の広さを18cm×24cm以上とするものや、所定の範囲以外にはX線が照射されないようにして、被写体台4上の照射野の広さを18cm×24cm以上にするX線制限器を用いたものが挙げられる。
【0040】
ここで、焦点サイズを決定する要因の1つとして、ターゲットTのターゲット角度が挙げられるが、焦点サイズを位相コントラスト画像撮影モードで適用可能な範囲に収めようとすると、通常画像撮影モード用のX線管よりも必然的にターゲット角度を小さくしなければならない。しかしながら、小さくしすぎるとターゲットTがX線を発生した後に、X線がターゲット物質に吸収されてしまい、陽極(アノード)側に比べて陰極(カソード)側の方が、X線強度が高まって、照射野内でX線強度ムラを生じさせてしまう。照射野内でのX線強度ムラは50%以内でなければ、診断に耐えうる画質を得ることが難しい。すなわち、照射野調整器16で、被写体台4上における照射野の広さを18cm×24cm以上とすると、通常画像撮影モード用のX線管では、診断に耐えうる画質で撮影することができるものの、位相コントラスト画像撮影モード用のX線管では画質が不安定になってしまう。このため、位相コントラスト画像撮影モード用のX線管であっても、被写体台4上の照射野内での放射線強度ムラを抑えるために、ターゲット角度を12度以上20度以下にすると、胸壁部分のX線強度を1とした場合に、最もX線強度が低くなる乳頭側でも0.6以上のX線強度となって、X線強度ムラを40%以内に収めることができる。さらに、ターゲット角度を14度以上18度以下にすると、乳頭側でも0.8以上のX線強度となって、X線強度ムラを20%以内に収めることができる。これにより、位相コントラスト画像撮影モードであってもX線強度の偏りを抑えて、画質を安定化させることができる。
【0041】
また、位相コントラスト画像撮影モードにおける、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)は少なくとも75cm以上でなければならない。そして、放射線源2と被写体台4との間隔R1は、少なくとも50cm≦R1≦80cm、好ましくは60cm≦R1≦70cmであるので、位相コントラスト画像撮影モードで撮影する場合には、被写体台4を昇降させて間隔R1を上記範囲内に収める。なお、間隔R1が上記範囲以外となるように、被写体台4を昇降させれば、従来の小焦点のX線管による拡大撮影を行うことが可能である。
【0042】
間隔R21、R22が大きい方が位相コントラストによるエッジ効果が大きくなるが、間隔R1に対して間隔R21、R22が大きくなりすぎると半影のボケの影響で鮮鋭性が低下する。したがって、間隔R1及び間隔R21、R22がともに長いことが画質向上の面からは望まれる。しかし、実際に乳房画像撮影装置を撮影室で使用する場合には、装置を回転して使用する場合があることや撮影室の大きさから、それほど大きなものになると、使用勝手が悪くなるという問題点がある。そのため、画質面と使いやすさという面から上記の間隔R1や間隔R21、R22の望ましい大きさが決められる。
【0043】
放射線画像検出器は、▲1▼X線蛍光増感紙とハロゲン化銀写真フィルムとを組み合わせた組体、▲2▼輝尽性蛍光体プレート、▲3▼X線エネルギを光に変換するシンチレータとその光を読み取る光半導体素子を2次元に配列した放射線画像検出器、▲4▼X線エネルギを直接に電気信号に変換する光導電体とその電気信号を読み取る半導体素子を2次元に配列した放射線画像検出器、▲5▼X線を光に変換するシンチレータとその光をCCDやCMOSなどに集光するためのレンズとを組み合わせたものを2次元に配列した放射線画像検出器、あるいは▲6▼X線を光に変換するシンチレータとその光を光ファイバでCCDやCMOSに導いて電気信号に置き換える放射線画像検出器を使うことができる。
【0044】
放射線画像検出器を▲1▼のようにX線蛍光増感紙とハロゲン化銀写真フィルムとの組体としたものは、SFシステム(スクリーンフィルムシステム)とも呼ばれる。X線蛍光増感紙はタングステン酸カルシウムやガドリニウムオキシサルファイドなどの希土類蛍光体を有するもので、X線エネルギを青色あるいは緑色発光に置き換えるものである。特に希土類蛍光体を用いた増感紙については特開平6−67365号公報で開示されている技術を使用しても構わない。またハロゲン化銀写真フィルムは、支持体の片面のみに感光性乳剤が塗布されたものや支持体の両面に感光性乳剤が塗布されたものなどを使用することが好ましい。特に両面フィルムの場合、フィルム支持体を挟んだそれぞれの乳剤層の写真特性が異なる写真感光材料を使用することは好ましい態様である。また両面フィルムのそれぞれの乳剤面の間にクロスーオーバー光を吸収する層を有する写真フィルムを使用することは好ましい。本発明で使用する片面そして両面フィルムのサイズは六つ切りサイズから半切サイズまで、あらゆるサイズのフィルムを用いることができる。これらハロゲン化銀写真感光材料は、特開平6−67365号公報や、例えば“改訂 写真工学の基礎 −銀塩写真編―”(日本写真学会編コロナ社1998年)に概説されている。また写真フィルムの現像処理については、現像処理温度を上げることやその処理時間を延ばすことで平均階調を上げることができるが、自動現像処理を行うときには原則的にはフィルムメーカー指定の現像処理条件で処理することが好ましい。
【0045】
上記▲2▼で言う輝尽性蛍光体とは、照射後に可視光を照射することにより、既に照射したX線強度に対応する可視光発光が誘起されるものである。すなわちX線照射後にこの蛍光体をレーザ読取装置に移して輝尽発光を読み取り、読み取った発光を光電子倍増管で電気信号に置き換えて、X線画像の電気信号を得るものである。この電気信号は適切な画像処理を行った後に、モニタ等の画像表示手段に表示するか、あるいはレーザイメージャ等の画像出力手段を用いてX線画像のハードコピーを得る。このとき、拡大撮影された画像であれば、予め拡大倍率を入力しておくことにより、自動的に実寸サイズに戻して、モニタ上に表示あるいはハードコピーに出力することが好ましい態様である。輝尽性蛍光体を用いる放射線画像検出器に関しては、特願平2000−245721号で開示されている蛍光体、及び輝尽発光読取等の画像の可視化技術を本発明で使用することは好ましい態様である。
【0046】
上記▲3▼〜▲6▼で説明した放射線を電気信号に変換する読取装置については、“Handbook of MedicalImaging”Vol.1,第4章“Flat panel imagers for digital radiography”(ed.R.V.Matter 他、SPIE Press,Bellingham,2000)に開示されている技術を使用することは好ましい態様である。これらの場合、放射線画像検出器で得られたX線画像の電気信号を適切に処理し、モニタ上あるいはハードコピーに画像を描いて、画像診断等に供せられる。
【0047】
この▲1▼〜▲6▼を適用した放射線画像検出器を使用する場合においては、通常画像撮影モードでは、従来主に使用されている18cm×24cmや24cm×30cmの大きさの放射線画像検出器が使用される。一方、位相コントラスト画像撮影モードでは、拡大撮影であるので、大きなものを使用することが好ましい。具体的に放射線画像検出器の大きさは、25cm×32cm以上が好ましく、扱い易さを考慮すると35cm×43cm程度の大きさであることが好ましい。
【0048】
被写体台4及び第一検出器保持部11のそれぞれには、放射線の照射量を検出する放射線量検出部17、18(いわゆるフォトタイマ:図3参照)が放射線源2の照射野から退避可能に装填されている。この放射線量検出部17、18には、照射された放射線量に応じて瞬時に発光する蛍光体シートと、蛍光体シートから発せられる発光光を検出する光検出器を備える蛍光体シートタイプ及び放射線を検出する半導体検出器を備える半導体検出器タイプなどがある。蛍光体シートタイプの場合、放射線画像検出器の全範囲をカバーすることが望ましい。
【0049】
また、放射線画像検出器として上記した▲3▼〜▲6▼のようないわゆるフラットパネルディテクタであって、直接放射線エネルギを電気的に取り出すことのできる場合は、放射線画像検出器の下方に放射線量検出部を設けなくとも、放射線画像検出器自体を放射線量検出部として機能させることができる。
【0050】
そして、被写体台4及び第一検出器保持部11のそれぞれに設けられた放射線量検出部17、18は、制御部7に電気的に接続されており、この制御部7に照射量の情報を出力する。
ここで、制御部7について、図2を参照に説明する。図2は、制御部の主要構成を表すブロック図である。
【0051】
図2に示すように、制御部7の全動作を制御するCPU19には、システムバス20と画像バス21と入力インタフェイス22とが接続されている。システムバス20と画像バス21には撮影制御部23、切り換え部24、誤操作判断部25、メモリ26、ディスク制御部27、画像処理部28、フレームメモリ制御部29、そして出力インタフェイス30などが接続されている。システムバス20を利用しCPU19によって各部の動作が制御されるとともに、画像バス21を介して各部間での放射線画像情報の転送等が行われる。
【0052】
撮影制御部23では、各放射線画像検出器(第一放射線画像検出器8、第二放射線画像検出器12、第三放射線画像検出器15)の動作や読取ゲイン等を制御するための制御信号を生成して各放射線画像検出器に供給するとともに、各放射線画像検出器から放射線画像情報を読み出してフレームメモリ制御部29に供給する。撮影制御部23は、入力部35より入力された入力画素サイズA及び最小出力画素サイズBに基づいて、
【0053】
拡大率M=入力画素サイズA/最小出力画素サイズB (1)
となる拡大率Mを算出するようにしてもよい。
【0054】
ここで、入力画素サイズとは、放射線画像検出器により検出される放射線画像を構成させる最小の単位要素の大きさであり、放射線画像検出器を構成する光や電気信号を読取る半導体素子の大きさにより定まる。放射線画像検出器として輝尽性蛍光体プレートを用いる場合には、別途、輝尽性蛍光体プレートにレーザ光を走査して、輝尽性蛍光体プレートに蓄積、記録された放射線エネルギを輝尽発光させ、この輝尽発光光の強弱を電気信号として読取る必要があるが、このレーザ光の走査単位、あるいは、電気信号を読取る半導体素子の大きさにより、入力画素サイズが定まる。入力画素サイズは、高精度の画像を得るためには、30μm以上300μm以下であることが好ましく、特に乳房画像を撮影する場合には、30μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0055】
最小出力画素サイズとは、高精度の画像を得るためには、画像データを出力装置により記録媒体に記録する際に、画像を構成させる最小の単位要素の大きさである。最小出力画素サイズは、30μm以上100μm以下であることが好ましく、特に乳房画像を出力する場合には、30μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0056】
また、拡大率とは、被写体Hの大きさに対する放射線画像の大きさの割合であり、被写体Hと放射線画像検出器との間隔により定まる。拡大率は、位相コントラスト画像によるエッジ効果及び乳房画像撮影装置1の取扱い上の便宜を考慮すると、1.2以上3.0以下であることが好ましい。
【0057】
撮影制御部23は、算出した拡大率に基づいて、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び照射野調整器16との関係を演算するようになっている。
【0058】
拡大率と、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び照射野調整器16の関係について説明すると、式1における拡大率Mの画像を得るためには、被写体Hに放射線が照射される照射範囲に対して、放射線画像検出器に照射される照射範囲が、A/B倍となるように、放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)及び放射線源2と被写体台4との間隔R1を設定する必要がある。同時に、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び照射野調整器16の関係において、放射線源2から被写体H全体に放射線が照射されるように照射野調整器16の絞り量を設定する必要がある。
【0059】
切り換え部24は、上述の「位相コントラスト画像撮影モード」と「通常画像撮影モード」の切り換えを行う切り換え手段である。切り換え指示は、入力部35から入力するようにしてもよい。切り換え部24には、照射野調整器16が接続されており、X線管の被写体台4上における照射野の広さを、18cm×24cm以上となるように、各モードで使用されるX線管の照射野を変動させる。
【0060】
フレームメモリ制御部29には、フレームメモリ31が接続されており、放射線画像検出器で生成された放射線画像情報がフレームメモリ31に記憶される。フレームメモリ31に記憶された放射線画像情報は読み出されてディスク制御部27に供給される。また、フレームメモリ31には、放射線画像検出器から供給された放射線画像情報を画像処理部28で処理してから記憶するものとしてもよい。
【0061】
フレームメモリ31からディスク制御部27に放射線画像情報を供給する際には、例えば連続して放射線画像情報が読み出されてディスク制御部27内のFIFOメモリに書き込まれ、その後順次ディスク装置32に記憶される。
【0062】
フレームメモリ31から読み出された放射線画像情報やディスク装置32から読み出された放射線画像情報は、出力インタフェイス30を介して画像出力手段としての画像出力装置33や画像表示手段としてのモニタ34に供給されて、可視画像としてユーザに提供される。
【0063】
誤操作判断部25には、放射線量検出部17、18が接続され、撮影モードに応じて使用する放射線量検出部17、18を決定し、切り換える。例えば、通常画像撮影モード、つまり第一放射線画像検出器8が用いられる場合には、第一検出器保持部11に設けられた放射線量検出部18が使用される。また、位相コントラスト画像撮影モード、つまり第二放射線画像検出器12若しくは第三放射線画像検出器15が用いられる場合には、被写体台4に設けられた放射線量検出部17が使用される。
【0064】
画像処理部28では、放射線画像検出器から撮影制御部23を介して供給された放射線画像情報の照射野認識処理、関心領域設定、正規化処理及び階調処理等を行う。また、周波数強調処理やダイナミックレンジ圧縮処理等を行うものとしてもよい。さらに画像処理部28では、反影の影響を防止するための処理や、位相コントラスト撮影が行われたときに、被写体の輪郭を判別し易くする等の処理を行う。また、画像処理部28は、算出された拡大率Mを入力し、この拡大率Mに対応する縮小率1/Mにより縮小した画像データを生成するようになっている。さらに、画像処理部28は、周波数強調処理やダイナミックレンジ圧縮処理等を行うようにしてもよい。画像処理部28は、このようにして生成した画像データを画像出力装置33に対して出力するようになっている。なお、画像処理部28をCPU19が兼ねる構成として、画像処理等を行うことも可能である。
【0065】
入力インタフェイス22には、放射線量検出部17、18または放射線画像検出器からの放射線強度情報、放射線画像検出器から画像電気信号、そして切り換え部24から撮影モード情報、その他読取装置の感度や放射戦管設定電圧値などの情報が入力される。また、入力インタフェイス22にはキーボード等の入力部35が接続される。この入力部35を操作することで、撮影によって得られた放射線画像情報を識別するための情報やX線画像の拡大率などの撮影に関する情報等の管理情報の入力が行われる。また、管理情報の入力は、キーボードを使用するだけでなく、磁気カード、バーコード、HIS(病院内情報システムネットワークによる情報管理)等を利用しても行われる。
【0066】
なお、フレームメモリ31には、放射線画像検出器から供給された放射線画像情報を記憶するものとしたが、供給された放射線画像情報を画像処理部28等で処理してから記憶するものとしてもよい。また、ディスク装置32には、フレームメモリ31に記憶されている放射線画像情報、すなわち放射線画像検出器から供給された放射線画像情報を画像処理部28で処理した放射線画像情報を管理情報等とともに保存することができる。
【0067】
SFシステムや輝尽性蛍光プレートを放射線画像検出器として使用する場合、制御部7は、放射線画像検出器や放射線量検出部17、18からの放射線強度情報と、撮影モード情報から、予めメモリ26に記憶させている焦点サイズ情報と制御プログラムなどを用いて撮影条件を算出し、X線源コントローラ36を通じて撮影制御を行うことになる。
【0068】
放射線画像検出器から放射線画像情報の電気信号が入力される場合、制御部7は、この電気信号情報、被写体台4や放射線画像検出器の位置判別情報、撮影モード情報や読取装置感度やX線管設定電圧から、予めメモリ26に記憶させている焦点サイズ情報と制御プログラムなどを用いて撮影条件が算出し、X線源コントローラ36を通じて撮影制御を行う。
【0069】
メモリ26には、放射線源2と被写体Hとの間隔R1、放射線量検出部17、18の検出条件(例えばゲインなど)、放射線源2の放射線照射量の関係を示した第一関係テーブル及び放射線量検出部17、18の検出照射量、放射線源2の放射線照射量の関係を示した第二関係テーブル等が記録されており、制御部7は、被写体台4の移動距離から間隔R1を認識し、この間隔R1及び第一関係テーブルを基に、放射線源2の放射線照射量及び放射線量検出部17、18のゲインを決定するようになっている。また、制御部7は、放射線量検出部17、18から入力された検出照射量及び第二関係テーブルを基に、撮影時の放射線照射量を決定するようになっている。
【0070】
また、制御部7は、入力部35から被写体被爆線量上限値が入力されると、放射線量検出部17、18から入力された照射量が被写体被爆線量上限値を超えると、放射線源2からの放射線の照射を停止するようになっている。
ここで放射線照射量を変更する方法としては、単位時間あたりの照射量を一定として、照射時間を変更する方法や、単位時間あたりの照射量を変更する方法が挙げられる。
【0071】
次に、本実施形態の乳房画像撮影装置1の撮影時の動作について説明する。
【0072】
先ず、被写体台4に患者の撮影部位(被写体H)が載せられると、被写体圧迫部9が下がって被写体Hを圧迫する。その後制御部7は、入力部から入力された撮影モードに応じて、使用する放射線量検出部17、18及び放射線源2の焦点サイズを決定する。具体的には、位相コントラスト画像撮影モードであれば、被写体台4に搭載される放射線量検出部17及び焦点サイズ100μmのX線管を使用し、通常画像撮影モードであれば、前記放射線量検出部17を被写体台4から離間させて、第一検出器保持部11に設けられた放射線量検出部18及び焦点サイズ300μmのX線管を使用する。
【0073】
そして、制御部7は選択されたモード及び倍率に適するように、使用する放射線画像検出器を決定し、使用しない放射線画像検出器は、放射線源2の照射野外に退避させる。
【0074】
具体的には、高倍率の位相コントラスト画像撮影モードの場合には、第二検出器保持部14を水平位置に配置して、第三放射線画像検出器15を放射線源2と対峙させる。この際、制御部7は、第一放射線画像検出器8をA位置に、第一検出器保持部11をB位置に移動させて、第一放射線画像検出器8及び第二放射線画像検出器12を放射線源2の照射野から退避させる。
【0075】
また、低倍率の位相コントラスト画像撮影モードの場合には、第一検出器保持部11を水平位置に配置して、第二放射線画像検出器12を放射線源2と対峙させる。この際、制御部7は、第一放射線画像検出器8をA位置に、第二検出器保持部14をB位置に移動させて、第一放射線画像検出器8及び第三放射線画像検出器15を放射線源2の照射野から退避させる。
【0076】
そして、通常画像撮影モードの場合には、作業者が、水平位置に配置された第一検出器保持部11から第二放射線画像検出器12を取り出してから、放射線量検出部18を放射線源2と対峙させるとともに、第一放射線画像検出器8を水平位置に配置して放射線源2と対峙させる。この際、制御部7は、第二検出器保持部14をB位置に移動させて、第一放射線画像検出器8及び第三放射線画像検出器15を放射線源2の照射野から退避させる。
【0077】
また、制御部7は、いずれのX線管においても被写体台4上の照射野が18cm×24cmとなるように照射野調整器16を制御する。
【0078】
このように、各部を撮影モードに応じてセットすると、制御部7は、放射線源2と被写体台4との間隔R1及び被写体台4と、使用する放射線画像検出器との間隔R21、R22を認識し、これと関係テーブルとを基に放射線源2の放射線照射量及び放射線量検出部17、18の検出条件を決定し、放射線照射を開始する。これにより、放射線源2に対峙する放射線画像検出器には、被写体Hを透過して被写体情報を含んだ放射線が照射される。この際、撮影に使用されている放射線量検出部17、18は、被写体Hを透過して照射された放射線を基に照射量を検出して照射量管理を行う。
【0079】
以上のように、本実施形態の乳房画像撮影装置1によれば、焦点サイズが30μm以上250μm以下である小焦点のX線管、つまり位相コントラスト画像撮影モード用のX線管であっても、被写体台4上における照射野の広さが、大焦点のX線管、つまり通常画像撮影モード用のX線管のそれとほぼ同等以上となる18cm×24cm以上にできるので、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と、吸収コントラスト画像を同視野で撮影することができる。
また、放射線量検出部17が被写体H及び放射線画像検出器の間に配置されているので、位相コントラスト画像を得るために放射線源2と放射線画像検出器との間隔(R1+R21)、(R1+R22)を75cm以上に、また、被写体台4と放射線画像検出器との間隔R21、R22を15cm以上に設定した場合であっても、照射量管理に必要なだけの放射線量を確保できる位置に、放射線量検出部17を配置することができ、照射量管理の精度を向上させることができる。
【0080】
ここで従来の吸収コントラスト画像を撮影する条件、すなわち被写体台4と放射線画像検出器との間隔R21、R22が15cm未満の撮影条件で、放射線量検出部17を被写体H及び放射線画像検出器の間に配置すると、放射線量検出部17によって散乱した放射線が放射線画像検出器に照射されて画質が劣化してしまうが、本実施形態では、被写体台4と放射線画像検出器との間隔R21、R22が15cm以上にして、放射線量検出部17と放射線画像検出器との間隔を大きくすることができる。そして、放射線量検出部17と放射線画像検出器との間ではエアギャップ効果が生じて、散乱した放射線は除去されることになる。したがって、位相コントラスト画像を撮影する乳房画像撮影装置1であっても、画質を劣化させずに、照射量管理を精度良く行うことができる。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、ターゲット角度を所定の範囲に収めることで、小焦点のX線源であっても、抑えて被写体台4上における照射野を18cm×24cm以上として、その照射野内のX線強度ムラを抑える構成を例示したが、これに加えて、制御部7が放射線画像検出器の検出結果を基に、物理的に生じたX線強度ムラを感度補正する構成であってもよい。具体的には、予め、被写体台4に何も載せない状態で放射線を照射して一様露光画像を撮影する。この撮影時に得られた放射線画像検出器の検出結果には、X線強度ムラが含まれているので、これを基に補正用の変換テーブルを作成する。変換テーブルの作成方法としては、例えば、検出結果で最高値を示した部分を1とすると、最高値よりも小さい値を示した部分(例1:最高値の半分の値)は、0以上1未満の値(例1では0.5)となり、この値の逆数(例1では1/0.5=2)を各部分毎に求めることで、変換テーブルが作成される。そして、制御部7は、変換テーブルを基に、撮影時における放射線画像検出器の検出結果に対して、各部分に応じる逆数をかけて補正を行う。これにより、撮影時の放射線強度に偏り、ムラがあったとしても、感度補正され、出力される画像の画質を安定させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、第一放射線画像検出器8、第二放射線画像検出器12、第三放射線画像検出器15の3つの放射線画像検出器を所定位置に設置し、各撮影モードに応じて、撮影時に使用される放射線画像検出器が切り換えられる構成を例示したが、放射線画像検出器を照射方向に移動自在に設けることで、1つの放射線画像検出器であっても各撮影モードに応じた撮影が行える構成としてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、焦点サイズの異なる複数のX線管が切り換え可能に備わっていることで、通常画像撮影モードと位相コントラスト画像撮影モードとに応じてX線管を切り換える構成を例示したが、これ以外にも、X線管が1つであっても、ターゲット角度が変動自在となるターゲットを備えたり、ターゲット角度の異なる複数のターゲットを備えたりすることで、通常画像撮影モードと位相コントラスト画像撮影モードとに応じる照射野を確保するようにしてもよい。ここで、複数のターゲットを備える場合には、通常画像撮影モードの照射野を確保できるターゲット角度の通常撮影用ターゲットと、位相コントラスト画像撮影モードの照射野を確保できるターゲット角度の位相撮影用ターゲットとを切り換え可能に設ける。なお、ターゲット角度の切り換えは、切り換え部24若しくは入力部35の指示に基づいて行われる。
【0084】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、小焦点の放射線源を用いた場合においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と、吸収コントラスト画像を同視野で撮影することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0085】
請求項3記載の発明によれば、被写体と放射線源とを位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。これにより、位相コントラスト画像を撮影する際においても、大焦点の放射線源と同等の照射野を確保することができ、位相コントラスト画像と吸収コントラスト画像とを同等の撮影領域で撮影することが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、放射線源と被写体台との間隔を60cm以上70cm以下とすることで、被写体と放射線源とを、より位相コントラスト画像の撮影に対応できるように配置することができる。
請求項5記載の発明によれば、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.6以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、画質を安定化させることができる。
請求項6記載の発明によれば、胸壁部分の放射線強度を1とした場合に、最も放射線強度が低くなる乳頭側でも0.8以上の放射線強度を確保することができ、結果として放射線強度の偏りを抑えて、より画質を安定化させることができる。
【0086】
請求項7記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性がよく、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
請求項8記載の発明によれば、被写体の鮮鋭性が良く、高精細な位相コントラスト画像を得ることができる。
請求項9記載の発明によれば、放射線画像検出器として、輝尽性蛍光体プレート若しくはフラットパネルディテクタを用いた乳房画像撮影装置であっても、請求項7又は8記載に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項10記載の発明によれば、撮影時の放射線強度に偏り、ムラがあったとしても、感度補正されることにより出力される画像の画質を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された実施の形態の乳房画像撮影装置の主要部構成を示した説明図である。
【図2】図1の乳房画像撮影装置に備わる放射線源のターゲットを表す説明図である。
【図3】図1の乳房画像撮影装置に備わる制御部の主要構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 乳房画像撮影装置
2 放射線源
4 被写体台
7 制御部
8 第一放射線画像検出器(放射線画像検出器)
11 第一検出器保持部(検出器保持部)
12 第二放射線画像検出器(放射線画像検出器)
14 第二検出器保持部(検出器保持部)
15 第三放射線画像検出器(放射線画像検出器)
H 被写体
R1、R21、R22 間隔
Claims (10)
- 放射線源と、
前記放射線源に対峙するように被写体を支持する被写体台とを備え、
前記放射線源の焦点サイズが30μm以上250μm以下であり、
前記被写体台上における照射野の広さが18cm×24cm以上であることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項1記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源の焦点サイズが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項1又は2記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源と前記被写体台との間隔が50cm以上80cm以下であることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項3記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源と前記被写体台との間隔が60cm以上70cm以下であることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源のターゲット角度が12度以上20度以下であることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項5記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源のターゲット角度が14度以上18度以下であることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記被写体台を介して前記放射線源に対峙し、前記被写体を透過した放射線源を検出する放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器を保持する検出器保持部とを備え、
前記検出器保持部は、前記放射線源と前記放射線画像検出器との間隔が75cm以上、前記被写体台と前記放射線画像検出器との間隔が15cm以上となるように、配置されることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項7記載の乳房画像撮影装置において、
前記検出器保持部は、前記放射線源と前記放射線画像検出器との間隔が100cm以上、前記被写体台と前記放射線画像検出器との間隔が30cm以上となるように、配置されることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項7又は8記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線画像検出器が、輝尽性蛍光体プレート若しくはフラットパネルディテクタであることを特徴とする乳房画像撮影装置。 - 請求項7〜9のいずれか一項に記載の乳房画像撮影装置において、
前記放射線源、前記放射線画像検出器を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記放射線画像検出器の検出結果に対して、感度補正を行うことを特徴とする乳房画像撮影装置。
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