JPH0813873B2 - 水溶性自己ドープ型導電性ポリマー及びその製造方法 - Google Patents

水溶性自己ドープ型導電性ポリマー及びその製造方法

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JPH0813873B2
JPH0813873B2 JP50526386A JP50526386A JPH0813873B2 JP H0813873 B2 JPH0813873 B2 JP H0813873B2 JP 50526386 A JP50526386 A JP 50526386A JP 50526386 A JP50526386 A JP 50526386A JP H0813873 B2 JPH0813873 B2 JP H0813873B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は総括的には導電性ポリマーの分野に関する。
より詳細には、本発明はブレンステッド酸基をポリマー
の主鎖に共有結合させた水溶性自己ドープ型(self-dop
ed)導電性ポリマー及びその製造方法に関する。
背景 電子及び他の産業において用いる導電性ポリマーにつ
いての要求は益々厳しくなっている。また、電子部品の
小型軽量化を可能とし及びそれ自体長期安定性や優れた
性能を有する材料の要求も増大している。
かかる要求を満足させるものとして、近年新しい導電
性高分子或はポリマー材料の開発が盛んに行われてきて
おり、また、かかる高分子化合物を利用する用途につい
ても多くの提案がなされてきている。例えば、ピー・ジ
ェー・ナイグレイ(P.J.Nigrey)等はケミカルコミュニ
ケーション(Chem.Comm)、1979年、591頁以降にポリア
セチレンを二次電池電極として用いることを開示してい
る。また、ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソ
サイァティ(J.Electrochem.Soc.)、1981年、1651頁以
降、特開昭56-136469号、同57-121168号、同59-3870
号、同59-3872号、同59-3873号、同59-196566号、同59-
196573号、同59-203368号及び同59-203369号はポリアセ
チレン、シツフ塩基を有するキナゾンポリマー、ポリア
リーレンキノン類、ポリ−パラ−フェニレン、ポリ−2,
5−チエニレン等の高分子化合物が二次電池の電極材料
として使用され得ることを教示している。
また、高分子化合物のその他の用途を提案するものと
して、ポリアニリン〔ジャーナル・オブ・エレクトロア
ナリティカル・ケミストリー、第111巻、111頁(1980
年)、エー・エフ・デイアズ等又は同第161巻、419頁
(1984年)、米山等〕、ポリピロール〔ジャーナル・オ
ブ・エレクトロアナリティカル・ケミストリー、第149
巻、101頁(1983年)、エー・エフ・ディアズ等〕、ポ
リチオフェン〔ジャーナル・ド・フィージク、第44巻、
6月号、C3-595頁(1983年)、エム・エー・ドルィ等、
又はジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジ
ックス、22巻、7号、L412頁(1983年)、金藤ら〕のエ
レクトロクロミック材料への使用が挙げられる。
当分野において知られているこれら導電性の高いポリ
マーは代表的にはアクセプター又はドナーによるドーピ
ングプロセスにより導電性になる。アクセプタードーピ
ングでは、アクセプタードープ型ポリマーの主鎖を酸化
し、それにより正の電荷をポリマー鎖に導入する。同様
に、ドナードーピングでは、ポリマーを還元し、それに
より負の電荷をポリマー鎖に導入する。ドープ型ポリマ
ーの電導性を誘起するのは、外部よりポリマー鎖に導入
するこれら移動性の正或は負の電荷である。加えて、こ
のような「p−タイプ」(酸化)或いは「n−タイプ」
(還元)のドーピングは、ドーピングした後に実質的に
全ての電子構造の変化、例えば光学や赤外吸収スペクト
ルの変化を含む変化を誘起する。
すなわち、従来のドーピング方法では、全て、対イオ
ンを外部のアクセプター或はドナー機能から誘導してい
る。中性及びイオン状態の間の電気化学的サイクルの間
に、対イオンがポリマー本体を出たり入ったりしなけれ
ばならない。外部より導入する対イオンのこの固体状態
の拡散が循環プロセスにおいて律速段階となることはし
ばしばである。これより、電気化学的或はエレクトロク
ロミックドーピング及び脱ドーピング操作においてこの
制限を解消し、それにより応答時間を短縮することが望
ましい。応答時間は、対イオンの移動に要する時間を短
くできれば短縮し得ることを見出した。本発明はこの知
見に基づくものである。
従来、水溶性の導電性ポリマー或は自己ドープ型導電
性ポリマーは知られていなかった。
発明の要約 本発明は迅速にドーピング及び脱ドーピングすること
ができ、従来技術の導電性ポリマーに比べて安定なドー
ピング状態を長期に保つことができる水溶性の自己ドー
プ型導電性ポリマー及びその製造方法を提供する。本発
明のポリマーの優れた性質は導電性ポリマーを「自己ド
ーピング」状態で作り得る、すなわち、導電性を付与す
る対イオンをポリマー自体に共有結合させることができ
るという知見から生じる。よって、従来技術のポリマー
と対照して、対イオンを外部導入する必要を排除し、上
述した律速拡散段階をも同様に排除する。
本発明のポリマーは少なくとも約1S/cm程度の導電率
を示すことができる。自己ドープ型ポリマーは電気化学
セルにおける電極として、エレクトロクロミックディス
プレー、電界効果トランジスター、ショットキーダイオ
ード等における導電層として、或は迅速なドーピングカ
イネティクスを示す高導電性ポリマーが望ましい数多く
の用途において使用することができる。
本発明は、最も広い態様において、複数のモノマー単
位から成り、該単位の約0.01〜100モル%は少なくとも
1つのブレンステッド酸基を共有結合させて成る、主鎖
に沿ってπ電子共役系を有する自己ドープ型導電性ポリ
マーを指向するものである。本発明は該ポリマーの両性
イオン形をも含む。本発明の化合物の主鎖を形成するこ
とができるポリマーは、例えばポリピロール、ポリチオ
フェン、ポリイソチアナフテン及びこれらのコポリマ
ー、更にこれらとポリアニリン、ポリ−p−フェニレン
とのコポリマーを含む。
好ましい具体例では、上述した自己ドープ型導電性ポ
リマーは下記の構造(I)の繰り返し単位を有する: ここで、I式においてHtはヘテロ基であり、Y1は水素ま
たは-R1-X-M1であり;M1は酸化した場合に一価カチオン
を生じる原子或は基であり;Xはブレンステッド酸アニオ
ンであり;R1は炭素数1〜10の線状或は枝分れアルキレ
ン、エーテル、エステル或はアミド成分である。
発明の更に別の好ましい具体例では、下記の(Ia)に
従う繰返しの両性イオン構造を有する水溶性自己ドープ
型導電性ポリマーを提供する: (式中、Ht、R1及びXは先に規定した通りである)。
本発明は更に、上記の自己ドープ型ポリマーを製造す
るのに有用なモノマー、ポリマーの合成方法及びポリマ
ーを用いた装置を指向するものである。
詳細な説明 「導電性」なる用語はイオン化原子或は電子を通すこ
とによって電荷を伝達する能力を言う。「導電性」化合
物とは移動性イオン或は電子を包含する或は加入させた
化合物、並びに酸化して移動性イオン或は電子を包含す
る或は加入させることができる化合物を含む。
「自己ドープ型」なる用語は、慣用のドーピング技法
によってイオンを外部導入しないで物質を導電性にさせ
得ることを意味する。本明細書中に開示する自己ドープ
型ポリマーでは、対イオンになり得るものをポリマーの
主鎖に共有結合させる。
「ブレンステッド酸」なる用語は、1つ又はそれ以上
のプロトン源として、すなわちプロトン−ドナーとして
働くことができる化学種を言うのに用いる。例えば、マ
グローヒルの化学及び技術用語辞典(第3版、1984
年)、220頁を参照のこと。これより、ブレンステッド
酸の例はカルボン酸、スルホン酸、リン酸を含む。
本明細書中で用いる通りの「ブレンステッド酸基」な
る用語は、上に規定した通りのブレンステッド酸、ブレ
ンステッド酸アニオン(すなわち、プロトンを取り去っ
た場合)、ブレンステッド酸アニオンと一価のカチオン
性対イオンとを会合させたブレンステッド酸の塩を意味
する。
本明細書中で用いる通りの「モノマー単位」とはポリ
マーの繰り返し構造単位を言う。特定のポリマーの個々
のモノマー単位は、ホモポリマーの場合のように同一で
あっても或はコポリマーの場合のように異なってもよ
い。
本発明のポリマーはコポリマーであっても或はホモポ
リマーであってもよく、π電子共役系を与える主鎖構造
を有する。かかるポリマー主鎖の例はポリピロール、ポ
リチオフェン、ポリイソチアナフテン及びこれらのコポ
リマー、更にこれらとポリアニリン、ポリ−p−フェニ
レンとのコポリマーを含み、これらに制限されない。上
述した本発明のポリマーは、1つ又はそれ以上の「-R1-
X-M1」置換基で置換したモノマー単位約0.01〜約100モ
ル%から構成されるのがよい。高導電率を必要とする用
途では、本発明のポリマーは、該置換基を有するモノマ
ー単位が通常少なくとも約10モル%、代表的には約50〜
100モル%から構成されるのがよい。半導体の用途で
は、該基を有するモノマー単位は約10モル%より少ない
のが普通であるが、約0.1〜約0.01モル%程に少ないこ
とが時にはある。
I及びIa式によって表わすポリヘテロサイクルモノマ
ー単位は、-R1-X-M1置換基により一置換か或は二置換の
いずれかを表わしたモノマー単位を含む。本発明は、こ
れらの異なるタイプの置換されたモノマー単位を含むコ
ポリマーをも同様に意図する。本発明のホモポリマー及
びコポリマーの両方において、ポリマーの約0.01〜100
モル%がブレンステッド酸基を備えるべきである。
好ましい具体例では、本発明は上記I式で与える電気
的に中性のポリマーを含む。ポリマーを導電性にさせる
ために、ポリマーを酸化してM1成分を除き及びIaに従う
繰り返しの両性イオン構造を含有するポリマーを生じな
ければならない。好ましい具体例において、例えばHtは
NH、S、O、Se及びTeから成る群より選ぶのがよく;M1
はH、Na、Li或はKにするのがよく;XはCO2、SO3或はHP
O3にするのがよく;R1は直鎖のアルキレン或はエーテル
基〔すなわち、-(CH2)x−或いは-(CH2)yO(CH2)z-(ここ
で、x及び(y+2)は1〜約10である)〕である。特
に好ましい具体例では、HtはNH或はSであり;M1はH、
Li或はNaであり;XはCO2或はSO3であり;R1は炭素数2〜
約4の線状アルキレンであり;ポリマー中の置換したモ
ノマー単位は-R1-X-M1基で一置換か或いは二置換されて
いる。
ポリマーの両性イオン形を「脱ドーピングする」ため
には、電荷をドーピングで用いたのと反対方向に供給す
ればよい(代りに、温和な還元剤を上で検討した通りに
用いてもよい)。M1をポリマー中に移動させてX-アニオ
ンを中和する。こうして、脱ドーピングプロセスはドー
ピングプロセスと同じように速い。
スキームIは上記のポリマー(-R1X-M1基で一置換さ
れたポリマーの具体例を示す)の酸化及び還元、すなわ
ち電気的に中性形と導電性の両性イオン形との間の転移
を表わす: XがCO2である場合、上記の電気化学的転移はpH1〜6の
範囲で強くpHに依存する(I式でX=CO2及びM1=Hの
場合のpKaは約5である)。他方、XがSO3である場合、
上記の電気化学反応は約1〜14のずっと広いpHの範囲に
わたりpHに依存しない。すなわち、スルホン酸誘導体は
実質的には任意のpHにおいて荷電され、カルボン酸誘導
体は低い水素イオン濃度においてのみ電荷される。それ
で、ポリマー溶液のpHを変えることにより、カルボン酸
誘導体の導電率を調節することが対応するスルホン酸誘
導体の導電率を調節するよりも一層容易である。すなわ
ち、特定のブレンステッド酸成分の選定は特定の用途に
よる。
これらの自己ドープ型ポリマーが有する導電率は少な
くとも約1S/cm(例14参照)であり、及び代表的には鎖
の長さは約数百のモノマー単位である。代表的には鎖の
長さはモノマー単位約100〜約500の範囲であり、高い分
子量が好ましい。
本発明の実施において、ブレンステッド酸基をポリマ
ー中に導入してポリマーを自己ドープ型にする。ブレン
ステッド酸基をポリマーに導入した後に重合或は共重合
させてもよい。また、I式の未置換のモノマーのポリマ
ー或はコポリマーを作り、次いでブレンステッド酸基を
ポリマーの主鎖に導入してもよい。
ブレンステッド酸基をポリマー或はポリマーに共有結
合させることは当分野の技術の範囲内である。例えば、
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサィアテ
ィー、70巻、1556頁(1948)参照。例として、スキーム
IIに示す通りに、N−ブロモスクシンイミド(NBS)を
用いてモノマー或はポリマー主鎖上のアルキル基をハロ
ゲン化アルキルに連結することができる: 次いで、ハロゲン化物をシアン化ナトリウム/水酸化ナ
トリウム或は亜硫酸ナトリウムで処理した後に加水分解
してそれぞれカルボン酸或はスルホン酸にする。この反
応をスキームIIIに示す: エーテル結合基を有するブレンステッド酸基の付加を示
す別の例をスキームIVに示す: 本発明の実施において有用な種々のモノマーの合成を
下記の例1〜12に示す。
本発明のポリマーは、例えばエス・ホッタ等のSynth.
Metals9巻、381頁(1984年)に記載されている電気化学
的方法により、或はウドル(Wudl)等のJ.Org.Chem.49
巻、3382頁(1984年)、ウドル等のMol.Cryst.Liq.Crys
t.118巻、199頁(1985年)、エム・コバヤシ等のSynth.
Metals.9巻、77頁(1984年)に記載されているような化
学的カップリング法によって合成することができる。
電気化学的方法によって(すなわち、陽極上に)合成
する場合、高分子両性イオンを直接作る。化学的カップ
リング法を用いれば中性ポリマーが生ずる。好ましい合
成法は電気化学的方法であり、下記に置換ポリヘテロサ
イクリック種の製造により例示する。
モノマーII: (式中、Ht、Y1、R1、X及びM1は上述した通りである) を含有する溶液を、電解質、例えばテトラブチルアンモ
ニウムパークロレート或はテトラブチルアンモニウムテ
トラフルオロボレートと共に、適当な溶媒、例えばアセ
トニトリル(スルホン酸誘導体、すなわちX=SO3であ
る場合に特に適している)中に与える。白金、ニッケ
ル、インジウムスズオキシド(ITO)を被覆したガラス
或は他の適当な材料の作用電極を準備し、白金或はアル
ミニウム、好ましくは白金の対向電極(陰極)を準備す
る。約0.5〜5mA/cm2の電流を電極にかけ、所望の重合の
程度(或は基体上の高分子フィルムの厚さ)に応じて電
解重合反応を数分〜数時間行なう。重合反応の温度は約
−30℃〜約25℃の範囲にすることができるが、好ましく
は約5℃〜約25℃である。
このようにして製造した両性イオンポリマーを中性の
脱ドープ形に還元することは、電気化学的還元により、
或は任意の温和な還元剤、例えばアセトン中のメタノー
ル或はヨウ化ナトリウムで処理して行なうことができ
る。このプロセスは、反応の完了を確実にするために少
なくとも数時間進行させるべきである。
スルホン酸モノマー(X=SO3)を炭素数1〜2のア
ルキルエステル、例えばメチルエステルとして重合させ
(例14及び15を参照)、一方、カルボン酸誘導体(X=
CO2)を酸の形で調製してもよい。スルホン酸誘導体を
重合させた後に、ヨウ化ナトリウム等による処理におい
てメチル基を除去する。
I式で表わされる異なるタイプのモノマーの共重合
は、上述した同じ手順に従って行なうことができる。好
ましい具体例では、大部分のモノマーを上述した通りに
少なくとも1つの-R1-X-M1基で置換する。
I式のポリマーの複合材料を、水溶性ポリマー、例え
ばポリビニルアルコール(例17参照)及び多糖と共に作
ることができる。本発明のポリマーはかなり脆性になり
得るので高分子材料を更に用いて複合材料を作ることに
より、柔軟性が増し脆性の減少したポリマーが得られ
る。1種又はそれ以上の追加の水溶性ポリマーをも所定
量含有するI式によって与えるポリマーの水溶液からフ
ィルムをキャストすることができる。この工程において
手順上キーとなる基準は2種又はそれ以上のポリマーを
水に溶解することであるので、追加のポリマーについて
の唯一の実用的制限は、ポリマーが水溶性であることで
ある。
本発明のポリマーは電気化学セルにおける電極として
用いられる慣用の導電性ポリマーを越える特有の利点を
提供する。対イオンがポリマーに共有結合されているた
め、セル容量は電解質の濃度や溶解度によって制限され
ない。このことは、最適化セルでは、電解質及び溶媒の
全量を相当に低減することができ、こうして得られるセ
ルのエネルギー密度を高めることができる。新規な自己
ドーピング機構が与えるイオン輸送の容易に得られるカ
イネティクスは、迅速な充電、放電並びに一層速いエレ
クトロクロミックスイッチングに至る。本発明のポリマ
ーを用いて作られる電極は、これらのポリマーから或は
これらのポリマーを被覆した慣用の基体から作ることが
できる。慣用の基体は、例えばインジウムスズオキシド
を被覆したガラス、白金、ニッケル、パラジウム或はそ
の他任意の適当な陽極材料を含むことができる。電極と
して用いる場合、ポリマーの内部自己ドーピングはスキ
ームIによって表わす転移を生じる。
本発明の自己ドープ型導電性ポリマーは、また、長期
の性能が、ドーパントイオンが絶えず移動性でないこと
を要する種々のデバイス用途において用いるのに、慣用
の導電性ポリマーを越える特有の利点を提供する。この
ような用途の例はショットキーダイオード、電界効果型
トランジスター等の加工を含む。自己ドープ型ポリマー
では、ドーパントイオンはポリマー鎖に共有結合されて
いるため、イオンの拡散の問題(例えば、接合部或はイ
ンターフェースの近辺)は解決される。
更に、本発明の導電性ポリマーは水溶性であるので、
媒体として簡便に水を用いることができ、有機溶媒を用
いる必要がなく、よって有機溶媒の使用に伴う不都合、
例えば毒性、公害等を排除することができる。
発明を好ましい特定の実施態様に関して説明したが、
上記の説明並びに下記の例は請求の範囲に記載する発明
の範囲を例示するもので制限するつもりのものではな
い。発明の範囲内のその他の態様、利点及び変更は発明
が関係する当業者にとり明白である。
実施例1 2−(3−チエニル)−エチルメタンスルホネートの合
成 新しく蒸留した乾燥ピリジン10mlに2−(3−チエニ
ル)エタノール(アルドリッチケミカル社製)5.0g(3.
9×10-2モル)を溶解した溶液に、温度5〜10℃で、メ
タンスルホニルクロリド3.62ml(1.2等量)をピリジン2
0mlに溶かした溶液を添加した。添加は約15〜20分かけ
て徐々に行った。反応混合物を室温において一晩攪拌
し、次いで水とエーテルを入れた分液漏斗に注ぎ入れて
急冷した。層が分離され、水性相をエーテルで3回抽出
した。有機抽出分を合体し、10%塩酸で1度抽出し、次
いで水で抽出し、Na2SO4で乾燥した。溶剤を蒸発させ、
5.3gの明褐色油(収率65%)を得た。またtlc(CHCl3
は単一スポットを示した。シリカゲルでクロマトグラフ
ィー精製を行って明黄色油を得た。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):2.9s、3H;3.1t、2H;4.
4t、2H;7.0〜7.4m、3H。
IR(ニート、νcm-1):3100w、2930w、2920w、1415
w、1355s、1335s、1245w、1173s、1080w、1055w、970
s、955s、903m、850m、825w、795s、775s、740w。
マススペクトル(MS)206.0。
実施例2 2−(3−チエニル)−エチルアイオダイドの合成 上記のメタンスルホネート(5.3g、2.6×10-2モル)
を、NaI7.7g(2等量)の30mlアセトン溶液に加え、室
温で24時間反応させた。沈澱したCH3SO3Naを別した。
液を水に注ぎ込み、クロロホルムで抽出し、有機相を
MgSO4で乾燥した。溶剤を蒸発したところ、明褐色油が
得られ、クロマトグラフィー精製して5.05gの明黄色油
(収率82.5%)を得た。NMR及びIRスペクトルは次の通
りであった。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):3.2m、4H;7.0〜7.4m、
3H。
IR(KBr、νcm-1):3100m、2960s、2920s、2850w、17
60w、1565w、1535w、1450m、1428s、1415s、1390w、132
8w、1305w、1255s、1222m、1170s、1152m、1100w、1080
m、1020w、940m、900w、857s、840s、810w、770s、695
s、633m。
MS 238。
実施例3 2−(3−チエニル)エタンスルホン酸ナトリウムの合
成 Na2SO35.347g(4.2×10-2モル)の水溶液10mlに、上
記アイオダイド5.05g(0.5等量)を添加し、この反応混
合物を70℃に45時間加熱した。得られた混合物を蒸発乾
固させ、クロロホルムで洗滌して未反応アイオダイド
(0.45g)を除去し、またアセトンで洗滌してヨウ化ナ
トリウムを除去した。残りの固形物は所望のナトリウム
塩が過剰の亜硫酸ナトリウムで汚染された混合物であ
り、これをさらに精製しないで次工程に用いた。NMR及
びIRスペクトルは次の通りであった。
NMR(D2O、TMSプロパンスルホネートに対するδ):
3.1s、4H;7.0〜7.4m、3H; IR(KBr、νcm-1、Na2SO3ピークは差引):1272m、124
2s、1210s、1177s、1120m、1056s、760m、678w。
実施例4 2−(3−チエニル)エタンスルホニルクロリドの合成 実施例3で調製した塩混合物2gの攪拌した懸濁液に、
2mlの蒸留塩化チオニルを滴下した。混合物を30分間攪
拌した。氷水で急冷して得た白色固形物を別し、クロ
ロホルム−ヘキサンから再結晶して800mgの白色結晶を
得た。融点は57〜58℃であった。NMR及びIRスペクトル
は次の通りであった。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):3.4m、2H;3.9m、2H;7.
0〜7.4m、3H。
IR(KBr、νcm-1):3100w、2980w、2960w、2930w、14
55w、1412w、1358s、1278w、1260w、1225w、1165s、107
5w、935w、865m、830m、790s、770w、750m、678s、625
m。
元素分析は次の通りであった。
計算値:C34.20、H3.35、Cl16.83、S30.43 C6H7ClO2S2 実測値:C34.38、H3.32、Cl16.69、S30.24 実施例5 2−(3−チエニル)−エタンスルホン酸メチル(別
称:チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸メチ
ル))の合成 上記の酸クロリド(上記実施例4により製造したも
の)105mg(5×10-4モル)を1.5mlの新しく蒸留した
(モレキュラーシーブから)メタノールに加えた攪拌溶
液に、室温で1.74ml(2等量)のN,N−ジイソプロピル
エチルアミンを添加した。反応混合物を12時間攪拌し、
次いで希塩酸水溶液を収容する分液漏斗に移し、クロロ
ホルムで3回抽出した。有機相を合体し、Na2SO4で乾燥
し、溶剤を留去して明褐色油を得た。これをクロロホル
ムを溶離剤としてシリカゲルでクロマトグラフィー精製
した。得られた無色固形分(収率90%)は融点27〜28.5
℃を有した。IR、紫外、NMRスペクトルは次の通りであ
った。
IR(ニートフィルム、νcm-1):3100w、2960w、2930
w、1450m、1415w、1355s、1250w、1165s、985s、840w、
820w、780m、630w、615w。
UV−可視〔λ max、MeOH、nm(ε)〕:234(6×1
03)。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):7.42〜7.22q、1H;7.18
〜6.80m、2H;3.85s、3H;3.6〜2.9m、4H。
元素分析は次の通りであった。
計算値:C40.76、H4.89、S31.08 C7H10O3S2 実測値:C40.90、H4.84、S30.92 実施例6 2−カルボキシエチル−4−(3−チエニル)ブタン酸
エチルの合成 新しく蒸留したDMF60mlに11.2g(69.94ミリモル)の
マロン酸ジエチルを溶解した攪拌溶液に、NaHの60%油
分散液2.85g(69.94ミリモル)を添加した。30分間かき
混ぜた後、20mlのDMF中に15.86g(66.61ミリモル)の2
−(3−チエニル)エチルアイオダイド(前述の方法で
製造したもの)を溶解したものを10分間かけて滴下する
ことにより添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌
し、次いで140℃に4時間加熱した。冷却した後、反応
物を氷冷希塩酸中に注入し、次いでエーテルで6回抽出
した。有機相を合体し、水洗し、Na2SO4で乾燥し、蒸発
を行って褐色油を得た。シリカゲル(クロロホルム中ヘ
キサン50%)でクロマトグラフィー分離したところ、98
%の収率で無色油を得た。元素分析の結果は次の通りで
あった。また、NMR、IRスペクトルも示す。
計算値:C57.76、H6.71、S11.86 C13H18O4S 実測値:C57.65、H6.76、S11.77。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):7.40〜7.20t、1H;7.10
〜6.86d、2H;4.18q、4H;3.33t、1H;2.97〜1.97m、4H;1.
23t、6H。
IR(ニートフィルム、νcm-1):2980w、1730s、1450
w、1370w、775w。
実施例7 2−カルボキシ−4−(3−チエニル)ブタン酸の合成 1.4g(24.96ミリモル)の水酸化カリを7.0mlの50%エ
タノール水溶液に溶解した溶液に、実施例6で調整した
ジエステル(765mg、2.83ミリモル)を加えた。得られ
た反応物を室温で2時間かき混ぜ、次いで1晩還流し
た。得られた混合物を氷−10%HCl中に注ぎ入れ、次い
でエーテル抽出を3回行なった。有機相を合体し、Na2S
O4で乾燥して収率90%で白色固形分を得た。これをクロ
ロホルム−ヘキサンから再結晶させ無色針状結晶を得
た。次の特性を有した。
融点:118〜119℃。
NMR(DMSO/d6、TMSに対するδ):12.60、2H;7.53〜6.
80m、3H;3.20t、1H;2.60t、2H;1.99q、2H。
IR(KBr、νcm-1):2900w、1710s、1410w、1260w、92
5w、780s。
元素分析値は次の通りであった。
計算値:C56.45、H5.92、S18.83 C9H10O4S 実測値:C56.39、H5.92、S18.67。
実施例8 4−(3−チエニル)ブチルメタンスルホネートの合成 4−(3−チエニル)ブタン酸(CA69:18565x、72:12
1265k)を実施例7で調整したカルボン酸の標準的な熱
脱カルボキシル化により製造した。この化合物を同じく
標準的な方法を用いて還元して4−(3−チエニル)ブ
タノール(CA70:68035r、72:121265k)を得た。
1.05g(6.7×10-3モル)の4−(3−チエニル)ブタ
ノールを25mlの新しく蒸留した乾燥ピリジンに溶解した
溶液に、25℃で0.85g(1.1等量)のメタンスルホニルク
ロリドを添加した。この添加は数分間にわたって徐々に
行った。反応混合物を室温で6時間かき混ぜ、次いで水
−HCl及びエーテルを収容した分液漏斗に注ぎ入れて急
冷した。有機相を分離し、水性相を一度10%塩酸で抽出
し、水で抽出し、Na2SO4で乾燥した。溶媒の蒸発によ
り、1.51gの明褐色油(収率95%)を得た。tlc(CHC
l3)は単一スポットを示した。分析の結果は次の通りで
あった。
計算値:C46.13、H6.02、S27.36 C9H14O3S2 実測値:C45.92、H5.94、S27.15。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):2.0〜1.5brs、4H;2.67
brt、2H;2.97s、3H;4.22t、2H;7.07〜6.80d、2H;7.37〜
7.13、1H。
実施例9 4−(3−チエニル)ブチルアイオダイドの合成 実施例8で調整した上記のメタンスルホネート(1.51
g、6.4×10-3モル)を1.93g(2等量)のNaIを14mlのア
セトンに溶かした溶液に加え、室温で1晩反応させた。
反応混合物を加熱して5時間還流させた。沈澱したCH3S
O3Naを別した。液を水に注入し、クロロホルムで抽
出し、有機相をMgSO4で乾燥した。溶剤を蒸発して明褐
色油を得、これをクロマトグラフィー精製(シリカゲ
ル、クロロホルム中60%ヘキサン)し、1.34gの無色油
(収率78%)を得た。測定値は次の通りであった。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):1.53〜2.20m、4H;2.64
t、2H;3.17t、2H;6.83〜7.10d、2H;7.13〜7.37t、1H。
IR(KBr、νcm-1):2960s、2905s、2840s、1760w、15
65w、1535w、1450s、1428s、1415s、1190s、750s、695
m、633m。
MS266.0。
元素分析は次の通りであった。
計算値:C36.10、H4.17、I47.68、S12.05 C8H11IS 実測値:C37.68、H4.35、I45.24、S12.00。
実施例10 4−(3−チエニル)ブタンスルホン酸ナトリウムの合
成 1.271g(1×10-2モル)のNa2SO3の2ml水溶液に、実
施例9で調整した上記アイオダイド1.34g(0.5等量)を
加えた。反応混合物を加熱して18時間還流した。得られ
た混合物を蒸発乾固させ、次いでクロロホルムで洗滌し
て未反応アイオダイドを除去し、アセトンで洗滌してヨ
ウ化ナトリウムを除去した。残りの固形分は所望のナト
リウム塩が過剰の亜硫酸ナトリウムで汚染された混合物
であり、さらに精製することなく後続工程で用いた。測
定値は次の通りであった。
NMR(D2O、TMSプロパンスルホネートに対するδ):
1.53〜1.97m、4H;2.47〜3.13m、4H;6.97〜7.20d、2H;7.
30〜7.50q、1H。
IR(KBr、νcm-1、Na2SO3ピーク差引):2905w、1280
m、1210s、1180s、1242m、1210s、1180s、1130s、1060
s、970s、770s、690w、630s、605s。
実施例11 4−(3−チエニル)ブタンスルホニルクロライド 上記塩混合物(実施例10から)1.00gを10mlの新たに
蒸留したDMSに懸濁した攪拌液に、1.43gの蒸留塩化チオ
ニルを滴下した。混合物を3時間かき混ぜた。氷水で急
冷した液をエーテルで2回抽出し、次いでその有機相を
Na2SO4で乾燥して淡黄色油566mgを単離し、この油をク
ロマトグラフィー(シリカゲル、及びクロロホルム使
用)にかけた後にゆっくり晶出させた(融点26〜27
℃)。NMR等は次の通りであった。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):1.45〜2.38m、4H;2.72
t、2H;3.65t、2H;6.78〜7.12d、2H;7.18〜7.42、1H。
IR(ニートフィルム、νcm-1):3120w、2920s、2870
m、1465m、1370s、1278w、1260w、1160s、1075w、935
w、850w、830m、776s、680m、625w、585s、535s、510
s。
元素分析は次の通りであった。
計算値:C40.25、H4.64、Cl14.85、S26.86 C8H11ClO2S2 実測値:C40.23、H4.69、Cl14.94、S26.68。
実施例12 4−(3−チエニル)ブタンスルホン酸メチル(別称:
チオフェン−3−(4−ブタンスルホン酸メチル))の
合成 実施例11で調製した上記酸クロリド362mg(1.5×10-3
モル)を6mlの新たに蒸留(モレキュラーシーブによ
る)したメタノールに溶解した攪拌溶液に、392mg(2
等量)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを室温で加
えた。反応混合物を2時間かき混ぜ、次いで希HCl水溶
液を収容した分液漏斗に移し、クロロホルムて3回抽出
した。有機相を合体させ、Na2SO4で乾燥した後に、溶剤
を蒸発させて明褐色油を得た。この油をヘキサン40%の
クロロホルムを溶離剤として用いてシリカゲルによりク
ロマトグラフィで精製した。得られた無色油(収率84
%)は次の性質を有した。
元素分析値: 計算値:C46.13、H6.02、S27.36 C9H14S2O3 実測値:C45.97、H5.98、S27.28。
IR(ニートフィルム、νcm-1):3100w、2970m、2860
w、1460m、1410w、1350s、1250w、1160s、982s、830m、
800m、770s、710w、690w、630w、613w、570m。
UV-vis〔λ max、MeOH、nm(ε)〕:220(6.6×1
03)。
NMR(CDCl3、TMSに対するδ):7.33〜7.13(t、1
H)、7.03〜6.77(d、2H)、3.83(s、3H)、3.09
(t、2H)、2.67(t、2H)、2.2〜1.5(m、4H)。
実施例13 チオフェン−3−酢酸の重合 エス・ホッタ等の「Synth.Metals」(既述)に記載の
電気化学的重合法に従がい、アセトニトリルを溶剤と
し、LiClO4を電解質として用いて、室温において上式IV
のチオフェン−3−酢酸を重合した。青黒色フィルムが
生成した。これは、式Ia(Y1=H、R1=-CH2-、Ht=
S、X=CO2)の両性イオンポリマーの形成を示してい
る。このポリマーフィルムを電気化学的にサイクルさせ
たところ、青黒色から黄褐色に変色することを観察し
た。これはポリマーが両性イオン形から式Iで示される
中性形へ還元したことを示す。赤外スペクトルは提案し
た構造と一致した。
実施例14 ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸)ナト
リウム塩) チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸メチル)
(式V)を既述の方法で製造した。この単量体の重合
は、重合温度を−27℃に保った点を除いて実施例13と同
じ方法によった。得られたポリマー(「P3-ETSメチ
ル」、VI式)をアセトン中のヨウ化ナトリウムで処理し
てスルホン酸官能基からメチル基を除去し、ポリマーの
対応したナトリウム塩すなわちポリ(チオフェン−3−
(2−エタンスルホン酸)ナトリウム塩)(「P3-ETSN
a」)(式VII)を充分な収率(約98%)で得た。上記の
ポリマーメチルエステル及びポリマーナトリウム塩は赤
外及び可視紫外線吸収スペクトル計及び元素分析により
特性を調べた(第1図及び第2図参照)。ナトリウム塩
は水に全ての比率で溶解することが分り、水性溶液から
フィルム状に流延(キャスティング)成形しうることが
分かった。
電気化学セルをガラス中に構成し、電気化学ドーピン
グ及び電荷蓄積を現場(In Situ)光電気化学スペクト
ル計により立証した。セルはITO被覆ガラス(アノード
として役立つ)上に上記ポリマーのフィルムを形成した
もの、白金対電極(カソード)、銀/塩化銀基準電極、
及びテトラブチルアンモニウムパークロレート電解質よ
り構成された。第5図は、順次に高電開路電圧に荷電し
たセルについてとったP3-ETSNaの一連の可視近赤外スペ
クトルを示している。π‐π遷移が消尽し、それに伴
って振動子強度の2つの特性近赤外バンドへの移行する
という点で、得られた結果は導電性ポリマーに典型的な
ものである。第5図の結果は可逆電荷蓄積及びエレクト
ロクロミズムの両方を立証している。
電気伝達度は、全接点を予め付着したガラス基体上
に、水から重合体フィルムをキャストしたものを用い
た、標準の4プローブ技術により測定した。臭素蒸気に
露出すると、P3-ETSNaの電気伝導度は約1S/cmに上昇し
た。
実施例15 ポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホン酸)ナト
リウム塩) チオフェン−3−(4−ブタンスルホン酸メチル)
(式VIII)を既述の方法で製造した。重合は実施例13、
14に記載したと同一の条件及び方法で行った。得られた
ポリマー(「P3-BTSメチル」、式IX)をアセトン中ヨウ
化ナトリウムで処理したところ、充分な収率でポリ(チ
オフエン−3−(4−ブタンスルホン酸)ナトリウム
塩)(「P3-BTSNa」、式X)が得られた。重合メチルエ
ステル(式IX)及び対応するナトリウム塩(式X)は分
光測定(IR、UV可視)及び元素分析により特性を調べ
た。ナトリウム塩は水に全ての割合で溶解し、水溶液か
らのキャスティングによるフィルム形成を可能にするも
のであった。
電気化学セルを実施例14に従って構成して、現場(In
Situ)光電気化学分光測定を経て電気化学的ドーピン
グ及び電荷蓄積を立証した。第6〜7図はP3-BTSNa及び
P3-BTSメチルの順次に増大する開路電圧まで荷電したセ
ルについてとった一連の可視近赤外スペクトルを示す。
実施例14と同様に、π‐π遷移が消尽し、それに伴っ
て振動子強度が2つの特性赤外バンドにシフトする点
で、導電性ポリマーに典型的なものであることが分っ
た。実施例14と同様に、第6〜7図の結果は、可逆的電
荷蓄積及びエレクトロクロミズムの両方を立証する。
実施例16 ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸))の
製造と分析 既述の方法によりチオフェン−3−(2−エタンスル
ホン酸)のナトリウム塩重合体(式I)(Ht=S、Y1
H、R1=-CH2CH2-、X=SO3、M1=Na)を製造し、水に
溶解し、酸性形の陽イオン交換樹脂のイオン交換クロマ
トグラフ分離にかけ、ポリ(チオフェン−3−(2−エ
タンスルホン酸))の水溶液を調製した。暗赤褐色流出
物の原子吸光分析により、水素がナトリウムで完全に置
換されていることが分った。第8図はポリマーフィルム
に対して行ったサイクリックボルタンメトリーの結果を
示す(「P3-ETSH」/ITOガラス作用電極、白金対電極、
アセトニトリル中銀/塩化銀基準電極、フッ化ホウ酸−
トリフルオル酢酸電解質)。同図は、P3-ETSHが、強酸
性媒体中で銀/塩化銀に対し+0.1Vと+1.2Vの間でサイ
クルしたとき、電気化学的に強じんな重合体であること
を示している。図には間隔が密接した2本の酸化波が示
されており、第1のものはオレンジ色から緑色への変化
に対応している。重合体はサイクルでき、100mV/秒にお
いて安定性が認め得る程に変動しないで対応した色変化
が観測された。
電気化学セルをガラス中に構成し、現場(In Situ)
光電気化学分光測定により、電気化学的ドーピング及び
電荷蓄積を立証した。セルはITOガラス(アノード)上
のポリマーフィルム、白金対電極(カソード)、アセト
ニトリル中銀/塩化銀基準電極、フッ化ホウ酸−トリフ
ルオル酢酸電解質より成るものであった。
第9図は順次高い開路電圧に荷電したセルについて測
定したP3-ETSHの可視近赤外スペクトルを示す。この場
合、ポリマーは強酸性電解液中で自然にドープすること
が観測された。第9図の結果は、可逆的な電荷蓄積及び
エレクトロクロミズムの両方を立証する。短時間に自己
ドーピングレベルを制御することは、平衡回路電圧より
も低い電圧を印加することにより達成された。
実施例17 重合体複合体の調整 ポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホン酸))
(式I)(Ht=S、Y1=H、R1=-CH2CH2-、X=SO3、M
1=H、「P3-ETSH」)を実施例16により製造し、これを
次のように複合体の製造に用いた。上記化合物をポリビ
ニルアルコール水溶液と混合し、中性ポリマーをキャス
トしてフィルムとした。自立性の濃いオレンジ色のフィ
ルム(青黒色両性イオン性ポリマーとは違って電荷的に
中性)はすぐれた機械特性(柔軟で、平滑で、可撓性)
を有し、補償により化学ドーピング及び脱ドーピングす
ることができた。この導電性ポリマー複合体の製造方法
は、P3-ETSHまたはP3-BTSHに関連して任意の水溶性ポリ
マーの使用に広く応用しうる。
図面の簡単な説明 第1図はポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホ
ン酸メチル))の赤外スペクトルである。
第2図はポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホ
ン酸)ナトリウム塩)の赤外スペクトルである。
第3図はポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホ
ン酸メチル))の赤外スペクトルである。
第4図はポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホ
ン酸)ナトリウム塩)の赤外スペクトルである。
第5図はポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホ
ン酸)ナトリウム塩)の一連の可視近赤外スペクトルを
示す。
第6図はポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホ
ン酸)ナトリウム塩)の一連の可視近赤外スペクトルを
示す。
第7図はポリ(チオフェン−3−(4−ブタンスルホ
ン酸メチル))の一連の可視近赤外スペクトルを示す。
第8図はポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホ
ン酸))のフィルムで行なったサイクリックボルタンメ
トリーの結果を示す。
第9図はポリ(チオフェン−3−(2−エタンスルホ
ン酸))の一連の可視近赤外スペクトルを示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のモノマー単位から成り、該単位の0.
    01〜100モル%は下記の構造(I)を有する単位で構成
    される水溶性自己ドープ型導電性ポリマー: (式中、HtはNH、S、O、Se及びTeから成る群より選ば
    れ、Y1は水素または-R1-X-M1であり、R1は炭素数1〜10
    の線状又は枝分れアルキレン、エーテル、エステルある
    いはアミド成分であり、Xは であり、M1はH、Li、Na及びKからなる群より選ばれ、
    但し、Xが であるとき、M1はLi、Na及びKからなる群より選ばれ
    る)。
  2. 【請求項2】下記の構造(I): (式中、HtはNH、S、O、Se及びTeから成る群より選ば
    れ、Y1は水素または-R1-X-M1であり、R1は炭素数1〜10
    の線状又は枝分れアルキレン、エーテル、エステルある
    いはアミド成分であり、Xは であり、M1はH、Li、Na及びKからなる群より選ばれ、
    但し、Xが であるとき、M1はLi、Na及びKからなる群より選ばれ
    る) を有する水溶性自己ドープ型導電性ポリマーを製造する
    に際し、 下記の構造(II): (式中、Ht、R1及びXは上記(I)式において定義した
    通りであり、Y1は水素または-R1-X-M3であり、M3はM1
    るいは炭素数1〜2のアルキル基である) を有するモノマーを含む電解溶液を準備し; 該電解溶液中に作用電極及び対向電極を浸漬し; 該作用電極及び該対向電極に電圧をかけ、それにより該
    作用電極における該モノマーの重合を行ない; M3が炭素数1〜2のアルキル基である場合には、M3をM1
    に置換する工程を含む構造(I)を有する水溶性自己ド
    ープ型導電性ポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】前記構造(II)を有するモノマーを2−
    (3−チエニル)エタンスルホン酸メチル及び4−(3
    −チエニル)ブタンスルホン酸メチルから成る群より選
    ぶ請求項2記載の方法。
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