JPH08137396A - 偽造防止用シール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 改ざんを防止する偽造防止用シールを、その
シールに用いた透明フィルム自体に一度透明フィルムを
剥がすとそれが一部の剥離によってそのまま元の透明フ
ィルムを貼着する場合であれ、全部剥離して別の新たな
透明フィルムを貼着することであれ、改ざんしたことが
すぐに判明できるようにした。 【構成】 本発明の偽造防止用シールは、透明フィルム
１と、粘着剤層４、及び剥離紙５を順に積層したものか
ら成り、この透明フィルム１には蛍光性材料を添加ある
いは蛍光性材料を含むインク２を印刷する。また、上記
透明フィルム１には蛍光性材料の他に透明フィルム１側
より粘着剤層側に接合力を強くした転写性に富むインク
を印刷する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は偽造防止用シール、特に
パスポートや証紙、その他印刷証明や銀行印などに用い
る文書、写真、印刷物、絵画、図面等の改ざん防止用と
して用いる偽造防止用シールに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の偽造防止用シールとして
は、透明で耐摩耗性のある合成樹脂フィルムに粘着剤を
塗布したものを剥離紙から剥離容易にしたものが用いら
れ、これを被着体としてのパスポートや通帳上の写真や
印鑑の上から貼着していた。

【０００３】しかし、こうしたシールは、上記貼着した
透明フィルムを被着体から慎重に剥離し、写真等を別人
の新しいものに再貼着することができ、改ざん防止のシ
ールとしては不十分であった。

【０００４】そこで、この欠点を解決するために、上記
透明フィルムに螢光性材料をフィルム製造時に樹脂中に
添加するか、フィルム成形後に螢光性材料で出来たイン
クを印刷するかすることにより、上記剥離後の新たな透
明フィルムが元の透明フィルムであるか否かを紫外線の
照射によって螢光性材料の有無あるいは文字などの分布
状況を元のものと異なるか否かを判断することにより改
ざんの有無を判断している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のシールは改ざんする側において、予め螢光性材料を
分析して予めこれと同じ透明フィルムを用意することは
さほど難しい事ではなく、フィルムの剥離後に写真等を
取り替えて元と同じ螢光材料を分布した透明フィルムを
再貼着するといった手口も考えられるに至った。

【０００６】そこで、本発明では一度透明フィルムを剥
離すると、それが一部剥がした後で写真等を改ざんする
か、全部を剥がしてしまって別の写真を入れて新たな透
明フィルムを再貼着した場合でも、改ざんしたことがす
ぐに判明することにより、実質上改ざんができないよう
にした偽造防止用シールを提供せんとする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の偽造防止用シー
ルは、上記課題に鑑みてなされたものであり、その要旨
は透明フィルムと、該フィルムを被着体に貼着する粘着
剤層と、該層に被着体に貼着する際に剥離する剥離紙と
を積層し、前記透明フィルムには蛍光性材料を添加する
かあるいは蛍光性材料を含むインクを前記粘着剤層側に
印刷した偽造防止用シールであって、前記蛍光性材料の
添加あるいは印刷と共に、透明フィルム側より粘着剤層
側に接合力を強くした転写性に富むインクを透明フィル
ムに印刷することで剥離に際してインクを透明フィルム
から粘着剤層に転写するようにした偽造防止用シールに
ある。

【０００８】ここで、上記螢光材料としては、螢光増白
剤、螢光染料、集光染料等を含み、これを透明フィルム
を製造するに際して溶融樹脂中に添加するか、インクを
用いて印刷する。透明フィルムと相溶性ないインクとし
ては、ジェットノズルで透明フィルム面に噴射された顔
料や染料を溶融樹脂中に混合したインクと、透明フィル
ムの樹脂とが相溶性がなく、両者を圧接後に指等で比較
的簡単に剥離できるものを示す。

【０００９】また、本発明の別の要旨として、前記透明
フィルムを脆性あるいは展性に富むフィルムとした請求
項１に記載の偽造防止用シールがある。

【００１０】

【作用】本発明では、透明フィルムに添加あるいは印刷
した螢光性材料により、フィルムを剥離して写真を交換
するなど改ざん後に螢光性材料がない新たな透明フィル
ムを再貼着することにより、改ざんを発見できるように
しただけではなく、透明フィルムを一部剥離して改ざん
後にそのままフィルムを貼着する場合であっても剥離時
に透明フィルムの転写性に富むインクが粘着剤と共に改
ざんしようとする写真など被着体の一部に転写されるの
で、改ざん後に貼着しても改ざん箇所に転写したインク
は改ざん時に除去されているので元のように完全な状態
で残存できないようになり改ざんの有無を見分けること
ができる。

【００１１】

【実施例】以下に本発明の実施例である偽造防止用シー
ルの実施例を添付図面に従って説明する。

【００１２】図１は本発明の偽造防止用シールを概説す
る縦断面図、図２乃至図３は図１を使用した改ざん時の
状態説明図である。

【００１３】本発明の偽造防止用シールは、透明フィル
ム１と、粘着剤層４と、粘着剤層４と剥離可能にした剥
離紙５とから成り、前記透明フィルム１には螢光材料の
印刷インク２と転写性に富む印刷インク３が設けられて
いることを主なる構成とする。

【００１４】透明フィルム１は、耐変色、耐水、耐久の
他に透視性など、写真や印鑑などを被覆するためフィル
ム本来の性質を要求されることが一般的ではあるが、本
発明ではこれらの条件を全て具備しているフィルムであ
る必要はなく、また写真等を透視して確認できるものな
らば半透明のものであってもよい。また、材質もＰＥ
Ｔ、ＰＥ、塩化ビニルなど特に限定しない。

【００１５】粘着剤層４に使用する粘着剤はアクリル
系、ゴム系の合成樹脂など市販のものを含む通常知られ
たものを用いることができる。

【００１６】また、剥離紙５や、螢光材料を含む印刷イ
ンク２と転写性に富む印刷インク３とは一般に知られた
ものを用い、剥離紙もシリコーンなど粘着剤層側に剥離
処理したものの他に、剥離紙５自体が剥離できる性質の
ものであってもよい。

【００１７】透明フィルムに印刷した螢光材料を含む印
刷インク２は、通常のフィルムインクと同じく透明フィ
ルム１に強固に密着して印刷されるものであってインク
に螢光性材料を染料または顔料として使用するものであ
って、インクを印刷された透明フィルム１は普通の照明
状態では肉眼で見えず、仮りに見えたとしても文字ある
いは模様の判別はできない隠し印刷で、しかも紫外線ラ
ンプを使用すれば鮮明に判別ないし読み取りが可能にな
る特性を有するものである。転写性に富む印刷インク３
としては、透明フィルム１との密着性を適度に弱くした
ものであればよく、例えば粘着剤層４の合成樹脂と相溶
性を有し、透明フィルム１とは相溶性のない樹脂を用い
る。

【００１８】なお、上記実施例によれば、螢光材料を含
む印刷インク２を透明フィルム１側に印刷しているが、
この他に螢光材料を透明フィルム１内に一定の形態に文
字、模様、記号、あるいは単に特定した状態で分散した
ものを用いてもよい。

【００１９】上記構成からなる本発明の使用状態とそれ
による改ざん防止作用を被着体としてのパスポート６に
ある写真７−１をカバーするものを例に挙げて以下に説
明する。

【００２０】図１の偽造防止用シールの剥離紙５を剥が
して被着体６としてのパスポート紙にある証明写真の上
から粘着剤層４付きの透明フィルム１を貼着するだけで
パスポート写真の偽造が防止できる。

【００２１】けだし、これを偽造しようとして透明フィ
ルム１をパスポートから剥がすと、透明フィルム１はフ
ィルムに印刷または添加した螢光材料と共に離される
が、この際に転写性に富むインク３は粘着剤層４の側に
転写される（図２）。ただし、粘着剤層４の一部は透明
フィルム１に付着することもある。

【００２２】したがって、改竄者が透明フィルム１を全
て剥がしてから写真７−１を取り替えて螢光性材料のな
い新しい透明フィルム１を貼着すると、それを紫外線で
照射する螢光が現われず改ざんされたことが判かる。ま
た、仮りに剥がされた透明フィルム１と同じ形態の蛍光
性材料を有する新たな透明フィルムを再貼着したとして
も、被着体６側に残存した粘着剤層４に転写性に富むイ
ンク３が転写されているために、転写インクの一部また
は全部が写真７−１の側に付着してしまい、改ざん用の
新たな写真７−２を透明フィルム１の下に介在させよう
としても転写性に富むインク３は元の写真とともに付着
し、これを無理に剥がそうとすればもとの透明フィルム
１側に印刷された状態とはならず、結果改ざん用の写真
を貼っても転写性に富むインク３の一部または全部が新
たな写真上に残らず、視覚によっても改ざん跡が容易に
判明するようになる（図３）。

【００２３】上記実施例によれば、透明フィルム１は透
明、耐水など通常の強度を有するものを前提としている
が、この他に透明フィルム１を脆性あるいは展性に富む
フィルムとすることもできる。この脆性ないし展性に富
むフィルムを選択すると、これを無理に被着体６から剥
がそうとした場合に原型を残した状態では決して剥がれ
ず、剥がれると復元不可能な形態に変化し、これによっ
て透明フィルムに一定の形態で添加あるいは印刷したイ
ンクは散逸するか引き伸ばされた状態のままとなって改
ざんされたことが判る。

【００２４】なお、上記脆性に富む材料は機械的に脆い
シート状フィルムで、剥がそうとしてもシート状になら
ずに薄紙状に破れて断片となり、被着体面に粘着剤と共
に微小片が分散固着して残存するようになる。このよう
な材料は一般にはシートとして不向きな材料であるが、
合成樹脂のシートを製造する加工業者であれば分子配合
に多少の考慮を加えることにより常法によって容易に製
造が可能である。また、パスポート写真の偽造防止であ
るばかりでなく証紙等で被着体の保護膜としての役割も
必要な場合が実用上多く、その場合はフィルム外表面の
平滑性、耐摩耗性、耐久性などを兼備することも必要で
あるが、その要求は脆性の要求と相反するものでなく、
業界の常識にしたがって両要求を満足するものが製造可
能であることも分かっている。

【００２５】また、展性に富む材料は、例えば市販の薄
手の未延伸のポリエチレンフィルムのようなものがこれ
に該当する。そのようなシートは弾性に乏しく、被着体
から剥がそうとすると伸びてしまい、収縮して復元する
ことがない。

【００２６】以上に挙げた二種類の材料は、いずれも強
度に乏しく、シールの製造時に貼り合わせ作業と製品の
取り扱いの便宜のため、まず、はじめに補強用に保護テ
ープで裏打ちをする事が必要である。

【００２７】この脆性あるいは展性に富むフィルムを使
用した本発明の偽造防止用シールでは、上記脆性あるい
は展性に富むシート材料を被着体に十分固着させ、被着
体より剥がれないようにするため、粘着力の優れた粘着
剤を前記印刷面に塗布し粘着剤層を形成する必要があ
る。

【００２８】以上の対策を組み合わせて使用することに
より、本発明における改竄の事実は容易かつ確実に発見
でき、安全な偽造防止が可能になる。

【００２９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の偽造防止用
シールは、写真や印鑑など改ざんを防止するための透明
フィルムに蛍光性材料を添加あるいは蛍光性材料を含む
インクを透明フィルムに印刷しておくことにより、透明
フィルムの一部あるいは全部剥離の改ざんを発見するだ
けでなく、透明フィルムより粘着剤層側に接合力を強く
した転写性に富むインクを塗布することで、改ざんされ
た事実を転写性に富むインクを透明フィルム側から粘着
剤層側に転写させて改ざんを実質的に不可能にした。

【００３０】また、透明フィルムを脆性あるいは展性に
富むものを使用することで、偽造が証紙など表面にある
脆性あるいは展性に富む合成樹脂フィルムの破壊ないし
変形による場合、伸びきったフィルムあるいは破れたフ
ィルム小片が被着体面に残留し、そのままか、その上か
ら新たなシートを再貼着したとしても、伸びきったフィ
ルム中の蛍光性材料か、残留フィルム小片に含まれる蛍
光性材料が、紫外線照射によって当所予定された配光と
は異なって発光することになり、これによって偽造を発
見することができる。この場合、上記フィルム小片を溶
剤で拭きとって外見上に判らなくしても、蛍光性材料が
被着体面に付着残留することによって発見することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の偽造防止用シールの縦断面図で
ある。

【図２】図２は、図１を用いて偽造を防止できることを
説明する概略斜視図である。

【図３】図３は、図１を用いて偽造を防止できることを
説明する概略斜視図である。

【符号の説明】

１ 透明フィルム ２ 蛍光性材料を含むインク ３ 転写性に富むインク ４ 粘着剤層 ５ 剥離紙 ６ 被着体（パスポート紙） ７−１ 改ざん前の写真 ７−２ 改ざん後の写真

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明フィルムと、該フィルムを被着体に
   貼着する粘着剤層と、該層に被着体に貼着する際に剥離
   する剥離紙とを積層し、前記透明フィルムには蛍光性材
   料を添加するかあるいは蛍光性材料を含むインクを前記
   粘着剤層側に印刷した偽造防止用シールであって、 前記蛍光性材料の添加あるいは印刷と共に、透明フィル
   ム側より粘着剤層側に接合力を強くした転写性に富むイ
   ンクを透明フィルムに印刷することで剥離に際してイン
   クを透明フィルムから粘着剤層に転写するようにした偽
   造防止用シール。
2. 【請求項２】 前記転写性に富むインクに含有した合成
   樹脂が、前記透明フィルムの合成樹脂と相溶性がなく、
   粘着剤層の合成樹脂の粘着剤と相溶性を有するものであ
   る請求項１に記載の偽造防止用シール。
3. 【請求項３】 前記透明フィルムを脆性あるいは展性に
   富むフィルムとした請求項１に記載の偽造防止用シー
   ル。