JPH08131189A - (2r,3s)−3−フェニルグリシド酸エステル系化合物の取得方法 - Google Patents

(2r,3s)−3−フェニルグリシド酸エステル系化合物の取得方法

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JPH08131189A
JPH08131189A JP26984694A JP26984694A JPH08131189A JP H08131189 A JPH08131189 A JP H08131189A JP 26984694 A JP26984694 A JP 26984694A JP 26984694 A JP26984694 A JP 26984694A JP H08131189 A JPH08131189 A JP H08131189A
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Ayumi Inoue
歩 井上
Masaru Mitsuta
賢 光田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】高い光学純度を有する(2R,3S)−3−フ
ェニルグリシド酸エステル系化合物の微生物による取得
方法の提供。 【構成】下記一般式 (式中、Rは低級アルキル基、Rは、ハロゲン原
子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示し、n
は0〜5の整数。)で表されるトランス−3−フェニル
グリシド酸エステル系化合物に、該化合物のうち立体配
置が(2S,3R)である光学活性体のエステル結合を
選択的に不斉加水分解する能力を有するArthrob
acter属に属する微生物の培養液または微生物培養
液処理物、あるいは、菌体または菌体処理物を作用させ
て、立体配置が(2S,3R)である光学活性体を加水
分解した後、反応液より立体配置が(2R,3S)であ
る光学活性体を回収することを特徴とする(2R,3
S)−3−フェニルグリシド酸エステル系化合物の取得
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(2R,3S)−3−
フェニルグリシド酸エステル系化合物の取得方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】(2R,3S)−3−フェニルグリシド
酸エステル系化合物は、冠血管拡張剤として有用な塩酸
ジルチアゼム及びその他の各種医薬化合物の合成中間体
として重要な化合物である。従来、これら化合物の取得
方法として、トランス−3−フェニルグリシド酸エステ
ル系化合物に、該化合物のうち一方の光学活性体のエス
テル結合を選択的に不斉加水分解する能力を有するカビ
(アスペルギルス属、リゾプス属、ムコール属、フミコ
ーラ属、アプシディア属、フザリウム属、ジベレラ属、
ノイロスポラ属またはトリコデルマ属)、細菌(シュー
ドモナス属、クロモバクテリウム属、アクロモバクター
属、バチルス属、アルカリゲネス属、バシルス属、ブレ
ビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、プロビデン
シャ属、セラチア属またはノカルディア属)、酵母(キ
ャンディダ属またはサッカロマイコプシス属)等の微生
物の培養液または微生物培養液処理物、あるいは、菌体
または菌体処理物、または哺乳動物由来の酵素(ブタ膵
臓リパーゼ、ブタ肝臓エステラーゼ、トリプシン、キモ
トリプシン、パンクレアチンまたはコレステロールエス
テラーゼ)を作用させて一方の光学活性体を加水分解し
た後、反応液より該光学活性体の対掌体を分取する方法
(特開平2−109995、特開平3−15398、特
開平4−501360)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、使用する微生物の培養液または微生物培養液処
理物、菌体または菌体処理物、または哺乳動物由来の酵
素の、トランス−3−フェニルグリシド酸エステル系化
合物のうち立体配置が(2S,3R)である光学活性体
のエステル結合を選択的に不斉加水分解する能力が充分
でないため高い光学純度を有する(2R,3S)−3−
フェニルグリシド酸エステル系化合物を取得できなかっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは鋭意検討を行った結果、ある特定な属に属する
微生物が産生する酵素に、トランス−3−フェニルグリ
シド酸エステル系化合物のうち立体配置が(2S,3
R)である光学活性体のエステル結合を選択的に不斉加
水分解するすぐれた能力が存在することを見い出し、本
発明を完成した。すなわち、本発明は一般式 化2
【化2】 (式中、R1 は低級アルキル基を示し、R2 はハロゲン
原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示し、
nは0〜5の整数を示す。)で表されるトランス−3−
フェニルグリシド酸エステル系化合物に、該化合物のう
ち立体配置が(2S,3R)である光学活性体のエステ
ル結合を選択的に不斉加水分解する能力を有するアルス
ロバクター(Arthrobacter)属に属する微
生物の培養液または微生物培養液処理物、あるいは、菌
体または菌体処理物を作用させて、立体配置が(2S,
3R)である光学活性体を加水分解した後、反応液より
立体配置が(2R,3S)である光学活性体を回収する
ことを特徴とする(2R,3S)−3−フェニルグリシ
ド酸エステル系化合物の取得方法(以下、本発明方法と
記す。)を提供するものである。
【0005】以下、詳細に本発明を説明する。
【0006】本発明方法における原料化合物である、一
般式 化2で示されるトランス−3−フェニルグリシド
酸エステル系化合物において、R1 で表される低級アル
キル基とは、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル
基またはイソプロピル基等であり、R2 で表されるハロ
ゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または
ヨウ素原子であり、R2 で表される低級アルキル基と
は、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、ブチル基、イソブチル基またはtert−ブチ
ル基等であり、R2 で表される低級アルコキシ基とは、
たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基また
はイソプロポキシ基等である。
【0007】そして一般式 化2で示されるトランス−
3−フェニルグリシド酸エステル系化合物の好ましい例
としては、たとえば、R1 はメチル基、エチル基または
イソプロピル基であり、R2 は塩素原子、メチル基また
はメトキシ基で、その置換位置は4位であり、nは1で
ある化合物をあげることができる。
【0008】なお、本発明方法における原料化合物であ
る、一般式 化2で示されるトランス−3−フェニルグ
リシド酸エステル系化合物としては、立体配置が(2
S,3R)である光学活性体および立体配置が(2R,
3S)である光学活性体を等量含むラセミ型(以下、ラ
セミ型トランス−3−フェニルグリシド酸エステル系化
合物と記す。)はもちろんのこと、どちらか一方の光学
活性体を多く含む光学活性な状態のものであってもよ
い。
【0009】つぎに、一般式 化2で示されるトランス
−3−フェニルグリシド酸エステル系化合物のうち立体
配置が(2S,3R)である光学活性体のエステル結合
を選択的に不斉加水分解する能力を有する微生物の培養
液または微生物培養液処理物、あるいは、菌体または菌
体処理物について説明する。一般式 化2で示されるト
ランス−3−フェニルグリシド酸エステル系化合物のう
ち立体配置が(2S,3R)である光学活性体のエステ
ル結合を選択的に不斉加水分解する能力を有する微生物
の培養液または微生物培養液処理物、あるいは、菌体ま
たは菌体処理物は、アルスロバクター(Arthrob
acter)属に属する微生物由来である必要がある
が、該微生物は野生株、変異株であってもよく、さらに
はこれらの微生物から、遺伝子組み換え、細胞融合など
の生物工学的手法により誘導されるものであってもよ
い。アルスロバクター(Arthrobacter)属
に属する微生物としては、たとえば、アルスロバクター
ウレアファシエンス ノブ バール(Arthrob
acter ureafaciens nov.va
r.)、アルスロバクター グロビフォルミス(Art
hrobacter globiformis)等の公
知な種(species )に属する菌株をあげることができ
る。
【0010】微生物の培養液または微生物培養液処理
物、あるいは、菌体または菌体処理物には、上記の微生
物によって産生された、一般式 化2で示されるトラン
ス−3−フェニルグリシド酸エステル系化合物のうち立
体配置が(2S,3R)である光学活性体のエステル結
合を選択的に不斉加水分解する能力を有する酵素(エス
テラーゼまたはリパーゼ)が含まれている。このため、
一般式 化2で示されるトランス−3−フェニルグリシ
ド酸エステル系化合物に微生物の培養液または微生物培
養液処理物、あるいは、菌体または菌体処理物を作用さ
せることによって(2R,3S)−3−フェニルグリシ
ド酸エステル系化合物が選択的に取得可能になる。ここ
で、微生物培養液処理物とは、微生物培養液の上清、該
上清の凍結乾燥物もしくはアセトン沈殿物等の粗酵素、
あるいは該粗酵素を共有結合、イオン結合、吸着などに
より担体に結合させる担体結合法、高分子の網目構造の
なかに閉じ込める包括法等の固定化の方法〔ポリアクリ
ルアミド法、含硫多糖ゲル法(κ−カラギーナンゲル
法)、アルギン酸ゲル法、寒天ゲル法等〕によって不溶
化し、容易に分離可能な状態に加工したもの( 固定化
物)等を意味し、また菌体処理物とは、菌体を超音波、
ホモジェナイザーおよびフレンチプレス等の通常用いら
れる処理方法により破砕された菌体破砕物もしくは酵
素、あるいは菌体、菌体破砕物、酵素等を共有結合、イ
オン結合、吸着などにより担体に結合させる担体結合
法、高分子の網目構造のなかに閉じ込める包括法等の固
定化の方法〔ポリアクリルアミド法、含硫多糖ゲル法
(κ−カラギーナンゲル法)、アルギン酸ゲル法、寒天
ゲル法等〕によって不溶化し、容易に分離可能な状態に
加工したもの( 固定化物) 、菌体を凍結乾燥したもの、
菌体をアセトン乾燥処理したもの等である。
【0011】反応条件としては、使用する菌体または菌
体破砕物の濃度は、例えば、約0.01重量% 〜約20重量%
、好ましくは、約0.01重量% 〜約10重量% を挙げるこ
とができる。また粗酵素、酵素または固定化物の濃度
は、その精製度または固定化方法等によって変化する
が、例えば、前記の菌体または菌体破砕物が有すると同
等の不斉加水分解する能力が存在するように調製するこ
とが好ましい。培養液はそのままの状態で、一般式 化
2で示されるトランス−3−フェニルグリシド酸エステ
ル系化合物を添加することによって用いることもできる
が、好ましくは、前記の菌体または菌体破砕物が有する
と同等の不斉加水分解する能力が存在するように希釈ま
たは濃縮等によって調製することが好ましい。反応基質
の濃度は、例えば、約0.01重量% 〜約50重量% 、好まし
くは、約0.1重量% 〜約20重量% を挙げることができ
る。また反応温度は、例えば、約10℃〜約50℃、好
ましくは約25℃〜約40℃を、反応pHは、例えば、
約5〜約10、好ましくは、約6〜約9を、反応時間
は、例えば、約10分間〜約48時間を挙げることがで
きる。
【0012】反応液からの(2R,3S)−3−フェニ
ルグリシド酸エステル系化合物の回収は、一般に知られ
ている任意の方法で行うことができる。例えば、トルエ
ン、四塩化炭素等の有機溶媒による抽出・減圧濃縮等の
方法をあげることができる。必要に応じて、前処理とし
て、例えば、反応液から菌体等を遠心分離等によって除
去する操作や、活性炭あるいはイオン交換樹脂等による
処理によって不純物等を除去する操作を行うこともでき
る。
【0013】本発明方法は、微生物の培養液または微生
物培養液処理物、あるいは、菌体または菌体処理物を水
またはリン酸緩衝液等の緩衝液等の水性溶液に懸濁し、
これを一般式 化2で示されるトランス−3−フェニル
グリシド酸エステル系化合物に加えて反応させることも
できるが、水または水性溶液と有機溶媒との二相溶媒系
で反応させることが好ましい。有機溶媒としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロ
ロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロ
ロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、n−プロピルア
ルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール、t−ブチルアルコール、ジエチルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン等があげられる。好ましくは、四塩化炭
素、トルエンをあげることができる。また、界面活性剤
の存在下で反応を行えば、反応時間の短縮や目的物であ
る(2R,3S)−3−フェニルグリシド酸エステル系
化合物の収量増加が可能である。界面活性剤としては、
例えば、臭化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチ
ルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリオキシ
エチレンオクチルフェニルエーテル、ラウリル硫酸ナト
リウム等をあげることができる。添加量としては、例え
ば、反応液100ml に対して、約0.0001mg〜約0.1gをあげ
ることができる。
【0014】本発明方法において使用される微生物の培
養には、一般細菌における通常の培養に使用される炭素
源、窒素源、有機ないし無機塩等を適宜含む各種の培地
を使用することができる。炭素源としては、グルコー
ス、グリセリン、デキストリン、シュークロース、動植
物油、糖蜜等が挙げられる。窒素源としては、肉エキ
ス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コー
ン・スティープ・リカー(corn steep liquor)、綿実
粉、乾燥酵母、カザミノ酸、塩化アンモニウム、硝酸ナ
トリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸
アンモニウム、尿素等の有機または無機窒素源等が挙げ
られる。有機ないし無機塩としては、カリウム、ナトリ
ウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等
の塩化物、硫酸塩類、酢酸塩類、炭酸塩類およびリン酸
塩類、具体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫
酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバ
ルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素一カリウム、リン酸
水素二カリウム、リン酸水素一ナトリウム、リン酸水素
二ナトリウム等を挙げることができる。また、不斉加水
分解する能力の高い微生物の培養液または微生物培養液
処理物、あるいは、菌体または菌体処理物を取得するた
めには、一般式 化2で示されるトランス−3−フェニ
ルグリシド酸エステル系化合物、トリブチリン、トリオ
レイン等の脂肪酸エステル系化合物またはオリーブ油等
の存在下に微生物を培養することが好ましい。これら添
加物の添加量としては、例えば、培地100ml に対して、
約1mg〜約1g、好ましくは、約100mg 〜約1gを挙げるこ
とができる。
【0015】本発明方法において使用される微生物の培
養は、一般細菌における通常の培養方法に準じて行わ
れ、固体培養または液体培養[ 試験管振盪培養、往復式
振盪培養、回転振盪培養、ジャーファーメンター(jar f
ermenter) 培養、培養タンク(fermentation tank) 等]
いずれも可能である。培養は通常、好気的条件下でおこ
なわれる。特にジャーファーメンターゼ培養タンクを使
用する場合、無菌空気を導入する必要があり、通常、培
養液量の約0.1 〜約2 倍/ 分の通気条件を用いる。培養
温度は、微生物が生育する範囲で適宜変更できるが、例
えば、約2℃〜約45℃、好ましくは、約25℃〜約4
0℃の範囲である。培地のpHは、例えば、約5〜約8
を好ましくあげることができる。培養時間は、種々の条
件によって異なるが、通常、約1〜約7日間程度が好ま
しい。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例になんら限定されるものでない。
【0017】実施例1 (菌体培養例) グルコース10.0g/L、ペプトン5.0g/L、肉
エキス5.0g/Lおよび食塩3.0g/Lからなる殺
菌済み培地(pH7.2)150mLを500mL容肩
付きフラスコに入れたものに、アルスロバクター・グロ
ビフォルミス(Arthrobacter globi
formis)IFO−12958を斜面培養から2白
金耳植菌した。これを30℃で80時間、135stroke
/minで往復振とう培養し、菌体培養液を得た。
【0018】実施例2 (粗酵素調製例) 実施例1によって得られたアルスロバクター・グロビフ
ォルミス(Arthrobacter globifo
rmis)IFO−12958の菌体培養液8Lから遠
心分離(10000g,10min,4℃)にて菌体を
集めた。この菌体を洗浄後、0.05M−HEPES−
KOH(pH7.2)緩衝液300mLに懸濁し、フレ
ンチプレス(20000psi)により破砕する操作を
2回繰り返した。該破砕物から遠心分離(10000
g,30min,4℃)によって、菌体残渣を除去後、
その上清を透析チューブ(和光純薬製)に入れ、10m
M−HEPES−KOH(pH7.2) 中、4℃で該緩衝液を
4回交換して24時間透析を行った。得られた透析物を
あらかじめ0.05M−HEHPES−KOH(pH
7.2)緩衝液で平衡化した陰イオン交換樹脂であるD
EAE−セファロースFF(ファルマシア社製)を充填
したカラム(直径50mm×200mm)に通塔して酵
素を吸着させた。該カラムを0.05M−HEPES−
KOH(pH7.2)で充分に通塔洗浄後、0M〜1.
0M塩化カリウムを含む0.05M−HEPES−KO
H(pH7.2)により段階的に吸着物を溶出させた。
トランス−3−フェニルグリシド酸エステル系化合物の
うち立体配置が(2S,3R)である光学活性体のエス
テル結合を選択的に不斉加水分解する能力を有する画分
を回収後、該回収画分を透析チューブ(和光純薬製)に
入れ、10mM−HEPES−KOH(pH7.2)
中、4℃で該バッファーを4回交換して24時間透析を
行った。得られた透析物を抽出条件を0.2M〜0.8
M塩化カリウムを含む0.05mM−HEPES−KO
H(pH7.2)にかえる以外は同じ条件で再び陰イオ
ン交換クロマトグラフィーによって精製し、上記と同様
に透析後、粗酵素液を得た。
【0019】実施例3 (反応例 その1) 実施例1によって得られたアルスロバクター・グロビフ
ォルミス(Arthrobacter globifo
rmis)IFO−12958の菌体培養液から遠心分
離(10000g,10min,4℃)によって集菌し
蒸留水で2回洗浄した後、0.5Mリン酸緩衝液(pH
7.5)に懸濁させた。この懸濁液5mlをラセミ型ト
ランス−3−(4−メトキシフェニル)グリシド酸メチ
ルエステル20mgを含むトルエン5mlに添加し、3
0℃にて3日間反応させた。反応後トルエン層を分取し
て、ダイセル化学工業(株)製キラルセルOJ(φ4.
6x250mm)を用い高速液体クロマトグラフィーに
より、トランス−3−(4−メトキシフェニル)グリシ
ド酸メチルエステルの光学異性体比を分析した結果、
〔立体配置が(2S,3R)である光学活性体〕:〔立
体配置が(2R,3S)である光学活性体〕=35.
9:64.1であった。 高速液体クロマトグラフィー分析条件 カラム;ダイセル化学工業(株)製キラルセルOJ(φ
4.6x250mm) カラム温度;40℃ キャリア組成;n−ヘキサン:イソプロピルアルコール
=40:1(v/v) キャリア流量;1.0 ml/min サンプル注入量;10μl 検出器;UV254
【0020】実施例4 (反応例 その2) アルスロバクター ウレアファシエンス ノブ バール
(Arthrobacter ureafaciens
nov.var.)由来のリパーゼ(住友化学工業
(株)製)100mgを0.5Mリン酸緩衝液(pH
7.5)5mlに懸濁させた。この懸濁液をラセミ型ト
ランス−3−(4−メトキシフェニル)グリシド酸メチ
ルエステル20mgを含むトルエン5mlに添加し、マ
グネチックスターラーで攪拌しながら30℃にて6時間
反応させた。反応後トルエン層を分取して、実施例3と
同様にしてトランス−3−(4−メトキシフェニル)グ
リシド酸メチルエステルの光学異性体比を分析した結
果、〔立体配置が(2S,3R)である光学活性体〕:
〔立体配置が(2R,3S)である光学活性体〕=<
1.0:>99.0であった。
【0021】実施例5 (反応例 その3) アルスロバクター ウレアファシエンス ノブ バール
(Arthrobacter ureafaciens
nov.var.)由来のリパーゼ(住友化学工業
(株)製)500mgを0.5Mリン酸緩衝液(pH
7.5)25mlに懸濁させた。この懸濁液をラセミ型
トランス−3−(4−メトキシフェニル)グリシド酸メ
チルエステル4.5gを含むトルエン25mlに添加
し、マグネチックスターラーで攪拌しながら30℃にて
6時間反応させた。反応後トルエン層を分取した後、減
圧濃縮することによって、(2R,3S)−3−(4−
メトキシフェニル)グリシド酸メチルエステル2.2g
を粗結晶として得た。この粗結晶をイソプロピルアルコ
ールから再結晶して、(2R,3S)−3−(4−メト
キシフェニル)グリシド酸メチルエステルの結晶2.1
gを得た。 mp.;87−88℃ [α]D 22;−206.2°(c=1,メタノール) 純度 ;97.1%
【0022】
【発明の効果】本発明により、トランス−3−フェニル
グリシド酸エステル系化合物のうち立体配置が(2S,
3R)である光学活性体のエステル結合を選択的に不斉
加水分解する能力を有するアルスロバクター(Arth
robacter)属に属する微生物を利用することに
よって、高い光学純度を有する(2R,3S)−3−フ
ェニルグリシド酸エステル系化合物を取得することが可
能になった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 化1 【化1】 (式中、R1 は低級アルキル基を示し、R2 はハロゲン
    原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示し、
    nは0〜5の整数を示す。)で表されるトランス−3−
    フェニルグリシド酸エステル系化合物に、該化合物のう
    ち立体配置が(2S,3R)である光学活性体のエステ
    ル結合を選択的に不斉加水分解する能力を有するアルス
    ロバクター(Arthrobacter)属に属する微
    生物の培養液または微生物培養液処理物、あるいは、菌
    体または菌体処理物を作用させて、立体配置が(2S,
    3R)である光学活性体を加水分解した後、反応液より
    立体配置が(2R,3S)である光学活性体を回収する
    ことを特徴とする(2R,3S)−3−フェニルグリシ
    ド酸エステル系化合物の取得方法。
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