JPH08129751A - 磁気記録媒体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及びその製造装置

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JPH08129751A
JPH08129751A JP28923594A JP28923594A JPH08129751A JP H08129751 A JPH08129751 A JP H08129751A JP 28923594 A JP28923594 A JP 28923594A JP 28923594 A JP28923594 A JP 28923594A JP H08129751 A JPH08129751 A JP H08129751A
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JP28923594A
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Jota Ito
条太 伊藤
Koji Naruse
宏治 成瀬
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
Kazunobu Chiba
一信 千葉
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ベースフィルム11の相対的移動方向と交差す
る幅方向Wにおけるベースフィルム11への金属磁性材料
18の入射角θ(幅方向Wに存在する2箇所の磁性材料飛
翔端位置P1 、P2 のそれぞれと、これら飛翔端位置間
の中点Cに対応するベースフィルム11上の位置とを結ぶ
両直線の交差角)を50度以下とする、磁気記録媒体の製
造方法。 【効果】 金属磁性薄膜の磁性粒子の配向性を向上さ
せ、角型比等の磁気特性(電磁変換特性)を向上させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性薄膜からなる磁性
層を支持体上に有する磁気記録媒体、いわゆる強磁性金
属薄膜型の磁気記録媒体(例えば磁気テープ、磁気ディ
スク)の製造方法及びその製造装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来より磁気記録媒体としては、非磁性支
持体上にγ−Fe2 3 、Coを含有するγ−Fe2
3 、Fe3 4 、Coを含有するFe3 4 、γ−Fe
2 3 とFe3 4 とのベルトライド化合物、Coを含
有するベルトライド化合物、CrO2 等の酸化物強磁性
粉末、あるいはFe、Co、Ni等を主成分とする合金
磁性粉末等の粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系
共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の有
機バインダー中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥す
ることにより作製される塗布型の磁気記録媒体が広く使
用されている。
【0003】これに対して、例えばビデオテープ等の分
野では、高画質化を図るために高密度磁気記録化が一層
強く要求されてきている。そして、Fe系やCo−Ni
合金等の強磁性金属材料を、メッキや真空薄膜形成技術
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリイミドフ
ィルム等の非磁性支持体上に直接被着して磁性層を形成
した、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体が提案
されている。
【0004】この強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、
保磁力(抗磁力)や角型比等に優れ、短波長での電磁変
換特性に優れるばかりでなく、磁性層の薄膜化が可能で
あるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さい
こと、磁性層中に非磁性材である有機バインダーを混入
する必要がないため、磁性材料の充填密度を高めること
ができること等、数々の利点を有している。
【0005】その中でも、真空蒸着法によって磁性層を
形成した蒸着テープは、高生産効率と安定した特性のた
めに、既にハイバンド8ミリ用テープ及びディジタルマ
イクロテープ(NTテープ)として商品化されている。
【0006】蒸着テープの磁性層は、真空中で電子線等
で磁性材料を加熱して蒸発させ、非磁性支持体上に付着
させることによって形成される。このような蒸着テープ
の磁気特性を制御するには、蒸着の際に酸素ガスを導入
して金属蒸気の一部を酸化させる方法が一般的である。
この場合、導入酸素量を増加させると、磁性層の保磁力
は増加し、飽和磁化量は減少する傾向があるので、適当
な磁気特性をもった磁性層を形成することができる。
【0007】また、酸素ガスの導入位置によっても磁気
特性は大きく変化し、従来の知見では、保磁力及び角型
比の観点から、図5に示すように、最小入射角を規定す
るマスク1の背面より酸素ガス2を導入するのがよいと
されている。この結果、図6の主要部を拡大した図7に
示すように、磁性層3の表面に、極端に酸化されたいわ
ゆる表面酸化層4が形成される。
【0008】より詳細に説明すると、まず、真空蒸着装
置5において、例えば10-4Paの真空度の真空槽6内に
は、例えば−20℃の冷却キャン(クーリングロール)7
及び蒸発源8(坩堝9に収容された磁性金属10、例えば
Co−Ni合金)が配置され、冷却キャン7に近接して
マスク(防着板)1が位置固定されている。
【0009】真空槽6内では、非磁性ベースフィルム11
を巻回した繰り出しハブ12と、ベースフィルム11の先端
を取り付けた巻き取りハブ13とが取り付けられ、ハブ12
−13間のベースフィルム11は、巻き取りハブ13の回転に
より、冷却キャン7の外周面の所定領域に密着して送ら
れ、次いで巻き取りハブ13に巻き取られる。
【0010】マスク1には窓14が設けられていて、真空
槽6外に配された電子銃15から発せられる電子ビーム16
が、静電レンズ17及び窓14を通って蒸発源8を照射し、
所定温度に加熱する。これによって、蒸発源8から磁性
金属10の蒸気18が飛翔し、マスク1の開口部19を通り、
冷却キャン7上で走行するベースフィルム11に対して選
択的に付着し、堆積して金属磁性薄膜となる。なお、開
口部19は、蒸着しないときはシャッタ(図示せず)によ
って塞がれていて、蒸着時にのみシャッタが移動して開
口するようにしてある。
【0011】そして、マスク1の開口部19の下流側で
は、冷却キャン7とマスク1との間隙20内に酸素ガス供
給管21が配設され、上流側に向けて(ベースフィルムの
進行方向と向流的に)酸素ガス2を吹き出しながら磁性
金属の蒸着を行う。
【0012】こうして、図6に示すように、ベースフィ
ルム11上には、少なくとも一部が酸化された金属磁性材
料からなる金属磁性薄膜3が磁性層として形成される
(なお、ベースフィルム11の裏面側には、別の塗布工程
によってバックコート層22が仮想線のように設けられて
よい)。
【0013】図7には、金属磁性薄膜3について、その
構成磁性金属材料の粒子23が経時的に堆積されていく状
況を模式的に示した(図中の24は堆積粒子間のバウンダ
リを示す)。
【0014】こうした蒸着テープの有効記録深さはλ/
4(λ=記録波長)と言われており、これ以上の厚みに
蒸着層を形成することが、高い再生出力を得るための必
要条件である。
【0015】この場合、図7に示した単層の蒸着層(磁
性層)3では、蒸着層の厚みを大きくすると、磁性層の
形成と共に堆積金属粒子単位(図7での23)のサイズが
大きくなり、これによってノイズが増大する傾向があ
る。
【0016】そこで、粒子サイズを小さく保ったまま、
蒸着層を厚くする方法として、図8に示すような多層蒸
着がある。即ち、薄い金属薄膜3A、3B、3C、3D
を複数積層する方法であり、各層間の境界で膜の成長が
中断されるため、粒子サイズが1層分しか成長せず、総
膜厚の割りには粒子サイズを小さくできる。
【0017】この方法では、上述の酸素ガスを供給しな
がら、下層を蒸着後にベースフィルムを巻き直して再び
繰り出し、上層を蒸着するため、これらの各層間の境界
に酸化層4aが生成する。
【0018】ところで、上記した如き蒸着テープでは、
図5に示したように、蒸着時にベースフィルム11に対し
て傾いた方向から金属蒸気18を入射させることによっ
て、磁化容易軸方向をコントロールできるので、入射角
を注意して設定する必要がある。しかし、通常は、入射
角として注目されるのは、ベースフィルム11の長さ方向
(搬送方向)における入射角であり、その幅方向の入射
角については、注目されることが少なかった。
【0019】そこで、本発明者は、蒸着テープの出力を
更に向上させるために、その幅方向での入射角に注目し
て鋭意研究を行った。この結果、通常、蒸着源(蒸発
源)からの蒸発のほとんどは、電子ビーム16が照射され
ている領域から起こっていることが分かった。
【0020】また、蒸着の効率を上げるために、図9に
示すように、電子ビームはるつぼ9の幅方向に広い範囲
L’に照射される。この結果、ベースフィルム11に蒸着
される金属蒸気18は、その幅方向Wの広い範囲から同時
に入射角θ’で入射することになり、形成される蒸着層
の幅方向の配向性を低下させているものと容易に推測で
きる。ここで、入射角θ’とは、ベースフィルム11の幅
方向に存在する2箇所の磁性材料飛翔端位置P1'、P2'
のそれぞれと、これら飛翔端位置間の中点C’に対応す
るベースフィルム11上の位置とを結ぶ両直線の交差角の
ことである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、磁性
薄膜の磁性粒子の配向性を向上させ、角型比等の磁気特
性(電磁変換特性)を向上させることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、支持体
上に磁性薄膜(特に金属磁性薄膜)を形成するに際し、
前記支持体を磁性材料飛翔手段に対して相対的に移動さ
せながら前記磁性材料飛翔手段から磁性材料を飛翔させ
て前記支持体上に堆積させるようにした、磁気記録媒体
の製造方法において、前記支持体の相対的移動方向と交
差する方向(特に幅方向)における前記支持体への前記
磁性材料の入射角(前記交差する方向に存在する2箇所
の磁性材料飛翔端位置のそれぞれと、これら飛翔端位置
間の中点に対応する前記支持体上の位置とを結ぶ両直線
の交差角)を50度以下とすることを特徴とする、磁気記
録媒体の製造方法に係るものである。
【0023】本発明の製造方法によれば、磁性材料を飛
翔させて支持体上に蒸着等で堆積させるときの条件とし
て、支持体の相対的移動方向と交差する方向、特に幅方
向における磁性材料の入射角を50度以下と特定すること
によって、その方向での堆積薄膜の構成粒子の配向性が
良くなり、角型比が優れた値を示し、この結果、電磁変
換特性が著しく向上することが判明したのである。
【0024】このような顕著な効果が得られるのは、磁
性材料の入射角を50度以下とすれば、飛翔手段から支持
体に飛翔する磁性材料は、上記方向における入射角があ
まりばらつくことなしに堆積することができるからであ
る。この入射角は可能な限り小さいことが望ましいが、
50度以下の範囲のうち更に30度以下がよい。
【0025】この場合、磁性材料飛翔端位置を磁性材料
飛翔手段に対する加熱領域によって規定し、磁性材料の
入射角を前記磁性材料飛翔端位置及び前記磁性材料飛翔
手段と支持体との距離によって規定することができる。
具体的には、上記入射角を50度以下とするには、支持体
(例えばベースフィルム)と飛翔手段(例えば蒸発源)
との距離に対し、上記方向における飛翔手段に対する加
熱領域(例えば電子ビームの照射範囲)を小さくすれば
よい。
【0026】本発明の製造方法においては、支持体を移
動させ、酸素ガスを供給しながら、金属磁性材料を飛翔
させて前記支持体上に堆積させ、金属磁性薄膜を形成し
てよい。この場合、金属磁性薄膜を構成する金属磁性粒
子が少なくとも部分的に酸化されることにより、磁性層
の保磁力及び飽和磁化量を制御することができる。
【0027】そして、複数の金属磁性薄膜を積層して磁
性層を形成すれば、合計膜厚を十分にした状態で各磁性
薄膜の膜厚を薄くすることができるため、各磁性薄膜の
構成金属粒子のサイズを小さく抑えることができるよう
に各磁性薄膜を設けることが可能となり、従って、ノイ
ズを低減することができる。
【0028】本発明の製造方法を実施するには、磁性材
料飛翔手段に対して支持体を相対的に移動させる移動手
段と、前記支持体上へ磁性材料を飛翔させて堆積させる
前記磁性材料飛翔手段と、上記した磁性材料の入射角
(50度以下)を満たすように磁性材料飛翔手段の所定領
域を加熱する加熱手段とを有する製造装置を使用するこ
とが望ましい。
【0029】この製造装置においては、支持体に沿って
酸素ガス供給手段が配置されてよい。具体的には、蒸着
装置として構成され、支持体上に金属磁性材料を選択的
に蒸着させるための開口部を有するマスク手段が設けら
れ、前記開口部の下流側において前記支持体と前記マス
ク手段との間に酸素ガス供給手段が配置されている。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0031】図1は、本実施例の蒸着テープ製造用の真
空蒸着装置の構成を示すものである。但し、図9に示し
た従来例と共通する部分には共通符号を付し、その説明
を省略することがある。
【0032】この真空蒸着装置によれば、図9に示した
従来例と比べて根本的に異なることは、冷却キャン7上
のベースフィルム11の幅方向Wにおいて蒸発源8の磁性
金属10に対する加熱領域の長さLをベースフィルム11−
蒸発源8間の距離D(これは図9と同一である。)に対
して小さくすることによって、ベースフィルム11に対す
る磁性金属の蒸気18の入射角θを本発明による50度以下
の範囲に設定していることである。
【0033】この入射角θ、即ち、長さLの加熱領域
は、図2に示すように、図5に示したと同様の電子銃15
から出射される電子線(電子ビーム)16の磁性金属10に
対する照射範囲を制御することによって形成できる。こ
のような照射範囲は、静電レンズ17(図5参照)で電子
ビームを絞ることによって容易かつ精度良く実現でき
る。
【0034】こうして、蒸発源8からは、長さLの蒸発
領域で磁性金属10が蒸発し、その蒸気18が50度以下の入
射角θでベースフィルム11に入射し、堆積するので、長
さLの蒸発領域からの入射方向は図9に示した例と比
べ、ばらつきがずっと減少する。
【0035】従って、ベースフィルム11上に形成された
金属磁性薄膜の粒子の配向性が、ベースフィルム11の長
さ方向で良好であるだけでなく、その幅方向Wにおいて
も向上し、大きな角型比をはじめ優れた電磁変換特性を
得ることができる。
【0036】ここで、上記の入射角θとは、ベースフィ
ルム11の幅方向に存在する2箇所の磁性材料飛翔端位置
1 、P2 のそれぞれと、これら飛翔端位置間の中点C
に対応するベースフィルム11上の位置とを結ぶ両直線の
交差角のことである。
【0037】なお、本実施例の装置は、上記したこと以
外は図5に示したものと同一構成からなっている。そし
て、本実施例において形成される金属磁性薄膜は、蒸着
中に酸素ガス2を供給するため、構成金属磁性粒子が少
なくとも部分的に酸化されて堆積したものであり、磁性
層の保磁力及び飽和磁化量が適切にコントロールされて
いる。磁性層の最表面には酸化度の大きい表面酸化層34
が形成されていることや、バックコート層を設けてよい
ことは図7で述べたと同様である。
【0038】このような蒸着テープは、既述したように
金属磁性薄膜型として保磁力、角型比等に優れ、短波長
の電磁変換特性に優れると共に、記録減磁及び再生時の
厚み損失も低く、高密度記録に好適なものである。
【0039】また、図8に示したように、複数の金属磁
性薄膜3A〜3Dが積層された蒸着テープも製造できる
が、このような蒸着テープは、磁性層全体としての厚み
を有効記録深さλ/4以上とした状態で、各金属磁性薄
膜のそれぞれの膜厚を薄くできるので、各金属磁性薄膜
を構成する金属粒子のサイズを小さく抑え(実際には、
成膜時の粒子の成長を抑制し)、高出力にしてノイズレ
ベルを低下させることができる。
【0040】本発明が適用可能な磁気記録媒体は、非磁
性支持体(ベースフィルム)11の一方の面上に必要とあ
れば下地層を介して磁性層として金属磁性薄膜が形成さ
れ、他の面上にバックコート層が形成されたものである
(図6参照)。
【0041】ここで、非磁性支持体の素材としては、例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート等のポリエステル類をはじめ、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボ
ネート等のプラスチックや、ポリベンゾオキサゾール等
を好ましく用いることができる。
【0042】また、上記磁性層である金属磁性薄膜は、
真空蒸着法で形成可能である以外にも、スパッタリング
等により形成可能である。この場合も、スパッタ領域を
制御すれば、上記の入射角θを設定できる。
【0043】上記真空蒸着法は、10-4〜10-1Torrの真空
下で強磁性金属材料を電子ビーム加熱(これ以外にも、
抵抗加熱、高周波加熱等も適用可能)により蒸発させ、
非磁性支持体上に蒸発金属(強磁性金属材料)を被着す
るというものであり、高い保磁力を得るため、基板に対
して上記強磁性金属材料を斜めに蒸着する斜方蒸着法を
採用してよい。
【0044】このような真空薄膜形成技術により金属磁
性薄膜を形成する際に、使用される強磁性金属材料とし
ては、Fe、Co、Ni、Cr等の金属の他に、Co−
Ni合金、Co−Pt合金、Co−Ni−Pt合金、F
e−Co合金、Fe−Ni合金、Fe−Co−Ni合
金、Fe−Co−B合金、Co−Ni−Fe−B合金、
Co−Cr合金あるいはこれらにCr、Al等の金属が
含有されたもの等が挙げられる。特に、Co−Cr合金
を使用した場合には、垂直磁化膜が形成される。
【0045】こうした金属磁性薄膜の膜厚については、
単層の場合は 0.1〜3μmであり、複数層の積層体の場
合は各層の膜厚は0.02〜1μmであるのがよい。
【0046】バックコート層22には、カーボンブラッ
ク、TiO2 、α−Fe2 3 、CaCO3 、Na2
4 、Al2 3 、SiO2 等の非磁性粒子が少量添加
されてもよい。
【0047】このバックコート層の厚みは通常、 0.4〜
1.2 μmである。
【0048】また、バックコート層は、カーボンブラッ
ク等の非磁性粒子を結合剤中に配合して分散したもので
あるが、使用可能な結合剤としては、変性又は非変性の
塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂或いはポリエステ
ル樹脂を使用することができるし、さらに繊維素系樹
脂、フェノキシ系樹脂或いは特定の使用方式を有する熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線照射硬
化型樹脂等を併用してもよい。
【0049】このバックコート層を形成するには、例え
ばバックコート層の構成成分を結合剤中に分散し、結合
剤の種類等によってエーテル類、エステル類、ケトン
類、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素
等から選ばれる有機溶剤とともに混練してバックコート
層用塗料を調製し、この塗料を非磁性支持体の裏面に塗
布し、乾燥、カレンダー処理する。結合剤に対しては、
一層耐久性の向上を図るために、多官能性イソシアネー
ト等の硬化剤を5〜30重量%添加することが好ましい。
【0050】次に、上記した実施例の具体例について説
明する。
【0051】10-9気圧(10-4Pa)に排気した図5に示し
た如き連続巻き取り式蒸着装置内で、るつぼ内においた
コバルト塊を電子ビームで加熱溶解し、ポリエチレンテ
レフタレートベースフィルム上に蒸着した。ベースフィ
ルム長さ方向での蒸着の入射角は、ベースフィルムの法
線方向から90度〜45度の範囲内であった。ベースフィル
ムの送り速度を25m/分とし、厚み 200nmとなるようなレ
ートで単層蒸着し(図7参照)、サンプルを作成した。
図3に、サンプル作成の工程フローを示した。
【0052】この蒸着の際には、図2に示したように、
るつぼ上に照射する電子ビームの幅方向の照射範囲Lを
変え、対応する各サンプルを作成した。下記の表1に、
各サンプルの蒸着条件を示した。
【0053】バックコート層の形成に際しては、上記の
磁性層(蒸着層)の形成後に、下記組成の原材料をボー
ルミルにて48時間混合後、フィルターを通したのち、コ
ロネートL(日本ポリウレタン工業社製)を20重量部添
加して、バックコート層用塗料を調製した、これをベー
スフィルムの裏面に厚さ 0.6μmに塗布した。
【0054】 カーボンブラック (コロンビアカーボン社製のRAVEN−1250) 100重量部 結合剤(バインダ)(極性基SO3 Na含有ポリエステルポリウレタン: 東洋紡績社製のUR−8300) 70 重量部 メチルエチルケトン 220重量部 メチルイソブチルケトン 220重量部 トルエン 220重量部
【0055】磁性層表面にはナフタレンジオールによる
防錆処理、更には、パーフルオロポリエーテルからなる
潤滑剤の塗布を行った。しかる後、乾燥し、8mm幅に裁
断して、対応する各磁気テープを作成した。
【0056】
【0057】下記の表2に、各サンプルの磁気特性と、
電磁変換特性の測定結果を示した。磁気特性は、試料振
動型測定器(東英工業社製のVSM)で測定し、媒体の
長さ方向と面内方向の測定を行った。電磁変換特性は、
ソニー社製のハイバンド8ミリビデオデッキEV−S9
00を改造したもので測定した。相対速度は 3.8m/秒、
記録周波数は7MHz で行い、再生出力を測定した。記録
電流は、各サンプルについて最も高い再生出力が得られ
る値に設定した。
【0058】
【0059】図4には、上記のデータに基いて、ベース
フィルムの幅方向での磁性材料の入射角の範囲と、電磁
変換特性の再生出力との関係をプロットした。
【0060】表2及び図4から明らかなように、幅方向
の入射角の範囲が狭いほど角型比Rsが大きく向上し、
特に入射角範囲が50度以下のとき(50度のポイントに変
曲点あり)に、再生出力が特に大きいことが分かる。こ
れは、幅方向の入射角が狭いことによって、磁性粒子の
配向性が良くなっていることに原因しているものと思わ
れる。
【0061】なお、上記の例は、蒸着層としてCoを使
用した単層蒸着のものであるが、多層蒸着層にも適用可
能である。また、幅方向の入射角の範囲を小さくして、
粒子の配向性を向上させることは、Coの他に、Fe、
Ni等の金属やCo−Ni系合金、Co−Ni−Pt系
合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合
金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合
金等からなる面内磁化記録金属磁性膜や、Co−Cr系
合金薄膜、Co−O系薄膜等の垂直磁化記録金属磁性薄
膜に関する場合においても有効である。
【0062】また、入射角の制御を行う方向は、完全に
幅方向でなくてもよく、目的に応じて適宜変化させてよ
い。
【0063】
【発明の作用効果】本発明は、上述した如く、支持体の
相対的移動方向と交差する方向(特に幅方向)における
前記支持体への磁性材料の入射角(前記交差する方向に
存在する2箇所の磁性材料飛翔端位置のそれぞれと、こ
れら飛翔端位置間の中点に対応する前記支持体上の位置
とを結ぶ両直線の交差角)を50度以下としているので、
上記交差する方向での堆積薄膜の構成粒子の配向性が良
くなり、角型比が優れた値を示し、この結果、電磁変換
特性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による蒸着テープの製造に使用
する真空蒸着装置の主要部の概略正面図、側面図及び断
面図である。
【図2】同主要部の概略図である。
【図3】各種蒸着テープの製造工程のフローチャートで
ある。
【図4】同各種蒸着テープの幅方向での磁性材料の入射
角による再生出力を示すグラフである。
【図5】従来の蒸着テープの製造に使用する真空蒸着装
置の概略断面図である。
【図6】同蒸着テープの一部分の概略断面図である。
【図7】同蒸着テープの磁性層(単層蒸着層)を拡大し
て示す概略断面図である。
【図8】他の蒸着テープの磁性層(多層蒸着層)を拡大
して示す概略断面図である。
【図9】蒸着テープの製造に使用する真空蒸着装置の主
要部の概略正面図、側面図及び断面図である。
【符号の説明】
1・・・マスク 2・・・酸素ガス 3、3A、3B、3C、3D・・・金属磁性薄膜 4、4a・・・酸化層 7・・・冷却キャン 8・・・蒸発源 10・・・磁性金属 11・・・ベースフィルム 15・・・電子銃 16・・・電子線 18・・・金属蒸気 19・・・開口部 21・・・酸素ガス供給管 22・・・バックコート層 23・・・金属磁性粒子(単位) θ・・・入射角 P1 、P2 ・・・飛翔端位置 C・・・中点 D・・・距離 W・・・幅方向
フロントページの続き (72)発明者 千葉 一信 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に磁性薄膜を形成するに際し、
    前記支持体を磁性材料飛翔手段に対して相対的に移動さ
    せながら前記磁性材料飛翔手段から磁性材料を飛翔させ
    て前記支持体上に堆積させるようにした、磁気記録媒体
    の製造方法において、前記支持体の相対的移動方向と交
    差する方向における前記支持体への前記磁性材料の入射
    角(前記交差する方向に存在する2箇所の磁性材料飛翔
    端位置のそれぞれと、これら飛翔端位置間の中点に対応
    する前記支持体上の位置とを結ぶ両直線の交差角)を50
    度以下とすることを特徴とする、磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 磁性材料飛翔端位置を磁性材料飛翔手段
    に対する加熱領域によって規定し、磁性材料の入射角を
    前記磁性材料飛翔端位置及び前記磁性材料飛翔手段と支
    持体との距離によって規定する、請求項1に記載した製
    造方法。
  3. 【請求項3】 支持体を移動させ、酸素ガスを供給しな
    がら、金属磁性材料を飛翔させて前記支持体上に堆積さ
    せ、金属磁性薄膜を形成する、請求項1又は2に記載し
    た製造方法。
  4. 【請求項4】 複数の金属磁性薄膜を積層させて磁性薄
    膜を形成する、請求項3に記載した製造方法。
  5. 【請求項5】 金属磁性材料を蒸着によって支持体上に
    堆積させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載した製
    造方法。
  6. 【請求項6】 磁性材料飛翔手段に対して支持体を相対
    的に移動させる移動手段と、前記支持体上へ磁性材料を
    飛翔させて堆積させる前記磁性材料飛翔手段と、請求項
    1に記載した磁性材料の入射角を満たすように磁性材料
    飛翔手段の所定領域を加熱する加熱手段とを有する、請
    求項1〜5のいずれか1項に記載した製造方法を実施す
    るための製造装置。
  7. 【請求項7】 支持体移動手段に沿って酸素ガス供給手
    段が配置されている、請求項6に記載した製造装置。
  8. 【請求項8】 蒸着装置として構成され、支持体上に金
    属磁性材料を選択的に蒸着させるための開口部を有する
    マスク手段が設けられ、前記開口部の下流側において前
    記支持体と前記マスク手段との間に酸素ガス供給手段が
    配置されている、請求項7に記載した製造装置。
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