JPH08128877A - エンジン計測装置 - Google Patents

エンジン計測装置

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JPH08128877A
JPH08128877A JP26678394A JP26678394A JPH08128877A JP H08128877 A JPH08128877 A JP H08128877A JP 26678394 A JP26678394 A JP 26678394A JP 26678394 A JP26678394 A JP 26678394A JP H08128877 A JPH08128877 A JP H08128877A
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JP
Japan
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engine
volume
measurement
combustion chamber
air
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Application number
JP26678394A
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English (en)
Inventor
Akinobu Moriyama
明信 森山
Kesao Sugano
今朝雄 菅野
Kouta Tsubomitsu
鋼太 坪光
Shigefumi Yasuhara
成史 安原
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】エンジンが組み立てられた状態で、排気量や圧
縮比といったエンジンの実際の各諸元を、短時間で容易
に計測できるエンジン計測装置を提供する。 【構成】エンジンが組み立てられた状態で、燃焼室の容
積を測定する容積測定手段(10、11、17など)
と、クランク角度を測定する回転角度測定手段7bと、
上記両手段の測定結果から、吸排気バルブが閉じている
クランク角度の範囲における複数の異なった回転角度で
計測した燃焼室容積の複数の計測値を用いて、エンジン
の排気量や圧縮比を求める演算手段(19など)とを備
え、かつ、上記容積測定手段は、ヘルムホルツ共鳴器を
利用した音響式測定手段であって、点火プラグ孔を介し
て装着する音響式検出体と、該検出体内の温度とエンジ
ン内の温度とを測定する温度測定手段24a、24b
と、燃焼室と大気とを連通する空気導入管と、該空気導
入管を開閉する電磁弁30aと、を備えた構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジンが組み立て
られた状態で、その排気量や圧縮比といった諸元を計測
する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエンジン計測装置としては、例え
ば特開昭60−76623号公報に記載されたものがあ
る。この装置は、ヘルムホルツ共鳴器を利用した音響式
の容積測定装置を用いて、エンジンを組み付けた状態
で、ピストンが上死点位置にある場合の燃焼室の容積
(狭義の燃焼室容積)を測定するものである。他のエン
ジン計測装置としては、小野測器株式会社の圧縮比計V
M−7100が市販されている。これは、音圧を計測す
ることによって容積を測定する音響式の容積測定装置を
用いて、ピストンが上死点位置にある場合の燃焼室の容
積を測定し、この測定値と予め設定されている行程容積
とを用いて気筒毎の圧縮比を測定するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとき従来のエ
ンジン計測装置においては、エンジンが組み立てられた
状態で、ピストンが上死点位置にある場合の燃焼室の容
積、すなわち狭義の燃焼室容積を測定することはできる
が、ピストンが下死点位置にある場合の燃焼室容積を測
定することは出来なかったので、実際の排気量を求める
ことができず、また下死点における燃焼室容積を用いて
演算する実圧縮比を求めることもできなかった。上記の
ごとく下死点における燃焼室容積が測定できない理由は
次のとおりである。すなわち、音響式の計測装置を用い
る場合には、測定対象が密閉容器であることが必要とさ
れるが、エンジンの燃焼室には吸気バルブと排気バルブ
(以下、吸排気バルブと略記する)とが設けられてお
り、それらの両方が閉じて燃焼室が密閉状態になるの
は、クランク角度が圧縮上死点位置を中心とした所定の
角度以内にある場合だけであり、ピストンが下死点位置
にある場合には上記バルブが開いているので、音響式の
計測を行なうことが出来ないのである。また、上記のよ
うな音響式計測装置は、原理的に、被測定体内(この場
合は燃焼室内)の空気温度と計測装置内の空気温度との
差に影響を受け、その温度差が大きいほど測定精度が悪
化する。そのため、計測装置をセットしてから測定する
までに長時間放置して温度を均一にする必要があり、測
定に時間がかかるという問題があった。また、音響式計
測装置では、上記のように密閉状態で計測を行なうた
め、クランクシャフトを回転させてピストンを上下運動
させると、密閉された燃焼室内の圧力が変動して音響的
にも変化を生じ、それによって測定精度が低下する。さ
らに急激な圧力変化があると、測定用のスピーカやマイ
クロホン等の音響機器に特性変化を生じたり、甚だしい
場合には音響機器を損傷するおそれもある。また、密閉
状態でピストンを上下運動させる場合には、クランクシ
ャフトを回転させるために大きな力が必要となるという
問題もあった。
【0004】本発明は、上記のごとき従来技術の問題を
解決するためになされたものであり、エンジンが組み立
てられた状態において、排気量や圧縮比といったエンジ
ンの実際の各諸元を、短時間で容易に計測することので
きるエンジン計測装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、請求項1に記載の発明にお
いては、エンジンが組み立てられた状態において、エン
ジンの燃焼室の容積を測定する容積測定手段と、クラン
クシャフトの回転角度を測定する回転角度測定手段と、
上記容積測定手段と上記回転角度測定手段の測定結果を
入力し、吸排気バルブが閉じているクランクシャフトの
回転角度の範囲における複数の異なった回転角度におい
て計測した燃焼室容積の複数の計測値を用いて、上記エ
ンジンの排気量と、圧縮比と、ストロークと、コンロッ
ド長と、クランク半径と、シリンダ・ボア径と、のうち
の少なくとも一つを求める演算手段と、を備え、かつ、
上記容積測定手段は、ヘルムホルツ共鳴器を利用した音
響式測定手段であって、エンジンの点火プラグ孔を介し
て装着する音響式検出体と、該音響式検出体内の空気温
度とエンジン内の空気温度とを測定する温度測定手段
と、上記音響式検出体に設けた大気と連通する空気導入
管と、該空気導入管を開閉する空気導入管開閉手段とを
備えるように構成している。なお、上記エンジンの排気
量は、各気筒毎の排気量すなわち行程容積と全気筒の排
気量すなわち総行程容積との少なくとも一方であればよ
い。上記の構成は、例えば後記図1および図2の実施例
に相当し、上記の温度測定手段は、シリンダ内の空気に
触れるように設けた第1の感温素子24aと、音響式検
出体(以下、センサヘッドと記す)内の空気に触れるよ
うに設けた第2の感温素子24bとを備え、それぞれの
感温素子の信号から温度と温度差とを求めるものであ
る。
【0006】また、請求項2に記載のように、上記空気
導入管開閉手段は、空気導入管の途中に設けた電磁弁
と、該電磁弁を駆動する電磁弁制御手段と、を備えたも
のである。また、請求項3に記載のように、上記回転角
度測定手段は、ピストンが上死点位置にあることを判定
する上死点位置判定手段と、該上死点位置判定手段の判
定結果に基づき、上死点における回転角度を0°とする
回転角度ゼロ設定手段と、を備えたものである。また、
請求項4に記載のように、上記上死点位置判定手段は、
上記容積測定手段で求めた燃焼室容積が最小値となるク
ランク回転角度を上死点と判定するものである。また、
請求項5に記載のように、上記演算手段は、複数の異な
ったクランクシャフト回転角度における燃焼室容積の計
測値と、それぞれに対応する燃焼室容積の計算値とに基
づいて排気量を算出するものである。また、請求項6に
記載のように、上記計算値は、コンロッド長Lと、クラ
ンク半径rと、シリンダ・ボア径Dとの3つの未知数値
に、それぞれ所定の値を与えて計算した場合の容積計算
値であり、上記演算手段は、該容積計算値が上記計測値
に最も近似する上記L、r、Dを探査することによって
上記排気量を算出するものである。
【0007】また、上記回転角度測定手段は、クランク
シャフトにロータリーエンコーダのような角度検出手段
を取付け、直接に角度を検出するが、その構造として
は、例えば、請求項7に記載のように、測定時に、クラ
ンクプーリに磁石で固着されるインナ部材と、該インナ
部材に固定された多数のスリットを有する円板と、微小
な間隔を隔てて上記円板を挾むように配設されたスリッ
ト孔検出体と、上記インナ部材とは回動自在に装着さ
れ、上記スリット孔検出体を保持するアウタ部材と、該
アウタ部材が回転しないように固定するアウタ固定部材
と、を備え、クランクプーリと一緒に回転する上記円板
のスリット孔を上記スリット孔検出体で検出することに
より、クランク角度を検出するものである。また、請求
項8に記載のように、上記インナ部材は、クランクプー
リに固着するための磁石を端部に設けた少なくとも3つ
の連結レバーと、インナ部材の中心点から各連結レバー
の端部までの長さを調節する連結レバー調節部と、を備
えたものである。なお、上記請求項8、請求項9に記載
の構成は、例えば後記図3、図4の実施例に相当する。
【0008】また、請求項9に記載のように、上記演算
手段で用いる吸排気バルブが閉じているクランクシャフ
トの回転角度の範囲を計測する手段として、上記空気導
入管の空気の出入りを検出する手段と、ピストン移動中
に上記空気導入管に空気の出入りがある範囲を吸排気バ
ルブが閉じているクランクシャフトの回転角度の範囲で
あると判定する手段と、を設けている。また、請求項1
0に記載のように、上記空気導入管の空気の出入りを検
出する手段は、空気流量センサもしくは上記空気導入管
の空気の出入りに伴う音を検出するセンサである。
【0009】
【作用】従来は、例えばヘルムホルツ共鳴器を利用した
音響式の容積測定手段を用いて、燃焼室の容積を求めて
いる。しかし、エンジンの排気量等を定めるために必要
な下死点における燃焼室容積は、下死点では吸排気バル
ブが開いているため、直接には計測することができな
い。そのため、本発明においては、燃焼室が密閉状態に
あるとき、すなわち吸排気バルブが全閉になっているク
ランク角度範囲において、複数の異なった回転角度での
燃焼室容積を計測し、その複数個(例えば17個)の計
測値から、例えば後記(数7)式における未知数L、
r、D(ただし、L:コンロッド長、r:クランク半
径、D:シリンダ・ボア径)として現実的な数値を選択
して与えることによって燃焼室容積を演算し、その値が
実際の容積計測値に最も近似するL、r、Dの値を探査
することにより、後記(数8)式からシリンダの容積す
なわち排気量を求めるものである。
【0010】また、上記の容積計測値としては、温度測
定手段で求めた音響式検出体内の空気温度とエンジン内
の空気温度とから、後記(数12)式によって温度補正
した値を用いる。また、エンジン全体の排気量(総行程
容積)は、測定した一つの気筒の排気量の値に気筒数n
を乗算するか、或いは全ての気筒で計測と演算を行って
各気筒の排気量を求め、それらを加算することによって
求めることができる。上記のように本発明においては、
排気量として、各気筒毎の排気量すなわち行程容積と全
気筒の排気量すなわち総行程容積とのいずれでも計測す
ることができる。また、圧縮比は計測した狭義の燃焼室
容積と行程容積とから後記(数10)式で求められる。
また、コンロッド長L、クランク半径rおよびシリンダ
・ボア径Dは、上記の燃焼室容積を演算する過程で求め
られる。また、ストロークsは、上死点におけるピスト
ン位置を基準としてクランクシャフトを下死点まで回転
させたときのピストン移動量に相当する。この値は直接
計測可能であるが、後記図5に示すように、s=2rの
関係があるので、下死点における燃焼室容積を演算する
過程で求めたクランク半径rの値を用いて演算すること
も可能である。
【0011】本発明においては、従来は計測できなかっ
たエンジン組立状態での実排気量、実圧縮比等のエンジ
ン諸元を正確かつ容易に測定することができるので、エ
ンジンの実験、研究、工場ラインでの検査等に活用でき
るのは勿論、従来は困難であった車検時における違法改
造車や輸入車の検査なども容易に行うことが可能にな
る。また、燃焼室内の空気温度と計測装置内の空気温度
との両方を測定し、それによる温度補正を行なうので、
両者の温度が均一になるまで放置する必要がなく、速や
かに計測を行なうことが出来る。また、ピストンの上下
運動時には、空気導入管開閉手段を開いて空気導入管を
介して燃焼室を大気に連通させることにより、燃焼室内
の圧力の変動を避けることが出来るので、測定用音響機
器の特性変化や損傷を防止することが出来ると共に、ク
ランクシャフトを小さな力で容易に回転させることが出
来る。
【0012】
【実施例】以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例の断面図、図2は演算手段のブ
ロック図である。図1において、エンジン1は組み立て
られた状態であり、かつ停止した状態である。2はエン
ジン・ブロック、2aはシリンダ、3はガスケット、4
はシリンダヘッド、5はヘッドカバーである。6はピス
トン、7はコンロッドであり、ピストン6は上死点位置
で停止した状態である。この場合には吸気バルブおよび
排気バルブ(共に図示せず)は全閉状態であり、燃焼室
8は外部に対して閉じた空間となっている。また、9は
容積測定手段のセンサヘッドであり、その内部におい
て、長さd'で内容積V'の円筒状の空洞12と、長さd
で内部断面積Sの音響管13とでヘルムホルツ共鳴器が
構成されている。このセンサヘッド9はエンジン1の点
火プラグ孔14に差し込まれており、空洞12、音響管
13および燃焼室8によって主音響共振器(管の両端に
空洞が接続された外部に対して閉じた音響系)が構成さ
れている。なお、センサヘッド9の接続部には点火プラ
グと同形状のネジが加工されており、点火プラグ孔14
にねじ込んで接続するようになっている。
【0013】また、燃焼室8内には第1の感温素子24
aが設けられ、センサヘッド9内には第2の感温素子2
4bが設けられ、それぞれの空気温度を計測するように
なっている。上記2つの感温素子の信号は、導線を介し
て外部(図2の温度測定回路25)へ送られる。
【0014】また、11は音源で、上記主音響共振器の
内部の空気を音響的に駆動する。10はマイクロホン
で、上記主音響共振器の内部の音圧を検出するものであ
り、図示のような位置に取り付けられている。上記のよ
うに、主音響共振器が外部と閉じた空間である理由は、
外乱(外部からの騒音など)の侵入を防ぎ、精度よく安
定した測定を行なうためである。ただし、上記主音響共
振器が完全に密閉されていると、クランクシャフト7a
を回転させてピストン6の位置を移動させた場合に、燃
焼室8内の気圧と温度が変化し、それによって測定が変
動する。また、密閉状態であるため、その中の空気が抵
抗となってクランクシャフトを回転させるために大きな
力が必要となる。それを防ぐため、空気導入管30を設
け、この空気導入管30に電磁弁30aを設けている。
この空気導入管30は、音響的にも開放される程度の大
きさの孔であって、ピストン移動による空気の出入りを
容易にし、ピストン移動に伴う音響共振器内および燃焼
室内の圧力変動を小さくしている。
【0015】この空気導入管30の開閉は、図2のブロ
ック図に示すように、CPU19の指令に基づいて電磁
弁制御回路27が作動し、電磁弁30aを開閉制御する
ことによって行なう。具体的には、キーボード23から
測定開始信号が入力されると、電磁弁制御回路27によ
って電磁弁30aへの電流を遮断して電磁弁30aを閉
じる。なお、この動作は、電磁弁30aが常閉型(ノー
マルクローズ)の場合であり、常開型(ノーマルオープ
ン)の場合には電流を流すことになる。それらは設計条
件に応じて適宜選択すればよい。また、7aはクランク
シャフトであり、この回転角度を検出するための回転角
度検出器7bが取り付けられている。
【0016】以下、本発明の排気量測定を説明する前
に、まず、回転角度検出器7bの詳細構造について説明
する。図3は、回転角度検出器7bとしてロータリーエ
ンコーダを用いた場合の斜視図である。図3において、
クランクプーリ7cはクランクボルト7eによってクラ
ンクシャフト7aに固定されている。このクランクプー
リ7cに回転角度検出器7bを装着する。この回転角度
検出器7bは、3つの連結レバー41a、41b、41
cにそれぞれ設けられた磁石によってクランクプーリ7
cに固着される。この連結レバー41a、41b、41
cはインナ部材42に固定され、またインナ部材42と
回動自在にアウタ部材43が設けられ、このアウタ部材
43には固定部材44a、44bが取り付けられてい
る。この固定部材44a、44bの一端は周囲の適当な
個所に固定され、アウタ部材43がインナ部材42の回
転に引きづられて回転するのを止めている。また、クラ
ンクシャフト7aを工具7dによって回転させることに
より、ピストン6の位置を移動させることが出来る。
【0017】図4は、回転角度検出器7bの詳細構造を
示す図であり、(a)は回転角度検出器全体を装着面側
(クランクプーリ側)から見た図、(b)は(a)のS
A−SA断面図、(c)はスリット円板と検出モジュー
ルを示す図である。
【0018】図4(a)において、連結レバー41b
(他の2つの連結レバーも同じ)の端部には磁石45b
が取り付けられている。そして連結レバー41bは、軸
xを中心として軸yの回動に応じてガイドスリットzに
規制されながら回転することが出来るようになってい
る。すなわち、実線で示した41bの位置が半径R2
最大となる位置であり、一点鎖線で示した41b'の位
置がR2が最小となる位置である。また、軸xはインナ
リング42bに固定され、軸yはインナリング42bの
外周面上に回転自在に配置した調整リング42aに固定
されている。また、スリット円板42dは、円板ホール
ドリング42cに固定され、この円板ホールドリング4
2cはアウタケース43aの一部を挟むように、インナ
リング42bと連結されている。また、アウタケース4
3aはインナ部材42とは回動自在に装着され、かつ外
部に固定されている。このアウタケース43aに固定さ
れた検出モジュール43bは、所定の微小な間隔をおい
てスリット円板42bを挟むように配置されている。
【0019】次に、上記の構成の作用を説明する。測定
するエンジンのクランクプーリ7cは、一般にクランク
シャフト7aを中心とした円である。したがってクラン
クプーリ7cの半径R1を予め測定しておき、連結レバ
ー41a、41b、41cの半径R2をクランクプーリ
の半径R1と等しくなるように調整しておけば、クラン
クプーリ7cの外周面がガイドとなって、回転角度検出
器7bの回転中心をクランクシャフト7aの回転中心に
容易に合わせることが出来る。また、連結レバー41
a、41b、41cの調整は、上記の構造から1つの連
結レバーの半径R2をクランクプーリの半径R1に合わせ
れば、他の2つの連結レバーの半径R2も半径R1に合う
ことになるので、調整作業が極めて容易になる。また、
ヒステリシスが皆無となるので、クランク角度測定精度
が格段に向上し、したがって排気量計測精度も向上す
る。
【0020】次に、本発明の容積測定について説明す
る。図2は演算手段の構成を示す一実施例のブロック図
である。図2において、15は発振器であり、この出力
信号Es(t)は、音源用アンプ16を介して音源11を駆
動すると共に、FFTアナライザ(高速フーリエ変換解
析器)17に入力される。また、18はマイクロホン用
アンプであり、マイクロホン10の出力信号Em(t)を適
当なレベルに増幅し、FFTアナライザ17に送る。ま
た、19はCPUであり、FFTアナライザ17、発振
器15、メモリ20のすべての動作を制御し、また、測
定値を用いて所定の演算を行い、その結果を表示装置2
1に出力する。この表示装置21としては、例えば液晶
表示装置のような表示器、或いはプリンタのようなハー
ドコピーを送出する装置、またはそれらの両方を用いる
ことが出来る。また、22は、回転角度検出器7b用の
処理回路である。また、23はキーボードであり、外部
から演算手段に対して各種のデータや指令信号を入力す
るものである。また、第1の感温素子24aと第2の感
温素子24bからの信号は温度測定回路25へ送られ、
それぞれの温度を計測する。これらの回転角度情報およ
び温度情報は、インターフェイス28を介してCPU1
9へ送られる。また、CPU19からの指令信号がイン
ターフェイス28を介して電磁弁制御回路27へ送ら
れ、その信号に従って電磁弁30aが開閉する。
【0021】次に作用を説明する。まず始めに、測定す
る気筒の点火プラグを外し、その気筒がほぼ圧縮上死点
となるようにクランクシャフト7aを回転させる。この
場合には、前記図3に示したように工具7dなどを用い
て回転させ、図6に示すようなピストン位置の測定を行
なうことによって正確に上死点位置に合わせることが出
来る。ただし、図6のように、点火プラグ孔14がピス
トン6aに垂直である場合には、上記の方法は有効であ
るが、点火プラグ孔14が斜めに配置されたようなエン
ジンにおいては、ピストンの上死点位置が検出しにく
い。また、本発明の測定時には、吸気弁と排気弁の両方
が閉じている圧縮上死点の近傍で計測を行なうが、上記
の方法においては、上死点が圧縮上死点と排気上死点の
どちらであるかを判別することも困難である。したがっ
て、まず、圧縮上死点位置を検出する方法について説明
する。
【0022】図1の装置において、点火プラグ孔14に
センサヘッド9を装着し、電磁弁30aを開き、空気導
入管30を介してセンサヘッド9内を大気に連通させて
おく。この状態でクランクシャフト7aを回転させる。
例えば、4サイクルエンジンの場合には、吸気→圧縮→
膨張(爆発)→排気の各行程が、クランクシャフト7a
が2回転する間に完了する。このうち圧縮→膨張行程中
で吸気弁と排気弁が共に閉じている間は、空気の出入口
は空気導入管30のみである。そのため、クランクシャ
フト7aを回転させてピストン6aを上下運動させる
と、空気導入管30の出入口から吸気音または排気音を
聞くことが出来る。なお、吸気弁や排気弁の開口面積
は、空気導入管30の開口面積よりもかなり大きいの
で、吸気弁と排気弁との少なくとも一方が開いている場
合には、ピストンの上下運動に伴う空気の出入りは吸気
弁や排気弁を介して行なわれ、空気導入管30を介して
の空気の出入りはほとんど無い。したがって、空気導入
管30の出入口から空気が出入りしている場合には、吸
気弁と排気弁が共に閉じている状態であることが判る。
そしてクランクシャフト7aをほぼ定速度で回転させる
と、音の強さは図7に示すようになる。すなわち、クラ
ンクシャフト7aを圧縮→膨張行程の順序で回転させる
と、排気弁は既に閉じている状態から始まって、θa点
では吸気弁も閉じ、ピストンの上昇に伴って燃焼室内の
空気が空気導入管30を介して大気側へ排出され、排気
音が発生する(θabの範囲)。また、上死点位置θbを
境にして大気側から燃焼室内へ空気が流入し、吸気音が
発生する(θbcの範囲)。この排気音と吸気音の音の強
さは、図示のような2つの山型となり、山と山の間の谷
の位置θbが圧縮上死点位置となる。この音の強さによ
って凡その圧縮上死点位置を検出することが出来る。な
お、排気上死点位置では、排気弁が開いているので、上
記のような音の谷は生じない。したがって圧縮上死点位
置と排気上死点位置とを簡単に見分けることが出来る。
上記のごとき音の谷の位置は、吸排気音を測定するマイ
クロホンと、音の強さを判定する回路とを設けることに
よって測定することが出来る。また、音の測定の代わり
に、空気導入管30を流れる空気流量または流速を測定
するセンサを設けても同様に検出することが出来る。な
お、自動的に計測制御を行なうのでなければ、作業員が
上記の吸排気音を耳で聞いて判断することもできる。
【0023】次に、容積測定値を用いて圧縮上死点位置
の正確な位置を検出する方法を説明する。上記のように
して凡その圧縮上死点位置を求め、吸気弁と排気弁が共
に閉じた状態とし、さらに電磁弁30aを閉じた状態
で、音響式測定(詳細後述)で燃焼室の容積を測定す
る。そしてクランクシャフト7aを回しながら順次容積
を測定し、容積が最小となったクランクシャフト位置が
圧縮上死点位置である。この位置を回転角度=0°とす
る。なお、正規に製造された通常のエンジンでは、一般
に第1番気筒の上死点合いマークが設けられているの
で、それを利用することが出来る。
【0024】次に、容積測定について説明する。図8
は、4サイクルエンジンにおける燃焼室8の容積Vとク
ランクシャフト7aの回転角度θとの関係を示した図で
ある。図8において、VTは上死点での容積、VBは下死
点での容積であり、上死点においてθ=0(deg)とす
る。図8のV−θの関係は、一般的なレシプロエンジン
の場合、ピストン位置xの一般式を用いると下記(数
1)式および(数2)式で表される。 V=(L+r−x)A+VT …(数1) x=rcosθ+√(L2−r2sin2θ) …(数2) ただし、L:コンロッド長、r:クランク半径、A:シ
リンダのボア断面積 なお、上記ピストン位置x、コンロッド長L、クランク
半径r、クランクシャフト回転角度θなどの関係は、図
5に示すとおりである。また、上記(数1)式および
(数2)式の関係は、例えば「“自動車技術ハンドブッ
ク基礎・理論編”自動車技術会出版,71頁〜72
頁」に記載されている。
【0025】次に、図1に示したセンサヘッド9によっ
て上死点における燃焼室の容積を測定する手順について
説明する。図2のCPU19の指令により、発振器15
は周波数特性の平坦な信号、例えば正弦波合成波やホワ
イトノイズといった信号Es(t)を発振し、音源用アンプ
16を介して音源11を駆動する。これにより、主音響
共振器には次のような共振が発生する。本実施例の主音
響共振器は、音響管13の両端に燃焼室8の空洞および
円筒状空洞12が接続されたものである。これは、1つ
の音響管に2つの空洞が並列に接続されたもの、つまり
上記主音響共振器が、3つの音響要素で構成されている
わけであり、その共振周波数f1は下記(数3)式に示
すようになる。 f1=(c/2π)√〔S(V+V')/dVV'〕 …(数3) ただし、c:音速、S:音響管13の内部断面積、d:
音響管13の長さ、V:燃焼室8の容積、V':空洞1
2の容積 さらに、円筒状空洞12は両端閉止の音響管とみなされ
るので、その共振周波数f2は下記(数4)式で表され
る。 f2=c/2d'(および整数倍の周波数) …(数4) なお、共振周波数f2は上記(数4)式で示される値お
よびその整数倍の周波数であるが、以下においては、最
低次の周波数を用いて説明する。上記の管共振周波数f
2は、両端部で圧力振動が最大となるため、マイクロホ
ン10および音源11が図1に示すように円筒状空洞1
2の端部に取り付けられている。このときの主音響共振
器の内部の音圧をマイクロホン10で検出し、このマイ
クロホンの出力信号Em(t)を、マイクロホン用アンプ1
8を介してFFTアナライザ17に送る。ここで、CP
U19の指令により、FFTアナライザ17は、音源1
1への信号Es(t)を入力とし、マイクロホン出力信号E
m(t)を出力とする伝達関数を演算する。CPU19は、
この演算が終了すると発振器15の発振を停止させる。
ここまでのFFTアナライザ17、発振器15の動作
は、CPU19によって全て同期して行われる。
【0026】上記のようにFFTアナライザ17で求め
た伝達関数は、図9に示すように、共振周波数f1にお
いて、振幅特性|H|ではピーク、位相特性∠Hでは反
転する特性となる。なお、図9においては共振周波数f
1についてのみ記載しているが、共振周波数f2において
も同様に測定する。これらの共振周波数f1、f2は、音
響管13や空洞12の寸法や測定時の温度から、上記
(数3)式、(数4)式を用いて、概略の値は予め予想
可能である。CPU19は、上記の伝達関数データを取
り込み、振幅特性のピーク周波数値または、予め実験等
で求めておいた共振点での位相φと上記位相特性との交
点での周波数値から、各共振周波数f1、f2を求める。
上記2つの共振周波数f1、f2から燃焼室の容積Vを求
めるには次のようにする。すなわち、(数3)式、(数
4)式から音速cを消去すると、下記(数5)式が得ら
れる。 V=k(f2/f12V'/{V'−k(f2/f12} …(数5) ただし、k=d'2S/π2d 上記(数5)式において、音響管13の内部断面積S、
音響管13の長さd、空洞12の容積V'は既知の値で
あるから、2つの共振周波数f1、f2を(数5)式に代
入することにより、燃焼室8の容積Vを求めることがで
きる。なお、この場合には、上死点における燃焼室の容
積であり、これをVTとする。ただし、(数3)式、
(数4)式は理想的な条件下での理論式であり、これら
から求めた上記(数5)式を用いた場合には、測定誤差
を生じる可能性がある。そのため、実際の計算式は、容
積、寸法が既知の容器を用いて較正実験を行い、そこで
実験的に求めた定数k'を用いた近似式であってもよ
い。或いは、定数k'の代わりに、共振周波数比(f2
12と容積Vとの関係をデータテーブルとして作成し
ておき、それから読み出して求めるように構成してもよ
い。
【0027】次に、クランクシャフト7aを任意の角度
θiだけ回転させた場合における燃焼室8の容積Viの測
定手順について説明する。ただし、本実施例では音響式
の容積測定手段を用いているので、被測定物である燃焼
室が外部から閉じた空間である必要がある。そのため、
角度θiの取り得る範囲は、吸排気バルブが閉じている
区間に限られる。両バルブの全閉区間は、例えば図8に
実線で示したhの範囲であり、一般には上死点を中心と
して±120°〜130°程度の範囲である。このよう
な角度θiで測定するには、前記図3に示したように、
工具7d等を用いてクランクシャフト7aを任意の角度
θi〔deg〕だけ回転させ、このときの燃焼室の容積Vi
の測定を行う。なお、クランクシャフト7aを回転させ
る場合には、前記のように電磁弁30aを開けて空気導
入管30を大気に連通させておく。容積測定の方法は、
前記の上死点における測定と同様である。また、回転角
度θiは回転角度検出器7bで検出され、処理回路22
を介してCPU19に送られる。この任意の角度θi〔d
eg〕は、本実施例では±105°の間に15点設定し、
上死点付近に2点追加して、合計17点で測定する。こ
の17点での測定値(Viとθi)から、最小2乗法を用
いてカーブフィットさせる。すなわち最小2乗法(6次
式)を用いて、下記(数6)式のA0、A1、A2、A3
4、A5、A6を導く。 Y=A0+A1x+A22+A33+A44+A55+A66 …(数6) 上記の(数6)式で、Yを最小とするxを算出し、その
ときのYを上死点位置における真の容積VTとする。ま
た、そのときのxは、測定前に設定したクランク角度の
0点(上死点位置)のずれ角度θeであり、以後の演算
に用いる角度θiは、このずれ角度θe分の角度補正を施
す必要がある。
【0028】次に、クランク角度θとその角度における
容積Vθとの関係は、前記(数1)式および(数2)式
から下記(数7)式で示される。
【0029】
【数7】
【0030】上記(数7)式において、VTは前記(数
6)式の最小2乗法で求めた値を用いるとすれば、未知
数は、シリンダボア径Dとクランク半径rとコンロッド
長Lの3つである。また、θは各点の測定値であるが、
前記のように、角度0点(上死点位置)のずれ角度θe
を補正した値である。
【0031】任意の角度θi〔deg〕における燃焼室容積
Viは、(数7)式において未知数D、r、Lを与える
ことによって計算値として得られる。そして全測定点に
おいて、この計算値がその角度における容積の測定値に
最も近くなるD、r、Lの組合せを探査する。このよう
にして求められたDとrから、その気筒の排気量(行程
容積)Vcは下記(数8)式で求められる。 Vc=πD2・r/2 …(数8) エンジン全体の総排気量(総行程容積)Wは、各気筒毎
の排気量Vcの総和であるが、或る気筒排気量Vcから求
める場合は、エンジンの気筒数をn(予めキーボード2
3から入力する)とすれば、求める総排気量Wは下記
(数9)式で求められる。また、圧縮比εは下記(数1
0)式で求められる。 W=n・Vc …(数9) ε=(Vc/VT)+1 …(数10) 図2のCPU19は、上記の各計算を行ない、計算結果
を表示装置21に出力して表示し、或いは外部の表示装
置に与える。
【0032】次に、温度補正について説明する。これま
で説明した容積測定値Vθは、全て以下に説明する温度
補正を施した値である。まず、燃焼室内に設置した第1
の感温素子24aによる温度測定値をT1、センサヘッ
ド9内に設置した第2の感温素子24bによる温度測定
値をT2とすれば、燃焼室内温度とセンサヘッド内温度
との温度差TDTは下記(数11)式で示される。 TDT=T1−T2 …(数11) なお、センサヘッド内温度T2を測定する位置は、エン
ジンからなるべく遠い方が望ましい。上記の温度差TDT
と共振周波数比(f2/f12との関係は、常温付近に
おける温度幅50℃程度の狭い範囲であれば、直線比例
関係とみなすことができ、下記(数12)式で温度補正
後の共振周波数比FRを求めることが出来る。 FR=(f2/f12(1+kDT・TDT) …(数12) ただし、kDTは温度差補正係数であり、本実施例の場合
は、0.0014〜0.0016程度の値である。上記の
ようにして、温度補正後の共振周波数比FRを求めた
後、予め温度差0における較正実験で求めた共振周波数
比(f2/f12と容積Vとの関係を記憶したデータテ
ーブルを用いて、上記の温度補正後の共振周波数比FR
に対応した容積Vを求めることにより、温度補正後の容
積を求めることが出来る。
【0033】次に、図10は、これまで説明した本実施
例の測定処理を示すフローチャートである。図10にお
いて、まず、ステップS1では、測定する気筒を上死点
位置にし、その点をθ=0とする。次に、ステップS2
では、電磁弁30aを開いて、空気導入管30を介して
燃焼室を大気に連通させる。次に、ステップS3とステ
ップS4では、測定する角度θiを設定する。この方法
は、例えば、測定する角度θiをCPU19から指示し
て表示装置21に表示することによって測定者に示し、
測定者がクランクシャフトを回転させ、角度がその時の
指示値θiの所定範囲(例えば±1°程度)になった場
合にステップS3が“YES”となるようにする。
【0034】次に、ステップS5では、測定する角度θ
iが設定された後、所定の待機時間を設ける。これはピ
ストンの上下運動によって空気が出入りした直後は、セ
ンサヘッド9内および燃焼室内が空気の流れ、圧力変
動、熱的変化等で不安定な状態になるので、この間は測
定を待つものである。なお、上記の待機時間は2〜5秒
程度の極めて短時間でよい。次に、ステップS6では、
電磁弁30aを閉じ、燃焼室およびセンサヘッド9を密
閉状態にする。次に、ステップS7では、前記の方法に
よってそれぞれの共振周波数f1、f2と温度T1、T2
測定する。次に、ステップS8では、上記の共振周波数
1、f2と温度T1、T2から、前記の方法によって角度
θiにおける容積Vi(温度補正後の値)を演算する。
【0035】次に、ステップS9では、予め定めた測定
点数に達するまで、上記のステップS2〜S8を繰り返
す。上記のステップS2〜S8の繰返し(測定点数)
は、本実施例では17点としている。この点数が多い方
が精度が向上することは当然であるが、要求精度内であ
れば点数の少ない方がメリットが大きい。したがってこ
の測定点数は、要求精度や許容測定時間等に応じて決定
する。次に、ステップS10では、当該エンジンの気筒
数nをキーボード23から入力する。
【0036】次に、ステップS11〜ステップS13で
は、これまで測定した全データを用いて演算を行なう。
まず、ステップS11では、最小2乗法を用いて測定デ
ータに最も適合するカーブ式(数6式)を導き、それを
用いて真の容積VTとずれ角度θeを算出する。次に、ス
テップS12およびステップS13では、シリンダボア
径Dとクランク半径rとコンロッド長Lの探査計算を行
なう。なお、ステップS12における第1の探査計算で
は粗い計算を行ない、ステップS13における第2の探
査計算では密な計算を行なう。上記の探査計算は、それ
ぞれの数値の範囲と計算ステップ量とを決定しておき、
その3つの数値D、r、Lの組合せによって前記(数
7)式を計算し、測定データに最も適合するD、r、L
の組合せを求める。なお、上記のD、r、Lの数値範囲
は、現存するエンジンを参考として最小値と最大値とを
決定する。また、計算ステップ量(D、r、Lの変更ピ
ッチ量)は小さいほど好ましいが、組合せ数が多くなる
ため計算時間が多くなる。そのため、本実施例において
は、上記のように、粗い計算を行なうステップS12と
密な計算を行なうステップS13とを設け、ステップS
12では計算ステップ量を大きくして粗い計算を行な
い、暫定のD、r、Lを求める。そしてステップS13
では、暫定のD、r、Lを中心として比較的狭い範囲で
ステップ量を小さくした密な計算を行ない、最終的な
D、r、Lを求める。このように構成することにより、
数値の組合せ数を少なくして短時間で計算することが可
能となり、かつ探査精度を低下させることもない。
【0037】次に、ステップS14では、上記のように
して求めた真の容積VT、ずれ角度θe、シリンダボア径
D、クランク半径rおよびコンロッド長Lに基づいて当
該気筒の排気量Vc(前記数8式)、エンジン全体の排
気量W(前記数9式)、圧縮比ε(前記数10式)を計
算する。なお、本実施例では、排気量Wは1つの気筒で
の測定値と予め設定された気筒数nから(数8)式で求
めたが、上記の測定を全ての気筒で行えば、さらに精度
よく排気量Wを求めることができる。すなわち、すべて
の気筒に対して行程容積Vcを求め、その総和が排気量
となる。その場合、容積測定手段を気筒数だけ用意し、
各気筒の測定を同時に行えば、容積計測手段を気筒ごと
に取り外して移設する必要がないので、さらに短時間に
測定することができる。次に、ステップS15では、こ
れまでの計算結果の記憶と表示(表示装置21へ出力)
を行なう。最後にステップS16では、再度測定を行な
うか否かを判定し、“YES”の場合はステップS1へ
戻って計算を繰返し、“NO”の場合は計算を終了す
る。なお、容積を測定する手段の構成、共振周波数の測
定方法および容積計算式は、本実施例に記載したものに
限定されるものではない。
【0038】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。エンジンが十分に暖機された状態でエンジンを停
止すると、その直後におけるエンジン内部の温度は通常
80℃程度である。このような高温状態のエンジンにセ
ンサヘッドを取り付けるとセンサヘッドの温度が上昇す
るが、センサヘッドに取り付けられたスピーカやマイク
ロホンの使用温度の定格は40℃程度であり、それを大
幅に越えると測定精度の悪化を生じ、極端な場合には特
性変化や損傷を生じるおそれがある。なお、耐熱性のス
ピーカやマイクロホンも存在するが、高価なため好まし
くない。本実施例は上記の問題を解決するものである。
第2の感温素子24bで測定される温度T2は、センサ
ヘッドの上部(スピーカやマイクロホンの装着位置)の
温度とほぼ同じである。したがって、本実施例は、この
温度T2に応じて測定可能か否かを判断するように構成
している。
【0039】図11は、本実施例の演算処理を示すフロ
ーチャートであり、前記図10のフローチャートにおけ
るステップS7とS8との間に、ステップS71とS7
2とを設けたものである。
【0040】図11において、まず、ステップS71で
は、第2の感温素子24bで測定された温度T2が設定
温度以上か否かを判断する。なお、設定温度はセンサヘ
ッド内の音響機器の耐熱特性に応じて設定するが、本実
施例では、例えば40℃とする。ステップS71で“N
O”の場合は、ステップS8へ行き、前記と同様の演算
処理が行なわれる。一方、ステップS71で“YES”
の場合は、ステップS72へ行き、センサヘッドの取外
しを指示するメッセージを表示装置21に出力した後、
測定を終了する。このように、エンジン温度が高くて測
定機器の精度や耐熱性に問題が生じるおそれのある場合
は、測定を中止させ、センサヘッドを取り外させること
により、測定精度を低下させることがなく、かつ測定機
器を損傷するおそれもなくなる。
【0041】次に、図12は、本発明の第3の実施例を
示すフローチャートである。エンジンにセンサヘッドを
装着した直後は、センサヘッドの温度T2は外気温と同
じと考えれるから、エンジン温度T1とセンサヘッドの
温度T2との温度差TDTが、例えば20℃以上ある場合
には、外気温を20℃とすれば、エンジン温度T1は4
0℃以上であることになる。エンジン温度はエンジン停
止後に徐々に低下するが、センサヘッドの温度はエンジ
ン温度と平衡するまで上昇する。また、前記のごとき容
積測定値の温度補正においても温度差による補正量はで
きるだけ小さい方が測定精度上望ましい。上記のような
理由から、温度差TDTが所定の設定値以上の場合には、
測定を中止した方がよい。
【0042】図12のフローは、前記図10のステップ
S1の前に、ステップS01、S02およびS03を追
加したものである。まず、ステップS01では、第1の
感温素子24aで測定した温度T1と第2の感温素子2
4bで測定した温度T2との温度差TDT(TDT=T1−T
2)を求める。次に、ステップS02では、温度差TDT
が所定の設定値(例えば20℃)以上か否かを判定す
る。ステップS02で“NO”の場合は、ステップS1
へ行き、前記と同様の演算処理が行なわれる。一方、ス
テップS02で“YES”の場合は、ステップS03へ
行き、センサヘッドの取外しを指示するメッセージを表
示装置21に出力した後、測定を終了する。
【0043】前記図11においては、測定の途中で測定
の可否を判断しているので、その結果に応じて測定を中
止しても、それまでの測定は無駄になるが、図12の場
合は、測定開始前に測定の可否の判断を行なうので、無
駄な作業を行なうことがない、という利点がある。な
お、図12においては、温度差TDTを用いて判断してい
るが、T1またはT2を用いてもよい。また、測定点数を
N個とした場合に、第1番目に測定した時点の温度差T
DT1とN番目に測定した時点の温度差TDTNとの変化量
(両者の差)に応じて測定の可否を判断することもでき
る。すなわち、測定中の温度変化が非常に大きい場合に
は測定精度が低下するので、上記の変化量が所定値以上
の場合には測定を中止することにより、測定精度を向上
させることが出来る。
【0044】なお、これまで説明した実施例では、計測
結果を単純に表示装置21で表示するものであったが、
測定値と基準値との関係を判断するように構成すること
もできる。すなわち、予めメモリ20に、被測定物であ
るエンジンの設計値等を基準値として記憶させておく
か、もしくはキーボード23から入力しておき、この基
準値と計測値とを比較し、比較結果が予め設定しておい
た設計規格等といった所定の許容範囲内にある場合は合
格、許容範囲内になければ被測定エンジンに異常がある
と判定し、表示装置21へその異常内容を出力して表示
するように構成する。この構成により、当該エンジンが
設定規格に適合したものか、或いは違法改造されたもの
であるか等を簡単に判定することができる。これらの動
作は、CPU19が計測結果を用いて自動的に行なうよ
うにプログラムしておけばよい。また、比較内容や基準
値等は、用途に応じて適宜用意すればよい。
【0045】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、吸排気バルブが全閉状態の範囲における複数個所
のピストン位置で燃焼室容積を測定し、それらの値から
気筒の行程容積を演算するように構成したことにより、
従来は計測できなかったエンジン組立状態での実排気
量、実圧縮比等のエンジン諸元を正確かつ容易に測定す
ることができる。また、エンジン燃焼室内温度と計測装
置内温度とに応じた温度補正を行なうように構成したこ
とにより、両者の温度が均一になるまで放置する必要が
なく、速やかに計測を行なうことが出来る。また、ピス
トンの上下運動時には、空気導入管開閉手段を開いて空
気導入管を介して燃焼室を大気に連通させることによ
り、燃焼室内の圧力の変動を避けることが出来るので、
測定用音響機器の特性変化や損傷を防止することが出来
ると共に、クランクシャフトを小さな力で容易に回転さ
せることが出来る、等の効果が得られる。したがって本
発明を用いることにより、エンジンの実験、研究、工場
ラインでの検査等に活用できるのは勿論、従来は困難で
あった車検時における違法改造車や輸入車の検査なども
容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の断面図。
【図2】演算手段の構成を示すブロック図。
【図3】回転角度検出器7bの取付け状態を示す斜視
図。
【図4】回転角度検出器7bの詳細構造を示す図であ
り、(a)は回転角度検出器全体を装着面側(クランク
プーリ側)から見た図、(b)は(a)のSA−SA断
面図、(c)はスリット円板と検出モジュールを示す
図。
【図5】コンロッド長L、クランク回転角度θ、ピスト
ン位置xの関係を示す図。
【図6】ピストン移動量測定方法を示す断面図。
【図7】空気導入管を流れる空気音の強さとクランク角
度との関係を示す特性図。
【図8】燃焼室容積Vとクランク角度θとの関係を示す
V−θ特性図。
【図9】伝達関数の特性図。
【図10】第1の実施例の測定手順を示すフローチャー
ト。
【図11】第2の実施例の測定手順を示すフローチャー
トの一部。
【図12】第3の実施例の測定手順を示すフローチャー
トの一部。
【符号の説明】
1…エンジン 2…ブロック 2a…シリンダ 3…ガスケット 4…シリンダヘッド 5…ヘッドカバー 6…ピストン 6a…ピストン冠面 7…コンロッド 7a…クランクシャフ
ト 7b…回転角度検出器 7c…クランクプーリ 7d…回転用の工具 7e…クランクボルト 8…燃焼室 9…センサヘッド 10…マイクロホン 11…音源 12…空洞 13…音響管 14…点火プラグ孔 15…発振器 16…音源用アンプ 17…FFTアナライ
ザ 18…ヘッドカバー 19…CPU 20…メモリ 21…表示装置 22…回転角度検出器用回路 23…キーボード 24…測定器 24a…第1の感温素
子 24b…第2の感温素子 25…温度測定回路 27…電磁弁制御回路 28…インタフェース 30…空気導入管 30a…電磁弁
フロントページの続き (72)発明者 安原 成史 東京都港区三田3−5−28 日産アルティ ア株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンが組み立てられた状態において、
    エンジンの燃焼室の容積を測定する容積測定手段と、 クランクシャフトの回転角度を測定する回転角度測定手
    段と、 上記容積測定手段と上記回転角度測定手段の測定結果を
    入力し、吸排気バルブが閉じているクランクシャフトの
    回転角度の範囲における複数の異なった回転角度におい
    て計測した燃焼室容積の複数の計測値を用いて、上記エ
    ンジンの排気量と、圧縮比と、ストロークと、コンロッ
    ド長と、クランク半径と、シリンダ・ボア径と、のうち
    の少なくとも一つを求める演算手段と、を備え、 かつ、上記容積測定手段は、ヘルムホルツ共鳴器を利用
    した音響式測定手段であって、エンジンの点火プラグ孔
    を介して装着する音響式検出体と、該音響式検出体内の
    空気温度とエンジン内の空気温度とを測定する温度測定
    手段と、上記音響式検出体に設けた大気と連通する空気
    導入管と、該空気導入管を開閉する空気導入管開閉手段
    と、を備えたものである、ことを特徴とするエンジン計
    測装置。
  2. 【請求項2】上記空気導入管開閉手段は、電磁弁と、該
    電磁弁を駆動する電磁弁制御手段と、を備えたものであ
    る、ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン計測装
    置。
  3. 【請求項3】上記回転角度測定手段は、ピストンが上死
    点位置にあることを判定する上死点位置判定手段と、該
    上死点位置判定手段の判定結果に基づき、上死点におけ
    る回転角度を0°とする回転角度ゼロ設定手段と、を備
    えたものである、ことを特徴とする請求項1に記載のエ
    ンジン計測装置。
  4. 【請求項4】上記上死点位置判定手段は、上記容積測定
    手段で求めた燃焼室容積が最小値となるクランク回転角
    度を上死点と判定するものである、ことを特徴とする請
    求項3に記載のエンジン計測装置。
  5. 【請求項5】上記演算手段は、複数の異なったクランク
    シャフト回転角度における燃焼室容積の計測値と、それ
    ぞれに対応する燃焼室容積の計算値とに基づいて排気量
    を算出するものである、ことを特徴とする請求項1に記
    載のエンジン計測装置。
  6. 【請求項6】上記計算値は、コンロッド長Lと、クラン
    ク半径rと、シリンダ・ボア径Dとの3つの未知数値に
    それぞれ所定の値を与えて計算した場合の容積計算値で
    あり、上記演算手段は、該容積計算値が上記計測値に最
    も近似する上記L、r、Dを探査することによって上記
    排気量を算出するものである、ことを特徴とする請求項
    5に記載のエンジン計測装置。
  7. 【請求項7】上記回転角度測定手段は、 測定時に、クランクプーリに磁石で固着されるインナ部
    材と、 該インナ部材に固定された多数のスリットを有する円板
    と、 微小な間隔を隔てて上記円板を挾むように配設されたス
    リット孔検出体と、 上記インナ部材とは回動自在に装着され、上記スリット
    孔検出体を保持するアウタ部材と、 該アウタ部材が回転しないように固定するアウタ固定部
    材と、 を備え、クランクプーリと一緒に回転する上記円板のス
    リット孔を上記スリット孔検出体で検出することによ
    り、クランクシャフトの回転角度を検出するものであ
    る、ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の
    エンジン計測装置。
  8. 【請求項8】上記インナ部材は、クランクプーリに固着
    するための磁石を端部に設けた少なくとも3つの連結レ
    バーと、インナ部材の中心点から各連結レバーの端部ま
    での長さを調節する連結レバー調節部と、を備えたもの
    である、ことを特徴とする請求項7に記載のエンジン計
    測装置。
  9. 【請求項9】上記演算手段で用いる吸排気バルブが閉じ
    ているクランクシャフトの回転角度の範囲を計測する手
    段として、上記空気導入管の空気の出入りを検出する手
    段と、ピストン移動中に上記空気導入管に空気の出入り
    がある範囲を吸排気バルブが閉じているクランクシャフ
    トの回転角度の範囲であると判定する手段と、を設けた
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン計測装置。
  10. 【請求項10】上記空気導入管の空気の出入りを検出す
    る手段は、空気流量センサもしくは上記空気導入管の空
    気の出入りに伴う音を検出するセンサである、ことを特
    徴とする請求項9に記載のエンジン計測装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008256374A (ja) * 2007-03-30 2008-10-23 Daishinku Corp 圧電振動素子の周波数測定方法
CN103335686A (zh) * 2013-07-16 2013-10-02 上海交通大学 发动机气缸容积动态测量方法及装置
CN110892236A (zh) * 2017-05-23 2020-03-17 密西根科技公司 电声性的体量测量

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