JPH08124745A - 薄膜回路およびその製造方法 - Google Patents

薄膜回路およびその製造方法

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JPH08124745A
JPH08124745A JP28449394A JP28449394A JPH08124745A JP H08124745 A JPH08124745 A JP H08124745A JP 28449394 A JP28449394 A JP 28449394A JP 28449394 A JP28449394 A JP 28449394A JP H08124745 A JPH08124745 A JP H08124745A
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layer
thin film
circuit
layers
conductor
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JP28449394A
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Inventor
Masahiro Kawamura
昌廣 川村
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定形状の導体層または抵抗体層が形成され
た薄膜回路において、成膜時の導体層や抵抗体層の断面
形状の変化が電気的特性に影響を与えないようにする。 【構成】 基板10の上に下地金属膜12が形成され、
その上に所定パターンのレジスト層11が形成され、レ
ジスト層11の間に導体層La〜LdおよびLp1がメ
ッキにより形成される。導体層La,Lb,Lcにより
薄膜コイル体が形成される。最外部に位置する導体層L
dは隣接する位置に他の導体層が設けられていないた
め、メッキ工程での内部応力により(イ)の部分に断面
形状の太りが生じやすくなる。よって、最外部の導体層
Ldを回路には使用せずダミーラインとする。したがっ
て回路を構成する導体層La,Lb,Lcの断面形状が
安定し、インダクタンスのばらつきなどが小さくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜インダクタや薄膜磁
気ヘッドを構成する薄膜コイル体、または薄膜抵抗体な
どの薄膜回路に係り、特に導体層または抵抗体層をメッ
キなどの手段で成膜する際に、断面積の太りを原因とす
るインダクタンスや抵抗値の精度の低下を防止できるよ
うにした薄膜回路およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は薄膜回路の製造過程を示す断面図
である。符号1は基板または基層であり、Si(シリコ
ン)やSiO2(酸化ケイ素)またはAl23(アルミ
ナ)などの非磁性体または非導電体により形成されてい
る。L1〜L5は回路構成ラインとなる導体層または抵
抗体層である。導体層または抵抗体層L1〜L5は、紙
面に直交する方向へ互いに平行に延び、また紙面左右方
向へのピッチpが一定となるように形成されている。回
路構成ラインが薄膜インダクタや薄膜磁気ヘッドを構成
する薄膜コイル体である場合には、L1〜L5が、Cu
(銅)などの電気抵抗の小さい導体層により構成され、
導体層L1〜L5は平面的に螺旋状に形成される。また
回路構成ラインが薄膜抵抗体を構成する場合には、L1
〜L5は所定の電気抵抗を有する抵抗体層により構成さ
れる。
【0003】L1〜L5が導体層によりメッキ形成され
る場合を例として、その製造工程を説明する。基板(基
層)1の表面には、下地金属膜2が形成されている。こ
の下地金属膜2はCu(銅)などの導電体膜である。こ
の下地金属膜2の上にレジスト層3がパターン成形され
る。レジスト層3は、導体層L1〜L5が形成される部
分が抜けたパターンとなるように成形される。レジスト
層3が形成された基板(基層)1に対して、電解メッキ
により導体層L1〜L5が形成される。その後に、レジ
スト層3が除去され、さらに導体層L1〜L5で覆われ
ていない部分の下地金属膜2がエッチングにより除去さ
れ、その結果、基板(基層)1上に平行な導体層L1〜
L5が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図6に示す回路構成ラ
インのうち、中間に位置している導体層L2,L3,L
4のそれぞれは、図示左右両側に一定ピッチpにて他の
導体層が隣接して設けられているが、図示右側の最外端
に位置する導体層L1の右側には他の導体層が存在して
おらず、同様に図示左側の最外端に位置する導体層L5
の左側にも他の導体層が存在していない。導体層がメッ
キにより形成される際に、メッキ層に内部応力が発生す
るが、導体層の両側に短いピッチpにて他の導体層が隣
接して設けられている場合には、各導体層の内部応力が
相殺されて応力による導体層の断面形状の変化はほとん
ど生じない。ところが、導体層L1またはL5のように
その側方に隣接する導体層が設けられていない場合に
は、メッキ成型時の内部応力により導体層L1とL5の
断面形状の変化が生じやすくなる。
【0005】上記の内部応力は、導体層L1またはL5
の膜厚が厚くなるにつれて大きくなる。したがって、導
体層L1の右端と導体層L5の左端は(イ)で示すよう
に上方に向かうにしたがって断面の幅寸法が大きくな
る。上記のように回路構成ラインとなる導体層のうちの
L1とL5の断面形状が他の導体層L2〜L4よりも大
きくなってしまうと、電気回路に影響を生じることにな
る。例えば回路構成ラインが薄膜コイル体の場合には、
インダクタンスが設計値と異なることになり、インダク
タまたは磁気ヘッドとして構成された場合に周波数特性
などに影響を生じる。
【0006】またL1〜L5が抵抗体層であって回路構
成ラインにより薄膜抵抗体が形成される場合には、左右
の抵抗体層L1とL5の電気抵抗が中間の抵抗体層L2
〜L4の電気抵抗と異なることになり、抵抗体全体とし
て設計値通りの抵抗値が得られなくなる。さらに、導体
層または抵抗体層L1〜L5がメッキにより形成された
後に、レジスト層3が除去され且つ下地金属膜2がエッ
チングにより除去されるが、左右の層L1とL5の左右
両側の(ロ)で示す部分では、その上方の(イ)の部分
がオーバーハングしているので、(ロ)の部分での下地
金属膜2のエッチングが不十分になり、この部分の下地
金属膜2に残りが生じる。その結果、図6に示す回路構
成パターンに隣接する他の回路に(ロ)の部分の下地金
属膜2が接近し短絡を生じるおそれがある。
【0007】また、薄膜磁気ヘッドなどでは、レジスト
層3が除去され下地金属膜2が除去された後に、導体層
L1〜L5の上にAl23などによる層間絶縁層が形成
され、その上に上部コア層などが成膜される。このと
き、(ロ)の部分では上に導体層がオーバーハングして
いるため、(ロ)の部分に層間絶縁層の材料が充分に回
り込めず、空隙が形成されやすくなる。この空隙が生じ
ることによって層間絶縁層による絶縁機能が低下するこ
とになる。このように導体層や抵抗体層が形成される際
の断面形状の太りの問題は、電解メッキによる成膜のと
きにのみ生じるものではなく、無電解メッキによる導体
層または抵抗体層の成膜時においても同様に生じる。ま
たスパッタリングによりカーボンを主体とした抵抗体層
などを成膜しあるいはスパッタリングにより導体層を成
膜する場合にも内部応力の発生により同様にこの種の問
題が発生する。
【0008】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、メッキなどの成膜時に導体層または抵抗体層の断
面の太りが生じた場合であっても、回路上でのインダク
タンスや抵抗値の変化が生じないようにした薄膜回路お
よびその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜回路は、所
定厚さの単一または複数の導体層または抵抗体層による
回路構成ラインが形成され、前記回路構成ラインと同じ
材料により形成され且つ回路を構成しないダミーライン
が、前記回路構成ラインの外側端と平行に形成されてい
ることを特徴とするものである。
【0010】上記回路構成ラインは、例えば導体層によ
り平面的に螺旋形成されて薄膜コイル体を構成するもの
であり、この場合には、薄膜コイル体の最外周の外側に
ダミーラインが形成される。
【0011】あるいは回路構成ラインが抵抗体層により
形成される場合には、回路構成ラインにより薄膜抵抗体
が構成される。
【0012】上記手段は、回路構成ラインの導体層また
は抵抗体層の断面での幅寸法をwとし、膜厚をhとした
ときに、アスペクト比(h/w)が0.5以上である場
合に特に有効である。
【0013】また本発明による薄膜回路の製造方法は、
基板上に所定パターンのレジスト層を形成し、レジスト
層が形成されていない部分に、複数条の導体層または抵
抗体層をメッキなどにより平行に形成し、レジスト層を
除去したのちの複数条の導体層または抵抗体層のうち、
最外部に位置するものを回路を構成しないダミーライン
とし、ダミーラインよりも内側に位置するものを回路構
成ラインとして使用することを特徴とするものである。
【0014】
【作用】導体層または抵抗体層が電解メッキまたは無電
解メッキあるいはスパッタリングなどにより形成される
場合に、積層時(析出時)に内部応力が生じる。ただし
導体層または抵抗体層に隣接する位置に他の導体層また
は抵抗体層が形成されている場合には、層の断面積の変
化はほとんど生じない。一方、複数条の導体層または抵
抗体層のうちの最も外端に位置しているものは、その外
側に隣接する導体層または抵抗体層が形成されていない
ため、前記応力による層の断面形状の太りが生じやすく
な。
【0015】本発明では、最も外端に位置し、メッキな
どにより断面形状の太りが生じやすくなっている導体層
または抵抗体層を、回路構成ラインとして使用せずにダ
ミーラインとする。そして中間に位置して断面形状の変
化が生じにくい導体層または抵抗体層を回路構成ライン
として使用する。回路構成ラインとして使用する導体層
または抵抗体層は断面形状がほぼ均一となる。したがっ
て回路構成ラインにより薄膜コイル体が形成される場合
にはインダクタンスのばらつきが生じず、また回路構成
ラインにより薄膜抵抗体が形成される場合には抵抗値の
ばらつきが生じなくなる。
【0016】また導体層または抵抗体層の断面形状が縦
に長ければ長いほど、メッキなどによる内部応力が高く
なり、断面形状が変化しやすくなる。特に導体層または
抵抗体層の断面での幅寸法をwとし、膜厚をhとしたと
きに、アスペクト比(h/w)が0.5以上の場合に、
断面の太りが大きくなり、インダクタンスや抵抗値の変
化(ばらつき)が顕著になる。したがってアスペクト比
が0.5以上の層が形成される場合に、本発明は特に有
効である。
【0017】また、本発明による薄膜回路の製造方法
は、レジスト層の抜けた部分にメッキなどにより導体層
または抵抗体層が形成されるものであり、レジスト層が
除去されたときに残る導体層または抵抗体層のうち最も
外端に位置しているものを、回路を構成しないダミーラ
インとするものである。
【0018】また本発明による薄膜回路には、上記のレ
ジスト層を用いた製造方法により複数の導体層または抵
抗体層を形成した後に、ダミーラインとなる最外端の導
体層または抵抗体層が除去され、またはダミーラインと
回路構成ラインとの間で基板などが分離され、その結
果、断面形状の変化がほとんどない導体層または抵抗体
層による回路構成ラインのみが基板上に残されたものも
含まれる。
【0019】
【実施例】図1は本発明による薄膜回路の一実施例を示
す斜視図、図2は図1のII−II線の拡大断面図、図
3(A)〜(C)はその製造方法を示す拡大断面図であ
る。図1に示す薄膜回路は、基板または基層10の表面
に、回路構成ラインL0が平面上にて螺旋状に形成され
たものであり、この回路構成ラインL0により薄膜コイ
ル体が構成される。上記基板10は、SiまたはSiO
2あるいはAl23などの非導電性で且つ非磁性の材料
により形成されたものである。図1では、薄膜コイル体
を構成する回路構成ラインL0が平面的に矩形の螺旋状
に形成されている。図1では図示の都合上、回路構成ラ
インL0が3ターンから4ターンの螺旋形状として示し
ているが、実際の薄膜回路では、回路構成ラインL0の
ターン数はさらに多くなり、10ターン以上となるのが
一般的である。また、回路構成ラインL0の螺旋形状は
図1に示す矩形の螺旋パターンに限られず、円形渦巻き
状のパターンや楕円渦巻き状のパターンなどであっても
よい。
【0020】回路構成ライン(薄膜コイル体)L0の最
内端には所定表面積のパッド部Lp1が連続して形成さ
れ、同様に回路構成ラインL0の最外端には同様に所定
表面積のパッド部Lp2が形成されている。薄膜コイル
体の回路構成ラインL0は、このパッド部Lp1とLp
2とにより外部回路に接続される。回路構成ラインL0
の最外端に位置しているラインの外側には平行なダミー
ラインLdが形成され、このダミーラインLdにより螺
旋パターンの回路構成ラインL0の外周が囲まれてい
る。このダミーラインLdは、薄膜コイル体の回路構成
ライン10には導通されておらず、ダミーラインLdは
回路を構成していないものとなっている。回路構成ライ
ンL0およびダミーラインLdは、同じ導電性材料(例
えばCuなど)により形成された導体層である。
【0021】図2の断面図には、回路構成ラインL0の
螺旋パターンの一部となる3ターンの導体層La,L
b,Lcの断面形状と、内端側のパッド部Lp1の一部
分の断面と、ダミーラインLdの断面形状が現れてい
る。図2では、パッド部Lp1と導体層Laとの間隔
(ピッチ)がpで示されているが、導体層LaとLbと
の間隔、導体層LbとLcとの間隔、および導体層Lc
とダミーラインLdとの間隔(ピッチ)は、全て同じ寸
法pである。また薄膜コイル体を構成する導体層La,
Lb,Lcの断面形状は全て同じであり、その高さを
h、幅寸法をwで示している。なお、ダミーラインLd
の断面での高さと幅寸法の設計値(図3(A)の工程で
のレジスト層11の抜き寸法)は、導体層La,Lb,
Lcの高さhおよび幅wと同じ値である。ただし、ダミ
ーラインLdは、回路を構成していないため、幅寸法の
設計値が導体層の幅寸法wと相違していても問題はな
い。
【0022】図2において、基板(基層)10と、導体
層La,Lb,Lcとパッド部Lp1,Lp2およびダ
ミーラインLdとの間には、電解メッキのための下地金
属膜12が残されている。また、導体層La,Lb,L
cとパッド部Lp1,Lp2およびダミーラインLdの
各層は、層間絶縁層13により覆われている。この層間
絶縁層13は、例えばAl23などをスパッタ成膜した
ものあるいはポリイミドなどの高分子材料により形成さ
れたものである。薄膜インダクタや薄膜磁気ヘッドなど
では層間絶縁層13の上に他の層、例えば上部コア層な
どが形成される。
【0023】次に上記薄膜回路の製造方法を図3(A)
(B)(C)を参照して説明する。基板(基層)10
は、例えばシリコン基板の表面を酸化して、酸化ケイ素
(SiO2)膜を形成したものである。基板10の表面
の全面には下地金属膜12が形成される。下地金属膜1
2は、Cu(銅)やAl(アルミニウム)などの導電性
材料をきわめて薄くスパッタリングすることにより形成
されている。
【0024】上記下地金属膜12の上にレジスト層11
が形成される。まず下地金属膜12の表面に10数μm
の厚さでフォトレジスト樹脂をコーティングする。これ
を、クリーンオーブン内で熱硬化させた後、フォトマス
クを使用して密着露光を行う。使用するフォトマスク
は、回路構成ライン(薄膜コイル体)L0およびダミー
ラインLdの部分で光を透過し、それ以外の部分が光を
透過しないものである。密着露光した後の基板10を現
像液で現像すると、回路構成ラインL0とダミーライン
Ldのパターンの部分にてレジスト樹脂が除去され、図
3(A)に示すレジスト層11が形成される。電解メッ
キ工程では、基板10を硫化銅メッキ浴,ピロリン酸銅
メッキ浴,またはシアン銅メッキ浴などのメッキ液中に
入れ、レジスト層11が抜けている部分に、Cu(銅)
の導体層(メッキ層)を析出させる(図3(B)参
照)。電解メッキによる導体層の膜厚(高さ)hは10
μmである。
【0025】次に、基板10をアセトンに浸し同時に超
音波を印加するなどして、レジスト層11を除去し、さ
らにエッチングにより、Cu(銅)がメッキされていな
い部分の下地金属膜12を除去する。その結果、基板1
0上に、Cuの導体層(メッキ層)によって、回路構成
ラインL0とダミーラインLdとが形成される。
【0026】図3は図2と同じ断面を示しており、図3
(C)には、回路構成ラインL0の3ターン分の導体層
La,Lb,Lcと、回路構成ラインL0の内端のパッ
ド部Lp1の一部と、ダミーラインLdとが示されてい
る。図3(A)において、導体層Lcを形成する部分
(a)とダミーラインLdを形成する部分(b)とで、
レジスト層11の抜き部分の幅寸法は共に同じwであ
る。図3(B)においてレジスト層11の間にCuのメ
ッキ層が形成される際、メッキ層内に析出時の内部応力
が発生する。この内部応力はメッキ層が厚くなるにした
がって大きくなる。ただし、導体層Laでは左右に同じ
寸法pだけ離れた位置にパッド部Lp1と導体層Lbが
設けられ、また、導体層Lbでは左右に同じ寸法pだけ
離れた位置に導体層LaとLcが設けられている。同様
に導体層Lcでは左右に導体層LbとダミーラインLd
が設けられている。したがって導体層LaとLbとLc
では、メッキ時に層内の応力が高くなっても、左右に隣
接するメッキ層の内部応力とでバランスがとれ互いに応
力が相殺するように作用する。よって導体層La,L
b,Lcの断面形状はほとんど変化しない。
【0027】ただし最外端に位置しているダミーライン
Ldは、その図示左側に隣接する導体層(メッキ層)が
無いため、メッキ工程での内部応力により断面形状に太
りが生じる。一般的にこの太りはメッキ層が厚くなるに
したがって顕著になり、よって(イ)で示す部分の断面
の幅寸法は設計値のwよりも大きくなる。またレジスト
層11が除去され下地金属膜12がエッチングにより除
去された後の図3(C)の状態では、(イ)の部分でメ
ッキ層が太ってオーバーハングしているため、(ロ)の
部分にて下地金属膜12に残りが生じ、場合によって
(ロ)の部分にレジスト層が残ることもある。図3
(C)に示したものが層間絶縁層13により覆われる
と、図2に示すように上記(ロ)の部分に下地金属膜1
2が残りまたはレジスト膜が残り、あるいは空間が形成
されることがある。
【0028】ただし、この薄膜回路では、最外端の導体
層がダミーラインLdであり、薄膜コイル体による回路
を構成しないものとなっている。すなわち薄膜コイル体
を形成する回路構成ラインL0上の各導体層La,L
b,Lcは断面形状が安定したものとなっているため、
インダクタンスの変動(ばらつき)がほとんどなく、イ
ンダクタンスを高精度に設定でき、周波数特性の安定し
た薄膜コイル体を得ることができる。また、ダミーライ
ンLdでは(ロ)の部分に下地金属膜12が残り、また
層間絶縁層13が形成される際に(ロ)の部分に空隙が
形成されるなどして、ダミーラインLdの電気的絶縁性
の低下や、隣接する他の回路との短絡などが生じやすく
なる。ただし、このダミーラインLdは薄膜回路の最外
周に位置し、且つ電気回路を構成していないものである
ため、絶縁性の低下などによる回路上の問題は生じにく
くなる。
【0029】なお、図3(B)などに示すパッド部Lp
1や外端のパッド部Lp2は回路導通用の層であり薄膜
コイル体のインダクタンスに対する影響が少ない。よっ
てこれらのパッド部Lp1とLp2の断面の太りはあま
り問題とならない。したがって、図1において外端のパ
ッド部Lp2を囲むダミーラインは特に設ける必要がな
い。
【0030】図1および図2に示す実施例では、回路構
成ラインL0の導体層La,Lb,Lcの断面での幅寸
法wが5μm、高さhが10μmで、ピッチpが5μm
である。よって、導体層La,Lb,Lcの断面形状の
アスペクト比(h/w)は2.0である。導体層を銅な
どのメッキにより形成する場合に、上記のアスペクト比
が大きければ大きいほど内部応力による断面形状の太り
が生じやすくなる。よって本発明では導体層La,L
b,Lcの断面でのアスペクト比が大きいものにおいて
有効である。アスペクト比が0.5以上になると、導体
層の断面形状の太りがインダクタンスに与える影響が大
きくなり、薄膜コイル体としての機能に影響が生じる。
よって本発明は、アスペクト比が0.5以上のものにお
いて特に有効である。
【0031】次に図4は、導体層La,Lb,Lcとパ
ッド部Lp1,Lp2およびダミーラインLdの各導体
層が無電解メッキにより形成される場合を示している。
この場合には、基板(基層)10の表面に無電解メッキ
用の触媒を塗布する。そして図3(A)に示したのと同
様にレジスト層11を形成し、導電材料を無電解メッキ
して導体層La,Lb,Lcとパッド部Lp1,Lp2
およびダミーラインLdを形成し、さらにレジスト層1
1を除去する。この場合もダミーラインLdの断面形状
の太りなどが生じるが、ダミーラインを薄膜コイル体に
導通させずダミーラインが回路を構成しないようにすれ
ば、断面形状の変化が回路に与える影響をなくすことが
できる。
【0032】図5は本発明の他の実施例を示している。
この実施例の薄膜回路は、薄膜抵抗体である。基板(基
層)20上には、回路構成ラインR0として複数条の抵
抗体層R1,R2,R3が互いに平行で且つ幅方向に同
じピッチpにて形成されている。また、左右両外端に位
置する抵抗体層R1とR3の外側にダミーラインRd,
Rdが形成されている。このダミーラインRd,Rdは
抵抗体層R1,R2と平行であり、両者のピッチ(間
隔)は前記pである。
【0033】抵抗体層R1,R2,R3とダミーライン
Rd,Rdは、カーボンなどを含む抵抗材料をスパッタ
することなどにより形成され、この場合に、図3に示し
たのと同様のレジスト層が使用される。この場合も、ダ
ミーラインRd,Rdの外面の(イ)で示す部分に成膜
時の応力による太りが生じる。ただしダミーラインR
d,Rdは、あくまでもダミーであって回路構成ライン
R0に含まれていない。したがって回路構成ラインR0
を構成する抵抗体層R1,R2,R3は断面形状のばら
つきが小さく、薄膜抵抗体としての電気抵抗値の変動を
小さくできる。
【0034】この薄膜回路では、回路構成ラインR0の
抵抗体層R1,R2,R3上を摺動する可動接点を設け
て可変抵抗器を構成でき、また抵抗値の変化を利用した
位置検出センサとしても使用できる。また回路構成ライ
ンは1条の抵抗体層(または導体層)により構成されて
いてもよい。なお、図5の例でも抵抗体層の断面でのア
スペクト比が0.5以上のものに有効である。
【0035】本発明による薄膜回路は、図1に示すよう
に薄膜コイル体を構成する回路構成ラインL0の外周に
ダミーラインLdが形成されている形態、または図5に
示すように回路構成ラインR0を構成する抵抗体層の外
側にダミーラインRd,Rdが形成される形態となる。
ただし、図1や図5に示すものにおいて、ダミーライン
LdまたはRdを後から除去したもの、または回路構成
ラインL0とダミーラインLdとの中間、または回路構
成ラインR0とダミーラインRdとの中間にて基板(基
層)が切断され、結果的に基板(基層)上に回路構成ラ
インL0またはR0のみが設けられた外観となっている
ものであっても本発明に含まれる。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明では、複数の導体層
または抵抗体層のうち、成膜時の内部応力により断面形
状が変化しやすい最外端のものをダミーラインとし回路
を構成しないものとしている。これにより、回路構成ラ
インでの導体層または抵抗体層は断面形状が安定したも
のとなり、インダクタンスや抵抗値などの電気的特性の
変動が小さくなる。よって高精度にインダクタンスや抵
抗値を設定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜回路の一実施例として薄膜コイル
体を構成するものを示す斜視図、
【図2】図1のII−II線の拡大断面図、
【図3】(A)(B)(C)は、図1に示す薄膜回路の
製造方法を工程別に示す拡大断面図、
【図4】薄膜コイル体を構成する他の実施例の薄膜回路
を示す拡大断面図、
【図5】本発明の他の実施例として薄膜抵抗体を構成す
るものを示す斜視図、
【図6】従来の薄膜回路の問題点を説明する拡大断面
図、
【符号の説明】
10 基板(基層) 11 レジスト層 12 下地金属膜 13 層間絶縁層 L0,R0 回路構成ライン La,Lb,Lc 導体層 R1,R2,R3 抵抗体層 Ld,Rd ダミーライン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定厚さの単一または複数の導体層また
    は抵抗体層による回路構成ラインが形成され、前記回路
    構成ラインと同じ材料により形成され且つ回路を構成し
    ないダミーラインが、前記回路構成ラインの外側端と平
    行に形成されていることを特徴とする薄膜回路。
  2. 【請求項2】 回路構成ラインは、導体層を平面的に螺
    旋形成した薄膜コイル体を構成し、この薄膜コイル体の
    最外周の外側にダミーラインが形成されている請求項1
    記載の薄膜回路。
  3. 【請求項3】 回路構成ラインの導体層または抵抗体層
    の断面での幅寸法をwとし、膜厚をhとしたときに、ア
    スペクト比(h/w)が0.5以上である請求項1また
    は2記載の薄膜回路。
  4. 【請求項4】 基板上に所定パターンのレジスト層を形
    成し、レジスト層が形成されていない部分に、複数条の
    導体層または抵抗体層を平行に形成し、レジスト層を除
    去した後の複数条の導体層または抵抗体層のうち、最外
    部に位置するものを回路を構成しないダミーラインと
    し、ダミーラインよりも内側に位置するものを回路構成
    ラインとして使用することを特徴とする薄膜回路の製造
    方法。
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