JPH08120590A - 拡散性吸収紙 - Google Patents

拡散性吸収紙

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JPH08120590A
JPH08120590A JP6258373A JP25837394A JPH08120590A JP H08120590 A JPH08120590 A JP H08120590A JP 6258373 A JP6258373 A JP 6258373A JP 25837394 A JP25837394 A JP 25837394A JP H08120590 A JPH08120590 A JP H08120590A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 湿潤時における繊維の圧縮変形を抑制し、嵩
高性を失わず、且つ十分な強度を有した繊維から成る吸
収紙の提供。 【構成】 繊維粗度が0.30mg/m以上であるセルロ
ース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋剤により架橋
した嵩高架橋セルロース繊維20〜80重量部と親水性
微細繊維80〜20重量部とを含んで成ることを特徴と
する拡散性吸収紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生理用ナプキンや紙オ
ムツ等の吸収性物品の構成材料である吸収紙に関するも
のであり、更に詳しくは、嵩高で高い液吸収性を有する
架橋セルロース繊維からなり、且つ、液体を吸収・拡散
して保持し得る拡散性吸収紙に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
体液の吸収性の向上を目的とした吸収性物品の提案が数
多く行われ、数多くの改善がなされてきた。そして、こ
れらの改善の大部分は、液吸収速度の向上、吸収体から
表面材への液戻りの阻止及び液漏れ防止並びに吸収性物
品の身体に対するベタツキの低減にあった。
【0003】例えば、吸収体の素材に関しては、物理的
微細空間中に液体を吸収・保持する親水性の吸収紙やパ
ルプなどを使用することに代えて、液体を物理化学的な
作用、即ち、イオン浸透圧により液体を吸収・保持させ
ることによって液吸収容量を向上させると共に液吸収後
の液戻りを防止する高吸収性ポリマーを使用することが
提案されている。高吸収性ポリマーを使用することによ
り、液体の吸収性が向上し、現在ではパルプと高吸収性
ポリマーとを併用した吸収体が殆どの吸収性物品に用い
られている。
【0004】しかし、このような吸収性物品であって
も、吸収性物品に対する不満の第一が液漏れにあること
から示唆されるように、液漏れ防止は依然として十分な
ものとはいえない。
【0005】即ち、イオン浸透圧により液体を吸収・保
持させる高吸収性ポリマーでは液体の吸収速度に限界が
あり、更に高吸収性ポリマーは液体で濡れないと液体を
吸収できないため、高吸収性ポリマーは、液吸収速度の
速いパルプなどと併用して用いざるを得なかった。とこ
ろが、パルプは吸収体として、柔軟なフラッフ吸収層を
形成したときに、局所的に液体を吸収するために、吸収
体全体を効率よく利用するための拡散性に劣るという問
題がある。
【0006】また、パルプは乾燥時にはある程度の圧縮
回復性及び曲げ回復性を示すが、湿潤時には極度に強度
が低下し、殆どそれらの回復性を示さないため、湿潤し
たパルプに応力が加わると、パルプが圧縮変形(以下、
ヨレという)してその液体吸収空間が著しく減少する。
その結果、一旦吸収した液体がヨレに伴って容易に身体
側に逆戻りしてしまい、ベタツキや液漏れの原因になっ
てしまう。
【0007】また、このヨレに伴い液体吸収空間が減少
することによって、液体がポリマーへ移動する際の移動
抵抗が増大する。その結果、ポリマーの液吸収効率が低
下するばかりか、吸収体全体としてもヨレた後の再吸収
速度が著しく低下するため、液漏れの原因となることが
多い。
【0008】これらのフラッフパルプの拡散性の乏しさ
及びヨレに伴う液体吸収空間の減少を改善するため、パ
ルプを圧縮/高密度化することにより、拡散性や液戻り
性を向上させる提案もこれまでに報告されている。しか
し、それらの提案は、パルプは濡れると強度が極端に低
下してしまうという本質的な問題を解決していないばか
りか、逆にパルプの繊維間距離が密になり過ぎることに
より液体がポリマーへ移動する際の移動抵抗が非常に増
大してしまい、結果として、ポリマーの液吸収効率が悪
化してしまうという不都合を生じさせている。
【0009】従って、本発明の目的は、湿潤時における
繊維の圧縮変形を抑制し、嵩高性を失わず、且つ十分な
強度を有した繊維から成る吸収紙を提供することにあ
る。また、本発明の目的は、高透過性であり、且つ、高
拡散性である吸収紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した検討した結果、特定のセルロ
ース繊維を用いることにより高吸収性、高強度及び嵩高
性を有する吸収紙が得られることを知見した。
【0011】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
であり、繊維粗度が0.30mg/m以上であるセルロー
ス繊維の分子内及び/又は分子間を架橋剤により架橋し
た嵩高架橋セルロース繊維20〜80重量部と親水性微
細繊維80〜20重量部とを含んで成ることを特徴とす
る拡散性吸収紙を提供することにより、上記目的を達成
したものである。
【0012】本発明の拡散性吸収紙は、生理用ナプキ
ン、失禁用パッド及び使い捨ておむつのような吸収性物
品の吸収体に特に好ましく用いられる。
【0013】まず、本発明において用いられる嵩高架橋
セルロース繊維について説明する。
【0014】本発明において用いられる嵩高架橋セルロ
ース繊維は、繊維粗度が0.30mg/m以上であるセル
ロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋剤により架
橋したセルロース繊維である。セルロース繊維として
は、木材パルプや綿等の天然セルロース繊維及びレーヨ
ンやキュプラ等の再生セルロース繊維のいずれを用いて
も良い。コストの点からは、木材パルプを用いることが
好ましく、特に針葉樹パルプ(NBKP)が好ましく用
いられる。これらのセルロース繊維は、各々単独で使用
しても良く、又は2種以上を混合して用いても良い。
【0015】セルロース繊維を架橋するために用いられ
る架橋剤としては、ジメチロールエチレン尿素やジメチ
ロールジヒドロキシエチレン尿素等のN−メチロール化
合物;クエン酸トリカルバリル酸やブタンテトラカルボ
ン酸等のポリカルボン酸:ジメチルヒドロキシエチレン
尿素等のポリオール;ポリグリシジルエーテル系の架橋
剤などが挙げられる。これらの架橋剤は、各々単独で使
用してもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】架橋剤の使用量は、セルロース繊維100
重量部に対して、0.2〜20重量部とするのが好まし
い。0.2重量部未満であると、架橋密度が低いため、
湿潤時の弾性率が低く、ヨリ/ヘタリが生じる場合があ
り、20重量部を超えると、セルロース繊維が剛直にな
り過ぎ、応力がかかった時、繊維が脆くなってしまう場
合があるので好ましくない。
【0017】かかる架橋剤を用いてセルロース繊維を架
橋するには、例えば、架橋剤の水溶液に必要に応じて触
媒を添加したものに、セルロース繊維を含浸し、架橋剤
水溶液が設計付着量となる様に脱水し、架橋温度に加熱
するか、又は、スプレー等により架橋剤水溶液をセルロ
ース繊維に設計付着量となる様に散布し、その後、架橋
温度に加熱し、架橋反応させる。
【0018】本発明に用いられる嵩高架橋セルロース繊
維は、セルロース繊維の分子内及び/又は分子間が架橋
されているものである。これによって、嵩高架橋セルロ
ース繊維が液体で濡れた場合にヨリ/ヘタリが起こらな
くなる。また、架橋により嵩高架橋セルロース繊維自身
が液体を吸収し難くなり、その結果、繊維自身が膨潤し
難くなることによって、安定に保つことができる。本発
明においては、これら両者の相乗効果により、嵩高架橋
セルロース繊維が液体で濡れた場合であっても繊維間の
距離を安定に保つことが一層可能となる。従って、本発
明においては、嵩高架橋セルロース繊維は、セルロース
繊維の分子内及び分子間の双方が架橋されていることが
好ましい。
【0019】本発明においては、繊維粗度が0.3mg/
m以上であるセルロース繊維を架橋させる。好ましく
は、繊維粗度は0.3〜2mg/mであり、0.33〜1
mg/mであることが更に好ましい。繊維粗度が0.3mg
/m未満のセルロース繊維は細くしなやかであるため、
架橋の効果が発現し難い。繊維粗度が2mg/mを超える
セルロース繊維は、剛性が高くなり過ぎる場合があるの
で好ましくない。
【0020】なお、本発明において「繊維粗度」とは、
木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維におい
て、繊維の太さを表す尺度として用いられるものであ
り、例えば、繊維粗度計(FS−200、KAJAANI ELEC
TRONICS LTD.社製)を用いて測定することができる。
【0021】繊維粗度が0.3mg/m以上であるセルロ
ース繊維としては、例えば、針葉樹クラフトパルプ(Fe
deral Paper Board Co. 製の「ALBACEL 」(商品名)、
及びPT Inti Indorayon Utama 製の「INDORAYON 」(商
品名))等が挙げられる。
【0022】一般に、吸収性物品に用いられる吸収紙に
おいては、繊維の断面形状がより真円に近い程、吸収紙
中を液体が移動する際の移動抵抗は小さくなる。また、
セルロース繊維の断面形状がより真円に近い程、架橋剤
で架橋したときの架橋の効果が発現し易い。従って、本
発明においては、架橋を行うセルロース繊維の断面形状
が真円に近いことがより好ましい。具体的には、セルロ
ース繊維の真円度が、0.5以上であることが好まし
く、特に0.55〜1.0であることがより好ましい。
本発明においては、特に、架橋を行うセルロース繊維の
繊維粗度が0.3mg/m以上であり、且つ、真円度が
0.5以上である場合に一層有利な効果が得られる。
【0023】上述の通り、本発明においては、セルロー
ス繊維として木材パルプを使用することが好ましいが、
一般に木材パルプの断面は、脱リグニン化処理により偏
平であり、その殆どの真円度は0.5未満である。この
ような木材パルプの真円度を0.5以上にするために
は、例えば、かかる木材パルプをマーセル化処理して木
材パルプの断面を膨潤させればよい。
【0024】このように、本発明において用いられる架
橋セルロース繊維としては、通常の木材パルプをマーセ
ル化処理して得られる真円度が0.5以上であるマーセ
ル化パルプを架橋させたマーセル化架橋パルプが好まし
い。
【0025】マーセル化架橋パルプは、例えば、上述の
繊維粗度0.3mg/m以上の木材パルプをマーセル化し
てその断面の真円度を高めた後に架橋せしめて得ること
ができ、また、市販のマーセル化パルプを入手し、これ
を架橋せしめて得ることもできる。
【0026】本発明において用いることのできる市販の
マーセル化パルプとしては、ITT Rayonier Inc. 製の
「FILTRANIER」(商品名)や同社製の「POROSANIER」
(商品名)等が挙げられる。
【0027】本発明に用いられる嵩高架橋セルロース繊
維は、液体で濡れた場合のヨレ/ヘタリが小さいことが
好ましい。即ち、湿潤時において嵩高架橋セルロース繊
維を圧縮した場合の残留歪が小さいことが好ましい。圧
縮残留歪は小さければ小さい程良く、具体的には、湿潤
時における嵩高架橋セルロース繊維の圧縮残留歪が40
%未満であることが好ましく、35%未満であることが
一層好ましい。湿潤時における嵩高架橋セルロース繊維
の圧縮残留歪が40%以上では、液体を吸収する際の液
吸収速度や液吸収容量が減少して濡れた場合のヨレ/ヘ
タリが大きくなる場合がある。その結果、液体吸収空間
が減少して、繊維間の距離が密になり嵩高架橋セルロー
ス繊維を安定に保つことが困難になる場合があるので好
ましくない。
【0028】セルロース繊維の圧縮残留歪を安定的に4
0%未満とし、且つ、セルロース繊維間の距離を安定に
保つためには、セルロース繊維を架橋させることの他
に、嵩高架橋セルロース繊維の太さをも調節することが
重要な要件となる。その理由は、嵩高架橋セルロース繊
維の太さが太い程、湿潤時における嵩高架橋セルロース
繊維の圧縮残留歪を低い値に安定化させることが一層容
易となり、しかも、繊維間距離が小さくなることもない
からである。嵩高架橋セルロース繊維の太さは、架橋を
行うセルロース繊維の太さに依存するので、嵩高架橋セ
ルロース繊維の太さを調節するには、該セルロース繊維
の太さを適宜調節すればよい。上述の通り、繊維粗度
は、繊維の太さの尺度になるので、本発明においては、
繊維粗度が0.30mg/m以上であるセルロース繊維の
分子内及び/又は分子間を架橋剤により架橋した嵩高架
橋セルロース繊維であって、湿潤時の圧縮残留歪が40
%未満のものを使用することが好ましく、特に、繊維粗
度が0.30mg/m以上であり且つ真円度が0.5以上
であるセルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋
剤により架橋した嵩高架橋セルロース繊維であって、湿
潤時の圧縮残留歪が40%未満のものを使用することが
好ましい。
【0029】次に、本発明の拡散性吸収紙について説明
する。なお、嵩高架橋セルロース繊維に関して特に詳述
しない点については、上記の説明が適宜適用される。本
発明の拡散性吸収紙は、上述の嵩高セルロース繊維20
〜80重量部、好ましくは30〜70重量部と、親水性
微細セルロース繊維80〜20重量部、好ましくは70
〜30重量部とを含んで成る。その坪量は好ましくは2
0〜60g/m2 であり、より好ましくは20〜50g
/m2 である。拡散性吸収紙において、嵩高架橋セルロ
ース繊維が20重量部未満又は親水性微細繊維が80重
量部を超えると、抄紙時に繊維間に強い緊締力が働き液
体吸収空間が小さくなるので、実質的に液体を拡散でき
る空間が減少したりする。また、拡散性吸収紙におい
て、嵩高架橋セルロース繊維が80重量部を超えるか又
は親水性微細繊維が20重量部未満では、繊維間の距離
が大きくなってしまい、体液を拡散させる能力が不十分
となり好ましくない。
【0030】親水性微細繊維としては、繊維表面が親水
性であり、且つ、表面積が大きい繊維を用いることがで
き、好ましくは繊維粗度が0.2mg/m未満、より好ま
しくは0.01〜0.2mg/mであり、且つ、真円度が
好ましくは0.5未満、より好ましくは0.1〜0.4
又は繊維表面積が好ましくは1.0m2 /g以上、より
好ましくは1〜20m2 /gである親水性繊維が好まし
く挙げられる。かかる、親水性微細繊維は、一般にその
繊維長は、0.5〜15mmである。
【0031】本発明において用いられる親水性微細繊維
としては、上記の物性を有していれば特に制限はなく、
例えば、木材パルプ、綿、レーヨン等のセルロース繊維
や、アクリロニトリル、ポリビニルアルコール等の親水
性基を有する合成繊維等が挙げられる。就中、木材パル
プは、非常に安価に入手でき、且つ、叩解条件を制御し
たりすることで、繊維の表面積をコントロールできるた
め、好ましく用いることができる。そのような木材パル
プとしては、NBKP(例えば、Skeena cellulose Co.
製の「SKEENA PRIME」(商品名))を微細に叩解したも
のや、LBKP(ウェハウザーペーパー(株)製の「PR
IME ALBERT ASPEN HANDWOOD 」(商品名))、及びワラ
パルプ等が挙げられる。上述の親水性微細繊維は、各々
単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用い
ることもできる。
【0032】吸収性物品に用いられている従来の吸収紙
は、通常の針葉樹パルプなどの天然パルプを湿式抄紙し
たものが殆どであるが、かかる天然パルプを湿式抄紙し
て得られた吸収紙は、抄紙時の脱水/湿圧/乾燥過程に
おいて、紙層から水が脱水し紙層が乾燥する際に、パル
プ繊維間に働く水の界面張力及び水素結合によって、パ
ルプ繊維間に非常に強い緊締力が働く。該緊締力により
パルプ繊維間の距離が縮まるため、従来の吸収紙は、液
体の吸収/透過が非常に遅くなり、更には、液体吸収空
間が減少してしまうため、液体の透過性が悪化してい
た。これに対して、本発明の拡散性吸収紙では、上記嵩
高架橋セルロース繊維を配合することにより、湿式抄紙
時に繊維間に働く水素結合を抑制して、繊維間に働く緊
締力を弱めることによって、液体吸収空間を大きくし且
つ液体を吸収/透過/拡散するという液体の流れを制御
している。
【0033】本発明の拡散性吸収紙には、30重量部ま
での熱溶融性接着繊維を含めることが好ましい。熱溶融
性接着繊維の量が30重量部を越えると拡散性吸収紙の
親水性が低下して、液体の拡散性及び透過性が低下する
ことがあるので好ましくない。拡散性吸収紙に熱溶融性
接着繊維を含めることで湿潤時の繊維空間のより一層の
安定化という効果が更に生じる。更に好ましくは拡散性
吸収紙には20重量部まで、特に好ましくは2〜20重
量部の熱溶融性接着繊維が含まれる。
【0034】熱溶融性接着繊維としては、加熱により溶
融し相互に接着する繊維を用いることができ、具体的に
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビ
ニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステ
ル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポ
リエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステ
ル−ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性であるポ
リビニルアルコール−ポリプロピレン複合繊維、並びに
ポリビニルアルコール−ポリエステル複合繊維等を挙げ
ることができる。複合繊維を用いる場合には、芯鞘型複
合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維の何れをも
用いることができる。これらの熱溶融性接着繊維は、各
々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用
いることもできる。本発明において好ましく用いられる
熱溶融性接着繊維としては、ポリビニルアルコール、ポ
リエステル等を挙げることができる。
【0035】熱溶融性接着繊維は、一般にその繊維長が
2〜60mmであり、繊維径は0.5〜3デニールであ
る。
【0036】拡散性吸収紙を製造する方法には特に制限
はなく、例えば、通常行われている湿式又は乾式抄紙法
を用いることができる。湿式抄紙法を用いる場合には、
嵩高架橋セルロース繊維及び親水性微細繊維並びに必要
に応じて熱溶融性接着繊維を水に分散せしめ、更に必要
に応じて他の成分を添加してスラリーとなし、かかるス
ラリーを抄紙機を用いて抄紙する。抄紙後においては、
必要に応じて、カレンダ加工やクレープ加工を施すこと
ができる。
【0037】上記他の成分としては、例えば、ジアルデ
ヒドデンプン、カイメンやカルボキシメチルセルロース
ナトリウム等を挙げることができる。これらの成分は、
0〜20重量部添加することができる。
【0038】このようにして製造された拡散性吸収紙
は、2.5g/m2 荷重下での厚みが0.2〜0.8m
mであることが好ましい。この理由は、上記厚みが0.
2mm未満では液を拡散する空間が小さく能力不足とな
る場合があり、上記厚みが0.8mmを超えると厚みが
厚くなりすぎ高吸収性ポリマーに体液が伝達し難くなる
場合があるので好ましくない。特に好ましくは、上記厚
みは、0.3〜0.6mmである。
【0039】更に、本発明においては、拡散性吸収紙
は、液体を素早く広い面積に拡散する機能が必要であ
る。従って、拡散性吸収紙は、生理食塩水に対する1分
後のクレム吸収高さが50mm以上で、且つ、10分後の
クレム吸収高さが100mm以上であることが好ましい。
クレム吸収高さがこれらの値未満では、液体の拡散性に
劣ってしまう場合があるので好ましくない。更に好まし
くは、生理食塩水に対する1分後のクレム吸収高さは6
0〜120mmである。また、10分後のクレム吸収高さ
は120〜300mmである。なお、クレム吸収高さの測
定方法については後述する。
【0040】このように、拡散性吸収紙は液体を素早く
拡散する機能を有することが必要であるが、これに加え
て、液体吸収速度も高いことが望ましい。即ち、拡散性
吸収紙はグリセリン85重量%水溶液10gの通過時間
が100秒以下であることが好ましく、更には10〜8
0秒であることが好ましい。かかる拡散性吸収紙は、液
体の拡散及び吸収に関して特に優れた性能を発揮する。
なお、グリセリン85重量%水溶液10gの通過時間の
測定方法については後述する。
【0041】本発明の拡散性吸収紙は、生理用ナプキ
ン、失禁パッド及び紙おむつのような吸収性物品におけ
る吸収体に用いることが特に好ましい。即ち、液体透過
性の表面材、液体不透過性の防漏材及び該表面材と該防
漏材との間に介在する液体保持性の吸収体を具備して成
る吸収性物品において、該吸収体として、本発明の拡散
性吸収紙を具備して成るものが得られる。
【0042】吸収性物品の一態様として、図1に示す生
理用ナプキンを例にとって説明すると、図1に示す生理
用ナプキン10は液体透過性の表面材1、液体不透過性
の防漏材3及び該表面材と該防漏材との間に介在する液
体保持性の吸収体2を具備してなる。
【0043】更に詳細には、生理用ナプキン10は、実
質的に縦長に形成されており、該生理用ナプキン10の
着用時には、表面材1が肌に接する側に位置し、防漏材
3が下着に接する側に位置するようになしてあり、上記
吸収体2が上記表面材1と上記防漏材3との間に介在し
ている。また、吸収体2は、図1に示す如く、裏面、全
側面及び表面の周縁部が防漏材3によって包覆されてお
り、さらにこれらの全面が表面材1によって被覆されて
いる。そして、吸収体2の表面は、その中央部が表面材
1によって直接被覆されており、体液を吸収体2へ直接
透過させるように構成されている。また、表面材1の裏
面側には、長手方向に3本の粘着部4が線状に形成され
ており、該粘着部4は、剥離紙5によって保護されてい
る。尚、図1において、6はホットメルトによる接合部
である。
【0044】そして、吸収体2は、高吸収性ポリマー2
bを上記拡散性吸収紙2dで包覆し、これを更に液体透
過性の高い吸収紙2cで包覆して形成されている。
【0045】かかる構成を具備する生理用ナプキン10
においては、吸収紙2cを透過した体液が、スムースに
吸収体2の内部に吸収され、拡散性吸収紙2dによって
吸収体2全体に拡散され、高吸収性ポリマー2bで完全
に固定化される。
【0046】また、本発明の拡散性吸収紙を用いた吸収
性物品の別の態様を、生理用ナプキンを例にとって図2
を参照しつつ説明する。なお、上記図1と同じ点につい
ては、特に詳述しないが、図1に関して詳述した説明が
適宜適用される。また、図2において図1と同じ部材に
ついては同じ符号を付した。
【0047】図2に示す生理用ナプキン10において
は、吸収体2は、複数の拡散性吸収紙2dの間に高吸収
性ポリマー2bを散布し、これを液体透過性の高い吸収
紙2cで包覆して形成されている。かかる構成の吸収体
2を用いることにより、高吸収性ポリマー2bが体液を
吸収して膨潤した場合であっても、該高吸収性ポリマー
2bの粒子どうしが凝集しにくくなるので、効果的に高
吸収性ポリマー2bのゲルブロッキングを抑え、高吸収
性ポリマー2bの各粒子間の液流れ性を向上させること
ができる。
【0048】本発明においては、図2に示す構成を具備
して成る吸収体2を用いると、特に高排泄時において
も、高吸収性能を発揮する吸収性物品が得られるので、
特に好ましい。
【0049】本発明の拡散性吸収紙を用いた吸収性物品
は、優れた高吸収性能、特に優れた繰り返し排泄時の再
吸収速度/保持能力を、従来の吸収性物品よりも薄くし
ても、得ることができ、高排泄で長時間装着しても液戻
りやベタツキ、漏れの無い非常に快適性の高いものであ
る。また、上記架橋セルロース繊維を主体とし、体液の
吸収/透過拡散性能をコントロールした本発明の拡散性
吸収紙を用いることにより、極めて高吸収性能の吸収体
を極めて簡便に得ることが可能となる。
【0050】
【実施例】次いで、本発明を実施例及び比較例に基づい
て更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、かかる実施
例に限定されないことはいうまでもない。なお、以下の
記載において、「部」は特に断らない限り「重量部」を
示す。
【0051】〔製造例1〕繊維粗度が0.36mg/m
で、繊維断面の真円度が0.80であるマーセル化パル
プ(商品名;「POROSANIER-J」、ITT Rayonier Inc.
製)100gを、架橋剤として、ジメチロールジヒドロ
キシエチレン尿素(商品名;「Sumitex ResinNS-19
」、住友化学工業(株)製)を5重量%、金属触媒
(商品名;「SumitexAccelerator X-110 」、住友化学
工業(株)製)を3重量%含んだ架橋剤水溶液1000
gに分散させて、該マーセル化パルプに架橋剤を含浸さ
せた。次いで、上記マーセル化パルプに対する上記架橋
剤水溶液の量が200重量%になるように、マーセル化
パルプから過剰の架橋剤水溶液を除去した後、電気乾燥
機中135℃で10分間加熱し、パルプ中のセルロース
分子間及びパルプ繊維間を架橋せしめ、マーセル化架橋
パルプを得た。これをセルロース繊維(A)とする。
【0052】〔製造例2〕繊維粗度が0.35mg/m
で、繊維断面の真円度が0.28である針葉樹クラトパ
ルプNBKP(商品名;「INDORAYON 」、PT Inti Indo
rayon Utama 製)100gを、架橋剤として、ジメチロ
ールジヒドロキシエチレン尿素(商品名;「Sumitex Re
sin NS-19 」、住友化学工業(株)製)を5重量%、金
属触媒(商品名;「Sumitex Accelerator X-110 」、住
友化学工業(株)製)を5重量%含んだ架橋剤水溶液に
分散させて、該クラフトパルプに架橋剤を含浸させた。
次いで、上記パルプに対する上記架橋剤水溶液の量が2
00重量%になるように、パルプから過剰の架橋剤水溶
液を除去した後、電気乾燥機中135℃で10分間加熱
し、パルプ中のセルロース分子間及びパルプ繊維間を架
橋せしめ、架橋パルプを得た。これをセルロース繊維
(B)とする。
【0053】〔製造例3〕繊維粗度が0.78mg/m
で、繊維断面の真円度が0.68及び長さが8mmのレー
ヨン(商品名;「コロナSBレーヨン」、ダイワボウレ
ーヨン(株)製)を用いた以外は、製造例1と同様に架
橋反応を行い、架橋レーヨン繊維を得た。これをセルロ
ース繊維(C)とする。
【0054】〔比較製造例1〕繊維粗度が0.18mg/
mで、繊維断面の真円度が0.32である針葉樹クラフ
トパルプNBKP(商品名;「SKEENA PRIME」、Skeena
Cellulose Co.製)を用いた以外は、製造例1と同様に
架橋反応を行い、架橋パルプを得た。これをセルロース
繊維(D)とする。
【0055】〔比較製造例2〕繊維粗度が0.18mg/
mで、繊維断面の真円度が0.32である針葉樹クラフ
トパルプNBKP(商品名;「SKEENA PRIME」、Skeena
Cellulose Co.製)を準備した。これをセルロース繊維
(E)とする。
【0056】〔比較製造例3〕繊維粗度が0.24mg/
mで、繊維断面の真円度が0.34である針葉樹クラフ
トパルプNBKP(商品名;「HARMAC-R」、MacMillan
Bloedel Ltd.製)を準備した。これをセルロース繊維
(F)とする。
【0057】上記セルロース繊維(A)〜(F)の繊維
粗度、繊維断面の真円度及び湿潤時の圧縮残留歪を下記
に示す方法により測定した。その結果を表1に示す。
【0058】<繊維粗度の測定>繊維粗度計FS−20
0(KAJAANI ELECTRONICS LTD.製)を用いて測定した。
先ず、セルロース繊維の真の重量を求めるために、セル
ロース繊維を真空乾燥機内で100℃で1時間乾燥さ
せ、セルロース繊維中に存在している水分を除去する。
素早くセルロース繊維を±0.1g精度において約1g
正確に計りとる。次にセルロース繊維に損傷を与えない
ように、セルロース繊維を繊維粗度計の付属のミキサー
で150mlの水中で完全に離解させ、これを5000ml
になるまで水で薄め、得られた希釈液から50mlを正確
に計りとり、これを繊維粗度測定溶液とし、上記繊維粗
度計の操作手順に従って繊維粗度を求めた。
【0059】<真円度の測定>セルロース繊維断面の真
円度の測定は、先ず、セルロース繊維の断面を面積が変
化しないように、セルロース繊維を断面方向に垂直にス
ライスし、電子顕微鏡により断面写真をとり、該断面写
真を画像解析装置(日本アビオニクス社製、商品名;
「Avio EXCEL」)により解析し、下記に示す式を用いて
セルロース繊維断面の真円度を求めた。尚、該真円度
は、任意のセルロース繊維断面を100点測定し、その
平均値とした。
【数1】
【0060】<湿潤時の圧縮残留歪の測定>架橋セルロ
ース繊維を坪量500g/m2 で50mm×50mmの寸法
にシート化し、5g/cm2 の荷重下において、5.0±
0.1mmの厚みL0 になるように調整する。次いで、体
液が排泄されたときを想定し、シート全体に生理食塩水
12.5g(シート重量の約10倍)をほぼ均一にか
け、シート全体を湿潤状態にする。その後、テンシロン
圧縮試験機において、圧縮面積10cm2 (半径1.78
cmの円板)、圧縮速度10mm/min で、最大荷重200
g/cm2 まで(即ち全体で2000g)圧縮させた後、
等速度で除圧する。この時、圧縮することにより、パル
プからあふれた生理食塩水は、ティッシュ等により吸収
して取り除く。この操作を計10回繰り返し、圧縮測定
を行った後の5g/cm2 荷重下における厚みL1 を求
め、下記に示す式を用いて圧縮残留歪を求めた。
【数2】
【0061】
【表1】
【0062】表1から明らかなように、繊維粗度が0.
3mg/m以上のセルロース繊維を架橋することにより、
湿潤時の圧縮残留歪を40%未満に保持することが可能
になることが分かる。しかし、繊維粗度が0.3mg/m
以下のセルロース繊維及び、繊維粗度が0.3mg/m以
下のセルロース繊維を架橋した架橋セルロース繊維に関
しては、湿潤時の圧縮残留歪を40%未満に保持するこ
とができない。これは即ち、湿潤時における圧縮に対
し、非常につぶれやすいセルロース繊維であることが示
されている。従って、体液を吸収する際に、セルロース
繊維の形成する繊維空間を維持することが不可能であ
り、各繊維間の距離を安定に保つことができないため好
ましくない。
【0063】〔実施例1〕セルロース繊維(A)70重
量部と、親水性微細繊維として繊維粗度0.18mg/m
で繊維断面の真円度0.32の針葉樹クラフトパルプN
BKP(商品名:「SKEENA PRIME」、Skeena Cellulose
Co.製)30重量部とをそれぞれ水中に分散混合し、抄
紙機を用いて抄紙した後、乾燥して、坪量40g/m2
の拡散性吸収紙を得た。これを吸収性シート(A)とす
る。
【0064】〔実施例2〕セルロース繊維(B)75重
量部と、親水性微細繊維として繊維粗度0.18mg/m
で繊維断面の真円度0.32の針葉樹クラフトパルプN
BKP(商品名:「SKEENA PRIME」、Skeena Cellulose
Co.製)25重量部とをそれぞれ水中に分散混合し、抄
紙機を用いて抄紙した後、乾燥して、坪量40g/m2
の拡散性吸収紙を得た。これを吸収性シート(B)とす
る。
【0065】〔実施例3〕セルロース繊維(A)40重
量部と、親水性微細繊維として繊維粗度0.18mg/m
で繊維断面の真円度0.32の針葉樹クラフトパルプN
BKP(商品名:「SKEENA PRIME」、Skeena Cellulose
Co.製)60重量部とをそれぞれ水中に分散混合し、抄
紙機を用いて抄紙した後、乾燥して、坪量40g/m2
の拡散性吸収紙を得た。これを吸収性シート(C)とす
る。
【0066】〔実施例4〕セルロース繊維(A)60重
量部と、親水性微細繊維として繊維粗度0.18mg/m
で繊維断面の真円度0.32の針葉樹クラフトパルプN
BKP(商品名:「SKEENA PRIME」、Skeena Cellulose
Co.製)37重量部と、熱溶融性接着繊維として太さ1
デニールで長さ3mmのポリビニルアルコール(商品名:
フィブリボンド、三昌(株)製)3重量部をそれぞれ水
中に分散混合し、抄紙機を用いて抄紙した後、乾燥し
て、坪量40g/m2 の拡散性吸収紙を得た。これを吸
収性シート(D)とする。
【0067】〔比較例1〕セルロース繊維(E)100
重量部を水中に分散し、抄紙機を用いて抄紙した後、乾
燥して、坪量40g/m2 の紙を得た。これを吸収性シ
ート(E)とする。尚、この吸収性シート(E)には架
橋セルロース繊維は含まれていない。
【0068】〔比較例2〕繊維粗度が0.35mg/m
で、繊維断面の真円度が0.28である針葉樹クラトパ
ルプNBKP(商品名;「INDORAYON 」、PT Inti Indo
rayon Utama 製)60重量部と、親水性微細繊維として
繊維粗度0.18mg/mで繊維断面の真円度0.32の
針葉樹クラフトパルプNBKP(商品名:「SKEENA PRI
ME」、SkeenaCellulose Co.製)40重量部とをそれぞ
れ水中に分散混合し、抄紙機を用いて抄紙した後、乾燥
して、坪量40g/m2 の拡散性吸収紙を得た。これを
吸収性シート(F)とする。尚、この吸収性シート
(F)には架橋セルロース繊維は含まれていない。
【0069】〔比較例3〕セルロース繊維(D)60重
量部と、親水性微細繊維として繊維粗度0.18mg/m
で繊維断面の真円度0.32の針葉樹クラフトパルプN
BKP(商品名:「SKEENA PRIME」、Skeena Cellulose
Co.製)40重量部とをそれぞれ水中に分散混合し、抄
紙機を用いて抄紙した後、乾燥して、坪量40g/m2
の拡散性吸収紙を得た。これを吸収性シート(G)とす
る。
【0070】〔比較例4〕セルロース繊維(B)10重
量部と、親水性微細繊維として繊維粗度0.18mg/m
で繊維断面の真円度0.32の針葉樹クラフトパルプN
BKP(商品名:「SKEENA PRIME」、Skeena Cellulose
Co.製)90重量部とをそれぞれ水中に分散混合し、抄
紙機を用いて抄紙した後、乾燥して、坪量40g/m2
の拡散性吸収紙を得た。これを吸収性シート(H)とす
る。
【0071】〔比較例5〕セルロース繊維(B)30重
量部と、親水性微細繊維として繊維粗度0.18mg/m
で繊維断面の真円度0.32の針葉樹クラフトパルプN
BKP(商品名:「SKEENA PRIME」、Skeena Cellulose
Co.製)30重量部、熱溶融性接着繊維として太さ1.
1デニールで長さ5mmのPET(商品名;「TMOTNSB 」
帝人(株)製)40重量部とをそれぞれ水中に分散混合
し、抄紙機を用いて抄紙した後、乾燥して、坪量40g
/m2 の拡散性吸収紙を得た。これを吸収性シート
(I)とする。
【0072】上記吸収性シート(A)〜(I)の2.5
g/m2 荷重下の厚み、生理食塩水に対するクレム吸収
高さ(1分後及び10分後)、並びにグリセリン85重
量%水溶液の通過時間を下記に示す方法により測定し
た。その結果を表2に示す。
【0073】<クレム吸収高さ(1分後及び10分後)
>クレム吸収高さは図3に示す装置を用いて測定した。
先ず、吸収性シートを縦300mm、幅20mmにカットし
て図3に示す測定片11を作製した。次いで、この測定
片11を図3に示す如く、支持体12に弛みがないよう
に垂下させて上下両端を固定した。また、300×10
0×50mm(縦×横×深さ)の直方体の容器13に生理
食塩水14を測定液として深さ40mmまで入れ、この生
理食塩水14中に測定片11を浸した。そして、測定片
11を浸して1分後に測定片11が吸収した測定液の液
面からの高さ、及び10分後に測定片11が吸収した測
定液の液面からの高さをそれぞれ測定した。同様の測定
をそれぞれ10点行い、その平均値を採ってそれぞれの
1分後のクレム吸収高さh1 、及び10分後のクレム吸
収高さh10を得た。
【0074】<グリセリン85重量%水溶液の通過時間
の測定>グリセリン85重量%水溶液の通過時間の測定
は、図4に示す装置を用いて行った。先ず、吸収性シー
トを縦50mm、幅50mmにカットして図4に示す測定片
15を作製した。次いで、この測定片15を図4に示す
如く、内径35mmのガラス管16及び17を用いて上下
両側から挟持固定した。この時、測定中に液が染み出さ
ないように、シリコンゴム18を介してクリップ(図示
せず)で両側から固定した。測定液としてグリセリン8
5重量%水溶液19を10mlビーカー20に10g取
り、ガラス管16中に静かに注入した。グリセリン85
重量%水溶液19を注入した後、ガラス管6の開孔面積
に対し、50%以上測定片の面が現れるまでの時間を求
め、これを液の通過時間とした。尚、測定液(グリセリ
ン85重量%水溶液)は、以下の様に調製した。グリセ
リン〔和光純薬工業(株)〕85gにイオン交換水15
gを混合した後、食用青色1号〔東京化成工業(株)〕
0.01gを添加し測定液を青色に着色した。
【0075】
【表2】
【0076】表2に示す結果から明らかなように、架橋
セルロース繊維と親水性微細繊維とを用いた拡散性吸収
紙によれば、液体を迅速に透過し、且つ、液体を迅速に
拡散させることが可能となる。
【0077】〔実施例5〜8〕図1に示す如く、長さ1
75mm、幅190mmの拡散性吸収紙2dとして、吸収性
シート(A)〜(D)を用い、この上に、ホットメルト
(商品名;トプコP−618B、東洋ペトロライト
(株))をスパイラル形状で且つ坪量10g/m2で散
布した後、更に高吸収性ポリマー2bを幅75mmにほぼ
均一に0.5g散布(散布坪量約38g/m2 )し、包
んで一体化し、吸収体ポリマーシートとした。更に、吸
収紙2cを用い、長さ175mm、幅130mmにカットし
て上記吸収体ポリマーシートを包んで一体化し、吸収体
2を構成した。得られた吸収体2を防漏材3としてのポ
リラミ防水紙(長さ205mm、幅95mm)を用いて巻き
上げた。なお、上記吸収紙2cは、液体透過性の高いも
のである。上記吸収紙2cは、繊維粗度が0.36mg/
mで、繊維断面の真円度が0.80であるマーセル化パ
ルプ(商品名;「POROSANIER-J」、ITT Rayonier Inc.
製)95重量部と、太さ1デニールで長さ3mmのポリビ
ニルアルコール(商品名:フィブリボンド、三昌(株)
製)5重量部とをそれぞれ水中に分散混合し、抄紙機を
用いて抄紙した後、乾燥して製造したものであり、坪量
は40g/m2 であった。
【0078】次に、表面材1により、上述の吸収体2を
防漏材3で巻き上げたものを包み込み、図1に示す構成
の生理用ナプキンを製造した。
【0079】なお、表面材1としては、図5に示す構造
のものを使用した。即ち、ポリエチレン/ポリプロピレ
ン複合繊維(チッソ(株)製)から坪量25g/m2
乾式熱接着不織布122に、厚さ25μmの低密度ポリ
エチレン121(三井石油化学(株)製)をラミネート
したものであり、これを長さ205mm、幅170mmにカ
ットしたものを用いた。上記不織布122の表面には、
アルキルホスフェートとソルビタン脂肪酸エステルの混
合界面活性剤を0.34重量%付着させてある。この表
面材は、図5に示すように壁部123の開孔124の大
きさが0.1〜2mm2 で孔の密度が52個/cm2 であ
る。
【0080】これらの生理用ナプキンについて、血液吸
収時間、動的液戻り量及び漏れ発生回数を下記に示す方
法により測定した。その結果を表3に示す。
【0081】
【比較例6〜10】吸収性シート(E)〜(I)を用い
た以外は、実施例5〜8と同様の操作により生理用ナプ
キンを製造し、その血液吸収時間、動的液戻り量及び漏
れ発生回数を下記に示す方法により測定した。その結果
を表3に示す。
【0082】<吸収時間(5g)、再吸収時間(10
g)、動的液戻り量の測定>図6に示す如く、実施例及
び比較例で得られた生理用ナプキン30を水平に置き、
直径10mmの注入口31のついたアクリル板32を載
せ、更に、試験用の生理用ナプキン30に5g/cm2
荷重がかかるように重り33を載せる。次いで、注入口
から脱繊維馬血〔日本バイオテスト研究所(株)製〕5
gを注入し、液が完全に吸収されるまでの吸収時間
(秒)を求める。液が完全に吸収されてから、20分間
そのまま放置し、再び脱繊維馬血5gを注入し、再吸収
時間(10g)を求め、同様に20分間放置した。
【0083】その後、75mm幅×195mmにカットした
坪量30g/m2 の針葉樹パルプからなる吸収体を10
枚、試験用の生理用ナプキン30の上面(肌当接面側)
に重ね、図7に示す可動式女性腰部モデル40に、図8
に示すように生理用ナプキン30を装着させたショーツ
をはかせた後、100歩/分(50m/分)の歩行速度
で1分間歩行させた。歩行終了後、生理用ナプキン30
と吸収体10枚を取り出し、吸収体に吸収された脱繊維
馬血の重量を液戻り量(g)として求めた。各々5点に
ついて測定し、それぞれの平均値を求め、吸収時間、再
吸収時間、及び動的液戻り量とした。
【0084】<漏れ試験(漏れ発生回数)>実施例及び
比較例で得られた試験用の生理用ナプキン30を、図8
に示す如く、可動式女性腰部モデル40に装着させ、シ
ョーツをはかせた後、100歩/分(50m/分)の歩
行速度で10分間歩行させた。その後、歩行させながら
チューブによって脱繊維馬血を生理用ナプキン30に5
g注入した後に同じ速度で20分間歩行させた時点と、
更にその後、脱繊維馬血5gを注入した後に20分間歩
行させた時点とで、サンプル数10枚中で漏れが発生し
た枚数を数えた。
【0085】
【表3】
【0086】表3に示す結果から明らかなように、本発
明の拡散性吸収紙を用いた吸収性物品は、長時間装着及
び多量を排泄時を想定した10gまでの再吸収時間も3
1〜38秒であり、また、液戻り量は0.2〜0.4g
であり、同様に多量のポリマーを含む比較例と比べても
特に優れていることがわかる。また、漏れ発生回数につ
いても、10gまで吸収させても本発明の拡散性吸収紙
を用いた吸収性物品では1〜2回と漏れ発生回数が少な
く優れた性能を有しているのに対し、比較例の吸収性シ
ートを用いた吸収性物品では試験したサンプルはかなり
漏れが発生しており、本発明の拡散性吸収紙を用いた吸
収性物品よりも劣っていることがわかる。
【0087】
【発明の効果】本発明の拡散性吸収紙は、湿潤時におけ
る膨潤が少なく、且つ繊維間の距離を安定的に保つこと
が可能であり、しかも、液体を迅速に透過する性能及び
液体を迅速に拡散する性能を兼ね備えたものである。ま
た、本発明の拡散性吸収紙を具備して成る吸収性物品
は、高い液体保持容量及び高い透過速度を有しており、
しかも、繰り返し吸収性にも優れている。従って、長時
間装着時や多量排泄時でも液戻りや液漏れが少ないもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拡散性吸収紙を具備して成る吸収性物
品の幅方向の断面を表す図である。
【図2】本発明の拡散性吸収紙を具備して成る吸収性物
品の幅方向の断面を表す図である。
【図3】クレム吸収高さの測定装置を表す概略図であ
る。
【図4】グリセリン85重量%水溶液10gの通過時間
の測定装置を示す概略図である。
【図5】表面材の一部拡大概略図である。
【図6】吸収時間の測定の概要を示す概略断面図であ
る。
【図7】可動式女性腰部モデルを示す概略図である。
【図8】図8に示す可動式女性腰部モデルの股部に生理
用ナプキンを装着した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 表面材 2 吸収体 2b 高吸収性ポリマー 2c 吸収紙 2d 拡散性吸収紙 3 防漏材 4 接着部 5 剥離紙 6 接合部 10 生理用ナプキン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 13/432 A41B 13/02 D A61F 13/18 303

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維粗度が0.30mg/m以上であるセ
    ルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋剤により
    架橋した嵩高架橋セルロース繊維20〜80重量部と親
    水性微細繊維80〜20重量部とを含んで成ることを特
    徴とする拡散性吸収紙。
  2. 【請求項2】 坪量が20〜60g/m2 である、請求
    項1記載の拡散性吸収紙。
  3. 【請求項3】 2.5g/m2 荷重下での厚みが0.2
    〜0.8mmである、請求項1記載の拡散性吸収紙。
  4. 【請求項4】 生理食塩水に対する1分後のクレム吸収
    高さが50mm以上であり、且つ、10分後のクレム吸収
    高さが100mm以上である、請求項1記載の拡散性吸収
    紙。
  5. 【請求項5】 グリセリン85重量%水溶液10gの通
    過時間が100秒以下である、請求項1記載の拡散性吸
    収紙。
  6. 【請求項6】 セルロース繊維の真円度が0.5以上で
    ある、請求項1記載の拡散性吸収紙。
  7. 【請求項7】 セルロース繊維がパルプである、請求項
    6記載の拡散性吸収紙。
  8. 【請求項8】 パルプがマーセル化パルプである、請求
    項7記載の拡散性吸収紙。
  9. 【請求項9】 嵩高架橋セルロース繊維の湿潤時の圧縮
    残留歪が40%未満である、請求項1記載の拡散性吸収
    紙。
  10. 【請求項10】 親水性微細繊維の繊維粗度が0.2mg
    /m未満である、請求項1記載の拡散性吸収紙。
  11. 【請求項11】 親水性微細繊維の真円度が0.5未満
    である、請求項1記載の拡散性吸収紙。
  12. 【請求項12】 更に30重量部までの熱溶融性接着繊
    維を含んで成る、請求項1記載の拡散性吸収紙。
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