JPH08120395A - 高剛性材料の製造方法 - Google Patents
高剛性材料の製造方法Info
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- JPH08120395A JPH08120395A JP25083494A JP25083494A JPH08120395A JP H08120395 A JPH08120395 A JP H08120395A JP 25083494 A JP25083494 A JP 25083494A JP 25083494 A JP25083494 A JP 25083494A JP H08120395 A JPH08120395 A JP H08120395A
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- steel
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 微細粒子の分散による加工歪の導入、集合組
織の形成により、ヤング率が 25000kgf/mm2 超の高剛性
材料のより安価な製造方法を提供する。 【構成】 Fe−Al系またはFe−Si系フェライト鋼組成の
溶鋼を急冷凝固して粉末化し、少なくとも押出比3以上
の押出加工を含む成形加工を施した後、2次再結晶熱処
理を行ない、急冷凝固に際して下記(i) 、(ii)および(i
ii) の少なくとも1の手段でもって粒子を微細に分散さ
せる。 (i) 少なくとも1種の易窒化性元素および/または易酸
化性元素またはAlもしくはSiを含む前記溶鋼に過飽和に
窒素および/ または酸素を溶解したのち急冷凝固処理を
行なうこと。 (ii)少なくとも1種の易窒化性元素またはAlもしくはSi
を含む前記溶鋼を窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行なうこと。 (iii) 少なくとも1種の易酸化性元素またはAlもしくは
Siを含む前記溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固処理
を行なうこと。
織の形成により、ヤング率が 25000kgf/mm2 超の高剛性
材料のより安価な製造方法を提供する。 【構成】 Fe−Al系またはFe−Si系フェライト鋼組成の
溶鋼を急冷凝固して粉末化し、少なくとも押出比3以上
の押出加工を含む成形加工を施した後、2次再結晶熱処
理を行ない、急冷凝固に際して下記(i) 、(ii)および(i
ii) の少なくとも1の手段でもって粒子を微細に分散さ
せる。 (i) 少なくとも1種の易窒化性元素および/または易酸
化性元素またはAlもしくはSiを含む前記溶鋼に過飽和に
窒素および/ または酸素を溶解したのち急冷凝固処理を
行なうこと。 (ii)少なくとも1種の易窒化性元素またはAlもしくはSi
を含む前記溶鋼を窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行なうこと。 (iii) 少なくとも1種の易酸化性元素またはAlもしくは
Siを含む前記溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固処理
を行なうこと。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合材料、特に、自動
車、航空機、ロケット、産業用機械、ロボットなどの技
術分野において優れた剛性を必要とする構造部材として
利用される高剛性複合材料 (以下単に高剛性材料とい
う) の製造方法に関する。
車、航空機、ロケット、産業用機械、ロボットなどの技
術分野において優れた剛性を必要とする構造部材として
利用される高剛性複合材料 (以下単に高剛性材料とい
う) の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高剛性材料が求められている背景
には、例えば自動車用材料では、燃費向上を目的とする
軽量小型化材料や、乗り心地の向上を目的とする制振材
料へのニーズが高まっていることが挙げられる。
には、例えば自動車用材料では、燃費向上を目的とする
軽量小型化材料や、乗り心地の向上を目的とする制振材
料へのニーズが高まっていることが挙げられる。
【0003】軽量化のために高剛性材料を用いれば、高
剛性材料によって外力によるたわみ等の歪量が低減で
き、その分だけ、部品形状を小型化できるという利点が
ある。一方、制振材料として高剛性材料を用いることに
よっても、少量の材料を使用するだけで材料の歪から生
じる振動を低減することが可能となる。
剛性材料によって外力によるたわみ等の歪量が低減で
き、その分だけ、部品形状を小型化できるという利点が
ある。一方、制振材料として高剛性材料を用いることに
よっても、少量の材料を使用するだけで材料の歪から生
じる振動を低減することが可能となる。
【0004】したがって、これからも明らかなように、
自動車用の部品だけでなくあらゆる構造部材において、
小さな形状で大きな歪量を吸収することの可能な高剛性
材料に期待が集まっている。
自動車用の部品だけでなくあらゆる構造部材において、
小さな形状で大きな歪量を吸収することの可能な高剛性
材料に期待が集まっている。
【0005】そのような材料を開発する手法としては従
来、Feに対する合金元素添加や合金マトリックス中への
セラミックスの粒子分散複合化による、または圧延によ
る集合組織形成による剛性向上が試みられてきた。
来、Feに対する合金元素添加や合金マトリックス中への
セラミックスの粒子分散複合化による、または圧延によ
る集合組織形成による剛性向上が試みられてきた。
【0006】ところが合金元素添加においては、Fe基合
金の場合、最も向上率の大きいRe元素の添加によっても
高々21,000〜22,000kgf/mm2 程度のヤング率向上しか得
られなかった。また、合金マトリックス中へセラミック
ス粒子を分散させる場合、セラミックス粒子の配合率を
高めることにより十分な剛性向上が得られるが、一方、
靱性、強度の低下はまぬがれず、集合組織を形成する圧
延法によっても実用材料としては高々24,000kgf/mm2 し
か得られない。
金の場合、最も向上率の大きいRe元素の添加によっても
高々21,000〜22,000kgf/mm2 程度のヤング率向上しか得
られなかった。また、合金マトリックス中へセラミック
ス粒子を分散させる場合、セラミックス粒子の配合率を
高めることにより十分な剛性向上が得られるが、一方、
靱性、強度の低下はまぬがれず、集合組織を形成する圧
延法によっても実用材料としては高々24,000kgf/mm2 し
か得られない。
【0007】一方、鉄鋼材料では加工熱処理によりヤン
グ率の高い結晶方位を特定の方向に揃えること、つまり
集積化することにより実現する高剛性化の手法が取り入
れられている。すなわち、体心立方格子を有するフェラ
イト系鋼の{111}面の集積化を狙った材料設計、プ
ロセス設計である。特開昭56−23223 号公報や特開昭59
−83721 号公報参照。
グ率の高い結晶方位を特定の方向に揃えること、つまり
集積化することにより実現する高剛性化の手法が取り入
れられている。すなわち、体心立方格子を有するフェラ
イト系鋼の{111}面の集積化を狙った材料設計、プ
ロセス設計である。特開昭56−23223 号公報や特開昭59
−83721 号公報参照。
【0008】しかしながら、上述の公報に示されている
ように、従来は、5〜10%以上の加工率の冷間圧延を施
した後に、720 〜900 ℃以下の温度で焼戻し、あるいは
巻取り等の熱処理をすることで、一定方向に結晶方位を
集積させても、ヤング率は高々23,000〜24,000kgf/mm2
程度に過ぎなかった。
ように、従来は、5〜10%以上の加工率の冷間圧延を施
した後に、720 〜900 ℃以下の温度で焼戻し、あるいは
巻取り等の熱処理をすることで、一定方向に結晶方位を
集積させても、ヤング率は高々23,000〜24,000kgf/mm2
程度に過ぎなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
目的を達成すべく種々検討を重ねたところ、従来法にお
いて、加工熱処理法によっても僅かなヤング率の向上し
か得られない原因は、フェライト系鋼における{11
1}面の集積度が等方性多結晶体に比べ高々15〜20倍と
少ないためであり、これは加工工程で導入される加工歪
およびその集積が少ないためであることを知った。
目的を達成すべく種々検討を重ねたところ、従来法にお
いて、加工熱処理法によっても僅かなヤング率の向上し
か得られない原因は、フェライト系鋼における{11
1}面の集積度が等方性多結晶体に比べ高々15〜20倍と
少ないためであり、これは加工工程で導入される加工歪
およびその集積が少ないためであることを知った。
【0010】そこで、高加工歪付与の可能な方法を見出
すため種々検討を重ねた結果、金属マトリックス中に粒
子を微細に分散させた材料に強加工を加えると大量の格
子歪が導入蓄積されるが、分散粒子は転位のピン止め効
果を持つため、熱間加工後の余熱では導入された格子歪
は解放されずに残留する。この格子歪エネルギーは加工
後の熱処理時に<111>集合組織を形成するための再
結晶駆動力となる。また、この再結晶熱処理時には微細
分散粒子は、粒界移動をピン止めする効果を持ち、した
がって再結晶温度を高温化する作用がある。そしてその
ような再結晶温度の高い材料においては加熱昇温時にあ
る程度において急激に再結晶を開始する結果、再結晶粒
が方向性を持ち、X線強度で等軸材に比べ30倍以上とい
う著しい<111>集合組織を形成する。
すため種々検討を重ねた結果、金属マトリックス中に粒
子を微細に分散させた材料に強加工を加えると大量の格
子歪が導入蓄積されるが、分散粒子は転位のピン止め効
果を持つため、熱間加工後の余熱では導入された格子歪
は解放されずに残留する。この格子歪エネルギーは加工
後の熱処理時に<111>集合組織を形成するための再
結晶駆動力となる。また、この再結晶熱処理時には微細
分散粒子は、粒界移動をピン止めする効果を持ち、した
がって再結晶温度を高温化する作用がある。そしてその
ような再結晶温度の高い材料においては加熱昇温時にあ
る程度において急激に再結晶を開始する結果、再結晶粒
が方向性を持ち、X線強度で等軸材に比べ30倍以上とい
う著しい<111>集合組織を形成する。
【0011】このような粒子微細分散は、強加工時の歪
の蓄積と、熱処理時の方向性2次再結晶に対する寄与を
通じて29,000kgf/mm2 という高ヤング率が得られること
を知り、すでに特願平4−58271 号、同平5−220122
号、同平5−220123号、同平5−220124号として特許出
願を行った。
の蓄積と、熱処理時の方向性2次再結晶に対する寄与を
通じて29,000kgf/mm2 という高ヤング率が得られること
を知り、すでに特願平4−58271 号、同平5−220122
号、同平5−220123号、同平5−220124号として特許出
願を行った。
【0012】すなわち、その知見によれば、成形加工時
に微細分散粒子が転位のピン止め効果を発揮し、材料に
大量の格子歪を蓄積させ、その後の集合組織形成に大き
く寄与するのである。
に微細分散粒子が転位のピン止め効果を発揮し、材料に
大量の格子歪を蓄積させ、その後の集合組織形成に大き
く寄与するのである。
【0013】この特願平4−58271 号、同平5−220122
号、同平5−220123号、同平5−220124号に開示した発
明にかかる高剛性材料における粒子微細分散の手法とし
ては、原料となる金属粉末あるいは合金粉末中にセラミ
ックス粒子を添加し主に機械的合金化処理 (メカニカル
アロイング、以下同じ) により微細分散状態を得るとい
う方法を用いている。
号、同平5−220123号、同平5−220124号に開示した発
明にかかる高剛性材料における粒子微細分散の手法とし
ては、原料となる金属粉末あるいは合金粉末中にセラミ
ックス粒子を添加し主に機械的合金化処理 (メカニカル
アロイング、以下同じ) により微細分散状態を得るとい
う方法を用いている。
【0014】しかし、その後の研究開発の結果、この手
法においては、添加するセラミックス粒子の粒度が、例
えば0.10μmと粗い場合、成形加工における加工度が小
さいと十分な格子歪が導入蓄積されず、その後の集合組
織形成が十分に行えない場合があることが判明した。
法においては、添加するセラミックス粒子の粒度が、例
えば0.10μmと粗い場合、成形加工における加工度が小
さいと十分な格子歪が導入蓄積されず、その後の集合組
織形成が十分に行えない場合があることが判明した。
【0015】すなわち、この方法においては、加工度を
低くしたい場合、添加するセラミックス粒子は低い加工
度でも成形加工時に十分な歪を導入できる程度に、例え
ば0.05μm以下と微細である必要がある。ここで加工度
を低くしたい場合とは、例えば押出比を低くおさえて大
径の棒材を得たい場合などである。
低くしたい場合、添加するセラミックス粒子は低い加工
度でも成形加工時に十分な歪を導入できる程度に、例え
ば0.05μm以下と微細である必要がある。ここで加工度
を低くしたい場合とは、例えば押出比を低くおさえて大
径の棒材を得たい場合などである。
【0016】しかしながら、そのように十分に微細とす
るには、メカニカルアロイングを長時間行う等の更なる
微細化を行わなければならず、製造効率の低下等の問題
が生じるなど、実用上の有効な解決策とはなっていな
い。
るには、メカニカルアロイングを長時間行う等の更なる
微細化を行わなければならず、製造効率の低下等の問題
が生じるなど、実用上の有効な解決策とはなっていな
い。
【0017】ここに、本発明の目的は、微細粒子の分散
による加工歪の導入、集合組織の形成による高剛性材料
の製造法において、より効果的な分散粒子の微細化技術
を開発することである。より具体的には本発明の目的
は、ヤング率が25,000kgf/mm2 超の高剛性材料のより安
価な製造方法を提供することである。
による加工歪の導入、集合組織の形成による高剛性材料
の製造法において、より効果的な分散粒子の微細化技術
を開発することである。より具体的には本発明の目的
は、ヤング率が25,000kgf/mm2 超の高剛性材料のより安
価な製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者らは、
上記目的達成のために種々検討を重ねた結果、アトマイ
ズ法のような急冷凝固時の雰囲気による窒化、酸化反応
で窒化物、酸化物を生成させ、またはアトマイズ法のよ
うな急冷凝固に先立って酸素、窒素を過飽和固溶させ、
その後の熱処理により窒化物、酸化物を析出させて、こ
れを前述の微細分散粒子として利用することで微細な分
散状態が得られることを知り、本発明を完成した。
上記目的達成のために種々検討を重ねた結果、アトマイ
ズ法のような急冷凝固時の雰囲気による窒化、酸化反応
で窒化物、酸化物を生成させ、またはアトマイズ法のよ
うな急冷凝固に先立って酸素、窒素を過飽和固溶させ、
その後の熱処理により窒化物、酸化物を析出させて、こ
れを前述の微細分散粒子として利用することで微細な分
散状態が得られることを知り、本発明を完成した。
【0019】すなわち、本発明は、Fe−Al系フェライト
鋼組成の溶鋼を急冷凝固を利用して粉末化し、次いで少
なくとも押出比3以上の押出加工を含む成形加工を施し
た後、2次再結晶熱処理を行う方法であって、急冷凝固
に際して下記(1) 、(2) および(3) の少なくとも1の手
段でもって粒子を微細に分散させることを特徴とする高
剛性材料の製造方法である。
鋼組成の溶鋼を急冷凝固を利用して粉末化し、次いで少
なくとも押出比3以上の押出加工を含む成形加工を施し
た後、2次再結晶熱処理を行う方法であって、急冷凝固
に際して下記(1) 、(2) および(3) の少なくとも1の手
段でもって粒子を微細に分散させることを特徴とする高
剛性材料の製造方法である。
【0020】(1) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性
元素および/または易酸化性元素またはAlを含み、該溶
鋼が過飽和に窒素および/または酸素を溶解したのち急
冷凝固処理を行うこと。 (2) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素またはAl
を含み、該溶鋼が窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。 (3) 前記溶鋼が少なくとも1種の易酸化性元素またはAl
を含み、該溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。
元素および/または易酸化性元素またはAlを含み、該溶
鋼が過飽和に窒素および/または酸素を溶解したのち急
冷凝固処理を行うこと。 (2) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素またはAl
を含み、該溶鋼が窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。 (3) 前記溶鋼が少なくとも1種の易酸化性元素またはAl
を含み、該溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。
【0021】さらに、本発明は、Fe−Si系フェライト鋼
組成の溶鋼を急冷凝固を利用して粉末化し、次いで少な
くとも押出比3以上の押出加工を含む成形加工を施した
後、2次再結晶熱処理を行う方法であって、急冷凝固に
際して下記(1) 、(2) および(3) の少なくとも1の手段
でもって粒子を微細に分散させることを特徴とする高剛
性材料の製造方法である。
組成の溶鋼を急冷凝固を利用して粉末化し、次いで少な
くとも押出比3以上の押出加工を含む成形加工を施した
後、2次再結晶熱処理を行う方法であって、急冷凝固に
際して下記(1) 、(2) および(3) の少なくとも1の手段
でもって粒子を微細に分散させることを特徴とする高剛
性材料の製造方法である。
【0022】(1) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性
元素および/または易酸化性元素またはSiを含み、該溶
鋼が過飽和に窒素および/または酸素を溶解したのち急
冷凝固処理を行うこと。 (2) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素またはSi
を含み、該溶鋼が窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。 (3) 前記溶鋼が少なくとも1種の易酸化性元素またはSi
を含み、該溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。
元素および/または易酸化性元素またはSiを含み、該溶
鋼が過飽和に窒素および/または酸素を溶解したのち急
冷凝固処理を行うこと。 (2) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素またはSi
を含み、該溶鋼が窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。 (3) 前記溶鋼が少なくとも1種の易酸化性元素またはSi
を含み、該溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。
【0023】ここに、上記「Fe−Al系フェライト鋼」、
「Fe−Si系フェライト鋼」とは、100 体積%フェライト
相の場合ばかりでなく、例えば5体積%程度までのオー
ステナイト相が存在するステンレス鋼も包含される。少
なくとも95体積%のフェライト相が存在しておれば、高
剛性化には十分である。
「Fe−Si系フェライト鋼」とは、100 体積%フェライト
相の場合ばかりでなく、例えば5体積%程度までのオー
ステナイト相が存在するステンレス鋼も包含される。少
なくとも95体積%のフェライト相が存在しておれば、高
剛性化には十分である。
【0024】「急冷凝固法」は、ガスアトマイズ法、液
体アトマイズ法、PREP法 (Plasma Rotating Electr
ode Process)、単ロール溶湯急冷法、双ロール溶湯急冷
法、等の溶鋼を102 K/sec 程度以上の速度で冷却する冷
却処理全般を指す。本発明の目的が達成される限り特に
制限はないが、一般的にアトマイズ法が好ましい。
体アトマイズ法、PREP法 (Plasma Rotating Electr
ode Process)、単ロール溶湯急冷法、双ロール溶湯急冷
法、等の溶鋼を102 K/sec 程度以上の速度で冷却する冷
却処理全般を指す。本発明の目的が達成される限り特に
制限はないが、一般的にアトマイズ法が好ましい。
【0025】粒子を微細分散させるためには、溶鋼中あ
るいは固化した金属マトリックス中に多数の分散粒子の
核が発生し、粒子成長が十分生じる前に固化させる必要
がある。そのためには溶鋼を瞬時のうちに冷却する急冷
凝固が必要となるのである。また、分散粒子の核発生さ
えも十分生じさせない急冷速度の場合には窒素、酸素等
のガス成分は、過飽和にマトリックス中に溶け込み、次
いで行う熱間加工の際の予備加熱によって析出すること
となる。窒素あるいは酸素を溶鋼に過飽和に溶解させる
には、例えば原料として窒化物あるいは酸化物を配合し
て、ともに溶解する方法を行ってもよい。
るいは固化した金属マトリックス中に多数の分散粒子の
核が発生し、粒子成長が十分生じる前に固化させる必要
がある。そのためには溶鋼を瞬時のうちに冷却する急冷
凝固が必要となるのである。また、分散粒子の核発生さ
えも十分生じさせない急冷速度の場合には窒素、酸素等
のガス成分は、過飽和にマトリックス中に溶け込み、次
いで行う熱間加工の際の予備加熱によって析出すること
となる。窒素あるいは酸素を溶鋼に過飽和に溶解させる
には、例えば原料として窒化物あるいは酸化物を配合し
て、ともに溶解する方法を行ってもよい。
【0026】また、易窒化性元素、易酸化性元素とは、
FeやAl、Siと比較してより容易に窒化、あるいは酸化す
る傾向を有する元素を意味し、具体的にはFe−Al系フェ
ライト鋼では例えば、Zr、Ti、Mg、Be、Hf、Th、Yおよ
び希土類元素が含まれる。
FeやAl、Siと比較してより容易に窒化、あるいは酸化す
る傾向を有する元素を意味し、具体的にはFe−Al系フェ
ライト鋼では例えば、Zr、Ti、Mg、Be、Hf、Th、Yおよ
び希土類元素が含まれる。
【0027】Fe−Si系フェライト鋼では例えば、Zr、T
i、Al、B、Mg、Nb、V、Ta、Be、Hf、Th、Y、および
希土類元素が含まれる。
i、Al、B、Mg、Nb、V、Ta、Be、Hf、Th、Y、および
希土類元素が含まれる。
【0028】これらの易窒化性元素、易酸化性元素は、
一連の急冷凝固の過程において、雰囲気ガス中の窒素、
酸素と反応し、アトマイズ法の場合には、アトマイズ媒
体中等の窒素、酸素と反応し、および/または、窒素、
酸素が過飽和固溶した溶鋼を急冷凝固することにより得
られた窒素、酸素が過飽和した粉末に熱間加工の予備加
熱を加えることにより、フェライト鋼マトリックス中に
窒化物、酸化物が微細析出し、粒子径が5〜50nm程度
の微細な窒化物、酸化物の分散状態を形成するものと考
えられる。
一連の急冷凝固の過程において、雰囲気ガス中の窒素、
酸素と反応し、アトマイズ法の場合には、アトマイズ媒
体中等の窒素、酸素と反応し、および/または、窒素、
酸素が過飽和固溶した溶鋼を急冷凝固することにより得
られた窒素、酸素が過飽和した粉末に熱間加工の予備加
熱を加えることにより、フェライト鋼マトリックス中に
窒化物、酸化物が微細析出し、粒子径が5〜50nm程度
の微細な窒化物、酸化物の分散状態を形成するものと考
えられる。
【0029】例えば溶鋼成分としてTiが含まれる場合、
窒素ガスアトマイズ処理によって生成したTiN の平均粒
子径は15nm程度であり、メカニカルアロイングにより
TiN粒子 (平均粒径60nm) を添加した場合に比べ、非
常に微細かつ良好な分散状態が得られる。
窒素ガスアトマイズ処理によって生成したTiN の平均粒
子径は15nm程度であり、メカニカルアロイングにより
TiN粒子 (平均粒径60nm) を添加した場合に比べ、非
常に微細かつ良好な分散状態が得られる。
【0030】ここに、上記急冷凝固の作用としては、雰
囲気ガス中の窒素、酸素と反応させて窒化物、酸化物粒
子を生成させるか、あるいは処理中に窒素、酸素を過飽
和固溶させ、後続の成形加工に先立つ加熱時に微細酸化
物、微細窒化物として析出させることが挙げられる。
囲気ガス中の窒素、酸素と反応させて窒化物、酸化物粒
子を生成させるか、あるいは処理中に窒素、酸素を過飽
和固溶させ、後続の成形加工に先立つ加熱時に微細酸化
物、微細窒化物として析出させることが挙げられる。
【0031】ここに、本発明の一つの態様によれば、上
述の易窒化性元素、易酸化性元素を含有した、Fe−Al系
フェライト鋼組成の溶鋼、Fe−Si系フェライト鋼組成の
溶鋼を用いるのである。この場合、微細分散するのは、
易窒化性、易酸化性元素の窒化物粒子、酸化物粒子であ
る。
述の易窒化性元素、易酸化性元素を含有した、Fe−Al系
フェライト鋼組成の溶鋼、Fe−Si系フェライト鋼組成の
溶鋼を用いるのである。この場合、微細分散するのは、
易窒化性、易酸化性元素の窒化物粒子、酸化物粒子であ
る。
【0032】また、本発明の別の態様によれば、上述の
易窒化性元素、易酸化性元素を含まないFe−Al系フェラ
イト鋼合金組成の溶鋼、Fe−Si系フェライト鋼合金組成
の溶鋼を用いるのである。この場合、微細分散するの
は、Fe−Al系フェライト鋼ではAl窒化物粒子、Al酸化物
粒子であり、Fe−Si系フェライト鋼では、Si窒化物粒
子、Si酸化物粒子である。
易窒化性元素、易酸化性元素を含まないFe−Al系フェラ
イト鋼合金組成の溶鋼、Fe−Si系フェライト鋼合金組成
の溶鋼を用いるのである。この場合、微細分散するの
は、Fe−Al系フェライト鋼ではAl窒化物粒子、Al酸化物
粒子であり、Fe−Si系フェライト鋼では、Si窒化物粒
子、Si酸化物粒子である。
【0033】
【作用】次に、本発明におけるフェライト系合金鋼マト
リックス中に窒化物、酸化物粒子を微細分散させること
の材料の高剛性化に対する効果は、次のごとく説明され
る。
リックス中に窒化物、酸化物粒子を微細分散させること
の材料の高剛性化に対する効果は、次のごとく説明され
る。
【0034】すなわち、金属マトリックス中に粒子を微
細に分散させた材料に強加工を加えると大量の格子歪が
導入蓄積されるが、分散粒子は転位のピン止め効果を持
つため、熱間加工後の余熱では導入された格子歪は解放
されずに残留する。この格子歪エネルギーは加工後の熱
処理時に<111>集合組織を形成するための再結晶駆
動力となる。また、この再結晶熱処理時には微細分散粒
子は、粒界移動をピン止めする効果を持ち、したがって
再結晶温度を高温化する作用がある。そしてそのような
再結晶温度の高い材料においては加熱昇温時にある温度
において急激に再結晶を開始する結果、再結晶が方向性
を持ちX線強度でみて等方性多結晶体に比べ30倍以上と
いう著しい<111>集合組織を形成する。
細に分散させた材料に強加工を加えると大量の格子歪が
導入蓄積されるが、分散粒子は転位のピン止め効果を持
つため、熱間加工後の余熱では導入された格子歪は解放
されずに残留する。この格子歪エネルギーは加工後の熱
処理時に<111>集合組織を形成するための再結晶駆
動力となる。また、この再結晶熱処理時には微細分散粒
子は、粒界移動をピン止めする効果を持ち、したがって
再結晶温度を高温化する作用がある。そしてそのような
再結晶温度の高い材料においては加熱昇温時にある温度
において急激に再結晶を開始する結果、再結晶が方向性
を持ちX線強度でみて等方性多結晶体に比べ30倍以上と
いう著しい<111>集合組織を形成する。
【0035】このように粒子微細分散は、強加工時の歪
の蓄積と、熱処理時の方向性2次再結晶に対する寄与を
通じて材料を高剛性化する作用を持つ。ここで分散粒子
が転位や粒界のピン止め効果を発揮するためには、微細
な分散により粒子間距離がより小さい分散状態を形成す
る必要があり、別の面からは本発明はそのための手段を
提供するのである。
の蓄積と、熱処理時の方向性2次再結晶に対する寄与を
通じて材料を高剛性化する作用を持つ。ここで分散粒子
が転位や粒界のピン止め効果を発揮するためには、微細
な分散により粒子間距離がより小さい分散状態を形成す
る必要があり、別の面からは本発明はそのための手段を
提供するのである。
【0036】本発明において窒化物、酸化物分散の手法
として急冷凝固を利用した理由は、この手法を用いた場
合の方が、従来法のように窒化物、酸化物粒子をメカニ
カルアロイングの原料として添加した場合に比較して、
より微細な分散状態が得られるからである。すなわち、
前者の場合、急冷凝固中またはその後の加熱中に金属マ
トリックス中に窒化物、酸化物が多数核発生することに
よって微細分散状態が得られるのに対し、後者では添加
した酸化物の粒子径が維持されるために添加粒子の粒子
径よりも微細な分散状態を得ることは困難であるからで
ある。この理由から、前者の方法は後者に比べ優れてい
るといえる。
として急冷凝固を利用した理由は、この手法を用いた場
合の方が、従来法のように窒化物、酸化物粒子をメカニ
カルアロイングの原料として添加した場合に比較して、
より微細な分散状態が得られるからである。すなわち、
前者の場合、急冷凝固中またはその後の加熱中に金属マ
トリックス中に窒化物、酸化物が多数核発生することに
よって微細分散状態が得られるのに対し、後者では添加
した酸化物の粒子径が維持されるために添加粒子の粒子
径よりも微細な分散状態を得ることは困難であるからで
ある。この理由から、前者の方法は後者に比べ優れてい
るといえる。
【0037】本発明において窒化物、酸化物生成のため
の合金元素を限定した理由は次の通りである。Fe−Al系
フェライト鋼の場合、窒化物、酸化物生成のための合金
元素を易窒化性元素、易酸化性元素またはAlに限定した
のは、それらの元素がフェライト系鋼合金を構成する主
要元素であるFeの窒化物、酸化物、あるいは、易窒化性
元素、易酸化性元素の場合にはFe、Alの窒化物、酸化物
より安定な窒化物、酸化物を生成しやすく、従ってその
添加量を制御すれば微細な窒化物、酸化物の分散状態が
得られるからである。
の合金元素を限定した理由は次の通りである。Fe−Al系
フェライト鋼の場合、窒化物、酸化物生成のための合金
元素を易窒化性元素、易酸化性元素またはAlに限定した
のは、それらの元素がフェライト系鋼合金を構成する主
要元素であるFeの窒化物、酸化物、あるいは、易窒化性
元素、易酸化性元素の場合にはFe、Alの窒化物、酸化物
より安定な窒化物、酸化物を生成しやすく、従ってその
添加量を制御すれば微細な窒化物、酸化物の分散状態が
得られるからである。
【0038】またさらに、Fe−Si系フェライト鋼の場
合、窒化物、酸化物生成のための合金元素を易窒化性元
素、易酸化性元素またはSiに限定したのは、それらの元
素がフェライト系鋼合金を構成する主要元素であるFeの
窒化物、酸化物、あるいは、易窒化性元素、易酸化性元
素の場合にはFe、Siの窒化物、酸化物より安定な窒化
物、酸化物を生成しやすく、従ってその添加量を制御す
れば微細な窒化物、酸化物の分散状態が得られるからで
ある。
合、窒化物、酸化物生成のための合金元素を易窒化性元
素、易酸化性元素またはSiに限定したのは、それらの元
素がフェライト系鋼合金を構成する主要元素であるFeの
窒化物、酸化物、あるいは、易窒化性元素、易酸化性元
素の場合にはFe、Siの窒化物、酸化物より安定な窒化
物、酸化物を生成しやすく、従ってその添加量を制御す
れば微細な窒化物、酸化物の分散状態が得られるからで
ある。
【0039】すなわち、高剛性を得るための<111>
再結晶集合組織を得るために好ましい窒化物、酸化物の
微細分散状態を形成させるためには、窒化物、酸化物生
成のための反応物質はFe、Al、Siよりも窒化物、酸化物
を生成し易い性質を持つことが望ましく、それを前提と
して添加量制御による分散状態制御が可能となるからで
ある。
再結晶集合組織を得るために好ましい窒化物、酸化物の
微細分散状態を形成させるためには、窒化物、酸化物生
成のための反応物質はFe、Al、Siよりも窒化物、酸化物
を生成し易い性質を持つことが望ましく、それを前提と
して添加量制御による分散状態制御が可能となるからで
ある。
【0040】もちろん、易窒化性、易酸化性元素を含ま
ないFe−Al系、Fe−Si系フェライト系鋼を利用する場合
にはAlの窒化物、酸化物あるいはSiの窒化物、酸化物を
生成させ、それによる微細分散を利用しても良い。
ないFe−Al系、Fe−Si系フェライト系鋼を利用する場合
にはAlの窒化物、酸化物あるいはSiの窒化物、酸化物を
生成させ、それによる微細分散を利用しても良い。
【0041】窒化物、酸化物生成のための易窒化性元
素、易酸化性元素としてはすでに述べたように、Fe−Al
系フェライト鋼の場合は、Zr、Ti、Mg、Be、Hf、Th、Y
および希土類元素などのうち1種または2種以上を用い
ることが望ましく、Fe−Si系フェライト鋼の場合は、Z
r、Ti、Al、B、Mg、Nb、V、Ta、Mn、Be、Hf、Th、Y
および希土類元素などのうち1種または2種以上を用い
ることが望ましい。
素、易酸化性元素としてはすでに述べたように、Fe−Al
系フェライト鋼の場合は、Zr、Ti、Mg、Be、Hf、Th、Y
および希土類元素などのうち1種または2種以上を用い
ることが望ましく、Fe−Si系フェライト鋼の場合は、Z
r、Ti、Al、B、Mg、Nb、V、Ta、Mn、Be、Hf、Th、Y
および希土類元素などのうち1種または2種以上を用い
ることが望ましい。
【0042】これらの添加元素の窒化、酸化を行うこと
によりそれぞれの窒化物、酸化物が生成する。
によりそれぞれの窒化物、酸化物が生成する。
【0043】そのような窒化物としては、ZrN 、TiN 、
AlN 、BN、Mg3N2 、NbN 、VN、TaN、YNなどのうち1種
または2種以上の窒化物または複合窒化物であることが
望ましい。
AlN 、BN、Mg3N2 、NbN 、VN、TaN、YNなどのうち1種
または2種以上の窒化物または複合窒化物であることが
望ましい。
【0044】酸化物としては、Al2O3 、Y2O3、TiO2、Zr
O2、NbO 、MgO 、MnO 等のうち1種または2種以上の酸
化物または複合酸化物であることが望ましい。
O2、NbO 、MgO 、MnO 等のうち1種または2種以上の酸
化物または複合酸化物であることが望ましい。
【0045】その複合酸化物としては例えば YxAlyO 、
TixY yO 、AlxTiyO が有効である。さらには、酸化物、
窒化物、炭化物、ホウ化物等との複合、混合状態であっ
ても良い。
TixY yO 、AlxTiyO が有効である。さらには、酸化物、
窒化物、炭化物、ホウ化物等との複合、混合状態であっ
ても良い。
【0046】これらの易窒化性元素、易酸化性元素の配
合量については特に制限されず、目的に応じて適宜設定
できるが、好ましくは、金属元素としては1.0 〜5.0 %
である。窒化物、酸化物の反応生成するための窒素、酸
素の供給源としては、溶解時の雰囲気ガス中からのもの
と、急冷凝固時の雰囲気ガス中からのものとがある。
合量については特に制限されず、目的に応じて適宜設定
できるが、好ましくは、金属元素としては1.0 〜5.0 %
である。窒化物、酸化物の反応生成するための窒素、酸
素の供給源としては、溶解時の雰囲気ガス中からのもの
と、急冷凝固時の雰囲気ガス中からのものとがある。
【0047】溶解時の雰囲気ガスは、窒化物生成の場合
は、実質的に100 %N2が望ましく、酸化物生成の場合
は、雰囲気ガス中の酸素濃度は0.001 〜5vol%とするこ
とが望ましい。雰囲気ガスとしては特にアルゴンと酸素
の混合雰囲気が有効である。
は、実質的に100 %N2が望ましく、酸化物生成の場合
は、雰囲気ガス中の酸素濃度は0.001 〜5vol%とするこ
とが望ましい。雰囲気ガスとしては特にアルゴンと酸素
の混合雰囲気が有効である。
【0048】さらに、溶鋼中への窒化鉄、酸化鉄等を添
加することにより溶鋼中濃度を制御してもよい。
加することにより溶鋼中濃度を制御してもよい。
【0049】次に、急冷凝固時の雰囲気は、例えば、ア
トマイズ法の場合はアトマイズ媒体として、窒化物生成
を図る場合は、窒素ガス、アンモニアガス、液体窒素、
窒素・水素混合ガス等窒素源として、10〜100 vol%が好
ましく、また酸化物生成を図る場合は、水、空気等の酸
素源を用いることができる。
トマイズ法の場合はアトマイズ媒体として、窒化物生成
を図る場合は、窒素ガス、アンモニアガス、液体窒素、
窒素・水素混合ガス等窒素源として、10〜100 vol%が好
ましく、また酸化物生成を図る場合は、水、空気等の酸
素源を用いることができる。
【0050】もちろん、窒化鉄、酸化鉄等を添加して溶
鋼中に十分な窒素、酸素を含有させた場合においては、
アトマイズ媒体はArのような不活性ガスで十分であるこ
とはいうまでもない。
鋼中に十分な窒素、酸素を含有させた場合においては、
アトマイズ媒体はArのような不活性ガスで十分であるこ
とはいうまでもない。
【0051】さらに、酸化物を生成させる場合において
は、所望以上の酸化 (表面酸化等)が進行していること
が多いので還元のための熱処理を実施することが望まし
い。
は、所望以上の酸化 (表面酸化等)が進行していること
が多いので還元のための熱処理を実施することが望まし
い。
【0052】粉末中の固溶窒素、固溶酸素を利用して窒
化物、酸化物を析出させる場合には、加熱温度として
は、通常、850 〜1200℃程度で十分である。これは成形
加工温度に実際相当する温度であって、したがって、そ
れを利用すれば特に加熱工程を設ける必要はない。
化物、酸化物を析出させる場合には、加熱温度として
は、通常、850 〜1200℃程度で十分である。これは成形
加工温度に実際相当する温度であって、したがって、そ
れを利用すれば特に加熱工程を設ける必要はない。
【0053】次いで、本発明による窒化物、酸化物の微
細分散した合金粉末混合物を熱間押出により、成形加工
することにより、格子歪の蓄積した状態の素材が得られ
る。このときの成形加工法としては HIP、CIP 等により
成形した後、熱間押出加工を施し、また押出加工の前後
に圧延および/または鍛造を導入しても良い。本発明の
場合、押出比で表す加工度が比較的小さくても高剛性材
料が得られ、例えば押出比3〜10であってもよい。一般
にはこの押出比は10以上である。
細分散した合金粉末混合物を熱間押出により、成形加工
することにより、格子歪の蓄積した状態の素材が得られ
る。このときの成形加工法としては HIP、CIP 等により
成形した後、熱間押出加工を施し、また押出加工の前後
に圧延および/または鍛造を導入しても良い。本発明の
場合、押出比で表す加工度が比較的小さくても高剛性材
料が得られ、例えば押出比3〜10であってもよい。一般
にはこの押出比は10以上である。
【0054】このようにして得られた素材を熱処理する
ことにより<111>集合組織の著しく発達した高剛性
材料が得られる。このときの熱処理温度は方向性2次再
結晶処理のために行うのであって、したがって、1000〜
1450℃に0.5 〜2時間加熱処理すれば十分である。次
に、実施例によって本発明の作用をさらに具体的に詳述
する。
ことにより<111>集合組織の著しく発達した高剛性
材料が得られる。このときの熱処理温度は方向性2次再
結晶処理のために行うのであって、したがって、1000〜
1450℃に0.5 〜2時間加熱処理すれば十分である。次
に、実施例によって本発明の作用をさらに具体的に詳述
する。
【0055】
(1) 窒化物を微細分散させる場合 Fe−4Al系フェライト鋼をベースとして、Ti、Zr、Mg、
Y等の元素を所定量添加したものと、Fe−3Si系フェラ
イト鋼をベースとして、Ti、Al、V、Y等の元素を所定
量添加したものとをN2雰囲気またはAr雰囲気で溶解し
た。この溶鋼をN2、NH3 、N2+H2、N2+Ar、NH3 +Ar、
液体窒素をそれぞれアトマイズ媒体としてアトマイズ処
理し、粉末を作成した。
Y等の元素を所定量添加したものと、Fe−3Si系フェラ
イト鋼をベースとして、Ti、Al、V、Y等の元素を所定
量添加したものとをN2雰囲気またはAr雰囲気で溶解し
た。この溶鋼をN2、NH3 、N2+H2、N2+Ar、NH3 +Ar、
液体窒素をそれぞれアトマイズ媒体としてアトマイズ処
理し、粉末を作成した。
【0056】この粉末を用いて1100℃に1時間予備加熱
後、1050℃で熱間押出により強加工(押出比10) 成形
し、次いで1250℃で1時間2次再結晶熱処理して材料を
得た。
後、1050℃で熱間押出により強加工(押出比10) 成形
し、次いで1250℃で1時間2次再結晶熱処理して材料を
得た。
【0057】このようにして得られた材料について、生
成した窒化物粒子を分析電子顕微鏡により平均粒子径と
粒子種を同定し、また、縦共振法によりヤング率を測定
した。これらの結果を比較例とともに表1にまとめて示
す。
成した窒化物粒子を分析電子顕微鏡により平均粒子径と
粒子種を同定し、また、縦共振法によりヤング率を測定
した。これらの結果を比較例とともに表1にまとめて示
す。
【0058】表1に示す結果から明らかなように、アト
マイズ処理時だけに窒素をアトマイズ媒体として供給さ
せる方法 (実施例13、27) も、アトマイズ処理する溶鋼
に予め窒素を含有させるだけの方法 (実施例12、14、2
6、28) も、窒化物の微細析出分散に有効である。ま
た、溶解雰囲気やアトマイズ媒体に用いるガス等は、
N2、N2+H2、NH3 、液体窒素の何れも有効であり、また
これらのガスと不活性ガスの混合体でも良いことがわか
る。
マイズ処理時だけに窒素をアトマイズ媒体として供給さ
せる方法 (実施例13、27) も、アトマイズ処理する溶鋼
に予め窒素を含有させるだけの方法 (実施例12、14、2
6、28) も、窒化物の微細析出分散に有効である。ま
た、溶解雰囲気やアトマイズ媒体に用いるガス等は、
N2、N2+H2、NH3 、液体窒素の何れも有効であり、また
これらのガスと不活性ガスの混合体でも良いことがわか
る。
【0059】溶鋼中に含まれる元素は、Fe−4Al系の場
合、Alより窒化しやすいTi、Zr、Mg、Al、Y等の元素が
有効であり、Fe−3Si系の場合、Siより窒化しやすいT
i、Al、V、Si、Y等の元素が有効であることも明らか
である。
合、Alより窒化しやすいTi、Zr、Mg、Al、Y等の元素が
有効であり、Fe−3Si系の場合、Siより窒化しやすいT
i、Al、V、Si、Y等の元素が有効であることも明らか
である。
【0060】
【表1】
【0061】(2) 酸化物を微細分散させる場合 Fe−4Al系フェライト鋼をベースとしてTi、Zr、Mg、Y
等を所定量添加したものと、Fe−3Si系フェライト鋼を
ベースとしてTi、Al、Zr、Y等の元素を所定量添加した
ものとを、Ar+H2O 雰囲気 (露点20℃) またはAr雰囲気
で溶解した。この溶鋼を空気、O2+Ar(PO2=0.05atm)、
水、Ar、N2を媒体としてアトマイズ処理し、1100℃、1
hr水素中で還元熱処理を行い粉末を作成した。
等を所定量添加したものと、Fe−3Si系フェライト鋼を
ベースとしてTi、Al、Zr、Y等の元素を所定量添加した
ものとを、Ar+H2O 雰囲気 (露点20℃) またはAr雰囲気
で溶解した。この溶鋼を空気、O2+Ar(PO2=0.05atm)、
水、Ar、N2を媒体としてアトマイズ処理し、1100℃、1
hr水素中で還元熱処理を行い粉末を作成した。
【0062】この粉末を用いて1100℃に1時間予備加熱
後、1050℃で熱間押出により強加工(押出比10) 成形
し、次いで1250℃で1時間2次再結晶熱処理して材料を
得た。このようにして得られた材料について、生成した
酸化物粒子を分析電子顕微鏡により平均粒子径と粒子種
を同定し、また、縦共振法によりヤング率を測定した。
後、1050℃で熱間押出により強加工(押出比10) 成形
し、次いで1250℃で1時間2次再結晶熱処理して材料を
得た。このようにして得られた材料について、生成した
酸化物粒子を分析電子顕微鏡により平均粒子径と粒子種
を同定し、また、縦共振法によりヤング率を測定した。
【0063】これらの結果を比較例とともに表2にまと
めて示す。表2に示す結果からも分かるように、アトマ
イズ処理時に酸素をアトマイズ媒体から供給させる方法
も、アトマイズ処理する溶鋼に酸素を含有させる方法も
酸化物の微細析出分散に有効である。
めて示す。表2に示す結果からも分かるように、アトマ
イズ処理時に酸素をアトマイズ媒体から供給させる方法
も、アトマイズ処理する溶鋼に酸素を含有させる方法も
酸化物の微細析出分散に有効である。
【0064】溶鋼中に含まれる元素は、Fe−4Al系の場
合、Alより酸化しやすいTi、Zr、Mg、Y等の元素が有効
であり、Fe−3Si系の場合、Siより酸化しやすいTi、A
l、Zr、Si、Y等の元素が有効であることも明らかであ
る。
合、Alより酸化しやすいTi、Zr、Mg、Y等の元素が有効
であり、Fe−3Si系の場合、Siより酸化しやすいTi、A
l、Zr、Si、Y等の元素が有効であることも明らかであ
る。
【0065】
【表2】
【0066】
【発明の効果】本発明により、大幅な加工歪付与が可能
となり<111>集積度の著しい向上が図られた。その
結果、ヤング率25,000kgf/mm2 以上の高剛性材料の製造
が可能となり、各種バネ材、各種シャフト材、振動吸収
を必要とする自動車をはじめとする各種構造部品への適
用が可能となる。
となり<111>集積度の著しい向上が図られた。その
結果、ヤング率25,000kgf/mm2 以上の高剛性材料の製造
が可能となり、各種バネ材、各種シャフト材、振動吸収
を必要とする自動車をはじめとする各種構造部品への適
用が可能となる。
Claims (2)
- 【請求項1】 Fe−Al系フェライト鋼組成の溶鋼を急冷
凝固して粉末化し、次いで少なくとも押出比3以上の押
出加工を含む成形加工を施した後、2次再結晶熱処理を
行う方法であって、急冷凝固に際して下記(1) 、(2) お
よび(3) の少なくとも1の手段でもって粒子を微細に分
散させることを特徴とする高剛性材料の製造方法。 (1) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素および/
または易酸化性元素またはAlを含み、該溶鋼が過飽和に
窒素および/または酸素を溶解したのち急冷凝固処理を
行うこと。 (2) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素またはAl
を含み、該溶鋼が窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。 (3) 前記溶鋼が少なくとも1種の易酸化性元素またはAl
を含み、該溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。 - 【請求項2】 Fe−Si系フェライト鋼組成の溶鋼を急冷
凝固して粉末化し、次いで少なくとも押出比3以上の押
出加工を含む成形加工を施した後、2次再結晶熱処理を
行う方法であって、急冷凝固に際して下記(1) 、(2) お
よび(3) の少なくとも1の手段でもって粒子を微細に分
散させることを特徴とする高剛性材料の製造方法。 (1) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素および/
または易酸化性元素またはSiを含み、該溶鋼に過飽和に
窒素および/または酸素を溶解したのち急冷凝固処理を
行うこと。 (2) 前記溶鋼が少なくとも1種の易窒化性元素またはSi
を含み、該溶鋼を窒化性媒体の存在下で急冷凝固処理を
行うこと。 (3) 前記溶鋼が少なくとも1種の易酸化性元素またはSi
を含み、該溶鋼を酸化性媒体の存在下で急冷凝固を行う
こと。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25083494A JPH08120395A (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 高剛性材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25083494A JPH08120395A (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 高剛性材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08120395A true JPH08120395A (ja) | 1996-05-14 |
Family
ID=17213717
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25083494A Withdrawn JPH08120395A (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 高剛性材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08120395A (ja) |
-
1994
- 1994-10-17 JP JP25083494A patent/JPH08120395A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020115 |