JPH0790468A - 高剛性材料の製造方法 - Google Patents

高剛性材料の製造方法

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JPH0790468A
JPH0790468A JP22732893A JP22732893A JPH0790468A JP H0790468 A JPH0790468 A JP H0790468A JP 22732893 A JP22732893 A JP 22732893A JP 22732893 A JP22732893 A JP 22732893A JP H0790468 A JPH0790468 A JP H0790468A
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heat treatment
powder
atmosphere
easy
particles
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JP22732893A
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Kazutaka Asabe
和孝 阿佐部
Sukeyoshi Yamamoto
祐義 山本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微細粒子の分散による加工歪の導入、集合組
織の形成により、ヤング率が25000 kgf/mm2 超の高剛性
材料により安価な製造方法を提供する。 【構成】 Fe−Cr系フェライト鋼組成の粉末に、下記
(i)〜(iii) の少なくとも1の反応熱処理を行い、次い
で押出比3以上の押出加工を含む成形加工を施してから
2次再結晶熱処理を行なう。 (i) 少なくとも1種の易酸化性元素またはCrを含む前記
粉末に酸化性雰囲気で熱処理を行うこと。 (ii)少なくとも1種の易窒化性元素またはCrを含む前記
粉末に窒化性雰囲気で熱処理を行うこと。 (iii) 少なくとも1種の易炭化性元素またはCrを含む前
記粉末に炭化性雰囲気で熱処理を行うこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合材料、特に、自動
車、航空機、ロケット、産業用機械、ロボットなどの技
術分野において優れた剛性を必要とする構造部材として
利用される高剛性複合材料 (以下単に高剛性材料とい
う) の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高剛性材料が求められている背景
には、例えば自動車用材料では、燃費向上を目的とする
軽量小型化材料や、乗り心地の向上を目的とする制振材
料へのニーズが高まっていることが挙げられる。軽量化
のために高剛性材料を用いれば、高剛性材料によって外
力によるたわみ等の歪量が低減でき、その分だけ、部品
形状を小型化できるという利点がある。
【0003】一方、制振材料として高剛性材料を用いる
ことによっても、少量の材料を使用するだけで材料の歪
から生じる振動を低減することが可能となる。したがっ
て、これからも明らかなように、自動車用の部品だけで
なくあらゆる構造部材において、小さな形状で大きな歪
量を吸収することの可能な高剛性材料に期待が集まって
いる。
【0004】そのような材料を開発する手法としては従
来、Feに対する合金元素添加や合金マトリックス中への
セラミックスの粒子分散複合化による、または圧延によ
る集合組織形成による剛性向上が試みられてきた。
【0005】ところが合金元素添加においては、Fe基合
金の場合、最も向上率の大きいRe元素の添加によっても
高々21,000〜22,000kgf/mm2 程度のヤング率向上しか得
られなかった。また、合金マトリックス中へセラミック
ス粒子を分散させる場合、セラミックス粒子の配合率を
高めることにより十分な剛性向上が得られるが、一方、
靱性、強度の低下はまぬがれず、集合組織を形成する圧
延法によっても実用材料として高々24,000kgf/mm2 しか
得られない。
【0006】一方、鉄鋼材料では加工熱処理によりヤン
グ率の高い結晶方位を特定の方向に揃えること、つまり
集積化することにより実現する高剛性化の手法が取り入
れられている。すなわち、体心立方格子を有するフェラ
イト系鋼の{111}面の集積化を狙った材料設計、プ
ロセス設計である。特開昭56−23223 号公報や特開昭59
−83721 号公報参照。
【0007】しかしながら、上述の公報に示されている
ように、従来は、5〜10%以上の加工率の冷間圧延を施
した後に、720 〜900 ℃以下の温度で焼戻し、あるいは
巻取り等の熱処理をすることで、一定方向に結晶方位を
集積させても、ヤング率は高々23,000〜24,000kgf/mm2
程度に過ぎなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、さらな
る高剛性材料を開発すべく種々検討を重ねたところ、従
来法において、加工熱処理法によっても僅かなヤング率
の向上しか得られない原因は、フェライト系鋼における
{111}面の集積度が等方性多結晶体に比べ高々15〜
20倍と少ないためであり、これは加工工程で導入される
加工歪およびその集積が少ないためであることを知っ
た。
【0009】そこで、高加工歪付与の可能な方法を見い
出すため種々検討を重ねた結果、金属マトリックス中に
粒子を微細に分散させた材料に強加工を加えると大量の
格子歪が導入蓄積されるが、分散粒子は転位のピン止め
効果を持つため、熱間加工後の余熱では導入された格子
歪は解放されずに残留する。この格子歪エネルギーは加
工後の熱処理時に<111>集合組織を形成するための
再結晶駆動力となる。また、この再結晶熱処理時には微
細分散粒子は、粒界移動をピン止めする効果を持ち、し
たがって再結晶温度を高温化する作用がある。そしてそ
のような再結晶温度の高い材料においては加熱昇温時に
ある温度において急激に再結晶を開始する結果、再結晶
粒が方向性を持ち、X線強度でみて等軸材に比べ30倍以
上という著しい<111>集合組織を形成する。
【0010】このような粒子微細分散は、強加工時の歪
の蓄積と、熱処理時の方向性2次再結晶に対する寄与を
通じて29,000kgf/mm2 という高ヤング率が得られること
を知り、すでに特願平4−58271 号として特許出願を行
った。すなわち、その知見によれば、成形加工時に微細
分散粒子が転位のピン止め効果を発揮し、材料に大量の
格子歪を蓄積させ、その後の集合組織形成に大きく寄与
するのである。
【0011】この特願平4−58271 号に開示した発明に
かかる高剛性材料における粒子微細分散の手法として
は、原料となる金属粉末あるいは合金粉末中にセラミッ
クス粒子を添加し主に機械的合金化処理 (メカニカルア
ロイング、以下同じ) により微細分散状態を得るという
方法を用いている。
【0012】しかし、その後の研究開発の結果、この手
法においては、添加するセラミックス粒子の粒度が例え
ば0.10μmと粗い場合、成形加工における加工度が小さ
いと十分な格子歪が導入蓄積されず、その後の集合組織
形成が十分に行えず、高剛性が得られないという場合が
あることが判明した。
【0013】すなわち、この方法においては、加工度を
低くした場合、添加するセラミックス粒子は低い加工度
でも成形加工時に十分な歪を導入できる程度に、例えば
0.05μm以下と微細である必要がある。ここで加工度を
低くしたい場合とは、例えば押出比を低くおさえて大径
の棒材を得たい場合などである。
【0014】しかしながら、そのように十分に微細とす
るには、メカニカルアロイングを長時間行う等の更なる
微細化を行わなければならず、製造効率の低下等の問題
が生じるなど、実用上の有効な解決策とはなっていな
い。
【0015】ここに、本発明の目的は、微細粒子の分散
による加工歪の導入、集合組織の形成による高剛性材料
の製造法において、より効果的な分散粒子の微細化技術
を開発することである。より具体的には本発明の目的
は、ヤング率が25,000kgf/mm2 超の高剛性材料のより安
価な製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者らは、
上記目的達成のため種々検討を重ねた結果、粉末中元素
の雰囲気ガスとの酸化反応、窒化反応、炭化反応により
酸化物、窒化物、炭化物を生成させ、これを前述の微細
分散粒子として利用することで微細な分散状態が得られ
ることを知り、本発明を完成した。
【0017】すなわち、本発明は、Fe−Cr系フェライト
鋼組成の粉末を少なくとも押出比3以上の押出加工を含
む成形加工を施した後、2次再結晶熱処理を行う方法で
あって、前記成形加工に先立って反応熱処理を行い、該
反応熱処理に際して下記(i)、(ii)および(iii) の少な
くとも1の手段でもって粒子を微細に分散させることを
特徴とする高剛性材料の製造方法である。
【0018】(i) 前記粉末が少なくとも1種の易酸化性
元素またはCrを含み、該粉末に酸化性雰囲気で熱処理を
行うこと。 (ii)前記粉末が少なくとも1種の易窒化性元素またはCr
を含み、該粉末に窒化性雰囲気で熱処理を行うこと。 (iii) 前記粉末が少なくとも1種の易炭化性元素または
Crを含み、該粉末に炭化性雰囲気で熱処理を行うこと。
【0019】ここに、上記「Fe−Cr系フェライト鋼」と
は、100 体積%フェライト相の場合ばかりでなく、例え
ば5体積%程度までのオーステナイト相が存在するステ
ンレス鋼も包含される。少なくとも95体積%のフェライ
ト相が存在しておれば、高剛性化には十分である。ま
た、易酸化性元素、易窒化性元素、易炭化性元素とは、
FeやCrと比較してより容易に酸化、窒化、あるいは炭化
する傾向を有する元素を意味する。
【0020】具体的には、易酸化性元素としては、例え
ばAl、Ti、Mn、Y、Zr、Nb、Mg、Be、Hf、V、Thおよび
希土類元素が含まれる。易窒化性元素としては、例えば
Zr、Ti、Al、B、Mg、Nb、Si、V、Ta、Yおよび希土類
元素が含まれる。易炭化性元素としては、例えばZr、T
i、Ta、Al、V、Nb、Yおよび希土類元素が含まれる。
【0021】これらの易酸化性元素、易窒化性元素、易
炭化性元素は、反応熱処理の過程において、雰囲気ガス
中の酸素、窒素、炭素とそれぞれ反応し、酸化物、窒化
物、炭化物が微細析出し、粒子径が5〜50nm程度の微細
な酸化物、窒化物、炭化物の分散状態を形成するものと
考えられる。
【0022】例えば粉末中にTiが含まれる場合、窒化反
応熱処理によって生成したTiN の平均粒子径は10nm程度
であり、メカニカルアロイングによりTiN 粒子 (平均粒
径60nm) を添加した場合に比べ、非常に微細かつ良好な
分散状態が得られる。
【0023】ここに、上記反応熱処理の作用としては、
雰囲気ガス中の酸素、窒素、炭素と反応させて酸化物粒
子、窒化物粒子、炭化物粒子を生成させ、微細分散粒子
として析出させることであり、その限りにおいて制限さ
れない。
【0024】ここに、本発明の一つの態様によれば、出
発原料として上述の易酸化性元素、易窒化性元素および
易炭化性元素を含有したFe−Cr系フェライト鋼組成の粉
末(単一合金粉末であても粉末混合物であってもよい)
を用いるのである。この場合、微細分散するのは、反応
熱処理時の雰囲気に応じて易酸化性、易窒化性、易炭化
性元素の酸化物粒子、窒化物粒子、炭化物粒子である。
【0025】また、本発明の別の態様によれば、上述の
易酸化性元素、易窒化性元素、易炭化性元素を含まない
Fe−Cr系フェライト鋼合金組成の粉末を用いてもよい。
この場合、微細分散するのは、反応熱処理時の雰囲気に
応じてCr酸化物粒子、Cr窒化物粒子、Cr炭化物粒子であ
る。
【0026】
【作用】次に、本発明におけるフェライト系合金鋼マト
リックス中に粒子を微細分散させることの材料の高剛性
化に対する作用、効果は、次のごとく説明される。
【0027】すなわち、金属マトリックス中に粒子を微
細に分散させた材料に強加工を加えると大量の格子歪が
導入蓄積されるが、分散粒子は転位のピン止め効果を持
つため、熱間加工後の余熱では導入された格子歪は解放
されずに残留する。この格子歪エネルギーは加工後の熱
処理時に<111>集合組織を形成するための再結晶駆
動力となる。また、この再結晶熱処理時には微細分散粒
子は、粒界移動をピン止めする効果を持ち、したがって
再結晶温度を高温化する作用がある。そしてそのような
再結晶温度の高い材料においては加熱昇温時にある温度
において急激に再結晶を開始する結果、再結晶が方向性
を持ち、X線強度でみて等方性多結晶体に比べ30倍以上
という著しい<111>集合組織を形成する。
【0028】このように粒子微細分散は、強加工時の歪
の蓄積と、熱処理時の方向性2次再結晶に対する寄与を
通じて材料を高剛性化する作用を持つ。ここで分散粒子
が転位や粒界のピン止め効果を発揮するためには、微細
な分散により粒子間距離がより小さい分散状態を形成す
る必要があり、別の面からは本発明はそのための手段を
提供するのである。
【0029】本発明において酸化物、窒化物、炭化物分
散の手法として反応熱処理を利用した理由は、この手法
を用いた場合の方が、従来法のように酸化物、窒化物、
炭化物粒子をメカニカルアロイングの原料として添加し
た場合に比較して、より微細な分散状態が得られるから
である。すなわち、前者の場合、反応熱処理中に金属マ
トリックス中に酸化物、窒化物、炭化物が多数核発生す
ることによって微細分散状態が得られるのに対し、メカ
ニカルアロイングでは添加した粒子の粒子径が維持され
るために添加粒子の粒子径よりも微細な分散状態を得る
ことは困難であるからである。この理由から、前者の方
法は後者に比べ優れているといえる。
【0030】本発明において酸化物、窒化物、炭化物生
成のための合金元素を易酸化性元素、易窒化性元素、易
炭化性元素またはCrに限定したのは、それらの元素がフ
ェライト系鋼を構成する主要元素であるFeの酸化物、窒
化物、炭化物よりも、あるいは、易酸化性元素、易窒化
性元素、易炭化性元素の場合にはFe、Crの酸化物、窒化
物、炭化物より安定な酸化物、窒化物、炭化物を生成し
やすく、従ってその添加量、熱処理雰囲気・温度・時間
を制御すれば微細な酸化物、窒化物、炭化物の分散状態
が得られるからである。
【0031】すなわち、高剛性を得るための<111>
再結晶集合組織を得るために好ましい酸化物、窒化物、
炭化物の微細分散状態を形成させるには、酸化物、窒化
物、炭化物生成のための反応物質はFe、Crよりも酸化
物、窒化物、炭化物を生成し易い性質を持つ必要があ
り、それを前提として添加量、熱処理雰囲気・温度・時
間制御による分散状態制御が可能となる。
【0032】もちろん、易酸化性、易窒化性、易炭化性
元素を含まないFe−Cr系フェライト鋼を利用する場合に
はCrの酸化物、窒化物、炭化物を生成させ、それによる
微細分散を利用しても良い。
【0033】酸化物生成のための易酸化性元素としては
すでに述べたように、Al、Ti、Mn、Y、Zr、Nb、Mg、B
e、Hf、V、Th、希土類元素などのうち1種または2種
以上を用いることが望ましい。これらの添加元素の酸化
を行うことによりそれぞれの酸化物が生成するが、その
ような酸化物としては、Al2O3 、Y2O3、TiO2、ZrO2、Nb
O 、MnO 、MgO 、SiO2などのうち1種または2種以上の
酸化物または複合酸化物であることが望ましい。複合酸
化物としては例えばYxAlyO 、TixY yO 、AlxTiyO が有
効である。
【0034】窒化物生成のための易窒化性元素としては
すでに述べたように、Zr、Ti、Al、B、Mg、Nb、Si、
V、Ta、Y、希土類元素などのうち1種または2種以上
を用いることが望ましい。これらの添加元素の窒化を行
なうことによりそれぞれの窒化物が生成するが、そのよ
うな窒化物としては、ZrN 、TiN 、AlN 、BN、Mg32
NbN 、Si3N4 、VN、TaN 、YNなどのうち1種または2種
以上の窒化物または複合窒化物であることが望ましい。
【0035】炭化物生成のための易炭化性元素としては
すでに述べたように、Zr、Ti、Ta、Al、V、Nb、Y、希
土類元素などのうち1種または2種以上を用いることが
望ましい。これらの添加元素の炭化を行なうことにより
それぞれの炭化物が生成するが、そのような炭化物とし
ては、ZrC 、TiC 、TaC 、Al4C3 、VC、NbC 、Y2C3など
のうち1種または2種以上の炭化物または複合炭化物で
あることが望ましい。
【0036】さらには、これらの酸化物、窒化物、炭化
物は、それらの複合、混合物であってもよく、さらには
ホウ化物等との複合、混合物であっても良い。これらの
易酸化性元素、易窒化性元素、易炭化性元素の配合量に
ついては特に制限されず、目的に応じて適宜設定できる
が、好ましくは、金属元素としては1.0 〜5.0 %であ
る。
【0037】酸化物、窒化物、炭化物の反応生成は、雰
囲気ガスと粉末の表面との反応と言える。反応状態は反
応時間と粉末粒度により制御されるが特に原料粉末粒度
に制限はないが、短時間処理により均一な粒子分散が達
成され易いことから、望ましくは1000ミクロン以下、さ
らに250 ミクロン以下がより望ましい。
【0038】もちろん原料粉末の製造方法に制限はな
く、インゴットからの粉砕粉末、アトマイズ粉末、PREP
(Plasma Rotating Electrode Process)粉末等が使用さ
れる。このような粉末を用いて雰囲気ガスからの酸化、
窒化、炭化により粉末粒子表面および内部に微細な粒子
を分散させる。
【0039】具体的には、酸化物の場合、雰囲気ガス中
の酸素分圧 (PO2 ) 、H2/ H2O 、CO/ CO2 により制御さ
れるが、PO2 制御は非常に困難である。例えば、酸化を
800〜1100℃で行なおうとすると、Fe、Crを酸化させず
にTi、Al等の易酸化性元素だけを酸化させるためには、
10- 20気圧以下の酸素分圧に制御する必要があり困難で
ある。
【0040】一方、H2/ H2O による制御は比較的容易で
ある。このH2/ H2O の制御は、水素ガス雰囲気の露点に
より管理され、Feを酸化させないでCrおよびTi、Al等の
易酸化性元素を酸化させるためには、露点40℃以下程度
で十分であり、また、Fe、Crを酸化させずにTi、Al等の
易酸化性元素だけを酸化させるためには、−30℃〜−70
℃程度と一般の水素ガスをそのまま用いればよい。また
CO/ CO2 の場合もその比が1/ 3〜104 / 1程度の制御
で十分である。
【0041】これらの反応温度、時間に特に制限はない
が、極端に粉末同士が焼結固化しない程度、つまり800
℃〜1100℃、15分〜100 分程度が好ましい。窒化物生成
反応の雰囲気は、N2 ガス、アンモニアガス、N2 +H
2 ガス等の窒素を含むガスであれば特に制限はないが、
酸化反応と比べ、高温で反応させると制御が困難なた
め、500 ℃〜800 ℃程度の低温で2時間〜10時間という
長時間処理が望ましい。
【0042】炭化物生成反応の雰囲気は、Cを含むガ
ス、例えば、CO+ CO2ガス(CO + CO2雰囲気の場合は、
酸化物が生成し、次いで炭化物が生成し、混合物として
生成)、アルコール添加雰囲気ガス、メタンガス、RXガ
ス等が有効である。最も制御の容易な方法は、RXガスを
用いたカーボンポテンシャル (CP) によるものである。
一般に鉄鋼材料の浸炭制御に用いられるCPよりも若干低
めの0.2 〜0.5 程度で800 ℃〜1100℃、10分〜60分程度
の短時間処理が好ましい。
【0043】さらに、酸化物生成の場合においては、所
望以上の酸化 (表面酸化等) が進行していることが多い
ので還元処理を実施することが望ましい。また、これら
の反応は粒子表面と雰囲気ガスとの反応であるため、流
動層、30mm以下の積層状態で反応させることが望まし
い。
【0044】次いで、本発明による酸化物、窒化物、炭
化物の微細分散した単一合金粉末または粉末混合物を押
出成形、例えば熱間押出を含む成形加工を行なうことに
より、格子歪の蓄積した状態の素材が得られる。この時
の成形加工法としはHIP 、CIP 等により成形した後、熱
間押出加工を施し、その前後に圧延および/ または鍛造
で強加工して格子歪を導入しても良い。本発明者の場
合、押出比で表す加工度が比較的小さくても高剛性材料
が得られ、例えば押出比3〜10であってもよい。一般
的にはこの押出比は10以上である。
【0045】このようにして得られた素材を熱処理する
ことにより<111 >集合組織の著しく発達した高剛性材
料が得られる。このときの熱処理温度は方向性2次再結
晶処理のために行なうのであって、したがって、1000〜
1450℃に0.5 〜2時間加熱処理すれば十分である。次
に、実施例によって本発明の作用をさらに具体的に詳述
する。
【0046】
【実施例】以下実施例により本発明の作用効果を具体的
に示す。 (1) 酸化物を微細分散させる場合 Fe−14Cr系フェライト鋼をベースとしてTi、Zr、Al、Y
等の元素を所定量添加したArアトマイズ粉末 (250 μm
以下) を用いて、H2 ガス (露点20℃、−70℃) 、CO/
CO2(105 ) で900 ℃、30分酸化熱処理した。露点20℃の
2 ガスで酸化物した粉末については、さらに−70℃の
露点のH2ガスを用いて、1000℃60分還元熱処理を行なっ
た。
【0047】この粉末を用いて1050℃に加熱後、熱間押
出により押出比10にて強加工成形した。次いで1250℃で
1時間2次再結晶熱処理して材料を得た。このようにし
て得られた材料について、生成した酸化物粒子を分析電
子顕微鏡により平均粒子径と粒子種を同定し、また、縦
共振法によりヤング率を測定した。
【0048】これらの結果を比較例とともに表1にまと
めて示す。粉末中に含まれる元素は、Ti、Zr、Al、Cr、
Y等のCrより酸化しやすい元素が有効であることも明ら
かである。
【0049】
【表1】
【0050】(2) 窒化物を微細分散させる場合 Fe−14Cr系フェライト鋼をベースとしてTi、Nb、Al、Y
等の元素を所定量添加したインゴット/ 粉砕粉末 (−50
0 μm 以下) を用いて、NH3 、N2+H2、NH3 +Ar雰囲気
で600 ℃7時間反応熱処理を行なった。この粉末を用い
て1050℃に加熱後、熱間押出により押出比10にて強加工
成形した。次いで1250℃で1時間2次再結晶熱処理して
材料を得た。
【0051】このようにして得られた材料について、生
成した窒化物粒子を分析電子顕微鏡により平均粒子径と
粒子種を同定し、また、縦共振法によりヤング率を測定
した。これらの結果を比較例とともに表2にまとめて示
す。N2+H2、NH3 、いずれも有効であり、またこれらの
ガスと不活性ガスの混合体でも良いことがわかる。
【0052】粉末中に含まれる元素は、Ti、Nb、Al、C
r、Y等のCrより窒化しやすい元素が有効であることも
明らかである。
【0053】
【表2】
【0054】(3) 炭化物を微細分散させる場合 Fe−14Cr系フェライト鋼をベースとしてTi、Zr、Nb、V
等の元素を所定量添加したArアトマイズ粉末 (250 μm
以下) を用いて、RXガス (CP=0.2 、0.4 、0.5)、Ar+
CH4 、Ar+CH3OH で950 ℃、30分浸炭熱処理した。この
粉末を用いて1050℃に加熱後、熱間押出により押出比10
にて強加工成形した。次いで1250℃で1時間2次再結晶
熱処理して材料を得た。
【0055】このようにして得られた材料について、生
成した炭化物粒子を分析電子顕微鏡により平均粒子径と
粒子種を同定し、また、縦共振法によりヤング率を測定
した。これらの結果を比較例とともに表3にまとめて示
す。粉末中に含まれる元素は、Ti、Zr、Nb、Cr、V等の
Feより炭化しやすい元素が有効であることも明らかであ
る。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】本発明により、大幅な加工歪付与が可能
となり<111 >集積度の著しい向上が図られた。その結
果、ヤング率25000 kgf/mm2 以上の高剛性材料の製造が
可能となり、各種バネ材、各種シャフト材、振動吸収を
必要とする自動車をはじめとする各種構造部品への適用
が可能となった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe−Cr系フェライト鋼組成の粉末を少な
    くとも押出比3以上の押出加工を含む成形加工を施した
    後、2次再結晶熱処理を行う方法であって、前記成形加
    工に先立って反応熱処理を行い、該反応熱処理に際して
    下記(i) 、(ii)および(iii) の少なくとも1の手段でも
    って粒子を微細に分散させることを特徴とする高剛性材
    料の製造方法。 (i) 前記粉末が少なくとも1種の易酸化性元素またはCr
    を含み、該粉末に酸化性雰囲気で熱処理を行うこと。 (ii)前記粉末が少なくとも1種の易窒化性元素またはCr
    を含み、該粉末に窒化性雰囲気で熱処理を行うこと。 (iii) 前記粉末が少なくとも1種の易炭化性元素または
    Crを含み、該粉末に炭化性雰囲気で熱処理を行うこと。
JP22732893A 1993-09-03 1993-09-13 高剛性材料の製造方法 Withdrawn JPH0790468A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2004074170A1 (ja) * 2003-02-20 2006-06-01 富士通株式会社 複合材、構造体およびその製造方法、多結晶構造膜並びに微小粒子の製造方法
RU2756600C1 (ru) * 2020-11-25 2021-10-04 Общество с ограниченной ответственностью "Вириал" (ООО "Вириал") Заготовка твердосплавной пластины из порошковой карбидостали и способ ее термообработки

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