JPH08120317A - 転炉精錬方法 - Google Patents

転炉精錬方法

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JPH08120317A
JPH08120317A JP25992994A JP25992994A JPH08120317A JP H08120317 A JPH08120317 A JP H08120317A JP 25992994 A JP25992994 A JP 25992994A JP 25992994 A JP25992994 A JP 25992994A JP H08120317 A JPH08120317 A JP H08120317A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水素濃度の増加抑制が可能な上底吹転炉精錬方
法の提供。 【構成】上底吹転炉の吹錬末期で炭化水素ガスを底吹き
し、このガスから分解生成するH2ガスでCO分圧を低減し
て脱炭する際、炭化水素ガス流量を減少させ、それによ
り減少するH2ガス流量と同等量の不活性ガスを加えて炭
化水素ガスと同時に吹込むことにより、溶鉄中水素濃度
の増加を抑制する転炉精錬方法。この方法では、H2ガス
と不活性ガスとの総流量を溶鉄トン当たり 0.3Nm3/mi
n 以上、かつH2ガス流量を0.3 Nm3/min 以下とするの
がよい。 【効果】底吹き炭化水素ガスから発生するH2ガスによる
溶鉄撹拌、CO分圧低減、有価金属の高歩留、効率良い脱
炭反応の促進の効果を確保しながら、H2ガスの溶解によ
る水素濃度上昇の抑制を達成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素ガスの吹き込
みで発生する水素ガスによりCO分圧を低減して吹錬す
る際に、有価金属の高い歩留を得つつ、効率良く脱炭を
進行させ、かつ、溶鉄中水素濃度の増加を抑制しながら
鋼を溶製する転炉精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、転炉精錬法で炭素鋼を溶製する際
に採用されている主流の方法は、上底吹き転炉を用い
て、炉底羽口からAr、N2 、CO2 、O2 等を主体と
するガスを溶銑または溶鋼(以下、単に溶鉄という)1
トン当たり0.3 Nm3/min 未満の流量で吹き込んで溶鉄
を撹拌しながら、上吹きランスから溶鉄に酸素を吹き付
けるものである。
【0003】炭素鋼の転炉精錬において、スラグ中鉄分
および溶鉄中酸素量のできるだけ少ない状態で脱炭反応
を促進させることが、鉄分歩留向上、脱酸剤の節減、炉
体溶損の低減などの観点から望まれている。しかも、最
近では薄板材の低炭素化傾向が一層著しくなるなど、転
炉精錬での更なる脱炭促進方法が望まれている。
【0004】脱炭効率を向上させる方法として、吹錬中
にArガスまたは水蒸気等を吹き込み、炉内CO分圧を
低減することが考えられる。これらは、主としてステン
レス鋼や高マンガン鋼の脱炭精錬時に一般的に用いられ
ている方法であり、AOD法およびCLU法がこれらに
相当する。AOD法は炉底付近の炉壁に設置した複数の
羽口からArとO2 との混合ガスを吹き込み、Arガス
により、一方、CLU法は転炉炉底羽口から水蒸気を吹
き込み、生成するH2 ガスにより、それぞれ炉内CO分
圧を低減させて脱炭を進める方法である。
【0005】しかしながら、AOD法等を炭素鋼に適用
した場合、Arガスの大量使用がコスト面で実用には向
かないという問題がある。また、未脱りんの高炉銑を吹
錬する場合、脱りん反応を促進するためにArガス流量
を溶鉄トン当たり0.2 Nm3/min 以下程度まで低減する
必要があるが、Arガス流量が少なすぎる場合には、C
O分圧低減効果が小さくなるばかりではなく、羽口詰ま
りが発生しがちとなる等、操業上の問題も生じる。
【0006】特開昭56 20112 号公報には、吹錬末期に
炭化水素系ノズル冷却剤の吹き込みを停止して、主とし
て不活性ガスに吹き込みに切換える低水素鋼の上底吹き
転炉溶製方法が示されている。これはいわゆるリンス処
理による水素低減法の範疇に入るものである。
【0007】特開昭60 145309号公報には、精錬用ガス
として水素ガス、炭化水素ガスまたはArガスなどを含
む回収ガスを用いる上吹き、または上底吹き転炉精錬方
法が示されている。これは、Mn歩留向上と極低炭素領
域の脱炭効率向上を目的とするものである。
【0008】本出願人は、特開平5−78726号公報
において底吹きガスに炭化水素ガスを用いる上底吹き転
炉精錬方法(以下、低PCO吹錬法と記す)を開示した。
炭化水素ガスは実操業において取扱いも容易であり、コ
スト面で有利である。また、溶鉄中に吹き込まれた炭化
水素ガスは分解により、もとの体積以上の水素ガスを生
成するので溶鉄撹拌を効果的に行うことができると同時
に、CO分圧を低減する効果ももつので効率良く脱炭反
応を進行させることが可能である。その結果、以下の
a)〜c)の精錬効果を達成することが可能となった。
【0009】a)高炉銑の効果的な脱りんおよび脱炭 b)脱りん銑の、スラグ中低鉄分および溶鉄中低酸素下
での脱炭促進 c)高クロム鋼または高マンガン鋼の、クロム低ロスま
たはマンガン低ロス下での脱炭促進
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の低PCO吹錬法で
は、吹錬末期の炭化水素底吹きにより大量の水素ガスが
溶鉄中に発生し、その溶解により溶鉄中水素濃度が上昇
する。
【0011】溶鉄中水素が増加すると水素起因の割れが
発生するなど、鋼の品質上に問題が生じる。また、増加
した溶鉄中水素を除去するために、吹錬終了後にAr等
の不活性ガス底吹きによるリンス処理を行う必要が生じ
るが、その場合には出鋼温度の低下、転炉以降の工程と
の連継への悪影響等、操業上の問題を生じることがあ
る。
【0012】本発明の目的は、低PCO吹錬法の有する有
価金属の高歩留と高効率脱炭の進行という特徴を損なう
ことなく、溶鉄中水素濃度の増加を抑制することができ
る上底吹き転炉精錬方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の(1) およ
び(2) の転炉精錬方法を要旨とする。
【0014】(1)上底吹き転炉精錬の吹錬末期におい
て、溶鉄浴面下の羽口から溶鉄に炭化水素ガスを吹き込
み、このガスから分解生成する水素ガスによりCO分圧
を低減して脱炭精錬する際、炭化水素ガス流量を減少さ
せ、それにより減少する水素ガス流量と同等量の不活性
ガスを加えて、炭化水素ガスと同時に吹き込むことによ
り、溶鉄中水素濃度の増加を抑制する転炉精錬方法。
【0015】(2)炭化水素ガスの分解により生成する水
素ガスと、炭化水素ガスと同時に吹き込む不活性ガスと
の総流量を溶鉄トン当たり0.3 Nm3/min 以上、かつ、
その中の水素ガス流量を溶鉄トン当たり0.3 Nm3/min
以下とする上記(1) の転炉精錬方法。
【0016】上記の「吹錬末期」とは、溶鉄中の炭素濃
度が約1%前後に達したときから、吹錬終了(終点)ま
での期間を意味する。
【0017】本発明者らは、吹錬末期に底吹きする炭化
水素の一部を不活性ガスに置き換えることにより、溶鉄
の撹拌効果および炉内CO分圧低減効果を損なうことな
く、しかも溶鉄中水素の濃度上昇を抑制することが可能
であることを知見した。
【0018】
【作用】低PCO吹錬法における炭化水素底吹き時の上底
吹き転炉における精錬挙動は、次のように説明される。
【0019】炉内CO分圧低減効果を得るための炭化水
素ガスの供給は、溶鉄中炭素濃度が0.5〜1.0 %となっ
た時点で開始され、吹錬終了まで3〜5分間続けられ
る。溶鉄中炭素濃度が0.5 %よりも高い状態では、溶鉄
トン当たり0.2 Nm3/min 程度の底吹きガス撹拌でも、
スラグ中鉄分は5%程度とそれほど高くはないが、溶鉄
中炭素濃度が0.5 %以下の状態では、脱炭反応によるC
Oガス発生量が低下し、下記反応式によりFeOが生成
することにより、スラグ中の鉄分が増大する。
【0020】〔Fe〕+〔O〕=(FeO) このとき炭化水素ガスを底吹きすることにより生じる、
溶鉄トン当たり 0.3〜1.0 Nm3/min の水素ガスが脱炭
を促進する。これは、炭化水素ガスの分解により生成す
る水素ガスにより溶鉄が撹拌され、同時にCO分圧が低
下するという原理に起因する。その結果、次のa)〜
c)の効果が達成される。
【0021】a)スラグ中鉄分の低下 b)溶鉄中酸素の低下 c)終点炭素濃度の低下 しかし、終点すなわち目標の炭素濃度に到達させる目的
のみで、このままのガス吹き込み条件で吹錬を続行する
と、底吹き炭化水素ガスから分解生成した水素ガスが吹
錬時間経過と共に溶鉄中に溶解し始め、溶鉄中の水素濃
度が上昇し始める。
【0022】溶鉄に溶解した水素は、脱炭反応により生
成するCOガス気泡に含有されることにより除去される
が、溶鉄中水素濃度の上昇は、溶鉄中炭素濃度の減少に
伴い脱炭反応により生成するCOガス量が減少し、溶鉄
からの水素除去速度が小さくなり、水素ガスの溶鉄への
溶解速度が上回ることによるものである。吹錬終点にお
いて、溶鉄中に溶解した水素の濃度は5〜12 ppmに及
ぶ。
【0023】溶鉄中水素濃度増加を抑制するためには、
炭化水素ガスの底吹き流量を低減するのがよいが、その
低減により溶鉄撹拌およびCO分圧低減の効果が小さく
なって、前記a)〜c)の効果が損なわれ、脱炭効率や
Mn歩留が低下する。
【0024】溶鉄中の炭素が約1%前後以下となった吹
錬末期において底吹き炭化水素ガス流量を低減し、それ
により減少する水素ガス流量と同等の不活性ガスを底吹
き炭化水素ガスに加えて底吹きで供給すれば、溶鉄撹拌
およびCO分圧低減効果を炭化水素ガスのみの場合と同
等に維持して上記a) 〜c) までの効果を得ながら、し
かも、溶鉄中の水素源を削減することができるため、溶
鉄中水素濃度の上昇を抑制することが可能となる。この
理由で、底吹き炭化水素ガスの一部を不活性ガスに置換
することとし、その不活性ガスの流量は、炭化水素ガス
流量を低減することにより減少する水素ガス流量と同等
量とした。
【0025】不活性ガス種は、水素をほとんど含まない
ものであれば特に制限はない。例えばAr、He、窒素
等のガスである。ガス単価が高いという問題を除けば、
Heは密度も小さく、同じ羽口前圧の場合でも供給可能
な流量が大きいので、特に有効である。溶鉄中窒素濃度
の上昇を特に嫌わない鋼種に対しては、窒素ガスを用い
てもよく、この場合は経済的にも有利である。
【0026】不活性ガスの供給を開始する時期は、炭化
水素ガスの底吹き開始と同時、またはその開始と前後し
ても構わない。目標の溶鉄中水素濃度および炭化水素ガ
ス供給時間により適切に変更するのが良く、水素濃度増
加が比較的許容可能な場合には、不活性ガスの供給開始
時期を遅らせることができる。
【0027】上記の場合の炭化水素ガス流量および不活
性ガス流量には、望ましい条件がある。すなわち、炭化
水素ガスの分解により生成する水素ガスと、炭化水素ガ
スと同時に吹き込む不活性ガスとの合計総流量を溶鉄ト
ン当たり0.3 Nm3/min 以上、かつ、その中の水素ガス
流量を溶鉄トン当たり0.3 Nm3/min 以下とするのがよ
い。
【0028】上記合計総流量の望ましい上限は溶鉄トン
当たり1.0 Nm3/min 、その中の水素ガス流量の望まし
い下限は溶鉄トン当たり0.1 Nm3/min である。合計総
流量が溶鉄トン当たり0.3 Nm3/min 未満では、通常の
上底吹き転炉吹錬と大差なく、低PCOの効果が期待でき
ない。一方、1.0 Nm3/min を超えても、それ以上の顕
著な低PCOの効果が得られない。その中の水素ガス流量
が溶鉄トン当たり 0.1Nm3/min 未満では、合計総流量
に対して必要となる不活性ガス流量が多く、コスト面で
不利となる。一方、0.3 Nm3/min を超えると、溶鉄中
の水素濃度上昇が問題となる。
【0029】不活性ガス流量は、吹錬終点における溶鉄
中水素濃度の制限値により、適切に設定するのが望まし
い。前述のように、溶鉄中炭素濃度が0.5 %になった時
点で炭化水素ガスの供給を開始する場合、通常の吹錬で
は吹錬終了までに供給する時間が3〜5分程度である。
このとき、例えば炭化水素ガスから分解発生する水素ガ
ス流量が溶鉄トン当たり0.3 Nm3/min 以下であれば、
吹錬終点の溶鉄中水素濃度も5ppm程度以下に収まり、そ
の後の脱ガス工程において十分に低減することが可能で
あるので、通常において問題はない。しかし、水素ガス
流量がそれ以上になる場合、吹錬終点の水素濃度が5pp
m 以上となるので、水素ガス流量が0.3Nm3/min 以下
となるように不活性ガスを供給することが望ましい。
【0030】吹錬の進行とともに脱炭反応速度が低下
し、それに伴い溶鉄中水素濃度の上昇速度が増大するの
で、不活性ガスの流量を上記範囲内で吹錬の進行ととも
に増加するのも有効である。
【0031】不活性ガスは、独立系統により底吹きして
も良いし、底吹き酸素、炭化水素等の主吹錬ガスに混合
して底吹きしても構わない。いずれの場合においても、
設備上、操業上等の都合に合わせて選択することが望ま
しい。
【0032】不活性ガスを独立系統により底吹きする場
合の羽口に関しては、専用の底吹き羽口を設置しても構
わないし、主吹錬ガスの底吹きに用いる二重管または三
重管羽口のいずれを用いても構わない。
【0033】主吹錬ガスの底吹きに二重管または三重管
羽口を用いる場合、一つ以上の系統を置換不活性ガスに
切り換えることになる。二重管を用いる場合の外管また
は内管のうち、もしくは三重管を用いる場合の内管、中
管、外管のうち、いずれを用いても構わない。同時に供
給するガス種との兼ね合いにより、羽口詰まり、羽口お
よび炉底耐火物溶損等の支障を起こさないように選択す
るのが望ましい。
【0034】
【実施例】
(試験1)表1に示す組成の溶銑250 トンを、4本の三
重管炉底羽口を有する上底吹き転炉に装入し、内管、中
管および外管から供給されるCO2 ガスの総流量を溶鉄
トン当たり0.2 Nm3/min として底吹きし、溶鉄を撹拌
しながら、造滓剤として生石灰12kg/t、珪石3kg/t、鉄
マンガン鉱石10kg/tを添加するとともに、4孔ラバール
ノズルを有する上吹きランスから溶鉄トン当たり3.0 N
m3/min の酸素を上吹きして脱炭精錬を開始した。
【0035】
【表1】
【0036】本発明例の実験として、溶鉄中炭素濃度が
0.5 %になった時点で底吹きガスをCO2 ガスから、次
のように変更した。すなわち、外管からプロパンガスを
溶鉄トン当たり0.1 Nm3/min 、中管から酸素を溶鉄ト
ン当たり0.1 Nm3/min 供給する際、内管から溶鉄トン
当たり0.4 Nm3/min のArガスを供給し、その後、溶
鉄中炭素濃度が0.03%となるまで吹錬を実施した。この
ときの水素ガス流量とArガスとの合計総流量は0.8 N
m3/min である。
【0037】比較例1の実験として、溶鉄中炭素濃度が
0.5 %になった時点で、外管および内管からプロパンガ
スを溶鉄トン当たり0.1 Nm3/min 、中管から酸素を溶
鉄トン当たり0.1 Nm3/min 供給して、溶鉄中炭素濃度
が0.03%となるまで吹錬を実施した。
【0038】比較例2の実験として、底吹きガスとして
CO2 ガスを溶鉄トン当たり0.2 Nm3/min 供給して、
溶鉄中炭素濃度が0.03%となるまで吹錬を実施した。
【0039】図1は、上記の各条件における吹錬パター
ンの概念を示す図である。結果を表2に対比して示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示すように、同一の終点炭素濃度に
おいても、プロパンおよびArの底吹き(本発明例)お
よびArなしでのプロパンの底吹き(比較例1)によ
り、底吹きガスとしてCO2 ガスのみを用いた比較例2
と比較して、溶鉄中酸素活量、スラグ中鉄分が低下し、
Mn歩留が向上した。
【0042】終点の水素濃度は、当然CO2 ガスのみを
用いた比較例2の場合に3.1ppmと最も低くなるが、本発
明例と比較例1とを対比して明らかなように、本発明例
では9.0ppmから4.5ppmに低減され、比較例2に近い値と
なった。
【0043】このように本発明法では、有価金属の高歩
留と高効率脱炭の進行という特徴を損なうことなく、溶
鉄中水素濃度の増加を抑制することができることが明ら
かである。
【0044】(試験2)表1に示す組成の溶銑250 トン
を、4本の三重管炉底羽口を有する上底吹き転炉に装入
し、内管、中管および外管から供給されるCO2 ガスの
総流量を溶鉄トン当たり0.2 Nm3/min として底吹き
し、溶鉄を撹拌しながら、造滓剤として生石灰12kg/t、
珪石3kg/t、鉄マンガン鉱石10kg/tを添加するととも
に、4孔ラバールノズルを有する上吹きランスから溶鉄
トン当たり3.0 Nm3/min の酸素を上吹きして脱炭精錬
を開始した。
【0045】吹錬中、溶鉄中炭素濃度が0.5 %以下にな
った時点から、プロパンおよびArを底吹きして吹錬を
行い、終点の炭素濃度が0.03〜0.05%の範囲で吹錬を終
了した。
【0046】このとき、供給するプロパンから分解生成
する水素ガス流量とArガス流量との合計総流量を、各
吹錬において溶鉄トン当たり0〜1.0 Nm3/min の範囲
で変化させ、吹錬終点における溶鉄中酸素活量、スラグ
中T.FeおよびMn歩留と(水素+Ar)流量との関
係を調査した。
【0047】図2に上記調査結果を示す。図示するよう
に(水素+Ar)流量の増加とともに、溶鉄中酸素活量
およびスラグ中T.Feが低減し、Mn歩留が向上し
た。この向上効果は、(水素+Ar)流量が溶鉄トン当
たり0.3 Nm3/min 以上の範囲で顕著であった。
【0048】(試験3)試験1および試験2と同様の方
法で脱炭精錬を開始し、吹錬中、溶鉄中炭素濃度が0.5
%以下になった時点から、プロパンおよびArを底吹き
して吹錬を行い、終点の溶鉄中炭素濃度が0.03〜0.05%
の範囲で吹錬を終了した。
【0049】このとき、供給するプロパンから分解生成
する水素ガス流量とAr流量との合計総量を、各吹錬に
おいて溶鉄トン当たり1.0 Nm3/min で一定とし、水素
ガス流量を溶鉄トン当たり0〜1.0 Nm3/min の範囲で
変化させ、終点水素濃度と水素ガス流量との関係を調査
した。
【0050】図3にその結果を示す。図示するように、
プロパンの一部をArに置き換え、水素ガス流量を低下
させると溶鉄中水素濃度も低下し、水素ガス流量が溶鉄
トン当たり0.3 Nm3/min 以下の範囲で5ppm 以下に収
まった。
【0051】
【発明の効果】本発明方法によれば、底吹き炭化水素ガ
スから分解発生する水素ガスの溶鉄撹拌およびCO分圧
低減の効果を確保して、有価金属の高歩留下で効率良く
脱炭反応を促進することができるとともに、水素ガスの
溶解に起因する溶鉄中水素濃度上昇を抑制することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】吹錬パターンの概念を示す図である。
【図2】吹錬終点における溶鉄中酸素活量、スラグ中
T.FeおよびMn歩留と(水素+Ar)流量との関係
を示す図である。
【図3】吹錬終点における水素濃度と水素ガス流量との
関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上底吹き転炉精錬の吹錬末期において、溶
    鉄浴面下の羽口から溶鉄に炭化水素ガスを吹き込み、こ
    のガスから分解生成する水素ガスによりCO分圧を低減
    して脱炭精錬する際、炭化水素ガス流量を減少させ、そ
    れにより減少する水素ガス流量と同等量の不活性ガスを
    加えて炭化水素ガスと同時に吹き込むことにより、溶鉄
    中水素濃度の増加を抑制することを特徴とする転炉精錬
    方法。
  2. 【請求項2】炭化水素ガスの分解により生成する水素ガ
    スと、炭化水素ガスと同時に吹き込む不活性ガスとの総
    流量を溶鉄トン当たり0.3 Nm3/min 以上、かつ、その
    中の水素ガス流量を溶鉄トン当たり0.3 Nm3/min 以下
    とすることを特徴とする請求項1に記載の転炉精錬方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105779699A (zh) * 2016-03-28 2016-07-20 上海大学 利用溶解气体上浮法去除金属夹杂物的方法及增压真空感应炉精炼装置

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CN105779699A (zh) * 2016-03-28 2016-07-20 上海大学 利用溶解气体上浮法去除金属夹杂物的方法及增压真空感应炉精炼装置

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