JPH08116995A - ガラクトース測定用寒天培地 - Google Patents
ガラクトース測定用寒天培地Info
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- JPH08116995A JPH08116995A JP28402394A JP28402394A JPH08116995A JP H08116995 A JPH08116995 A JP H08116995A JP 28402394 A JP28402394 A JP 28402394A JP 28402394 A JP28402394 A JP 28402394A JP H08116995 A JPH08116995 A JP H08116995A
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Abstract
ス量および/またはガラクトース−1−リン酸量を大腸
菌の発育帯の大きさで測定する方法に用いる培地におい
て、微量のガラクトースを含有することを特徴とする新
生児血液中のガラクトース測定用寒天培地。 【効果】微量のガラクトースを添加したガラクトース測
定用寒天培地を用いることにより、従来不安定であった
新生児の血中ガラクトース測定において、1)ファージ
と大腸菌の最適使用量の範囲が広くなり、測定(培養)
条件の設定がしやすくなり、2)ガラクトース測定用の
専用の高度精製寒天を使用することにより、寒天のロッ
ト差の影響がなくなり、3)発育帯が明瞭になることに
よって読み取り誤差が減少し、個人差、再現性などの試
験精度の向上をもたらし、安定した正しい成績を得るこ
とが出来るようになった。
Description
ース量(正確にはガラクトース量およびガラクトース−
1−リン酸量であるが、本明細書では単にガラクトース
量と記載する)を測定する血中ガラクトース測定法(ペ
イゲン法および吉田法)に用いる、ガラクトース測定用
寒天培地に関するものである。本発明は先天性代謝異常
症の一つであるガラクトース血症(ガラクトセミア)の
診断に用いられる。
燥培地。一般的な組成例として、臨床病理、VOL2
4、1022−1029、1976(ペイゲン法)では
組成(1)のものが使用され、また血中ガラクトース測
定試薬(吉田法)‘栄研’では組成(2)のものが使用
されている。
定量の遊離ガラクトースを含む。 3.ガラクトース測定用寒天培地 ガラクトース測定用粉末培地を溶解し、20%グリセリ
ン、1N水酸化ナトリウム、場合により5%塩化トリフ
ェニルテトラゾリウムクロライド(以下TTCと略)を
加え(吉田法のときのみTTC添加)、溶解滅菌した寒
天を加え、大腸菌Q396及びファージC−21を加え
た寒天培地。 4.寒天平板/プレート上記ガラクトース測定用寒天培
地をシャーレ中で平板に固めたもの。
20mg/dl)を含む乾燥血液ろ紙。富士レビオ株式
会社より市販されている。 6.血中ガラクトース測定試薬(吉田法)‘栄研’ ガラクトース測定用粉末培地(吉田法)、大腸菌Q39
6、ファージC−21がセットされた試薬キット。栄研
化学株式会社より市販されている。
謝異常症が知られている。特に脳障害を起こし、精神薄
弱を伴う先天性代謝異常症のひとつとして、ガラクトー
ス血症が知られている。この代謝異常症は早期に発見す
れば食事療法などにより後遺症が残らない様にすること
が可能である。この疾患の罹患患児の血液中には、疾患
に対応してガラクトースが増加する事から、この血中ガ
ラクトース量を指標とするスクリーニング法がガラクト
ース血症の早期発見の為に広く実施されている(例えば
福井県衛生研究所年報、VOL30、56−67、19
92)。
(臨床病理、VOL24、1022−1029、197
6)、(ぶんせき、VOL7、413−419、197
7)がある。1960年代後半にペイゲンはファージC
−21による大腸菌Q396株の溶菌が、ガラクトース
が存在すると阻止されることを見出し、ガラクトース血
症のスクリーニングに応用出来る事を示唆した。その
後、ガスリー(1970年)によって改良され実用化さ
れた。その方法は大腸菌とファージを加えた寒天平板上
に、新生児血液を滲み込ませたろ紙片(ディスク)を置
いて培養すると、血液中に存在するガラクトースの量に
比例して、ディスクの周囲に大腸菌の発育帯を生じ、そ
の発育帯の直径を測ることにより、血液中のガラクトー
ス量を半定量するというものである。この方法は、ペイ
ゲン法もしくはペイゲン−ファージ法として知られてい
る。
により不鮮明となる。この発育帯を見やすくする為の一
般的な手法としては、培養後の寒天平板にTTCを加え
て発育帯を赤色に染色させる方法がとられていた。さら
に、吉田らは、培地に微量の乳糖を加えて大腸菌の発育
を向上させ、またTTCも培地中に含有させることによ
って、TTCの染色性が向上し、発育帯が見やすくなる
ことを見出した(第7回代謝異常スクリーニング研究会
会報、VOL4、121−123、1980)。この吉
田らの開発した方法が、一般に血中ガラクトース測定法
(吉田法)と呼ばれ、現在、新生児のガラクトース血症
のマススクリーニング法として広く行われている。
おむね次のように行われる(血中ガラクトース測定試薬
(吉田法)‘栄研’の添付文書より抜粋)。 1)プレートの作り方(培地量150ml分) (1) ガラクトース測定用粉末培地(吉田法)2.2
gを精製水40mlに溶解し、20%グリセリン7m
l、1N水酸化ナトリウム3ml、5%TTC 0.3
mlを加える。 (2) 寒天1.2gを精製水100mlで溶解し、高
圧蒸気滅菌する。 (3) (1)と(2)を混合し、大腸菌Q396及び
ファージC−21を適量加え、よく混ぜ合せる。 (4) (3)をプラスチックシャーレ(70×253
mm)に注ぎ、静置して寒天平板とする。
ち抜き、平板上の所定の位置に置く。標準血液ろ紙も同
様に操作する。 (2) 37℃で16〜18時間培養する。
測定し、標準ディスクの赤色発育帯と比較し、血中ガラ
クトース量を判定する。
する寒天の製造元やロットの違いによって、大腸菌の発
育帯の辺縁が不鮮明であったり、発育帯がボケて不明瞭
になったりして、正しい結果が得られないと行った問題
が頻繁に発生していた。つまり、発育帯がボケ易い寒
天、発育帯がクリアーに出る寒天と、寒天に当り外れが
存在しており、発育帯がボケ易い寒天を使用すると、大
腸菌やファージ量のわずかの違い、寒天平板作成時の条
件(培地温度のばらつき)などによって、同じ性能の寒
天平板を作りにくく、また、発育帯がボケると発育帯径
の測定にバラツキが出やすく、試験精度が劣るといった
問題があり、しかもこのような場合、吉田法で加えてい
る乳糖の量を増減しても発育帯の不明瞭さは改善できな
かった。一方、発育帯がクリアーに出る寒天を使用すれ
ば、加えるファージと大腸菌の量が変動してもかなりの
広い範囲で発育帯がクリアーに出ることがしられてい
る。しかし寒天の良否はガラクトース測定用寒天培地を
作成し、使用して始めて判別可能であった。
術に於ける問題点を解決する為のものであり、その目的
とするところは、高い精度で明瞭な発育帯を形成するこ
とができるガラクトース測定用寒天培地とそれを用いた
血中ガラクトース測定法を提供する事にある。
トース測定用寒天培地での大腸菌の不明瞭な発育帯は、
培地組成中に含まれるガラクトースの量に起因している
のではと考え、鋭意検討の結果、本発明を完成した。す
なわち、ガラクトース測定用寒天培地の成分は大部分が
純粋な化学物質であり、ガラクトースは含まれない。と
ころが使用する寒天は天然物であり、しかもガラクトー
スの重合体である。そして、その製造元やロットの違い
により発育帯の不明瞭さが現れることから、寒天中に含
まれる遊離のガラクトース量、言い換えれば寒天の精製
度の違いにより不明瞭な発育帯が現れることを確認し、
本発明を完成した。具体的には遊離のガラクトースを除
去した寒天を用い、一定量のガラクトースを培地中に加
えることにより、ガラクトース測定用寒天培地中のガラ
クトース量をコントロールし、常に明瞭な発育帯を形成
させることに成功したのである。
い、血液中のガラクトース量を大腸菌の発育帯の大きさ
で測定する方法に用いる培地において、微量のガラクト
ースを含有することを特徴とするガラクトース測定用寒
天培地である。 (2) 本発明の寒天培地はガラクトースの含有量が、
ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.0
02〜0.08mgであることを特徴とする、(1)記
載のガラクトース測定用寒天培地であり、 (3) 好ましくはガラクトースの含有量が、ガラクト
ース測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜
0.06mgであることを特徴とする、(1)記載のガ
ラクトース測定用寒天培地である。 (4) また本発明は、ガラクトース測定用寒天培地が
さらに乳糖を含有していることを特徴とする、(1)〜
(3)記載のガラクトース測定用寒天培地であり、 (5) 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用寒天培地
1000mlあたり1.0〜3.0mgであることを特
徴とする、(4)記載のガラクトース測定用寒天培地で
ある。
は、塩化第二鉄、ゼラチン、塩化アンモニウム、硫酸マ
グネシウム、グリシン、塩化ナトリウム、グルタミン酸
ナトリウム、L−メチオニン、L−スレオニン、トリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、塩化カルシ
ウム、チアミン、リン酸1カリウム、乳糖を組成とする
ガラクトース測定用粉末培地と、グリセリン、水酸化ナ
トリウム、TTC、遊離ガラクトースを除去した寒天、
大腸菌およびファージより調製されるガラクトース測定
用寒天培地に、微量のガラクトースを添加したガラクト
ース測定用寒天培地である。乳糖・TTCは吉田法での
み使用し、ペイゲン法では使用しない。また、大腸菌は
Q396株を、ファージはC−21を本発明のガラクト
ース測定用寒天培地の調製に用いる。
に、ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース量を
コントロールするものであるので、遊離ガラクトースを
除去した寒天の使用は必須である。またガラクトースは
最終のガラクトース測定用寒天培地中に一定量含まれて
いればよいので、ガラクトース測定用寒天培地の調製の
際に一定量を添加してもよいし、遊離ガラクトースを除
去した寒天中やガラクトース測定用粉末培地中に予め添
加しておいてもよい。
培地は、(1)〜(6)記載のガラクトース測定用寒天
培地の調製に用いる粉末培地であって、遊離ガラクトー
スを除去した寒天と共に用いる、微量のガラクトースを
添加したガラクトース測定用粉末培地であり、 (8) またガラクトース測定用粉末培地2.2gと遊
離ガラクトースを除去した寒天1.2gの割合でガラク
トース測定用寒天培地を調製するのであれば、ガラクト
ースの添加量が、ガラクトース測定用粉末培地1000
gあたり0.1〜5.5mgであることを特徴とする、
(7)記載のガラクトース測定用粉末培地であり、 (9) 好ましくはガラクトースの添加量が、ガラクト
ース測定用粉末培地1000gあたり0.2〜3.5m
gであることを特徴とする、(7)記載のガラクトース
測定用粉末培地である。
(1)〜(6)記載のガラクトース測定用寒天培地の調
製に用いる遊離ガラクトースを除去した寒天であって、
ガラクトース測定用粉末培地と共に用いる、微量のガラ
クトースを添加した遊離ガラクトースを除去した寒天で
あり、 (11) またガラクトース測定用粉末培地2.2gと
寒天1.2gの割合でガラクトース測定用寒天培地を調
製するのであれば、ガラクトースの添加量が寒天100
0gあたり0.2〜10.0mgであることを特徴とす
る、(10)記載の遊離ガラクトースを除去した寒天で
あり、 (12) 好ましくはガラクトースの添加量が、寒天1
000gあたり0.4〜6.4mgであることを特徴と
する、(10)記載の遊離ガラクトースを除去した寒天
である。
用い、血液中のガラクトース量を大腸菌の発育帯の大き
さで測定する方法において、微量のガラクトースを含有
するガラクトース測定用寒天培地を用いることを特徴と
する血中ガラクトース測定法である。 (14) 本発明は、ガラクトースの含有量が、ガラク
トース測定用寒天培地1000mlあたり0.002〜
0.08mgであることを特徴とする、(13)記載の
血中ガラクトース測定法であり、 (15) 好ましくはガラクトースの含有量が、ガラク
トース測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜
0.06mgであることを特徴とする、(13)記載の
血中ガラクトース測定法である。 (16) また本発明はガラクトース測定用寒天培地が
さらに乳糖を含有していることを特徴とする、(13)
〜(15)記載の血中ガラクトース測定法であり、(1
7) 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1
000mlあたり1.0〜3.0mgであることを特徴
とする、(16)記載の血中ガラクトース測定法であ
る。
とファージを用い、血液中のガラクトース量を大腸菌の
発育帯の大きさで測定する方法において、微量のガラク
トースを含有する培地を用いることにより、大腸菌に明
瞭な発育帯を形成させる方法を提供する。 (19) また本発明は、大腸菌とファージを用い、血
液中のガラクトース量を大腸菌の発育帯の大きさで測定
する方法において、微量の乳糖および微量のガラクトー
スを含有する培地を用いることにより、大腸菌に明瞭な
発育帯を形成させる方法を提供する。 微量のガラクトースをガラクトース測定用寒天培地中に
添加し、培地中のガラクトース量をコントロールするこ
とにより、大腸菌の発育帯は明瞭となる。そこにさらに
微量の乳糖も共存させると相乗効果により極めて明瞭な
発育帯が形成される。
遊離のガラクトースをできるだけ除去したものが必須で
ある。遊離ガラクトースを含まない寒天を用い、ガラク
トース測定用寒天培地中のガラクトース含量を、添加す
るガラクトース量でコントロールすることにより、大腸
菌の発育帯が明瞭となる。
一定量のガラクトースを培地成分として含む乾燥粉末培
地(ガラクトース測定用粉末培地)としては勿論、使用
する寒天に一定量のガラクトースを含有させた形態でも
供給することができる。また、寒天プレート作成時に一
定量のガラクトースを添加してもよく、要はガラクトー
ス測定用寒天培地中に一定量のガラクトースを使用時に
含有していればよい。
菌されるが、ガラクトースが存在すると菌壁がガラクト
ースにより変化し、C−21による溶菌現象が阻害され
る。この原理を利用したガラクトース測定法において、
本発明の作用機序は次のようにまとめることができる。 1) ガラクトースを全く含まないガラクトース測定用
寒天培地で適量のファージC−21を加えて大腸菌Q3
96株を培養すると、大腸菌はファージによって溶菌さ
れる為に発育してこない(寒天平板のバックグランドに
大腸菌の発育は無い)。 2) しかし、培地中に微量の(適量の)ガラクトース
が存在すると、ファージの溶菌活性が弱められ、肉眼で
は確認できない程度に大腸菌が発育する(バックグラン
ドの大腸菌の発育は見えない)。 3) さらに培地中に過剰のガラクトースが存在すると
ファージによる溶菌が阻害される為に、ガラクトースの
量に比例して大腸菌が発育してくる(バックグランドに
大腸菌が発育する)。
紙ディスクを置くと、 1’) ガラクトース測定用寒天培地中にガラクトース
が存在しない状況下では、ファージの溶菌活性が強い為
に血液ろ紙ディスクの周囲以外の寒天平板のバックグラ
ンドには大腸菌の発育は無く、また、血液ろ紙ディスク
の周囲の大腸菌の発育帯はきわめて弱く、特に発育帯の
辺縁は不鮮明である。 2’) 適量のガラクトースの存在下では、培地中のガ
ラクトースによってファージ活性が弱められる為に大腸
菌の増殖が優勢となるが、寒天平板のバックグランドに
は大腸菌の発育を認めず、それゆえ血液ろ紙ディスクの
周囲の発育帯が明瞭になる。 3’) 過剰量のガラクトースの存在下では、ファージ
活性が阻害される為に寒天平板のバックグランドでの大
腸菌の増殖が過剰となり、血液ろ紙ディスクの周囲の発
育帯の境との区別ができなくなり、発育帯がボケて不明
瞭になる。
トロールされているので、発育帯が常に同じ条件で得ら
れる。ガラクトース含量を最も明瞭な発育帯を形成する
範囲に設定しておくことにより、安定した結果の得られ
る血中ガラクトース量の測定が可能となる。また大腸菌
やファージの濃度、培地中の試薬濃度が少々変動しても
発育帯が明瞭であるので良好な測定が可能となる。
が考えられる。すなわち、乳糖はガラクトースとグルコ
ースの二量体であり、大腸菌の菌体酵素によってガラク
トースとグルコースに分解され遊離する。この段階で遊
離のガラクトースは上述の作用機序と同様の作用を示す
と思われる。上述のガラクトースの作用機序と異なるの
は、大腸菌の増殖に伴って遊離のガラクトース量が増加
していくことである。発育帯の明瞭さは乳糖よりもガラ
クトースを加えた方が良好であり、TTCをフォルマザ
ンに還元する能力は、ガラクトースよりも乳糖の方が優
れている為、両者の反応機序は多少異なることが予想さ
れる。
施例を示す。実験に使用した寒天は、寒天に由来する遊
離ガラクトースの影響を無くす為、高度精製寒天(清水
食品株式会社製、TAIYO-AGAR TRP-800)を使用した。こ
の寒天に含まれる遊離ガラクトースは高速液体クロマト
グラフィーで検出限界以下であった。従って、この寒天
中に含まれる遊離のガラクトース量はゼロとみなして以
下の実施例に用いた。ガラクトース測定用寒天培地は組
成(2)より乳糖を除いたガラクトース測定用粉末培地
と高度精製寒天を用いて、血中ガラクトース測定試薬
(吉田法)‘栄研’の添付文書にしたがって調製し、寒
天平板とした。大腸菌とファージ液は通常使用される菌
濃度のものを使用した。すなわち、ファージC−21
(108個/ml)、大腸菌Q396(1010個/m
l)を、150ml寒天平板あたりファージ0.4m
l、大腸菌0.15mlを使用した。ガラクトース標準
血液ろ紙は富士レビオ(株)製を使用した。寒天平板
は、70mm×253mmのプラスチックシャーレに1
50mlのガラクトース測定用寒天培地を分注して作成
した。%は特に規定しない限り重量/容量%を示す。
の乳糖量の検討 まず、吉田法における乳糖の効果が大腸菌の発育向上と
発育帯の見やすさであることから、乳糖量について検討
をおこなった。実験は吉田法で使用する乳糖の量を中心
に添加量を変動させて乳糖添加量と発育帯の良否につい
て検討した。乳糖の添加は予め調製しておいた0.1%
乳糖水溶液をガラクトース測定用寒天培地の調製時に必
要量添加した。結果を表1に示す。表1の結果から、遊
離ガラクトースを含まないガラクトース測定用寒天培地
を使用すると、乳糖の添加効果は認められるものの、種
々の濃度の乳糖を添加しても菌の発育が弱く、発育帯が
不明瞭であった。更にTTCの発色も弱い。このことか
ら良好な発育帯を得る為には、乳糖だけでは不十分であ
ることが確認された。ただし乳糖の最適量は吉田法の添
加量と同様に、ガラクトース測定用寒天培地1000m
lあたり1.87mgであった。
のガラクトース量の検討 2−1)ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース
最適量 次に、ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトースの
最適量について検討を行なった。実験は乳糖を含まない
ガラクトース測定用寒天培地にガラクトースを添加し
て、ガラクトースの添加量と発育帯の良否について検討
を加えた。ガラクトースの添加は予め調製しておいた
0.001%ガラクトース水溶液を培地調製時に必要量
添加した。結果を表2に示す。表2の結果から、ガラク
トース添加量は培地1000mlあたり0.0032〜
0.0512mgで比較的良好な結果が得られた。しか
し、乳糖を加えない本実験系では、TTCの発色が弱い
傾向にあった。
を行なった。実験は乳糖を含まないガラクトース測定用
粉末培地に、種々の量のガラクトースを加えた高度精製
寒天(TAIYO-AGAR TRP-800、清水食品製)を添加し、ガ
ラクトースの添加量と発育帯の良否について検討を加え
た。結果を表3に示す。表3の結果から、寒天中の添加
ガラクトース量は、寒天1000gあたり0.4〜6.
4mgで良い結果が得られた。乳糖を加えない本実験系
では、TTCの発色が弱い傾向にあった。
の乳糖とガラクトースの組合せによる最適量 上述の結果から、乳糖やガラクトース単独では良好な発
育帯は得られなかった。そこで、乳糖とガラクトースを
組合せ、その最適量について検討した。 3−1)乳糖含有のガラクトース測定用寒天培地中にお
けるガラクトース最適量実施例1の最適量の乳糖(培地
1000mlあたり1.87mg)を加えた培地につい
て、培地1000mlあたりの添加ガラクトースの最適
量を検討した。ガラクトースの添加方法は実施例2−
1)と同様に実施した。結果を表4に示す。表4の結果
から、乳糖とガラクトースの相乗効果により、培地10
00mlあたりのガラクトース量が0.0032〜0.
0512mgで極めて良好な発育帯を形成し、TTCの
発色も良いことが確認された。
む)に、2−2)と同様に種々の量のガラクトースを加
えた高度精製寒天(TAIYO-AGAR TRP-800、清水食品製)
を添加し、ガラクトース測定用寒天培地を調製し、寒天
中のガラクトースの添加量と発育帯の良否について検討
を加えた。結果を表5に示す。表5の結果から、乳糖と
ガラクトースの相乗効果により、寒天1000gあたり
のガラクトース量が0.4〜6.4mgで極めて良好な
発育帯を形成し、TTCの発色も良いことが確認され
た。
発育帯形成不良は使用する寒天中に含まれる遊離のガラ
クトース含量に起因するものであった。そこで遊離ガラ
クトースを除去した高度精製寒天を使用し、ガラクトー
ス測定用寒天培地中のガラクトースの量を調節すること
により、改良されたガラクトース測定用寒天培地を完成
した。この培地は吉田法のみならず、ペイゲン法でも使
用可能であった。また特に乳糖とガラクトースを組合わ
せて用いることにより極めて明瞭な大腸菌の発育帯が形
成された。
/ファージ量の変動により大腸菌の発育帯が不明瞭とな
り、試験精度が不安定であった新生児の血中ガラクトー
ス測定において、 1)ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース量を
コントロールすることによって、ファージと大腸菌の最
適使用量の範囲が広くなり、また測定(培養)条件の設
定がしやすくなり、 2)ガラクトース測定用専用の遊離ガラクトースを除去
した高度精製寒天を使用することによって、寒天のロッ
ト差の影響がなくなり、 3)発育帯が明瞭になることによって読み取り誤差が減
少し、個人差、再現性などの試験精度の向上をもたら
し、常に安定した正しい試験成績を得ることが出来るよ
うになった。
Claims (19)
- 【請求項1】 大腸菌とファージを用い、血液中のガラ
クトース量および/またはガラクトース−1−リン酸量
を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法に用いる培地
において、微量のガラクトースを含有することを特徴と
するガラクトース測定用寒天培地。 - 【請求項2】 ガラクトースの含有量が、ガラクトース
測定用寒天培地1000mlあたり0.002〜0.0
8mgであることを特徴とする、請求項1記載のガラク
トース測定用寒天培地。 - 【請求項3】 ガラクトースの含有量が、ガラクトース
測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜0.0
6mgであることを特徴とする、請求項1記載のガラク
トース測定用寒天培地。 - 【請求項4】 ガラクトース測定用寒天培地がさらに乳
糖を含有していることを特徴とする、請求項1〜3記載
のガラクトース測定用寒天培地。 - 【請求項5】 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用寒
天培地1000mlあたり1.0〜3.0mgであるこ
とを特徴とする、請求項4記載のガラクトース測定用寒
天培地。 - 【請求項6】 塩化第二鉄、ゼラチン、塩化アンモニウ
ム、硫酸マグネシウム、グリシン、塩化ナトリウム、グ
ルタミン酸ナトリウム、L−メチオニン、L−スレオニ
ン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、
塩化カルシウム、チアミン、リン酸1カリウム、乳糖を
組成とするガラクトース測定用粉末培地と、グリセリ
ン、水酸化ナトリウム、塩化トリフェニルテトラゾリウ
ムクロライド、遊離ガラクトースを除去した寒天、大腸
菌およびファージより調製されるガラクトース測定用寒
天培地において、微量のガラクトースを添加されてなる
ことを特徴とするガラクトース測定用寒天培地。 - 【請求項7】 請求項1〜6記載のガラクトース測定用
寒天培地の調製に用いる粉末培地であって、遊離ガラク
トースを除去した寒天と共に用いる、微量のガラクトー
スを添加したガラクトース測定用粉末培地。 - 【請求項8】 ガラクトースの添加量が、ガラクトース
測定用粉末培地1000gあたり0.1〜5.5mgで
あることを特徴とする、請求項7記載のガラクトース測
定用粉末培地。 - 【請求項9】 ガラクトースの添加量が、ガラクトース
測定用粉末培地1000gあたり0.2〜3.5mgで
あることを特徴とする、請求項7記載のガラクトース測
定用粉末培地。 - 【請求項10】 請求項1〜6記載のガラクトース測定
用寒天培地の調製に用いる遊離ガラクトースを除去した
寒天であって、ガラクトース測定用粉末培地と共に用い
る、微量のガラクトースを添加した遊離ガラクトースを
除去した寒天。 - 【請求項11】 ガラクトースの添加量が、寒天100
0gあたり0.2〜10.0mgであることを特徴とす
る、請求項10記載の遊離ガラクトースを除去した寒
天。 - 【請求項12】 ガラクトースの添加量が、寒天100
0gあたり0.4〜6.4mgであることを特徴とす
る、請求項10記載の遊離ガラクトースを除去した寒
天。 - 【請求項13】 大腸菌とファージを用い、血液中のガ
ラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸
量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、
微量のガラクトースを含有するガラクトース測定用寒天
培地を用いることを特徴とする血中ガラクトース測定
法。 - 【請求項14】 ガラクトースの含有量が、ガラクトー
ス測定用寒天培地1000mlあたり0.002〜0.
08mgであることを特徴とする、請求項13記載の血
中ガラクトース測定法。 - 【請求項15】 ガラクトースの含有量が、ガラクトー
ス測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜0.
06mgであることを特徴とする、請求項13記載の血
中ガラクトース測定法。 - 【請求項16】 ガラクトース測定用寒天培地がさらに
乳糖を含有していることを特徴とする、請求項13〜1
5記載の血中ガラクトース測定法。 - 【請求項17】 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用
寒天培地1000mlあたり1.0〜3.0mgである
ことを特徴とする、請求項16記載の血中ガラクトース
測定法。 - 【請求項18】 大腸菌とファージを用い、血液中のガ
ラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸
量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、
微量のガラクトースを含有する培地を用いることによ
り、大腸菌に明瞭な発育帯を形成させる方法。 - 【請求項19】 大腸菌とファージを用い、血液中のガ
ラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸
量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、
微量の乳糖および微量のガラクトースを含有する培地を
用いることにより、大腸菌に明瞭な発育帯を形成させる
方法。
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---|---|---|---|
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JP3691865B2 JP3691865B2 (ja) | 2005-09-07 |
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-
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