JPH081158Y2 - シートベルト支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本考案は、シートベルト支持構造に関する。

b.従来の技術 シートベルトは安全上の理由から使用が義務づけられ
る傾向にあり、従来より、各種のシートベルトが採用さ
れている。しかしながら、着用の煩雑から、シートベル
トを使用しない運転者も少なくない。そこで、シートに
着座してドアを閉めると強制的にシートベルトが装着さ
れる、いわゆるパッシブシートベルトが有効である。す
なわち、このようなパッシブシートベルト装置は、ドア
サッシュの後方部から車体中央まで座席上を渡すように
シートベルトを配設し、これによって、ドアを開けて乗
員が乗り込むに際して強制的にシートベルトが乗員の身
体に掛け渡されるように構成したものである。

このような従来のパッシブシートベルト装置では、上
記シートベルトを支持するアンカープレートを固定用ブ
ラケットを介してドアサッシュに固定し、ドアを閉めた
際に上記アンカープレートの一端部がセンターピラーに
設けた孔に挿入される構成になっている。これにより、
上記シートベルトに大きな荷重が加わった際に、アンカ
ープレートの一端部がセンターピラーの孔に係止される
ことによって、上記荷重がドアサッシュのみでなくセン
ターピラーによっても受け止められるようにしている。

c.考案が解決しようとする課題 ところで、上記従来のシートベルト支持構造では、車
両が大きな衝撃を受けた場合、ドアサッシュが変形し、
アンカープレートの一端部がセンターピラーから外れて
しまい、シートベルトに加えられた荷重を確実にセンタ
ーピラーに受け止めさせることができなくなる場合があ
った。

そこで、従来より、上記アンカープレートの一端部
に、略円形の拡大した頭部を有するボルト状ピンを突設
し、ドアを閉めた際に上記ボルト状ピンの頭部がセンタ
ーピラーに設けた孔に挿入されるようにしたシートベル
ト支持構造が提案されている（特開昭57-107939号公報
参照）。

この支持構造では、上記ドアサッシュが何らかの衝撃
を受けて変形した場合に、上記ボルト状ピンの頭部がセ
ンターピラーの孔に係止されるようにしている。

しかしながら、上記支持構造では、上記ボルト状ピン
の頭部が上記センターピラーの孔に係止されている状態
において上記ボルト状ピンがねじれる等した場合に、上
記ボルト状ピンの頭部がセンターピラーの孔から外れる
不具合があった。このような場合にも、上記アンカープ
レートの一端部が上記センターピラーから外れてしま
い、シートベルトに加えられた荷重を確実にセンターピ
ラーに受け止めさせることができなくなる虞れがあっ
た。本考案は、上記実情に鑑みてなされたもので、シー
トベルトに加えられた荷重を確実にセンターピラーにも
受け止めさせることができるシートベルト支持構造を提
供することを目的とする。

d.課題を解決するための手段 本考案では、上記目的を達成するために、シートベル
トを支持するアンカープレートの一端部の先端に断面略
Ｔ字形状に形成した係止部を設け、ドアサッシュに固定
した固定用ブラケットに孔を設け、該固定用ブラケット
の孔にネジを挿通して上記アンカープレートを上記固定
用ブラケットに固定し、ドアを閉めた際に上記アンカー
プレートの一端部がセンターピラーに設けた孔に挿入さ
れるシートベルト支持構造において、上記アンカープレ
ートを偏平にかつ幅を有して形成し、上記アンカープレ
ートの一端部を断面略Ｌ字形状に折曲し、上記アンカー
プレートの係止部を、車両上下方向に長く平面略長方形
に形成し、上記センターピラーの孔を、上記アンカープ
レートの係止部の形状に対応して、車両上下方向に長く
形成し、さらに、上記固定用ブラケットの孔を、その長
軸が車両の略前後方向に向くように長孔に形成した構成
としている。

e.実施例 以下、本考案に係るシートベルト支持構造の一実施例
について添附図面を参照しながら詳細に説明する。

第１図〜第５図は、本考案の一実施例を示している。

本実施例のシートベルト支持構造では、車両１のシー
トベルト２の途中を支持するアンカープレート３を固定
用ブラケット４を介してドア５のドアサッシュ5aに固定
している（第２図〜第５図参照。これらの図には、第１
図に示したドア５と反対側のドア５の付近の構造が示さ
れている。）。

ここで、固定用ブラケット４は、その一端部4aでネジ
６によってドアサッシュ5aに固定されている。また、固
定用ブラケット４は、その他端部4bに一対の長孔7,7を
有している。これらの長孔7,7は、その長軸が車両１の
略前後方向に向くように形成されている。

アンカープレート３は、その一端部3aがＬ字状に折曲
され、その先端に断面略Ｔ字形状の係止部８を有する。
アンカープレート３は、中央部で長孔７に挿通したネジ
9,9によって固定用ブラケット４に固定され、また、そ
の他端部3bでシートベルト２を支持している。

さらに、ドア５を閉めた状態において、アンカープレ
ート３の一端部3aが挿入される孔10がセンターピラー11
のアウターパネル11aに形成されている。

次に、本実施例の作用について説明する。

通常の状態のドア５の開閉においては、アンカープレ
ート３の一端部3aは、センターピラー11の孔10に挿脱自
在となっている（第３図参照）。

ここで、ドア５を閉めた状態において、車両１の前方
等から衝撃を受けてドアサッシュ5aが後方へ変形した場
合には、アンカープレート３が第４図に２点鎖線で示す
位置に移動し、その係止部８の後方部分がセンターピラ
ー11の孔10に係止される。これにより、アンカープレー
ト３は、センターピラー11から外れることは無くなる。
このため、シートベルト２に加えられた荷重は確実にセ
ンターピラー11によって受け止められる。

さらに、本実施例では、上記したようにアンカープレ
ート３がセンターピラーから外れなくなることにより、
ドアサッシュ5aが車両１の前方へ大きく変形することが
食い止められるのみならず、その後方へ大きく変形する
ことも食い止められる。

また、上記と同様に、ドア５を閉めた状態において、
シートベルト２に大きな荷重が加えられた場合には、ネ
ジ9,9が長孔７内を移動する。そのためにアンカープレ
ート３が固定用ブラケット４に対して前方または後方へ
スライドし、これによってアンカープレート３の一端部
3aがセンターピラー11の孔10内を移動して、その係止部
８の前方部分が第４図に実線で示されるようにセンター
ピラー11の孔10に係止される。この状態では、アンカー
プレート３がセンターピラー11から外れることが無いの
で、シートベルト２に加えられた荷重が確実にセンター
ピラー11によって受け止められる。

なお、第５図に示した矢印はシートベルト２から固定
用ブラケット４に加えられる荷重の方向を示している。

また、上記実施例では、孔７を長孔に形成したが、こ
れに限らず、要は、ネジ９のネジ部の外形よりも大径で
ネジ頭部よりは小径の通常の円孔に形成しても勿論良
い。

f.考案の効果 以上説明したように、本考案に係るシートベルト支持
構造によれば、シートベルトを支持するアンカープレー
トの一端部の先端に断面略Ｔ字形状に形成した係止部を
設け、ドアサッシュに固定した固定用ブラケットに孔を
設け、該固定用ブラケットの孔にネジを挿通して上記ア
ンカープレートを上記固定用ブラケットに固定し、ドア
を閉めた際に上記アンカープレートの一端部がセンター
ピラーに設けた孔に挿入されるシートベルト支持構造に
おいて、上記アンカープレートを偏平にかつ幅を有して
形成し、上記アンカープレートの一端部を断面略Ｌ字形
状に折曲し、上記アンカープレートの係止部を、車両上
下方向に長く平面略長方形に形成し、上記センターピラ
の孔を、上記アンカープレートの係止部の形状に対応し
て、車両上下方向に長く形成し、さらに、上記固定用ブ
ラケットの孔を、その長軸が車両の略前後方向に向くよ
うに長孔に形成した構成としているので、次のような効
果を得ることができる。

すなわち、本発明では、平面略長方形の上記アンカー
プレートの係止部を、車両上下方向に長い上記センター
ピラーの孔に係止させるようにしているので、上記アン
カープレートの係止部が上記センターピラーの孔に係止
されている状態において上記アンカープレートの係止部
がねじれる等した場合でも、上記アンカープレートの係
止部のいずれかの部分が上記センターピラーの孔に常時
係止される。したがって、上記アンカープレートの係止
部は上記センターピラーの孔に確実に係止され、外れる
虞れが無くなるので、ドアサッシュが変形された状態に
おいてシートベルトに荷重が加えられた場合にも、その
荷重を確実にセンターピラーに受け止めさせることがで
きる。

また、アンカープレートを支持する固定用ブラケット
の孔を長孔に形成したことにより、シートベルトに荷重
が加えられた際、その荷重による衝撃が上記アンカープ
レートを固定するネジが上記長孔内を移動することによ
り吸収される。これにより、上記衝撃による上記ドアサ
ッシュの変形を最小限に食い止められる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案に係るシートベルト支持構造の
一実施例を示し、第１図はその車両を示す図、第２図は
その要部を概念的に示す斜視図、第３図はその要部の水
平断面図、第４図はその要部の水平断面図、第５図はそ
の固定用ブラケットを示す斜視図である。 １……車両、２……シートベルト、３……アンカープレ
ート、3a……一端部、４……固定用ブラケット、５……
ドア、5a……ドアサッシュ、７……長孔、８……係止
部、９……ネジ、10……孔、11……センターピラー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートベルトを支持するアンカープレート
   の一端部の先端に断面略Ｔ字形状に形成した係止部を設
   け、ドアサッシュに固定した固定用ブラケットに孔を設
   け、該固定用ブラケットの孔にネジを挿通して上記アン
   カープレートを上記固定用ブラケットに固定し、ドアを
   閉めた際に上記アンカープレートの一端部がセンターピ
   ラーに設けた孔に挿入されるシートベルト支持構造にお
   いて、 上記アンカープレートを偏平にかつ幅を有して形成し、 上記アンカープレートの一端部を断面略Ｌ字形状に折曲
   し、 上記アンカープレートの係止部を、車両上下方向に長く
   平面略長方形に形成し、上記センターピラーの孔を、上
   記アンカープレートの係止部の形状に対応して、車両上
   下方向に長く形成し、 さらに、上記固定用ブラケットの孔を、その長軸が車両
   の略前後方向に向くように長孔に形成したことを特徴と
   するシートベルト支持構造。