JPH08113627A - 照射硬化型水性樹脂 - Google Patents

照射硬化型水性樹脂

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JPH08113627A
JPH08113627A JP6249216A JP24921694A JPH08113627A JP H08113627 A JPH08113627 A JP H08113627A JP 6249216 A JP6249216 A JP 6249216A JP 24921694 A JP24921694 A JP 24921694A JP H08113627 A JPH08113627 A JP H08113627A
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JP
Japan
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group
emulsion
monomer
active hydrogen
water
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JP6249216A
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English (en)
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Yoshimi Inaba
喜巳 稲葉
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】照射硬化型水性樹脂に関するもので、速硬化
性、無臭性が優れ、従来に比較して製造条件のバラツキ
による粒子形態の変化等がなく、耐溶剤性、耐水性、耐
酸・アルカリ性、膜の可燒性、膜強度等の物性バランス
の良い樹脂を提供することを目的とする。 【構成】乳化重合法により得られるエマルジョンポリマ
ー共重合成分の中、少なくとも一成分が下記(化1)に
て示されるm−イソプロペニル−α,αジメチルベンジ
ル イソシアナートで構成されるエマルジョンポリマー
粒子において、該エマルジョンポリマー粒子が含有する
前記化合物のイソシアナート基を分子内にアクリロイル
もしくはメタクリロイル基と活性水素基をそれぞれ一個
以上有するモノマーもしくはオリゴマーの活性水素基に
より反応させることによって得られる照射硬化型水性樹
脂。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性塗料、インキ用バイ
ンダー、コーティング剤、粘着剤、接着剤等に利用でき
るエマルジョンポリマー粒子、特にこのエマルジョンポ
リマー粒子塗膜が紫外線及び電子線によって硬化が可能
で、その硬化膜が物理的、化学的に優れた性質を示し、
かつ非常に安定な分散状態を示すエマルジョンポリマー
に関する。
【0002】
【従来の技術】エマルジョンポリマー(または合成高分
子ラテックス)は塗料、接着剤、シーラー、フロアポリ
ッシュ、紙、繊維、皮革加工から最近ではより機能的付
加価値が高い膜材料、診断試薬、リソグラフィー等多岐
に亘って年々、新しい用途展開が進められている。とり
わけ塗料と接着剤、粘着剤関連はポリマーラテックスの
需要の大半を占めており、特に近年、自然環境問題、省
資源、作業環境の改善等の立場の制約から水系塗料(水
溶性塗料、エマルジョン塗料)、ハイソリッド塗料、粉
体塗料等の研究開発が活発に推進されている。
【0003】これらの中で、特にエマルジョン塗料は取
り扱いが簡単であること、火災等の危険がないこと、衛
生上安全であることから最も実用化が期待されている。
例えば、一般的なO/W型の乳化重合によって得られる
エマルジョンポリマーは非常に高分子量のポリマーの水
分散体であり、この高分子量ポリマーから形成される塗
膜は一般に可燒性に富み、また、基材に対する密着性に
優れる利点を有するが、反面、成膜性等の制約から硬度
を高めることが難しく、非架橋性の場合は耐溶剤性、耐
水性に劣る等の欠点がある。そのため、エマルジョンを
架橋させる多くの試みが従来より検討されている。
【0004】従来の架橋型エマルジョンポリマーでは乳
化重合する際に、ポリマー側鎖にメチロール化アミド
基、またはカルボニル基を導入し、分散媒である水の蒸
発後、加熱することにより自己架橋させるか、または架
橋剤としてメラミンを併用して加熱架橋する方法、さら
に最近ではカルボキシル基含有エマルジョンポリマーに
架橋剤としてエポキシを用いる方法等が採られているた
めに、以下のような問題があった。 (1) 加熱温度が高く、加熱所要時間が長い。さらに
初期の硬化条件によっては長時間のポストキュアーが必
要となる。 (2) メラミン架橋の際、遊離のホルマリンが発生
し、公害問題となる。 (3) 塗膜の硬度を高めることが難しい。 (4) 加熱架橋後に残存する未反応のメチロール化ア
ミド、カルボニルは塗膜の耐水性等の物性を低下させ
る。
【0005】一方、本来、無溶剤系であり、構成成分の
100%が樹脂化、工程エネルギーの削減が可能で、設
備設置面積が少なくて済むことによる合理化が可能とい
う利点を有する紫外線及び電子線硬化樹脂膜と水性化と
を組み合わせて、反応性希釈剤(モノマー)を含めた有
機溶剤の放散による大気汚染の防止に役立て用とする動
きが活発になっている。
【0006】有機溶剤可溶性の紫外線、電子線硬化樹脂
組成物は一般の塗料、インキ等のコーティング剤と異な
り、シンナーのような有機溶剤を使用しなくても良いた
め、低公害化ができる。しかし、配合中に使用する主成
分としてのプレポリマーは粘度が高く、塗工が困難な場
合が多い。粘度やレオロジー特性を調整するために使用
される反応性希釈剤(モノマー)はその効果が大きいも
の程、皮膚刺激性や過敏性障害を引き起こす傾向が大き
い。また、反応性希釈剤の添加によって本来、目的とす
るオリゴマーの物性が損なわれるという欠点がある。し
たがって、反応性希釈剤を必要としないコーティング組
成物の開発が望まれている。
【0007】照射硬化型水性組成物はオリゴマーと光重
合開始剤を必須成分とし、モノマーの代わりに水で希釈
した水性の分散体である。通常、モノマーを使用しない
が、使用する場合でも極めて少量であるため、以下の利
点が挙げられる。 (1) 臭気や皮膚刺激性の問題が解決できる。 (2) 水や増粘剤を適宜、加えることによって、コー
ティング膜厚の調整、粘度調節が可能である。 (3) 火災の危険性、安全衛生面での問題が減少し、
環境保全に寄与する。 上記のように水性化することによって、有機溶剤可溶性
の紫外線、電子線硬化樹脂組成物にない特徴を付与する
ことができる。
【0008】照射硬化型水性組成物の主成分であるオリ
ゴマーはその形態から、(a)エマルジョン形と(b)
水溶形とに分類することができる。エマルジョン形の組
成物を得るためには、一般的にオリゴマーの機械的乳化
で作製される。これには一般に熱可塑性の軟化点の低い
オリゴマーが使用されるので、塗膜形成温度を下げられ
るという利点がある。しかし、製造条件の変化が平均粒
径や粒度分布に影響し易く、塗膜からの水の除去、水透
過性、耐水性、光沢、顔料結合力等を左右するという問
題がある。水溶形の場合はオリゴマーに非イオン性親水
基であるエーテル、アミド等を導入することによって水
溶化するのが一般的である。特にエーテル結合の場合は
各種ポリエチレン(またはプロピレン)グリコールを構
成成分の一つとするウレタン樹脂やアクリル酸と反応さ
せてオリゴマー化したものが使用される。これらは硬化
後ももとの親水性を保持し続けるため、膜の水溶性を低
減するには架橋性の優れた化合物を併用しなければなら
ず、材料設計の自由度が制限されるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の如く、
従来の架橋型エマルジョンポリマーでは困難である速硬
化性、無臭性等を実現し、さらに従来の照射硬化型水性
組成物と比較してエマルジョン形の欠点である製造条件
のバラツキによる粒子形態の変化や水溶形における材料
設計自由度の制限という問題点を解決することが可能な
耐溶剤性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、膜の可燒
性、膜強度等の物性バランスの優れた照射硬化型水性樹
脂を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべく考ええられたものであり、まず一つは乳化重合法
により得られるエマルジョンポリマー共重合成分の中、
少なくとも一成分が(化1)にて示されるm−イソプロ
ペニル−α,αジメチル ベンジル イソシアナートで
構成されるエマルジョンポリマー粒子において、該エマ
ルジョンポリマー粒子が含有する前記化合物のイソシア
ナート基を分子内にアクリロイルもしくはメタクリロイ
ル基と活性水素基をそれぞれ一個以上有するモノマーも
しくはオリゴマーの活性水素基により反応させることに
よって得られる照射硬化型水性樹脂であり、さらには分
子内にアクリロイルもしくはメタクリロイル基と活性水
素基をそれぞれ一個以上有するモノマーもしくはオリゴ
マーの活性水素基が水酸基、カルボニル基、アミン、ア
ミドであることを特徴とする請求項1記載の照射硬化型
水性樹脂である。
【0011】以下、さらに詳細に説明する。
【0012】まず、各成分の構成材料について説明し、
その後、照射硬化型水性樹脂の製造方法について説明す
る。
【0013】エマルジョンポリマー粒子の主鎖骨格を構
成する任意のモノマーとしては分子内に二重結合を有
し、通常のラジカル共重合可能なものであれば基本的に
全て利用できる。その中でも特に一般的な乳化重合法に
利用される各種のアクリル、メタクリル系モノマーが反
応性が高いこと、沸点が低過ぎないため液中反応が容易
であること、共重合し易い事などの理由から非常に利用
価値が高い。また、これらのモノマーより合成されるエ
マルジョンポリマーは耐候性、耐アルカリ性に優れてい
るので塗料バインダー、接着剤、紙加工、繊維加工等広
範な用途に利用できる。さらにスチレン、酢酸ビニル系
モノマー類も利用価値が高い。特に酢酸ビニル系モノマ
ーから合成されるエマルジョンポリマーは接着剤及び特
殊塗料用として利用することができる。勿論、上記アク
リル、メタクリル系モノマーとビニル系モノマーの共重
合エマルジョンも実用上、応用範囲が広い。
【0014】本発明に係る分子内にアクリロイル若しく
はメタクリロイル基と水酸基、カルボキシル基、アミ
ン、アミド等の活性水素基をそれぞれ一個以上有する化
合物としては市販品として入手可能な多品種で種々のグ
レードのものが使用可能である。代表的には例えば、ア
ニオン系モノマーとして、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン
酸及びこれらの化合物を共重合成分とする任意のオリゴ
マー類等が挙げられる。カチオン系モノマーとして例え
ば、アクリル酸アミノアルキル及びメタクリル酸アミノ
アルキルエステル酸、アクリルアミド、N−メチロール
アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リルアミド、N−イソプピルアクリルアミド等のアミド
系モノマー類が挙げられる。
【0015】乳化重合によるエマルジョンポリマー合成
プロセスにおいて用いられる乳化剤としては通常のO/
W型エマルジョンを形成できるものであれば何れでも良
い。例えば、アルキル硫酸塩、α−オレフィン硫酸塩、
アルキルスルホネート塩、ポリオキシエチレンアルキル
硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフ
タレンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、第4級
アンモニウム塩、ポリオキンエチレンアルキルアミン等
のカチオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエ
ステル等のノニオン系界面活性剤が単独、又はこれらの
混合物で用いられる。
【0016】前記界面活性剤水溶液としては前述の各種
モノマーと共重合し得るモノマー系の種類、特にノニオ
ン系界面活性剤を使用するに当たってはモノマーの親水
・疎水性の度合いにより適当なHLB値のものを選択す
る必要がある。また、添加量は目的とするポリマー粒子
の粒子径により適宜、増減すれば良いが、通常は0.1
〜10重量%が好ましい。
【0017】ラジカル重合開始剤、又は一般に常温反応
用として用いられるものとしては過硫酸カリ、過硫酸ア
ンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイル
パーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−
ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、ラウリルパーオキサイド等が、また、常温反応用
としてのレドックス系重合開始剤として前記の化合物と
重複する組み合わせを含めた適当な例として、ベンゾイ
ルパーオキサイド、t−ブチル過安息香酸、ラウロイル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、メチルエチ
ルケトンパーオキサイド等が挙げられ、これらの促進剤
としてはジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチ
ル−p−トルイジン、n−ドデシルメルカプタン、アス
コルビン酸、ナフテン酸コバルト、オクチン酸コバルト
等が挙げられる。これらの開始剤、触媒の添加量は一般
的にポリマー組成物当たり0.1〜4.0重量%の量で
最終組成物中に配合させることが好ましい。
【0018】以上、本発明に使用できる主な構成材料を
記述したが、続いて具体的に照射硬化型水性樹脂の製造
方法について説明する。
【0019】モノマー混合物の乳化方法は一般的な乳化
重合法の工程と同様のものであるが、以下、本発明によ
る材料の配合及び製造プロセスの代表例を順を追って説
明する。
【0020】1)まず、エマルジョンポリマー粒子の主
鎖骨格を構成する任意のモリマー一種以上とm−イソプ
ロペニル−α,αジメチル ベンジル イソシアナート
を混合する。 2)重合反応容器中に乳化重合の媒体である水と乳化剤
を仕込み、乳化剤を水中に溶解する。 3)次に上記2)の水溶液中に上記1)のモノマー混合
物(油相)を攪拌しながら良く混ぜ合わせ、乳化する。
その後、この乳化液中にラジカル重合開始剤を添加し、
重合系内を充分にN2 ガス置換した後、昇温を開始させ
て一定時間乳化重合反応を行なう。また、乳化重合反応
はm−イソプロペニル−α,αジメチルベンジル イソ
シアナートを他のモノマー成分とは別に重合反応中に逐
次、系内に滴下することにより、エマルジョンポリマー
粒子組成をコントロールする方法がより有効である。特
に上記化合物は分子内にイソシアナート基を有するた
め、重合開始剤はレドックス開始剤を用い、低温下重合
反応を行なうことが好ましい。また、反応終了後、若干
の残留モノマー臭がする場合にはこれらのモノマーを減
圧蒸留等の方法で除去するのが良い。 4)上記3)でイソシアナート基を分子内に有するエマ
ルジョンポリマー粒子の合成終了後、該エマルジョンポ
リマー分散液中に、分子内にアクリロイル若しくはメタ
クリロイル基と水酸基、カルボキシル基、アミン、アミ
ド等の活性水素基をそれぞれ一個以上有するモノマー、
又はオリゴマーを一種又は一種以上加え、これらの活性
水素基とイソシアナート基を反応させてポリマー粒子に
アクリロイル基若しくはメタクリロイル基から成る不飽
和二重結合を導入することによって紫外線、電子線硬化
性を付与する。この場合、活性水素基濃度はイソシアナ
ート基と等モル量とすることが好ましい。紫外線硬化型
水性樹脂とするには水溶性光ラジカル開始剤を上記アク
リル又はメタクリル変性エマルジョンポリマー分散液に
溶解するか、あるいは油溶性光ラジカル開始剤の水系乳
化物を調整し、これを添加することによって得られる。
また、電子線硬化性は光ラジカル発生剤のような触媒を
用いなくても、電子線のみのエネルギーによってラジカ
ルを発生させることができるため、前記アクリル若しく
はメタクリル変性エマルジョンポリマー分散液のみで架
橋・硬化させることができる。
【0021】
【作用】以上のように、本発明においては一般的な乳化
重合法により得られるエマルジョンポリマー粒子の共重
合成分として、m−イソプロペニル−α,αジメチルベ
ンジル イソシアナートを導入することによって、ま
ず、ポリマー粒子内にイソシアナート基を含有する反応
性エマルジョンポリマーを合成する。この化合物のイソ
シアナート基は3級炭素に結合している構造上の特徴か
ら耐加水分解性に優れ、乳化重合反応終了後におけるイ
ソシアナート基の保持率及び経時安定性が優れている。
次に、上記イソシアナート基含有エマルジョンポリマー
粒子のイソシアナートと分子内に活性水素基を有するア
クリレート、又はメタクリレートモノマー若しくはオリ
ゴマーの活性水素基とを反応させることにより、このエ
マルジョンポリマー粒子をアクリル、又はメタクリル変
性し、紫外線及び電子線硬化性を導入する。したがっ
て、乳化重合法によってポリマーの高分子量、微小粒子
径等の利点を有する照射硬化型水性樹脂が得られる。
【0022】
【実施例】 <実施例1> (工程1)エマルジョンポリマー粒子主鎖骨格成分とし
てメタクリル酸メチル10.0g、メタクリル酸n−ブ
チル10.0gを用い、これらのモノマーを室温下で充
分に混合した。
【0023】(工程2)次にイオン交換処理を経た蒸留
水60g中に、乳化剤としてラウリル硫酸エステルナト
リウム塩0.3gとポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル(H.L.B.価:15.7)を溶解した。
【0024】(工程3)工程2で得られた乳化剤水溶液
を250cc、三つ口フラスコに移した後、さらに工程
1のモノマー混合液(油相)を加え、良く攪拌・混合
し、このエマルジョン分散液にピロ亜硫酸カリウム0.
05gを添加した後、窒素雰囲気下で攪拌しつつ、約1
0分かけて40℃に昇温した。昇温後、過硫酸アンモニ
ウム10%水溶液0.5gを系内に加えることによって
乳化重合反応を開始した。過硫酸アンモニウム添加後、
1時間経過した時点でm−イソプロペニル−α,αジメ
チルベンジルイソシアナートモノマー2.0gを約30
分かけて反応系内に滴下し、その後、18時間反応させ
ることによりポリマー粒子内にイソシアナート基を含有
する反応性エマルジョンポリマーを合成した。
【0025】(工程4)工程3で得られた反応性エマル
ジョンポリマー分散液を攪拌しながら50℃に昇温し
た。その後、そのエマルジョンポリマー分散液中にアク
リル酸2−ヒドロキシエチル1,2gを約30分かけて
滴下した後、20時間、加熱・攪拌を継続することによ
りポリマー粒子のイソシアナートをアクリル変性し、紫
外線及び電子線硬化性を付与した。生成物には若干の残
留アクリルモノマー臭が残ったため、これらを減圧蒸留
によって除去した。得られた分散液は安定で乳白色を呈
し、レーザー散乱法による体積平均粒子径は約95nm
であった。また、この分散液を厚さ2.5mmのZn−
Se、FTIRセル上に適量、滴下し、60℃、30分
のオーブン乾燥により、膜を作製した後、約2250〜
2260cm-1に見られる残留イソシアナートの吸収を
確認したが、合成中に全て消費されており、吸収ピーク
は観測されなかった。
【0026】(工程5)工程4より得られたアクリル変
性エマルジョンポリマー分散液に水溶性光重合開始剤と
してイルガキュア2959(チバガイギー社製)0.7
gを溶解し、紫外線硬化性水性樹脂分散液とした。この
分散液を厚さ2mmのガラス板上に膜厚10μmとなる
ようにワイヤーバーで塗工し、オーブンで60℃、3分
乾燥を行なった後、80W高圧水銀灯によって積算光量
600mJ/cm2 の紫外線を照射することにより上記
塗膜を硬化した。この硬化塗膜の性能を以下の方法によ
って評価した。
【0027】1)耐溶剤性:塗膜試験片(幅4mm,長
さ10mm)をトルエン、アセトンに3日間、浸漬した
後、その溶剤に対するフィルムの膨潤度を以下の方法に
て評価した。 溶剤による膨潤度=LS /LOO :硬化時のフィルム長さ LS :溶剤膨潤後のフィルム試料長さ 2)耐水性:塗膜試験片を室温下、水中に3日間、浸漬
した後、膜の白化度合いを目視観察にて評価した。 3)耐酸性:酢酸(5%水溶液)を塗膜上に滴下した
後、時計皿でカバーし、6時間後、表面状態を目視観察
した。 4)耐アルカリ性:炭酸ソーダ(1%水溶液)を塗膜上
に滴下した後、時計皿でカバーし、6時間後、表面状態
を目視観察した。
【0028】<実施例2>実施例1で得られた照射硬化
型水性樹脂に光重合開始剤を添加せずに実施例1と同様
の方法、条件でガラス板上に塗膜を形成し、熱乾燥を経
た後、塗膜側から加速電圧200keVの電子線を吸収
線量4Mradの条件で照射することによって塗膜を硬
化した。実施例1と同様に表面の光沢が優れ、硬い架橋
塗膜が得られた。
【0029】<比較例1>実施例1に使用したm−イソ
プロペニル−α,αジメチル ベンジル イソシアナー
トの代わりに、一分子中にビニル重合性二重結合と脂肪
族イソシアナート基を持った二官能性モノマーである2
−メタクリロイルオキシエチルイソシアナートを用い、
材料の配合方法、合成条件等を実施例1の工程1〜3と
全く同じ条件としてエマルジョンポリマーを合成した。
合成終了後、上記エマルジョンポリマーの残留イソシア
ナートの有無を確認するために実施例1と同様のFTI
R測定を行なったが、そのピークは検出できなかった。
上記化合物のイソシアナート基は速やかに加水分解を受
けたものと思われる。
【0030】<比較例2>
【0031】(工程1)実施例1において工程1、工程
3に記載の各モノマー成分を用い、有機溶媒中で以下の
処方でイソシアナート基含有反応性ポリマー共重合体溶
液を得た。 ・メタクリル酸メチル ・・・・・10.0g ・メタクリル酸m−ブチル ・・・10.0g ・m−イソプロペニル−α,αジメチル ベンジル イ
ソシアナート・・・2.0g ・トルエン・・・・・35.0g ・メチルエチルケトン・・・50.0g ・過酸化ベンゾイル ・・・0.15g 上記処方の合成方法は、まず、250ccの三つ口フラ
スコに各モノマー成分のトルエン/メチルエチルケトン
溶液を仕込んだ後、重合開始剤として過酸化ベンゾイル
を添加し、これを完全に溶解した後、窒素雰囲気下で攪
拌しつつ、約15分かけて80℃に昇温し、18時間反
応を行なった。粘稠なポリマー溶液が得られた。重量法
により得られたポリマーの転化率を測定したところ、約
91.2%であった。
【0032】(工程2)工程1で得られたポリマー溶液
を攪拌しながら50℃に昇温し、その後、ポリマー溶液
中にアクリル酸2−ヒドロキシエチル1.2gを約30
分かけて滴下した後、20時間、加熱・攪拌を継続する
ことにより該ポリマーのイソシアナート基をアクリル変
性し、紫外線及び電子線硬化性を付与した。その後、生
成物の溶媒を減圧蒸留によって除去した後、さらに室温
下で真空乾燥を行なうことにより残留溶媒並びに残留モ
ノマーを完全に除去し、高粘度のあめ状ポリマーを得
た。実施例1の工程4と同様の方法にて得られたポリマ
ーの残留イソシアナートをFTIRによって調べたが、
合成中に全て消費されており、ピークは観測されなかっ
た。
【0033】(工程3)実施例1の工程2で調整した乳
化剤水溶液の、実施例1と同量を、高粘度用ホモジナイ
ザーヘッドをセットした300ccフラスコに移し、こ
れを80℃に加熱した。次に工程2より得られたアクリ
ル変性ポリマーを80℃の加熱によって溶解し、前記乳
化剤水溶液中に約30分かけて添加しながらホモジナイ
ザーにより回転数7000rpmで乳化した。得られた
ポリマー分散液の粒子径は約0.2μm〜20μmの広
い範囲に分布しており、数時間の放置によって粒子の沈
降が見られた。さらに、この沈降粒子は経時とともに再
分散が困難になることが観察された。
【0034】(工程4)工程3より得られたアクリル変
性エマルジョンポリマー分散液に、実施例1の工程5で
使用した光重合開始剤を等量添加し、さらに、同様の方
法及び条件によって紫外線硬化塗膜を作製し、膜の物性
を評価した。
【0035】以上の実施例1、2及び比較例1、2の結
果を(表1)に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】上述の実施例の説明からも明らかなよう
に、本発明ではm−イソプロペニル−α,αベンジル
イソシアナートの分子構造上の特徴から得られる加水分
解耐性に着目し、一般的な乳化重合法により得られるエ
マルジョンポリマー粒子の共重合成分として上記化合物
を導入した後、そのイソシアナート基をさらにアクリル
若しくはメタクリル変性することによって、紫外線及び
電子線硬化製を持つ水性樹脂を得られるので、従来の熱
架橋型エマルジョンポリマーでは達成が困難である速硬
化性、無臭性等が得られる。
【0038】さらに、従来の照射硬化型水性樹脂組成物
と比較して、強制乳化型の欠点である製造条件のバラツ
キによる粒子形態の変化や水溶型における材料設計の自
由度の制限という問題点を解決することが可能な耐溶剤
性、耐水性、耐酸・耐アルカリ性、塗膜の可燒性、膜強
度等の物性バランスが優れた照射硬化型水性樹脂が得ら
れる。
【0039】また、本発明による水性塗工剤は基本的に
一液タイプであるため、使用後、余った塗液の再使用が
可能で経済性が優れており、かつ大気汚染防止のための
設備投資を大幅に削減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 175/16 PDZ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乳化重合法により得られるエマルジョンポ
    リマー共重合成分の中、少なくとも一成分が下記(化
    1)にて示されるm−イソプロペニル−α,αジメチル
    ベンジル イソシアナートで構成されるエマルジョン
    ポリマー粒子において、該エマルジョンポリマー粒子が
    含有する前記化合物のイソシアナート基を分子内にアク
    リロイルもしくはメタクリロイル基と活性水素基をそれ
    ぞれ一個以上有するモノマーもしくはオリゴマーの活性
    水素基により反応させることによって得られる照射硬化
    型水性樹脂。 【化1】
  2. 【請求項2】分子内にアクリロイルもしくはメタクリロ
    イル基と活性水素基をそれぞれ一個以上有するモノマー
    もしくはオリゴマーの活性水素基が水酸基、カルボキシ
    ル基、アミン、アミドであることを特徴とする請求項1
    記載の照射硬化型水性樹脂。
JP6249216A 1994-10-14 1994-10-14 照射硬化型水性樹脂 Pending JPH08113627A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109486387A (zh) * 2018-09-30 2019-03-19 佛山阳光逸采涂料科技有限公司 一种uv led水性紫外光固化金属涂料及其制备方法

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CN109486387A (zh) * 2018-09-30 2019-03-19 佛山阳光逸采涂料科技有限公司 一种uv led水性紫外光固化金属涂料及其制备方法

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