JPH081134Y2 - 自動車給油管 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は給油口に近い部分に給油の際に開口する給油
制限シャッターや燃料タンク内の燃料蒸気を大気中へ排
出しないようにバイパス経路等を設けた給油管の改良に
関するものである。

〈従来の技術〉 自動車給油管の給油口に近い部分には、弁部品やシー
ル材等の種々の部品が組付けられる。その様子は例えば
実開昭61-125829号や実開昭61-127024号にみられる。こ
れらでも明らかであるが、最近では給油時にタンク内の
燃料蒸気が大気を汚染するのを防ぐために、燃料蒸気を
特別に設けられた通気回路を経て触媒方向へと導く構造
がとられ、給油口の近くにそのための切替弁を設ける例
も多い。

〈考案が解決しようとする問題点〉 自動車給油管の給油制限シャッター付近は、従来のよ
うにシンプルな構造のものは少なく、種々の部材で構成
された複雑な構造となっており、組付けも容易でなく、
組付け順位の問題、防錆処理が困難、組付けや仕上加工
時の内部シールゴム、プラスチック部材等への熱的影響
や汚れ等を避けることができなかった。

〈問題点を解決するための手段〉 そこで本考案においては、次のような構造とすること
により上記問題点を解決したのである。

すなわち、給油ノズルで開閉する給油制限シャッター
（２）を有する付近で給油管を上部給油管（1a）と下部
給油管（1b）とに分割し、上下部給油管（1a）（1b）の
それぞれに接続フランジ部（3a）（3b）を設け、少なく
とも一方の接続フランジ部をケーシング形状に形成して
両接続フランジ部（3a）（3b）間に給油制限シャッター
（２）や他のシール部材等の組込みスペース（４）を形
成し、両接続フランジ部（3a）（3b）により前記組込み
スペース（４）周囲を被覆すると共にファスナー（５）
により一体化した構造としたことを特徴とする。

ここにいう給油管を上部給油管（1a）と下部給油管
（1b）とに分割するとは、給油口近くの給油管を基部と
先部に分割した構造をいう。

組込みスペース（４）とは給油制限シャッター（２）
や他のシール部材等の全部又はそれらの一部を組付ける
に十分な上部給油管（1a）と下部給油管（1b）間に形成
された間隙である。

接続フランジ部（3a）（3b）は上部給油管（1a）の基
部側と下部給油管（1b）の先部側のそれぞれに給油管径
よりも大径に設けられたフランジであって、一方を蓋状
に形成し、他方をケーシング状に形成、又は双方をケー
シング状に形成することによって、前記給油制限シャッ
ター（２）や他のシール部材等の組込みスペース（４）
の周囲を被覆可能とした構造である。

ファスナー（５）は接続フランジ部（3a）（3b）の部
分で上部給油管（1a）と下部給油管（1b）の両者を締結
等の手段によって接続する機能を有した、例えばボルト
ナット、ビス、フック等をいう。

〈作用〉 このような構造であると、給油口近くの給油管を製造
時に別体で作ることができ、また、上部給油管（1a）を
共通仕様として製作し、車種によって複雑に異なる下部
給油管（1b）に組付けることができる。そして、給油管
の拡管により上部を形成する必要がなく、組付け時に熱
や表面処理及びゴミの影響を受けないで組むことができ
る。更に、ケーシング形状に形成した接続フランジ部に
よって、給油制限シャッター等の組込みスペースを形成
することができ、そのスペースへ容易に給油制限シャッ
ター（２）や他のシール部材等の組込みが可能であり、
従来のように給油管の上部付近を拡管して製作する必要
がない。

〈実施例〉 以下図面によって本考案の実施例を詳細に説明する。

第１図は本考案の自動車給油管の実施例を示すもので
第２図中Ａ−Ａ断面図であり、第２図は同平面図であ
る。

この例の自動車給油管は給油口（６）の近傍に蒸気排
出管（７）とその弁体（８）が設けられているタイプの
ものである。弁体（８）は通常はバネ（９）により閉鎖
側へ付勢されているが、給油時に給油ガンによって給油
制限シャッター（２）が押されると、それと同軸に設け
られた弁開閉レバー（10）が回動して開く構造である。
給油制限シャッター（２）と弁開閉レバー（10）との間
にはバネ（14）が介在して、弁開閉レバー（10）を常時
閉止すると共に給油制限シャッター（２）による押圧力
をも調整している。給油制限シャッター（２）の隣りに
はバネにより付勢されたリリーフバルブ（11）も設けら
れており、燃料タンクの内圧が異常に高くなった時、自
動的に開いて危険を回避する。給油ガンの挿入時のシー
ル性は、従来のように給油ガン差込時にその周囲を密封
するリング状のシールゴム（13）による。

上記のような機構を本考案では給油口近くで２分割さ
れた給油管の上部給油管（1a）と下部給油管（1b）の間
に設置している。各部材は主に組込みスペース（４）に
収容し得る組付け容易なプラスチック製のベース（12）
に取付けられている。

多数の部材が組込まれたスペース（４）の周囲は上部
給油管（1a）と下部給油管（1b）の両者に設けられた上
部接続フランジ（3a）と下部接続フランジ（3b）とによ
って被覆されている。この例では上部接続フランジ部
（3a）は平面蓋状であり、下部接続フランジ部（3b）は
椀形ケーシング形状に形成されている。接続フランジ部
（3a）（3b）のいずれも上部給油管（1a）と下部給油管
（1b）のそれぞれにスポット溶接やカシメによって固着
することができる。

〈考案の効果〉 本考案の自動車給油管は以上のような構造であるか
ら、上部給油管を共通使用することができ、下部給油管
を車種によって変えることができる。製造の際に従来の
ように給油管の給油口付近を拡管して上部給油管付近を
製作する必要がなく、また、防錆処理も容易である。内
部のゴムやプラスチック部材を熱や表面処理及びゴミの
影響を受けない行程で組み付けることができる。更にこ
れらが鋼材により被覆された構造であるから衝突等によ
る衝撃に強い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の自動車給油管の実施例を示すもので第
２図中Ａ−Ａ断面図であり、第２図は同平面図である。 （1a）……上部給油管、（1b）……下部給油管 （２）……給油制限シャッター （3a）……上部接続フランジ部 （3b）……下部接続フランジ部 （４）……シール部材等の組込みスペース （５）……ファスナー、（６）……給油口 （７）……蒸気排出管、（８）……弁体 （９）（14）……バネ、（10）……弁開閉レバー （11）……リリーフバルブ、（12）……ベース （13）……リング状のシールゴム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】給油ノズルで開閉する給油制限シャッター
   （２）を有する付近で給油管を上部給油管（1a）と下部
   給油管（1b）とに分割し、上下部給油管（1a）（1b）の
   それぞれに接続フランジ部（3a）（3b）を設け、少なく
   とも一方の接続フランジ部をケーシング形状に形成して
   両接続フランジ部（3a）（3b）間に給油制限シャッター
   （２）や他のシール部材等の組込みスペース（４）を形
   成し、両接続フランジ部（3a）（3b）により前記組込み
   スペース（４）周囲を被覆すると共にファスナー（５）
   により一体化してなることを特徴とする自動車給油管。