JPH08110783A - オーディオ信号伝送回路及びコンボルバの係数演算装置 - Google Patents

オーディオ信号伝送回路及びコンボルバの係数演算装置

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JPH08110783A
JPH08110783A JP27167394A JP27167394A JPH08110783A JP H08110783 A JPH08110783 A JP H08110783A JP 27167394 A JP27167394 A JP 27167394A JP 27167394 A JP27167394 A JP 27167394A JP H08110783 A JPH08110783 A JP H08110783A
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JP
Japan
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audio signal
convolver
amplitude
response
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Application number
JP27167394A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Udagawa
智之 宇田川
Yasuo Sato
康夫 佐藤
Hidetoshi Naruki
秀敏 成木
Takeo Tsubooka
健男 坪岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スピーカやヘッドホンで避けられなかった音
像のゆがみを除去して振幅と位相を同時に補正し伝送特
性の所定の中域の周波数帯域のみを一定に保ち忠実な源
音質を再現することにより、自然なオーディオ信号を楽
しむことができるオーディオ信号伝送回路及びオーディ
オ信号伝送系に設けたコンボルバの係数を求めるコンボ
ルバの係数演算装置を得る。 【構成】 切換器7L、7Rを制御してスピーカ4L、
4Rの応答特性を実測し、コンボルバ2L、2Rの補正
フィルタ係数を求めるとともに、求めた係数をコンボル
バ2L、2Rに与えて畳み込み演算することによりスピ
ーカの補正を行うように制御する際、特定特性のインパ
ルス応答f0(t) をスピーカ特性に依存して所定の中域
の周波数帯域のみがフラットであるように選択し、コン
ボルバ2L、2Rのフィルタ係数に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーディオ信号伝送回
路に関し、より具体的には、ハイファイオーディオ装置
のスピーカの応答特性の補正を行い、忠実な原音質を再
現するオーディオ信号伝送回路及びオーディオ信号伝送
系に設けたコンボルバの係数を求めるコンボルバの係数
演算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、忠実な原音質を再現するためのオ
ーディオ信号伝送回路として、様々な方法が取り組まれ
ている。例えば特開昭61−195099号公報では、
「実用面から聴感上の補正を入れてコンボルバの加重係
数を計算することにより、聴感上最良の音響再生系を得
る」ものが開示されている。これは、伝送系路にコンボ
ルバを設けることにより、音像の位置の設定あるいは音
場・音色(イコライザ)の設定を自由に行うものである
が、スピーカの応答特性の補正の方法については言及さ
れていない。
【0003】また、特開昭63−281510号公報で
は、「振幅周波数特性および位相周波数特性を持つ伝達
関数を逆フーリエ変換してインパルス応答を計算し、得
られたフィルタ係数をトランスバーサル・フィルタに設
定することにより、希望の特性を得る」ものが開示され
ている。これは、スピーカの応答特性の補正を意図した
ものであるが、逆フーリエ変換してインパルス応答を計
算する際の計算の改良を目的としたもので、単にスピー
カの特性を平坦に補正しようとしたものである。
【0004】さらに、特開平2−272819号公報の
従来例によると、IIR型フィルタでスピーカの群遅延
周波数特性を平坦に補正する際に、過渡応答演算手段
と、過渡応答時間の長い周波数成分を検出する検出手段
とを設け、その周波数成分以外に群遅延補正を施して相
対的に応答時間の長い周波数成分をなくすことによっ
て、過渡応答における周波数間の相互作用を低減する技
術が開示されているが、これは、帯域内のあばれに対応
したもので、帯域内の特定の周波数における特性を積極
的に補正対象から外し、IIR型フィルタ特有の相互作
用を軽減したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の特開
昭61−195099号公報では、スピーカの応答特性
の補正の方法についての言及はなく、また、振幅特性と
位相特性をともに平坦(フラット)にするように測定・
解析を行うことにより、例えば高域周波数における補正
については、測定系に使用しているD/Aコンバータの
エリアス除去フィルタの特性が測定データに含まれるた
め、この高域の部分を急激に持ち上げる特性となり、実
際に補正したものを試聴してみると明らかに歪の補正が
感じられず、むしろ歪の多い音質になることがわかる。
【0006】また、特開昭63−281510号公報で
は、低域周波数領域でスピーカの動作限界以下の周波数
まで平坦に保とうとするため、低域に歪が増長して聞こ
えてしまう。
【0007】さらに、特開平2−272819号公報の
従来例では、帯域内のあばれの補正限界を検知させて補
正のエラーを最小にすることはできるが、スピーカ特有
の低域周波数領域でスピーカの動作限界以下の周波数ま
で平坦に保つことによる低域(帯域:スポットではな
い)における歪増長については何等対策が考えられてい
なかった。
【0008】本発明はかかる従来例の問題点を解消する
ためになされたもので、スピーカやヘッドホンで避けら
れなかった音像のゆがみを除去して、振幅と位相を同時
に補正し伝送特性の所定の中域の周波数帯域のみを一定
に保ち、忠実な原音質を再現することにより、自然なオ
ーディオ信号を楽しむことができるオーディオ信号伝送
回路及びオーディオ信号伝送系に設けたコンボルバの係
数を求めるコンボルバの係数演算装置を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のオーディオ信号伝送回路は、音源からの信
号を、設定された係数に応じて畳み込み演算処理して出
力するコンボルバと、トランスデューサを含む所定の測
定系を用い、前記トランスデューサに所定音源からのオ
ーディオ信号を与えて、前記トランスデューサ近傍の測
定位置において予め測定されたインパルス応答波形h
(t)を基にして、前記測定位置における前記インパル
ス応答波形h(t)の特定特性のインパルス応答f
0(t)が所定の中域のみが平坦になり、かつ前記中域
より高い帯域及び低い帯域の一方又は双方で前記インパ
ルス応答波形h(t)の特性と略同一となるよう処理さ
れて、算出された逆フィルタ用係数を前記コンボルバに
供給する係数供給手段とを、有する。
【0010】また、本発明のコンボルバの係数演算装置
は、オーディオ信号伝送系に送出する測定信号を発生す
る測定信号発生手段と、前記測定信号に基づいたオーデ
ィオ信号伝送系の応答である振幅特性を求める応答特性
測定手段と、その応答特性測定手段により求められた応
答特性のうち所定の中域の周波数帯域のみの振幅を平坦
に置き換えたターゲット特性を決定するとともに前記オ
ーディオ信号伝送系の応答が前記ターゲット特性に収束
するようにオーディオ信号伝送系内に設けたコンボルバ
のフィルタ係数を求める演算手段とを備えたことを特徴
とするものである。
【0011】さらに、前記演算手段により、所定の中域
の周波数帯域のみの振幅を平坦に置き換えたターゲット
特性を第1のターゲット特性とするのに対し、所定の中
域の周波数帯域より低い帯域及び高い帯域においては、
応答特性の振幅を所定の割合でロールオフするようにし
て第2のターゲット特性を決定し、これら第1と第2の
ターゲット特性に対応するコンボルバの第1と第2のフ
ィルタ係数をそれぞれ算出し、その第1と第2のフィル
タ係数の設定に基づいた特性測定をそれぞれ行うことに
より補正された第1と第2の振幅特性を求め、その第1
と第2の振幅特性のうち偏差値のピークをそれぞれサー
チして、求められたそれら偏差値のピークを比較して偏
差が少ない方のフィルタ係数を選択すべく判定すること
を特徴とするものである。
【0012】
【実施例】
第1実施例 図1は本発明のオーディオ信号伝送回路の一実施例を示
す構成図である。図1において、2チャンネルステレオ
方式の音源1L、1Rは所定のオーディオ信号ソースで
ある。スピーカの応答特性を補正して振幅及び位相特性
を同時に補正するためのコンボルバ2L、2Rと、アン
プ3L、3Rがスピーカ4L、4Rと音源1L、1Rの
間に設けられている。15は後述する切換器を切換制御
してスピーカ4L、4Rの応答特性を実測してコンボル
バの補正フィルタ係数を求めるとともに、その求めた補
正フィルタ係数をコンボルバ2L、2Rに与えて畳み込
み演算することによりスピーカの補正を行うように制御
する制御部である。スピーカ4L、4Rの応答特性の実
測に基づいて求めた補正フィルタ係数を記憶するための
メモリ16が設けられており、制御部15の制御に基づ
いてスピーカ4L、4Rの応答特性を実測時にはオーデ
ィオ信号の伝送系路からコンボルバ2L、2Rを切り離
し、スピーカ4L、4Rの応答特性の補正時にはオーデ
ィオ信号の伝送系路にコンボルバ2L、2Rを設けるよ
うに切り換えるための切換器7L、7Rが設けられてい
る。
【0013】すなわち、図1に示す構成は、スピーカ4
L、4Rのインパルス応答を測定し、スピーカ4L、4
Rの特性を打ち消し平坦な特性に補正すべく、オーディ
オ信号の伝送系路に設けたコンボルバ2L、2Rのフィ
ルタ係数を計算制御することにより、振幅と位相を同時
に補正して伝送特性の所定の帯域のみを一定に保ち、音
質の改善を図って忠実な原音質を再現するようにして、
例えばスピーカやヘッドホンで避けられなかった音像の
ゆがみを除去して自然なオーディオ信号を楽しむことが
できるようにするものである。
【0014】ここで、コンボルバ2L、2Rのフィルタ
係数は、図2に示す測定システムにより係数データとし
て演算される。すなわち、図2は、図1において、切換
器7L、7Rを端子ga、ha側にそれぞれ接続してコ
ンボルバ2L、2Rを設けない状態で、図示しない無響
室内で聴取位置に相当する測定位置に設けられたマイク
ロホン8により、この位置におけるスピーカ4L、4R
のインパルス応答を測定し、スピーカ4L、4Rの応答
特性を打ち消し、平坦な特性に補正すべく、オーディオ
信号の伝送系路に設けたコンボルバ2L、2Rのフィル
タ係数を算出し、畳み込み演算してスピーカ4L、4R
の応答特性を補正することにより振幅及び位相特性を同
時に補正する理想インパルス応答を実現するためのシス
テム構成図である。
【0015】図2において、11はデジタルデータとし
ての理想インパルスを送出するデジタルI/Oボード、
5はその理想インパルスを通過(スルーパス)又はコン
ボルバ処理するDSPユニット、6はDSPユニット5
の出力をD/A変換するD/Aコンバータ、7はその変
換された信号を増幅してスピーカ4L(又は4R)に入
力する増幅器、8はスピーカ4L(又は4R)から出力
された信号を取り込むマイクロホン、9はマイクロホン
8で取り込んだ信号を増幅する増幅器、10はその増幅
出力をA/D変換するA/Dコンバータで、上記A/D
コンバータ10からの出力は、デジタルI/Oボード1
1及びコンピュータ12を介してワークステーション1
3にインパルス応答として取り込まれ、補正をかける前
のスピーカ4L(又は4R)の特性測定が行われ、測定
したインパルス応答波形を元にフィルタ係数が係数デー
タとして演算出力される。なお、マイクロホン8の特性
は必要に応じて演算の過程で補正される。
【0016】すなわち、I/Oボード11は測定信号を
発生する測定信号発生手段を構成し、また、DSPユニ
ット5、D/Aコンバータ6、増幅器7、スピーカ4
L、マイクロホン8〜ワークステーション13の経路の
構成は測定信号に基づいたオーディオ信号伝送系の応答
である振幅特性及び位相特性を求める応答特性測定手段
を構成し、さらに、ワークステーション13は求めた応
答特性のうち所定の帯域の振幅をフラットに置き換えた
ターゲット特性を決定するとともにオーディオ信号伝送
系の応答が前記ターゲット特性に収束するようにオーデ
ィオ信号伝送系内に設けたコンボルバのフィルタ係数を
求める演算手段を構成しており、スピーカの特性を打ち
消しフラットな特性に補正して音質改善を図るシステム
を実現している。
【0017】図2に示す構成によるスピーカ4L、4R
のインパルス応答の測定は、無響室でマイクロホン8を
使って測定され、例えば4096回のサンプルを用い、
1000回の同期加算を行い誤差を抑えて測定される。
図3はかかる測定システムにより得られるインパルス応
答波形h(t)を示し、また、図4と図6に示す実線は
インパルス応答波形h(t)をフーリエ変換した振幅特
性と位相特性を示す。
【0018】ここで、図2に示すワークステーション1
3は、まず、フィルタ係数を求める際、図4に実線で示
す補正前の振幅特性ORIに対し、200Hzから20
000Hzの中域の周波数帯域のみフラットであり、か
つこの帯域外の低域及び高域の一方又は双方については
上記振幅特性ORIとほぼ同一になるような特性を点線
で示すターゲット特性TAGとして設定し、フィルタ係
数を算出する。すなわち、その測定特性ORI(インパ
ルス応答波形h(t)に係る振幅特性)に基づいて補正
した振幅特性である図4に点線で示す特定特性TAGの
インパルス応答f0(t) を求め、上記特定特性のイン
パルス応答f0(t) と上記インパルス応答波形h(t)
から得られる拡大行列Hと、その転置行列HTとf
0(t) を1列とした行列F0 によって、HTHG=HT
0を満たす1列からなる行列式Gの各要素を図1に示
すコンボルバ2Lと2Rのフィルタ係数g(n)とす
る。
【0019】以下に上記行列式の解について述べる。本
実施例では、上記の構成により行列式を満たす解を求め
ることで、時間軸上で一義的に応答波形が得られる。具
体的には、レビンソンアルゴリズムを用いた最小2乗法
(参考文献:「デジタルフィルタの応用入門」、日本音
響学会誌43巻4号(1987)、浜田晴夫)に従って
コンボルバの入力端と出力端で得られるインパルス応答
の差の2乗を最少とするようなフィルタ係数を得るもの
とする。
【0020】今、コンボルバのインパルス応答の離散係
数をg1、g2、・・・、gm-1 とすると、マイクロホン
位置での離散的応答f0、f1、・・・fn+m-2 は次式で
表せる。
【0021】
【数1】
【0022】ただし、hiは伝達特性、pはp=0、
1、・・・、n+m−2。式(1)を行列で表現すると、
【0023】
【数2】
【0024】となり、式(2)は、さらに、 F=HG と表現することができる。ここで、入力のインパルスF
0 とマイクロホン位置でのインパルス応答Fの差の2乗
を取り、評価関数Pとすると、 P=(F−F0T(F−F0) =(HG−F0T(HG−F0) =(GTT−F0 T)(HG−F0) =GTTHG−F0 THG−GTT0+F0 T0 となり、評価関数Pが最少となるためのコンボルバのイ
ンパルス応答Gを求めるために、
【0025】
【数3】
【0026】を演算する。ただし、Tは転置行列である
ことを表す。そして、式(4)=0から HTHG=HT0 (5) となるような解Gを決定すればよい。すなわち、フィル
タ係数を上式(5) のように設定することにより、伝送特
性が補正され、マイクロホン位置における振幅・位相特
性が所望の帯域において平坦になり、かつこの帯域外の
低域及び高域の周波数帯域においては実際のインパルス
応答波形と同一の特性が得られる。このようにして、振
幅特性及び位相特性は、図5及び図6に点線で示す如
く、200〜20000Hzの中域の周波数帯において
平坦な特性が得られることになり、忠実な原音質を再現
し、スピーカやヘッドホンで避けられなかった音像の歪
みを除去することができ、また、中域以外の低域及び高
域の周波数帯域では実際のスピーカ等測定系と同一の特
性が得られ、実際のスピーカの特性を考慮して適合させ
た自然なオーディオ信号を同時に楽しむことができる。
【0027】第2実施例 上記の第1実施例では、実測した振幅特性の所定の中域
の周波数帯域のみの振幅をフラットに置き換えたターゲ
ットを設定し、これに基づいてコンボルバのフィルタ係
数を求めるようにしたが、この第2実施例では、上述し
た第1実施例のターゲット特性を第1のターゲット特性
とするのに対し、所定の中域の周波数帯域より低い帯域
及び高い帯域においては、応答特性の振幅を所定の割合
でロールオフするようにした第2のターゲット特性を決
定し、これら第1と第2のターゲット特性に対応するコ
ンボルバの第1と第2のフィルタ係数をそれぞれ算出
し、その第1と第2のフィルタ係数の設定に基づいた特
性測定をそれぞれ行うことにより補正された第1と第2
の振幅特性を求め、その第1と第2の振幅特性のうち偏
差値のピークをそれぞれサーチして、求められたそれら
偏差値のピークを比較して偏差が少ない方のフィルタ係
数を選択判定する。
【0028】つまり、所定の中域の周波数帯域より低い
帯域及び高い帯域において、振幅特性が所定の割合でロ
ールオフするようにして低域を増強するとともに高域を
減衰させるようにし、いわゆるバス・トレブル特性を付
加してコンボルバのフィルタ係数を設定することによ
り、歪のない音質となるとともに所定の音質が得られ、
低域と高域の歪混入・増長を避けながら伝送経路の補正
が行える効果が期待できるが、この場合のフィルタ係数
の設定と第1実施例に係るフィルタ係数の設定に基づく
特性測定によって、同じ係数長によって所定のターゲッ
トに対する偏差が少ない方を選択して、実際のスピーカ
固有の特性に適合したものを得る。
【0029】図7は図2に示す測定システムを用いてワ
ークステーション13により上記の偏差の比較に基づい
てフィルタ係数を選択する制御動作を示すフローチャー
トである。まず、図2に示す測定システムにより、スピ
ーカの応答を測定する(ステップS61)。その実測結
果に基づいて第1実施例と同様に所定の中域の周波数帯
域のみの振幅をフラットに置き換えたターゲット特性を
第1のターゲット特性とするとともに、所定の中域の周
波数帯域より低い帯域及び高い帯域においては、応答特
性の振幅を所定の割合でロールオフするようにした第2
のターゲット特性を設定し(ステップS62a、S62
b)、これら第1と第2のターゲット特性に対応するコ
ンボルバの第1と第2のフィルタ係数をそれぞれ算出す
る(ステップS63a、S63b)。
【0030】次に、その第1と第2のフィルタ係数に基
づいた特性測定をそれぞれ行うことにより第1と第2の
振幅特性を求め、すなわち、オーディオ信号伝送系にイ
ンパルスを入力して算出されたフィルタ係数のコンボル
バを通すことにより第1と第2の振幅特性をそれぞれ求
め(ステップS64a、S64b)、その第1と第2の
振幅特性のうち偏差値のピークをそれぞれサーチして
(ステップS65a、S65b)、求められたそれら偏
差値のピークを比較し(ステップS66)、偏差が少な
い方のフィルタ係数を選択すべく判定する(ステップS
67、S68)。このようにすることにより、同じ係数
長によって所定のターゲットに対する偏差が少ない方を
選択して、実際のスピーカ固有の特性に適合したものを
得ることができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のオーディ
オ信号伝送回路によれば、測定マイクロホン位置におけ
るインパルス応答波形h(t)のスピーカを含むオーディ
オ信号伝送系にコンボルバを設け、測定マイクロホン位
置における特定特性のインパルス応答f0(t) が所定
の中域の周波数帯域のみがフラットであり、かつ該帯域
外では前記インパルス応答波形h(t)と略同一の特性に
するように設定するようにしたので、中域の周波数帯に
おいて平坦な特性が得られることになり、忠実な原音質
を再現し、スピーカやヘッドホンで避けられなかった音
像の歪みを除去することができるとともに、中域以外の
低域及び高域の周波数帯域では実際のスピーカ等測定系
と同一の特性が得られ、実際のスピーカの特性を考慮し
て適合させた自然なオーディオ信号を同時に楽しむこと
ができるという効果がある。
【0032】また、本発明のコンボルバの係数演算装置
によれば、オーディオ信号伝送系に送出する測定信号を
発生する測定信号発生手段と、前記測定信号に基づいた
オーディオ信号伝送系の応答である振幅特性を求める応
答特性測定手段と、その応答特性測定手段により求めら
れた応答特性のうち所定の中域の周波数帯域のみの振幅
をフラットに置き換えたターゲット特性を決定するとと
もに前記オーディオ信号伝送系の応答が前記ターゲット
特性に収束するようにオーディオ信号伝送系内に設けた
コンボルバのフィルタ係数を求める演算手段とを備えた
ので、スピーカの特性を打ち消しフラットな特性に補正
して音質改善を図るシステムを実現するのに適したコン
ボルバのフィルタ係数を比較的簡単に得ることができ
る。
【0033】さらに、前記演算手段により、所定の中域
の周波数帯域のみの振幅をフラットに置き換えたターゲ
ット特性を第1のターゲット特性とするのに対し、所定
の中域の周波数帯域より低い帯域及び高い帯域において
は、応答特性の振幅を所定の割合でロールオフするよう
にして第2のターゲット特性を決定し、これら第1と第
2のターゲット特性に対応するコンボルバの第1と第2
のフィルタ係数をそれぞれ算出し、その第1と第2のフ
ィルタ係数の設定に基づいた特性測定をそれぞれ行うこ
とにより補正された第1と第2の振幅特性を求め、その
第1と第2の振幅特性のうち偏差値のピークをそれぞれ
サーチして、求められたそれら偏差値のピークを比較し
て偏差が少ない方のフィルタ係数を選択すべく判定する
ようにしたので、同じ係数長によって所定のターゲット
に対する偏差が少ない方を選択して、実際のスピーカ固
有の特性に適合したフィルタ係数を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としてのオーディオ信号伝
送回路の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るコンボルバのフィルタ係数の測定
システムを示す構成図である。
【図3】補正前のインパルス応答波形を示す説明図であ
る。
【図4】図3のインパルス応答波形をフーリエ変換した
振幅特性及びターゲット特性を示す特性図である。
【図5】図3のインパルス応答波形をフーリエ変換した
振幅特性及び補正された振幅特性を示す特性図である。
【図6】図3のインパルス応答波形をフーリエ変換した
位相特性及び補正された位相特性を示す特性図である。
【図7】本発明の第2実施例としてのフィルタ係数の選
択動作を説明するもので、図2に示す測定システムを用
いてワークステーション13により第1と第2のターゲ
ット特性の設定に基づいた偏差の比較によりフィルタ係
数を選択する制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2L、2R コンボルバ 4L、4R スピーカ 5 DSPユニット(D/Aコンバータ6、増幅器7、
スピーカ4L、マイクロホン8、増幅器9、A/Dコン
バータ10、デジタルI/Oボード11、コンピュータ
12、ワークステーション13とともに応答特性測定手
段を構成する) 6 D/Aコンバータ 7、9 増幅器 7L、7R 切換器 8 マイクロホン 10 A/Dコンバータ 11 デジタルI/Oボード(測定信号発生手段) 12 コンピュータ 13 ワークステーション(演算手段) 15 制御部(メモリ16とともに係数供給手段を構成
する) 16 メモリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成木 秀敏 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 坪岡 健男 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音源からの信号を、設定された係数に応
    じて畳み込み演算処理して出力するコンボルバと、 トランスデューサを含む所定の測定系を用い、前記トラ
    ンスデューサに所定音源からのオーディオ信号を与え
    て、前記トランスデューサ近傍の測定位置において予め
    測定されたインパルス応答波形h(t)を基にして、前
    記測定位置における前記インパルス応答波形h(t)の
    特定特性のインパルス応答f0(t)が所定の中域のみ
    が平坦になり、かつ前記中域より高い帯域及び低い帯域
    の一方又は双方で前記インパルス応答波形h(t)の特
    性と略同一となるよう処理されて、算出された逆フィル
    タ用係数を前記コンボルバに供給する係数供給手段と
    を、 有するオーディオ信号伝送回路。
  2. 【請求項2】 オーディオ信号伝送系に送出する測定信
    号を発生する測定信号発生手段と、 前記測定信号に基づいたオーディオ信号伝送系の応答で
    ある振幅特性を求める応答特性測定手段と、 前記応答特性測定手段により求められた応答特性のうち
    所定の中域の周波数帯域のみの振幅を平坦に置き換えた
    ターゲット特性を決定するとともに前記オーディオ信号
    伝送系の応答が前記ターゲット特性に収束するようにオ
    ーディオ信号伝送系内に設けたコンボルバのフィルタ係
    数を求める演算手段と、 を有するコンボルバの係数演算装置。
  3. 【請求項3】 前記演算手段は、所定の中域の周波数帯
    域のみの振幅を平坦に置き換えたターゲット特性を第1
    のターゲット特性とするのに対し、所定の中域の周波数
    帯域より低い帯域及び高い帯域においては、応答特性の
    振幅を所定の割合でロールオフするようにして第2のタ
    ーゲット特性を決定し、これら第1と第2のターゲット
    特性に対応するコンボルバの第1と第2のフィルタ係数
    をそれぞれ算出し、前記第1と第2のフィルタ係数の設
    定に基づいた特性測定をそれぞれ行うことにより補正さ
    れた第1と第2の振幅特性を求め、前記第1と第2の振
    幅特性のうち偏差値のピークをそれぞれサーチして、求
    められたそれら偏差値のピークを比較して偏差が少ない
    方のフィルタ係数を選択すべく判定する手段を有する請
    求項2記載のコンボルバの係数演算装置。
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