JPH0810923A - 溶湯レベル測定装置 - Google Patents

溶湯レベル測定装置

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JPH0810923A
JPH0810923A JP14350994A JP14350994A JPH0810923A JP H0810923 A JPH0810923 A JP H0810923A JP 14350994 A JP14350994 A JP 14350994A JP 14350994 A JP14350994 A JP 14350994A JP H0810923 A JPH0810923 A JP H0810923A
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JP
Japan
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molten metal
mold
level
impedance
temperature
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JP14350994A
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English (en)
Inventor
Koji Fujiwara
弘次 藤原
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 連続鋳造用の鋳型内部の広範囲に亘る溶湯レ
ベルの測定を、高精度に、しかも高応答性を保って実現
する。 【構成】 溶湯3が注入される鋳型2の外側に所定の深
さ範囲に亘って検出コイル10を巻回し、低周波の交番電
流を流して、検出コイル10のインピーダンスをインピー
ダンス検出部14により検出してレベル演算部17に与え
る。検出コイル10の上下に補正コイル11,12を配し、こ
れらにも前記交番電流を流し、夫々の補正コイル11,12
のインピーダンスをインピーダンス検出部15,16により
検出してレベル演算部17に与える。レベル演算部17は、
検出コイル10のインピーダンス値に基づいて鋳型2内部
の溶湯3のレベルを演算し、この結果を補正コイル11,
12のインピーダンス値により温度補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造用の鋳型内部
の溶湯レベルを広範囲に亘って測定する溶湯レベル測定
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上下に開口を有する筒形の鋳型に溶融金
属(溶湯)を注入し、該鋳型に対応する断面形状を有す
る鋳片を連続的に製造する連続鋳造の操業においては、
鋳型からの溶湯の溢出、ブレークアウト等、安定操業を
阻害する各種の不都合の発生を未然に防止し、生産能率
の向上を図ると共に、鋳型内部での冷却,凝固状態を安
定化させ、製品鋳片の品質向上を図るべく、鋳型内部に
注入された溶湯のレベルを予め定めた目標レベルに維持
する湯面レベル制御が行われている。この湯面レベル制
御の実施に際しては、操業中に前記鋳型の内部に滞留
し、上下に変動する溶湯のレベルを高精度に測定する必
要がある。
【0003】また一方、以上の如き連続鋳造は、鋳型の
下側開口部をダミーバーにより閉塞して溶湯の注入を開
始し、ダミーバーの先端を疑似底として鋳型内部に滞留
する溶湯のレベルが所定の引き抜きレベルに達するのを
待ち、前記ダミーバーを引き抜く手順により開始され
る。このような連続鋳造の開始に際しては、ダミーバー
により閉塞された鋳型の底部から、前記引き抜きレベル
への到達までの間の広範囲に亘って生じる溶湯レベルの
変化を測定する必要がある。
【0004】このように連続鋳造の操業においては、鋳
型内部に滞留する溶湯のレベルを測定することが重要で
あり、従来においては、次に示す如き種々の溶湯レベル
測定装置が用いられている。
【0005】第1の測定装置は、鋳型上部に配したレベ
ル計により溶湯表面までの距離を測定する装置であり、
前記レベル計としては、溶湯表面に臨ませたコイルに高
周波電流を通電し、これにより溶湯表面に誘起される渦
電流を前記コイル又は別個に設けた検出用コイルのイン
ピーダンス変化を媒介として捉えるものと、溶湯の表面
に向けてレーザ光、マイクロ波、又は超音波を投射し、
前記表面からの反射を捉えるものとがある。
【0006】第2の測定装置は、鋳型の深さ方向に適宜
の間隔を隔てて埋設した複数の温度計(熱電対)により
鋳型の内壁銅板の温度分布を求め、この分布態様が大き
く変化する位置に溶湯表面が存在するとして溶湯レベル
を特定するようにした装置である。
【0007】第3の測定装置は、放射線を利用するもの
であり、鋳型の一側にこれの内部に向けてγ線を放射す
る線源を設ける一方、該線源と鋳型を挾んで対向する位
置にシンチレーションカウンタを配し、該カウンタによ
る計数量がγ線の伝播経路中に存在する減衰物質、即
ち、鋳型内部の溶湯の多少に応じて変化することにより
溶湯レベルを検出する装置である。
【0008】第4の測定装置は、鋳型の上部にアレイセ
ンサ又はビデオカメラを配し、これらにより鋳型内部を
撮像して、溶湯表面と鋳型内壁との輝度の相違を利用し
て溶湯レベルを特定する装置である。
【0009】更に、特開平4−238661号公報には、鋳型
の外側に、該鋳型を挾んで相対向する送信コイル及び受
信コイルの組を深さ方向に複数組設置してなる溶湯レベ
ル測定装置が開示されている。この装置は、各送信コイ
ルへの通電に伴う形成磁場の作用により対応する受信コ
イルに誘起される電圧を調べ、この誘起電圧が、両コイ
ル間に存在する磁性体、即ち、鋳型内部の溶湯の有無に
応じて変化することを利用して溶湯レベルを得ようとし
たものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】さて、前述した4種の
測定装置の内、第1の測定装置は、他の3種に比して応
答性及び検出精度に優れており、操業中に細かく変動す
る溶湯レベルを検出対象とする湯面レベル制御において
は、制御精度の向上を図るべくこの種の測定装置が専ら
用いられている。なお、操業中の鋳型の内部には、溶湯
表面の酸化防止、該表面からの熱放散の防止、及び鋳型
の内壁と鋳片との間での潤滑性の改善等の目的でパウダ
が投入されており、レーザ光、マイクロ波、又は超音波
の反射を捉えるレベル計を用いた場合、溶湯の表面を覆
う前記パウダの表面が検出対象となることから検出精度
の向上に限界があり、一般的には、溶湯自体に発生する
渦電流を捉える渦電流式のレベル計が用いられている。
【0011】また渦電流式のレベル計の検出域は前記コ
イルの直径に依存し、この直径を大きくした場合、周囲
に存在するタンディッシュ、鋳型、及び両者間に介在す
る浸漬ノズルによる外乱を受けることから、高い検出精
度を維持したままでの検出域の拡大に限界がある。即
ち、第1の測定装置である渦流レベル計は、連続鋳造の
操業開始に際し、鋳型の底部から引き抜きレベルまでの
間の広範囲に亘って変化する溶湯レベルの測定には適用
できない。
【0012】これに対し第2の測定装置は、鋳型の深さ
方向における熱電対の埋設範囲が検出域となるため、検
出域の拡大に自在に対処できる利点を有しており、連続
鋳造の操業開始に際してのレベル変化の測定が可能とな
る。
【0013】ところが、前記熱電対の埋設位置は、鋳型
の強度を確保するため、溶湯が接触する鋳型内壁から適
長離隔して設定する必要があり、前記各熱電対の検出温
度には、鋳型内壁からの熱伝播に要する時間遅れが生じ
る。また、検出精度の向上のためには、鋳型の深さ方向
における熱電対の埋設間隔を可及的に小さくする必要が
あるが、この埋設間隔には、鋳型冷却のための冷却水通
路を確保するという面から下限が存在し、実際上は、数
十mm程度の埋設間隔が必要となる。このことは、各熱
電対による温度データが離散的となり、これらのデータ
を用いて特定される溶湯レベルの検出精度の向上に限界
があることを示している。
【0014】また第3の測定装置は、検出域の拡大に対
処できる上、応答性及び検出精度において第2の測定装
置のそれを上回るが、前述の如く放射線を用いることか
ら、安全上の問題があり、線源の管理等に多大の手間を
要すると共に、鋳型の周辺に大なる設置スペースを必要
とし、このスペースの確保が難しい一般的な連続鋳造設
備においては、適用が不可能である場合が多い。
【0015】また第4の測定装置においては、アレイセ
ンサ又はビデオカメラと検出対象となる溶湯表面との間
に、煙,粉塵等の異物が存在する場合、またパウダ、ス
ラブ等により溶湯表面が覆われ、鋳型内壁との間の輝度
差が小さい場合、撮像結果に基づく溶湯レベルの特定が
困難となる上、溶湯表面の陽炎による光の屈折に起因す
る測定誤差が定常的に発生し、溶湯レベルを高精度に測
定することは不可能である。
【0016】また前記特開平4−238661号公報に開示さ
れた溶湯レベル測定装置は、送信コイル及び受信コイル
の配設範囲の拡大により検出域の拡大に対処できる上、
応答性及び検出精度においても満足すべき結果が得られ
るが、第3の測定装置の場合と同様、鋳型の周辺に送信
コイル及び受信コイル配設のための大なる設置スペース
を要し、一般的な連続鋳造設備への適用が難しいという
問題がある。更に、鋳型のサイズが大きい場合、送信コ
イルにより形成される磁場が拡散し、対応する受信コイ
ルに十分な誘起電圧が得られなくなる結果、測定精度が
著しく低下するという問題がある。
【0017】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、連続鋳造用の鋳型内の溶湯レベルを、該鋳型の
サイズの如何に拘わらず、高精度及び高応答性を確保し
つつ広範囲に亘って測定でき、また鋳型の周辺に大なる
配置スペースを必要としない溶湯レベル測定装置を提供
することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶湯レベル
測定装置は、連続鋳造用の鋳型内の溶湯レベルを測定す
る装置において、前記鋳型の外側に巻回され、交番電流
が通電される検出コイルと、該検出コイルのインピーダ
ンスを検出する手段と、この検出結果に基づいて溶湯レ
ベルを演算する演算手段と、該演算手段の演算結果を温
度補正する補正手段とを具備することを特徴とする。
【0019】更に加えて、前記補正手段は、前記検出コ
イルの上方及び下方にて前記鋳型の外側に夫々巻回され
た一対の補正コイルと、これらのインピーダンスを夫々
検出する手段とを備え、この検出結果に基づいて前記温
度補正を行うこと、又は、前記検出コイルの上方及び下
方にて前記鋳型に夫々取り付けられた一対の温度計を備
え、これらの測温結果に基づいて前記温度補正を行うこ
とを夫々特徴とする。
【0020】
【作用】連続鋳造用の鋳型の導電率は温度の関数として
表され、鋳型の温度は、これの内部における溶湯レベル
の高低に依存する。本発明においては、前記導電率の変
化を鋳型の周囲に巻回した検出コイルのインピーダンス
変化として検出し、この結果を用いて溶湯レベルを演算
する。但しこの演算の結果は、溶湯が存在しない部分の
鋳型温度の影響を受けるから、前記演算の結果を温度補
正して絶対的な溶湯レベルを得る。
【0021】この温度補正は、検出コイルの上下に外れ
て位置する一対の補正コイル夫々のインピーダンス、又
は検出コイルの上下に外れて位置する温度計夫々の測温
値により、溶湯が存在しない部分の鋳型温度と、溶湯が
確実に存在する部分の鋳型温度とを検出し、これらの検
出結果に対応するように前記検出コイルのインピーダン
ス変化を補正する手順により行う。
【0022】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は、本発明に係る溶湯レベル測定装置
を備えた連続鋳造設備の要部を示す模式図である。図中
2は、上下に開口を有する筒形をなして構成された連続
鋳造用の鋳型であり、該鋳型2には、上方から内部に延
設された浸漬ノズル4を経て溶湯3が注入されている。
【0023】鋳型2の周壁は、内壁20と外壁21との間に
環状をなす通水室22を備えた2重構造となっており、鋳
型2に注入される溶湯3は、通水室22に供給される冷却
水により十分に水冷された内壁20と接触して凝固し、外
側を適正な厚さの凝固シェルにより覆われた鋳片とな
り、鋳型2の下方に連続的に引抜かれつつ更に冷却され
て、内側にまで凝固が進行した後に適宜の寸法に切断さ
れ、後工程での素材となる製品鋳片が製造される。
【0024】鋳型2の上部には、該鋳型2の内部に滞留
する溶湯3の表面に臨ませて渦流レベル計Aが配してあ
り、前述した通常操業中、鋳型2内部の溶湯レベルは、
渦流レベル計Aの公知の動作により検出されている。こ
の検出結果は、鋳型2内部に注入された溶湯3のレベル
を予め定めた目標レベルに維持すべく、例えば、前記浸
漬ノズル4の中途に配されたスライディングノズルの開
度を調節し、溶湯3の注入量を増減する湯面レベル制御
に用いられている。
【0025】図は、以上の如き通常操業の開始時の状態
を示している。操業開始に際し鋳型2の下部は、下方か
ら挿入されたダミーバー5により閉塞されており、浸漬
ノズル4を経て注入される溶湯3は、ダミーバー5の先
端を疑似底とする鋳型2の内部に溜まり、鋳型2中を上
昇する溶湯3の表面レベルが前記目標レベルの近傍に予
め設定された所定の引き抜きレベルに達し、外側に適正
な厚さの凝固シェルが形成された段階にてダミーバー5
と共に引き抜かれる。
【0026】鋳型2上部の渦流レベル計Aは、通常操業
時に維持すべき前記目標レベルの上下に所定の検出範囲
を有するように選定されたものであり、前述の如く、通
常操業への移行前に広範囲に亘って生じる溶湯3のレベ
ル上昇の測定には適用できない。図1に示す連続鋳造設
備には、この間のレベル測定のために、本発明に係る溶
湯レベル測定装置1が装備されている。
【0027】図示の如く溶湯レベル測定装置1は、鋳型
2の外側に所定の深さ範囲に亘って巻回された検出コイ
ル10と、該検出コイル10の上下に外れた位置に夫々巻回
された一対の補正コイル11,12とを備えてなる。検出コ
イル10の巻回範囲は、レベル測定の対象となる範囲、即
ち、操業開始時に疑似底となるダミーバー5の先端のや
や上部から渦流レベル計Aによる測定限界位置に至るま
での範囲に設定されている。該検出コイル10は、上下一
対の補正コイル11,12と共に、共通の低周波電源に接続
され、低周波の交番電流が通電されるようになしてあ
る。
【0028】また検出コイル10の両端は、インピーダン
ス検出部14に、補正コイル11,12の両端は、各別のイン
ピーダンス検出部15,16に夫々接続してある。これらの
インピーダンス検出部14,15,16は、低周波の交番電流
の通電により夫々に対応するコイル10,11,12のインピ
ーダンスを検出するものであり、これらの検出結果はレ
ベル演算部17に与えられている。
【0029】レベル演算部17においては、鋳型2の内部
を上昇する溶湯レベルの演算が行われる。この演算は、
基本的には、インピーダンス検出部14から与えられる検
出コイル10のインピーダンス値を用いてなされ、インピ
ーダンス検出部15,16から与えられる補正コイル11,12
のインピーダンス値は、前述の如く得られる演算結果の
温度補正に利用される。この演算内容について以下に説
明する。
【0030】交番電流の通電がなされた場合、検出コイ
ル10の内側に磁場が形成され、この磁場の作用により検
出コイル10のインピーダンスが変化する。この変化は、
主として、磁場中に存在する導電体(鋳型2及び溶湯
3)の導電率に依存し、この導電率は、導電体の温度に
比例して変化する。なお鋳型2は、冷却性能の向上のた
め銅製とされることが多く、この場合、溶湯3の導電率
は、鋳型2のそれに比して十分に低い(数10分の1程
度)ことから、検出コイル10のインピーダンスは、実質
的に鋳型2の温度に応じて変化する。
【0031】鋳型2は、前述の如く、通水室22に導入さ
れる冷却水により十分に冷却されており、溶湯3のレベ
ル変化に伴う鋳型2の温度変化は、溶湯3と直接的に接
触する内壁20に顕著に生じる。図2は、内壁20の深さ方
向の温度分布の一例を示している。図示の如く内壁20の
温度は、溶湯3の表面近傍において急激に変化し、表面
下では、溶湯3との接触により高温となるのに対し、表
面上では、冷却水による水冷温度に略保たれる。而し
て、温度に比例する内壁20の導電率は、溶湯3の表面下
では高く、表面上では低くなり、内壁20全体の平均導電
率は、溶湯3との接触長さの増加、即ち、鋳型2内部に
おける溶湯3の表面レベルの上昇に伴って増大すること
になり、検出コイル10のインピーダンス変化は、鋳型2
中での溶湯3のレベル変化に対応する。
【0032】なお、検出コイル10のインピーダンス変化
と溶湯3のレベル変化とを精度良く対応させるために
は、検出コイル10内側の磁場の浸透深さが、溶湯3との
接触により温度変化を生じる鋳型2の内壁20にまで達し
ていることが必要である。磁場の浸透深さは、検出コイ
ル10に通電される交番電流の周波数に依存し、該周波数
の低下に伴って増大するから、検出コイル10に十分に低
周波の交番電流を通電することにより、溶湯3のレベル
変化に正しく対応するインピーダンス変化を得ることが
できる。
【0033】一方、前記周波数の低下は、インピーダン
ス検出のための所要時間の増大を招くことから、高い検
出精度を保ちつつ測定時間の短縮を図るためには、鋳型
2の周壁の厚さに応じて通電電流の周波数を選定し、磁
場の浸透深さが周壁の厚さに略等しくなるようにするの
が望ましい。数値例を示せば、鋳型2の周壁の厚さが14
mmである場合、検出コイル10に通電する交番電流の周波
数を30Hzとすることにより良好な結果が得られる。
【0034】検出コイル10のインピーダンスZは、公知
の如く、抵抗成分Rとインダクタンス成分ωLとの和
(Z=R+ωL)として表され、これらの内、インダク
タンス成分ωLは、鋳型2の平均導電率σのみの関数で
あるのに対し、抵抗成分Rは、前記平均導電率σの関数
と、検出コイル10自体の温度Tの関数との和として表さ
れる。 ωL=ωLAC(σ) …(1) R=RAC(σ)+RDC(T) …(2) 但し、 ωLAC:交流時のインダクタンス RAC :交流時の抵抗値 RDC :直流時の抵抗値
【0035】検出コイル10の温度Tに応じた抵抗成分R
の変化は、検出コイル10の直流抵抗RDCが前記温度Tに
応じて変動するためである。検出コイル10の温度Tは、
鋳型2の外壁21からの伝熱により変化し、外壁21の温度
は、通水室22内部の冷却水との熱交換により変動するか
ら、温度Tを一定に保つことは難しく、また該温度Tを
正確に検出することも困難である。
【0036】従って、鋳型2内部の溶湯レベルの演算に
当たっては、検出コイル10のインピーダンスZ全体では
なく、前記温度Tの関数を含まないインダクタンス成分
ωLのみを用いるのが望ましい。インピーダンス検出部
14は、検出コイル10のインピーダンスを、抵抗成分Rと
インダクタンス成分ωLとに分けて検出し、これらの内
のインダクタンス成分ωLのみをインピーダンス値Zc
としてレベル演算部17に出力する構成としてある。な
お、検出コイル10の直流抵抗を検出する手段を備えるこ
とにより、抵抗成分Rを含むインピーダンスZをそのま
ま利用し、直流抵抗の検出値により補正することも可能
である。
【0037】検出コイル10の上方に位置する補正コイル
11は、溶湯3に接触しない部分での内壁20の温度を知る
ために設けてあり、同じく下方に位置する補正コイル12
は、操業開始直後から溶湯3との接触が生じる部分での
内壁20の温度を知るために設けてある。インピーダンス
検出部15,16は、検出コイル10におけるインピーダンス
検出部14と同様に、夫々に対応する補正コイル11,12の
インピーダンスのインダクタンス成分をレベル演算部17
に出力する動作をなし、レベル演算部17は、これらのイ
ンピーダンス値Zu ,Zb と検出コイル10のインピーダ
ンス値Zc とを用いて鋳型2内部の溶湯3のレベルを演
算する。
【0038】レベル演算部17においては、まず、前記イ
ンピーダンス値Zc ,Zu ,Zb をを夫々の単位巻き数
当たりのインピーダンス(Zc /Nc ,Zu /Nu ,Z
b /Nb )に換算する。但し、Nc ,Nu 及びNb は、
夫々検出コイル10、補正コイル11及び補正コイル12の巻
き数である。
【0039】図1に示す如く、検出コイル10の上下両端
間の距離がWであり、鋳型2内部の溶湯3のレベルが検
出コイル10の下端からLなる位置にある場合、レベル演
算部17においては、前記Zc /Nc ,Zu /Nu ,Zb
/Nb を次式に適用してレベルLが算出される。
【0040】
【数1】
【0041】検出コイル10の単位巻き数当たりのインピ
ーダンスZc /Nc は、これの上下端間の全てに溶湯3
が存在していない場合、即ち、溶湯3のレベルLが検出
コイル10の下端に達していない場合、前述の如く、溶湯
3が存在しない位置に配された上側の補正コイル11の単
位巻き数当たりのインピーダンスZu /Nu と等しくな
り、逆に、溶湯3のレベルLが検出コイル10の上端に達
している場合、溶湯3が確実に存在する位置に配された
下側の補正コイル12の単位巻き数当たりのインピーダン
スZb /Nb と等しくなる。
【0042】前記(3)式の左辺は、図3に示す如く、
下側の補正コイル12の単位巻き数当たりのインピーダン
スZb /Nb をレベル0の位置に、上側の補正コイル11
の単位巻き数当たりのインピーダンスZu /Nu をレベ
ルWの位置に夫々割当てた直線上にて、検出コイル10の
単位巻き数当たりのインピーダンスZc /Nc に相当す
る位置を同定するものであり、この演算により前記レベ
ルLを求め得ることは明らかである。
【0043】そして、図3に示すレベル同定用の直線
は、検出コイル10のインピーダンス検出の都度、これと
同時に検出される前記補正コイル11,12のインピーダン
ス検出値Zu ,Zb により逐次補正されるから、鋳型2
内部での溶湯3の温度変化、通水室22に供給される冷却
水量及び冷却水温の変動等、種々の外乱による鋳型2の
温度変動の影響を排除し、溶湯3のレベルを高精度に求
めることができる。
【0044】このように本発明に係る溶湯レベル測定装
置1においては、鋳型2内部の溶湯3のレベルが、該鋳
型2の外側に巻回された単一の検出コイル10のインピー
ダンス変化に基づいて検出コイル10の上下両端間に亘っ
て測定でき、広範囲に亘る溶湯レベルを、複雑な演算を
要することなく、高精度にしかも高い応答性にて測定で
きることになる。また鋳型2の周囲には、検出コイル10
(及び補正コイル11,12)の配置に必要なわずかなスペ
ースを必要とするのみであり、一般的な連続鋳造設備に
大幅な改造を要することなく適用できることになる。
【0045】図4は、本発明に係る溶湯レベル測定装置
の他の実施例を示す模式図である。この溶湯レベル測定
装置1は、図1に示す第1実施例と同様、鋳型2の外側
に所定の深さ範囲に亘って巻回された検出コイル10を備
えている。該検出コイル10の両端は、図示しない電源回
路に接続され、低周波の交番電流が通電されるようにな
してあると共に、この通電によるインピーダンスを検出
するインピーダンス検出部14に接続されており、この検
出結果はレベル演算部17に与えられている。
【0046】一方この実施例においては、前記検出コイ
ル10の上下に外れた位置に、第1実施例における補正コ
イル11,12に代えて、一対の温度計31,32が配してあ
る。温度計31,32は、夫々の検出端を鋳型2の内壁20に
埋設してなる熱電対であればよく、これらの出力は、各
別の測温回路33,34を介してレベル演算部17に与えられ
ている。
【0047】レベル演算部17においては、鋳型2の内部
を上昇する溶湯レベルの演算が行われる。この演算は、
第1実施例と同調、基本的には、インピーダンス検出部
14から与えられる検出コイル10のインピーダンス値Zc
を用いて行われ、各別の測温回路33,34を介して与えら
れる温度計31,32の測温値Tb ,Tu は、演算結果の温
度補正に用いられている。
【0048】図5は、レベル演算部17による演算手順の
説明図である。レベル演算部17は、検出コイル10と同等
のコイルのインピーダンス値を種々の温度下にて調べた
結果として、該コイルの単位巻き数当たりのインピーダ
ンス値Z′と温度Tとの間に得られる相関関係を記憶し
ている。この相関関係は、図5(a)に示す如く、所定
の傾きを有する略直線のグラフとして得られる。
【0049】レベル制御部17は、前記グラフに温度計3
1,32の測温値Tu ,Tb を適用し、夫々と同位置に配
された単位巻き数のコイルのインピーダンスZu ′,Z
b ′を求める。次いで、第1実施例の場合と同様に、前
記Zb ′をレベル0の位置に、前記Zu ′をレベルWの
位置に夫々割当て、溶湯3のレベルとインピーダンスと
の相関関係を示す直線状のグラフを作成し、このグラフ
上にて検出コイル10の単位巻き数当たりのインピーダン
スZc /Nc に対応する位置として現状の溶湯3のレベ
ルLを同定する。
【0050】この実施例においても、図5(b)に示す
レベル同定用の直線は、検出コイル10のインピーダンス
検出の都度、これと同時に温度計31,32により検出され
る測温値Tu ,Tb を用いて補正されるから、種々の外
乱による鋳型2の温度変動の影響を排除し、溶湯3のレ
ベルを高精度に求めることができる。また、第1実施例
の場合と同様、広範囲に亘る溶湯レベルの測定が複雑な
演算を要することなく高応答性にて実現でき、一般的な
連続鋳造設備に大幅な改造を要することなく適用できる
ことになる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明に係る溶湯レベ
ル測定装置においては、連続鋳造用の鋳型の導電率が温
度の関数であり、この温度は、鋳型内部における溶湯レ
ベルの高低に依存することを利用し、鋳型の外側に巻回
された検出コイルに交番電流を通電し、鋳型の導電率の
変化を前記検出コイルのインピーダンス変化として検出
し、この検出結果を温度補正する簡素な構成により、前
記鋳型内部の溶湯のレベルを、前記検出コイルの巻回長
さの全域に亘って、高精度に、しかも高応答にて測定で
きるようになる。
【0052】また前記温度補正は、検出コイルの上下に
外れて一対の補正コイル又は温度計を配し、前者のイン
ピーダンス又は後者の測温値を得て、これらを用いて検
出コイルのインピーダンスを補正する手順により行われ
るから、外乱による温度変動の影響を排除した高精度の
測定結果を容易に得ることができる等、本発明は優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶湯レベル測定装置を備えた連続
鋳造設備の要部の構成を示す模式図である。
【図2】鋳型内壁の温度分布を示すグラフである。
【図3】レベル演算手順の説明図である。
【図4】本発明に係る溶湯レベル測定装置の第2実施例
の構成を示す模式図である。
【図5】第2実施例におけるレベル演算手順の説明図で
ある。
【符号の説明】
1 溶湯レベル測定装置 2 鋳型 3 溶湯 4 浸漬ノズル 5 ダミーバー 10 検出コイル 11 補正コイル 12 補正コイル 17 レベル演算部 18 温度計 19 温度計

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造用の鋳型内の溶湯レベルを測定
    する装置において、前記鋳型の外側に巻回され、交番電
    流が通電される検出コイルと、該検出コイルのインピー
    ダンスを検出する手段と、この検出結果に基づいて溶湯
    レベルを演算する演算手段と、該演算手段の演算結果を
    温度補正する補正手段とを具備することを特徴とする溶
    湯レベル測定装置。
  2. 【請求項2】 前記補正手段は、前記検出コイルの上方
    及び下方にて前記鋳型の外側に夫々巻回された一対の補
    正コイルと、これらのインピーダンスを夫々検出する手
    段とを備え、この検出結果に基づいて前記温度補正を行
    う請求項1記載の溶湯レベル測定装置。
  3. 【請求項3】 前記補正手段は、前記検出コイルの上方
    及び下方にて前記鋳型に夫々取り付けられた一対の温度
    計を備え、これらの測温結果に基づいて前記温度補正を
    行う請求項1記載の溶湯レベル測定装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000040403A (ko) * 1998-12-18 2000-07-05 이구택 전자기 연속주조에서 탕면 레벨 측정방법
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KR101892732B1 (ko) * 2017-10-17 2018-08-28 한국원자력연구원 다접점 온도센서를 이용한 광대역 용융금속 액위 측정 장치 및 열 시스템
FR3119890A1 (fr) * 2021-02-12 2022-08-19 Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives Dispositif de caractérisation d’un bain de corium formé ou en cours de formation dans un réacteur nucléaire

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