JPH0810638A - 厨芥処理方法及び厨芥処理機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 厨芥等の粉砕に要する水を最少量で抑え、雑
排水への厨芥等粉砕物の混入をなくし、ＢＯＤやＳＳ値
を低く抑さえると共に、厨芥スラリーを集約する廃水処
理施設の小型化を可能にし、衛生的で簡便な厨芥処理方
法及び厨芥処理機を提供することを目的とするものであ
る。 【構成】 本発明の厨芥処理方法は、厨芥分離部３を設
け、厨芥等を含む生活水を雑排水と厨芥等の固形物とに
分離し、雑排水は所定量を雑排水貯水部１７に貯水する
とともに、残りはそのまま排水路２１に流出させ、さら
に雑排水貯水部１７の雑排水を厨芥処理部２内の厨芥等
に再び供給し、内部を流過させながら厨芥等を粉砕処理
することを特徴とする。本発明の厨芥処理機は、厨芥分
離部３の下流に厨芥処理部２と雑排水貯水部１７を載置
し、さらに雑排水貯水部１７の雑排水を厨芥処理部２に
供給する循環ポンプ１９を備えていることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、厨房で発生する厨芥等
の固形物を含む生活水を処理し、雑排水は公共下水道へ
排出する厨芥処理方法及び厨芥処理機に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、厨房で発生する厨芥等は焼却、埋
め立てなどの処理を行っている。しかし厨芥等は野菜屑
や残飯を多く含んでおり、水分が多いことからその保管
や搬送が煩雑であるし、また腐敗しやすいこともあっ
て、衛生上問題があった。さらに人口密集地域などの集
合住宅では、地域環境の向上のため厨芥等の適切な処理
方法の開発が望まれている。

【０００３】そこで最近、厨芥等を処理する方法とし
て、シンクより発生する厨芥等を流水を供給しながら厨
芥処理部で粉砕し、廃棄管に詰まらない大きさにして廃
棄管を通して下水道へ流す処理方法が検討されている。
この厨芥処理方法とそれを実施する厨芥処理機について
図４を参照しながら説明する。

【０００４】すなわち、図４は従来の厨芥処理機の構造
を示す概略側断面図で、厨芥等の固形物を含む生活水は
シンク１の底部に取り付けられた厨芥処理部２のシンク
ストッパー５を開けて矢印ａに示すように厨芥処理部２
に投入される。次いで連続して供給される水とともに厨
芥処理部２に投入された厨芥等は、モーター１２によっ
て回転するフライホイル８により処理室内壁へ叩きつけ
られ、ハンマー９とシュレッダー１０とにより１〜２ｍ
ｍの大きさに粉砕される。粉砕された厨芥等は、矢印ｄ
に示すようにフライホイル８とシュレッダー１０の隙間
より流出し、廃棄管１１より排出される。廃棄管１１よ
り排出された厨芥等は全て下水道へ排出される。

【０００５】ところで、厨芥処理部２は厨房で発生する
厨芥等を含む生活水を取り込んだ際、厨芥等はそのまま
厨芥処理部２の内部に蓄えられるけれども、雑排水はそ
のまま外部に流出させられる構造になっている。したが
って厨芥等を粉砕するときには厨芥処理部２内の粉砕さ
れた厨芥等を排出するように新たに水を供給し、厨芥処
理部２内の粉砕された厨芥等を排出することができるよ
うに設計されている。

【０００６】この厨芥処理方法によると粉砕した厨芥等
は廃棄管１１を経由して直接下水道へ流される。またシ
ンクで使用した生活水はそのまま厨芥処理部の内部に蓄
えられた厨芥等の層の中を通過してＢＯＤ（生物化学的
酸素要求量）を増しながら下水道へ排出されるものであ
る。

【０００７】しかしこのように粉砕された厨芥等と粉砕
に使用された水、および通常排出される生活水のすべて
が下水道へと流されるため、管きょ内で沈殿したり、滞
留した厨芥等が腐敗したり、下水処理場の負荷が増大し
たりして、維持管理の上で重大な支障が生じることがあ
る。さらに合流式下水道の場合には、粉砕された厨芥等
が下水処理場へ流入するまでに雨天時における越流水で
公共水域を汚濁する危険がある。こうした問題を解決す
るために従来次のような技術が提案（特開平４−２９３
５５８号公報）されている。すなわちこの技術は、厨芥
処理部で粉砕された厨芥等をフイルタを設けた脱水機で
脱水分離し、雑排水はそのまま下水道に排出させるもの
で、下水道中に粉砕された厨芥等が混入するのを防ぐも
のである。

【０００８】さらに、次のような技術も提案（実公昭５
５−４６５９１号公報）されている。すなわちこの技術
は、厨芥処理部で粉砕された厨芥等を別途設けた部屋に
回収することによって厨芥等と雑排水とを分離するもの
であって、雑排水をそのまま下水道に排出させることが
でき、粉砕された厨芥等を容易に回収することもできる
ものである。

【０００９】ところで以上の従来技術では、厨芥処理部
に厨芥等と雑排水を共に流入させ、雑排水をその内部に
蓄えることなく排水させているが、このほかの従来技術
として厨芥処理部内部に雑排水の一部を貯水する技術も
提案（実開平４−１１４４４２号公報）されている。

【００１０】すなわちこの技術は、厨芥処理部の上部に
厨芥貯留部を設け、雑排水と厨芥等を一緒に一時的に貯
留して後に雑排水と共に粉砕するもので、厨芥等の粉砕
に要する水を最少量に抑えるものである。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
４−２９３５５８号公報に記載された厨芥処理部で粉砕
した厨芥等をフイルタを設けた脱水機で脱水分離する技
術は、雑排水と厨芥等をともに粉砕処理工程に導くか
ら、厨芥成分が雑排水に溶出したり、フイルタを通過し
た微粒の厨芥等が雑排水に混入し、ＢＯＤやＳＳ（浮遊
物）値の高い雑排水が下水道に排出されるという問題が
ある。また粉砕後の後処理も目詰まり等で維持管理が煩
わしく、装置も大がかりとなるものである。

【００１２】また、実公昭５５−４６５９１号公報に記
載された厨芥処理部で粉砕した厨芥等を別に設けた部屋
に回収する技術は、シンクで使用した生活水のすべてを
厨芥処理部内に流入させるから、厨芥量が多い場合には
雑排水が必要以上に厨芥処理部内に溜まり粉砕効果を小
さくするという問題がある。

【００１３】さらに、実開平４−１１４４４２号公報に
記載された雑排水と厨芥等を一緒に一時的に貯留して後
に雑排水と共に厨芥等を粉砕する技術は、貯留水中で粉
砕を行うので厨芥等が浮遊して粉砕が難しく長時間を要
するし、粉砕のための電力を多く消費することになる。
また貯留している間に厨芥等が雑排水に溶出して汚水化
し、悪臭を放つなど非衛生でもある。さらに厨芥貯留部
の容積を必要とするから、厨芥処理機の小型軽量化には
適さないという問題がある。

【００１４】そこで本発明は前記従来の問題点を解決す
るもので、厨芥等の粉砕に要する水を最少の水量で抑
え、雑排水への厨芥粉砕物の混入をなくすと共に、厨芥
スラリーを貯蔵する廃水処理施設の小型化を可能にし、
衛生的で簡便に厨芥処理する厨芥処理方法及び厨芥処理
機を提供することを目的とするものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の厨芥処理方法は、厨芥分離部を設け、厨芥等
を含む生活水を雑排水と厨芥等の固形物とに分離し、分
離された雑排水は所定量を雑排水貯水部に貯水するとと
もに、残りはそのまま排水路に流出させ、さらに雑排水
貯水部の雑排水を厨芥処理部内の厨芥等に再び供給し、
内部を流過させながら厨芥等を粉砕処理することを特徴
とする。

【００１６】また、本発明の厨芥処理機は、厨芥等を含
む生活水を雑排水と厨芥に分離する厨芥分離部を設け、
その下流に厨芥等を処理する厨芥処理部と雑排水の所定
量を貯水する雑排水貯水部を載置し、さらに雑排水貯水
部の雑排水を厨芥処理部に供給する循環ポンプを備えて
いることを特徴とする。

【００１７】さらに、厨芥処理部が、ハンマーとシュレ
ッダーとフライホイルを備えた粉砕機構を有しているの
が好ましい。

【００１８】さらに、循環ポンプのモーターと、粉砕機
構のモーターが連動して回転するよう設けられているの
が適当である。

【００１９】さらに、循環ポンプのモーターと粉砕機構
のモーターは、いずれも正逆回転ができるのが望まし
い。

【００２０】さらに、厨芥分離部に厨芥等を投入する投
入口を設け、投入口の周囲に雑排水を流し込む流水口を
備えているのが好ましい。

【００２１】さらに、厨芥等を含む生活水を雑排水と厨
芥に分離する厨芥分離部を設け、その下流に厨芥を処理
する厨芥処理部と雑排水の所定量を貯水する雑排水貯水
部を載置し、厨芥処理部を負圧にして雑排水貯水部から
雑排水を吸引するとともに、粉砕処理された厨芥スラリ
ーを排出させる羽根車を備えていることが適当である。

【００２２】

【作用】本発明の厨芥処理方法は厨芥分離部でいったん
雑排水と厨芥等に分離するから、雑排水に厨芥等やその
溶解成分が混入するのを防ぐことができ雑排水をそのま
ま下水道等へ排出することができる。また、この際所定
量の雑排水を雑排水貯水部に貯水し、この雑排水を厨芥
処理部内の厨芥等に再び供給して内部を流過させながら
厨芥等を粉砕処理するから、粉砕のため必要な量の水を
雑排水貯水部から供給でき、処理された厨芥スラリーに
必要以上の水が混入するのを防ぐことができる。

【００２３】また、本発明の厨芥処理機は、厨芥分離部
の下流に雑排水貯水部を設けているから、所定量の雑排
水を貯水する事ができ、さらに循環ポンプを介して厨芥
処理部に接続されているから、粉砕に必要な量の雑排水
を供給する事ができる。

【００２４】また、厨芥処理部が、ハンマーとシュレッ
ダーとフライホイルを備えているから、厨芥等を短時間
に細かく粉砕できる。

【００２５】また、循環ポンプと粉砕機構のモーターが
連動して回転するから、厨芥等の粉砕と同時に雑排水の
供給ができる。

【００２６】また、循環ポンプのモーターと粉砕機構の
モーターはいずれも正逆回転できるから、循環ポンプの
能力を可変にすることができるし、回転部分の片方向の
磨耗を防ぐことができる。

【００２７】また、厨芥分離部に厨芥等を投入する投入
口を設け、投入口の周囲に雑排水を流し込む流水口を備
えているから、厨芥等と雑排水を容易に分離できる。

【００２８】また、羽根車を備えているから、厨芥処理
部を負圧にして雑排水貯水部から雑排水を吸引し粉砕の
ため必要な量の水を雑排水貯水部から供給でき、厨芥ス
ラリーを排出させることができる。

【００２９】

【実施例】以下本発明の実施例の詳細を図面に基づいて
説明する。

【００３０】図１は本発明の一実施例における厨芥処理
機の概略側断面図である。図１において、１はシンク、
２は厨芥処理部、４は厨芥後処理施設、５はシンクスト
ッパー、６は本体接続ゴム、７はホッパー、８はフライ
ホイル、９はハンマー、１０はシュレッダー、１１は廃
棄管、１２はモーター、１３はシンクフランジである。
従来例と同じ符号のものについては、基本的な動作、機
能が同じであるので説明を省略する。３は厨芥分離部
で、雑排水を流入させる流水口１４と、流水口１４の中
心部に厨芥等２２を投入する投入口１５を備えている。
投入口１５の周囲に流水口１４が設けられていればどの
ような配置でもかまわない。流水口１４はメッシュ状で
あり、その目の粗さは厨芥等２２の流出を止めて雑排水
のみを通過させる大きさである。シンク１の底部かもし
くは雑排水が容易に流出できる位置に取り付けるのが望
ましい。１６は排水管で厨芥分離部２で分離された雑排
水の所定量を貯水する雑排水貯水部１７に流入させるも
のである。雑排水貯水部１７にはオーバーフローした雑
排水を排水する排水路２１が設けられている。ここで雑
排水貯水部１７に貯水する雑排水の量は厨芥量の５倍程
度であれば厨芥等２２の粉砕には十分である。厨芥等２
２の種類によっては厨芥等２２に送る必要水量が変化す
るため適宜水量を変更することもできる。この場合はオ
ーバーフローする高さを変える等して雑排水貯水部１７
の容積を変えればよい。雑排水貯水部１７には羽根車１
８を備えた循環ポンプ１９が設けられ、雑排水供給管２
０を通じて雑排水が厨芥処理部２に供給できるようにな
っている。ここで、雑排水貯水部１７に雑排水を貯水す
ることにより、排水路２１を逆流してくる小動物や下水
道からの悪臭を遮断する役目も果たしている。また、循
環ポンプ１９は厨芥処理部２に設けられたモーター１２
に連動して運転制御されるもので、双方が同時に回転し
たり、停止したりするようになっている。雑排水の供給
量も可変に制御することができる。必要に応じてモータ
ー１２の起動よりも早く回転を開始させたり、モーター
１２の運転終了後の所定の時間経過後に回転を終了させ
るよう制御することも可能である。ここで厨芥処理部２
は厨芥等２２を粉砕する機構を有していればよく、粉砕
できればどのようなディスポーザーであってもよい。さ
らに厨芥処理部２に設けられたモーター１２は正逆回転
を可能にしてフライホイル８、ハンマー９、及びシュレ
ッダー１０等の偏磨耗を防ぐとともに厨芥スラリーの排
出量の調整が可能なように設計されている。なお、正逆
回転については循環ポンプ１９も同様に行うことができ
る。

【００３１】このように厨芥分離部３を厨芥処理部２の
上流に設け、雑排水と厨芥等２２に分離して別々に処理
できるから、雑排水に厨芥等２２が混入するのを防ぐこ
とができる。また、厨芥等２２の粉砕に要する水は雑排
水貯水部１７から所定量計画的に供給できるので、廃棄
管１１より流出する厨芥スラリーに含まれる水分を少な
く抑え、厨芥後処理施設４での処理を簡便にすることが
できる。厨芥後処理施設４は、おが屑と好気性微生物と
この厨芥スラリーを混ぜ合わせて発酵させ、二酸化炭素
ガスと堆肥などに変えることができるもので、厨芥スラ
リーに含まれる水分が多いと厨芥処理が難しくなるた
め、水分は少ないほど適当である。また雑排水貯水部１
７は厨芥等２２の５倍程度の雑排水を貯水できる容積が
あればよく、厨芥処理部２に併設してシンク１の下部に
収納することが可能である。

【００３２】以上のように構成された厨芥処理機につい
て、以下その動作を説明する。シンク１で発生する雑排
水と厨芥等２２は、シンク１の底部に設けられた厨芥分
離部３で分離され、雑排水は投入口１５の外周部に設け
られた流水口１４から矢印ｂで示したように排水管１６
を通って雑排水貯水部１７に送られる。雑排水が除かれ
た厨芥等２２は投入口１５に設けられたシンクストッパ
ー５を開けて、矢印ａのように厨芥処理部２に送り込ま
れる。厨芥処理部２内に厨芥等２２が貯まるとモーター
１２に通電して厨芥等２２の粉砕を開始する。同時に雑
排水貯水部１７に貯水された雑排水が、循環ポンプ１９
の駆動によって矢印ｃで示したように粉砕に必要な量だ
け雑排水供給管２０を通って厨芥処理部２に設けられた
ホッパー７の上部より再び厨芥等２２に供給される。供
給された雑排水は厨芥処理部２を流過しながら粉砕され
た厨芥片を混合し厨芥スラリーとなって廃棄管１１を通
って厨芥後処理施設４に蓄えられる。粉砕後のホッパー
７内は粉砕された厨芥等２２が飛散しているが、雑排水
供給管２０から供給される雑排水で洗浄され、廃棄管１
１を通って厨芥後処理施設４に蓄えられ厨芥処理が完了
する。

【００３３】このように、厨芥等２２と雑排水を厨芥処
理する前にいったん分離し、再度計画的に必要量の雑排
水を供給するから、厨芥等２２の粉砕が短時間で終了で
き、廃棄される厨芥中の水分も少なく抑えられる。また
厨芥後処理施設４への負担も軽減できるし小型化が図れ
る。雑排水を流過させながら粉砕するので、厨芥等２２
は浮遊せず粉砕は効果的に行えるし厨芥処理部２が閉塞
するようなことがない。一方、分離された雑排水は雑排
水貯水部１７に所定量貯水され、オーバーフローした雑
排水は排水路２１を通って下水道などに排水されるが、
この雑排水は厨芥等２２や厨芥片等を含んでいないため
ＢＯＤやＳＳ値が低く、下水道や下水処理場の負荷を増
大させることがない。

【００３４】つぎに、本発明の他の実施例における厨芥
処理方法及び厨芥処理機について説明する。図２は本発
明の他の実施例における厨芥処理機の概略側断面図であ
る。なお図１と共通する符号の説明は重複するからここ
では省略する。

【００３５】図２において２３は羽根車であって、厨芥
処理部２に設けたモーター１２で駆動され、雑排水貯水
部１７の下部に設けられている。羽根車２３は雑排水供
給管２０を通して厨芥処理部２に雑排水を供給する。２
４は所定量以上の雑排水を排水する排水路である。この
実施例では厨芥処理部２の下部に雑排水貯水部１７を設
け、モーター１２に直結した羽根車２３を回転させるか
ら、循環ポンプを新たに設ける必要がなく厨芥処理機の
構造を簡単にし小型化できる。羽根車２３をモーター１
２に直結するほかに、ベルトや歯車等の伝動機構を介在
させてもよい。

【００３６】そこでこの実施例の厨芥処理機について、
その動作の説明をする。厨芥等と雑排水の分離から厨芥
等の粉砕までの説明は上述した実施例と重複するのでこ
こでは省略する。分離された雑排水は矢印ｂで示したよ
うに排水管１６を通って雑排水貯水部１７に貯水され
る。所定量以上の雑排水はオーバーフローして矢印ｂで
示したように排水路２４より排水される。厨芥等の粉砕
開始と同時に羽根車２３によって、雑排水貯水部１７に
貯水されている雑排水が矢印ｃの方向に雑排水供給管２
０を通って再び厨芥処理部２に供給され、厨芥処理部２
を流過しながら粉砕された厨芥片等を混合し厨芥スラリ
ーとなって廃棄管１１を通って芥処理施設に蓄えられ
る。厨芥等を粉砕終了後に厨芥処理部２への電力供給を
止めると、同時に羽根車２３の回転も止まり厨芥処理が
終了する。厨芥処理部２に設けられたモーター１２は正
逆回転を可能にしてフライホイル８、ハンマー９、及び
シュレッダー１０等の偏磨耗を防ぐとともに、これによ
って同時に羽根車２３のポンプ能力を可変にすることが
でき、供給する雑排水の水量の調整が可能なように設計
されている。このように、厨芥処理部２での厨芥等の粉
砕開始と同時に雑排水の供給ができるから、水の供給忘
れによって生じる厨芥粉末のホッパー７の内壁や厨芥処
理部２内の回転部への乾燥付着を起こすことなく、メン
テナンスを容易にすることがでこる。

【００３７】さらに、本発明の別の実施例における厨芥
処理方法及び厨芥処理機について説明する。図３は本発
明の別の実施例における厨芥処理機の概略側断面図であ
る。なお図１、図２と共通する符号の説明は重複するか
らここでは省略する。

【００３８】図３において２５は厨芥分離部３の底部に
設けた雑排水貯水部で、２６は雑排水貯水部２５に貯水
された雑排水を厨芥処理部２に吸い上げる吸入管であ
る。２７は厨芥処理部２から廃棄管１１を通って排出す
る厨芥片と雑排水の混合したスラリーを強制的に処理管
２８を通して厨芥後処理施設４に排出する羽根車であっ
て、厨芥処理部２に設けたモーター１２に連動して回転
する。シンクストッパー５を閉めた状態で羽根車２７が
回転を始めると厨芥処理部２の内部の空気を排出して、
負圧状態になるように厨芥処理部２及び廃棄管１１等は
密閉して構成されている。この負圧によって吸入管２６
から雑排水貯水部２５に貯水された雑排水を吸い上げ、
厨芥処理部２に供給することができる。ここでは羽根車
２７はフライホイル８と同時に回転を始めるようにして
いるが、羽根車２７が回転開始後にフライホイル８が遅
れて回転するようにすることが負圧を確保する上でより
好ましい。吸入管２６の形状は特に制限されるものでは
ないが、厨芥等の混入による詰まりを防ぐ構成にするこ
とが望ましい。そのためには、吸入管２６の先端部にメ
ッシュ状の物を取り付けたり、吸入管２６の管径を流水
口１４のメッシュの粗さより大きくすることなどの方法
がある。また、吸入管２６の取り付け本数も特に制限さ
れるものでない。さらに、雑排水貯水部２５の容積は厨
芥等の約５倍の雑排水を貯水できる程度でよい。ここで
は、羽根車２７は厨芥処理部２に設けたモーター１２に
直結しているが、ベルトや歯車等の伝動機構を設けても
よい。この場合は既述した羽根車２７とフライホイル８
の回転開始時期に差を設けることができる。

【００３９】そこでこの実施例の厨芥処理機について、
その動作の説明をする。厨芥等と雑排水の分離から厨芥
等の粉砕までの説明は上述した実施例と重複するのでこ
こでは省略する。いったん分離された雑排水は雑排水貯
水部２５に流入して所定量貯水されるとともに、オーバ
ーフローして矢印ｂで示したように排水路２１から排水
される。つぎに厨芥等が粉砕されるのと同時にもしくは
さきがけ、羽根車２７が回転を開始される。厨芥処理部
２内が負圧となり、吸入管２６で雑排水貯水部２５内の
雑排水を吸引することによって水の供給が行われる。粉
砕された厨芥等は廃棄管１１より排出され羽根車２７に
より処理管２８を通して厨芥後処理施設４に圧送され厨
芥処理が完了する。

【００４０】このように、厨芥分離部３の底部に雑排水
貯水部２５を設けているから、厨芥処理機の構造を簡単
にできる。また、雑排水の供給は厨芥処理部２内の負圧
を利用するから、新たに雑排水供給管２０を設ける必要
が無く、小型軽量な厨芥処理機が実現できる。また、羽
根車２７で粉砕された厨芥等を圧送するから、従来の一
般的な自然流下方式の排出方法に比べて処理管２８内に
厨芥等が沈殿することはなく、厨芥等による管内閉鎖の
不具合は避けられる。

【００４１】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明
によれば、厨芥分離部でいったん雑排水と厨芥等に分離
するから、雑排水に厨芥等やその溶解成分が混入するの
を防ぎＢＯＤやＳＳ値を低く抑えた雑排水をそのまま下
水道等へ排出することができる。また、所定量の雑排水
を雑排水貯水部に貯水し、必要な量の雑排水を再度厨芥
処理部の厨芥等に供給するから、処理された厨芥スラリ
ーに必要以上の水が混入するのを防ぐことができる。

【００４２】また、厨芥分離部の下流に雑排水貯水部を
設けているから、所定量の雑排水を貯水する事ができ、
さらに循環ポンプを備えているから、必要な量の雑排水
を流過させながら粉砕処理する事ができる。

【００４３】また、厨芥処理部に、ハンマーとシュレッ
ダーとフライホイルを備えているから、厨芥等を短時間
に細かく、そして衛生的に粉砕処理できる。

【００４４】また、循環ポンプと粉砕機構のモーターが
連動して回転するから、厨芥等の粉砕効果を高め、厨芥
処理部内の洗浄ができ、メンテナンスを容易にすること
ができる。

【００４５】また、循環ポンプのモーターと粉砕機構の
モーターはいずれも正逆回転できるから、循環ポンプの
能力を可変にすることができるし、回転部分の片方向の
磨耗を防ぐことができる。

【００４６】また、厨芥等を投入する投入口を設け、そ
の周囲に雑排水を流し込む流水口を備えているから、シ
ンクで発生する厨芥等と雑排水を容易に、そして衛生的
に分離できる。

【００４７】また、羽根車を設けているから厨芥処理部
を負圧にして必要な量の雑排水を流過させながら粉砕処
理する事ができ、厨芥等が沈殿することもなく、厨芥等
による管内閉鎖の不具合は避けられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における厨芥処理機の概略側
断面図

【図２】本発明の他の実施例における厨芥処理機の概略
側断面図

【図３】本発明の別の実施例における厨芥処理機の概略
側断面図

【図４】従来の厨芥処理機の構造を示す概略側断面図

【符号の説明】

１ シンク ２ 厨芥処理部 ３ 厨芥分離部 ４ 厨芥後処理施設 ５ シンクストッパー ６ 本体接続ゴム ７ ホッパー ８ フライホイル ９ ハンマー １０ シュレッダー １１ 廃棄管 １２ モーター １３ シンクフランジ １４ 流水口 １５ 投入口 １６ 排水管 １７、２５ 雑排水貯水部 １８、２３、２７ 羽根車 １９ 循環ポンプ ２０ 雑排水供給管 ２１、２４ 排水路 ２２ 厨芥等 ２６ 吸入管 ２８ 処理管

フロントページの続き (72)発明者 下村 真介 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】厨芥分離部を設け、前記厨芥分離部で厨芥
   等を含む生活水を雑排水と厨芥等の固形物とに分離し、
   分離された雑排水は所定量を雑排水貯水部に貯水すると
   ともに残りの雑排水をそのまま排水路に流出させ、さら
   に前記雑排水貯水部の雑排水を厨芥処理部内の厨芥等に
   再び供給して内部を流過させながら前記厨芥分離部内の
   厨芥等を粉砕処理することを特徴とする厨芥処理方法。
2. 【請求項２】厨芥等を含む生活水を雑排水と厨芥に分離
   する厨芥分離部と、前記厨芥分離部で分離された厨芥を
   処理する厨芥処理部と、前記厨芥分離部で分離された雑
   排水の所定量を貯水する雑排水貯水部と、前記雑排水貯
   水部に接続され前記厨芥処理部に前記貯水した雑排水を
   供給する循環ポンプを備えていることを特徴とする厨芥
   処理機。
3. 【請求項３】前記厨芥処理部が、ハンマーとシュレッダ
   ーとフライホイルを備えた粉砕機構を有していることを
   特徴とする請求項２に記載の厨芥処理機。
4. 【請求項４】前記循環ポンプのモーターと、前記粉砕機
   構のモーターが連動していることを特徴とする請求項３
   に記載の厨芥処理機。
5. 【請求項５】前記循環ポンプの前記モーターと前記粉砕
   機構の前記モーターは、いずれも正逆回転ができること
   を特徴とする請求項４に記載の厨芥処理機。
6. 【請求項６】前記厨芥分離部が前記厨芥等を投入する投
   入口と、前記投入口の周囲に設けられ雑排水を流し込む
   流水口を備えていることを特徴とする請求項２〜５のい
   ずれかに記載の厨芥処理機。
7. 【請求項７】厨芥等を含む生活水を雑排水と厨芥に分離
   する厨芥分離部と、前記厨芥分離部で分離された厨芥を
   処理する厨芥処理部と、前記厨芥分離部で分離された雑
   排水の所定量を貯水する雑排水貯水部と、前記厨芥処理
   部を負圧にして前記雑排水貯水部から雑排水を吸引する
   とともに、粉砕処理された厨芥スラリーを前記厨芥処理
   部から排出させる羽根車を備えたことを特徴とする厨芥
   処理機。