JPH08105485A - 周波数感応型液圧緩衝器 - Google Patents

周波数感応型液圧緩衝器

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Publication number
JPH08105485A
JPH08105485A JP24110594A JP24110594A JPH08105485A JP H08105485 A JPH08105485 A JP H08105485A JP 24110594 A JP24110594 A JP 24110594A JP 24110594 A JP24110594 A JP 24110594A JP H08105485 A JPH08105485 A JP H08105485A
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JP
Japan
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damping force
chamber
movable mass
frequency
shock absorber
Prior art date
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Pending
Application number
JP24110594A
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English (en)
Inventor
Tamotsu Yamaura
保 山浦
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Unisia Jecs Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ばね上共振周波数帯とばね下共振周波数帯に
おける車両の操縦安定性とばね下の制振性を確保し、ば
ね上共振周波数帯とばね下共振周波数帯との間のいわゆ
る乗り心地領域の周波数帯における乗り心地向上の実
現。 【構成】 ピストンロッド3に対し相対的に変位可能に
設けられていて非共振時の相対中立位置では伸側バイパ
ス流路Fおよび圧側バイパス流路Kを閉じると共に共振
時には上方への所定の相対変位により伸側バイパス流路
Fを開く方向に作用する伸側環状溝19cと下方向への
所定の相対変位により圧側バイパス流路Kを開く方向に
作用する圧側環状溝19bを備えた所定の質量を有する
可動マス(スプール19,フリーピストン18)Mと、
可動マスMを相対中立位置に付勢するセンタリングスプ
リング20,21とを備え、可動マスMの共振周波数
が、ばね上共振周波数とばね下共振周波数との間に挟ま
れた周波数帯の中に存在するよう設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、路面入力周波数に感応
して自動的に減衰力特性を可変する周波数感応型液圧緩
衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の周波数感応型液圧緩衝器として
は、例えば、特開昭59−106733号公報に記載さ
れているようなものが知られている。
【0003】この従来の周波数感応型液圧緩衝器は、シ
リンダ内に挿入されたピストンロッドの先端部に該シリ
ンダ内を上部室と下部室とに画成すると共に、該ピスト
ンの移動の際に減衰力の発生作用が行なわれる液圧緩衝
器において、ピストンロッドの軸部内にはその軸方向に
穿設され一方を上部室に連通すると共に他方を下部室に
連通するように形成されてなる油路を有し、かつ、ピス
トンロッドの軸部外周にはそこに摺接する2つの共振体
を上下動自在に付設すると共に一方の共振体にはその上
下動に伴い上記油路の一方と上部室との連通を遮断し得
るように穿設された通孔を有した構造となっていた。
【0004】即ち、この従来の周波数感応型液圧緩衝器
では、ばね上変位量が大きくなる懸架ばねの一次共振点
(ばね上共振周波数)付近および二次共振点(ばね下共
振周波数)付近の共振時には高い減衰力の発生作用が行
なわれるが、それ以外の時には減衰力の低下作用が行な
われると共に、低下される減衰力の割合を路面状況に応
じて任意に変更できるようにしたものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の周波数感応型液圧緩衝器にあっては、以下
に述べるような問題点があった。
【0006】 実路面からばね下、ばね上を伝達し
て、液圧緩衝器に作用する加振周波数は、内蔵したばね
−マス系の共振周波数が単振動的に入力されるものでは
なく、ランダムな路面プロフィールと共に車速の変化に
よっても変動し、多種の周波数振幅が重畳して入力する
のが実際である。このため、ロッド(略ばね上)に装着
されたばね−マス系の上下動(対ばね上相対)は、単振
動入力時のような周期運動をすることはまず有り得な
い。図30に示すような、周波数、位相、振幅の異なる
正弦波が重畳した場合、A1 に対しては高減衰力、A2
に対しては低減衰力にならなければならないが、従来例
ではA1 にしか可動マスは応動しないため、A2 に対す
る低減衰力を満足することはできず、従来例で意図して
いるようなばね上共振周波数とばね下共振周波数との間
のいわゆる乗り心地領域の周波数帯で、ばね上振動伝達
率を低減することができない。また、ばね上共振周波数
とばね下共振周波数との間の加振周波数の単振動入力の
場合でも、入力振幅が大きくなれば減衰力はハードとな
り、乗り心地を悪くすることになる。
【0007】 従来例では、図31に示すように、ば
ね上共振周波数とばね下共振周波数近傍の極めて狭い周
波数帯で、可動マスを共振させて流路を開閉させるもの
であるため、可動マスに働く減衰力を大きく設定すると
可動マスの振幅が減少し、流路の開閉制御が難しくなる
ため、可動マスに働く減衰力を小さく設定する必要があ
るが、減衰力が小さいと可動マスの振幅が大きくなるこ
とから、可動マスの共振周波数の入力に対しては急激に
可動マスが作動(ばね上に対する相対変位の増大)し、
勢い相対加速度が大きくなって、可動マスがストッパに
衝突する時の衝撃力は大きく、異音、振動を引き起こ
す。
【0008】 2つのばね−マス系のうち、ばね上共
振点に一致するばね−マス系のばねは、一般的な液圧緩
衝器大きさから緩衝器内に設置できるマスの大きさを勘
案すると極めて非現実的なものとなり、実際に製造する
ことは不可能である。
【0009】即ち、車両質量1400kgで一輪あたりの
質量が350kg、各サスペンションのばね定数を2N/m
m 、可動マスの重さを0.035kgとすると、可動マス
のばね−マス系のばね定数k’は次式(1),(2) により求
められる。 ω0 2=k/m=2/350=k’/35 ・・・・・・・・・・・・・(1) k’=35×2/350=0.2gf/mm ・・・・・・・・・・・(2) なお、ω0 は共振周波数、mは可動マスの質量である。
そして、0.2gf/mmという小さなばね定数のばねの
初期撓み(変位δ)は次式(3) により求められる。 δ=w/k=35/0.2=17.5cm ・・・・・・・・・・・・・(3) なお、wは可動マスの重量である。つまり、初期撓みが
17.5cmもあるばねは、実際には管理することができ
ない。もっとも、可動マス質量を軽く、ばね定数を大き
く設定すれば可能ではあるが、非制御時における車両の
乗り心地が非常に悪くなり、よって、特殊なスポーツカ
ー等の限られた範囲でしか使用することができない。
【0010】 2つの可動マスが緩衝器内の軸方向直
列に設けられるものであることから、緩衝器の実ストロ
ーク量を大きく取ることが難しくなると共に、重量を増
大させることになる。
【0011】 可動マスが直接作動液内にあるため、
可動マス前後の発生差圧が直接可動マスに作用し、この
ため、減衰力特性の切り換えが設定された路面入力周波
数によらず、可動マス前後に発生する差圧の大小によっ
ても行なわれてしまう。
【0012】本発明は、上述のような従来の問題点に着
目して成されたもので、ばね上共振周波数帯とばね下共
振周波数帯における車両の操縦安定性とばね下の制振性
を確保すると共に、ばね上共振周波数帯とばね下共振周
波数帯との間のいわゆる乗り心地領域の周波数帯におけ
るばね上振動伝達率の低減による乗り心地向上が可能で
あり、かつ、可動マスの相対変位に対する高い減衰力の
設定が可能でフルストローク時における衝撃力の低減が
可能で異音や振動の発生を抑制することができると共
に、従来例に比べ緩衝器の実ストローク量が大きくかつ
重量の増大を少なくすることができる周波数感応型液圧
緩衝器の提供を第1の目的とし、さらに、可動マスのフ
ルストローク時における異音や振動の発生をさらに抑制
することを第2の目的とし、さらに、緩衝器の作動速度
の影響を受けることなしに路面入力周波数による減衰力
特性の切り換えを確実に行なうことを第3の目的とする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成
するために、本発明請求項1記載の周波数感応型液圧緩
衝器は、一端が車体側に固定される車体側部材と一端が
車輪側に固定される車輪側部材のいずれか一方を構成す
るがシリンダと、該シリンダ内を上部室と下部室とに画
成して摺動するピストンを備えたピストンロッドと、前
記車体側部材と前記車輪側部材の少なくとも一方に設け
られていてピストンの摺動に応じた前記上部室と下部室
とを含む画成された複数の室の中の2つの室相互間にお
ける作動液の流通を制限的に許容することで減衰力を発
生させる減衰力発生手段と、前記ピストンの摺動に伴っ
て前記2つの室相互間を減衰力発生手段をバイパスして
連通するバイパス流路と、該バイパス流路に設けられて
いて逆行程時における作動液の流通を阻止するチェック
バルブと、前記車体側部材に対して相対的に変位可能に
設けられていて非共振時の相対中立位置ではバイパス流
路を閉じると共に共振時には所定の相対変位によりバイ
パス流路を開く方向に作用する開閉弁手段を備えた所定
の質量を有する可動マスと、該可動マスを相対中立位置
に付勢する付勢手段と、を備え、前記可動マスの共振周
波数が、ばね上共振周波数とばね下共振周波数との間に
挟まれた周波数帯の中に存在するように設定されている
手段とした。
【0014】また、請求項2記載の周波数感応型液圧緩
衝器は、前記請求項1において、減衰力発生手段が緩衝
器の伸行程と圧行程とに対応してそれぞれ作動する伸側
減衰力発生手段と圧側減衰力発生手段とによって構成さ
れ、前記バイパス流路が前記伸側減衰力発生手段と圧側
減衰力発生手段をそれぞれバイパスして連通する伸側バ
イパス流路と圧側バイパス流路とによって構成され、前
記バイパス流路が前記伸側バイパス流路と圧側バイパス
流路にそれぞれ介装されて逆行程時における作動液の流
通を阻止する伸側チェックバルブと圧側チェックバルブ
とによって構成され、前記可動マスに備えた開閉弁手段
が、共振時の上方への所定の相対変位により伸側バイパ
ス流路を開く方向に作用する伸側開閉弁手段と下方への
所定の相対変位により圧側バイパス流路を開く方向に作
用する圧側開閉弁手段とによって構成されている手段と
した。
【0015】また、請求項3記載の周波数感応型液圧緩
衝器は、前記請求項1または2において、車体側部材が
ピストンロッドで構成され、車輪側部材がシリンダで構
成されていて、前記2つの室が前記上部室と下部室とで
構成されている手段とした。また、請求項4記載の周波
数感応型液圧緩衝器は、前記請求項1または2におい
て、車体側部材が、ロッドガイド部材を下端にベースを
上端に備えたシリンダと、該シリンダを囲んで設けられ
ていてシリンダの外周に外側室を上部にリザーバ室を形
成するアウタチューブとで構成され、前記車輪側部材が
前記ロッドガイド部材を貫通してシリンダ内に挿入され
ていてその上端に前記ピストンを備えたピストンロッド
で構成され、前記2つの室が前記ベースと前記ピストン
との間に画成された上部室と外側室とで構成されている
手段とした。
【0016】また、請求項5記載の周波数感応型液圧緩
衝器は、前記請求項1〜4において、可動マスにはその
相対変位速度を減衰する減衰力発生手段が設けられてい
る手段とした。
【0017】また、請求項6記載の周波数感応型液圧緩
衝器は、前記請求項1〜5において、可動マスの上下フ
ルストローク位置近傍では減衰力発生手段の減衰力を高
める方向に可変する減衰力可変手段が設けられている手
段とした。
【0018】また、請求項7記載の周波数感応型液圧緩
衝器は、前記請求項1〜6において、可動マスの上下各
方向のフルストローク時におけるストッパ手段がそれぞ
れ設けられていて、該ストッパ手段が弾性体で構成され
ている手段とした。
【0019】また、請求項8記載の周波数感応型液圧緩
衝器は、前記請求項1〜7において、可動マスがピスト
ンの摺動に基づいて作動液が流通する液室とは独立した
液室内に収容されている手段とした。
【0020】
【作用】本発明請求項1記載の周波数感応型液圧緩衝器
では、車体側部材に対し該車体側部材と相対的に共振す
る可動マスにより、ばね上共振周波数帯とばね下共振周
波数帯においてはハード特性により車両の操縦安定性と
ばね下制振性が確保されると共に、ばね上共振周波数帯
とばね下共振周波数帯との間のいわゆる乗り心地領域の
周波数帯においてはソフト特性によりばね上振動伝達率
の低減による乗り心地の向上が図れる。
【0021】また、ばね上共振周波数帯とばね下共振周
波数帯との間の極めて広い周波数帯で、可動マスを共振
させてバイパス流路を開閉させるものであるため、可動
マスに働く減衰力を大きく設定しても可動マスの振幅を
大きく取ることが可能となることから、可動マスのフル
ストローク時における衝撃力の低減が可能であり、これ
により、ストッパ等への衝突による異音や振動の発生が
抑制される。また、可動マスは1つのみであるため、可
動マスを2つ必要とする従来例に比べ緩衝器の実ストロ
ーク量を大きくかつ重量の増大を少なくできる。
【0022】また、請求項2では、1つの可動マスの共
振で、伸・圧両行程側の減衰力特性の切り換えを行なう
ことができる。そして、可動マスが下方へ変位した時、
即ちばね上速度方向が上向きの時には、伸側減衰力特性
がハードで圧側減衰力特性がソフトになると共に、可動
マスが上方へ変位した時、即ちばね上速度方向が下向き
の時には、圧側減衰力特性がハードで伸側減衰力特性が
ソフトになるもので、このような減衰力特性の切り換え
が行なわれることにより、カルノップ理論に基づくセミ
アクティブな振動絶縁法を、メカニカルに実現すること
ができ、これにより、車両の操縦安定性と良好な乗り心
地とを確保することができる。
【0023】また、請求項5では、前記可動マスの相対
変位速度を減衰する減衰力発生手段により、また、請求
項6では、前記可動マスの上下フルストローク位置近傍
では減衰力発生手段の減衰力を高める方向に可変する減
衰力可変手段により、さらに、請求項7では、前記可動
マスの上下フルストローク時におけるストッパ手段が弾
性体で構成されていることにより、可動マスのフルスト
ローク時における衝撃力がさらに低減される。
【0024】また、請求項8記載の周波数感応型液圧緩
衝器では、前記可動マスがピストンの摺動に基づいて作
動液が流通する液室とは独立した液室内に収容されてい
ることから、緩衝器の作動速度に影響されることなしに
路面入力周波数による減衰力特性の切り換えが確実に行
なわれる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により詳述す
る。 (第1実施例)図1は、本発明第1実施例の周波数感応
型液圧緩衝器の要部であるピストン部分の構成を示す断
面図であって、この実施例の緩衝器は、作動液が充填さ
れたシリンダ1と、シリンダ1内を上部室Aと下部室B
とに画成したピストン2と、図示を省略したが、シリン
ダ1の外周にリザーバ室を形成した外筒と、下部室Bと
リザーバ室とを画成したベースと、ピストン2に連結さ
れたピストンロッド3の摺動をガイドするガイド部材
と、外筒と車体との間に介在されたサスペンションスプ
リングとを備えると共に、ピストンロッド3上端がマウ
ントを介して車体側に取り付けられ、シリンダ1の下端
が車輪側に取り付けられた一般的なタイプのものであ
る。
【0026】さらに詳述すると、前記ピストン2は、ピ
ストンロッド3の先端小径部3aに取り付けられてい
る。即ち、前記先端小径部3aに、カラー4,ワッシャ
5a,圧側チェックバルブ7,圧側チェックボディ8,
ワッシャ5b,圧側減衰バルブ(圧側減衰力発生手段)
6,ピストン2,伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手
段)9,ワッシャ5c,伸側チェックボディ10,伸側
チェックバルブ11,ワッシャ5dを順次装着し、最後
にナット12で締結している。
【0027】また、前記ピストンロッド3の先端小径部
3aの軸芯部には摺動穴3bが穿設されると共に、その
周壁を直径方向に貫通する状態で上方から順に、第1ポ
ート3c,第2ポート3d,第3ポート3e,第4ポー
ト3fが穿設されている。
【0028】前記圧側チェックボディ8は、その上面に
圧側チェックバルブ7により開閉される環状溝8aが形
成され、この環状溝8aは半径方向溝8b及び内周環状
溝8cを介して第1ポート3cと連通されている。
【0029】また、上部室A側であるピストン2の上端
面には、圧側連通孔2aおよび(ピストンの下面側に形
成された後述の)圧側半径方向溝2bを介して下部室B
に連通されて、前記圧側減衰バルブ6により開閉される
4つの圧側溝2cと、外周が上部室Aと連通する4つの
伸側半径方向溝2dとが周方向交互に形成されると共
に、前記各圧側溝2cと連通する圧側バイパス溝2eと
が形成され、また、ピストン2の内周上部には、前記第
2ポート3dと各圧側バイパス溝2eとを連通する圧側
内周環状溝2fが形成されている。
【0030】一方、下部室B側であるピストン2の下端
面には、伸側連通孔2gおよび前記伸側半径方向溝2d
を介して上部室Aに連通されて、前記伸側減衰バルブ9
により開閉される4つの伸側溝2hと、外周が下部室B
と連通する4つの圧側半径方向溝2bとが周方向交互に
形成されると共に、前記各伸側溝2hと連通する伸側バ
イパス溝2iとが形成され、また、ピストン2の内周下
部には、前記第3ポート3eと各伸側バイパス溝2iと
を連通する伸側内周環状溝2jが形成されている。な
お、ピストン2の外周にはピストンリング2kが装着さ
れている。
【0031】前記伸側チェックボディ10は、その下面
に伸側チェックバルブ11により開閉される環状溝10
aが形成され、この環状溝10aは半径方向溝10bお
よび内周環状溝10cを介して第4ポート3fと連通さ
れている。
【0032】前記ナット12の下端外周には、略円筒状
のハウジング13の上端開口部が装着固定されていて、
このハウジング13の下端開口部には内側に突出する環
状係止部13a形成されている。そして、ハウジング1
3内には、環状係止部13aに下端外周部を係止した状
態で、下方から順に、ストッパシート14,環状の下側
ストッパプレート15,円筒状のシリンダ16,環状の
上側ストッパプレート17が嵌装されている。前記両ス
トッパプレート15,17は、板ばね材で構成され、そ
の外周側がシリンダ16の上端面とナット12の下面外
周に突出形成された環状突起12aとの間、または、シ
リンダ16の下端面とストッパシート14の上面外周に
突出形成された環状突起14aとの間にそれぞれ挟持固
定され、内周側が撓み可能な状態に設けられている。
【0033】前記シリンダ16内には、該シリンダ16
内を上室D1 と下室D2 とに画成する状態で、外周にピ
ストンリング18cを有するフリーピストン18が軸方
向摺動自在に収容されている一方、前記ピストンロッド
3の摺動穴3b内には、スプール19が軸方向摺動自在
に設けられていて、このスプール19の下端がフリーピ
ストン18の軸心穴18aに嵌入固定された状態で一体
化されている。そして、前記スプール19の軸心部には
摺動穴3bの上端室Cとシリンダ16の下室D2 との間
を連通する貫通孔19aが形成され、また、フリーピス
トン18には上室D1 と下室D2 とを連通するオリフィ
ス孔(減衰力発生手段)18bが形成されることで、フ
リーピストン18とスプール19とがピストンロッド3
側に対し軸方向相対変位可能な状態で設けられていると
共に、フリーピストン18の上下両端面と上下両ストッ
パプレート17,15との間にそれぞれ介装された付勢
手段を構成するセンタリングスプリング20,21によ
り、フリーピストン18とスプール19とが中立位置に
付勢されている。
【0034】前記スプール19の外周には、圧側開閉弁
手段を構成する圧側環状溝19bと伸側開閉弁手段を構
成する伸側環状溝19cとが形成されていて、フリーピ
ストン18が中立位置にある時には、図1に示すよう
に、第1ポート3cと第2ポート3d、および、第3ポ
ート3eと第4ポート3fとの間の連通が解除された状
態にあるが、この中立位置から図2に示すように、フリ
ーピストン18がシリンダ16の下方へ変位すると圧側
環状溝19bが第1ポート3cと第2ポート3dとの間
を連通させ、以上とは逆に、中立位置から図3に示すよ
うに、フリーピストン18がシリンダ16の上方へ変位
すると伸側環状溝19cが第3ポート3eと第4ポート
3fとの間を連通させるようになっている。そして、中
立位置では、図4の要部拡大図に示すように、第2ポー
ト3dと第3ポート3eとが、それぞれオーバラップ長
さHに相当する分だけ初期的に閉塞された状態となって
いて、中立位置からフリーピストン18とスプール19
の相対変位がオーバラップ長さHを越えた時点で第1ポ
ート3cと第2ポート3d、および、第3ポート3eと
第4ポート3fとの間の連通がそれぞれ開始するように
なっている。
【0035】なお、前記フリーピストン18とスプール
19とで請求の範囲の可動マスMを構成するもので、こ
の可動マスMの質量mとセンタリングスプリング20,
21のばね定数Rは、図5((イ) はばね上振動伝達率特
性、(ロ) は可動マス−ばね上相対変位量XR 特性、(ハ)
はばね上絶対速度と可動マス−ばね上相対変位量XR
の位相差特性)に示すように、図6の車両1輪モデルに
おけるばね上共振周波数fs とばね下共振周波数fu
の間の略中間に共振周波数fm が生じるような値に設定
されている。なお、図6において、X2 はばね上絶対変
位、X1 はばね下絶対変位、X0 は路面入力変位を示
す。また、前記フリーピストン18に形成されるオリフ
ィス孔18bの断面積は、可動マスMの相対変位量XR
とばね上絶対変位の位相差が図5の(ロ),(ハ) に示すよう
に、可動マスMの共振周波数で180°になると共に、
減衰力の切り換えに必要な振幅を確保できる範囲におい
て、可動マスMに作用する減衰力がなるべく大きくなる
ような大きさに設定されている。
【0036】この第1実施例では、以上のような構成と
したため、伸行程で流体が流通可能な流路としては図3
に示すように、2つの流路がある。即ち、上部室Aから
伸側半径方向溝2dおよび伸側連通孔2gを経由して伸
側溝2h内に流入した後、この伸側溝2hの位置から伸
側減衰バルブ9を開弁して下部室Bに至る伸側流路E
と、上部室Aから伸側半径方向溝2dおよび伸側連通孔
2gを経由して伸側溝2h内に流入した後、この伸側溝
2hの位置から伸側バイパス溝2i方向に分岐し、伸側
内周環状溝2j,第3ポート3e,伸側環状溝19c,
第4ポート3f,内周環状溝10cおよび半径方向溝1
0bを通って環状溝10a内に流入し、この環状溝10
aの位置から伸側チェックバルブ11を開弁して、下部
室Bに至る伸側バイパス流路Fとである。
【0037】一方、圧行程で流体が流通可能な流路とし
ては図2に示すように、2つの流路がある。即ち、下部
室Bから圧側半径方向溝2bおよび圧側連通孔2aを経
由して圧側溝2c内に流入し、この圧側溝2cの位置か
ら圧側減衰バルブ6を開弁して上部室Aに至る圧側流路
Gと、下部室Bから圧側半径方向溝2bおよび圧側連通
孔2aを経由して圧側溝2c内に流入した後、この圧側
溝2cの位置から圧側バイパス溝2e方向に分岐し、圧
側内周環状溝2f,第2ポート3d,圧側環状溝19
b,第1ポート3c,内周環状溝8cおよび半径方向溝
8bを通って、環状溝8a内に流入し、この環状溝8a
の位置から圧側チェックバルブ7を開弁して、上部室A
に至る圧側バイパス流路Kとである。
【0038】以上のように、スプール19の圧側環状溝
19bと第2ポート3dとの間で、圧側バイパス流路K
の開閉を行なう圧側開閉弁手段を構成し、伸側環状溝1
9cと第3ポート3eとの間で、伸側バイパス流路Kの
開閉を行なう伸側開閉弁手段を構成している。
【0039】次に、第1実施例の作用および効果につい
て説明する。 (イ) 可動マスMの相対変位量XR が小さい時 ばね上変位と可動マスMとの相対変位量XR が、図5に
示すように、中立位置0からオーバラップ長さHを越え
させない範囲の路面入力周波数,振幅帯 (d),(f) で
ある時は、図1に示すように、伸側バイパス流路Fおよ
び圧側バイパス流路Kが共に閉塞された状態となってい
る。
【0040】従って、緩衝器の伸行程においては、上部
室Aの作動液は、専ら伸側流路Eを通り、開弁抵抗の大
きい伸側減衰バルブ9を開弁して下部室B側に流通し、
また、緩衝器の圧行程においては、下部室Bの作動液
は、専ら圧側流路Gを通り、開弁抵抗の大きい圧側減衰
バルブ6を開弁して上部室A側に流通するもので、これ
により、減衰力特性は、図7に示すように、伸行程側も
圧行程側も共にハード特性となる。
【0041】以上のように、ばね上共振周波数帯および
ばね下共振周波数帯においては、緩衝器の減衰力特性を
常時ハード特性とすることで、車両の操縦安定性とばね
下の制振性を確保することができるようになる。
【0042】(ロ) 可動マスMの相対変位量XR が大きい
時 ばね上変位と可動マスMとの相対変位量XR が、図5に
示すように、中立位置0からオーバラップ長さHを越え
させる範囲の路面入力周波数,振幅帯 (e) である時
は、可動マスMの相対変位方向によって減衰力特性が以
下のように変化する。
【0043】まず、可動マスMがその中立位置0から下
方向にオーバラップ長さHを越えて相対変位した時は、
図2に示すように、圧側バイパス流路Kの流通が可能な
状態となる。
【0044】従って、伸行程側の減衰力特性はハード特
性のままでであるが、緩衝器の圧行程においては、下部
室Bの作動液は、まず圧側バイパス流路Kを通り、開弁
抵抗の小さい圧側チェックバルブ7を開弁して上部室A
側へ流通するため、図7に示すように、圧行程側の減衰
力特性はソフト特性に切り換えられる。
【0045】また、以上とは逆に、可動マスMがその中
立位置0から上方向にオーバラップ長さHを越えて相対
変位した時は、図3に示すように、伸側バイパス流路F
の流通が可能となる。
【0046】従って、圧行程側の減衰力特性はハード特
性のままであるが、緩衝器の伸行程においては、上部室
Aの作動液は、まず伸側バイパス流路Fを通り、開弁抵
抗の小さい伸側チェックバルブ11を開弁して下部室B
側に流通するため、図7に示すように、伸行程側の減衰
力特性はソフト特性に切り換えられる。
【0047】即ち、図5の(イ) に示すように、ばね上共
振周波数帯付近(d)とばね下共振周波数帯付近(f)
では緩衝器の減衰力特性をハード特性とすることでこの
周波数帯におけるばね上振動伝達率を低い値に維持させ
ると共に、ばね上共振周波数帯とばね下共振周波数帯と
の間のいわゆる乗り心地領域の周波数帯(e)では減衰
力特性をソフト特性に切り換えることで、図5(イ) のb
に示すように、この周波数帯(e)におけるばね上振動
伝達率を低減させる方向に変化させることができ、これ
により、路面入力周波数全域にわたって乗り心地の向上
を図ることができるようになる。
【0048】また、以上のように、可動マスが下方へ変
位した時、即ちばね上速度方向が上向きの時には、伸側
減衰力特性がハードで圧側減衰力特性がソフトになると
共に、可動マスが上方へ変位した時、即ちばね上速度方
向が下向きの時には、圧側減衰力特性がハードで伸側減
衰力特性がソフトになるもので、このような減衰力特性
の切り換えが行なわれることにより、カルノップ理論に
基づくセミアクティブな振動絶縁法を、メカニカルに実
現することができる。即ち、ばね上絶対速度X2 とばね
上・ばね下間相対速度(ΔX2 −ΔX1 )の方向判別符
号が一致している減衰力の制振作用時(ΔX2 (ΔX2
−ΔX1 )>0)には緩衝器におけるその時の行程側の
減衰力特性をハード特性とし、不一致である減衰力の加
振作用時(ΔX2 (ΔX2 −ΔX1 )<0)には緩衝器
におけるその時の行程側の減衰力特性をソフト特性とす
ることができ、これにより、車両の操縦安定性と良好な
乗り心地とを確保することができる。
【0049】なお、ばね上共振周波数帯とばね下共振周
波数帯における入力振幅が大きくなった時には、当然常
時ハード特性の状態からソフト特性に切り換わる場合も
あるが、前述のように、この場合においても、セミアク
ティブな方法による減衰力特性の切り換えが行なわれる
ため、十分な制振性が得られると共に、常時ハード特性
の時との差を最小限に抑えることができる。また、多種
の周波数振動が重畳して入力された場合でも、的確に減
衰力の切り換えが行なわれるため、良好な乗り心地と操
縦安定性とばね下の制振性(接地性)を得ることができ
る。
【0050】また、この実施例では、可動マスMと共に
ばね−マス系を構成するセンタリングスプリング20,
21は、ばね上共振周波数よりも高周波側に設定するこ
とができるため、ばねの製造が現実的にも可能となる。
【0051】また、可動マスMを構成するフリーピスト
ン18とスプール19とは、ピストン2の摺動に基づい
て作動液が流通する上部室Aおよび下部室Bとは独立し
た液室を形成するハウジング13および摺動穴3b内に
収容されていることから、マスの前後には緩衝器の作動
に伴う差圧の発生がないため、路面入力周波数による減
衰力特性の切り換えを確実に行なうことができるように
なる。また、ばね−マス系が1つのみであるため、従来
例に比べ、緩衝器の実ストローク量が大きくかつ重量の
増大を少なくすることができる。
【0052】また、ばね上共振周波数帯とばね下共振周
波数帯との間の極めて広い周波数帯で、可動マスMを振
動させてバイパス流路F,Kを開閉させるものであるた
め、オリフィス孔18bにより可動マスMに働く減衰力
を大きく設定しても可動マスの振幅を大きく取ることが
可能となることから、ストッパプレート15,17に対
する衝突時の衝撃力を低減することができ、さらには、
ストッパプレート15,17の撓みによる緩衝作用によ
り、衝突時における異音、振動の発生を抑制することが
できるようになる。
【0053】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。なお、この他の実施例の説明にあたっては、前記第
1実施例と同様の構成部分には同一の符号を付けてその
詳細な説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0054】(第2実施例)図8〜図10に示す第2実
施例の周波数感応型液圧緩衝器は、前記第1実施例とは
ピストンロッド3の先端小径部3aに取り付けられたピ
ストン部分の構成と、スプール19の構成が前記第1実
施例とは相違したのものであるが、基本的な作用・効果
は前記第1実施例と同様である。
【0055】即ち、この第2実施例では、ピストンロッ
ド3の先端小径部3aに、カラー102a,圧側チェッ
クボディ103,圧側チェックバルブ104,ワッシャ
105a,カラー102b,ワッシャ105b,圧側減
衰バルブ(圧側減衰力発生手段)106,ピストン10
7,伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手段)108,ワ
ッシャ105c,カラー102c,ワッシャ105d,
伸側チェックバルブ109,伸側チェックボディ110
を順次装着し、最後にナット12で締結している。
【0056】また、前記ピストンロッド3の先端小径部
3aの軸芯部には摺動穴3bが穿設されると共に、その
周壁を直径方向に貫通する状態で上方から順に、第1ポ
ート(伸側開閉手段)30a,第2ポート30b,第3
ポート30c,第4ポート(圧側開閉手段)30dが穿
設されている。
【0057】前記圧側チェックボディ103は、その上
面側に形成された半径方向溝103dと内周環状溝10
3eとにより、前記第1ポート30aが常時上部室Aと
連通され、また、その下面に圧側チェックバルブ104
により開閉される環状溝103aが形成され、この環状
溝103aは半径方向溝103b及び内周環状溝103
cを介して第2ポート30bと連通されている。
【0058】また、上部室A側であるピストン107の
外側上端面には、圧側連通孔107aを介して下部室B
に連通されて、前記圧側減衰バルブ106により開閉さ
れる4つの圧側溝107bと、外周が上部室Aと連通す
る4つの伸側半径方向溝107cとが形成されている。
【0059】一方、下部室B側であるピストン107の
内側下端面には、伸側連通孔107dおよび前記伸側半
径方向溝107cを介して上部室Aに連通されて、前記
伸側減衰バルブ108により開閉される伸側環状溝10
7eが形成されている。
【0060】前記伸側チェックボディ110は、その上
面に伸側チェックバルブ109により開閉される環状溝
110aが形成され、この環状溝110aは半径方向溝
110b及び内周環状溝110cを介して第3ポート3
0cと連通され、また、その下面側に形成された半径方
向溝110dと内周環状溝110eとにより、前記第4
ポート30dが常時下部室Bと連通されている。
【0061】前記スプール19の外周には、圧側開閉弁
手段および伸側開閉弁手段を構成する伸圧兼用の環状溝
19dが形成されていて、フリーピストン18が中立位
置にある時には、図8に示すように、第1ポート30a
と第3ポート30c、および、第2ポート30bと第4
ポート30dとの間の連通が解除された状態にあるが、
この中立位置から図9に示すように、フリーピストン1
8がシリンダ16の下方へ変位すると環状溝19dが第
2ポート30bと第4ポート30dとの間を連通させ、
以上とは逆に、中立位置から図10に示すように、フリ
ーピストン18がシリンダ16の上方へ変位すると環状
溝19dが第1ポート30aと第3ポート30cとの間
を連通させるようになっている。
【0062】この第1実施例では、以上のような構成と
したため、伸行程で流体が流通可能な流路としては図1
0に示すように、2つの流路がある。即ち、上部室Aか
ら伸側半径方向溝107cおよび伸側連通孔107dを
経由して伸側環状溝107e内に流入した後、この伸側
環状溝107eの位置から伸側減衰バルブ108を開弁
して下部室Bに至る伸側流路E’と、上部室Aから半径
方向溝103d,内周環状溝103e,第1ポート30
a,環状溝19d,第3ポート30c,内周環状溝11
0cおよび半径方向溝110bを経由して環状溝110
a内に流入した後、この環状溝110aの位置から伸側
チェックバルブ109を開弁して下部室Bに至る伸側バ
イパス流路F’とである。
【0063】一方、圧行程で流体が流通可能な流路とし
ては図9に示すように、2つの流路がある。下部室Bか
ら圧側連通孔107aを経由して圧側環状溝107b内
に流入した後、この圧側環状溝107bの位置から圧側
減衰バルブ106を開弁して上部室Aに至る圧側流路
G’と、下部室Bから半径方向溝110d,内周環状溝
110e,第4ポート30d,環状溝19d,第2ポー
ト30b,内周環状溝103cおよび半径方向溝103
bを経由して環状溝103a内に流入した後、この環状
溝103aの位置から圧側チェクバルブ104を開弁し
て上部室Aに至る圧側バイパス流路K’とである。
【0064】(第3実施例)図11に示す第3実施例の
周波数感応型液圧緩衝器は、ナット12の上端部に伸側
チェックボディ部10’を一体に形成するようにした点
で前記第1実施例とは相違したものであるが、基本的な
作用・効果は前記第1実施例と同様である。即ち、この
第3実施例では、ピストンロッド3の先端小径部3a
に、カラー4,ワッシャ5a,圧側チェックバルブ7,
圧側チェックボディ8,ワッシャ5b,圧側減衰バルブ
(圧側減衰力発生手段)6,ピストン2,伸側減衰バル
ブ(伸側減衰力発生手段)9,ワッシャ5cを順次装着
するところまでは、前記第1実施例と同じであるが、そ
の次に、カラー4’,ワッシャ5d,伸側チェックバル
ブ11を装着し、最後に伸側チェックボディ部10’を
備えたナット12で締結している。
【0065】そして、前記伸側チェックボディ部10’
は、伸側チェックバルブ11が当接する上端面に環状溝
10a’と半径方向溝10b’と内周環状溝10c’と
が形成された構造となっている。
【0066】従って、この実施例では、第1実施例に比
べ、ピストン部分の軸方向長さを短縮することができ、
これにより、緩衝器のストローク長を大きく取ることが
できるようになるという効果が得られる。
【0067】(第4実施例)図12〜14に示す第4実
施例の周波数感応型緩衝器は、ピストン2に設けられた
シート面を内外2重に形成し、内側のシート面78に
は、減衰バルブ72,75とチェックバルブ73,74
の両方が重なって当接し、外側シート面76には、チェ
ックバルブ73,74のみが当接すると共に、一方の室
から内側シート面78と外側シート面76の間の外側環
状溝79に開口するバイパス流路F”,K”がピストン
2とピストンロッド3の先端小径部3aにより形成され
た2つの流路をスプール19に形成された伸側環状溝1
9c,圧側環状溝19bにより連通して形成される点で
前記第1実施例と同様である。
【0068】即ち、この第4実施例では、ピストンロッ
ド3の先端小径部3aに、カラー4,ワッシャ5a,圧
側減衰バルブ(圧側減衰力発生手段)72,圧側チェッ
クバルブ73,ピストン2,伸側チェックバルブ74,
伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手段)75,ワッシャ
5c、を順次装着し、最後にナット12で締結してい
る。そして、前記ピストン2に内外2重のシート面を形
成すると共に、内側のシート面78には、減衰バルブ7
2,75とチェックバルブ73,74の両方が重なって
当接し、外側シート面76には、チェックバルブ73,
74のみが当接している。
【0069】また、ピストン2には下部室Bから圧側内
周環状溝2fを経由してピストンロッド3に形成された
第2ポート3dに向かう圧側第1流路81とピストンロ
ッド3に形成された第1ポート3cから内周環状溝8c
を経由して前記内側シート面78と外側シート面76の
間の外側環状溝79に向かう圧側第2流路82とによっ
て構成される圧側バイパス流路K”と、下部室Bから前
記内側シート面78のさらに内側に形成された内側環状
溝80に向かう伸側流路E”と、上部室Aから伸側内周
環状溝2jを経由してピストンロッド3に形成された第
3ポート3eに向かう伸側第1流路83とピストンロッ
ド3に形成された第4ポート3fから内周環状溝10c
を経由して前記内側シート面78と外側シート面76の
間の外側環状溝79に向かう伸側第2流路84とによっ
て構成される伸側バイパス流路F”と、上部室Aから前
記内側シート面78のさらに内側に形成された内側環状
溝80に向かう圧側流路G”をそれぞれ形成している。
【0070】この第4実施例では、以上のように構成し
たため、可動マスMが中立位置にある時は、図12に示
すように、伸側第1流路83と伸側第2流路84が連通
していないため、伸側バイパス流路F”は、閉鎖された
状態になっており、伸側同様、圧側バイパス流路K”も
閉鎖された状態となっている。このため、伸側流路E”
および圧側流路G”のみが流通可能となっている。
【0071】圧行程時に可動マスMが下方に変位した時
には、図13に示すように、スプール19に形成された
圧側環状溝19bが圧側第1流路81と圧側第2流路8
2とを連通するため、圧側流路G”に加え、圧側バイパ
ス流路K”も開口する。
【0072】伸行程時に可動マスMが上方に変位した時
には、図14に示すように、スプール19に形成された
伸側環状溝19aが伸側第1流路83と伸側第2流路8
4とを連通するため、伸側流路E”に加え、伸側バイパ
ス流路F”も開口する。
【0073】以上のように、内側シート面部は、減衰力
発生手段として働き、外側シート面部は、チェックバル
ブとして別々に働くようになっている。
【0074】従って、この実施例では、前記第3実施例
に比べ、さらにピストン部分の軸方向長さを短縮するこ
とができ、これにより、緩衝器のストローク長を大きく
取ることができるようになると共に部品点数を少なくで
き、構造を簡素化できるという効果が得られる。
【0075】次に、前記第1〜第4実施例における可動
マスM部分の他の実施例2〜6を図15〜図19に基づ
いて説明する。 (可動マスの実施例2)この可動マスの実施例2は、図
15に示すように、可動マスMの減衰力発生手段として
ストッパプレート17a,15aをフリーピストン18
側に設けた他の例を示すものである。
【0076】即ち、シリンダ16に相当する部分がハウ
ジング13の内周面に一体に突出形成されていて、フリ
ーピストン18のピストンリング18cがハウジング1
3の突出内周面に当接して摺動すると共に、ストッパプ
レート17a,15aの内周側がフリーピストン18に
おける軸心穴18aの上下両開口縁部に突出形成された
ボス部18d,18eとスプール19に形成された環状
係止部19e,19fとの間にその内周縁部を挟持固定
され、外周側がフリーの状態で設けられていて、その外
周側がフリーピストン18のフルストローク時におい
て、ナット12の環状突起12aまたはストッパシート
14の環状突起14aに当接して撓むことにより、衝撃
力が緩衝されるようになっている。なお、前記下端の環
状係止部19fは、スプール19の下端をカシメること
やナットを締結することにより形成される。従って、こ
の可動マスの実施例2では、シリンダの共用により、部
品点数を削減することができるようになる。
【0077】(可動マスの実施例3)この可動マスの実
施例3は、前記他の実施例1とほぼ同様であるが、図1
6に示すように、フリーピストン18の上下各端面で各
オリフィス孔18bより外側位置に、各ストッパプレー
ト17a,15aとの間に微小のクリアランスδを有し
て環状シート面18f,18gが突出形成されたもので
ある。
【0078】従って、フリーピストン18の振幅が上下
いずれかの方向にhを越えると、ナット12の環状突起
12aまたはストッパシート14の環状突起14aに当
接して各ストッパプレート17a,15aの外周側が撓
むことにより、クリアランスδが減少し、この減少に伴
ってフリーピストン18に作用する減衰力が増大するも
ので、これにより、フルストローク時における衝撃力を
より効果的に緩和することができるようになるという効
果が得られる。
【0079】(可動マスの実施例4)この可動マスの実
施例4は、減衰力発生手段がオリフィス孔18bに代え
てディスクバルブ18h,18iで構成されている点
で、前記他の実施例1とは相違したものである。
【0080】即ち、図17に示すように、フリーピスト
ン18の上下両端面には圧側ディスクバルブ18hと伸
側ディスクバルブ18iとが設けられると共に、フリー
ピストン18には上面側の半径方向溝18kを介して上
室D1 と連通すると共に下面側の伸側ディスクバルブ1
8iの開放により下室D2 と連通する伸側連通孔18n
と、下面側の半径方向溝18jを介して下室D2 と連通
すると共に上面側の圧側ディスクバルブ18hの開放に
より上室D1 に連通する圧側連通孔18mとが周方向交
互に形成されている。
【0081】そして、各ディスクバルブ18h,18i
と各ストッパプレート17a,15aとの間にはワッシ
ャ22a,22bが介装されていて、両者間にそれぞれ
所定のクリアランスδが形成されている。
【0082】従って、フリーピストン18の振幅が上下
いずれかの方向にhを越えると、ナット12の環状突起
12aまたはストッパシート14の環状突起14aに当
接して各ストッパプレート17a,15aの外周側が撓
むことにより、クリアランスδが減少し、この減少に伴
って各ディスクバルブ18h,18iの開弁幅が減少す
るもので、これにより、フリーピストン18に作用する
減衰力が増大し、フルストローク時における衝撃力をよ
り効果的に緩和することができるようになるという効果
が得られる。
【0083】また、可動マスMに働く減衰力を伸側と圧
側で別々に設定することができるため、伸圧別々の振幅
特性を得ることができ、これにより、ばね上振動伝達率
の微調整が可能で、車両毎に最適な特性を得ることがで
きるようになる。
【0084】(可動マスの実施例5)この可動マスの実
施例5は、前記第1実施例とほぼ同様であるが、図18
に示すように、ワッシャ22a,22bを省略して皿ば
ね状のストッパプレート17b,15bを用いるように
したものである。
【0085】即ち、減衰力可変手段として皿ばね状のス
トッパプレート17b,15bを用いることで、各ディ
スクバルブ18h,18iの撓み量の増加に伴って、内
径側から順次ストッパプレート17b,15bに当接す
るもので、これにより、線形に近い減衰力特性を得るこ
とができるため、オリフィスによる速度に対する2乗特
性とバルブによる速度に対する2/3乗特性のいずれ
か、もしくは両特性を組み合わせた減衰力特性の中か
ら、最適なものを車両の要求特性に合わせて任意に設定
することができるようになるという効果が得られる。
【0086】(可動マスの実施例6)この可動マスの実
施例6は、前記第1実施例とほぼ同様であるが、図19
に示すように、フリーピストン18の軸心穴18aの内
周面と、該軸心穴18a内に挿入されるスプール19の
下端外周面との間に半径方向のクリアランスを形成する
と共に、センタリングスプリング20,21よりも十分
に大きなばね定数を有するスプリング23でフリーピス
トン18を環状係止部19f側に押圧付勢することによ
り、スプール19に対しフリーピストン18を軸方向に
おいて位置決め固定するようにしたものである。なお、
24はスプリング受けである。
【0087】従って、組み立ての際に摺動穴3bの内径
とシリンダ16の内径とが偏心していても、スプール1
9およびフリーピストン18の組み付けが可能であると
共に、組み付け後におけるスプール19およびフリーピ
ストン18(可動マスM)のスムーズな作動を確保する
ことができるという効果が得られる。また、同軸度をラ
フに設定することができるため、部品製造に要するコス
トを低減することが可能となる。
【0088】(スプールの実施例7)次に、前記第1〜
第4実施例におけるスプール19部分の他の実施例7
を、図20〜図22に基づいて説明する。
【0089】このスプールの実施例7では、図20の要
部拡大断面図に示すように、スプール19における圧側
環状溝19bの下端エッジ部分に、スプール19の外径
φDO と圧側環状溝19部の外形φDI との中間外形φ
M を有する環状溝19gを形成したものである。そし
て、この、環状溝19gの中間外形φDM および軸方向
長さLは、以下のように設定してある。
【0090】即ち、図22は前記第1実施例における要
部拡大図であり、この図において、スプール19が下方
へ変位XH することによって生じる開口面積Sの変化特
性(丸孔S)は、図21の(丸孔S)に示すようなラ
インで、スプール19の変位に対する圧側流路Gと圧側
バイパス流路Kとの合成差圧比(=減衰力)Pは、図2
1の(丸孔P)に示すような非直線的なラインとなる
のに対し、この他の実施例6では、図21の’(環状
溝付S)に示すようなラインとなるように、前記環状溝
19gの中間外形φDM および軸方向長さLに設定する
ことにより、スプール19の変位XH に対する圧側流路
Gと圧側バイパス流路Kとの合成差圧比(=減衰力)P
を、図21の’(環状溝付P)に示すラインのように
ほぼ直線的に変化させることができるようになる。
【0091】また、切り換え時における減衰力特性の変
化を滑らかにすることができるため、作動時の異音、シ
ョックを大幅に低減することができるようになる。な
お、伸側環状溝19c側についても、上記圧側環状溝1
9bと同様の構成とすることができる。
【0092】(第5実施例)この第5実施例および後に
述べる第6実施例の周波数感応型液圧緩衝器は、前記実
施例とは上下が逆転したいわゆる倒立型の液圧緩衝器に
本発明を適用した例を示すものである。
【0093】図23は、この第5実施例の周波数感応型
液圧緩衝器の全体を示す断面図であり、この図におい
て、30はシリンダ、31はアウタチューブ、32はピ
ストンロッド、33はピストン、34はベース、35は
ストラットチューブを示している。
【0094】前記シリンダ30は、その下端にロッドガ
イド部材36およびロッドシール部材37が設けられ、
その上端にはベース34が設けられると共に、その内部
に摺動自在に装填されたピストン33により上部室Aと
下部室Bとに画成されている。そして、ピストン33
は、ロッドガイド部材36およびロッドシール部材37
を貫通してシリンダ30内に挿通されたピストンロッド
32の上端に取り付けられ、また、ピストンロッド32
の下端が車輪側に取り付けられるようになっている。
【0095】前記アウタチューブ31は、シリンダ30
より上方に延在して設けられていて、その下端部の内周
が前記ロッドガイド部材36およびロッドシール部材3
7の外周に嵌合固定されると共に、その中間部の内周が
ベース34に嵌合され、かつ、その上端部には車体側に
連結するためのスタッド31aが形成されている。そし
て、このアウタチューブ31により、シリンダ30の外
周には、ロッドガイド部材36に形成された下部連通路
36aを介して下部室B側に連通した外側室Qが形成さ
れると共に、ベース34上部には封入気体による圧力下
に所望量の作動液が充填されたリザーバ室Rが形成され
ている。なお、前記上部室Aと下部室Bと外側室Q内に
は作動液が充填されている。
【0096】前記ストラットチューブ35は、その内部
に、上下のベアリング38,39を介してアウタチュー
ブ31を相対摺動可能に案内支持すると共に、その下端
が車輪側のナックルスピンドル40に嵌入固定され、上
端外周部にはスプリングシート41が設けられている。
なお、前記ピストンロッド32の下端はストラットチュ
ーブ35の底部にナット42により締結固定されてい
る。
【0097】次に、図24は、ベース34部分を示す拡
大断面図であり、この図に示すように、ベース34は、
その下端部がシリンダ30の上端開口部に嵌入され、上
端部がアウタチューブ31の中間部内周面に対し嵌合さ
れ、かつ、シールリング43でシールされることによ
り、上部室Aとリザーバ室Rと外側室Qとの間が仕切ら
れた状態となっている。
【0098】また、ベース34の軸心穴34aには、前
記第2実施例におけるピストンロッド3の先端小径部3
aとナット12とが一体に形成されると共に、その内部
に可動マスMおよびその付属部材が収容された状態のボ
ルト部材44が第2実施例とはその上下を逆にした状態
で挿通されている。なお、以上のように、このボルト部
材44部分は前記第2実施例とその構成がほぼ同様であ
るため、同一の構成部分には同一の符号を付けて、その
説明を省略する。
【0099】即ち、先端小径部3aに相当するボルト部
材44の小径円筒部44aには、ワッシャ60a,伸側
減衰バルブ61,バルブボディ62,チェックバルブ6
3,ワッシャ60b,カラー64a,ワッシャ60c,
圧側チェックバルブ65,圧側チェックボディ66,ワ
ッシャ60d,圧側減衰バルブ67,ベース34,チェ
ックバルブ68,ワッシャ60e,カラー64b,ワッ
シャ60f,伸側チェックバルブ69,伸側チェックボ
ディ70,カラー64cを順次装着し、最後にナット7
1で締結している。
【0100】前記バルブボディ62は、ベース34の上
部に形成された円筒部内に嵌入されることで、バルブボ
ディ62(チェックバルブ63)とベース34上面の圧
側減衰バルブ67との間に中間室Wが形成されていて、
この中間室Wは、ベース34に形成された連通孔34h
により外側室Qと連通されている。また、バルブボディ
62の上面側には、前記伸側減衰バルブ61により開閉
される環状溝62aが形成され、バルブボディ62の下
面側には、内外2重の環状溝62b,62cが形成され
ていて外側環状溝62cが前記チェックバルブ63によ
り開閉自在に閉塞されている。そして、バルブボディ6
2には、外側環状溝62cをリザーバ室Rと連通する連
通孔62dと、内側環状溝62bと環状溝62aとを連
通する連通孔62eとが形成されている。なお、内側環
状溝62bは、チェックバルブ63の内周側に開設され
た開口部63aにより中間室Wと連通されている。さら
に、バルブボディ62の下面側には、第4ポート30d
と連通する内周環状溝62fと、該内周環状溝62fと
内側環状溝62bとの間を連通する半径方向溝62gと
が形成されている。
【0101】前記圧側チェックボディ66の上面側に
は、圧側チェックバルブ65により開閉される環状溝6
6aと、該環状溝66aと第3ポート30cとの間を連
通する半径方向溝66bおよび内周環状溝66cとが形
成されている。
【0102】前記ベース34の上面側には、前記圧側減
衰バルブ67により開閉される環状溝34iが形成さ
れ、ベース34の下面側には、内外2重の環状溝34
j,34kが形成されていて外側環状溝34kが前記チ
ェックバルブ68により開閉自在に閉塞されている。そ
して、ベース34には、外側環状溝34kをリザーバ室
Rと連通する連通孔34mと、内側環状溝34jと環状
溝34iとを連通する連通孔34nとが形成されてい
る。なお、内側環状溝34jは、チェックバルブ68の
内周側に開設された開口部68aにより上部室Aと連通
されている。
【0103】前記伸側チェックボディ70の上面側に
は、伸側チェックバルブ69により開閉される環状溝7
0aと、該環状溝70aと第2ポート30bとの間を連
通する半径方向溝70bおよび上側内周環状溝70cと
が形成されている。また、伸側チェックボディ70の下
面側には、第1ポート30aと連通する下側内周環状溝
70dと、該下側内周環状溝70dと上部室Aとの間を
連通する半径方向溝70eとが形成されている。
【0104】次に、この実施例における作動液の流路構
成を、図25に示す作動液の流通流路を示す回路図を参
照しつつ説明する。まず、伸行程において作動液が流通
可能な流路としては、以下の2つの流路がある。即ち、
下部室Bから、下部連通路36a,外側室Q,連通孔3
4h,中間室W,開口部63a,内側環状溝62b,連
通孔62eを経由して環状溝62a内に流入し、その位
置から伸側減衰バルブ61を開弁して一旦リザーバ室R
内に流入し、その位置から、さらに、連通孔34mを経
由して外側環状溝34k内に流入し、その位置から、チ
ェックバルブ68を開弁して上部室Aに至る伸側流路I
と、下部室Bから伸側流路Iと同様の流路を経由して内
側環状溝62b内に流入した後、その位置から伸側減衰
バルブ61をバイパスし、半径方向溝62g,内周環状
溝62f,第4ポート30d,環状溝19d,第2ポー
ト30b,上側内周環状溝70c,半径方向溝70bを
経由して環状溝70a内に流入し、その位置から伸側チ
ェックバルブ69を開弁して上部室Aに至る伸側バイパ
ス流路IIとである。なお、上部室Aからシリンダ30外
に退出したピストンロッド32の体積分の作動液は、チ
ェックバルブ68の開弁によりリザーバ室Rから連通孔
34mおよび外側環状溝34kを経由して上部室A側に
補給される。
【0105】一方、圧行程において作動液が流通可能な
流路としては、以下の2つの流路がある。即ち、上部室
Aから、チェックバルブ68の開口部68a,内側環状
溝34j,連通孔34nを経由して環状溝34i内に流
入し、この位置から圧側減衰バルブ67を開弁して中間
室Wに流入した後、連通孔34h,外側室Q,下部連通
路36aを経由して下部室B側に至る圧側流路III と、
上部室Aから、半径方向溝70e,下側内周環状溝70
d,第1ポート30a,環状溝19d,第3ポート30
c,内周環状溝66c,半径方向溝66bを経由して環
状溝66a内に流入し、その位置から圧側チェックバル
ブ65を開弁して中間室Wに流入し、即ち、前記圧側減
衰バルブ67をバイパスして中間室Wに流入した後に、
圧側流路III と同様の流路を経由して下部室Bに至る圧
側バイパス流路IVとである。なお、下部室B内に侵入し
たピストンロッド32の体積分の作動液は、中間室Wか
ら、開口部63a,内側環状溝62b,連通孔62eを
経由して環状溝62a内に流入し、その位置から伸側減
衰バルブ61を開弁してリザーバ室R側に放出し貯留さ
れる。
【0106】次に、第5実施例の作用および効果につい
て説明する。 (イ) 可動マスMの相対変位量XR が小さい時 ばね上変位と可動マスMとの相対変位量XR が、図5に
示すように、中立位置0からオーバラップ長さHを越え
させない範囲の路面入力周波数,振幅帯 (d),(f) で
ある時は、図24に示すように、伸側バイパス流路IIお
よび圧側バイパス流路IVが共に閉塞された状態となって
いる。
【0107】従って、緩衝器の伸行程においては、下部
室Bの作動液は、伸側流路Iを通り、開弁抵抗の大きい
伸側減衰バルブ61を開弁して上部室A側に流通すると
共に、退出したピストンロッド32の体積分の作動液
が、リザーバ室R側からチェックバルブ68を開弁する
ことで上部室A側に流通するもので、これにより、伸側
の減衰力特性はハード特性となる。
【0108】また、緩衝器の圧行程においては、上部室
Aの作動液は、圧側流路III を通り、開弁抵抗の大きい
圧側減衰バルブ67を開弁して下部室B側に流通すると
共に、圧側減衰バルブ67を通過した上部室Aの作動液
の一部すなわち侵入したピストンロッド32の体積分の
作動液が、中間室Wの位置から開弁抵抗の大きい伸側減
衰バルブ61を開弁することでリザーバ室R側に流通す
るもので、これにより、圧行程側の減衰力特性もハード
特性となる。
【0109】(ロ) 可動マスMの相対変位量XR が大きい
時 ばね上変位と可動マスMとの相対変位量XR が、図5に
示すように、中立位置0からオーバラップ長さHを越え
させる範囲の路面入力周波数,振幅帯 (e) である時
は、可動マスMの相対変位方向によって減衰力特性が以
下のように変化する。
【0110】まず、可動マスMがその中立位置0から下
方向にオーバラップ長さHを越えて相対変位した時は、
圧側バイパス流路IVの流通が可能な状態となる。従っ
て、伸行程側の減衰力特性はハード特性のままでである
が、緩衝器の圧行程においては、上部室Aの作動液は、
まず圧側バイパス流路IVを通り、開弁抵抗の小さい圧側
チェックバルブ65を開弁して下部室B側へ流通するた
め、圧行程側の減衰力特性はソフト特性に切り換えられ
るが、圧側チェックバルブ65を通過した上部室Aの作
動液の一部すなわち侵入したピストンロッド32の体積
分の作動液が、中間室Wの位置から開弁抵抗の大きい伸
側減衰バルブ61を開弁することでリザーバ室R側に流
通することから、少し高めのソフト特性となる。
【0111】また、以上とは逆に、可動マスMがその中
立位置0から上方向にオーバラップ長さHを越えて相対
変位した時は、伸側バイパス流路IIの流通が可能とな
る。
【0112】従って、圧行程側の減衰力特性はハード特
性のままであるが、緩衝器の伸行程においては、下部室
Bの作動液は、まず伸側バイパス流路IIを通り、開弁抵
抗の小さい伸側チェックバルブ69を開弁して上部室A
側に流通するため、伸行程側の減衰力特性はソフト特性
に切り換えられる。なお、この場合も、退出したピスト
ンロッド32の体積分の作動液が、リザーバ室R側から
チェックバルブ68を開弁することで上部室A側に流通
するが、チェックバルブ68の開弁抵抗は微小であるた
め、十分に低いソフト特性となる。
【0113】従って、この実施例においても、前記第1
実施例と同様の効果が得られる他に以下に述べるような
効果が得られる。即ち、この実施例では、可動マスM
が、シリンダ30よりは内径の大きなリザーバ室R側に
設けられる構造であることから、重量の大きな可動マス
Mの装着が可能となり、その分ばね定数の大きなセンタ
リングスプリング20,21を用いることができるもの
で、これにより、センタリングスプリング20,21の
製造がさらに容易になる。
【0114】また、可動マスMを構成するフリーピスト
ン18の外径を大きくできる分、その軸方向長さの短縮
が可能であり、それにより、緩衝器のストローク長を大
きくとることができるようになる。
【0115】(第6実施例)次に、本発明の第6実施例
の周波数感応型液圧緩衝器を、図26および図27に基
づいて説明する。なお、この第6実施例の説明にあたっ
ては、前記第5実施例と同様の構成部分には同一の符号
を付けてその説明を省略する。
【0116】即ち、先端小径部3aに相当するボルト部
材44の小径円筒部44aには、チェックボディ45,
チェックバルブ46,ワッシャ47a,ベース34,伸
側減衰バルブ48,ワッシャ47b,伸側チェックバル
ブ49,チェックボディ50,圧側チェックバルブ5
1,ワッシャ47c,圧側減衰バルブ52,バルブボデ
ィ53,伸側チェックバルブ54,ワッシャ47d,カ
ラー55を順次装着し、最後にナット56で締結してい
る。
【0117】前記チェックボディ45は、ベース34の
上部に形成された円筒部内に嵌入されることで、チェッ
クボディ45(チェックバルブ46)とベース34上面
との間に第1中間室Tが形成されていて、この第1中間
室Tは、ベース34に形成された連通孔34bにより外
側室Qと連通されている。また、このチェックボディ4
5の下面側には、連通孔45aを介してリザーバ室Rと
連通されて、チェックバルブ46により開閉される環状
溝45bが形成されている。
【0118】前記ベース34の下面には、伸側連通孔3
4cにより前記第1中間室Tと連通されていて、伸側減
衰バルブ48により開閉される伸側環状溝34dと、該
伸側環状溝34dと第4ポート3fとの間を連通する半
径方向溝34eおよび内周環状溝34fが形成されてい
る。
【0119】前記チェックボディ50の上面側には、伸
側チェックバルブ49により開閉される環状溝50a
と、該環状溝50aと第3ポート3cとの間を連通する
半径方向溝50bおよび内周環状溝50cとが形成さ
れ、また、前記チェックボディ50の下面側には、圧側
チェックバルブ51により開閉される環状溝50dと、
該環状溝50dと第2ポート3dとの間を連通する半径
方向溝50eおよび内周環状溝50fとが形成されてい
る。
【0120】前記バルブボディ53の外周には、シリン
ダ30の内周面との間をシールするシールリング57が
設けられていて、これにより、バルブボディ50(圧側
減衰バルブ52)とベース34(伸側減衰バルブ48)
との間に第2中間室Uが形成されている。そして、この
第2中間室Uは、ベース34に形成された連通孔34g
によりリザーバ室Rと連通されている。
【0121】また、第2中間室U側であるバルブボディ
53の上面側には、圧側連通孔53aおよび(バルブボ
ディ53の下面側に形成された)半径方向溝53bを介
して上部室Aと連通されて、前記圧側減衰バルブ52に
より開閉される4つの圧側溝53cと、外周が第2中間
室Uと連通する4つの半径方向溝53dとが周方向交互
に形成されると共に、前記圧側溝53cと連通する圧側
バイパス溝53eとが形成され、また、バルブボディ5
3の内周上部には、第1ポート3cと各圧側バイパス流
路53eとの間を連通する内周環状溝53fが形成され
ている。
【0122】一方、上部室A側であるバルブボディ53
の下面側には、伸側連通孔53gおよび前記半径方向溝
53dを介して第2中間室Uに連通されて、前記伸側チ
ェックバルブ54により開閉される4つの伸側溝53h
と、外周が上部室Aと連通する4つの半径方向溝53b
とが周方向交互に形成されている。
【0123】次に、この実施例における作動液の流路構
成を、図26に示す作動液の流通流路を示す回路図を参
照しつつ説明する。まず、伸行程において作動液が流通
可能な流路としては、以下の2つの流路がある。即ち、
下部室Bから、下部連通路36a,外側室Q,連通孔3
4b,第1中間室T,伸側連通孔34cを経由して伸側
環状溝34d内に流入し、この位置から伸側減衰バルブ
48を開弁して第2中間室Uに流入した後、半径方向溝
53dおよび伸側連通孔53gを経由して伸側溝53h
内に流入し、この位置から伸側チェックバルブ54を開
弁して上部室Aに至る伸側流路I’と、下部室Bから伸
側流路I’と同様の流路を経由して伸側環状溝34d内
に流入した後、その位置から伸側減衰バルブ48をバイ
パスし、半径方向溝34e,内周環状溝34f,第4ポ
ート3f,伸側環状溝19c,第3ポート3e,内周環
状溝50c,半径方向溝50bを経由して環状溝50a
内に流入し、その位置から伸側チェックバルブ49を開
弁して第2中間室Uに流入した後、伸側流路I’と同様
の流路を経由し伸側チェックバルブ54を開弁して上部
室Aに至る伸側バイパス流路II’とである。なお、上部
室Aからシリンダ30外に退出したピストンロッド32
の体積分の作動液は、リザーバ室Rから連通孔34gお
よび第2中間室Uを経由しチェックバルブ46を開弁し
て上部室A側に補給される。
【0124】一方、圧行程において作動液が流通可能な
流路としては、以下の2つの流路がある。即ち、上部室
Aから、半径方向溝53bおよび圧側連通孔53aを経
由して圧側溝53c内に流入し、その位置から圧側減衰
バルブ52を開弁して第2中間室U内に流入した後、連
通孔34gを通って一旦リザーバ室R内に流入し、その
位置から、連通孔45aを経由して環状溝45b内に流
入し、その位置からチェックバルブ46を開弁して第1
中間室Tに流入た後、連通孔34b,外側室Q,下部連
通路36aを経由して下部室B側に至る圧側流路 III’
と、上部室Aから前記圧側流路 III’と同様の流路を経
由して圧側環状溝53c内に流入した後、その位置から
圧側減衰バルブ52をバイパスし、圧側バイパス溝53
e,内周環状溝53f,第1ポート3c,圧側環状溝1
9b,第2ポート3d,内周環状溝50f,半径方向溝
50eを経由して環状溝50d内に流入し、その位置か
ら圧側チェックバルブ51を開弁して第2中間室Uに流
入した後、圧側流路 III’と同様の流路を経由し途中で
チェックバルブ46を開弁して下部室Bに至る圧側バイ
パス流路IV’とである。なお、下部室B内に侵入したピ
ストンロッド32の体積分の作動液は、リザーバ室R内
に貯留される。
【0125】次に、第6実施例の作用および効果につい
て説明する。 (イ) 可動マスMの相対変位量XR が小さい時 ばね上変位と可動マスMとの相対変位量XR が、図5に
示すように、中立位置0からオーバラップ長さHを越え
させない範囲の路面入力周波数,振幅帯 (d),(f) で
ある時は、図26に示すように、伸側バイパス流路II’
および圧側バイパス流路IV’が共に閉塞された状態とな
っている。
【0126】従って、緩衝器の伸行程においては、下部
室Bの作動液は、伸側流路I’を通り、開弁抵抗の大き
い伸側減衰バルブ48および開弁抵抗の小さい伸側チェ
ックバルブ54を開弁して上部室A側に流通すると共
に、退出したピストンロッド32の体積分の作動液が、
リザーバ室R側から伸側チェックバルブ54を開弁する
ことで上部室A側に流通するもので、これにより、伸側
の減衰力特性はハード特性となる。
【0127】また、緩衝器の圧行程においては、上部室
Aの作動液は、圧側流路 III’を通り、開弁抵抗の大き
い圧側減衰バルブ67を開弁して下部室B側に流通する
もので、これにより、圧行程側の減衰力特性もハード特
性となる。
【0128】(ロ) 可動マスMの相対変位量XR が大きい
時 ばね上変位と可動マスMとの相対変位量XR が、図5に
示すように、中立位置0からオーバラップ長さHを越え
させる範囲の路面入力周波数,振幅帯 (e) である時
は、可動マスMの相対変位方向によって減衰力特性が以
下のように変化する。
【0129】まず、可動マスMがその中立位置0から下
方向にオーバラップ長さHを越えて相対変位した時は、
圧側バイパス流路IV’の流通が可能な状態となる。従っ
て、伸行程側の減衰力特性はハード特性のままでである
が、緩衝器の圧行程においては、上部室Aの作動液は、
まず圧側バイパス流路IV’を通り、開弁抵抗の小さい圧
側チェックバルブ51およびチェックバルブ46を開弁
して下部室B側へ流通するため、圧行程側の減衰力特性
はソフト特性に切り換えられる。なお、この際、侵入し
たピストンロッド32の体積分の作動液が、上部室Aか
らリザーバ室R側へ流通するが、この実施例では前記第
4実施例とは異なり、開弁抵抗の小さい圧側チェックバ
ルブ51を通過するのみであるため、ソフト特性を十分
に低く設定することができる。
【0130】また、以上とは逆に、可動マスMがその中
立位置0から上方向にオーバラップ長さHを越えて相対
変位した時は、伸側バイパス流路II’の流通が可能とな
る。従って、圧行程側の減衰力特性はハード特性のまま
であるが、緩衝器の伸行程においては、下部室Bの作動
液は、まず伸側バイパス流路II’を通り、開弁抵抗の小
さい伸側チェックバルブ49およびチェックバルブ54
を開弁して上部室A側に流通するため、伸行程側の減衰
力特性はソフト特性に切り換えられる。
【0131】なお、この際、退出したピストンロッド3
2の体積分の作動液が、リザーバ室Rから上部室A側へ
流通するが、開弁抵抗の小さい伸側チェックバルブ54
を通過するのみであるため、ソフト特性を十分に低く設
定することができる。
【0132】従って、この実施例においても、前記第1
実施例および第5実施例と同様の効果が得られる他に、
圧行程側の低減衰力を十分に低く設定することができる
と共に、減衰力の可変幅を大きくとることができるよう
になるという効果が得られる。
【0133】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
てきたが、具体的な構成は、この実施例に限られるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計
変更等があっても本発明に含まれる。
【0134】例えば、実施例では、ストッパプレートと
して環状のものを用いたが、その他に、例えば、図28
および図29のストッパプレート15,17に示すよう
に、フリーピストンが当接する内周側に複数の独立した
ストッパ片tを形成するようにしてもよい。
【0135】また、実施例では、可動マスの共振周波数
として、ばね上共振周波数とばね下共振周波数の略中間
位置の周波数に設定したが、ばね下共振点と一致する共
振点を有する可動マスを設けるだけでも、サスペンショ
ンの共振が現われるため、可動マスの共振点をばね下の
共振点に合わせることも可能である。
【0136】また、摺動面の広いスプールには摺動性と
耐摩耗性に優れた材質を用い、フリーピストンには密度
の大きい材質を用いることにより、摺動性の向上により
耐久性が向上すると共に、フリーピストンの軸方向長さ
の短縮により緩衝器のストローク長を長くすることがで
きるようになる。
【0137】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の周波
数感応型液圧緩衝器では、車体側部材に対して相対的に
変位可能に設けられていて非共振時の相対中立位置では
バイパス流路を閉じると共に共振時には所定の相対変位
によりバイパス流路を開く方向に作用する開閉弁手段を
備えた所定の質量を有する可動マスと、該可動マスを相
対中立位置に付勢する付勢手段と、を備え、前記可動マ
スの共振周波数が、ばね上共振周波数とばね下共振周波
数との間に挟まれた周波数帯の中に存在するように設定
されている構成としたことで、ばね上共振周波数帯とば
ね下共振周波数帯においてはハード特性により車両の操
縦安定性とばね下制振性を確保すると共に、ばね上共振
周波数帯とばね下共振周波数帯との間のいわゆる乗り心
地領域の周波数帯においてはソフト特性によりばね上振
動伝達率の低減による乗り心地の向上を図ることができ
るようになるという効果が得られる。
【0138】また、ばね上共振周波数帯とばね下共振周
波数帯との間の極めて広い周波数帯で、可動マスを共振
させてバイパス流路を開閉させるものであるため、可動
マスに働く減衰力を大きく設定しても可動マスの振幅を
大きく取ることが可能となることから、可動マスのフル
ストローク時における衝撃力の低減が可能であり、これ
により、ストッパ等への衝突による異音や振動の発生を
抑制することができるようになるという効果が得られ
る。
【0139】また、可動マスは1つのみであるため、可
動マスを2つ必要とする従来例に比べ緩衝器の実ストロ
ーク量を大きくかつ重量の増大を少なくすることができ
るようになるという効果が得られる。
【0140】また、請求項2では、可動マスには、非共
振時の相対中立位置では伸側バイパス流路および圧側バ
イパス流路を閉じると共に共振時の上方への所定の相対
変位により伸側バイパス流路を開く方向に作用する伸側
開閉弁手段と下方への所定の相対変位により圧側バイパ
ス流路を開く方向に作用する圧側開閉弁手段とを備えて
いる構成としたことで、1つの可動マスの共振で伸・圧
両行程側の減衰力特性の切り換えを行なうことができる
ようになる。そして、可動マスが下方へ変位した時、即
ちばね上速度方向が上向きの時には、伸側減衰力特性が
ハードで圧側減衰力特性がソフトになると共に、可動マ
スが上方へ変位した時、即ちばね上速度方向が下向きの
時には、圧側減衰力特性がハードで伸側減衰力特性がソ
フトになるもので、このような減衰力特性の切り換えが
行なわれることにより、カルノップ理論に基づくセミア
クティブな振動絶縁法を、メカニカルに実現することが
でき、これにより、車両の操縦安定性と良好な乗り心地
とを確保することができる。
【0141】また、請求項5では、前記可動マスにその
相対変位速度を減衰する減衰力発生手段が設けられ、ま
た、請求項6では、前記可動マスの上下フルストローク
位置近傍では減衰力発生手段の減衰力を高める方向に可
変する減衰力可変手段が設けられ、さらに、請求項7で
は、前記可動マスの上下フルストローク時におけるスト
ッパ手段がそれぞれ設けられていて、該ストッパ手段が
弾性体で構成されている手段としたことで、可動マスの
フルストローク時における衝撃力をさらに低減すること
ができるようになるという効果が得られる。
【0142】また、請求項8記載の周波数感応型液圧緩
衝器では、前記可動マスがピストンの摺動に基づいて作
動液が流通する液室とは独立した液室内に収容されてい
る構成としたことで、緩衝器の作動速度に影響されるこ
となしに路面入力周波数による減衰力特性の切り換えを
確実に行なうことができるようになるという効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例の周波数感応型液圧緩衝器の
要部を示す断面図で、可動マスの非相対変位状態を示す
図である。
【図2】本発明第1実施例の周波数感応型液圧緩衝器の
要部を示す断面図で、可動マスの下方向への相対変位状
態を示す図である。
【図3】本発明第1実施例の周波数感応型液圧緩衝器の
要部を示す断面図で、可動マスの上方向への相対変位状
態を示す図である。
【図4】図1の要部を示す拡大断面図である。
【図5】本発明第1実施例の周波数感応型液圧緩衝器に
おける路面入力周波数に対する特性図であり、(イ) はば
ね上振動伝達率特性,(ロ) は可動マス−ばね上相対変位
量特性,(ハ) はばね上相対速度と可動マス−ばね上相対
変位量との位相差特性をそれぞれ示す。
【図6】本発明第1実施例周波数感応型液圧緩衝器にお
ける車両1輪モデルを示す図である。
【図7】本発明第1実施例周波数感応型液圧緩衝器にお
ける可動マスの相対変位に対する減衰力可変特性図であ
る。
【図8】本発明第2実施例の周波数感応型液圧緩衝器の
要部を示す断面図で、可動マスの非相対変位状態を示す
図である。
【図9】本発明第2実施例の周波数感応型液圧緩衝器の
要部を示す断面図で、可動マスの下方向への相対変位状
態を示す図である。
【図10】本発明第2実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の要部を示す断面図で、可動マスの上方向への相対変位
状態を示す図である。
【図11】本発明第3実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の要部を示す断面図で、可動マスの非相対変位状態を示
す図である。
【図12】本発明第4実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の要部を示す断面図で、可動マスの非相対変位状態を示
す図である。
【図13】本発明第4実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の要部を示す断面図で、可動マスの下方向への相対変位
状態を示す図である。
【図14】本発明第4実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の要部を示す断面図で、可動マスの上方向への相対変位
状態を示す図である。
【図15】可動マス部分の実施例2を示す要部拡大断面
図である。
【図16】可動マス部分の実施例3を示す要部拡大断面
図である。
【図17】可動マス部分の実施例4を示す要部拡大断面
図である。
【図18】可動マス部分の実施例5を示す要部拡大断面
図である。
【図19】可動マス部分の実施例6を示す要部拡大断面
図である。
【図20】スプール部分の実施例7を示す要部拡大断面
図である。
【図21】スプール部分の実施例7におけるスプール変
位に対する合成差圧比(=減衰力)特性図である。
【図22】スプール部分の実施例7の作用を説明するた
めの第1実施例における要部拡大図である。
【図23】本発明第5実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の全体を示す断面図である。
【図24】本発明第5実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の要部を示す拡大断面図で、可動マスの非相対変位状態
を示す図である。
【図25】本発明第5実施例の周波数感応型液圧緩衝器
における作動液の流通流路を示す回路図である。
【図26】本発明第6実施例の周波数感応型液圧緩衝器
の要部を示す拡大断面図で、可動マスの非相対変位状態
を示す図である。
【図27】本発明第6実施例の周波数感応型液圧緩衝器
における作動液の流通流路を示す回路図である。
【図28】ストッパプレートの他の例を示す平面図で
あ。
【図29】図28のY−Y線における断面面図である。
【図30】路面入力振幅を示すタイムチャートである。
【図31】路面入力周波数に対するばね上振動伝達率特
性および可動マス振幅特性図である。
【符号の説明】
A 上部室 B 下部室 F 伸側バイパス流路 K 圧側バイパス流路 M 可動マス 1 シリンダ 2 ピストン 3 ピストンロッド 3d 第2ポート(圧側開閉弁手段) 3e 第3ポート(伸側開閉弁手段) 6 圧側減衰バルブ(圧側減衰力発生手段) 7 圧側チェックバルブ 9 伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手段) 11 伸側チェックバルブ 15 下側ストッパプレート 17 上側ストッパプレート 18 フリーピストン(可動マス) 19 スプール(可動マス) 18b オリフィス(減衰力発生手段) 19b 圧側環状溝(圧側開閉弁手段) 19c 伸側環状溝(伸側開閉弁手段) 20 センタリングスプリング(付勢手段) 21 センタリングスプリング(付勢手段) F’ 伸側バイパス流路 K’ 圧側バイパス流路 19d 環状溝(圧側開閉弁手段・伸側開閉弁手段) 104 圧側チェックバルブ 106 圧側減衰バルブ(圧側減衰力発生手段) 108 伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手段) 109 伸側チェックバルブ 15a 下側ストッパプレート 17a 上側ストッパプレート 15b 下側ストッパプレート 17b 上側ストッパプレート 18h 圧側ディスクバルブ(減衰力発生手段) 18j 伸側ディスクバルブ(減衰力発生手段) 30a 第1ポート(伸側開閉弁手段) 30d 第4ポート(圧側開閉弁手段) 15c 下側ストッパプレート 17c 上側ストッパプレート II’ 伸側バイパス流路 IV’ 圧側バイパス流路 Q 外側室 R リザーバ室 30 シリンダ 31 アウタチューブ 32 ピストンロッド 33 ピストン 34 ベース 36 ロッドガイド部材 48 伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手段) 52 圧側減衰バルブ(圧側減衰力発生手段) 61 伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手段) 67 圧側減衰バルブ(圧側減衰力発生手段) II 伸側バイパス流路 IV 圧側バイパス流路 72 圧側減衰バルブ(圧側減衰力発生手段) 73 圧側チェックバルブ(圧側減衰力発生手段) 74 伸側チェックバルブ(伸側減衰力発生手段) 75 伸側減衰バルブ(伸側減衰力発生手段) F” 伸側バイパス流路 K” 圧側バイパス流路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が車体側に固定される車体側部材と
    一端が車輪側に固定される車輪側部材のいずれか一方を
    構成するがシリンダと、 該シリンダ内を上部室と下部室とに画成して摺動するピ
    ストンを備えたピストンロッドと、 前記車体側部材と前記車輪側部材の少なくとも一方に設
    けられていてピストンの摺動に応じた前記上部室と下部
    室とを含む画成された複数の室の中の2つの室相互間に
    おける作動液の流通を制限的に許容することで減衰力を
    発生させる減衰力発生手段と、 前記ピストンの摺動に伴って前記2つの室相互間を減衰
    力発生手段をバイパスして連通するバイパス流路と、 該バイパス流路に設けられていて逆行程時における作動
    液の流通を阻止するチェックバルブと、 前記車体側部材に対して相対的に変位可能に設けられて
    いて非共振時の相対中立位置ではバイパス流路を閉じる
    と共に共振時には所定の相対変位によりバイパス流路を
    開く方向に作用する開閉弁手段を備えた所定の質量を有
    する可動マスと、 該可動マスを相対中立位置に付勢する付勢手段と、を備
    え、 前記可動マスの共振周波数が、ばね上共振周波数とばね
    下共振周波数との間に挟まれた周波数帯の中に存在する
    ように設定されていることを特徴とする周波数感応型液
    圧緩衝器。
  2. 【請求項2】 前記減衰力発生手段が緩衝器の伸行程と
    圧行程とに対応してそれぞれ作動する伸側減衰力発生手
    段と圧側減衰力発生手段とによって構成され、 前記バイパス流路が前記伸側減衰力発生手段と圧側減衰
    力発生手段をそれぞれバイパスして連通する伸側バイパ
    ス流路と圧側バイパス流路とによって構成され、 前記バイパス流路が前記伸側バイパス流路と圧側バイパ
    ス流路にそれぞれ介装されて逆行程時における作動液の
    流通を阻止する伸側チェックバルブと圧側チェックバル
    ブとによって構成され、 前記可動マスに備えた開閉弁手段が、共振時の上方への
    所定の相対変位により伸側バイパス流路を開く方向に作
    用する伸側開閉弁手段と下方への所定の相対変位により
    圧側バイパス流路を開く方向に作用する圧側開閉弁手段
    とによって構成されていることを特徴とする請求項1記
    載の周波数感応型液圧緩衝器。
  3. 【請求項3】 前記車体側部材がピストンロッドで構成
    され、車輪側部材がシリンダで構成されていて、前記2
    つの室が前記上部室と下部室とで構成されていることを
    特徴とする請求項1または2記載の周波数感応型液圧緩
    衝器。
  4. 【請求項4】 前記車体側部材が、ロッドガイド部材を
    下端にベースを上端に備えたシリンダと、該シリンダを
    囲んで設けられていてシリンダの外周に外側室を上部に
    リザーバ室を形成するアウタチューブとで構成され、前
    記車輪側部材が前記ロッドガイド部材を貫通してシリン
    ダ内に挿入されていてその上端に前記ピストンを備えた
    ピストンロッドで構成され、 前記2つの室が前記ベースと前記ピストンとの間に画成
    された上部室と外側室とで構成されていることを特徴と
    する請求項1または2記載の周波数感応型液圧緩衝器。
  5. 【請求項5】 前記可動マスにはその相対変位速度を減
    衰する減衰力発生手段が設けられていることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の周波数感応型液圧緩
    衝器。
  6. 【請求項6】 前記可動マスの上下フルストローク位置
    近傍では減衰力発生手段の減衰力を高める方向に可変す
    る減衰力可変手段が設けられていることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の周波数感応型液圧緩衝
    器。
  7. 【請求項7】 前記可動マスの上下各方向のフルストロ
    ーク時におけるストッパ手段がそれぞれ設けられてい
    て、該ストッパ手段が弾性体で構成されていることを特
    徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の周波数感応型
    液圧緩衝器。
  8. 【請求項8】 前記可動マスがピストンの摺動に基づい
    て作動液が流通する液室とは独立した液室内に収容され
    ていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    の周波数感応型液圧緩衝器。
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