JPH08104935A

JPH08104935A - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

Info

Publication number: JPH08104935A
Application number: JP6268179A
Authority: JP
Inventors: Yoshifusa Shiyouji; 美房正路; Yuji Hisatomi; 裕二久富; Koichi Maeda; 興一前田
Original assignee: Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority date: 1994-10-06
Filing date: 1994-10-06
Publication date: 1996-04-23

Abstract

(57)【要約】【構成】Ｍｎ:0.4〜2.0 ％、Ｃｕ:0.1〜1.0 ％を含有
し、ＳｉとＦｅを合計量で0.1 〜1.0 ％含み、残部Ａｌ
と不可避的不純物からなるアルミニウム合金芯材の片面
または両面に、Ｓｉ:6.0〜15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、
Ｃｕ:0.5％以上5.0 ％未満を含有し、残部Ａｌと不可避
的不純物からなり、ＺｎとＣｕとの含有比をＺｎ／Ｃ
ｕ:0.5〜3.0 としたアルミニウム合金ろう材をクラッド
してなる。【効果】従来より低い温度でろう付け作業を行うこと
ができ、強度、耐食性に優れ、アルミニウム合金製熱交
換器のろう付け製造に好適に使用し得るアルミニウム合
金クラッド材が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱交換器用アルミニウ
ム合金クラッド材、とくに、アルミニウム合金製の自動
車用熱交換器をろう付けにより製造する場合、その構成
材料であるチューブ材、プレート材、フィン材などに適
用されるアルミニウム合金クラッド材に関する。

【０００２】

【従来の技術】アルミニウム合金製熱交換器、例えばラ
ジエーター、ヒータコア、オイルクーラー、インターク
ーラー、カーエアコンのコンデンサー、エバポレーター
などの自動車用熱交換器は、一般に、真空ろう付けある
いはフラックスろう付けにより製造されている。このう
ちフラックスろう付けは、塩化物系フラックスを用いあ
るいは不活性ガス雰囲気中でフッ化物系フラックスを用
いて行われ、3003合金、3203合金などのＡｌ−Ｍｎ系合
金、6951合金などのＡｌ−Ｍｇ−Ｓｉ系合金の芯材に、
JIS Z 3263に規定されているBA4343合金(Al-7.5 ％Si合
金) 、BA4045合金(Al-10％Si合金) 、BA4047(Al-12％Si
合金) などのＡｌ−Ｓｉ系ろう材をクラッドしたブレー
ジングシートが使用されている。

【０００３】上記JIS に規定されたＡｌ−Ｓｉ系合金ろ
う材の固相線温度は577 ℃、液相線温度は580 〜615 ℃
であり、ろう付け作業は、一般に固相線温度と液相線温
度の間の590 〜600 ℃付近の温度で行われるが、このろ
う付け作業温度は、チューブ、フィン、プレート、その
他ろう付けすべきアルミニウム部材の溶融温度（固相線
温度）に近く、ろう付け時に局部溶融が生じて形状が崩
れ、ろう付け不良となるおそれがある。とくに芯材とし
て用いられるＡｌ−Ｍｎ系合金にＣｕ、Ｍｇなどを添加
して高強度化を図った合金材、7000系アルミニウム合金
材ではこの問題が生じ易い。

【０００４】この問題を解決し、また省エネルギーの観
点からも低温、例えば580 ℃以下の融点を有する低融点
ろう材が求められており、種々のアルミニウム合金ろう
材が開発、提案されている。例えば、Ａｌ−Ｓｉ系合金
にＣｕを添加したBA4145合金(Al-10％Si-4％Cu) 、Ｚ
ｎ、Ｃｕを添加したBA4245合金(Al-10％Si-10 ％Zn-4％
Cu) が開発されている。しかしながら、4145合金は耐食
性に問題があり、4245合金は加工性がわるく板材の形状
を得るのが困難な場合が少なくない。

【０００５】Ａｌ−6.0 〜15.0％Ｓｉ合金にＺｎ6.0 〜
15.0％を含有させ、さらに少量のＢｅあるいはＢｅとＢ
ｉを添加したアルミニウム合金ろう材（特開平2-251394
号公報) 、Ａｌ−8.0 〜15.0％Ｓｉ−6.0 〜15.0％Ｚｎ
−5.0 〜15.0％Ｃｕ合金ろう材（特開平3-57588 号公
報) 、Ａｌ−4 〜12％Ｓｉ−15〜55％Ｚｎ−0.2 〜2.0
％Ｃｕ合金ろう材（特開平3-230890号公報) も提案され
ているが、これらのアルミニウム合金ろう材は、Ｚｎが
多量に含まれているため、ろう付け部の自然電位が著し
く卑となって、ろう付け部が優先的に腐食し易く、多量
のＣｕの含有はろう材の自己耐食性を低下させるととも
に、ろう付け部の自然電極電位が著しく貴となるため、
接合される母材のアルミニウム合金が優先的に腐食し易
くなるなど接合部の耐食性に問題を生じる。

【０００６】Ｓｉ:5〜15％、Ｚｎ:0.5〜8 ％、Ｃｕ:0.1
〜1 ％を含有し、残部がＡｌと不可避的不純物からなる
組成を基本とするアルミニウム合金ろう材も提案されて
いる（特開平6-182582号公報、特開平6-184686号公報)
。このろう材は、融点が低く、耐食性も比較的優れて
いるが、腐食環境によっては自然電位が卑となって、ろ
う付け部が優先的に腐食される場合がある。

【０００７】一方、ろう付け製造されたアルミニウム製
熱交換器が各種環境下での長期の使用に十分耐え得るた
めに、構成材料には十分な強度、耐食性が要求され、自
動車用熱交換器のようにきわめて過酷な環境に曝される
ことが多い場合には、ろう付け接合後、熱交換器構成材
料としてとくに優れた強度特性および耐食性をそなえた
芯材とろう材の組み合わせからなるアルミニウム合金ク
ラッド材が必要とされる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ム合金製熱交換器をろう付け接合により製造する場合に
使用される熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の皮
材となるアルミニウム合金ろう材における上記の問題点
を解消するとともに、過酷な使用環境にも十分耐え得る
芯材とろう材の組み合わせを見出すために、多面的な検
討を行った結果としてなされたものであり、その目的
は、ろう付け性良好で、融点が低く580 ℃以下の温度で
ろう付け作業を行うことができ、加工性に優れ、板材や
ブレージングシートの形状に容易に加工することがで
き、ろう付け部、ろう付け接合されるアルミニウム合金
母材を優先的に腐食させることがなく、耐食性にも優れ
た熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材は、Ｍｎ:0.4〜2.0 ％、Ｃｕ:0.1〜1.0 ％を含有し、
ＳｉとＦｅを合計量で0.1 〜1.0 ％含み、残部がＡｌと
不可避的不純物からなるアルミニウム合金芯材の片面ま
たは両面に、Ｓｉ:6.0〜15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃ
ｕ:0.5％以上5.0 ％未満を含有し、残部がＡｌと不可避
的不純物からなり、ＺｎとＣｕの含有比をＺｎ／Ｃｕ:
0.5〜3.0 としたアルミニウム合金ろう材をクラッドし
たことを構成上の第１の特徴とする。

【００１０】また、アルミニウム合金芯材が、さらにＴ
ｉ:0.06 〜0.35％を含有すること、およびアルミニウム
合金ろう材が、さらにＢｉ:0.01.〜0.4 ％を含有するこ
とを発明構成上の第２、第３の特徴とする。

【００１１】本発明のアルミニウム合金クラッド材の皮
材を構成するアルミニウム合金ろう材の含有成分の意義
および含有範囲について説明すると、Ｓｉは、ろう材の
融点を下げ、ろうの流動性を高める効果を有する。好ま
しい含有範囲は6.0 〜15.0％の範囲であり、6.0 ％未満
ではその効果が十分でなく、15.0％を越えて含有する
と、ろう材の融点が高くなり、ろう材製造時の加工性も
低下する。Ｓｉのさらに好ましい含有範囲は7.0 〜13.0
％である。

【００１２】Ｚｎは、Ｓｉと同様、ろう材の融点を低下
させる効果を有する。好ましい含有範囲は1.0 〜8.0 ％
であり、1.0 ％未満の添加ではその効果が小さく、8.0
％を越えると、ろう材製造時の加工性がわるくなり、さ
らに自然電位が著しく卑となって、ろう付け部の耐食性
を低下させる。Ｚｎのさらに好ましい含有範囲は1.0〜
5.0 ％である。

【００１３】Ｃｕは、Ｚｎとともに、ろう材の融点を低
下させる効果がある。好ましい含有量は0.5 ％以上5.0
％未満の範囲であり、0.5 ％未満ではその効果が十分で
なく、5.0 ％以上含有すると、ろう材製造時の加工性が
低下し、さらに自然電位が著しく貴となって、ろう付け
部や接合する母材の耐食性を劣化させ、また自己腐食性
も増加する。1.0 ％超4.0 ％以下の範囲で含有させるの
がより好ましく、2.0〜4.0 ％の範囲で含有させるのが
さらに好ましい。

【００１４】選択成分として添加されるＢｉは、ろう材
の融点を下げ、ろうの濡れ性、流動性を改善する効果を
有する。好ましい添加範囲は0.01〜0.4 ％であり、0.01
％未満の添加ではその効果が小さく、0.4 ％を越えて添
加すると、ろう材製造時の加工性を低下させ、耐食性を
害する。濡れ性、流動性改善の効果も飽和する。Ｂｉの
さらに好ましい添加範囲は0.01〜0.2 ％である。

【００１５】本発明のろう材においては、自然電位を卑
にするＺｎと、電位を貴にするＣｕとを組み合わせ添加
し、電位を適度の範囲に保つことにより、ろう材の自己
耐食性を向上させ、ろう付け部に優れた耐食性を与える
ことを特徴とする。このために、ＺｎとＣｕの含有比、
Ｚｎ％／Ｃｕ％の比率を所定の範囲に制御することが重
要である。好ましいＺｎ／Ｃｕの比は0.5 〜3.0 の範囲
であり、0.5 未満では、Ｃｕの比率が高いため電位が貴
となって耐食性が十分でなくなり、比率が3.0を越える
と、Ｚｎの含有量が多くなり過ぎて電位が卑となり耐食
性を劣化させる。Ｚｎ／Ｃｕの比率のさらに好ましい範
囲は1.0 〜2.5 である。

【００１６】本発明のアルミニウム合金ろう材には、Ｆ
ｅ、Ｔｉ、Ｃｒ、Ｍｎ、Ｍｇ、Ｓｒ、Ｂｅ、Ｉｎ、Ｓ
ｎ、Ｇａ、Ｐｂ、Ｌｉ、Ｃａ、Ｎａなどの元素を、ろう
材の電位を卑にして犠牲陽極効果を付与するため、組織
を微細化して流動性を良好にするため、耐食性や強度を
向上させるためなどの目的で、且つ本発明の効果を損な
わない範囲で少量添加することもできる。但し、Ｆｅは
多量に含まれた場合耐食性を害するので0.8 ％以下に抑
えるのが好ましい。

【００１７】本発明におけるクラッド材の芯材を構成す
るアルミニウム合金の組成について説明すると、Ｍｎは
クラッド材の強度を向上させる効果を有する。好ましい
含有範囲は0.4 〜2.0 ％であり、0.4 ％未満ではその効
果が十分でなく、2.0 ％を越えると鋳造時に粗大な晶出
物が生成して加工性が低下し、板材の製造が困難となり
易い。Ｍｎのさらに好ましい含有範囲は0.6 〜1.6 ％で
ある。

【００１８】Ｃｕは、Ｍｎとともに強度を向上させる効
果を有する。好ましい含有範囲は0.1 〜1.0 ％であり、
0.1 ％未満ではその効果が十分でなく、1.0 ％を越えて
含有すると芯材自体の耐食性がわるくなる。Ｃｕのさら
に好ましい含有範囲は0.2 ％を超え、0.7 ％以下であ
る。

【００１９】ＳｉおよびＦｅは、いずれも上記Ｍｎの効
果に対して追加的効果を与え、Ｍｎとともにクラッド材
の強度を向上させる相乗効果を有する。ＳｉとＦｅは合
計量で0.1 〜1.0 ％の範囲で含有させるのが好ましく、
0.1 ％未満ではその効果が小さく、1.0 ％を越えると、
腐食雰囲気においてカソードとなる化合物の量が多くな
り耐食性を劣化させる。ＳｉおよびＦｅの合計量のさら
に好ましい範囲は0.1〜0.6 ％である。

【００２０】Ｔｉは材料の耐食性をより一層向上させる
効果を有する。Ｔｉは芯材の組織中にＴｉ濃度の高い領
域とＴｉ濃度の低い領域を形成し、それらの領域が板厚
方向に交互に分布する結果、層状組織となり、Ｔｉ濃度
が低い領域が高い領域に比べて優先的に腐食するため、
腐食形態が層状となって板厚方向への腐食の進行を遅く
し耐孔食性を向上させる。Ｔｉの好ましい含有範囲は0.
06〜0.35％であり、含有量が0.06％未満ではその効果が
小さく、0.35％を越えると、鋳造時に粗大な晶出物が生
成して加工性が低下し板材の製造が困難となり易い。Ｔ
ｉのさらに好ましい含有範囲は0.1 〜0.25％である。

【００２１】本発明のアルミニウム合金芯材は、前記組
成を有するアルミニウム合金ろう材との組み合わせにお
いて強度、耐食性を発揮するものであり、とくにろう材
中に含有されるＣｕは、ろう付け加熱時に芯材中に拡散
し、材料強度を一層向上させる。なお、芯材にはＭｇ、
Ｚｎ、Ｃｒ、Ｚｒ、Ｖなどの元素を、本発明の効果を損
なわない範囲で添加することにより材料特性を改善する
ことができる。但し、Ｍｇは、フッ化物系フラックスを
用いてろう付けを行う場合には、フラックスと反応して
ろう付け性を低下させるので、0.5 ％以下に制限するの
が好ましい。

【００２２】本発明のアルミニウム合金クラッド材は、
ろう材用アルミニウム合金と芯材用アルミニウム合金
を、例えば、通常の方法に従って溶解、鋳造し、均質化
処理、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍処理を経て、板材と
し、これらのアルミニウム合金板材を組み合わせて圧延
することにより製造され、自動車用熱交換器などアルミ
ニウム製熱交換器のチューブ材、ヘッダープレート材、
フィン材などに成形加工される。

【００２３】

【作用】本発明においては、Ａｌ−Ｓｉ系ろう材に所定
量のＺｎ、Ｃｕを含有させることにより、ろう材の低融
点化を図るとともに、ろう材製造時の加工性を確保し、
ＺｎとＣｕの含有比率を特定範囲に制御して自然電位を
最適範囲に保ち、ろう付け部、母材に優れた耐食性を与
え、自己耐食性を向上させたアルミニウム合金ろう材
と、このアルミニウム合金ろう材と組み合わせて材料に
良好な強度および耐食性を与える特定組成のアルミニウ
ム合金芯材をクラッドすることによって、熱交換器の構
成材料として適用した場合、ろう付け後、過酷な使用環
境に十分に耐え得る特性をそなえたものとなる。

【００２４】

【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。実施例１表１に示す化学成分を有するろう材用アルミニウム合金
と、表２に示す化学成分を有する芯材用アルミニウム合
金を常法により溶解、鋳造した。芯材用アルミニウム合
金の鋳塊を均質化処理し、これに予め均質化処理−熱間
圧延しておいたろう材用アルミニウム合金板を組み合わ
せて熱間圧延し、さらに冷間圧延および最終焼鈍処理を
経て、厚さ0.5mm 、ろう材クラッド率両面15％のアルミ
ニウム合金クラッド板を作製した。

【００２５】

【表１】

【００２６】

【表２】

【００２７】得られたクラッド板材を、幅20mm、長さ40
mmに切断し、図１に示すように、ろう材４、５と芯材６
からなるクラッド板材２を3003合金板材( 厚さ1mm 、幅
25mm、長さ40mm) ３の上に乗せて、逆Ｔ字型継ぎ手１に
組み合わせ、フッ化物系フラックスを塗布したのち、窒
素ガス雰囲気炉中で580 ℃で10分間ろう付け加熱を行っ
た。

【００２８】ろう付け加熱後、図２に示すように、逆Ｔ
字型継ぎ手の隅角部において溶融形成されたフィレット
部７、８の断面積Ａ₁およびＡ₂を測定し、ろう付け加
熱前のろう材の断面積（Ａ₀₁＋Ａ₀₂）との比から流動係
数Ｋ( 流動係数Ｋ＝（Ａ₁＋Ａ₂)／（Ａ₀₁＋Ａ₀₂））を
測定した。流動係数Ｋが大きいほど、ろう材の溶融した
割合が多く、ろうの流動性が良好で、ろう付け性に優れ
ていることを示す。

【００２９】耐食性の評価については、ろう付け後の逆
Ｔ字型継ぎ手について、２週間の期間ＣＡＳＳ試験（JI
S D 0201による) を行い、試験後のクラッド材一般部の
最大腐食深さおよびろう付け接合フィレット部の自己腐
食状況を調査することによって行った。またクラッド板
材をろう付け加熱した後、引張試験を行い、クラッド材
の強度を評価した。各試験材についてのろう材の流動
性、引張強度、耐食性、およびクラッド板材を圧延製造
する場合の加工性を表３に示す。表３にみられるよう
に、本発明による試験材No.1〜No.9は、いずれもクラッ
ド板材製造時、板端部に耳割れなどの欠陥がほとんど生
じることなく加工性が良好で、通常より10〜20℃低い58
0 ℃の温度でのろう付けにより、流動係数Ｋが0.55以上
の優れたろう付け性が得られた。また、ろう付け接合部
の耐食性も良好である。なお、575 ℃の温度でろう付け
作業を行った場合にも、流動係数0.55以上のろう付け性
が達成されることが確認された。

【００３０】

【表３】

【００３１】比較例１表４に示す化学成分を有するろう材用アルミニウム合金
および表５に示す化学成分を有する芯材用アルミニウム
合金の鋳塊を、実施例１と同一の工程に従って処理し、
実施例１と同様、厚さ0.5mm 、ろう材クラッド率が両面
15％のクラッド板材を作製した。このクラッド板材につ
いて、実施例１と同様な方法で、ろう付け性、強度、耐
食性、製造時の加工性を評価した。結果を表６に示す。
なお、表４、表５において、本発明の条件を外れたもの
には下線を付した。

【００３２】

【表４】

【００３３】

【表５】

【００３４】

【表６】

【００３５】表６に示されるように、試験材No.10 は、
ろう材のＳｉ量が少ないため、流動係数が小さくろう付
け性が劣る。試験材No.11 はろう材( 4245合金) のＺｎ
量が多いため、また試験材No.12 はろう材のＣｕおよび
Ｂｉの含有量が本発明の上限を越えているため、クラッ
ド材の製造時に割れが生じ健全なクラッド板材を得るこ
とができなかった。試験材No.13 はろう材のＺｎ／Ｃｕ
の比が小さく、ろう材の電位が著しく貴となるため、ク
ラッド材の腐食深さが大きくフィレット部の自己腐食も
大きくなる。

【００３６】試験材No.14 はＺｎ／Ｃｕの比が本発明の
範囲を越えているため、ろう材の電位が著しく卑となっ
て耐食性がわるくなり、フィレット部が優先的に腐食し
た。試験材No.15 はろう材のＳｉ量が多過ぎ、試験材N
o.17 は芯材のＭｎが多過ぎ、また試験材No.22 は芯材
のＴｉの含有量が多過ぎるため、ろう材製造時の加工性
が劣り、健全なクラッド板材が製造できなかった。試験
材No.16 は芯材のＭｎ量が少ないため、クラッド材の強
度が十分でない。

【００３７】試験材No.18 は、芯材のＳｉおよびＦｅの
合計量が少な過ぎるため、クラッド材の強度が劣る。試
験材No.19 は芯材におけるＳｉとＦｅの合計含有量が多
いため、クラッド材の耐食性がわるく、CASS試験におい
て貫通孔が生じ、フィレットの自己耐食性も劣る。試験
材No.20 は、芯材のＣｕが少ないためにクラッド材の強
度が劣る。試験材No.21 は芯材のＣｕ含有量が多過ぎる
ために、クラッド材の耐食性が劣り、CASS試験において
貫通孔が生じ、フィレット部の自己耐食性も劣ってい
る。

【００３８】

【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、従来よ
り10〜20℃低い温度でろう付け作業を行うことができ、
製造時の加工性も良好で、優れた強度および耐食性をそ
なえたアルミニウム合金クラッド材が提供される。本発
明のクラッド材は、熱交換器の構成材料として、過酷な
環境下での使用に耐えることができ、また薄肉化が可能
で熱交換器の軽量化とコスト低減に寄与することができ
るとともに、高強度で比較的融点の低いアルミニウム合
金材のろう付けも可能となるから、アルミニウム製熱交
換器のろう付けの際のエネルギーコストを削減すること
もできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明におけるろう付け性試験で使用する逆Ｔ
字型継ぎ手と試験クラッド材の配置を示す断面図であ
る。

【図２】図１のろう付け加熱後の断面図である。

【符号の説明】

１逆Ｔ字型継ぎ手２クラッド材３３００３合金板材４ろう材５ろう材６芯材７フィレット部８フィレット部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】Ｍｎ:0.4〜2.0 ％（質量％。以下同
じ）、Ｃｕ:0.1〜1.0 ％を含有し、ＦｅおよびＳｉを合
計で0.1 〜1.0 ％含み、残部がＡｌと不可避的不純物か
らなるアルミニウム合金芯材の片面または両面に、Ｓ
ｉ:6.0〜15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃｕ:0.5％以上5.
0 ％未満を含有し、残部がＡｌと不可避的不純物からな
り、ＺｎとＣｕの含有比をＺｎ／Ｃｕ:0.5〜3.0 とした
アルミニウム合金ろう材をクラッドしたことを特徴とす
る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
【請求項２】アルミニウム合金芯材が、さらにＴｉ:
0.06 〜0.35％を含有することを特徴とする請求項１記
載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
【請求項３】アルミニウム合金ろう材が、さらにＢ
ｉ:0.01 〜0.4 ％を含むことを特徴とする請求項１また
は請求項２記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材。