JPH0890278A - アルミニウム合金ろう材 - Google Patents
アルミニウム合金ろう材Info
- Publication number
- JPH0890278A JPH0890278A JP25295994A JP25295994A JPH0890278A JP H0890278 A JPH0890278 A JP H0890278A JP 25295994 A JP25295994 A JP 25295994A JP 25295994 A JP25295994 A JP 25295994A JP H0890278 A JPH0890278 A JP H0890278A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- brazing
- aluminum alloy
- filler metal
- brazing material
- alloy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Prevention Of Electric Corrosion (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 Ｓｉ:6.0〜15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃ
ｕ:0.5％以上5.0 ％未満を含有し、残部がＡｌと不可避
的不純物からなり、ＺｎとＣｕの含有量比、Ｚｎ／Ｃ
ｕ:0.5〜3.0 であるアルミニウム合金ろう材。選択成分
として、Ｂｉ:0.01 〜0.4 ％が含まれてもよい。 【効果】 従来のＡｌ−Ｓｉ系ろう材より10〜20℃低い
温度でろう付け作業を行うことができ、ろう材製造時の
加工性に優れ、ろう付け部に優れた耐食性を与えるアル
ミニウム合金ろう材が提供される。
ｕ:0.5％以上5.0 ％未満を含有し、残部がＡｌと不可避
的不純物からなり、ＺｎとＣｕの含有量比、Ｚｎ／Ｃ
ｕ:0.5〜3.0 であるアルミニウム合金ろう材。選択成分
として、Ｂｉ:0.01 〜0.4 ％が含まれてもよい。 【効果】 従来のＡｌ−Ｓｉ系ろう材より10〜20℃低い
温度でろう付け作業を行うことができ、ろう材製造時の
加工性に優れ、ろう付け部に優れた耐食性を与えるアル
ミニウム合金ろう材が提供される。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金ろう
材、とくに、自動車用熱交換器などアルミニウム合金製
熱交換器をフラックスなどを用いてろう付けにより製造
する場合、その構成材料であるチューブ材、プレート
材、フィン材などにクラッドされるろう材、または各種
部品の接合に使用される置きろうとして好適に使用され
るアルミニウム合金ろう材に関する。
材、とくに、自動車用熱交換器などアルミニウム合金製
熱交換器をフラックスなどを用いてろう付けにより製造
する場合、その構成材料であるチューブ材、プレート
材、フィン材などにクラッドされるろう材、または各種
部品の接合に使用される置きろうとして好適に使用され
るアルミニウム合金ろう材に関する。
【０００２】
【従来の技術】アルミニウム合金製熱交換器、例えばラ
ジエーター、ヒータコア、オイルクーラー、コンデンサ
ー、エバポレーターなどの自動車用熱交換器は、一般
に、真空ろう付けあるいはフラックスろう付けにより製
造されている。このうちフラックスろう付けは、塩化物
系フラックスを用いあるいは不活性ガス雰囲気中でフッ
化物系フラックスを用いて行われ、ろう材として、JIS
Z 3263に規定されているＡｌ−Ｓｉ系ろう材、BA4343合
金(Al-7.5 ％Si合金) 、BA4045合金(Al-10％Si合金) 、
BA4047(Al-12％Si合金) などが使用され、これらのろう
材を3003合金、6951合金などのアルミニウム合金心材に
クラッドしたブレージングシートとして適用している。
ジエーター、ヒータコア、オイルクーラー、コンデンサ
ー、エバポレーターなどの自動車用熱交換器は、一般
に、真空ろう付けあるいはフラックスろう付けにより製
造されている。このうちフラックスろう付けは、塩化物
系フラックスを用いあるいは不活性ガス雰囲気中でフッ
化物系フラックスを用いて行われ、ろう材として、JIS
Z 3263に規定されているＡｌ−Ｓｉ系ろう材、BA4343合
金(Al-7.5 ％Si合金) 、BA4045合金(Al-10％Si合金) 、
BA4047(Al-12％Si合金) などが使用され、これらのろう
材を3003合金、6951合金などのアルミニウム合金心材に
クラッドしたブレージングシートとして適用している。
【０００３】また、アルミニウム合金製熱交換器に関連
するアルミニウム部材、例えば連結導管、コネクター、
ユニオンなどの接合は、ろう付け部分に前記ろう材をフ
ラックスとともに置きろうとして添加し、加熱溶融する
ことにより行われている。前記JIS に規定されたアルミ
ニウム合金ろう材の固相線温度は577 ℃、液相線温度は
580 〜615 ℃であり、ろう付け作業は、一般に固相線温
度と液相線温度の間の590 〜600 ℃付近の温度で行われ
る。
するアルミニウム部材、例えば連結導管、コネクター、
ユニオンなどの接合は、ろう付け部分に前記ろう材をフ
ラックスとともに置きろうとして添加し、加熱溶融する
ことにより行われている。前記JIS に規定されたアルミ
ニウム合金ろう材の固相線温度は577 ℃、液相線温度は
580 〜615 ℃であり、ろう付け作業は、一般に固相線温
度と液相線温度の間の590 〜600 ℃付近の温度で行われ
る。
【０００４】このろう付け作業温度は、チューブ、フィ
ン、プレート、その他ろう付けすべきアルミニウム部材
の溶融温度（固相線温度）に近く、ろう付け時に局部溶
融が生じて形状が崩れ、ろう付け不良となるおそれがあ
る。とくにＡｌ−Ｍｎ系合金にＣｕ、Ｍｇなどを添加し
て高強度化を図った合金材、7000系アルミニウム合金材
ではこの問題が生じ易い。
ン、プレート、その他ろう付けすべきアルミニウム部材
の溶融温度（固相線温度）に近く、ろう付け時に局部溶
融が生じて形状が崩れ、ろう付け不良となるおそれがあ
る。とくにＡｌ−Ｍｎ系合金にＣｕ、Ｍｇなどを添加し
て高強度化を図った合金材、7000系アルミニウム合金材
ではこの問題が生じ易い。
【０００５】この問題を解決し、また省エネルギーの観
点からも低温、例えば580 ℃以下の融点を有する低融点
ろう材が求められており、種々のアルミニウム合金ろう
材が開発、提案されている。例えば、Ａｌ−Ｓｉ系合金
にＣｕを添加したBA4145合金(Al-10％Si-4％Cu) 、Ｚ
ｎ、Ｃｕを添加したBA4245合金(Al-10％Si-10 ％Zn-4％
Cu) が開発されている。しかしながら、4145合金は耐食
性が劣るため、自動車用熱交換器のように過酷な腐食環
境下で使用される製品の材料としては問題があり、4245
合金は加工性がわるく、板材の形状を得るのが困難な場
合が少なくない。
点からも低温、例えば580 ℃以下の融点を有する低融点
ろう材が求められており、種々のアルミニウム合金ろう
材が開発、提案されている。例えば、Ａｌ−Ｓｉ系合金
にＣｕを添加したBA4145合金(Al-10％Si-4％Cu) 、Ｚ
ｎ、Ｃｕを添加したBA4245合金(Al-10％Si-10 ％Zn-4％
Cu) が開発されている。しかしながら、4145合金は耐食
性が劣るため、自動車用熱交換器のように過酷な腐食環
境下で使用される製品の材料としては問題があり、4245
合金は加工性がわるく、板材の形状を得るのが困難な場
合が少なくない。
【０００６】Ａｌ−6.0 〜15.0％Ｓｉ合金にＺｎ6.0 〜
15.0％を含有させ、さらに少量のＢｅあるいはＢｅとＢ
ｉを添加したアルミニウム合金ろう材（特開平2-251394
号公報) 、Ａｌ−8.0 〜15.0％Ｓｉ−6.0 〜15.0％Ｚｎ
−5.0 〜15.0％Ｃｕ合金ろう材（特開平3-57588 号公
報) 、Ａｌ−4 〜12％Ｓｉ−15〜55％Ｚｎ−0.2 〜2.0
％Ｃｕ合金ろう材（特開平3-230890号公報) も提案され
ているが、これらのアルミニウム合金ろう材は、Ｚｎが
多量に含まれているため、ろう付け部の自然電位が著し
く卑となって、ろう付け部が優先的に腐食し易く、5.0
％以上のＣｕの含有はろう材の自己耐食性を低下させ
る。さらに、これらのろう材は加工性の点でも十分では
ない。
15.0％を含有させ、さらに少量のＢｅあるいはＢｅとＢ
ｉを添加したアルミニウム合金ろう材（特開平2-251394
号公報) 、Ａｌ−8.0 〜15.0％Ｓｉ−6.0 〜15.0％Ｚｎ
−5.0 〜15.0％Ｃｕ合金ろう材（特開平3-57588 号公
報) 、Ａｌ−4 〜12％Ｓｉ−15〜55％Ｚｎ−0.2 〜2.0
％Ｃｕ合金ろう材（特開平3-230890号公報) も提案され
ているが、これらのアルミニウム合金ろう材は、Ｚｎが
多量に含まれているため、ろう付け部の自然電位が著し
く卑となって、ろう付け部が優先的に腐食し易く、5.0
％以上のＣｕの含有はろう材の自己耐食性を低下させ
る。さらに、これらのろう材は加工性の点でも十分では
ない。
【０００７】Ｓｉ:5〜15％、Ｚｎ:0.5〜8 ％、Ｃｕ:0.1
〜1 ％を含有し、残部がＡｌと不可避的不純物からなる
組成を基本とするアルミニウム合金ろう材も提案されて
いる（特開平6-182582号公報、特開平6-184686号公報)
。このろう材は、融点が低く、耐食性も比較的優れて
いるが、腐食環境によっては自然電位が卑となって、ろ
う付け部が優先的に腐食される場合がある。
〜1 ％を含有し、残部がＡｌと不可避的不純物からなる
組成を基本とするアルミニウム合金ろう材も提案されて
いる（特開平6-182582号公報、特開平6-184686号公報)
。このろう材は、融点が低く、耐食性も比較的優れて
いるが、腐食環境によっては自然電位が卑となって、ろ
う付け部が優先的に腐食される場合がある。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ム合金ろう材、とくにアルミニウム合金製熱交換器およ
びその関連部品をろう付け接合する場合に使用されるア
ルミニウム合金ろう材における上記従来の問題点を解消
するためになされたものであり、その目的は、融点が低
く580 ℃以下の温度でろう付け作業を行うことができ、
加工性に優れ、板材やブレージングシートの形状に容易
に加工することができ、ろう付け部、ろう付け接合され
るアルミニウム合金母材を優先的に腐食させることがな
く、自己耐食性にも優れたアルミニウム合金ろう材を提
供することにある。
ム合金ろう材、とくにアルミニウム合金製熱交換器およ
びその関連部品をろう付け接合する場合に使用されるア
ルミニウム合金ろう材における上記従来の問題点を解消
するためになされたものであり、その目的は、融点が低
く580 ℃以下の温度でろう付け作業を行うことができ、
加工性に優れ、板材やブレージングシートの形状に容易
に加工することができ、ろう付け部、ろう付け接合され
るアルミニウム合金母材を優先的に腐食させることがな
く、自己耐食性にも優れたアルミニウム合金ろう材を提
供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるアルミニウム合金ろう材は、Ｓｉ:6.0
〜15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃｕ:0.5％以上5.0 ％未
満を含有し、残部がＡｌと不可避的不純物からなり、Ｚ
ｎとＣｕの含有比、Ｚｎ／Ｃｕ:0.5〜3.0 であることを
構成上の第１の特徴とする。
めの本発明によるアルミニウム合金ろう材は、Ｓｉ:6.0
〜15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃｕ:0.5％以上5.0 ％未
満を含有し、残部がＡｌと不可避的不純物からなり、Ｚ
ｎとＣｕの含有比、Ｚｎ／Ｃｕ:0.5〜3.0 であることを
構成上の第１の特徴とする。
【００１０】本発明構成上の第２の特徴は、Ｓｉ:6.0〜
15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃｕ:0.5％以上5.0 ％未満
を含有し、さらにＢｉ:0.01 〜0.4 ％を含み、残部がＡ
ｌと不可避的不純物からなり、ＺｎとＣｕとの含有比、
Ｚｎ／Ｃｕ:0.5〜3.0 であることにある。
15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃｕ:0.5％以上5.0 ％未満
を含有し、さらにＢｉ:0.01 〜0.4 ％を含み、残部がＡ
ｌと不可避的不純物からなり、ＺｎとＣｕとの含有比、
Ｚｎ／Ｃｕ:0.5〜3.0 であることにある。
【００１１】本発明のアルミニウム合金ろう材の含有成
分の意義および含有範囲について説明すると、Ｓｉは、
ろう材の融点を下げ、ろうの流動性を高める効果を有す
る。好ましい含有範囲は6.0 〜15.0％の範囲であり、6.
0 ％未満ではその効果が十分でなく、15.0％を越えて含
有すると、ろう材の融点が高くなり、ろう材製造時の加
工性も低下する。Ｓｉのさらに好ましい含有範囲は7.0
〜13.0％である。
分の意義および含有範囲について説明すると、Ｓｉは、
ろう材の融点を下げ、ろうの流動性を高める効果を有す
る。好ましい含有範囲は6.0 〜15.0％の範囲であり、6.
0 ％未満ではその効果が十分でなく、15.0％を越えて含
有すると、ろう材の融点が高くなり、ろう材製造時の加
工性も低下する。Ｓｉのさらに好ましい含有範囲は7.0
〜13.0％である。
【００１２】Ｚｎは、Ｓｉと同様、ろう材の融点を低下
させる効果を有する。好ましい含有範囲は1.0 〜8.0 ％
であり、1.0 ％未満の添加ではその効果が小さく、8.0
％を越えると、ろう材製造時の加工性がわるくなり、さ
らに自然電位が卑となって、ろう付け部の耐食性を低下
させる。Ｚｎのさらに好ましい含有範囲は1.0 〜5.0％
である。
させる効果を有する。好ましい含有範囲は1.0 〜8.0 ％
であり、1.0 ％未満の添加ではその効果が小さく、8.0
％を越えると、ろう材製造時の加工性がわるくなり、さ
らに自然電位が卑となって、ろう付け部の耐食性を低下
させる。Ｚｎのさらに好ましい含有範囲は1.0 〜5.0％
である。
【００１３】Ｃｕは、Ｚｎとともに、ろう材の融点を低
下させる効果がある。好ましい含有量は0.5 ％以上5.0
％未満の範囲であり、0.5 ％未満ではその効果が十分で
なく、5.0 ％以上含有すると、ろう材製造時の加工性が
低下し、さらに自然電位が貴となって、ろう付け部や接
合する母材の耐食性を劣化させ、また自己腐食性も大き
くなる。1.0 ％超4.0 ％以下の範囲で含有させるのがよ
り好ましく、2.0 〜4.0 ％の範囲で含有させるのがさら
に好ましい。
下させる効果がある。好ましい含有量は0.5 ％以上5.0
％未満の範囲であり、0.5 ％未満ではその効果が十分で
なく、5.0 ％以上含有すると、ろう材製造時の加工性が
低下し、さらに自然電位が貴となって、ろう付け部や接
合する母材の耐食性を劣化させ、また自己腐食性も大き
くなる。1.0 ％超4.0 ％以下の範囲で含有させるのがよ
り好ましく、2.0 〜4.0 ％の範囲で含有させるのがさら
に好ましい。
【００１４】選択成分として添加されるＢｉは、ろう材
の融点を下げ、ろうの濡れ性、流動性を改善する効果を
有する。好ましい添加範囲は0.01〜0.4 ％であり、0.01
％未満の添加ではその効果が小さく、0.4 ％を越えて添
加すると、ろう材製造時の加工性を低下させ、耐食性を
害する。濡れ性、流動性改善の効果も飽和する。Ｂｉの
さらに好ましい添加範囲は0.01〜0.2 ％である。
の融点を下げ、ろうの濡れ性、流動性を改善する効果を
有する。好ましい添加範囲は0.01〜0.4 ％であり、0.01
％未満の添加ではその効果が小さく、0.4 ％を越えて添
加すると、ろう材製造時の加工性を低下させ、耐食性を
害する。濡れ性、流動性改善の効果も飽和する。Ｂｉの
さらに好ましい添加範囲は0.01〜0.2 ％である。
【００１５】本発明のろう材においては、自然電位を卑
にするＺｎと、電位を貴にするＣｕとを組み合わせ添加
し、電位を適度の範囲に保つことにより、ろう材の自己
耐食性を向上させ、ろう付け部に優れた耐食性を与える
ことを特徴とする。このために、ＺｎとＣｕの含有比、
Ｚｎ％／Ｃｕ％の比率を所定の範囲に制御することが重
要である。好ましいＺｎ／Ｃｕの比は0.5 〜3.0 の範囲
であり、0.5 未満では、Ｃｕの比率が高いため電位が貴
となって耐食性が十分でなくなり、比率が3.0を越える
と、Ｚｎの含有量が多くなり過ぎて電位が卑となり耐食
性を劣化させる。Ｚｎ／Ｃｕの比率のさらに好ましい範
囲は1.0 〜2.5 である。
にするＺｎと、電位を貴にするＣｕとを組み合わせ添加
し、電位を適度の範囲に保つことにより、ろう材の自己
耐食性を向上させ、ろう付け部に優れた耐食性を与える
ことを特徴とする。このために、ＺｎとＣｕの含有比、
Ｚｎ％／Ｃｕ％の比率を所定の範囲に制御することが重
要である。好ましいＺｎ／Ｃｕの比は0.5 〜3.0 の範囲
であり、0.5 未満では、Ｃｕの比率が高いため電位が貴
となって耐食性が十分でなくなり、比率が3.0を越える
と、Ｚｎの含有量が多くなり過ぎて電位が卑となり耐食
性を劣化させる。Ｚｎ／Ｃｕの比率のさらに好ましい範
囲は1.0 〜2.5 である。
【００１６】本発明のアルミニウム合金ろう材には、Ｆ
ｅ、Ｔｉ、Ｃｒ、Ｍｎ、Ｍｇ、Ｓｒ、Ｂｅ、Ｉｎ、Ｓ
ｎ、Ｇａ、Ｐｂ、Ｌｉ、Ｃａ、Ｎａなどの元素を、ろう
材の電位を卑にして犠牲陽極効果を付与するため、組織
を微細化して流動性を良好にするため、耐食性や強度を
向上させるためなどの目的で、且つ本発明の効果を損な
わない範囲で少量添加することもできる。但し、Ｆｅは
多量に含まれた場合耐食性を害するので0.8 ％以下に抑
えるのが好ましい。
ｅ、Ｔｉ、Ｃｒ、Ｍｎ、Ｍｇ、Ｓｒ、Ｂｅ、Ｉｎ、Ｓ
ｎ、Ｇａ、Ｐｂ、Ｌｉ、Ｃａ、Ｎａなどの元素を、ろう
材の電位を卑にして犠牲陽極効果を付与するため、組織
を微細化して流動性を良好にするため、耐食性や強度を
向上させるためなどの目的で、且つ本発明の効果を損な
わない範囲で少量添加することもできる。但し、Ｆｅは
多量に含まれた場合耐食性を害するので0.8 ％以下に抑
えるのが好ましい。
【００１７】本発明のろう材は、例えば、通常の方法に
従って溶解、鋳造し、均質化処理、熱間圧延、冷間圧
延、焼鈍処理を経て、ろう材板とし、置きろう用のろう
材として使用し、またはこのろう材板と心材となるアル
ミニウム合金板を組み合わせて圧延することによりブレ
ージングシートを作製し、熱交換器などろう付け部品の
組み立て用に供することができる。
従って溶解、鋳造し、均質化処理、熱間圧延、冷間圧
延、焼鈍処理を経て、ろう材板とし、置きろう用のろう
材として使用し、またはこのろう材板と心材となるアル
ミニウム合金板を組み合わせて圧延することによりブレ
ージングシートを作製し、熱交換器などろう付け部品の
組み立て用に供することができる。
【００１８】
【作用】本発明においては、Ａｌ−Ｓｉ系合金ろう材に
所定量のＺｎ、Ｃｕを含有させることにより、ろう材の
低融点化を図るとともに、ろう材製造時の加工性を確保
し、ＺｎとＣｕの含有比率を特定範囲に制御して自然電
位を最適範囲に保ち、ろう付け部、母材に優れた耐食性
を与え、自己耐食性を向上させるものである。
所定量のＺｎ、Ｃｕを含有させることにより、ろう材の
低融点化を図るとともに、ろう材製造時の加工性を確保
し、ＺｎとＣｕの含有比率を特定範囲に制御して自然電
位を最適範囲に保ち、ろう付け部、母材に優れた耐食性
を与え、自己耐食性を向上させるものである。
【００１９】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例１ 表１に示す化学成分を有するアルミニウム合金を常法に
より溶解、鋳造し、均質化処理した後、熱間圧延し、さ
らに冷間圧延および焼鈍処理を経て、厚さ2.0mm のアル
ミニウム合金ろう材板を作製した。
明する。 実施例１ 表１に示す化学成分を有するアルミニウム合金を常法に
より溶解、鋳造し、均質化処理した後、熱間圧延し、さ
らに冷間圧延および焼鈍処理を経て、厚さ2.0mm のアル
ミニウム合金ろう材板を作製した。
【００２０】ろう材板を作製するための熱間圧延および
冷間圧延において、板端部に耳割れなどの欠陥が生じた
場合は、その欠陥部を切断除去し、健全部を以下の試験
に供した。なお、熱間圧延開始前の合金材の重量に対す
る最終冷間圧延後の健全部の重量の割合を製造歩留りと
して算出し、ろう材の加工性を評価した。この場合、製
造歩留りが高いほど加工性が優れていることを示す。
冷間圧延において、板端部に耳割れなどの欠陥が生じた
場合は、その欠陥部を切断除去し、健全部を以下の試験
に供した。なお、熱間圧延開始前の合金材の重量に対す
る最終冷間圧延後の健全部の重量の割合を製造歩留りと
して算出し、ろう材の加工性を評価した。この場合、製
造歩留りが高いほど加工性が優れていることを示す。
【００２１】
【表１】
【００２２】得られたろう材板を、幅2mm 、長さ35mmに
切断して、置きろうとし、図１に示すように逆Ｔ字型継
ぎ手１に組み合わせた3003合金板材( 厚さ1mm 、幅25m
m、長さ40mm) ３の継ぎ手の隅角部に、このろう材２を
置き、フッ化物系フラックスを塗布したのち、窒素ガス
雰囲気炉中で580 ℃で10分間ろう付け加熱を行った。
切断して、置きろうとし、図１に示すように逆Ｔ字型継
ぎ手１に組み合わせた3003合金板材( 厚さ1mm 、幅25m
m、長さ40mm) ３の継ぎ手の隅角部に、このろう材２を
置き、フッ化物系フラックスを塗布したのち、窒素ガス
雰囲気炉中で580 ℃で10分間ろう付け加熱を行った。
【００２３】ろう付け加熱後、図２に示すように、逆Ｔ
字型継ぎ手の隅角部において溶融形成されたフィレット
部４、５の断面積Ａ1 およびＡ2 を測定し、ろう付け加
熱前のろう材の断面積Ａ0 （2mm ×2mm ×2 =8mm2)との
比から流動係数Ｋ( 流動係数Ｋ＝（Ａ1 ＋Ａ2)／Ａ0 ）
を測定した。流動係数Ｋが大きいほど、ろう材の溶融し
た割合が多く、また流動性も優れていることを示す。
字型継ぎ手の隅角部において溶融形成されたフィレット
部４、５の断面積Ａ1 およびＡ2 を測定し、ろう付け加
熱前のろう材の断面積Ａ0 （2mm ×2mm ×2 =8mm2)との
比から流動係数Ｋ( 流動係数Ｋ＝（Ａ1 ＋Ａ2)／Ａ0 ）
を測定した。流動係数Ｋが大きいほど、ろう材の溶融し
た割合が多く、また流動性も優れていることを示す。
【００２４】耐食性の評価については、ろう付け後の逆
Ｔ字型継ぎ手について、２週間の期間ＣＡＳＳ試験（JI
S D 0201による) を行い、試験後のろう付け接合フィレ
ット部の腐食状況を観察することによって行った。各試
験材についての加工性、流動性および耐食性を表２に示
す。表２にみられるように、本発明による試験材No.1〜
No.13 は、いずれもろう材製造時の加工性が良好で、通
常より10〜20℃低い580 ℃の温度でのろう付けにより、
流動係数Ｋが0.6 以上の優れたろう付け性が得られた。
また、ろう付け接合部の耐食性も良好である。なお、57
5 ℃の温度でろう付け作業を行った場合にも、流動係数
0.6 以上のろう付け性が達成されることが確認された。
Ｔ字型継ぎ手について、２週間の期間ＣＡＳＳ試験（JI
S D 0201による) を行い、試験後のろう付け接合フィレ
ット部の腐食状況を観察することによって行った。各試
験材についての加工性、流動性および耐食性を表２に示
す。表２にみられるように、本発明による試験材No.1〜
No.13 は、いずれもろう材製造時の加工性が良好で、通
常より10〜20℃低い580 ℃の温度でのろう付けにより、
流動係数Ｋが0.6 以上の優れたろう付け性が得られた。
また、ろう付け接合部の耐食性も良好である。なお、57
5 ℃の温度でろう付け作業を行った場合にも、流動係数
0.6 以上のろう付け性が達成されることが確認された。
【００２５】
【表２】 《表注》耐食性：◎フィレット面積の30％未満が腐食 ○フィレット面積の30％以上70％未満が腐食 ×フィレット面積の70％以上が腐食 加工性：○製造歩留り60％以上 △製造歩留り30％以上60％未満 ×製造歩留り30％未満
【００２６】比較例１ 表３に示す化学成分を有するアルミニウム合金を、実施
例１と同一の工程に従って処理し、実施例１と同様、厚
さ2.0mm のろう材板を作製した。このろう材板につい
て、実施例１と同様な方法で、ろう付け性、耐食性、製
造時の加工性を評価した。結果を表４に示す。なお、表
３において、本発明の条件を外れたものには下線を付し
た。
例１と同一の工程に従って処理し、実施例１と同様、厚
さ2.0mm のろう材板を作製した。このろう材板につい
て、実施例１と同様な方法で、ろう付け性、耐食性、製
造時の加工性を評価した。結果を表４に示す。なお、表
３において、本発明の条件を外れたものには下線を付し
た。
【００２７】
【表３】
【００２８】
【表４】 《表注》耐食性：◎フィレット面積の30％未満が腐食 ○フィレット面積の30％以上70％未満が腐食 ×フィレット面積の70％以上が腐食 加工性：○製造歩留り60％以上 △製造歩留り30％以上60％未満 ×製造歩留り30％未満
【００２９】表４に示されるように、試験材No.1は、Ｓ
ｉ量が少なくＺｎおよびＣｕを含有していないため、ま
た試験材No.2（4343合金) はＺｎおよびＣｕを含有して
いないため、流動係数が小さく、ろう付け性が劣る。試
験材No.3(4N45 合金) はＣｕ含有量が少ないため、ろう
付け性が劣り、Ｚｎ／Ｃｕの比が本発明の範囲を越えて
いるため、耐食性がわるくフィレット部が優先的に腐食
した。試験材No.4(4245 合金) はＺｎ量が多過ぎるた
め、また試験材No.5はＣｕの含有量が多過ぎるため、ろ
う材製造時の加工性が劣る。
ｉ量が少なくＺｎおよびＣｕを含有していないため、ま
た試験材No.2（4343合金) はＺｎおよびＣｕを含有して
いないため、流動係数が小さく、ろう付け性が劣る。試
験材No.3(4N45 合金) はＣｕ含有量が少ないため、ろう
付け性が劣り、Ｚｎ／Ｃｕの比が本発明の範囲を越えて
いるため、耐食性がわるくフィレット部が優先的に腐食
した。試験材No.4(4245 合金) はＺｎ量が多過ぎるた
め、また試験材No.5はＣｕの含有量が多過ぎるため、ろ
う材製造時の加工性が劣る。
【００３０】試験材No.6はＢｉが多いため、ろう材製造
時の加工性が劣り、フィレット部の腐食も不均一で耐食
性がわるい。試験材No.7はＺｎ／Ｃｕの比が本発明の限
定範囲より小さいため、フィレット部の腐食が不均一で
耐食性が劣る。試験材No.8はＺｎ／Ｃｕの比率が大き過
ぎるため、ろう付け接合フィレット部に激しい腐食が生
じた。試験材No.9はＳｉの含有量が多過ぎるため、流動
係数が小さくろう付け性が劣り、製造時の加工性も不十
分で健全なろう材板が僅かしか得られない。
時の加工性が劣り、フィレット部の腐食も不均一で耐食
性がわるい。試験材No.7はＺｎ／Ｃｕの比が本発明の限
定範囲より小さいため、フィレット部の腐食が不均一で
耐食性が劣る。試験材No.8はＺｎ／Ｃｕの比率が大き過
ぎるため、ろう付け接合フィレット部に激しい腐食が生
じた。試験材No.9はＳｉの含有量が多過ぎるため、流動
係数が小さくろう付け性が劣り、製造時の加工性も不十
分で健全なろう材板が僅かしか得られない。
【００３１】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、従来の
Ａｌ−Ｓｉ系ろう材より10〜20℃低い温度でろう付け作
業を行うことができ、ろう材製造時の加工性も良好で、
ろう付け接合部に優れた耐食性を与えることができるア
ルミニウム合金ろう材が提供される。本発明のろう材に
よれば、高強度で比較的融点の低いアルミニウム合金材
のろう付けも可能となり、アルミニウム製熱交換器のろ
う付けの際のエネルギーコストを削減することもでき
る。
Ａｌ−Ｓｉ系ろう材より10〜20℃低い温度でろう付け作
業を行うことができ、ろう材製造時の加工性も良好で、
ろう付け接合部に優れた耐食性を与えることができるア
ルミニウム合金ろう材が提供される。本発明のろう材に
よれば、高強度で比較的融点の低いアルミニウム合金材
のろう付けも可能となり、アルミニウム製熱交換器のろ
う付けの際のエネルギーコストを削減することもでき
る。
【図１】本発明におけるろう付け性試験で使用する逆Ｔ
字型継ぎ手と試験ろう材の配置を示す断面図である。
字型継ぎ手と試験ろう材の配置を示す断面図である。
【図２】図１のろう付け加熱後の断面図である。
１ 逆Ｔ字型継ぎ手 ２ ろう材 ３ ３００３合金板材 ４ フィレット部 ５ フィレット部
Claims (2)
- 【請求項１】 Ｓｉ:6.0〜15.0％（質量％。以下同
じ）、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、Ｃｕ:0.5％以上5.0 ％未満を
含有し、残部がＡｌと不可避的不純物からなり、Ｚｎと
Ｃｕの含有比が、Ｚｎ／Ｃｕ:0.5〜3.0 であることを特
徴とするアルミニウム合金ろう材。 - 【請求項２】 Ｓｉ:6.0〜15.0％、Ｚｎ:1.0〜8.0 ％、
Ｃｕ:0.5％以上5.0％未満を含有し、さらにＢｉ:0.01
〜0.4 ％を含み、残部がＡｌと不可避的不純物からな
り、ＺｎとＣｕの含有比が、Ｚｎ／Ｃｕ:0.5〜3.0 であ
ることを特徴とするアルミニウム合金ろう材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25295994A JPH0890278A (ja) | 1994-09-21 | 1994-09-21 | アルミニウム合金ろう材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25295994A JPH0890278A (ja) | 1994-09-21 | 1994-09-21 | アルミニウム合金ろう材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0890278A true JPH0890278A (ja) | 1996-04-09 |
Family
ID=17244547
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25295994A Pending JPH0890278A (ja) | 1994-09-21 | 1994-09-21 | アルミニウム合金ろう材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0890278A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004052587A1 (en) * | 2002-12-12 | 2004-06-24 | Showa Denko K.K. | Aluminum alloy brazing material, brazing member, brazed article and brazinh method therefor using said material, brazing heat exchanginh tube, heat exchanger and manufacturing method thereof using said brazing heat exchanging tube |
| JP2006308119A (ja) * | 2005-04-26 | 2006-11-09 | Denso Corp | 熱交換器のろう付け方法 |
-
1994
- 1994-09-21 JP JP25295994A patent/JPH0890278A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004052587A1 (en) * | 2002-12-12 | 2004-06-24 | Showa Denko K.K. | Aluminum alloy brazing material, brazing member, brazed article and brazinh method therefor using said material, brazing heat exchanginh tube, heat exchanger and manufacturing method thereof using said brazing heat exchanging tube |
| JP2006308119A (ja) * | 2005-04-26 | 2006-11-09 | Denso Corp | 熱交換器のろう付け方法 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| EP1090745A1 (en) | Aluminum alloy clad material for heat exchangers exhibiting high strength and excellent corrosion resistance | |
| JP4023760B2 (ja) | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP3910506B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
| AU2003289789B2 (en) | Aluminum alloy tube and fin assembly for heat exchangers having improved corrosion resistance after brazing | |
| JP2000204427A (ja) | ろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JPH11293372A (ja) | 熱交換器用高強度高耐食アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP2000008130A (ja) | 耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器用部材 | |
| JPH10249580A (ja) | Ａｌ合金ろう材およびＡｌ合金製熱交換器の製造方法 | |
| JP3360026B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートのろう付け方法 | |
| JPH1053827A (ja) | アルミニウム合金製熱交換器用ブレージングシート | |
| JP4954551B2 (ja) | ろう付時のエロージョンが抑制されたアルミニウムろう合金及びそれを用いたブレージングシート、熱交換器用ヘッダーパイプ並びに熱交換器 | |
| JPH05125472A (ja) | アルミニウムクラツドフイン材 | |
| JP2000167688A (ja) | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JPH11315335A (ja) | ろう付け管形成用アルミニウム合金ブレージングシートおよびろう付け管 | |
| JPH06182581A (ja) | 熱交換器ろう付用アルミニウム合金ろう材および熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート | |
| JP3326106B2 (ja) | 強度および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP2006037135A (ja) | 熱交換器用高耐食アルミニウムクラッド材 | |
| JP3859781B2 (ja) | アルミニウム合金クラッドフィン材および該クラッドフィン材を使用したアルミニウム合金製熱交換器 | |
| JP2004225061A (ja) | 耐食性に優れたアルミニウム合金クラッドチューブ材および該クラッドチューブ材を組付けた熱交換器 | |
| JP4263160B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材並びにそれを用いた熱交換器用チューブ及び熱交換器 | |
| JPH0890278A (ja) | アルミニウム合金ろう材 | |
| JP3876179B2 (ja) | アルミニウム合金三層構造クラッド材 | |
| JP3863595B2 (ja) | アルミニウム合金製ブレージングシート | |
| JP4440550B2 (ja) | アルミニューム製熱交換器 | |
| JP2000026931A (ja) | ろう付け管形成用アルミニウム合金ブレージングシートおよびろう付け管 |