JPH08104267A - リーフスプリング締付け時の自動車高規制装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車高規制時に生ずる反力集中によるボデーの
変形およびゴムブッシュの損傷を防止する。 【構成】 車両フレームの左右に仮止めされたリーフス
プリング１５に車高規制荷重を加え、定積状態に弾性変
形させてリーフスプリングを本締めするための装置２０
であって、上端にリヤアクスルハウジング１７を受承す
る車高規制ユニット２４を有してリーフスプリングに所
定の車高規制荷重を加える昇降シリンダ２２と、上端に
浮上り防止ユニット２５を有する昇降シリンダ２３を設
け、浮上り防止ユニットはリヤクロスメンバー１８の下
面を支持する下面用パッド２８を有する下面支持部２７
と同リヤクロスメンバーの後部１８ａを掛止めするフッ
ク３９と同後部に当接する当て部材４０ａ，４０ｂを有
するフックアーム３６とにより挾持状に支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、車両の足回り組付け
ラインのリーフスプリング取付工程において、リーフス
プリングの締付け時に使用する自動車高規制装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、車両の足回り組付けラインのリー
フスプリング取付工程において、リーフスプリング１を
取付けるのに、図３に示すようにボデーを吊り下げて車
両フレームに仮止めしたリーフスプリング１に荷重が掛
からない状態（実線で示すフルリバウンド状態）で本締
めすると、車両をフロアに下ろした時に、メインリーフ
の両端の目玉部に嵌着したゴムブッシュが捩じれた状態
となり、経時的に早期に破断する恐れがあるので、リー
フスプリング１に車両重量分の荷重を掛け、車高規制し
た状態で締付ける必要があった。

【０００３】このため、従来の車高規制作業は図３に示
す規制台車２により行われていた。この台車２上には車
両フレームに仮止めされたリーフスプリング１の中央部
にＵボルトにより連結されたリヤアクスルハウジング３
を昇降するリフトシリンダ４が立設され、また、同台車
２には先端に例えばフックを取付けたチェーン５を巻取
・巻き戻しする例えば小型チエーン牽引機が設けられて
同チェーン５のフックをボデーの例えばサイドメンバー
に引っ掛けてリフトシリンダ４によりリヤアクスルハウ
ジング３を持ち上げてリーフスプリング１に破線で示す
ように車種に応じて定積状態相当の弾性変形をする所定
の車高規制荷重を加えて、リーフスプリング１の本締め
がなされていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、作業員
がボデーにチェーン５を引っ掛けて車高規制を行うこと
から、作業中にチェーン５が切断してその反動によりボ
デーが跳ね上がる危険性があり、また、チェーン５の引
っ掛け部分に反力が集中して同引っ掛け部分が変形する
という問題があった。また、ラインで車種変更が行われ
た場合、車高規制荷重の切替えを作業員が行っていたた
め、うっかり作業により車高規制不良を生じ、市場での
品質不良が発生する恐れがあった。本発明は、上記従来
の問題点を解決するためになされたもので、車高規制時
に生ずる反力集中によるボデーの変形およびゴムブッシ
ュの損傷を防止することのできる自動車高規制装置を提
供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記技術課題
を解決するため、車両ボデーがリフターに吊持されると
ともに、左右のリーフスプリングが車両フレームに仮止
めされ、同左右のリーフスプリンクがリヤアクスルハウ
ジングに取付けられてフルリバウンド状態で搬入され、
同リーフスプリングを車高規制荷重を加え、定積状態相
当の弾性変形をさせてリーフスプリングを本締めするた
めの自動車高規制装置であって、該装置は台車上に立設
され、上端に前記リヤアクスルハウジングを受承する車
高規制ユニットを有してリーフスプリングに所定の車高
規制荷重を加えて定積状態に弾性変形させる昇降シリン
ダと、この昇降シリンダと並設され、上端に浮上り防止
ユニットを有する昇降シリンダを設け、前記浮上り防止
ユニットは車両フレームのリヤクロスメンバーの下面を
支持する下面用パッドを有する下面支持部と同リヤクロ
スメンバーの後部を掛止めするフックと同後部に当接す
る当て部材を有するフックアームとにより挾持状に支持
する構成としたリーフスプリング締付け時の自動車高規
制装置である。

【０００６】

【作用】上記構成としたことにより、車高規制ユニット
の昇降シリンダによりリーフスプリングに車高規制荷重
を加える過程での作用力を十分に受け止めることができ
て、リヤクロスメンバーを定位置に安定支持することが
できる。

【０００７】

【実施例】次に、本発明の一実施例を図面にしたがって
説明すると、図１は自動車高規制装置と車両のリヤ側と
を示す側面図、図２はボデー浮上り防止ユニットの動作
説明図であって、この足回り組付けラインのリーフスプ
リング取付工程（リヤスプリング）においては、車両ボ
デー１１はリフタにより吊持された状態で搬入され、リ
ーフスプリング締付け作業においては図示のように左右
のサイドメンバー１２のリヤ側に取付けられた前側のブ
ラケット１３にはリーフスプリング１５の前側の目玉部
がボルトにより仮締めされ、また、後側のブラケット１
４にはリーフスプリング１５の後側の目玉部がシャック
ル１６を介してシャックルボルトを介して仮締めされて
いる。また、リーフスプリング１５の中央部はリヤアク
スルハウジング１７にＵボルトおよびＵボルトシートを
介して締付け固定されている。このように仮締めされた
リーフスプリング１５は自動車高規制装置２０により車
種に応じた車高規制が行われて本締めがなされる。

【０００８】この自動車高規制装置２０は台車２１と同
台車２１上に所定の間隔で立設される車高規制ユニット
２４の昇降シリンダ２２と浮上り防止ユニット２５の昇
降シリンダ２３とが立設され、この昇降シリンダ２２の
ピストンロッド２２ａの先端にはリヤアクスルハウジン
グ１７の中央部を支承可能に車高規制ユニット２４が取
付けられている。

【０００９】また、昇降シリンダ２３のピストンロッド
２３ａの先端には浮上り防止ユニット２５が取付けられ
ている。この浮上り防止ユニット２５は図２に示すよう
に左右のサイドメンバー１２のリヤ側に横架されたリヤ
クロスメンバー１８の中央部の後部１８ａと同中央部下
面１８ｂの所定範囲を把持状に支持するもので、この浮
上り防止ユニット２５は所定の高さを有する支柱２６の
一側面２６ａにはリヤクロスメンバー１８の下面１８ｂ
を当接支持する下面用パッド２８を先端に着脱可能に取
付けた所定の高さの下面支持部２７が取付けられ、この
下面用パッド２８は金属板の外周に注型ナイロンを包着
して形成されている。なお、この下面用パッド２８はリ
ヤクロスメンバー１８の所定の長さ範囲を支持する長さ
で下面支持部２７に対しＴ字状に取付けられている。

【００１０】また、この支柱２６の下面支持部２７を取
付けた反対側の面２６ｂにはリヤクロスメンバー１８の
後部１８ａを掛止めする掛止め機構３０が設けられてい
る。この掛止め機構３０は作動シリンダ３１とフックア
ーム３６とよりなるもので、この作動シリンダ３１はロ
ッドカバー３２にトラニオン３３を一体に形成した型式
のもので支柱２６の下部に取付けられた支持ブラケット
３４にトラニオン３３を介して首振り可能に枢着されて
いる。このように取付けられた作動シリンダ３１のピス
トンロッド３１ａの先端にはクレビス３５が取付けら
れ、同クレビス３５を介してフックアーム３６に連繋さ
れている。

【００１１】このフックアーム３６は所定の長さを有す
るアーム部材３７の上端部に下面用パッド２８とほぼ対
応する長さの取付部材３８がＴ字状に取付けられ、この
取付部材３８の中央長手方向に沿ってリヤクロスメンバ
ー１８の後部１８ａに掛合されるフック３９が着脱可能
に取付けられ、また、このフック３９の上下には後部１
８ａに当接する当て部材４０ａ，４０ｂが着脱可能に取
付けられている。なお、このフック３９および当て部材
４０ａ，４０ｂは上記した下面用パッド２８と同様に金
属板の外周に注型ナイロンを包着して形成されている。
また、アーム部材３７の下端には連結アーム４１が取付
けられ、また、アーム部材３７の所定の位置には作動シ
リンダ３１のピストンロッド３１ａの先端に取付けたク
レビス３５と連繋するブラケット４２が取付けられてい
る。このように形成されたフックアーム３６は、その下
部に取付けられた連結アーム４１を介して支柱２６の上
端部に取付けられた支持ブラケット４３の支持ピン４４
に回動可能に枢着されるとともに、ブラケット４２はク
レビス３５にピン４５を介して枢着連繋されている。

【００１２】このように形成された掛止め機構３０は作
動シリンダ３１の短縮作動でフックアーム３６は支持ピ
ン４４を中心として図示２点鎖線で示す位置に後退さ
れ、作動シリンダ３１の伸長作動で支持ピン４４を中心
として図示時計方向へ回動されてリヤクロスメンバー１
８の後部１８ａを掛止めするように設けられている。な
お、上記浮上り防止ユニット２５の支柱２６の上端には
フックアーム３６のフック３９がリヤクロスメンバー１
８の後部１８ａに掛止めしたことを確認するための検知
手段として例えばリミットスイッチ４６が取付けられ、
また、アーム部材３７の所定の位置に作動部材４７が取
付けられてフック３９がリヤクロスメンバー１８の後部
１８ａに掛合されると作動部材４７がリミットスイッチ
４６を作動し、これによりリミットスイッチ４６は制御
盤（図示せず）に確認信号を発して車高規制ユニット２
４の昇降シリンダ２２を伸長作動可能に継電されてい
る。

【００１３】また、この台車２１上に立設された昇降シ
リンダ２２，２３はその制御盤に対し車種切替えがある
とコントロールセンターより信号が発信されてその車種
に応じた揚程がそれぞれ与えられて、リーフスプリング
１５に所定の車高規制荷重を加えるように構成されてい
る。

【００１４】本例自動車高規制装置２０は上記のように
構成したものであるから、その制御盤にはラインに搬入
される車種の車高規制荷重に応じた揚程が両作動シリン
ダ２２，２３に設定されている。そして、車両ボデー１
１がリフターに吊持されるとともに、リーフスプリング
１５はフルリバウンド状態で所定の位置に搬入される。
これにより自動車高規制装置２０は同車両ボデー１１の
リヤ側の下部側の所定の位置に移動停止される。この状
態で浮上り防止ユニット２５を取付けた昇降シリンダ２
３を伸長作動すると所定の揚程が与えられて下面用パッ
ド２８がリヤクロスメンバー１８の下面１８ｂに当接さ
れる。この下面用パッド２８が当接されると掛止め機構
３０の作動シリンダ３１が伸長作動され、これによりフ
ックアーム３６は支持ピン４４を中心として図示時計方
向へ回動されてフック３９はリヤクロスメンバー１８の
後部１８ａを掛止めされるとともに、上下の当て部材４
０ａ，４０ｂは同後部１８ａに当接され、同時に作動部
材４７がリミットスイッチ４６を作動し、これによりリ
ミットスイッチ４６は制御盤に確認信号を発し、車高規
制ユニット２４の昇降シリンダ２２が伸長作動される。

【００１５】この昇降シリンダ２２が伸長作動されて行
くと、ピストンロッド２２ａに取付けられた車高規制ユ
ニット２４がリヤアクスルハウジング１７の中央部に当
接され、さらに、伸長作動されて同ハウジング１７を持
ち上げることにより、左右に取付けられたリーフスプリ
ング１５は弾性変形されていき、同リーフスプリング１
５に所定の車高規制荷重が与えられた時点で昇降シリン
ダ２２は停止される。この状態でリーフスプリング１５
は車両の定積状態で弾性変形されている。この作動シリ
ンダ２２の上昇過程でリヤクロスメンバー１８は浮上り
防止ユニット２５により定位置に挾持状に支持されてい
るので浮上り変位は防止される。

【００１６】この定積状態でリーフスプリング１５を仮
締めしたボルトは自動増締め機により本締めがなされ
る。この本締めが完了すると車高規制ユニット２４の昇
降シリンダ２２は短縮作動されて、リーフスプリング１
５は再びフルリバウンド状態となり、次に、浮上り防止
ユニット２５の作動シリンダ３１が短縮作動されてフッ
クアーム３６はリヤクロスメンバー１８との掛止めを解
かれて後退されるとともに、昇降シリンダ２３も短縮作
動されてリーフスプリング１５の本締め作業を完了す
る。以下、順次上記手順によりリーフスプリング１５の
本締めがなされる。

【００１７】このように本例自動車高規制装置２０はリ
ヤクロスメンバー１８の下面１８ｂを支持する下面用パ
ッド２８を有する下面支持部２７と同リヤクロスメンバ
ー１８の後部１８ａを掛止めするフック３９と同後部１
８ａに当接する当て部材４０ａ，４０ｂを有するフック
アーム３６とからなる浮上り防止ユニット２５により挾
持状に支持するものであるから、車高規制ユニット２４
の昇降シリンダ２２によりリーフスプリング１５に車高
規制荷重を加える過程での作用力を十分に受け止めるこ
とができて、リヤクロスメンバー１８を定位置に安定支
持することができるので安全作業を実施することができ
る。また、リヤクロスメンバー１８の所定範囲の後部１
８ａをフック３９と当て部材４０ａ，４０ｂにより掛止
め当接し、また、同下面１８ｂを下面用パッド２８によ
り所定の範囲を当接支持する構成であるから、従来のよ
うにリーフスプリング１５に車高規制荷重を加える過程
での作用力の反力集中を分散することができてリヤクロ
スメンバー１８の変形を防止することができる。また、
車種の切替えが行われた際にはコントロールセンターか
ら車種による車高規制荷重に対する作動シリンダ２２，
２３の揚程変更がなされるので人為的なミスを解消する
ことができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明は、上記したように、とくに、リ
ヤクロスメンバーの下面を支持する下面用パッドを有す
る下面支持部と同リヤクロスメンバーの後部を掛止めす
るフックと同後部に当接する当て部材を有するフックア
ームとからなる浮上り防止ユニットにより挾持状に支持
するものであるから、車高規制ユニットの昇降シリンダ
によりリーフスプリングに車高規制荷重を加える過程で
の作用力を十分に受け止めることができて、リヤクロス
メンバーを定位置に安定支持することができるので安全
作業を実施することができる。また、リヤクロスメンバ
ーの所定範囲の後部をフックと当て部材により掛止め当
接し、また、同下面を下面用パッドにより所定の範囲を
当接支持する構成であるから、従来のようにリーフスプ
リングに車高規制荷重を加える過程での作用力の反力集
中を分散することができてリヤクロスメンバーの変形を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動車高規制装置と車両のリヤ側とを示す略体
側面図である。

【図２】ボデー浮上り防止ユニットの動作説明図であ
る。

【図３】従来の車高規制装置の説明図である。

【符号の説明】

１１ 車両ボデー １２ サイドメンバー １５ リーフスプリング １７ リヤアクスルハウジング １８ リヤクロスメンバー １８ａ リヤクロスメンバー後部 １８ｂ リヤクロスメンバー下面 ２０ 自動車高規制装置 ２１ 台車 ２２，２３ 昇降シリンダ ２４ 車高規制ユニット ２５ 浮上り防止ユニット ２７ 下面支持部 ２８ 下面用パッド ３６ フックアーム ３９ フック ４０ａ，４０ｂ 当て部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両ボデーがリフターに吊持されるとと
   もに、左右のリーフスプリングが車両フレームに仮止め
   され、同左右のリーフスプリンクがリヤアクスルハウジ
   ングに取付けられてフルリバウンド状態で搬入され、同
   リーフスプリングに車高規制荷重を加え、定積状態相当
   の弾性変形をさせてリーフスプリングを本締めするため
   の自動車高規制装置であって、該装置は台車上に立設さ
   れ、上端に前記リヤアクスルハウジングを受承する車高
   規制ユニットを有してリーフスプリングに所定の車高規
   制荷重を加えて定積状態に弾性変形させる昇降シリンダ
   と、この昇降シリンダと並設され、上端に浮上り防止ユ
   ニットを有する昇降シリンダを設け、前記浮上り防止ユ
   ニットは車両フレームのリヤクロスメンバーの下面を支
   持する下面用パッドを有する下面支持部と同リヤクロス
   メンバーの後部を掛止めするフックと同後部に当接する
   当て部材を有するフックアームとにより挾持状に支持す
   る構成としたリーフスプリング締付け時の自動車高規制
   装置。