JPH0810271B2 - 原子炉制御装置 - Google Patents

原子炉制御装置

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JPH0810271B2
JPH0810271B2 JP2057937A JP5793790A JPH0810271B2 JP H0810271 B2 JPH0810271 B2 JP H0810271B2 JP 2057937 A JP2057937 A JP 2057937A JP 5793790 A JP5793790 A JP 5793790A JP H0810271 B2 JPH0810271 B2 JP H0810271B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、原子炉制御装置に係り、特に、沸騰水型原
子炉の起動時における制御棒操作を自動的に行うのに好
適な原子炉制御装置に関する。
〔従来の技術〕
沸騰水型原子力プラント(BWR)の起動時には、制御
棒の引抜き操作で、原子炉を未臨界状態から臨界状態に
した後、原子炉の温度と圧力を所定値まで上昇させる。
その温度と圧力が所定値に達した後、更に、制御棒を引
抜いて原子炉出力を上昇させる。このような制御棒操作
は、現在、運転員の的確な判断により行われている。し
かし、原子力プラントの運転の省力化及び原子力プラン
ト起動時間の短縮などを目的として、将来、BWRの制御
棒操作を自動化することが要望されるものと考えられ
る。
このような原子炉起動時の制御棒操作自動化に関する
例は、特願昭63−42045号「原子炉制御装置」がある。
この従来例は、原子炉の温度と圧力を上昇する起動時に
おいて、(1)原子炉出力に基づいて制御定数を決定
し、原子炉の温度変化率とその目標値との偏差及び得ら
れた制御定数に基づいて原子炉出力目標値を求めるこ
と、(2)原子炉出力目標値に実際の原子炉出力が追従
するように、原子炉内の制御棒を制御することを行つて
いる。
〔発明が解決しようとする課題〕
発明者は、上記の従来例を検討した結果、以下に示す
問題が新たに生じることを見付けた。すなわち、従来例
では、原子炉の温度変化率とその目標値との偏差のみに
基づいて原子炉出力の目標値を決定するため、原子炉出
力目標値を決定する際の制御定数(例えば、積分定数な
どの制御パラメータの値)が温度変化率の速応性や安定
性に関する制御性能に大きな影響を及ぼす。従つて、制
御性能を向上させるためには、特に、制御定数をきめ細
かく決定する部分が複雑であるという欠点がある。その
結果、制御装置設計の工数や起動試験での制御装置調整
の工数が大であるという問題、制御装置が高価であると
いう問題がある。
本発明の目的は、より単純な制御アルゴリズムで従来
例と同等以上の制御性能を達成できる原子炉制御装置を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明では、原子炉の温度
変化率目標値に基づいて原子炉出力目標値の概略値を決
定し、原子炉温度変化率とその目標値との偏差に基づい
て原子炉出力目標値の補正値を決定し、概略値と補正値
とから原子炉出力目標値を決定するようにした。すなわ
ち、原子炉出力目標値を、従来例では温度変化率の偏差
のみに基づいて決定していたが、本発明では原子炉出力
目標値の概略値を求めた後、その補正値を温度変化率の
偏差に基づいて求めるようにした。また、原子炉出力目
標値の補正値が不必要に変化するのを防止するため、補
正値を変更すべきか否かを判定する手段を設け、補正値
を必要なときだけ変更するようにした。
なお、原子炉出力目標値を決定した後は、従来例と同
様に、原子炉出力が目標値に追従するように原子炉内の
制御棒を自動的に操作するようにした。
なお、原子炉温度を上昇するときには、原子炉出力P
と原子炉炉水の温度変化率TCとの静的な関係は、ほぼ次
式のようになる。
P−Loss=Cap・TC ……(1) ここで、Lossは原子炉の熱損失(雰囲気への放熱や他
系統へ流出する蒸気による熱損失の和)に対応し、Cap
は原子炉の熱容量に対応する。上式より、温度変化率TC
に対応する原子炉出力Pの概略値を決定できることがわ
かる。
〔作用〕
原子炉の温度変化率目標値(TC)に対応する原子炉
出力目標値の概略値(P′)を、上記(1)式や運転
実績に基づいて決定する。また、温度変化率TCとその目
標値(TC)との偏差ΔTCに基づいて原子炉出力目標値
の補正値(ΔP)を決定する。次に、概略値(P′)
に補正値(ΔP)を加算して原子炉出力目標値
(P)とする。最後に、原子炉出力Pが目標値に追従
するように、原子炉内の制御棒を自動操作する。なお、
補正値(ΔP)は必要なときのみ変更することによ
り、原子炉出力目標値(P)が不必要に変動するのを
防止する。
本発明では、原子炉出力目標値の概略値(P′)
比較的簡単に決定できること、さらに温度変化率偏差Δ
TCからは原子炉出力目標値の補正値(ΔP)のみを決
定すれば良いことから、制御アルゴリズムが従来より単
純(シンプル)になる。
〔実施例〕
沸騰水型原子力プラントに適用した本発明の一実施例
である原子炉制御装置を、第1図に基づいて説明する。
第1図において、1はBWRプラントである。BWRプラント
1の原子炉内には約二百本の制御棒が内蔵されており、
その制御棒の引抜き位置を変えることにより原子炉出力
Pを調整することができる。10は、制御用計算機で実現
されている原子炉制御装置である。
原子炉制御装置10は、原子炉出力目標の概略値決定部
11,原子炉出力目標の補正値決定部12,温度変化率計算部
13,制御棒操作タイミング決定部14,制御棒位置制御部15
などを備えている。
原子炉出力目標の概略値決定部11では、第2図に示す
ように、温度変化率目標値(TC)を入力し原子炉出力
目標値の概略値(P′)を出力する。(TC)
(P′)との関係は、基本的には(1)式におけるTC
を(TC)に、Pを(P′)に置きかえたものに対応
し、起動試験での実績データに基づいて求めた(1)式
のような式を用いて(P′)を求める。
温度変化率計算部13では、原子炉温度Tを入力し、温
度Tの時間的な変化率TCを計算し出力する。
原子炉出力目標の補正値決定部12では、温度変化率TC
とその目標値(TC)との偏差ΔTC(ΔTC=(TC)
TC)を入力し、原子炉出力目標値の補正値(ΔP)
出力する。原子炉出力目標の補正値決定部12は、第3図
に示すように、積分器122,スイツチ121,補正値変更判定
部123を備えている。補正値変更判定部123では、第3図
の下部に示すような判定ロジツクに従つて、補正値(Δ
P)を変更すべきか否かを判定する。補正値(ΔP)
を変更すべきという判定結果がでた場合には、スイツ
チ121を「閉」の状態にし、温度変化率偏差ΔTCを積分
器122に入力する。このとき積分器122では、制御定数を
kとして偏差ΔTCを積分し(Sはラプラス演算子)、そ
の結果である積分値を原子炉出力目標値の補正値(Δ
P)として出力する。この結果、偏差ΔTCが零となる
まで補正値(ΔP)が変化する。なお、例えば、原子
炉出力偏差の絶対値|ΔP|が大きい場合は、|ΔP|が小
さくなるように原子炉内の制御棒の位置を変更する制御
を継続している途中であるので、判定ロジツクに従つて
スイツチ121を開にすることにより、原子炉出力目標値
の補正値(ΔP)が不必要に変化するのを防止する。
原子炉出力目標値の補正値(ΔP)を決定した後
は、第1図に示すように、補正値(ΔP)と概略値
(P′)を加算して原子炉出力の実際の目標値(P)
とする。
制御棒操作タイミング決定部14では、原子炉内に挿入
してある制御棒の引抜きと挿入の操作タイミングを第4
図に示すようなロジツクに従つて判定し、原子炉出力P
がその目標値(P)に追従するようにする。なお、第
4図に示すロジツクでは、原子炉出力の偏差ΔP(=
(P)−P)がε以上であり、かつ、制御棒操作許
可の信号が図示していない制御棒操作監視装置などより
出力されており、かつ、前回の制御棒操作(引抜き操作
または挿入操作)終了後6秒以上経過しているという条
件がすべて成立したとき、制御棒引抜き操作開始指令を
出力する。原子炉出力偏差ΔPがε以下であり、か
つ、制御棒操作許可信号が出力されており、かつ、前回
の制御棒操作終了後6秒以上経過しているという条件が
全て成立しては、制御棒挿入操作開始指令を出力する。
制御棒の操作開始の指令は、信号aとして制御棒操作タ
イミング決定部14より制御棒位置制御部15に出力され
る。
制御棒位置制御部15では、制御棒操作開始指令信号a
を入力したとき、BWRプラント1内の制御棒駆動装置に
駆動信号cを出力し、制御棒引抜き位置信号dをBWRプ
ラント1から入力しながら、制御棒引抜き手順に従つた
所定の制御棒を所定量だけ引抜き、または、挿入する制
御を行う。制御棒の操作が一時的に終了すれば、制御棒
位置制御部15は前回の制御棒操作終了の信号bを、制御
棒操作タイミング決定部14に戻す。
以上のようにして、原子炉温度変化率の目標値(TC)
を変更したとき原子炉出力目標値(P)を変化さ
せ、原子炉出力Pが目標値(P)に追従するように原
子炉内の制御棒を自動的に操作する。
次に、本実施例による制御特性を説明する。
原子炉出力目標の補正値決定部12の必要性をより明確
にするため、補正値決定部12が存在しないと仮定したと
きの制御特性を第5図に示す。補正値決定部12が存在し
ない場合は、原子炉出力目標値(P)は(P′)
等しい((ΔP)=0)。すなわち、(P)は(T
C)のみに基づいて決定され、温度変化率TCをフイー
ドバツク制御しないことになる。従つて、第5図に示す
ように、(TC)を0℃/hから、例えば、50℃/hに変更
したとき、原子炉出力目標値(P)がたまたま過小で
あれば、温度変化率TCは目標値(TC)に到達しないこ
とになる。また、逆に、(P)がたまたま過大であれ
ば、TCは(TC)を超過したままの状態になることがあ
る。この図より、温度変化率TCが(TC)と一致するよ
うに原子炉出力の目標値を微調整する必要があることが
わかる。
一方、本発明のように、原子炉出力目標の補正値決定
部12が存在する場合の制御特性を第6図を用いて説明す
る。
第6図は、時間一分のとき温度変化率目標値(TC)
を0℃/hから50℃/hに上昇したときの制御特性である。
(TC)を変更すると、原子炉出力目標の概略値決定部
11で(TC)に対応する原子炉出力目標値の概略値
(P′)が決定される。時間1分から時間5分の間は
第3図に示したロジツクによりスイツチ121が開の状態
となるので原子炉出力目標値の補正値(ΔP)は零で
あり、(P)は(P′)と等しい。(P)が原子
炉出力Pより大きいので第4図に示したロジツクに従つ
て制御棒の引抜き操作開始の指令が約6秒間隔で次々に
出力され、制御棒引抜き手順に従つて制御棒が次々に引
抜かれる。その結果、制御棒反応度が上昇し、原子炉出
力Pは目標値(P)に近づくように増加し、温度変化
率TCもそれと共に(TC)に近づくように増加する。時
間5分をすぎると、第3図に示したロジツクに従つてス
イツチ121が閉となり、温度変化率TCの目標値(TC)
との偏差ΔTCがほぼ零となるまで原子炉出力目標値の補
正値(ΔP)が増加する。その結果、原子炉出力目標
値(P)は(P′)より(ΔP)だけ増加する。
そして、原子炉出力Pがその目標値(P)に追従する
ように制御棒が次々に引抜かれ、原子炉出力Pと温度変
化率TCが上昇する。TCが目標値(TC)と一致してΔTC
が零となると(ΔP)は変化しないので、(P)
変化しない。しかし、原子炉出力Pが(P)に追従す
るように、制御棒は次々に引抜かれる。なお、制御棒反
応度が一時的に増加したとき、制御棒が引抜かれたとき
に対応する。また、時間45分後は、原子炉出力がその目
標値に到達したため、制御棒操作を終了している。
以上述べた実施例によれば、温度変化率目標値(TC)
を変更したとき、それに対応して原子炉出力目標値
(P)が即座に変化するので温度変化率TCの応答性が
良く、かつ、温度変化率TCが目標値(TC)と一致する
ように原子炉出力目標値(P)を微調整するので制御
の安定性も良い。すなわち、より単純な制御アルゴリズ
ムで高性能の原子炉制御装置を提供することができる。
その結果、制御装置が安価になるという効果、制御装置
設計の工数や起動試験での制御装置調整の工数が小にな
る。
本発明の他の実施例として、原子炉出力目標の補正値
決定部12の処理内容が第3図に示した実施例の内容と一
部異なる例もある。すなわち、次のような例がある。
(a) 補正値変更判定部123の判定ロジツクが、第3
図で示した内容と一部変わる場合 (b) 補正値変更判定部123が存在せず、温度変化率
の偏差ΔTCを積分器122に常時入力して、補正値(Δ
P)を常時更新する場合 (c) 偏差ΔTCを積分器122で積分するのではなく、
偏差ΔTCを比例と積分の両方の演算などをし、その結果
を補正値(ΔP)とする場合 (d) 積分器122の出力がある範囲を逸脱しないよう
に積分器122の出力に上下限リミツタを設け、補正値
(ΔP)が上限値と下限値の範囲外にならないように
する場合 (e) 上記(a),(b),(c),(d)を必要に
応じて組合せる。
上記(a)〜(e)に対応する原子炉制御装置の効果
は、前述した本発明一実施例の効果と同様である。
本発明のさらに他の実施例として、第1図に示すよう
に原子炉出力目標値(P)を概略値(P′)と補正
値(ΔP)を加算して自動的に決定するだけではな
く、原子炉出力目標値(P)を手動設定できるように
自動と手動の切替装置を新たに追加した例もある。ま
た、原子炉制御装置10を一つの制御用計算機で実現する
のではなく、複数の計算機で実現する例もある。これら
の例においても、前述した実施例の効果と同様である。
なお、上記の例では原子炉出力Pを原子炉の熱出力と
したがこれは原子炉の中性子束としても良い。
なお、本発明のさらに他の実施例として、原子炉出力
目標値の概略値(P′)を温度変化率目標値(TC)
のみから決定するのではなく、例えば温度変化率目標値
(TC)と原子炉出力Pとから上記概略値(P′)
決定する例もある。すなわち、(1)式において、原子
炉の熱損失や熱容量は原子炉出力と共に多少変化するの
で、原子炉出力の関数と考えることができる。従つて、
原子炉出力目標値の概略値(P′)を(TC)とPと
に基づいて決定すれば、より的確に概略値(P′)
決定することができる。その結果、温度変化率の速応性
や安定性がさらに向上する。
〔発明の効果〕
本発明によれば、原子炉温度変化率目標値を変更した
とき原子炉出力目標値が即座に変化して原子炉の出力と
温度変化率が変わるので温度変化率の応答性が良く、か
つ、温度変化率がその目標値に一致するように原子炉出
力目標値を微調整するので温度変化率制御の安定性が良
い。すなわち、より単純な制御アルゴリズムで温度変化
率を高性能で制御する原子炉制御装置を提供することが
できる。その結果、制御装置が安価となり、制御装置設
計の工数や起動試験での制御装置調整の工数が少なくな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の原子炉制御装置のブロツク
図、第2図は第1図の原子炉出力の目標値決定部に処理
内容の説明図、第3図は第1図の原子炉出力目標の補正
値決定部の処理内容の説明図、第4図は第1図の制御棒
操作タイミング決定部の決定ロジツクの説明図、第5図
は本発明の一実施例の動作説明図、第6図は本発明の一
実施例の動作と制御特性図である。 1……BWRプラント、10……原子炉制御装置、11……原
子炉出力目標の概略値決定部、12……原子炉出力目標の
補正値決定部、13……温度変化率計算部、14……制御棒
操作タイミング決定部、15……制御棒位置制御部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉の温度変化率目標値に基づいて前記
    原子炉の出力目標値の概略値を決定する手段と、前記原
    子炉の温度変化率目標値と実測値との偏差より前記原子
    炉の出力目標値の補正値を決定する手段と、前記原子炉
    の前記出力目標値の概略値と前記原子炉の前記出力目標
    値の補正値とより前記出力目標値を求める手段と、前記
    原子炉の前記出力目標値に応じて前記原子炉内の制御棒
    を制御する手段とを備えたことを特徴とする原子炉制御
    装置。
  2. 【請求項2】原子炉の温度を制御する装置において、原
    子炉温度変化率の目標値に基づいて原子炉の出力目標値
    の概略値を求める手段と、前記原子炉温度変化率の目標
    値と実測値との偏差より前記原子炉の出力目標値の補正
    値を演算する手段と、前記原子炉出力目標値の概略値に
    前記原子炉出力目標値の補正値を加算して前記原子炉出
    力目標値を求める手段と、前記原子炉出力目標値に応じ
    て原子炉内の制御棒を制御する手段とを備えたことを特
    徴とする原子炉制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記原子力出
    力目標値の補正値を変更すべきか否かを判定する手段を
    設けて、前記原子炉出力目標値の補正値を必要に応じて
    変更する原子炉制御装置。
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