JP3172653B2 - 制御棒操作方法および制御棒操作装置 - Google Patents
制御棒操作方法および制御棒操作装置Info
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Description
びその装置に係り、特に、沸騰水型原子炉(BWR)を
短時間で起動するのに好適な制御棒の操作方法および制
御棒操作装置に関する。
は、炉心内に挿入されている制御棒を順次徐々に引き抜
いて、原子炉の出力を上昇させる。この過程は、原子炉
出力の小さい順に、 (1)未臨界の炉心を臨界にする臨界近接モ−ド (2)原子炉圧力と炉水温度を定格値まで上昇させる昇
温昇圧モ−ド (3)炉心で発生した蒸気を発電機に送らずにバイパス
させる原子炉出力制御モ−ド (4)発生蒸気を発電機に送り、定格出力まで出力を増
加させる発電機出力モ−ド に大別できる。これらの過程の制御棒操作は、従来から
運転員によって行われている。
作量が多く且つ操作に注意を要するモ−ドは、1番目の
「臨界近接モ−ド」である。この臨界近接モードでは、
運転員は、原子炉に急激な反応度を与えないように、予
め与えられた制御棒操作手順にしたがって制御棒を操作
しなければならない。ここで「制御棒操作手順」とは、
どの制御棒をどの順番でどれだけ引き抜くかを示したも
のである。従来の起動操作では、運転員は、中性子束φ
でおよその未臨界度(臨界からの隔たり)を把握し、そ
の情報と中性子束の時間変化率を表す原子炉周期(ペリ
オド)τとによって制御棒を操作するタイミングを判断
し、ペリオドがある値よりも小さくならないように原子
炉を制御している。
る適切なインストラクションがなく、またペリオドをあ
る値よりも小さく保つための操作条件も明確ではないた
め、運転員の制御棒操作はゆっくりしたものになる。運
転員の操作の利便を考慮し、予め決定されている制御棒
引き抜き量も、比較的小さな投入反応度に設定してあ
る。その結果、運転員の手動操作による臨界到達までの
時間は、最適制御に比べて一般に2倍以上かかってい
る。
を目的として、上記のような制御棒操作を自動化した
り、あるいは適切なインストラクションを出力する方法
が考案されている。制御棒操作自動化技術の公知例とし
て、特開昭50-146796号公報記載の技術がある。この公
知例は、制御棒を自動的に操作して未臨界の原子炉を臨
界にする装置に関するものであり、制御棒の操作タイミ
ングと引き抜き量を、炉周期に基づいて決定している。
すなわち、炉周期が原子炉の臨界を判定するための所定
値(例えば200秒)以上であるときに制御棒引き抜き
操作指令を出力し、その時の引き抜き量を炉周期の大き
さに比例した値として求めている。
術として特開昭60-179689号公報記載のものがある。こ
の従来技術では、一点動特性方程式を用いて炉心反応度
を推定し、操作すべき制御棒本数や制御棒位置から引き
抜き速度を設定している。また、日本原子力学会誌Vol.
34 p161に掲載の「沸騰水型原子力発電プラント起動時
の制御棒操作自動化方式」には、推定した炉心反応度を
もとに適切な引き抜き速度を計算し、連続引き抜き開
始、連続引き抜き中止とノッチ引き抜き開始のタイミン
グを判定する方法が記載されている。
子炉を未臨界状態から臨界状態にする場合に、制御棒の
引き抜き総量、前回操作した制御棒の引き抜き量と原子
炉周期をもとに、ファジィ制御の方法により制御棒の次
の引き抜き量を算出し、この情報に従って制御棒を操作
することが示されている。
活用して、原子炉の状態に応じた制御棒引き抜き量をそ
の都度判断しており、安全に原子炉を起動できる最短時
間制御を可能としている。
動特性方程式を解いたり、推定した炉心反応度やファジ
ィ理論で制御棒操作量を計算している。このため、運転
員がその技術を利用して独自に制御棒操作を判断するこ
とが難しい。一方、原子炉は、自動操作ばかりでなく手
動操作でも起動できる必要がある。上記の従来技術を使
って運転員にガイドを出力すれば、手動操作は可能であ
るが、計算機が行ったガイドが適切かどうかを運転員が
独自に判断することは難しい。運転員にとって、独自に
判断しながら行なう手動運転の経験は、原子炉の特性を
把握し、予期せぬ事態に対応するポテンシャルを養うた
めに重要なものである。
起動操作をするときに、運転員の判断で操作でき、かつ
短時間で起動できる簡明な制御棒操作方法及びその装置
を提供することにある。
時の制御棒操作において、制御棒全挿入時における中性
子束φAに対する中性子束φの比(φ/φA)の値を監視
し、該比の値が所定値に達するまでは高速に制御棒を引
き抜き、それ以降は制御棒を徐々に引き抜いて原子炉を
臨界状態にすることで、達成される。
いて、制御棒引き抜き操作時に原子炉ペリオド信号が設
定値よりも小さくならないように制御棒一時停止位置を
予め設定して制御棒を高速に引き抜く高速駆動モード
と、制御棒操作時の投入反応度がほぼ等しくなるように
制御棒一時停止位置を予め設定して制御棒を予め決めた
ブロック量単位に駆動するブロック駆動モードと、制御
棒最小操作単位量(以下、ステップという。)進んだ位
置に制御棒一時停止位置を予め設定して制御棒を1ステ
ップずつ操作するステップ駆動モードとを用意してお
き、原子炉の未臨界度に基づき選択した前記いずれかの
駆動モードで制御棒を操作することで、達成される。
までは高速に制御棒を引き抜き、臨界近くなってからは
徐々に制御棒を引き抜けばよいことは分かる。しかし、
どの位置まで高速に制御棒を引き抜けばよいのかの判断
を的確に行う必要がある。本発明では、この判断を炉心
固有値(または、制御棒全挿入時における中性子束φA
に対する中性子束φの比(φ/φA)の値)で行うた
め、的確な判断が可能となる。
高速モード,ブロックモード,ステップモードの3つに
分け、原子炉条件に基づいて各モードを切り替えながら
制御操作を行うので、手操作によっても的確な操作が可
能となる。
明する。まず、具体的実施例の説明に先立ち、本発明の
原理を図2を用いて説明する。図2は、未臨界の炉心を
臨界にする臨界近接モ−ドでの制御棒操作方法を示した
模式図である。横軸は制御棒引き抜き開始後の時間であ
る。縦軸は、炉心固有値keffであり、固有値“1”が
臨界を示し、“1”未満が未臨界、“1”を超えると超
臨界状態である。制御棒全挿入時(点A)から臨界判定
(点D)までの操作を実現するのが臨界近接モ−ドであ
る。
御棒を操作する。この駆動モードは、図2におけるA点
〜B点、B点〜C点、C点〜D点に分けられる。
Bを、制御棒全挿入時の中性子束φAとその時点の中性
子束φとの比(φ/φA)で判定する。中性子束検出器
は、炉心内に設置すると放射線の影響で特性が経年変化
するが、比をとることで特性変化の影響を除き、高精度
で炉心固有値を推定することができる。点Bまでは未臨
界度が比較的大きく、臨界を超える心配が少ないため、
ペリオドが小さくなければ比較的速い駆動速度で制御棒
を引き抜くことができる。このモ−ドを、高速駆動モ−
ドとよぶ。ペリオド信号は原子炉の安全系に組み込まれ
ており、設定値より短くなると制御棒の引き抜きを禁じ
たり、スクラムする。点Aから点Bの間でペリオドτが
小さくなるのは、制御棒が中性子検出器の近くを通過
し、局所的に中性子束φが増加するときである。そこ
で、高速駆動モ−ドでは、ペリオドτが短くなると予め
予想される位置では制御棒操作を一時停止させ、それ以
外は比較的速い駆動速度で制御棒を引き抜く。
(未臨界ではρ<0)の関係は、次の数1で表すことが
できる。
する。その結果、単位時間当りの投入反応度dρ/dt
が小さくなり、数1によりペリオドτを大きくできるこ
とがわかる。一時停止させる位置は事前に決定してお
く。
制御棒を引き抜く。ブロック駆動モ−ドは、投入反応度
がほぼ等しくなるように設定した1ブロック量だけ制御
棒を引き抜く駆動モ−ドである。制御棒の反応度は、燃
料特性や制御棒の位置によって大きく異なるため、制御
棒の物理的な最小操作単位である1ステップで1ブロッ
クを構成することもあれば、20ステップで1ブロック
になることもある。1ブロックに相当する引き抜き量は
あらかじめ計算により求めておき、デ−タとして与え
る。1ブロック当りの反応度は、0.05%Δk程度が
適切である。1ブロック引き抜いたあとでも必ず一定期
間(例えば10秒間)以上制御棒を停止する。1ブロッ
ク当りの反応度を0.05%Δkとすると、ブロック駆
動モ−ドへ移行したときの固有値はおよそ0.99であ
るから、約20ブロック引き抜くと臨界に到達する。ブ
ロック駆動モ−ドを持つ利点の一つは、運転員が臨界に
到達する予想位置を容易に推定できることにある。
では、微小な反応度の調整が必要なため、制御棒を最小
操作単位量(水圧駆動型制御棒では1ノッチ、電動駆動
型制御棒1ステップと呼ぶ)だけ駆動する。沸騰水型原
子炉では最小操作量当りの投入反応度は、一般に0.0
5%Δk以下になるように設計されている。この駆動モ
−ドをステップ駆動モ−ドと定義する。
抜き位置は、炉水の温度や燃料の燃焼の進み具合により
変わるため、事前には決定できない。本発明の大きな特
徴は、固有値がおよそ0.99になる点を精度よく判定
することにより、その点まではペリオド信号が設定値よ
りも短くならないように制御棒停止位置を設定した高速
駆動モ−ドで制御棒を操作し、その後は、1ブロック当
りの投入反応度がほぼ等しくなるように制御棒停止位置
を設定したブロック駆動モ−ドで制御棒を操作する点に
ある。この方法は、従来の手動操作と異なり炉心の状態
に応じて引き抜き量を変更するので、起動時間が短縮で
きる。また、各駆動モ−ドの制御棒操作量は予め運転員
に提示してあるので、運転員の操作も簡単である。
臨界近接モ−ドにおいて、炉心の固有値が小さい(未臨
界度が大きい)場合には、高速駆動モ−ドで制御棒を引
き抜き、臨界に近くなったばあいには、ブロック駆動モ
−ドとステップ駆動モ−ドを利用してほぼ一定のペリオ
ドで制御棒を引き抜く。各駆動モ−ドの切り替えは、運
転員が容易に判定できる中性子束やペリオドで判断でき
る。高速駆動モ−ドとブロック駆動モ−ドの制御棒操作
手順はあらかじめ決まっており、かつモ−ドの切り替え
が簡単なため、運転員が手動操作しやすく、かつ最短時
間制御に近い制御の制御棒操作が実現できることにな
る。
図1は、本発明の一実施例に係る制御棒操作装置の構成
図である。原子炉圧力容器1内の炉心2には、原子炉の
出力を制御する複数の制御棒3が配置されている。各制
御棒3は、制御棒駆動機構5と、制御棒3を動かすモ−
タ6により駆動される。また、各制御棒3には、制御棒
位置検出器8が設置されている。炉心2には、原子炉起
動時の中性子束を検出する中性子束モニタ(SRNM)
4の検出器10が配置されている。中性子束モニタ4
は、中性子束検出器10の出力信号を変換して、中性子
束レベル信号とペリオド信号を制御棒自動制御装置14
に出力する。
作タイミングと操作方法を演算する制御棒自動制御装置
14と、制御棒の動作を管理する制御棒駆動制御装置2
1と、制御棒自動制御装置14からの情報を運転員に提
示し運転員の指示を制御棒駆動制御装置21に伝達する
インタ−フェ−スを担当する制御棒操作指示装置13と
からなる。
動作を、臨界近接モ−ドを例にして説明する。運転員
が、制御棒操作指示装置13の入力装置12から臨界近
接モ−ドを選択すると、制御棒自動制御装置14は、中
性子束モニタ4からの中性子束レベルとペリオド信号を
基に、制御棒操作(引き抜きあるいは挿入)の許可ある
いは不許可を判定し、さらに高速駆動モ−ド、ブロック
駆動モ−ド、ステップ駆動モ−ドの中から適切な一つの
駆動モ−ド信号を判定し、制御棒操作指示装置13に伝
達する。
と、予め入力した制御棒操作手順デ−タ9に基づき、運
転員に対して、これから操作する制御棒の炉心内配置、
現在の制御棒引き抜き位置、目標とする制御棒引き抜き
位置、操作に適した駆動モ−ド、および制御棒を操作す
ることが可能か否かの情報を表示装置11に表示する。
運転員は、表示された駆動モ−ドを変更したければ入力
装置12を用いて変更し、その後、制御棒操作可能の表
示があれば、引き抜きまたは挿入の制御棒操作ボタンを
押下する。
号とともに制御棒操作指示装置13を介して制御棒駆動
制御装置21に伝達される。制御棒駆動制御装置21
は、予め入力してある制御棒操作手順デ−タ9を基に、
百本以上ある制御棒から操作する制御棒を選択し、引き
抜き指令や挿入指令と、制御棒到達目標位置とを、選択
した制御棒のモ−タ駆動制御装置7に指示する。モ−タ
駆動制御装置7は、制御棒位置検出器8の指示値と制御
棒到達目標位置を比較して、制御棒3が目標位置で停止
するようにモ−タ6の回転数を制御し、目標位置に到達
したときには、制御棒駆動制御装置21に、目標位置に
到達した信号を送信する。
置7から目標位置到達信号を受信した制御棒駆動制御装
置21は、制御棒自動制御装置14と制御棒操作指示装
置13に目標位置到達信号を送信する。この信号を受け
た制御棒自動制御装置14は、再び、次の操作の駆動モ
−ドを判定し、制御棒操作の許可・不許可の信号ととも
に運転員に表示する。以上の構成により、上述した3つ
駆動モ−ドを用いた起動方法を採用した制御棒操作を実
現できる。
の行なう駆動モ−ドと制御棒操作の許可・不許可の判定
アルゴリズムを示す図である。演算アルゴリズムは、制
御棒操作の許可・不許可を判定する部分(図3)と、駆
動モ−ドを判定する部分(図4)からなる。
選択すると、初期設定処理の済,未済を判定し、まだ実
施していなければ初期設定処理を実施する。この初期設
定処理では、以下の3つの設定を行う。第1は、臨界ま
での引き抜きステップ数Δmを逆増倍法で予測するため
の初期値の設定、第2は、制御棒操作モ−ドを高速駆動
モ−ドに設定すること、第3は、制御棒引き抜き許可信
号をONに設定することである。
の判定を行う。現在、制御棒が動作中であり、ペリオド
が小さい(この例では50秒以下)場合には、制御棒引
き抜き不許可とし、それ以外の場合には制御棒引き抜き
を許可する。現在、制御棒が停止中であり、制御棒停止
時間が設定値(この例では10秒)を超え且つペリオド
が充分大きい(この例では200秒)場合には、制御棒
引き抜きを許可し、それ以外の場合には制御棒引き抜き
を不許可とする。
ドの判定アルゴリズムを図4を用いて説明する。現在の
駆動モ−ドが高速駆動モ−ドのときには、中性子束でブ
ロック駆動モ−ドへの移行を判定する。その原理を以下
に簡単に示す。外部中性子源強度をS、炉心固有値kef
fとすると、未臨界の原子炉の中性子束レベルφは次の
数2
BWRプラントでは、この時の固有値は一般に0.88
〜0.92なので、数2から、固有値が0.99のとき
の中性子束φBは、
モ−ドへの移行は、中性子束レベルφにより判定でき、
本実施例ではQ=8として中性子束レベルφが、
行条件にする。ブロック駆動モ−ドに移行したときに
は、同時に制御棒引き抜き不許可信号を出す。
ときには、本実施例では、逆増倍法を使ってステップ駆
動モ−ドへの移行を判定する。逆増倍法によれば、現在
位置から臨界点までの予想引き抜きステップ数Δmは、
現在までの総引き抜きステップ数をm1、前回制御棒操
作までの総引き抜きステップ数をm0、現在の中性子束
レベルをφ1、前回制御棒操作時の中性子束レベルをφ0
とすると、次の数5
として
の移行条件にする。
値は、0.995〜0.999程度である。固有値では
なく、臨界までの予想引き抜きステップ数でステップ駆
動モ−ドへ移行する利点は、ステップ駆動モ−ドにおけ
る制御棒操作回数がほぼ一定になることにある。
御棒停止後ペリオドが200秒以下の持続時間を計測
し、その時間が120秒を超えたならば臨界に到達した
と判定し、表示装置11により運転員に知らせるととも
に、臨界近接モ−ドの処理を終了する。
手順デ−タ9の内容を示す図である。この実施例では、
複数の制御棒でグル−プをつくり、同一グル−プに属す
る制御棒は同時に操作する制御棒ギャング操作を実施す
るものとする。図5に示したGr.は制御棒グル−プを
表し、制御棒引き抜きは、Gr.1→Gr.2→Gr.3
→Gr.4の順序で進むものとする。制御棒位置200
(ステップ)は、制御棒全引き抜き位置を表す。
は、中性子束検出器が設置されペリオドが小さくなりや
すい80ステップ位置を中心に制御棒停止位置が設定さ
れている。例えば、Gr.1の制御棒は、36、72、
80、84、88、200ステップの位置でそれぞれ一
時停止する。一時停止位置は、事前に三次元の炉心特性
解析コ−ドで評価して決定する。高速駆動モ−ドは、3
つの駆動モ−ドのなかで制御棒停止回数が最も少ない。
入反応度がほぼ等しくなるように制御棒停止位置を設定
しており、この例では、1ブロックあたりの投入反応度
をほぼ0.05%Δkにしている。一時停止位置は、高
速駆動モ−ドと同様に、事前に三次元の炉心特性解析コ
−ドで評価して決定する。ステップ駆動モ−ドでは、最
小操作量である1ステップ毎に一時停止する。
イクルが終了して新しい燃料と古い燃料の交換を実施す
る度に、新しいデ−タを入力する。入力方法として、本
実施例では、制御棒操作指示装置13と制御棒駆動制御
装置21の両方に入力する構成になっているが、制御棒
操作指示装置13に入力し、制御棒駆動制御装置21に
制御棒操作手順デ−タ9を転送する構成にすることもで
きる。このときには、制御棒操作指示装置13に入力し
た制御棒操作手順デ−タと制御棒駆動制御装置21に入
力した制御棒操作手順デ−タとが異なるといったミスを
防げる効果がある。
のデ−タを予め準備したが、ステップ駆動モ−ドの停止
位置を、
置を入力する必要が無いので、制御棒操作指示装置13
と制御棒駆動制御装置21に内蔵した記憶装置の容量を
低減できる。また、例えばGr.1とGr.2の制御棒は
高速駆動モ−ドでしか駆動しないことが事前の評価で判
明しているときには、Gr.1とGr.2のブロック駆動
モ−ドとステップ駆動モ−ドのデ−タを省略することも
できる。この場合にも、記憶装置の容量を低減できる。
て高速駆動モ−ドからブロック駆動モ−ドに操作量を切
り替えるため、起動時間が短くなる効果がある。その
際、制御棒の操作手順が事前に運転員に提示した3パタ
−ン(ステップ駆動モ−ドは数7から容易に求まるか
ら、実質的には2パタ−ン)しかなく、駆動モ−ドの切
り替えも単純なアルゴリズムに基づいているため、運転
員の操作が容易である。また、ブロック駆動モ−ドに移
行した時点では、およそ20ブロック先で臨界になるこ
とが予想でき、さらにステップ駆動モ−ドに移行した時
点ではおよそ12ステップ先で臨界になることが運転員
にわかるので、運転員が制御棒操作しやすいという効果
がある。
手法が平易で明確なため、そのまま自動運転に利用でき
るという点がある。図6は、制御棒操作装置により制御
棒の操作を自動運転する装置の構成と動作を示した図で
ある。装置構成は、運転員による手動操作方法を示した
図1と同じであり、制御棒操作指示装置13の機能だけ
が異なっている。
装置13の入力装置12から自動制御機能を選択する
と、制御棒操作指示装置13は、制御棒自動制御装置1
4から受信した駆動モ−ド信号と制御棒操作許可信号
を、それぞれ駆動モ−ド信号と制御棒操作指令として制
御棒駆動制御装置21に直接送信する。その結果、制御
棒自動制御装置14のアルゴリズムに従って、制御棒操
作が自動的に行われる。操作の手順は手動運転の時と同
一になる。手動運転と異なる点は、運転員が制御棒操作
許可信号を見てから制御棒操作ボタンを押すまでの期間
が短縮できることと、手動制御よりも速く制御できるこ
とである。運転員が手動操作に戻したいときには、入力
装置12から手動操作機能を選択すれば、手動操作が可
能となる。
を利用して自動運転したときの、臨界近接モ−ド起動時
間を評価した結果を示す図である。高速駆動モ−ドから
ブロック駆動モ−ドへの切り替え条件は、数4のφ≧8
×φA、ブロック駆動モ−ドからステップ駆動モ−ドへ
の切り替え条件は数6のΔm≦12ステップを利用し、
図5に示した制御棒操作手順デ−タを利用している。図
7の横軸は制御棒引き抜き開始後の時間、縦軸は制御棒
引き抜き総量(ステップ)とペリオドの逆数(1/秒)を表
す。
8ステップ(Gr.3の48ステップ)まで制御棒を引
き抜く。この間に、制御棒は15回停止している。G
r.3を48ステップ引き抜いたときに、中性子束レベ
ルφが数4のφ≧8×φAを満たしブロック駆動モ−ド
に移行する。
引き抜き、Gr.3の72ステップ位置で数6のΔm≦
12ステップの条件を満たし、ステップ駆動モ−ドに移
行する。
き抜き、82ステップ位置で臨界に達する。この位置
は、ブロック駆動モ−ドに移行してから19ブロック後
の位置であり、ブロック駆動モ−ド移行後20ブロック
で臨界に到達するという予測にほぼ合致している。
0秒から200秒の一定値を示し、ほぼ最適な制御とな
っていることがわかる。以降、臨界に到達するまでの所
要時間は約17分で、臨界到達までの時間として充分短
い。
当りの反応度を約0.05%Δkで一定にすると、なぜ
最適な制御になるかという理由を述べる。臨界近接モ−
ドでは、ペリオドを許容できる最小値に持続すれば、最
短時間の制御になる。いま、中性子束をφ、ペリオド
(原子炉周期)をτ、炉心反応度をρ(未臨界ではρ<
0)、外部中性子源強度をS、中性子寿命をLとすると
定数であり、制御棒全挿入時の固有値が0.9程度であ
ることから、cは0.1〜0.15の値を取る。
る。
20であり、cの値に0.1を使い、臨界近接モ−ドに
おける適切なペリオドτとして200秒を数9に代入す
ると、必要な単位時間当りの投入反応度dρ/dtとし
て以下の値を得る。
(%Δk/秒) (φ/φA=20)(φ/φA=8) 一回のブロック操作の後に最低10秒間制御棒を一時停
止し、ペリオド200秒以上になった場合に制御棒引き
抜きを許可する場合の制御棒引き抜き間隔は、解析結果
によるとφ/φA=8の時には10秒、φ/φA=20の
時には約20秒となる。そこから、時間平均投入反応度
が数10となる1ブロック当りの投入反応度Δρを求め
ると、中性子束レベルφにかかわらず、Δρ=0.05
%Δkとなる。これが、1ブロック当りの反応度を0.
05%Δkの一定値にすればよい理由である。制御棒の
一時停止時間や、制御棒の引き抜きを許可するペリオド
値が上記の条件から大きく変わる場合には、上記の適切
な1ブロック当りの反応度の値は変化する。
不許可と駆動モ−ドを制御棒自動制御装置14が演算
し、運転員に表示することで運転員の負担を低減した
が、この機能のない一般のBWRプラントでも、本発明
による操作方法を適用することは可能である。その場
合、運転員には、図5に示したような制御棒操作手順デ
−タと、高速駆動モ−ドからブロック駆動モ−ドへ移行
する判定条件のQの値(例えば8)が与えられる。
棒全挿入時の中性子束レベルφAを記録し、高速駆動モ
−ドからブロック駆動モ−ドへ移行する中性子束レベル
である数4を満たすφの値を計算する。運転員は数4を
満たすまで、高速駆動モ−ドのデ−タに従って制御棒を
操作する。一時停止位置では10秒以上停止するが、こ
の時間は、運転員が次の制御棒停止位置を制御装置に入
力している間に必然的に経過する。1ブロック当りのお
よその反応度がわかっているので、ブロック駆動モ−ド
へ移行した時点で、運転員には臨界になる制御棒引き抜
き位置が予測できる。ブロック駆動モ−ドでは、運転員
はペリオドが200秒以上になったことを確認してから
制御棒を1ブロック引き抜く。臨界に近づくとペリオド
がなかなか大きくならないので、例えば、1ブロック引
き抜き後、ペリオド信号τが30秒間以上200秒より
小さければ、ブロック引き抜きからステップ引き抜きへ
移行する。
転員はあと何ブロック引き抜けば臨界になるか、すなわ
ち臨界到達点の制御棒位置を予測できる。臨界到達点の
制御棒位置を予測できることは、運転員の負担を大きく
低減する。
モ−ドでの手動操作を早めることを主目的としている
が、高速駆動モ−ド、ブロック駆動モ−ドとステップ駆
動モ−ドの3駆動モ−ドを利用した制御棒操作方法は、
昇温昇圧モ−ドや原子炉出力制御モ−ド、発電機出力制
御モ−ドにおいても利用可能である。この場合の装置構
成は、図1と同じで良い。
んだ昇温昇圧モ−ドの制御アルゴリズムの一実施例を示
す図である。昇温昇圧モ−ドでは、炉水温度変化率が目
標値と一致するように制御棒を操作するが、この実施例
では、目標炉水温度変化率から目標中性子束を演算し、
中性子束が目標中性子束と一致するように制御する。
測した炉水温度変化率32の差から炉水温度変化率偏差
信号33を求め、それに比例定数Kp、積分時定数Tの
PI制御を施した信号35に上下限リミッタ処理36を
施して、目標中性子束37を得る。つぎに、目標中性子
束37と実際に計測した中性子束38との差から中性子
束偏差信号39(Δφ)を求める。
数aより大きく、かつ制御棒停止後10秒間以上経過し
ているときには制御棒引き抜き許可信号を発生する。ま
た、中性子束偏差信号Δφが事前に設定した負数bより
小さく、かつ制御棒停止後10秒間以上経過していると
きには制御棒挿入許可信号を発生する。
にも利用する。中性子束偏差信号Δφの絶対値が、事前
に設定した正数cより大きい、すなわちc<|Δφ|の
時には高速駆動モ−ドを選択する。中性子束偏差信号Δ
φの絶対値が、cより小さい正数dに対し、|Δφ|<
d<cなる関係にある場合にはステップ駆動モ−ドを選
択する。d<|Δφ|<cの場合にはブロック駆動モ−
ドとする。定数a,b,c,dは、制御系や原子炉の応
答特性に依存するが、シミュレ−ションにより事前に最
適値を設定することができる。この装置を使って、臨界
近接モ−ドと同様に、昇温昇圧モ−ドにおいても、制御
棒操作の許可・不許可と、駆動モ−ドとを運転員に指示
することができる。
−ドも、基本的には、昇温昇圧モ−ドと同じく、目標と
する熱出力と実際の熱出力との偏差信号を基に、制御棒
操作タイミングと駆動モ−ドを判定できる。すなわち、
偏差信号が小さい場合にはステップ駆動モ−ド、やや大
きい場合にはブロック駆動モ−ド、偏差信号がかなり大
きい場合には高速駆動モ−ドを選択することで、制御棒
操作量の最適化が図られ、起動時間を短縮できる。偏差
信号は運転員が認識しやすく、偏差信号をもとに駆動モ
−ドを切り替え、手動操作でも容易に自動制御に近い短
時間の起動操作を実現することができる。
子炉運転における制御棒操作を、自動制御と同様の短い
時間で実現することができる。
成図である。
−ドの制御棒操作方法を説明する模式図である。
ルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
ルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
一例を示す図である。
成図である。
ド起動時間の解析結果を示す図である。
ルゴリズムの一例を示す図である。
子束モニタ、5…制御棒駆動機構、6…モ−タ、7…モ
−タ駆動制御装置、8…制御棒位置検出器、9…制御棒
操作手順デ−タ、10…炉内中性子束検出器、11…表
示装置、12…入力装置、13…制御棒操作指示装置、
14…制御棒自動制御装置、21…制御棒駆動制御装
置、31…目標炉水温度変化率、32…炉水温度変化
率、33…炉水温度変化率偏差、34…PI制御器、3
6…上下限リミッタ、37…目標中性子束、38…中性
子束、39…目標中性子束偏差。
Claims (6)
- 【請求項1】 原子炉の制御棒操作方法において、制御
棒引き抜き操作時に原子炉ペリオド信号が設定値よりも
小さくならないように制御棒一時停止位置を予め設定し
て制御棒を高速に引き抜く高速駆動モードと、制御棒操
作時の投入反応度がほぼ等しくなるように制御棒一時停
止位置を予め設定して制御棒を予め決めたブロック量単
位に駆動するブロック駆動モードと、制御棒最小操作単
位量(以下、ステップという。)進んだ位置に制御棒一
時停止位置を予め設定して制御棒を1ステップづつ操作
するステップ駆動モードとを用意しておき、制御棒全挿
入時における中性子束φAに対する中性子束φの比(φ
/φA)の値を監視し、該比の値が所定値に達するまで
は制御棒を高速駆動モードで引き抜き、それ以降は制御
棒をステップ駆動モードで徐々に引き抜いて原子炉を臨
界状態にすることを特徴とする制御棒操作方法。 - 【請求項2】 原子炉の制御棒操作方法において、制御
棒引き抜き操作時に原子炉ペリオド信号が設定値よりも
小さくならないように制御棒一時停止位置を予め設定し
て制御棒を高速に引き抜く高速駆動モードと、制御棒操
作時の投入反応度がほぼ等しくなるように制御棒一時停
止位置を予め設定して制御棒を予め決めたブロック量単
位に駆動するブロック駆動モードと、制御棒最小操作単
位量(以下、ステップという。)進んだ位置に制御棒一
時停止位置を予め設定して制御棒を1ステップづつ操作
するステップ駆動モードとを用意しておき、前記いずれ
かの駆動モードで制御棒を操作することを特徴とする制
御棒操作方法。 - 【請求項3】 請求項2において、高速駆動モードから
ブロック駆動モードへの切り替え及びブロック駆動モー
ドからステップ駆動モードへの切り替えは、炉心の炉心
固有値の値が夫々予め決められた値に達したとき行うこ
とを特徴とする制御棒操作方法。 - 【請求項4】 請求項2において、目標とする中性子束
と実際の中性子束との偏差、あるいは目標とする出力と
実際の出力との偏差を判定条件として、前記各駆動モー
ドを切り替えながら制御棒を操作することを特徴とする
制御棒操作方法。 - 【請求項5】 原子炉起動時の制御棒操作装置におい
て、制御棒引き抜き操作時に原子炉ペリオド信号が設定
値よりも小さくならないように制御棒一時停止位置を予
め設定して制御棒を高速に引き抜く高速駆動モードと、
制御棒操作時の投入反応度がほぼ等しくなるように制御
棒一時停止位置を予め設定して制御棒を予め決めたブロ
ック量単位に駆動するブロック駆動モードと、制御棒最
小操作単位量(以下、ステップという。)進んだ位置に
制御棒一時停止位置を予め設定して制御棒を1ステップ
づつ操作するステップ駆動モードとを用意しておき、原
子炉起動時の制御棒操作装置において、制御棒全挿入時
における中性子束φAに対する中性子束φの比(φ/φ
A)の値を監視する監視手段と、該比の値が所定値に達
するまでは制御棒を高速モードで引き抜き、それ以降は
制御棒をステップ駆動モードで徐々に引き抜いて原子炉
を臨界状態にする制御手段とを備えることを特徴とする
制御棒操作装置。 - 【請求項6】 原子炉の制御棒操作装置において、制御
棒引き抜き操作時に原子炉ペリオド信号が設定値よりも
小さくならないように制御棒一時停止位置を予め設定し
て制御棒を高速に引き抜く高速駆動モードと、制御棒操
作時の投入反応度がほぼ等しくなるように制御棒一時停
止位置を予め設定して制御棒を予め決めたブロック量単
位に駆動するブロック駆動モードと、制御棒最小操作単
位量(以下、ステップという。)進んだ位置に制御棒一
時停止位置を予め設定して制御棒を1ステップづつ操作
するステップ駆動モードとの3つの制御棒駆動モードを
有し、前記いずれかの駆動モードで制御棒を操作する制
御棒制御手段を備えることを特徴とする制御棒操作装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP12380295A JP3172653B2 (ja) | 1995-05-23 | 1995-05-23 | 制御棒操作方法および制御棒操作装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08313669A JPH08313669A (ja) | 1996-11-29 |
JP3172653B2 true JP3172653B2 (ja) | 2001-06-04 |
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---|---|---|---|---|
JP2011038809A (ja) * | 2009-08-07 | 2011-02-24 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 原子炉出力制御装置及び原子炉出力制御方法 |
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JP5020182B2 (ja) * | 2008-07-25 | 2012-09-05 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 原子炉制御棒制御装置 |
JP7374140B2 (ja) * | 2021-01-20 | 2023-11-06 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 制御棒自動制御装置および制御棒自動制御方法 |
-
1995
- 1995-05-23 JP JP12380295A patent/JP3172653B2/ja not_active Expired - Fee Related
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