JPH08102420A - 油入電気機器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、内部事故時の内圧上昇に対し十分な
機械的強度を有し、かつ柔軟な変形を与える仕切壁を備
えた油入電気機器を提供することにある。 【構成】本発明の油入電気機器は、複数の電気機器と、
前記電気機器を絶縁する絶縁油と、前記電気機器及び絶
縁油を収納する１つのタンクと、前記タンク外周壁に水
平方向に取り付けられる補強梁と、前記タンク内に収納
される複数の電気機器及び絶縁油を非共油的に仕切るタ
ンク短手方向の垂直部分円筒殻仕切壁とから構成されて
いるので、油入電気機器のタンク内で内部事故により内
圧が上昇した場合、タンク外周壁と垂直部分円筒殻仕切
壁の溶着部でこれらがなす角は、変形の前後でほぼ一定
に保たれるため、この箇所での応力集中を低く抑えるこ
とができる。また、真空注油時に外圧に対して垂直部分
円筒殻仕切壁の曲率半径が減少することで同様に応力集
中も低く抑えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は同一タンク内に複数の電
気機器を収納する油入電気機器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、電力用変圧器などの電気機器は、
大容量化に伴う大形化の傾向にあるが、設置スペース，
保守点検エリア等の縮小のニーズから、１つのタンク内
に複数の電気機器を収納し、かつ、それぞれの電気機器
単独での運転も可能な油入電気機器構造が実用されてい
る。

【０００３】ところが、油入変圧器のように、機器本体
と絶縁油を収納するタンク内部において、内部事故が発
生し、アークが生じた場合、油の分解ガスによりタンク
内圧は急激に上昇する。この内部事故が小さい場合は、
タンクの膨脹と放圧装置からの油の放出により圧力上昇
を緩和することができる。しかし、大きな系統容量に連
結された油入変圧器のような場合、その急激な圧力上昇
にタンクの膨脹と放圧装置からの油放出では緩和しきれ
ず、タンクが破裂し、高温のガス及び油を噴出する恐れ
がある。更に、このような高温のガス及び油の噴出はそ
の周辺の機器を損傷するだけでなく、大気中の酸素に触
れ着火し火災事故等のより大きな二次災害に発展する可
能性もある。

【０００４】通常、タンクの破壊は機械的強度の弱い部
分にまず亀裂が発生し、それが進展開口して破壊につな
がる。そこで、こうした油入電気機器では内部事故時の
圧力上昇に対し最も効果のあるタンク膨脹により圧力緩
和を図り、かつその膨脹変形により破壊しないタンク構
造が要求される。

【０００５】更に、１つのタンクに複数の電気機器を収
納し、それぞれの電気機器単独での運転を可能にするた
めには、１つの電気機器が故障した場合でも、他の健全
な電気機器はその影響を受けずに運転を持続することが
でき、故障した電気機器は単独で点検，修理，真空注油
などができなくてはならない。この場合、各電気機器間
の仕切壁自身が単独での真空注油に耐えるだけの機械的
強度を有していなければならず、仕切壁にも補強が必要
となる。

【０００６】例えば、従来の油入電気機器では、図５の
側断面図および図６の平面図に示すように、１つのタン
クに複数の電気機器９，９ａ，９ｂを収納するために仕
切壁７ａ，７ｂにより独立した油室を作った場合、この
仕切壁７ａ，７ｂ単独では機械的強度が弱いため、補強
材８により補強を必要とするが、この補強材８は各油室
間にデッドスペースを生むので、タンクサイズや据付面
積の縮小の妨げとなっていた。

【０００７】また、仕切壁７ａ，７ｂとタンク外周壁５
との溶着部では、事故時のタンク内圧によるタンク外周
壁水平補強梁の変形に対し、仕切壁７ａ，７ｂ自身がそ
の変形を拘束しようとするために、図７に示すようにタ
ンクに十分な膨らみを与えることができない。このため
圧力が緩和されずに亀裂の発生に至りタンク破壊につな
がる可能性があった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上述のような電気機器
のタンク構造で内部事故が発生した場合、タンク外周
壁，タンク外周壁水平補強梁，仕切壁などは急激な内圧
上昇に対して膨らもうとするが、タンク外周壁及びタン
ク外周壁水平補強梁の変形は、仕切壁によって拘束を受
けるために十分な膨らみを得ることができないばかり
か、その溶着部では局部的な応力集中が起こり、タンク
破壊につながる可能性がある。また、真空注油時の外圧
に対しても同様な可能性がある。

【０００９】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は内部事故時の内圧上昇に対し十分な機械
的強度を有しながら、かつ柔軟な変形を与える仕切壁を
備えることでタンクを破壊に至らせない油入電気機器を
提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の油入電気機器は、複数の電気機器と、前記
電気機器を絶縁する絶縁油と、前記電気機器及び絶縁油
を収納する１つのタンクと、前記タンク外周壁に水平方
向に取り付けられる補強梁と、前記タンク内に収納され
る複数の電気機器及び絶縁油を非共油的に仕切るタンク
短手方向の垂直部分円筒殻仕切壁とから構成されたこと
を特徴とする。

【００１１】

【作用】本発明によると、油入電気機器のタンク内で内
部事故により内圧が上昇した場合、垂直部分円筒殻仕切
壁の曲率半径は増大し、タンク外周壁及びタンク外周補
強梁の変形拘束を緩和し、大きな膨らみ変形を与えるこ
とができる。このとき、タンク外周壁と垂直部分円筒殻
仕切壁の溶着部でこれらがなす角は、変形の前後でほぼ
一定に保たれるため、この箇所での応力集中も低く抑え
ることができる。また、真空注油時に外圧に対して垂直
部分円筒殻仕切壁の曲率半径が減少することで同様に応
力集中も低く抑えることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図１は本発明の一実施例の平面図で、図２は図１の
側断面図である。これらの図に示すように、タンク外周
壁１の外側には、水平にタンク外周壁補強梁２が溶着さ
れており、タンク内各油室は垂直部分円筒殻仕切壁３
ａ，３ｂにより非共油的に仕切られている。それぞれの
油室には電気機器４，４ａ，４ｂが収納され、絶縁油で
満たされている。

【００１３】今、中央の油室において内部事故により内
圧が上昇した時のタンクの変形状態を図３の模擬平面図
で示す。この図から分かるように、長辺側のタンク外周
壁１及びタンク外周壁補強梁２が外側に膨らもうとする
変形に対し、垂直部分円筒殻仕切壁３ａ，３ｂはその曲
率半径を増大させ、タンク外周壁１及びタンク外周壁補
強梁２の変形に追従する。この結果、タンクに十分な膨
脹量を与えることができ、内部事故時のタンク破壊を未
然に防ぐことができる。また、タンク外周壁１と垂直部
分円筒殻３ａ，３ｂとの溶着部Ａにおける両者のなす角
度は、変形の前後でほぼ一定に保たれるため、Ａ点での
応力集中は低く抑えられ、ここでの亀裂発生の可能性も
小さくすることができる。

【００１４】また、中央の油室を真空注油する時の外圧
による変形状態を図４の模擬平面図で示す。この場合、
長辺側のタンク外周壁１とタンク外周壁補強梁２が内側
に変形しようとするのに対し、垂直部分円筒殻仕切壁３
ａ，３ｂはその曲率半径を減少させることで、タンク外
周壁１及びタンク外周壁補強梁２の変形に追従する。内
圧負荷時と同様にタンク外周壁１と垂直部分円筒殻３
ａ，３ｂとの溶着部Ａで両者のなす角度はほぼ一定に保
たれるため、Ａ点での応力集中は低く抑えられ、ここで
の亀裂発生の可能性を小さくすることができる。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
油入電気機器の内部事故による内圧上昇に対して、最も
直接的な圧力上昇緩和効果を得ることができるタンク膨
脹量を大きく確保することができるため、タンク破壊を
未然に防ぐ信頼性の高い油入電気機器を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の平面図。

【図２】図１の側断面図。

【図３】図１の油入電気機器の内圧上昇時の変形模擬の
平面図。

【図４】図１の油入電気機器の真空注油する時の外圧に
よる変形模擬の平面図。

【図５】従来の油入電気機器の側断面図。

【図６】図５の平面図。

【図７】図５の油入電気機器の内圧上昇時の変形模擬の
平面図。

【符号の説明】

１，５…タンク外周壁、２，６…タンク外周壁補強梁、
３ａ，３ｂ…垂直部分円筒殻仕切壁、４，４ａ，４ｂ，
９，９ａ，９ｂ…電気機器、７ａ，７ｂ…仕切壁、８…
仕切壁補強梁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の電気機器と、前記電気機器を絶縁
   する絶縁油と、前記電気機器及び絶縁油を収納する１つ
   のタンクと、前記タンク外周壁に水平方向に取り付けら
   れる補強梁と、前記タンク内に収納される複数の電気機
   器及び絶縁油を非共油的に仕切るタンク短手方向の垂直
   部分円筒殻仕切壁とから構成されたことを特徴とする油
   入電気機器。