JPH08101476A - 輻射線感受性乳剤及び写真要素 - Google Patents

輻射線感受性乳剤及び写真要素

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JPH08101476A
JPH08101476A JP7217900A JP21790095A JPH08101476A JP H08101476 A JPH08101476 A JP H08101476A JP 7217900 A JP7217900 A JP 7217900A JP 21790095 A JP21790095 A JP 21790095A JP H08101476 A JPH08101476 A JP H08101476A
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Richard L Daubendiek
リー ドーベンディーク リチャード
Donald Lee Black
リー ブラック ドナルド
Joseph C Deaton
チャールズ ディートン ジョセフ
Timothy R Gersey
リチャード ジャージー ティモシー
Joseph G Lighthouse
ジョージ ライトハウス ジョセフ
Myra T Olm
トフォロン オルム ミラ
Xin Wen
ウェン シン
Don Wilson Robert
ドン ウィルソン ロバート
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改良された分光増感ハロゲン化銀乳剤及びこ
れらの乳剤を含有する多層写真要素に関する。 【解決手段】 分散媒;特定の平板状粒子を含むハロゲ
ン化銀粒子;乳剤の写真応答を向上させるに十分な、前
記主面の間に広がる中央領域を有する平板状粒子の少な
くとも一部であって、前記中央領域が、同様に前記主面
の間に広がりそして平板状粒子の端部及びコーナーを形
成する外側配置領域より、低いヨウ化物濃度を有するも
のである平板状粒子の少なくとも一部;並びに前記平板
状粒子の少なくとも主面に吸着した分光増感色素;を含
んでなる改良輻射線感受性乳剤であって、前記表面化学
増感部位が、前記平板粒子上にエピタキシャル配置され
且つ前記平板粒子の外側配置領域に限定された少なくと
も一種の銀塩を含むことを特徴とする輻射線感受性乳
剤、並びにそれらの乳剤を含有する写真要素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀写真
に関する。より詳細には、本発明は、改良分光増感ハロ
ゲン化銀乳剤及び一種以上のこれらの乳剤を含有する多
層写真要素に関する。
【0002】
【従来の技術】米国特許第4,439,520号明細書
(Kofron等)は、現在の高性能ハロゲン化銀写真
時代の到来を告げた。Kofron等は、直径が少なく
とも0.6μmで厚さが0.3μm未満である平板状粒
子が、平均アスペクト比が8を超え且つ総粒子投影面積
の50%を超える割合を占める化学的増感及び分光増感
した平板状粒子乳剤に関する注目すべき写真上の利点を
開示し且つ示した。示されている多数の乳剤のうち、こ
れらの数値パラメータの一つ以上が、上記要件をはるか
に超えることが多かった。Kofron等は、種々の態
様の一つ以上に開示されている化学増感及び分光増感乳
剤がカラー写真及び白黒写真(間接放射線写真を含む)
に有用であろうことを認識していた。白黒像形成用途の
ためのオルソクロマチック及びパンクロマチック分光増
感だけでなく、可視スペクトルの全ての部分及びより長
波長での分光増感も試みられた。Kofron等は、一
種以上の分光増感色素とミドルカルコゲン(例えば、イ
オウ)及び/もしくは貴金属(例えば、金)化学増感と
の組み合わせを用いた。しかしながら、Kofron等
は、さらに他の還元増感等の通常の増感も開示してい
る。
【0003】米国特許第4,433,048号明細書
(Solberg)は、Kofron等の乳剤のスピー
ドの更なる増加を、外側配置領域より粒子の中央領域に
より低いヨウ化物濃度を含む(以下、ヨウ化物濃度プロ
フィールと称す)高アスペクト比ヨウ臭化銀平板状粒子
を提供することにより、対応する粒状度増加なしに実現
できることを実証した。
【0004】Kofron等の教示について初期の相互
参照変更態様は、米国特許第4,435,501号明細
書(Maskasky)(以下、「Maskasky
I」と称する)により提供された。MaskaskyI
は、ホスト平板状粒子の表面に吸着したヨウ化物イオ
ン、アミノアザインデンもしくは選択された分光増感色
素等の部位指向体(site director)が、
銀塩エピタキシーを選択された部位、典型的にホスト粒
子のエッジ及び/もしくはコーナーに向けることができ
ることを認識していた。銀塩エピタキシーの組成及び部
位に応じて、スピードが顕著に増加した。
【0005】1982年に、Kofron等の教示を取
り入れた第一間接放射線写真及びカラー写真フィルムが
商業的に導入された。12年後の現在、考えられる製品
の種類に応じて異なる平板状粒子乳剤が好ましいことが
明瞭に理解されている。間接放射線写真は、極薄平板状
粒子乳剤が好ましくない温調(即ち、褐色がかった黒
色)画像色調を有する銀像を生じるので魅力的でないこ
とが分かった。カメラスピードカラー写真フィルムにお
いて、極薄平板状粒子乳剤は、通常魅力的であり、特に
固有粒子感度が低い波長領域、例えば、約430nmよ
り長波長での波長領域に分光増感するときに魅力的であ
ることが判明した。430nm未満に吸収ピークを有す
る一種以上の分光増感色素を含有する極薄平板状粒子が
匹敵する性能を示すことは理論的に可能である。しかし
ながら、当該技術分野では、カメラスピード乳剤の通常
固有青色感度に依存して感度を増加しており、このため
青色露光記録を行うのに極薄平板状粒子乳剤へ移行する
のが遅くなった。平板状粒子の厚さを減少することによ
り生じる粒子体積の減少は、青色吸収分光増感色素を用
いることにより実現されるよりも著しく大きな青色スピ
ードの増加を得る固有青色感度の使用に不利にはたら
く。従って、より厚い平板状粒子もしくは非平板状粒子
を選択するのが、カメラ感度フィルムの青色記録乳剤層
については一般的である。
【0006】最近、米国特許第5,250,403号明
細書(Antoniades等)は、本発明の前に、多
くの点で、カラー写真要素、特にスペクトルのマイナス
ブルー(赤色及び/もしくは緑色)部における露光を記
録するための入手可能な最良の乳剤の代表である平板状
粒子乳剤を開示した。Antoniades等は、{1
11}主面を有する平板状粒子が総粒子投影面積の97
%を超える割合を占める平板状粒子乳剤を開示した。こ
れらの平板状粒子は、平均等価円直径(ECD)が少な
くとも0.7μmであり、平均厚さが0.07μm未満
である。平均厚さが0.07μm未満である平板状粒子
乳剤を、以下「極薄」平板状粒子乳剤と称する。極薄平
板状粒子乳剤は、乳剤層と下層乳剤層の両方において、
銀が効率的に利用されること、スピード−粒状度関係が
魅力的であること、及び像の鮮鋭度が高レベルであるこ
とから、カラー写真要素、特にマイナスブルー記録乳剤
層に使用するのに適している。
【0007】Buhr等によって、Research
Disclosure、第253巻、アイテム2533
0、1985年5月に教示されているように、0.18
〜0.08μmの範囲の厚さを有する平板状粒子の特徴
であると認識されているように、極薄平板状粒子乳剤を
他の平板状粒子乳剤とを区別する特徴は、可視スペクト
ル内で最大反射を示さないことである。Researc
h Disclosureは、英国ハンプシャー州P0
10 7DQ エムスワース 12ノースストリート
ダッドレーアネックスにあるKenneth Maso
n Publications社により発行されてい
る。多層写真要素では、平均平板状粒子厚さが0.18
〜0.08μmの範囲である上層乳剤層は、反射特性が
可視スペクトル内で大きく異なるので選択に注意を要す
る。多層写真要素の構成に極薄平板状粒子乳剤を選択す
ると、他の乳剤層の上に位置する上記種々の乳剤層にお
いて異なる平均粒子厚さを分光反射率に応じて選択する
必要がなくなる。従って、極薄平板状粒子乳剤は、単に
写真性能を改良できるだけでなく、多層写真要素の構成
を簡素化する利点もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般の平板状粒子乳剤
の数多くの利点及びAntoniades等により開示
されている改良点を含む極薄平板状粒子乳剤及びカラー
写真要素による特定の改良点にもかかわらず、これらの
乳剤を含有する写真要素だけでなくいままで当該技術分
野において得ることのできなかった極薄平板状粒子乳剤
における性能向上並びにカラー写真について達成できる
最高性能の乳剤及び写真要素を構成するための別の選択
をする必要性が依然として満たされないままであった。
スピード−粒状度の関係が改良された乳剤に対する極め
た特別のニーズが当該技術分野に存在する。Kofro
n等、Maskasky及びSolberg等は以前達
成できたものよりはるかに優れたスピード−粒状度関係
を提供するのに寄与したが、当該技術分野では、スピー
ド−粒状度関係の更なる改良に対するニーズが明らかに
認識されている。
【0009】さらに、当該技術分野には、「頑強(ro
bust)」である極薄平板状粒子乳剤が必要とされて
いる。ここで用語「頑強」は、意図しない製造上の変動
があっても乳剤が目的とする(即ち、予定どおりの)写
真特性に近いままであることを示すのに用いられる。実
験室条件下で製造すると写真特性の観点で魅力的と思わ
れる写真乳剤が製造手順の意図しない小さな変動により
市場の要件を満足できない程度に目的とする特性から逸
脱した乳剤が多量に生じることはまれではない。当該技
術分野では、高レベルの頑強性もしくは目的とする慣性
を示し、一つの製造実施と次の実施にの間で目的とする
写真特性がほとんど変動しない高性能平板状粒子乳剤が
必要とされている。
【0010】
【課題を解決するための手段】一つの態様によれば、本
発明は、 (i)分散媒、 (ii)(a){111}主面を有し、(b)銀に対し
て70モル%を超える臭化物及び少なくとも0.25モ
ル%のヨウ化物を含有し、(c)総粒子投影面積の90
%を超える割合を占め、(d)平均等価円直径が少なく
とも0.7μmであり、(e)平均厚さが0.07μm
未満であり、そして(f)潜像形成性化学増感部位を平
板状粒子の表面に有する、平板状粒子を含むハロゲン化
銀粒子、 (iii)乳剤の写真応答を向上させるに十分な、前記
主面の間に広がる中央領域を有する平板状粒子の一部で
あって、前記中央領域が、同様に前記主面の間に広が
り、そして平板状粒子の端部及びコーナーを形成する外
側配置領域より低いヨウ化物濃度を有するものである平
板状粒子の少なくとも一部、並びに (iv)平板状粒子の表面に吸着した分光増感色素、を
含んでなる乳剤であって、前記表面化学増感部位が、前
記平板状粒子上にエピタキシャルに配置される少なくと
も一種の銀塩を含むことを特徴とする改良乳剤が提供さ
れる。
【0011】別の態様によれば、本発明は、(i)支持
体、(ii)前記支持体上に塗布され、500〜700
nmのマイナスブルー可視波長領域内のスペキュラー光
で露光したときに写真記録が生じるように増感された第
一ハロゲン化銀乳剤層、及び(iii)第一ハロゲン化
銀乳剤層の露光を目的としたスペキュラーマイナスブル
ー光を受光する、第一ハロゲン化銀乳剤層上に塗布され
た第二写真記録を生じることができる第二ハロゲン化銀
乳剤層であって、スペキュラー光の形態で第一ハロゲン
化銀乳剤の露光を目的としたマイナスブルー光の少なく
とも一部分のデリバリー用透過媒体としての役割を果た
すことができる前記第二ハロゲン化銀乳剤層、を含んで
なる写真要素であって、前記第二ハロゲン化銀乳剤層が
本発明による改良乳剤を含んでなることを特徴とする写
真要素に向けられている。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の改良された極薄平板状粒
子乳剤は、化学増感に銀塩エピタキシーを用いた初めて
のものである。本発明は、(1)銀塩エピタキシャル増
感を極薄平板状粒子乳剤に適用することに対する当該技
術分野における偏見を克服すること、(2)通常のイオ
ウ及び金増感のみを行った極薄平板状粒子乳剤と比較し
て性能の向上を認識すること、(3)より厚い平板状粒
子の同様の増感に対して予想を越えるより大きな感度の
向上を認識すること、そして(4)平板状粒子中に適切
に分布したヨウ化物濃度と組合わさった銀塩エピタキシ
ー増感が、以前に実現したものより優れたスピード−粒
状度関係を生じさせることを始めて認識することにより
実現された。
【0013】Antoniadesらの教示からは、開
示されている極薄平板状粒子乳剤の銀塩エピタキシャル
増感の適合性は説明も提案もされていない。Anton
iades等は、勿論、MaskaskyIの教示に気
付いていたが、MaskaskyIが銀塩エピタキシャ
ル増感を極薄平板状粒子乳剤に適用する明白な教示もし
くは例を提供しなかったことを正しく認識していたた。
頼るべきオリジナルの考察がなく且つ銀塩増感を極薄平
板状粒子乳剤に適用することについて何ら明確な教示の
ないことから、Antomiades等は、このような
増感を極薄平板状粒子乳剤に適用することの可能性につ
いて推定することを好まなかった。極薄平板状粒子の表
面:体積比がMaskaskyI自体が用いたものと比
較してはるかに大きいことは、平板状粒子の極薄構造が
エピタキシャル銀塩付着中に維持できるかどうかについ
て大きな疑いを生じさせるに十分であった。さらに、極
薄平板状粒子乳剤に銀塩エピタキシーを付加すること
は、乳剤層自体や下層乳剤層のいずれにおいても像鮮鋭
度を向上させないだろうことは直観的に明らかなことに
思われた。
【0014】Antoniades等は、Sorber
g等を引用することにより、極薄平板状粒子乳剤のヨウ
化物プロフィールを適切に調整することは少なくとも意
図していたが、しかし銀塩エピタキシーは認識しておら
ず、Antoniades等は、これらの特徴を組み合
わせて用いることも意図してもおらず、それらの組み合
わせが優れたスピード−粒状度関係を示す極薄平板状粒
子乳剤を生じさせることができることも気付いてはいな
かった。
【0015】銀塩エピタキシーを含む化学増感が、プロ
フィールヨウ化物濃度を含む極薄ホスト平板状粒子と適
合することだけでなく、得られた乳剤は程度や種類にお
いて全く予想されない向上を示すことが見出された。極
薄平板状粒子乳剤になお認められる最も優れたスピード
−粒状度関係が、平板状粒子中のヨウ化物プロフィール
の適切な調整と組み合わせた銀塩エピタキシーを用いる
ことにより得られることが認められた。
【0016】ヨウ化物プロフィール選択とは関係なく、
銀塩エピタキシーにより極薄平板状粒子乳剤に付与され
る感度増加は、より厚い平板状ホスト粒子を用いたMa
skaskyIの考察に基づいて予想されるより大きい
ことがわかった。さらに、本発明の乳剤は、コントラス
トが予想されるよりも高かった。平板状粒子の中央領域
のヨウ化物濃度を低く保持することはこの効果に重要な
寄与をするが、一方、銀塩エピタキシーもまた重要な寄
与をする。
【0017】同時に、スペキュラリティー測定の観点で
調査した予期される許容しがたい像鮮鋭度の減少は、銀
塩エピタキシーの量をMaskaskyIにより教示さ
れる好ましい最大レベルよりも十分上に増加したときで
さえ、簡単には実現しなかった。さらに別の利点は、望
ましくない波長吸収が相対的により厚い平板状粒子乳剤
を同様に増感したもの比べて減少することにある。総光
吸収のより高い割合が、分光増感色素(単一もしくは複
数)が吸収極大を示したスペクトル領域に限定された。
マイナスブルー増感極薄平板状粒子乳剤では、固有青色
吸収も減少した。
【0018】最後に、調査した乳剤は予想外の頑強性を
示した。分光増感色素のレベルが変わる場合(製造操作
中に生じることがある)、本発明の銀塩エピタキシャル
増感極薄平板状粒子乳剤は、イオウ及び金増感剤のみを
用いた比較の極薄平板状粒子乳剤よりも少ない感度変動
を示した。本発明はスペクトル増感写真乳剤の改良に関
する。乳剤は具体的にはカメラスピードカラー写真フィ
ルムへの組み込みを意図している。
【0019】本発明の乳剤は、平板状粒子が、(a)
{111}主面を有し、(b)銀に対して70モル%を
超える臭化物及び少なくとも0.25モル%のヨウ化物
を含有し、(c)総粒子投影面積の90%を超える割合
を占め、(d)少なくとも0.7μmの平均ECDを示
し、そして(e)0.07μm未満の平均厚さを示す、
通常の極薄平板状粒子乳剤を化学的及び分光的に増感す
ることにより実現することができる。
【0020】更なる要件は、乳剤の写真応答を向上させ
るに十分な、平板状粒子の少なくとも一部が、主面間に
広がる中央領域を有することである。中央領域は、同様
に主面間に広がり、そして平板状粒子の端部及びコーナ
ーを形成する外側配置周囲領域より低いヨウ化物濃度を
含む。この要件は、以下ヨウ化物プロフィールと称す
る。
【0021】基準(a)〜(e)は厳しすぎて大多数の
公知の平板状粒子乳剤によっては満足されないが、二三
の公開されている沈殿法によりこれらの基準を満足する
乳剤を製造することができる。上記したAntonia
des等は、これらの基準を満足する好ましいヨウ臭化
銀乳剤を示している。ヨーロッパ特許出願公開公報第0
362699A3号明細書(Zola及びBryan
t)も、これらの基準を満足するヨウ臭化銀乳剤を開示
している。
【0022】複数のハロゲン化物を含有する粒子及び乳
剤について、ハロゲン化物を濃度の上昇順序で記載す
る。極薄平板状粒子に少量の塩化物イオンを含ませるこ
とが可能である。米国特許第5,372,927号明細
書(Delton)に開示されているように、総銀に対
して塩化物0.4〜20モル%及びヨウ化物10モル%
以下を含有し、ハロゲン化物の残部が臭化物である極薄
平板状粒子乳剤は、米国特許第5,061,609号明
細書及び第5,061,616号明細書(Piggin
等)の曲線A及びBに相当するDeltonにより示さ
れた曲線AのpAg−温度(°C)境界内(好ましくは
曲線Bの境界内)の総銀の5〜90%を占める粒子成長
を行うことにより調製できる。これらの沈殿条件下で
は、塩化物イオンの存在は、実際に平板状粒子の厚さの
減少に役立つ。塩化物イオン(存在するとき)が平板状
粒子厚さの減少に役立つことができる沈殿条件を用いる
ことが好ましいけれども、塩化物イオンは、平板状粒子
平均厚さ0.07μm未満の保持と適合する程度まで通
常の極薄平板状粒子沈殿中に添加できることが認識され
る。
【0023】銀塩エピタキシーに関連して以下で説明す
る理由により、総粒子投影面積の少なくとも90%を占
める極薄平板状粒子は、銀に対して臭化物を少なくとも
70モル%含有する。これらの極薄平板状粒子は、ヨウ
臭化銀、ヨウ塩臭化銀及び塩ヨウ臭化銀粒子を含む。こ
れらの極薄平板状粒子としては、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭
化銀及び塩ヨウ臭化銀が挙げられる。極薄平板状粒子の
組成物についての全ての文献は、銀塩エピタキシーを排
除している。
【0024】Antoniades等、Zola及びB
ryant並びにDeltonの教示によって生成され
る極薄平板状粒子は、全て{111}主面を有してい
る。このような平板状粒子は、典型的には三角もしくは
六角主面を有している。粒子の平板状構造は平行双晶面
を含むことに起因している。Antoniades等、
Zola及びBryantの両者は、実施例は示してい
ないが、米国特許第4,433,048号(Solbe
rg等)により教示されているような粒子成長の完成を
意図している。以下の実施例においては、本発明のヨウ
化物プロフィール要件を満足している極薄平板状粒子沈
殿が具体的に示されている。
【0025】高アスペクト平板状粒子の第一沈殿中央領
域を形成し、次に各平板状粒子成長を続けながら、第一
沈殿中央領域を好ましくは少なくとも1モル%だけ超え
るヨウ化物濃度を示す外側配置領域を沈殿させることに
より、粒状度の増加なしに、写真スピードの増加を実現
できることは、Solberg等が最初に気付いたこと
であった。沈殿の際、平板状粒子成長は優先的に平板状
粒子の周辺端部に起こる。したがって、外側配置領域は
中央領域の側部を取り囲む形を取る。Solberg等
が定義したように、そして本明細書に用いられているよ
うに、用語「中央領域」及び「外側配置領域(late
rally displaced region)」
は、それらの相対する{111}主面間に広がる完成し
た平板状粒子の部分を意味する。
【0026】極薄平板状粒子の外側配置領域は、最後に
沈殿する平板状粒子の部分である。外側配置領域は、平
板状粒子の端部及びコーナーを形成する。先述のよう
に、平板状粒子の外側配置領域は、好ましくは中央領域
のヨウ化物濃度より少なくとも1モル%高いヨウ化物濃
度を含む。したがって、一つの好ましい極限では、平板
状粒子の中央領域は最低レベルのヨウ化物を含むことが
でき(例えば、極薄平板状粒子沈殿の第一段階は臭化銀
沈殿として行うことができる)、外側配置領域は、外側
配置領域の銀に基づいて最低限1モル%のヨウ化物を含
む。極薄平板状粒子の中心部を臭化銀として沈殿させる
ことは、Antoniades等、Zola及びBry
antの中央領域形成部分の沈殿工程の際、単にヨウ化
物を差し控えることにより達成することができる。Ko
fron等は、平板状粒子ヨウ臭化銀沈殿工程は、単に
ヨウ化物イオンを差し控えることにより臭化銀沈殿工程
に転換することができることを特に教示している。
【0027】外側配置領域のヨウ化物濃度が極薄平板状
粒子の中央領域より高い限り、極薄平板状粒子の外側配
置領域は任意の適切な従来のヨウ化物濃度を有すること
ができる。カメラスピードフィルムにとっては、平板状
粒子が総銀量に基づいて少なくとも0.5(さらに好ま
しくは少なくとも1.0)モル%のヨウ化物濃度を含む
のが一般的である。臭化銀結晶格子中のヨウ化物の飽和
レベルは一般に40モル%といわれ、そしてヨウ化物添
加の通常の限度であるが、写真用途については、ヨウ化
物濃度は総銀量に基づいて20モル%を超えることは稀
であり、典型的に総銀量に基づいて1〜12モル%の範
囲である。
【0028】外側配置領域のヨウ化物レベルは、極薄平
板状粒子の全体の望ましいヨウ化物レベルを達成するの
に必要とされるように調整することができる。したがっ
て、外側配置領域のヨウ化物レベルは、結晶格子のヨウ
化物飽和レベルまでの、またはヨウ化物飽和レベル近傍
の範囲とすることができる。全体の望ましいヨウ化物レ
ベルを達成するのに要する外側配置領域のヨウ化物濃度
のレベルは、中央領域のヨウ化物濃度、並びに中央領域
及び外側配置領域により与えられえる総銀量の相対比率
に、当然のことながら依存する。外側配置領域が20モ
ル%未満のヨウ化物濃度を示すことが一般に好ましい。
MaskaskyIは、8モル%以上のヨウ化物濃度は
銀塩エピタキシーを平板状粒子の端部及びコーナー領域
へ向けることを教示している。したがって、外側配置領
域が少なくとも8モル%のヨウ化物濃度を含む場合はエ
ピタキシーを位置づける利点がある。外側配置領域のヨ
ウ化物レベルが8モル%未満の場合は、外側配置領域の
ヨウ化物は、極薄平板状粒子の端部及び/またはコーナ
ーに、またはその近傍に銀塩エピタキシーを得るための
吸着部位指向体を補足しなければならない。近最高スピ
ード−粒状度の利点は、ヨウ化物濃度レベルを約5モル
%まで下げた外側配置領域において実現することができ
る。
【0029】平板状粒子の中央領域は、好ましくは外側
配置領域のヨウ化物濃度の半分未満を含む。したがっ
て、外側配置領域のヨウ化物濃度レベルが16モル%以
上の場合は、中央領域のヨウ化物濃度は8モル%以下で
あることができ、中央領域及び外側配置領域の両者は極
薄平板状粒子の端部及び/またはコーナーへ銀塩エピタ
キシーを向けるのに十分なヨウ化物を含む。このよう
に、これらの比較的高ヨウ化物濃度極薄平板状粒子につ
いては、吸着せしめた部位配向体は必要とされない。
【0030】しかしながら、本発明の好ましい態様にお
いては、中央領域のヨウ化物濃度は8モル%未満、最も
好ましくは6モル%未満である。8モル%未満の中央領
域のヨウ化物濃度については、部位配向体が好ましく、
そして6モル%未満の中央領域ヨウ化物濃度について
は、粒子の中央領域への銀塩エピタキシャル付着を防止
するために吸着せしめた部位配向体を必要とする。
【0031】中央領域のヨウ化物を最小にすることによ
り得られる利点は、現像中に溶液に放出されるヨウ化物
イオン量が減少することである。現像溶液中のヨウ化物
イオンは現像抑制剤であることはよく知られている。平
板状粒子の中央領域のヨウ化物濃度が低いと、処理中現
像液中に放出されるヨウ化物イオン濃度を低減する。ヨ
ウ化物濃度が低ければ低いほど現像速度を高くすること
ができる。
【0032】極薄平板状粒子の外側配置領域を、その中
央領域より高いヨウ化物濃度にすることにより得られる
一つの利点は、このことが粒状度を増加させることなく
写真スピードを高めることであるが、スピード−粒状度
のこの改良について説明するための一般に受け入れられ
ている理論はない。極薄平板状粒子のそれらのエピタキ
シャル増感部位でヨウ化物濃度を高めると、写真スピー
ドを増加させることがさらに観察されている。本発明を
始めて実施した場合のようにヨウ化物プロフィール及び
銀塩エピタキシーを組み合わせて用いた場合、二つのス
ピード高揚効果がいかに相互反応するかも、あるいは両
量効果がなお機能するのかは正確には分からなかった。
実証されたことは、他の点では同様の乳剤に、銀塩エピ
タキシーかまたはヨウ化物プロフィールの調整のいずれ
かを別々に用いて得ることができたものより優れたスピ
ード−粒状度関係が実現したことである。
【0033】高ヨウ化物濃度外側配置領域の各々は、極
薄平板状粒子の少なくとも端部及びコーナーを形成する
のに十分な銀を含有していなければならない。このこと
を確実に実現するためには、外側配置領域が極薄平板状
粒子を形成する総銀量の少なくとも10%を占めること
が好ましい。極薄平板状粒子は、ヨウ化物濃度が高けれ
ば厚さ成長がより大きくなるので、外側配置領域により
占められる極薄粒子の比率を最小にすることにより、最
低到達可能極薄平板状粒子厚さを実現することが好まし
い。一方、0.07μmの平板状粒子厚さは、外側配置
領域が全平板状粒子銀の80%までを占める場合でさえ
保持することができる。8モル%より高いヨウ化物濃度
を有する外側配置領域により占められる極薄粒子の比率
が増加するにつれ、ホスト極薄平板状粒子ノ銀塩エピタ
キシー配向特性が向上する。したがって、中央領域及び
外側配置領域により占められる全極薄平板状粒子の比率
の選択は、広い範囲で変動させ且つ最適化して、選ばれ
た写真用途の特定の要件を満たすことができる。
【0034】先の検討は、すべての極薄平板状粒子が共
−沈殿されそれ故にすべてが同一のヨウ化物プロフィー
ル調整に付されているとの仮定に基づく。しかしなが
ら、望ましい写真特性を満足させる最終乳剤組成に到達
するために、別個に沈殿させた乳剤を配合することは当
該技術分野において普通に行われることである。したが
って、最終乳剤を形成する平板状粒子は、全体的に基準
(a)〜(e)を満足するであろうが、平板状粒子の一
部のみが、先に検討したヨウ化物プロフィール特性を有
することが必要である。先に検討したヨウ化物プロフィ
ール特性を示す平板状粒子が、写真特性の全体的な改良
を行うのに十分な濃度で存在することが必要であるに過
ぎない。例えば、実質的に均一の沃化物濃度を含む極薄
平板状粒子は、望ましい場合は、前記のヨウ化物プロフ
ィールを含む、別個に沈殿した極薄平板状粒子と配合す
ることができる。ヨウ化物プロフィールを満足する平板
状粒子が全粒子投影面積の50%を超える割合を占める
ことが好ましい。当然のことながら、本発明の要件を満
足するヨウ化物プロフィールを示す一種またはそれ以上
の極薄平板状粒子乳剤を、必要に応じて配合することが
できる。
【0035】本発明の乳剤の平板状粒子は、総粒子投影
面積の90%を超える割合を占める。平板状粒子が総粒
子投影面積の97%を超える割合を占める極薄平板状粒
子乳剤は、Antoniades等により教示される調
製法により製造でき且つ好ましい。Antoniade
s等は、総粒子投影面積の実質的に全て(例えば、最大
99.8%)が平板状粒子により占められている乳剤を
報告している。同様に、Deltonは、極薄平板状粒
子乳剤を形成する際に沈殿する粒子の「実質的に全て」
が平板状であったことを報告している。平板状粒子が総
粒子投影面積の高い割合を占める乳剤を提供すること
は、特に多層カラー写真フィルムにおける最大達成可能
像鮮鋭度レベルを達成するために重要である。また、銀
を効率的に利用すること及び最も望ましいスピード−粒
状度関係を達成することも重要である。
【0036】総粒子投影面積の90%を超える割合を占
める平板状粒子は、平均ECDが少なくとも0.7μm
である。平均ECDを少なくとも0.7μmに維持する
ことにより実現される利点は、Antoniades等
の表III及びIVに示されている。極めて大きな平均
粒子ECDを有する乳剤は科学的粒子研究用に調製され
ることがあるが、写真用途の場合、ECDは通常10μ
m未満であり、ほとんどの場合5μm未満である。中位
〜高位の像構造品質に関する最適ECD範囲は、1〜4
μmの範囲である。
【0037】本発明の極薄平板状粒子乳剤において、総
粒子投影面積の90%を超える割合を占める平板状粒子
は平均厚さが0.07μm未満である。平均粒子厚さ
0.07μmで、スペクトルの緑色領域及び赤色領域間
における反射率の変動がほとんどない。さらに、平均粒
子厚さ0.08〜0.20μm範囲を有する平板状粒子
乳剤と比較して、マイナスブルー反射率と青色反射率と
の間の差は大きくない。可視領域における露光波長から
の反射率の大きさのデカップリングにより、緑色及び赤
色記録乳剤(及びより低程度青色記録乳剤)が同一もし
くは類似の平板状粒子乳剤を用いて構成できる点でフィ
ルム構成が簡略化される。もし平板状粒子の平均厚さを
さらに0.07μm未満に薄くするならば、可視スペク
トル内で観察される平均反射率も減少する。従って、平
均粒子厚さを0.05μm未満に維持することが好まし
い。一般的に、沈殿法によって都合よく実現される最小
平均平板状粒子厚さが好ましい。このようにして、平均
平板状粒子厚さが約0.03〜0.05μmの範囲であ
る極薄平板状粒子乳剤が容易に実現される。米国特許第
4,672,027号明細書(Daubendiek
等)は、平均平板状粒子厚さ0.017μmを報告して
いる。Antoniades等により教示されている粒
子成長法を利用して、これらの乳剤を、認められるほど
の厚さの増加がなく、例えば、平均厚さ0.02μm未
満を維持しながら平均ECDを少なくとも0.7μmま
で成長できる。平板状粒子の最小厚さは、沈殿中粒子に
形成される最初の2つの平行双晶面の間隔により限定さ
れる。0.002μm(即ち、2nmもしくは20オン
グストローム)の小さな最小双晶面間隔がAntoni
ades等の乳剤において観察されたが、Kofron
等は、実用最小平板状粒子厚さ約0.01μmを示唆し
ている。
【0038】平板状粒子乳剤の平均平板状粒子厚さが
0.04μm以下である場合、写真感度(スピード)対
バックグラウンド放射線に対する感度の比が増加する。
この関係は、平板状粒子が0.04μmよりも厚いとき
実現されるものより優れていることが分かった。バック
グラウンド放射線に対するこれらの平板状粒子乳剤の相
対的に低い感度は、より厚い平板状粒子を含む平板状粒
子乳剤を用いる同じスピードの写真要素と比較して、よ
り長い貯蔵寿命を有する写真要素を提供する。
【0039】好ましい極薄平板状粒子乳剤は、粒子間の
変動が低レベルに保持されるものである。Antoni
ades等は、平板状粒子の90%を超える部分が六角
主面を有する極薄平板状粒子乳剤を報告している。ま
た、Antoniadesは、ECDに対する変動係数
(COV)が25%未満及び20%未満の場合もある極
薄平板状粒子乳剤も報告している。
【0040】写真感度及び粒状度が平均粒子ECDの増
加とともに増加することが認めれる。異なる粒子ECD
を有する最適増感乳剤のスピードと粒状度の比較から、
当該技術分野では、スピードが2倍(即ち、スピードで
0.3logE増加する、ここでEは露光量(ルックス
−秒)である)増加するごとに、同じスピード−粒状度
関係を示す乳剤の粒状度が7粒状度単位増加することが
立証されている。
【0041】本発明の極薄平板状粒子乳剤では、より大
きなECD粒子が小さな割合でも存在すると、乳剤の粒
状度が顕著に増加することが観察された。Antoni
ades等は、COVを制限すると存在する平板状粒子
ECDが必ず平均値に近くなるので、低COV乳剤を好
ましいものとした。本発明によれば、COVは乳剤の粒
状度を判断する上での最良の手法ではない。低乳剤CO
V値を必要とすると、平均粒子ECDよりも大きい粒子
集団と小さい粒子集団の両方が制限されるのに対して、
粒状度を高レベルにするのは前者の粒子集団のみであ
る。当該技術での全体COV測定値の信頼性は、粒度−
頻度分布(分散が広いか狭いかどうか)が、沈殿法に固
有の且つ容易に制御できない正規誤差関数分布であると
の仮定に基づいている。
【0042】Antoniades等により教示される
極薄平板状粒子沈殿法を変更して、乳剤の平均ECDよ
りも大きなECDを示す極薄平板状粒子の粒度−頻度分
布を選択的に小さくすることが具体的に意図される。平
均値よりも小さいECDを有する粒子の粒度−頻度分布
は対応して小さくならないので、全体COV値は認知で
きるほどには減少しない。乳剤粒状度を小さくする利点
は明確に立証されている。
【0043】平均ECDよりも大きい極薄平板状粒子
(以下、「>平均ECD粒子」と称する)の粒度−頻度
分布における不均化サイズ範囲の減少は、以下の方法で
極薄平板状粒子乳剤の沈殿法を変更することにより実現
できることが判明した。即ち、極薄平板状粒子の核形成
を天然メチオニン含量を減少させる処理をしていないゼ
ラチン状解こう剤を用いて行う一方、存在するゼラチン
状解こう剤及び後で導入したゼラチン状解こう剤のメチ
オニン分を実質的に除去した後に粒子成長を行う。これ
を達成するのに都合のよい手法は、核形成後でメチオニ
ン酸化剤を導入するに十分な程度に成長が進行す前に沈
殿を中断することである。
【0044】ゼラチン状解こう剤のメチオニンを酸化す
るための従来の手法のいずれをも用いることができる。
米国特許第4,713,320(Maskasky)
(以下、「MaskaskyII」と称する)は、酸化
によりメチオニンレベルを、ゼラチン1グラム当たり3
0μモル未満、好ましくは、強力な酸化剤を用いること
により12μモル未満に減少させることを教示してい
る。事実、MaskaskyIIが用いる酸化剤処理に
より、メチオニンが検出限界未満に減少する。ゼラチン
状解こう剤中のメチオニンを酸化するために用いられる
薬剤としては、例えば、NaOCl、クロラミン、一過
硫酸カリウム、過酸化水素及び過酸化物放出化合物並び
にオゾンが挙げられる。米国特許第4,942,120
号明細書(King等)は、ゼラチン状解こう剤のメチ
オニン成分をアルキル化剤で酸化することを教示してい
る。ヨーロッパ特許出願第0434012号明細書(T
akada等)は、次式のうちの一つで表されるチオス
ルホネートの存在下での沈殿を開示している: (I) R−SO2 S−M (II) R−SO2 S−R1 (III) R−SO2 S−Lm−SSO2 −R2 (式中、R、R1 及びR2 は同一もしくは異なり、脂肪
族基、芳香族基もしくは複素環式基であり、Mはカチオ
ンであり、Lは二価の結合基であり、そしてmは0もし
くは1であるが、但しR、R1 、R2 及びLは結合して
環を形成する)。ゼラチン状解こう剤には、ゼラチン、
例えば、アルカリ処理ゼラチン(家畜、骨もしくは皮ゼ
ラチン)もしくは酸処理ゼラチン(豚の皮ゼラチン)及
びゼラチン誘導体、例えば、アセチル化もしくはフタル
化ゼラチンが含まれる。
【0045】本発明の実施には必須ではないが、記載さ
れている利点と適合する写真性能の向上は、極薄平板状
粒子にドーパントを配合することにより実現できる。本
明細書で用いられる用語「ドーパント」は、極薄平板状
粒子を形成するハロゲン化銀の面心立方結晶格子構造内
に含有される銀もしくはハロゲン化物イオン以外の物質
を意味する。ドーパントの導入は、高濃度での導入及び
/もしくは粒子核形成前、核形成中若しくは核形成直後
の導入される場合、沈殿中の極薄平板状粒子の厚み増加
に寄与するが、極薄平板状粒子は、本明細書の実施例で
示すように、ドーパントを粒子成長中に存在させて形成
できる。この際、ドーパントの導入は、粒子核形成後ま
で遅延させ、粒子成長の初期に割当の量導入し、好まし
くはそのまま継続するか、極薄平板状粒子成長の後段階
全体を通じて行う。また、これらの同じドーパントは、
極薄平板状粒子の厚みの増加をを完全に回避しながら、
極薄平板状粒子にエピタキシー付着する銀塩とともに導
入できることも判明した。
【0046】ハロゲン化銀面心立方結晶格子構造に有用
であることが知られている通常のドーパントはいずれも
用いることができる。元素の周期律表内の広範囲の周期
及び族から選択される写真学的に有用なドーパントが報
告されている。本明細書で用いられる周期及び族は、A
merican Chemical Societyに
より採用され、Chemical and Engin
eering News、1985年2月4日、第26
頁に公表されている元素の周期表に基づいている。通常
のドーパントには、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、P
d、Re、Os、Ir、Pt、Mg、Al、Ca、S
c、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、
As、Se、Sr、Y、Mo、Zr、Nb、Cd、I
n、Sn、Sb、Ba、La、W、Au、Hg、Tl、
Pb、Bi、Ce及びU等の元素の周期表の第3〜7周
期(最も一般的には第4〜6周期)からのイオンが含ま
れる。ドーパントは、(a)感度の増加、(b)高もし
くは低照度相反則不軌の減少、(c)コントラストの変
動の増加、低下もしくは減少、(d)圧力感受性の減
少、(e)色素減感の減少、(f)安定性(熱不安定性
の減少を含む)の増加、(g)最小濃度の減少及び/も
しくは(h)最大濃度の増加に用いることができる。あ
る種の用途では、いずれの多価金属イオンも効果的であ
る。以下に、ハロゲン化銀エピタキシーで組み込んだと
きに上記の効果の一つ以上を生じることができる通常の
ドーパントの例を示す:B.H.Carroll、「I
ridiumSensitization: A Li
terature Review」、Photogra
phic Science and Engineer
ing、第24巻、第6号、1980年11/12月、
第265〜267頁;米国特許第1,951,933号
明細書(Hochstetter);米国特許第2,6
28,167号明細書(De Witt);米国特許第
3,687,676号明細書(Spence等)及び米
国特許第3,761,267号明細書(Gilman
等);米国特許第3,890,154号明細書(Ohk
ubo等);米国特許第3,901,711号明細書
(Iwaosa等);米国特許第3,901,713号
明細書(Yamasue等);米国特許第4,173,
483号明細書(Habu等);米国特許第4,26
9,927号明細書(Atwell);米国特許第4,
413,055号明細書(Weyde);米国特許第
4,477,561号明細書(Menjo等);米国特
許第4,581,327号明細書(Habu等);米国
特許第4,643,965号明細書(Kobuta
等);米国特許第4,806,462号明細書(Yam
ashita等);米国特許第4,828,962号明
細書(Grzeskowiak等);米国特許第4,8
35,093号明細書(Janusonsis);米国
特許第4,902,611号明細書(Leubner
等);米国特許第4,981,780号明細書(井上
等);米国特許第4,997,751号明細書(Ki
m);米国特許第5,057,402号明細書(Shi
ba等);米国特許第5,134,060号明細書(M
aekawa等);米国特許第5,153,110号明
細書(Kawai等);米国特許第5,164,292
号明細書(Johnson等);米国特許第5,16
6,044号明細書及び第5,204,234号明細書
(Asami);米国特許第5,166,045号明細
書(Wu);米国特許第5,229,263号明細書
(Yoshida等);米国特許第5,252,451
号明細書及び第5,252,530号明細書(Bel
l);EPO第0244184号明細書(Komori
ta等);EPO第0488737号明細書及び第04
88601号明細書(Miyoshi等);EPO第0
368304号明細書(Ihama等);EPO第04
05938号明細書(Tashiro);EPO第05
09674号明細書及び0563946号明細書(Mu
rakami等)及び特願平2−249588号明細書
及びWO第93/02390号明細書(Budz)。
【0047】ドーパント金属が沈殿中に配位錯体、特に
テトラ−及びヘキサ−配位錯体の形で存在するときに、
金属イオンと配位リガンドの両方を粒子内に吸蔵でき
る。米国特許第4,847,191号明細書(Grze
skowiak)、米国特許第4,933,272号明
細書、第4,981,781号明細書及び第5,03
7,732号明細書(McDugle等)、米国特許第
4,937,180号明細書(Marchetti
等)、米国特許第4,945,035号明細書(Kee
vert等)、米国特許第5,112,732号明細書
(Hayashi)、EPO第0509674号明細書
(Murakami等)、EPO第0513738号明
細書(Ohya等)、WO第91/10166号明細書
(Janusonis)、WO第92/16876号明
細書(Beavers)、ドイツ国DD第298,32
0号明細書(Pietsch等)により示されているよ
うに、ハロ、アクオ、シアノ、シアネート、フルミネー
ト、チオシアネート、セレノシアネート、テルロシアネ
ート、ニトロシル、チオニトロシル、アジド、オキソ、
カルボニル及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)リ
ガンドが開示され、ある場合には、リガンドによる乳剤
特性の改良が認められる。米国特許第5,360,71
2号明細書(Olm等)は、有機リガンド含有ヘキサ配
位錯体を開示し、一方、米国特許第4,092,171
号明細書(Bigelow)は、Pt及びPdテトラ配
位錯体における有機リガンドを開示している。
【0048】極薄平板状粒子にドーパントを組み込んで
相反則不軌を減少させることが具体的に意図される。イ
リジウムは、相反則不軌を減少するのに好ましいドーパ
ントである。Carroll、Iwaosa等、Hab
u等、Grzeskowiak等、Kim、Maeka
wa等、Johnson等、Asami、Yoshid
a等、Bell、Miyoshi等、Tashiroの
教示及びEPO第0509674号明細書(Murak
ami等)の教示が代表的である。これらの教示は、ハ
ロゲン化銀沈殿中に単にドーパントを組み込むことによ
り本発明の乳剤に適用できる。
【0049】本発明の別の具体的に好ましい態様では、
極薄平板状粒子の面心立方結晶格子に、浅い電子トラッ
プを形成することにより写真スピードを増加できるドー
パントを組み込むことが意図される。光子がハロゲン化
銀粒子により吸収されるとき、電子(以下、「光電子」
と称する)が、ハロゲン化銀結晶格子の価電子帯からそ
の伝導帯に昇格されて、価電子帯にホール(以下、「フ
ォトホール」と称する)が生じる。粒子内に潜像部位を
生じさせるには、単一像様露光において生成した複数の
光電子が結晶格子においていくつかの銀イオンを還元さ
せてAg0 原子の小クラスターを形成しなければならな
い。潜像が形成できる前の機構を競争させることにより
光電子が散逸される程度まで、ハロゲン化銀粒子の写真
感度を減少させる。例えば、もし光電子がフォトホール
に戻るならば、そのエネルギーは潜像形成に寄与するこ
となく散逸される。
【0050】ハロゲン化銀をドープして、より効率的に
光電子を潜像形成に利用するのに寄与する浅い電子トラ
ップをその内部に生じさせることが考えられる。これ
は、面心立方結晶格子に、結晶格子において置換するイ
オン(単一もしくは複数)の正味原子価よりもより正で
ある正味原子価を示すドーパントを組み込むことにより
達成される。例えば、可能な最も単純な形態では、ドー
パントは結晶格子構造において銀イオン(Ag+ )と置
換する多価(+2〜+5)金属イオンであることができ
る。例えば一価Ag+ カチオンが二価カチオンで置換さ
れると、局部正味陽電荷を有する結晶格子が残る。これ
により、伝導帯のエネルギーが局部的に低下する。伝導
帯の局部エネルギーが低下する量は、J.F.Hami
lton、Advances in Physics、
第37巻(1988年)、第395頁及びExcito
nic Processes in Solids、
M.Ueta、H.Kanazaki、K.Kobay
asi、Y.Toyozawa及びE.Hanamur
a、(1986年)、ベルリンにあるSpringer
−Verlag社発行、第359頁に記載されているよ
うな有効質量近似を適用することにより推測できる。も
し塩化銀結晶格子構造がドーピングにより+1の正味陽
電荷を受け取るならば、その伝導帯のエネルギーはドー
パント付近において約0.048電子ボルト(eV)低
下する。正味陽電荷が+2の場合、シフトは約0.19
2eVである。臭化銀結晶格子構造の場合、ドーピング
により付与された正味陽電荷+1により、伝導帯エネル
ギーが局部的に約0.026eV低下する。正味陽電荷
が+2の場合、エネルギーの低下は、約0.104eV
である。
【0051】光の吸収により光電子が生成されると、そ
の光電子はドーパント部位で正味陽電荷によって引き寄
せられ、ドーパント部位に伝導帯エネルギーの局部減少
に等しい結合エネルギーで一時的に保持(即ち、結合も
しくは捕捉)される。より低エネルギーへの伝導帯の局
部的なたわみを生じさせるドーパントは、光電子をドー
パント部位に保持(トラップ)する結合エネルギーが電
子をドーパント部位に永久的に保持するには不十分であ
るので、「浅い電子トラップ」と称される。それにもか
かわらず、浅い電子トラップ部位は有用である。例え
ば、高照度露光により発生させた非常に多くの光電子
を、一時的に浅い電子トラップに保持されて直ぐに散逸
しないようにすることができ、同時に一定時間にわたっ
て潜像形成部位に効率的に移動できるようにする。
【0052】ドーパントが浅い電子トラップを形成する
のに有用であるためには、単に結晶格子において置換す
るイオン(単一もしくは複数)の正味原子価よりもより
正である正味原子価を提供すること以上のさらなる基準
を満足しなければならない。ドーパントがハロゲン化銀
結晶格子に組み込まれると、ハロゲン化銀価電子と伝導
帯からなるエネルギーレベルもしくは軌道の他に、ドー
パントの付近に新規な電子エネルギーレベル(軌道)が
形成される。ドーパントが浅い電子トラップとして有用
であるためには、これらの追加の基準を満足しなければ
ならない: (1)その最高エネルギー電子被占分子軌道(Highest
energy electron occupied molecular orbital:HOM
O;一般的に「フロンティア軌道」とも呼ばれる)が、
満たされていなければならない。例えば、軌道が2つの
電子(最高可能数)を保持しようとすれば、1つではな
く2つの電子を含有しなければならない。 (2)その最低エネルギー非被占分子軌道(Lowest ene
rgy unoccupied molecular orbital :LUMO)は、
ハロゲン化銀結晶格子の最低エネルギーレベル伝導帯よ
りも高いエネルギーレベルでなければならない。もし条
件(1)及び/もしくは(2)が満足されないならば、
局部ドーパント誘発伝導帯最小エネルギーよりも低いエ
ネルギーで、結晶格子(未充満HOMOもしくはLUM
O)に局部ドーパント由来軌道があり、光電子が優先的
にこの低エネルギー部位で保持されることにより光電子
の潜像形成部位への効率的な移動が妨げられる。
【0053】基準(1)及び(2)を満足する金属イオ
ンは以下の通りである:原子価+2の第2族金属イオ
ン、原子価+3の第3族金属イオン(但し、基準(1)
を満足しない希土類元素58〜71を除く)、原子価+
2の第12族金属イオン(Hg + 1 に自然に戻るためと
思われる強力な減感剤であるHgを除く)、原子価+3
の第13族金属イオン、原子価+2もしくは+4である
第14族金属イオン及び原子価+3もしくは+5である
第15族金属イオン。基準(1)及び(2)を満足する
金属イオンのうち、ドーパントとして組み込むのに実用
的に都合のよい面から好ましいものには、以下の第4、
5及び6周期元素が含まれる:ランタン、亜鉛、カドミ
ウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウ
ム、錫、鉛及びビスマス。浅い電子トラップの形成に使
用される基準(1)及び(2)を満足するとりわけ好ま
しい金属イオンドーパントは、亜鉛、カドミウム、イン
ジウム、鉛及びビスマスである。これらの種類の浅い電
子トラップドーパントの具体例は、上記したDeWit
t、Gilman等、Atwell等、Weyde等及
びEPO第0590674号明細書及び第056394
6号明細書(Murakami等)に記載されている。
【0054】そのフロンティア軌道を充満し、それによ
り基準(1)を満足する第8族、9族及び10族の金属
イオン(以下、一緒にして「第VIII族金属イオン
類」と称する)についても検討を行った。これらは、原
子価+2の第8族金属イオン、原子価+3の第9族金属
イオン及び原子価+4の第10族金属イオンである。こ
れらの金属イオンは、裸金属イオンドーパントとして組
み込むと、有効な浅い電子トラップを形成できないこと
が分かった。これは、LUMOがハロゲン化銀結晶格子
の最低エネルギーレベル伝導帯より低いエネルギーレベ
ルにあることに起因している。
【0055】しかしながら、これらの第VIII族金属
イオン類だけでなくGa+ 3 及びIn+ 3 の配位錯体も
ドーパントとして用いると、有効な浅い電子トラップを
形成できる。金属イオンのフロンティア軌道が充満され
ている要件は、基準(1)を満足する。満足すべき基準
(2)については、配位錯体を形成するリガンドの少な
くとも一つが、ハロゲン化物よりも電子求引性が強くな
ければならない(即ち、最も電子求引性が高いハロゲン
化物イオンであるフッ化物イオンよりもより電子求引性
でなければならない)。
【0056】電子求引特性を評価する一つの一般的な方
法は、Inorganic Chemistry:Pr
inciples of Structure and
Reactivity、James E.Huhee
y、1972年、Harper及びRow、ニューヨー
ク並びにAbsorption Spectra an
d Chemical Bonding in Com
plexes、C.K.Jorgensen、1962
年、Pergamon Press、ロンドン、におい
て言及されている溶液での金属イオン錯体の吸収スペク
トルから得たリガンドの分光化学系列を参照することで
ある。これらの文献から明らかなように、分光化学系列
におけるリガンドの順序は、以下の通りである: I- <Br- <S- 2CN- <Cl- <NO3 - <F- H <ox- 2 <H2 CS- <CH3 - 3 <en<dipy <phen<2 - <phosph<<- O。
【0057】使用される略語は、次の通りである:ox
=オキサレート、dipy=ジピリジン、phen=o
−フェナトロリン、及びphosph=4−メチル−
2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ〔2.
2.2〕オクタン。分光化学系列は、リガンドが電子求
引性の順序となっており、系列における最初(I- )の
リガンドは最も電子求引性が小さく、最後(CO)のリ
ガンドは最も電子求引性が大きい。下線は、多価金属イ
オンへのリガンドの結合部位を示している。ドーパント
錯体のLUMO値を上昇させるリガンドの能力は、金属
に結合するリガンド原子がClから、S、O、N、Cの
順序で変化するにつれて増加する。従って、リガンド
- 及びOがとりわけ好ましい。他の好ましいリガン
ドは、チオシアネート(CS- )、セレノシアネート
CSe- )、シアネート(CO- )、テルロシア
ネート(CTe- )及びアジド(N3 - )である。
【0058】ちょうど分光化学系列が配位錯体のリガン
ドに適用できるように、金属イオンにも適用できる。以
下の金属イオンの分光化学系列が、Absorptio
nSpectra and Chemical Bon
ding、C.K.Jorgensen、1962年、
Pergamon Press、Londonに報告さ
れている: Mn+ 2 <Ni+ 2 <Co+ 2Fe+ 2 <Cr+ 3 、 V+ 3 (Cr+ 3 とほぼ同じ)<Co+ 3 <Mn+ 4 <Mo+ 3Rh+ 3 、Ru+ 3 (Rh+ 3 とほぼ同じ)<Pd+ 4 Ir+ 3 Pt+ 4 下線をつけた金属イオンは、上記のフロンティア軌道要
件(1)を満足する。これにはドーパントとして配位錯
体に使用することを具体的に意図する全ての金属イオン
は含まれていないが、分光化学系列における残りの金属
の位置は、元素の周期表におけるイオンの位置が、第4
周期から、第5周期、第6周期へと増加するにつれて、
系列におけるイオンの位置が最も電気的陰性が小さい金
属Mn+ 2から最も電気的陰性が大きい金属Pt+ 4
方向にシフトしていることから確認できる。即ち、第6
周期イオンであるOs+ 3 は、第5周期で最も電気的陰
性であるイオンPd+ 4 よりも電気的陰性であるが、第
6周期で最も電気的陰性が小さいイオンPt+ 4 よりも
電気的陰性が小さい。
【0059】上記説明から、Rh+ 3 、Ru+ 3 、Pd
+ 4 、Ir+ 3 、Os+ 3 及びPt + 4 は、明らかに上
記フロンティア軌道要件(1)を満足する最も電気的陰
性が大きい金属イオンであるので具体的に好ましい金属
イオンである。上記基準(2)のLUMO要件を満足す
るために、第VIII族の充満フロンティア軌道多価金
属イオンをリガンド含有配位錯体に取り込む。これらの
うち少なくとも一つ、最も好ましくは少なくとも3つ、
最適には少なくとも4つがハロゲン化物よりも電気的陰
性であり、残りのリガンド(単一もしくは複数)がハロ
ゲン化物リガンドである。Os+ 3 等の金属イオンがそ
れ自体非常に電気的陰性であるときには、例えばカルボ
ニル等の単一の電気的陰性の大きいリガンドのみがLU
MO要件を満足することが要求される。もし金属イオン
それ自体がFe+ 2 等のように比較的電気的陰性度が低
いならば、リガンドの全てが高い電気的陰性であるもの
を選択することが、LUMO要件を満足するために必要
である。例えば、Fe(II)(CN)6 は、具体的に
好ましい浅い電子トラップドーパントである。実際に、
シアノリガンド6個を含有する配位錯体は、一般的に都
合のよい好ましい種類の浅い電子トラップドーパントの
代表例である。
【0060】Ga+ 3 及びIn+ 3 は裸金属イオンとし
てHOMO及びLUMO要件を満足することができるの
で、配位錯体に取り込まれるとき、電気的陰性度がハロ
ゲン化物イオンから第VIII族金属イオン類配位錯体
について有用であるもっと電気的陰性であるリガンドに
わたる範囲のリガンドを含有できる。第VIII族金属
イオン類と電気的陰性度が中間レベルであるリガンドの
場合、特定の金属配位錯体がLUMO要件を満足し、従
って、浅い電子トラップとしての役割を果たす金属とリ
ガンド電気的陰性度の適切な組み合わせを含有している
かどうかを容易に決定できる。これは、電子常磁性共鳴
(EPR)分光分析を用いることにより行うことができ
る。この分析技術は、分析法として広く使用され、El
ectron Spin Resonance:A C
omprehensive Treatise on
Experimental Techniques、第
2版、Charles P.Poole、Jr.(19
83年)、Jone Wiley & Sons社、ニ
ューヨークに記載されている。浅い電子トラップにおい
て光電子は、ハロゲン化銀結晶格子の伝導帯エネルギー
レベルにおける光電子について観察されるのと極めて類
似したEPR信号を生じる。浅く捕捉された電子もしく
は伝導帯電子からのEPR信号は、電子EPR信号と称
される。電子EPR信号は、一般的にg因子と呼ばれる
パラメータにより特徴づけられる。EPR信号のg因子
を計算するための方法は、上記C.P.Pooleに記
載されている。ハロゲン化銀結晶格子における電子EP
R信号のg因子は、電子の付近のハロゲン化物イオン
(単一もしくは複数)の種類に依存する。即ち、R.
S.Eachus、M.T.Olm、R.Jane及び
M.C.R.Symons、Physica Stat
us Solidi(b)、第152巻(1989
年)、第583〜592頁により報告されているよう
に、AgCl結晶において電子EPR信号のg因子は
1.88±0.001であり、AgBrにおいて電子E
PR信号のg因子は1.49±0.02である。
【0061】下記で説明する試験乳剤において対応の未
ドープ対照乳剤と比較して電子EPR信号の大きさを少
なくとも20%増強するならば、配位錯体ドーパントは
本発明の実施において浅い電子トラップを形成するのに
有用であると認められる。未ドープ対照乳剤は、米国特
許第4,937,180号明細書(Marchetti
等)の対照1Aについて記載されているように、エッジ
長さが0.45±0.05μmの沈殿された(しかし、
続けては増感はしない)AgBr八面体乳剤である。M
archetti等の実施例1BにおけるOs(CN
64 - の代わりに金属配位錯体を本発明の乳剤におい
て使用することを意図している濃度で使用する以外は、
試験乳剤を同様に調製する。
【0062】沈殿後、各々まず液体乳剤を遠心分離し、
上澄み液を除去し、上澄み液を同量の温蒸留水で置換
し、乳剤を再懸濁することにより電子EPR信号測定の
試験及び対照乳剤を準備をする。この操作を3回反復
し、最終遠心工程後、得られた粉末を空気乾燥する。こ
れらの操作を安全光条件下で行う。EPR試験を、各乳
剤の3種の試料をそれぞれ20、40及び60°Kに冷
却し、各試料を波長365nmの200WHgランプか
らの濾過光に露光し、露光中にEPR電子信号を測定す
ることにより実施する。もし選択された観察温度のいず
れかで、電子EPR信号の強度が、未ドープ対照乳剤に
対してドープ試験乳剤試料において顕著に増加(即ち、
信号ノイズよりも高く測定可能な程度に増加)するなら
ば、このドーパントは浅い電子トラップである。
【0063】上記のように行った試験の具体例として、
一般的に使用される浅い電子トラップドーパントFe
(CN)6 4 - を沈殿中に上記したように銀1モル当た
り50×10- 6 モル濃度のドーパントで添加したと
き、電子EPR信号強度は、20°Kで試験したときの
未ドープ対照乳剤を越える8の因子まで増加した。ヘキ
サ配位錯体は、本発明の実施に使用するのに好ましい配
位錯体である。これらの錯体は、結晶格子において銀イ
オンと6個の隣接するハロゲン化物イオンを置換する金
属イオンと6個のリガンドを含有している。配位部位の
1個もしくは2個は、カルボニル、アクオもしくはアミ
ンリガンド等の中性リガンドにより占有されることがで
きるが、リガンドの残りは、結晶格子構造に配位錯体を
効率的に取り込むのを容易にするためにアニオンでなけ
ればならない。突出部に包含するのに具体的に意図され
るヘキサ配位錯体の実例が、米国特許第5,037,7
32号明細書(McDugle等)、米国特許第4,9
37,180号明細書、第5,264,336号明細書
及び第5,268,264号明細書(Marchett
i等)、米国特許第4,945,035号明細書(Ke
evert等)及び特願平2−249588号明細書
(Murakami等)に記載されている。ヘキサ配位
錯体に有用な中性及びアニオン有機リガンドが、米国特
許第5,360,712号明細書(Olm等)に開示さ
れている。
【0064】慎重な科学的調査により、R.S.Eac
hus、R.E.Graves及びM.T.Olm、
J.Chem.Phys.、第69巻、第4580〜7
頁(1978年)及びPhysica Status
Solidi A、第57巻、第429〜37頁(19
80年)に説明されているように、第VIII族ヘキサ
ハロ配位錯体が深い(減感)電子トラップを形成するこ
とが明らかとなった。
【0065】特定の好ましい態様では、ドーパントとし
て下式を満足するヘキサ配位錯体を使用することが意図
される: (IV) 〔ML6n (式中、Mは充満フロンティア軌道多価金属イオン、好
ましくはFe+ 2 、Ru + 2 、Os+ 2 、Co+ 3 、R
+ 3 、Ir+ 3 、Pd+ 4 もしくはPt+ 4 であり;
6 は独立して選択することができる6個の配位錯体リ
ガンドを表すが、但し、リガンドの少なくとも4個はア
ニオンリガンドであり、リガンドの少なくとも1個(好
ましくは少なくとも3個及び最適には少なくとも4個)
はいずれのハロゲン化物リガンドよりも電気的陰性が高
く;そしてnは−2、−3もしくは−4である。
【0066】浅い電子トラップを提供することができる
ドーパントの具体例を以下に示す: SET−1 〔Fe(CN)6- 4 SET−2 〔Ru(CN)6- 4 SET−3 〔Os(CN)6- 4 SET−4 〔Rh(CN)6- 3 SET−5 〔Ir(CN)6- 3 SET−6 〔Fe(ピラジン)(CN)5- 4 SET−7 〔RuCl(CN)5- 4 SET−8 〔OsBr(CN)5- 4 SET−9 〔RhF(CN)5- 3 SET−10 〔IrBr(CN)5- 3 SET−11 〔FeCO(CN)5- 3 SET−12 〔RuF2 (CN)4- 4 SET−13 〔OsCl2 (CN)4- 4 SET−14 〔RhI2 (CN)4- 3 SET−15 〔IrBr2 (CN)4- 3 SET−16 〔Ru(CN)5 (OCN)〕- 4 SET−17 〔Ru(CN)5 (N3 )〕- 4 SET−18 〔Os(CN)5 (SCN)〕- 4 SET−19 〔Rh(CN)5 (SeCN)〕- 3 SET−20 〔Ir(CN)5 (HOH)〕- 2 SET−21 〔Fe(CN)3 Cl3- 3 SET−22 〔Ru(CO)2 (CN)4- 1 SET−23 〔Os(CN)Cl5- 4 SET−24 〔Co(CN)6- 3 SET−25 〔Ir(CN)4 (オキサレート)〕- 3 SET−26 〔In(NCS)6- 3 SET−27 〔Ga(NCS)6- 3 さらに、米国特許第5,024,931号明細書(Ev
ans等)に教示されているように、オリゴマー配位錯
体を用いてスピード増加することも意図される。
【0067】ドーパントは、通常の濃度(ここで、濃度
は、平板状粒子における銀及び突起部における銀の両方
を含めた総銀を基準とした濃度である)で効果がある。
一般的に、浅い電子トラップ形成ドーパントを、銀1モ
ル当たり少なくとも1×10 - 6 モル〜溶解限界(典型
的には銀1モル当たり約5×10- 4 モル以下の濃度)
で取り込むことが意図される。好ましい濃度は、銀1モ
ル当たり約10- 5 〜10- 4 モルの範囲である。勿
論、一部分を極薄平板状粒子に取り込み、残部をハロゲ
ン化銀突起部に取り込むようにドーパントを分布させる
ことができる。
【0068】好ましい化学的及び分光増感が、Mask
askyIに記載されているが、具体的に以下で説明す
るように変更できる。MaskaskyIは、銀塩をホ
スト平板状粒子の表面の選択された部位にエピタキシャ
ル付着することによる増感の向上を報告している。Ma
skaskyIは、観察されるスピードの増加は銀塩の
エピタキシャル付着をホスト平板状粒子表面積の小部分
に制限したためとしている。即ち、MaskaskyI
は、銀塩のエピタキシーをホスト粒子表面積の25%未
満、好ましくは10%未満、最適には5%未満に制限す
ることを教示している。MaskaskyIは、銀エピ
タキシーを平板状粒子の端部及び/またはコーナー領域
でまたはその近傍領域に限定すると近最適写真感度が得
られることを認めており、コーナーエピタキシーが端部
エピタキシーより好ましい。
【0069】本発明の実施において、付与される更なる
スピード−粒状度の利点は、外側配置領域により形成さ
れるホスト平板状粒子の表面上に選択的付着する銀塩エ
ピタキシーに寄るものであると信じられている。換言す
れば、更なるスピード−粒状度関係の高揚は、エピタキ
シャル接点に高ヨウ化物濃度を存在せしめたことにより
付与されると信じられている。更に、すでに述べたMa
skaskyIにより教示される銀塩エピタキシー付着
についての利点は、外側配置領域の高ヨウ化物濃度と組
合わさって作用して、最高到達可能スピード−粒状度関
係が得られると信じられている。したがって、極薄平板
状粒子の外側配置領域により形成される端部及び/また
はコーナーへとエピタキシーを限定すると、スピード−
粒状度改良を実現するための特に好ましい構造が得られ
る。
【0070】MaskaskyIのように、「公称量」
の銀塩エピタキシー(総銀(ホスト及びエピタキシーに
おける銀を含む)に対して0.05モル%と低い)が、
本発明の実施に有効である。上記で説明した銀塩エピタ
キシーによるホスト平板状粒子表面部被覆量の増加と極
薄平板状粒子中の銀量の低下により、銀塩エピタキシー
に存在する総銀の割合をより高めることができる。しか
しながら、銀塩エピタキシーの割合を増加することによ
り得られる明確な利点がない場合、銀塩エピタキシーを
総銀の50%までに限定することが好ましい。一般的
に、0.3〜25モル%の銀塩エピタキシー濃度が好ま
しく、濃度約0.5〜15モル%が一般的に増感に最適
である。
【0071】MaskaskyIは、本発明の乳剤の形
成に適用できる銀塩エピタキシーによるホスト平板状粒
子の表面部被覆を制限するための種々の手法を教示して
いる。MaskaskyIは、銀塩エピタキシーを平板
状粒子のエッジもしくはコーナーの方向に向けることが
できる平板状粒子表面へ吸着した凝集形態で、分光増感
色素を用いることを教示している。J−凝集形態でホス
ト極薄平板状粒子表面へ吸着したシアニン色素は、具体
的に好ましい種類の部位指向体を構成する。また、Ma
skaskyIは、アミノアザインデン類(例えば、ア
デニン)等の非色素吸着部位指向体を用いて、エピタキ
シーを平板状粒子のエッジもしくはコーナーに向けるこ
とも教示している。さらに別の態様では、Maskas
kyIは、ホスト平板状粒子内の総ヨウ化物レベルを少
なくとも8モル%として、エピタキシーを平板状粒子の
エッジもしくはコーナーに向けている。さらに別の態様
では、MaskaskyIは、低レベルのヨウ化物をホ
スト平板状粒子の表面に吸着して、エピタキシーを粒子
のエッジ及び/もしくはコーナーに向けている。上記の
部位指示技法は、相互に互換性があり、本発明の具体的
に好ましい態様では組み合わせて用いられる。例えば、
ホスト粒子におけるヨウ化物は、たとえ単独でエピタキ
シーをホスト平板状粒子のエッジもしくはコーナーに向
けることができる8モル%のレベルに達しないとして
も、エピタキシーの位置決定において吸着表面部位指向
体(単一もしくは複数)(例えば、分光増感色素及び/
もしくは吸着ヨウ化物)とともに有効に作用することが
できる。
【0072】極薄平板状粒子の構造的崩壊を回避するた
めに、銀塩エピタキシーは、総溶解度が極薄ホスト平板
状粒子を形成するハロゲン化銀(単一もしくは複数)の
総溶解度よりも高いことが一般的に好ましい。混合ハロ
ゲン化銀の総溶解度は、個々のハロゲン化銀の溶解度の
モル分率荷重平均である。これが、極薄平板状粒子にお
いて、臭化物を銀に対して少なくとも70モル%必要と
する一つの理由である。個々のハロゲン化銀の溶解度の
差が大きいので、ホスト平板状粒子のヨウ化物含量は、
圧倒的大多数の例において、銀塩エピタキシーのヨウ化
物含量と同等かそれよりも高い。塩化銀が、ホスト極薄
平板状粒子へのエピタキシャル付着にとって具体的に好
ましい銀塩である。塩化銀は、臭化銀のように、面心立
方格子構造を形成するので、エピタキシャル付着を容易
にする。しかしながら、二種のハロゲン化物により形成
される格子の間隔に差があり、この差により、写真感度
の増加に少なくとも大きく寄与する原因と思われるエピ
タキシー接合が形成される。極薄平板状粒子の構造的一
体性を保持するために、エピタキシャル付着は、極薄平
板状粒子を形成するハロゲン化物の溶解性を制限する条
件下で行われるのが好ましい。例えば、60°Cでの臭
化銀の最小溶解度は、pBr3〜5で生じ、pBr値が
約2.5〜6.5の範囲では低臭化銀溶解度を提供す
る。それにもかかわらず、わずかの程度、銀塩エピタキ
シーにおけるハロゲン化物が、ホスト極薄平板状粒子か
らのものであることが意図される。即ち、少量の臭化物
及び場合によってはヨウ化物を含有する塩化銀エピタキ
シーが具体的に意図される。
【0073】塩臭化銀ホスト平板状粒子への臭化銀エピ
タキシーが、MaskaskyIにより、溶解性の小さ
いハロゲン化銀を溶解性のより大きいホストにエピタキ
シャル付着させる一例として示されており、従って、好
ましい構成ではないが本発明の意図する範囲内である。
MaskaskyIは、ホスト平板状粒子へのチオシア
ン酸銀のエピタキシャル付着を開示している。塩化銀の
ように、チオシアン酸銀エピタキシーは、少量の塩化物
及び/もしくはヨウ化物の存在又は不存在で臭化銀より
も顕著に高い溶解度を示す。チオシアン酸銀の利点は、
ホスト極薄平板状粒子のエッジ及び/もしくはコーナー
に又はその付近に選択的に付着させるのに別個の部位指
向体を必要としないことにある。米国特許第4,47
1,050号明細書(Maskasky)(以下、「M
askaskyIII」と称する)は、面心立方結晶格
子ホスト平板状粒子上にエピタキシャル付着できる種々
の非同形銀塩の中からチオシアン酸銀を挙げている。本
発明の実施においてエピタキシー銀塩として使用できる
自己指向非同形銀塩の他の例には、β相ヨウ化銀、γ相
ヨウ化銀、リン酸銀(メタ−及びピロ−リン酸銀を含
む)及び炭酸銀がある。
【0074】ホスト平板状粒子への銀塩エピタキシーの
選択的部位付着により、像様露光での光子吸収により放
出された伝導帯電子に関する増感部位競争が減少され、
よって感度が向上することが一般的に言われている。即
ち、極薄平板状粒子の主面の限定された部分へのエピタ
キシーは、主面の全部もしくはほとんどを覆うエピタキ
シーよりも効率的であり、さらに好ましいのは、ホスト
極薄平板状粒子のエッジに実質的に制限され、且つ主面
への被覆量が限定されるエピタキシーであり、さらに効
率的なのは、平板状粒子のコーナーにかもしくはその付
近もしくは他の別個の部位に制限されるエピタキシーで
ある。ホスト極薄平板状粒子それ自体の主面のコーナー
の間隔は、光電子競争をほぼ最大感度が実現できる程度
に十分減少させる。MaskaskyIは、エピタキシ
ャル付着速度をゆっくりすることにより、ホスト平板状
粒子へのエピタキシャル付着部位の数を減少できると教
示する。米国特許第5,011,767号明細書(Ya
mashita等)は、これをさらに進め、特定の分光
増感色素とホスト粒子1個当たり1個のエピタキシー接
合を形成するための条件を示唆している。
【0075】銀塩エピタキシーは、それ自体、写真スピ
ードをイオウ及び/もしくは金を用いた実質的に最適な
化学増感により得られるのに匹敵するレベルまで増加さ
せる。その上に銀塩エピタキシャル付着した平板状粒子
を通常のミドルカルコゲン(即ち、イオウ、セレンもし
くはテルル)増感剤もしくは貴金属(例えば、金)増感
剤でさらに化学増感すると、写真スピードがさらに増加
する。銀塩エピタキシャル増感に適用できるこれらの通
常の化学増感法は、Research Disclos
ure、1989年12月、アイテム308119、セ
クションIII「化学増感」に記載されている。Kof
ron等は、これらの増感を平板状粒子乳剤に適用する
ことを説明している。
【0076】銀塩エピタキシャル増感の具体的に好まし
い手法では、イオウ含有熟成剤を、ミドルカルコゲン
(典型的にはイオウ)及び貴金属(典型的には金)化学
増感剤と組み合わせて用いる。意図するイオウ含有熟成
剤には、米国特許第3,271,157号明細書(Mc
Bride)、米国特許第3,574,628号明細書
(Jones)及び米国特許第3,737,313号明
細書(Rosencrants等)で説明されているチ
オエーテルのような、チオエーテル類が含まれる。好ま
しいイオウ含有熟成剤は、米国特許第2,222,26
4号明細書(Nietz)、米国特許第2,448,5
34号明細書(Lowe等)及び米国特許第3,32
0,069号明細書(Illingsworth)で説
明されているチオシアネート類である。好ましい種類の
ミドルカルコゲン増感剤は、米国特許第4,749,6
46号明細書及び第4,810,626号明細書(He
rz等)に開示されている種類のテトラ置換ミドルカル
コゲン尿素である。好ましい化合物には、下式で表され
るものが含まれる:
【0077】
【化1】
【0078】(式中、Xはイオウ、セレンもしくはテル
ルであり;R1 、R2 、R3 及びR4 の各々は独立して
アルキレン、シクロアルキレン、アルカリーレン、アラ
ルキレンもしくは複素環アリーレン基を表すか、結合す
る窒素原子と一緒に、R1 とR2 もしくはR3 とR4
は、5〜7員複素環を完成することができ;そしてA
1 、A2 、A3 及びA4 の各々は独立して水素もしくは
酸基を含んでなる基を表すことができ、但し、A11
〜A44 の少なくとも一つは、炭素数1〜6の炭素鎖
を介して尿素の窒素に結合して酸基を含有する)。
【0079】Xは、好ましくはイオウであり、A11
〜A44 は、好ましくはメチルもしくはカルボキシメ
チル(但し、カルボキシ基は酸型でも塩型でもよい)で
ある。具体的に好ましいテトラ置換チオ尿素増感剤は、
1,3−ジカルボキシメチル−1,3−ジメチルチオ尿
素である。好ましい金増感剤は、米国特許第5,04
9,485号明細書(Deaton)で開示されている
金(I)化合物である。これらの化合物には、下式で表
される化合物が含まれる: (VI) AuL2 + - もしくはAuL(L1+ - (式中、Lはメソイオン化合物であり;Xはアニオンで
あり;そしてL1 はルイス酸供与体である)。
【0080】Kofron等は、化学増感を生じる加熱
工程(仕上げ)の前に分光増感色素を乳剤に導入する、
「仕上げ増感における色素」の利点を開示している。仕
上げ増感における色素は、分光増感色素が平板状粒子表
面に吸着して銀塩エピタキシャル付着の部位指向体とし
ての役割を果たす本発明の実施に特に有利である。Ma
skaskyIは、凝集分光増感色素、特に緑色及び赤
色吸収シアニン色素を部位指向体として使用することを
教示している。これらの色素は、化学増感仕上げ工程前
に乳剤に存在している。仕上げに存在する分光増感色素
が銀塩エピタキシーの部位指向体しての役割を果たすこ
とを意図していないときには、はるかに広範囲の分光増
感色素が利用できる。Kofron等により開示されて
いる分光増感色素、特にスペクトルの緑色部及び赤色部
で吸収極大を示す構造及びより長いメチン鎖類似体によ
り示される青色分光増感色素が、本発明の極薄平板状粒
子乳剤に含有させるのに特に好ましい。有用な分光増感
色素が、ResearchDisclosure、19
89年12月、アイテム308119、セクションI
V.分光増感及び減感、A.分光増感色素、により一般
的にまとめられている。
【0081】本発明の具体的に好ましい態様では、分光
増感色素は部位指向体としての役割も果たすことがで
き、そして/もしくは仕上げ中に存在することができる
が、本発明の乳剤で分光増感色素が果たさなければなら
ない唯一の機能は、スペクトルの少なくとも一領域に対
する乳剤の感度を増加することである。従って、必要な
らば、分光増感色素は化学増感が完了した後、本発明に
よる極薄平板状粒子に添加することができる。
【0082】極薄平板状粒子乳剤は、同じ平均ECDの
より厚い平板状粒子よりも平均粒子体積が顕著に小さい
ので、極薄平板状粒子のスペクトルの青色領域における
固有ハロゲン化銀感度はより低い。従って、青色分光増
感色素は、極薄平板状粒子のヨウ化物レベルが比較的高
くても、写真スピードを顕著に向上させるする。固有ハ
ロゲン化銀吸収に対して深色シフトされた露光波長で、
極薄平板状粒子は、ほとんど専ら分光増感色素もしくは
光子捕獲用色素に依存する。従って、430nmよりも
長波長で光吸収極大(より長波長青色、緑色、赤色及び
/もしくは赤外吸収極大を含む)を示す分光増感色素を
本発明の粒子表面に吸着したものは、極めて大きくスピ
ードが増加する。これは、一部は平均粒子体積が相対的
に小さいことに起因し、一部は分光増感色素吸着に有効
である平均粒子表面積が相対的に大きいことに起因して
いる。
【0083】上記した分光増感銀塩エピタキシャル増感
極薄平板状粒子乳剤の特徴の他に、本発明の乳剤及び乳
剤の調製は、いずれかの都合のよい通常の形態をとるこ
とができる。例えば、必須ではないが、本発明の要件を
満足する新規な乳剤を調製後、この乳剤を、本発明によ
る一種以上の他の新規な乳剤もしくはいずれか他の通常
の乳剤と配合できる。通常の乳剤の配合は、Resea
rch Disclosure、第308巻、1989
年12月、アイテム308119、セクションI、パラ
グラフIに説明されている。
【0084】一旦形成された乳剤は、さらにいずれかの
都合のよい通常の方法により写真用途に使用できるよう
にすることができる。追加の通常の特徴は、上記したR
esearch Disclosure、アイテム30
8119、セクションII、乳剤洗浄;セクションV
I、カブリ防止剤及び安定化剤;セクションVII、色
材料;セクションVIII、吸収及び散乱剤;セクショ
ンIX、ベヒクル及びベヒクル増量剤;セクションX、
硬膜剤;セクションXI、塗布助剤;及びセクションX
II、可塑剤及び滑剤に説明されている。VII〜XI
Iの特徴は、選択的に他の写真要素層に設けることがで
きる。
【0085】本発明の新規なエピタキシー銀塩増感極薄
平板状粒子乳剤を、いずれの他の通常の写真要素にも用
いることができる。この乳剤を、例えば、ハロゲン化銀
乳剤層を1層以上有する写真要素に含めることができ
る。一つの具体例では、本発明による新規な乳剤は、観
察もしくは走査用の銀もしくは色素写真像の作成を意図
した写真要素の単一乳剤層に存在できる。
【0086】重要な一態様において、本発明は、いずれ
かの通常の型の通常の写真支持体上に塗布された少なく
とも2層の重ねられた輻射線感受性ハロゲン化銀乳剤層
を含有している写真要素に向けられている。典型的な写
真支持体は、上記したResearch Disclo
sure、アイテム308119、セクションXVII
にまとめられている。支持体面のより近くに塗布された
乳剤層を分光増感して、写真要素を可視スペクトルのマ
イナスブルー領域内のスペキュラー光に露光したときに
写真記録を生成するようにする。用語「マイナスブル
ー」は、当該技術分野において、可視スペクトルの緑色
部及び赤色部(即ち、500〜700nm)を含む意味
で用いられている。用語「スペキュラー光」は、当該技
術分野において、カメラレンズによりフィルム表面の焦
点面に供給される空間的に配向した種類の光、即ち、実
用目的において散乱しない光、を示すために用いられて
いる。
【0087】2層のハロゲン化銀乳剤層の内の第二層を
第一ハロゲン化銀乳剤層上に塗布する。この配置では、
第二乳剤層は、全く異なる2つの写真的作用を果たすこ
とを求められる。これらの作用の第一は、少なくとも記
録しようとする光波長の部分を吸収することである。第
二乳剤層は、近紫外(≧300nm)〜近赤外(≦15
00nm)の範囲のいずれのスペクトル領域の光をも記
録できる。ほとんどの用途において、第一及び第二乳剤
層は、可視スペクトル内の像を記録する。第二乳剤層
は、ほとんどの用途において、青色もしくはマイナスブ
ルー光を記録し、必ずではないが通常第一乳剤層よりも
短い波長の光を記録する。意図する記録波長とは無関係
に、写真感度と像構成(即ち、粒状度と鮮鋭度)をうま
くバランスする第二乳剤層の能力は、第一の作用を満足
するのに重要である。
【0088】第二乳剤層が果たす必要がある第二の異な
る作用は、第一乳剤層で記録することを意図しているマ
イナスブルー光を透過することである。第二乳剤層にお
けるハロゲン化銀粒子の存在は、第一作用にとって必須
であるが、その粒子の存在は、本発明によって要求され
るように選択されない限り、第二乳剤層の透過作用を十
分に果たす能力が大きく減少する。上に設けた乳剤層
(例えば、第二乳剤層)は、下に設けた乳剤層(例え
ば、第一乳剤層)の像の鮮鋭度を低下させる原因となる
ことがあるので、第二乳剤層を、以下「光学的コーザー
層」とも称し、第一乳剤層を、「光学的受容層」とも称
する。
【0089】上に設けた(第二)乳剤層がどのように下
に設けた(第一)乳剤層において鮮鋭度の低下を生じさ
せるかについては、Antoniades等により詳細
に説明されており、繰り返して説明する必要はない。写
真感度と像構成(例えば、粒状度と鮮鋭度)との好まし
い組み合わせは、本発明の要件を満足する銀塩エピタキ
シャル増感極薄平板状粒子乳剤を用いて少なくとも上に
設けた第二の乳剤層を形成したときに実現されることが
判明した。上に設けた乳剤層の極薄平板状粒子上に銀塩
エピタキシーが存在することが、下に設けた第一の乳剤
層において鮮明な像を観察できることと一致することは
驚くべきことである。下に設けた乳剤層において鮮明な
像を得ることは、総粒子投影面積の高い割合を占める、
上に設けた乳剤層の極薄平板状粒子に依存している;し
かしながら、ECDが0.2μm未満である粒子(存在
する場合)は、比較的光学的に透明であるので、総粒子
投影面積の計算から排除することができる。ECDが
0.2μm未満の粒子を総粒子投影面積の計算から排除
して、本発明の銀塩エピタキシャル増感極薄平板状粒子
乳剤を含有する上に設けた乳剤層が、ハロゲン化銀粒子
の総投影面積の97%を超え、好ましくは99%を超え
る割合を占めることが好ましい。
【0090】ECDが0.2μm未満である粒子(以
下、「光学的に透明な粒子」と称する)が混入する可能
性を除いて、第二乳剤層は、ほとんど実質的に極薄平板
状粒子から構成されている。ECDが0.2μm未満で
ある粒子のマイナスブルー光に対する光学的透明性は、
当該技術分野において十分報告されている。例えば、典
型的なECD0.05未満〜0.1μm超を有するLi
ppmann乳剤は、光学的に透明であることが良く知
られている。ECDが0.2μmである粒子は、400
nmの光を顕著に散乱するがマイナスブルー光の散乱は
限られている。本発明の具体的に好ましい態様では、E
CDが0.1(最適には0.05)μm未満である粒子
のみを排除した総粒子投影面積の97%超、最適には9
9%超の平板状粒子投影面積を満足する。従って、本発
明の写真要素では、第二乳剤層は、本発明の極薄平板状
粒子乳剤層によって提供される平板状粒子もしくはこれ
らの平板状粒子と光学的に透明な粒子から実質的に構成
されている。光学的に透明な粒子が存在する場合は、こ
れらは第二乳剤層における総銀の10%未満、最適には
5%未満に限定される。
【0091】本発明の写真要素の有利な特性は、マイナ
スブルー記録乳剤層の上に設ける乳剤層の粒子を粒子特
性の特定の組み合わせが得られるように選択することに
依存している。第一に、その平板状粒子は好ましくはヨ
ウ化物を写真学的に有意なレベルで含有している。ヨウ
化物含量は、感度、及び多色写真ではインターイメージ
効果の面で、比較する臭化銀塩乳剤に対する当該技術分
野で認識されている利点を付与する。第二に、上記した
ような総粒子集団の極めて高い割合を平板状粒子が占有
するようにし、これを平均ECD少なくとも0.7μm
及び平均粒子厚さ0.07μm未満と組み合わせると、
マイナスブルー光の散乱が大きく減少する。平均ECD
少なくとも0.7μmは、勿論、第二乳剤層において達
成されるより高レベルのスピードを可能にする光透過の
スペキュラリティを高めることとは別に有利である。第
三に、極薄平板状粒子を用いることにより銀がよりよく
利用され、より低レベルの粒状度が実現される。最後
に、銀塩エピタキシーが存在すると、写真感度を予想以
上に増加できる。
【0092】簡単な一態様では、写真要素は、下に設け
た(第一)乳剤層がオルソクロマチックもしくはパンク
ロマチック増感される白黒(例えば、銀像形成)写真要
素であることができる。別の態様では、写真要素は、青
色記録(イエロー色素像形成)、緑色記録(マゼンタ色
素像形成)及び赤色(シアン色素像形成)層単位をいず
れかの塗布順序で含んでいる多色写真要素となることが
できる。多種多様な塗布配列が、上記したKofron
等、第56〜58欄に開示されており、ここでの開示
を、引用することにより本明細書の開示の一部とする。
【0093】
【実施例】以下に示す本発明の要件を満足する乳剤調
製、乳剤及び写真要素の実施例を参照することにより、
本発明をよりよく理解できる。写真スピードを、スピー
ド差30log単位がスピード差0.3logE(但
し、Eは単位:ルクス−秒で表す露光量)に等しい相対
的な対数(log)スピードで表す。コントラストは、
中間スケールコントラストとして測定する。ハロゲン化
物イオン濃度は、銀に対するモル%(M%)で表す。
【0094】極薄平板状粒子A 攪拌機を備えた容器に、石灰処理骨ゼラチン3.75
g、NaBr4.12g、消泡剤、及び39°CでpH
を1.8に調整するのに十分な量の硫酸を含有する、水
6リットルを入れた。AgNO3 溶液とハロゲン化物
(NaBrとKIをそれぞれ98.5M%及び1.5M
%)溶液とを、両方2.5Mでヨウ臭化銀0.0133
5モルを生成するのに十分な量でバランスをとり、同時
に添加することにより達成された核形成中、pBrとp
Hは、最初に反応器内溶液で設定された値にほぼ維持さ
れた。核形成に続いて、Oxone(商標)(2KHS
5 ・KHSO4 ・K2 SO4 Aldrich製)12
8mgを水20ccに溶解した溶液を添加することによ
り反応器内ゼラチンを迅速に酸化し、温度を9分間で5
4°Cに上昇させた。反応器とその内容物とを、この温
度で9分間保持した後、メチオニン酸化石灰処理骨ゼラ
チン100gを水1.5リットルに溶解した溶液を54
°Cで反応器に添加した。次に、pHを5.90に上昇
させ、1M NaBr122.5ccを反応器に添加し
た。核形成から24.5分後、成長段階が始まり、その
間に2.5M AgNO3 、2.8M NaBr及びA
gI(Lippmann)の0.148M懸濁液を、
(a)成長しているハロゲン化銀結晶中のヨウ化物レベ
ルを4.125M%に均一に維持すること、および
(b)ヨウ臭化銀が0.848モル生成するまで、反応
器内pBrを、核形成と成長の始まる前に上記したNa
Brの添加により得られた値に維持するように比例させ
て添加し(53.33分間、一定流量)、このときに、
1M NaBr105ccを添加して過剰Br- 濃度を
増加させた;反応器内pBrを成長のバランスをとる得
られた値で維持した。次に、上記反応体の流入を再開
し、流量を加速して、このセグメントの終わりでの最終
流量を開始時の約12.6倍とした;ヨウ臭化銀が合計
9モル(4.125M%I)生成した。AgNO3 、A
gI及びNaBrの添加が完了したとき、生じた乳剤層
を凝集洗浄し、pHとpBrをそれぞれ保存値6と2.
5に調整した。
【0095】得られた乳剤を、走査電子顕微鏡(SE
M)により調査した。総粒子投影面積の99.5%を超
える割合が平板状粒子により占められていた。乳剤粒子
の平均ECDは1.89μmであり、それらのCOVは
34であった。平板状粒子が、存在する粒子のほぼ全て
を占めているので、平均粒子厚さを、色素吸着法を用い
て測定した:飽和被覆量に必要とされる1,1’−ジエ
チル−2,2’−シアニン色素のレベルを測定し、この
色素の溶液吸収係数が77,300リットル/モル−c
mであり、1モル当たりの部位面積が0.566nm2
であると仮定して、表面積についての式を解いた。
【0096】この手法により、平均粒子厚さ値0.05
3μmを得た。
【0097】薄い乳剤B この乳剤を、ヨウ臭化銀が9モル生成する時点まで乳剤
Aと全く同様に沈殿させた後、ヨウ臭化銀乳剤6モルを
反応器から取り出した。更なる厚み成長の種結晶として
はたらかせるために反応器内に保持した3モルについて
更に成長させた。この追加成長を開始する前に、メチオ
ニン酸化石灰処理骨ゼラチン17gを水500ccに溶
解した溶液を54°Cで添加し、そしてpBrが約2.
2になるまでAgNO3 を単独でゆっくり添加させるこ
とにより乳剤のpBrを約3.3に減少させ、AgNO
3 とNaBrの不つり合いな流入を続けた。この高pB
r値と温度54°Cを維持しながら、AgNO3 と混合
ハロゲン化物塩溶液(95.875M%NaBr及び
4.125M%KI)とをヨウ臭化銀がさらに4.49
モル(4.125M%I)生成するまで添加することに
より、種結晶を成長させた;この成長期間中、流量を、
開始から最終までの間に2倍に加速した。得られた乳剤
を凝集洗浄し、乳剤Aと同様に保存した。
【0098】得られた乳剤を、乳剤Aと同様にして調査
した。総粒子投影面積の99.5%を超える割合を平板
状粒子が占めていた。この乳剤の平均ECDは1.76
μmであり、それらのCOVは44であった。乳剤Aに
ついて記載したのと同様に色素吸着測定から求めた乳剤
粒子の平均厚さは、0.130μmであった。
【0099】増感 次に、乳剤試料を、銀塩エピタキシーを存在させて増感
し、また存在させることなく増感した。エピタキシャル増感操作 乳剤試料0.5モルを40°Cで溶融し、AgNO3
液とKI溶液を同時添加することによりpBrを約4に
調整した。このとき、AgNO3 溶液とKI溶液は、こ
の調整中に少量沈殿するハロゲン化銀が12%Iである
ような比で添加した。次に、2M%NaCl(ヨウ臭化
銀ホストの最初の量を基準として)を添加後、分光増感
色素1〔アンヒドロ−9−エチル−5’,6’−ジメチ
ルオキシ−5−フェニル−3’−(3−スルホプロピ
ル)−3−(3−スルホブチル)オキサチア−カルボシ
アニン水酸化物〕及び色素2〔アンヒドロ−5,5’−
ジ−クロロ−9−エチル−3,3’−ビス(3−スルホ
プロピル)チアカルボシアニン水酸化物、ナトリウム
塩〕を添加し、その後、AgNO3 溶液とNaCl溶液
のバランスをとったダブルジェット添加により6M%A
gClエピタキシーを形成させた。この操作により、エ
ピタキシー成長が、ホスト平板状粒子の主としてコーナ
ーと端部に生じた。
【0100】エピタキシャル増感乳剤を、小さく分割し
て、続いて添加される増感成分の最適レベルを求めると
ともに、レベルの変動の影響を試験した。ポストエピタ
キシー成分は、色素1及び2の追加部分、60mgNa
SCN/モルAg、Na2 23 ・5H2 O(イオ
ウ)、KAuCl4 (金)及び11.44mg1−(3
−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾー
ル(APMT)/モルAgを含んだ。全ての成分を添加
後、混合物を60°Cに加熱して増感を完了させ、冷却
後、さらにAPMT114.4mgを添加した。
【0101】得られた増感乳剤を、灰色銀ハレーション
防止層で被覆した酢酸セルロースフィルム支持体に塗布
し、この乳剤層を、界面活性剤とビス(ビニルズルホニ
ル)メタン硬膜剤(ゼラチン総重量に対して1.75重
量%)とを含有する4.3g/m2 ゼラチン層でオーバ
ーコートした。乳剤塗布量は0.646gAg/m2
あり、この層には、カプラー1及びカプラー2をそれぞ
れ0.323g/m2及び0.019g/m2 、4−ヒ
ドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザ
インデン(Na+ 塩)10.5mg/m2 並びに2−
(2−オクタデシル)−5−スルホヒドロキノン(Na
+ 塩)14.4mg/m2 、界面活性剤およびゼラチン
総量1.08g/m2 も含有させた。このように塗布し
た乳剤を、校正中性ステップタブレットを介して、Wr
atten23A(商標)濾過(波長>560nm透
過)昼光バランス光露光を0.01秒行い、そしてカラ
ーネガKodak Flexicolor(商標)C4
1プロセスを用いて現像した。スピードを最小濃度より
0.15高い濃度で測定した。
【0102】
【化2】
【0103】非エピタキシャル増感操作 この増感をエピタキシャル付着工程を省略した以外は、
エピタキシャル増感について説明したのと同様に行っ
た。即ち、初期pBrを約4に調整後、色素1と色素2
を適当量添加し、その後NaSCN、イオウ、金及びA
PMTを上記のようにして添加し、続いて60°Cでヒ
ートサイクルに附した。
【0104】最適化 分光増感色素、イオウ及び金増感剤の最初のレベルは、
平均粒子ECDと厚さに基づいた従来の経験からほぼ最
適であると知られているレベルであった。次に、色素、
イオウ及び金のレベルを系統的に変化させて増感試験を
行った。以下の表I及び表IIに、それぞれ薄及び極薄
平板状粒子乳剤A及びBを増感したときに観察された最
大スピードを示す。表IIIには、表I及び表IIに示
したエピタキシャル増感薄及び極薄平板状粒子乳剤A及
びBについてのコントラストを示す。
【0105】 表I 薄ホスト平板状粒子へのエピタキシーによるスピード増加 ホスト乳剤 増感の種類 Dmin 相対対数スピード 乳剤B 非エピタキシー 0.11 100 乳剤B エピタキシー 0.15 130
【0106】 表II 極薄ホスト平板状粒子へのエピタキシーによるスピード増加 ホスト乳剤 増感の種類 Dmin 相対対数スピード 乳剤A 非エピタキシー 0.14 100 乳剤A エピタキシー 0.15 150
【0107】 表III エピタキシャル増感薄及び極薄平板状粒子乳剤のコントラストの比較 ホスト乳剤 乳剤の種類 増感 コントラスト 乳剤B 薄 エピタキシー 0.68 乳剤A 極薄 エピタキシー 0.89 表I及び表IIから、極薄平板状粒子乳剤のエピタキシ
ャル増感から得られるスピードの増加は、薄平板状粒子
乳剤の比較するエピタキシャル増感により得られるスピ
ードの増加よりも著しく大きいことは明らかである。さ
らに、表IIIから、エピタキシャル増感極薄平板状粒
子乳剤は、さらに同様に増感した薄平板状粒子乳剤より
もコントラスが高いことが明らかである。
【0108】スペキュラリティの比較 Antoniades等の実施例6に概略記載されてい
る乳剤の塗膜を通過した光の正規化スペキュラー透過率
を測定する方法を用いた。表IVに、上記した分光増感
・エピタキシャル増感薄及び極薄平板状乳剤の正規化ス
ペキュラー透過率(NST%)に関するデータをまとめ
て示す。ここで、正規化スペキュラー透過率は、総透過
光に対する透過スペキュラー光の比である。450nm
もしくは550nmでの透過率と正規化スペキュラー透
過率を、銀塗布量に対してプロットした。これらのプロ
ットから総透過率70%に相当する銀塗布量を求め、こ
れを使用して450nmと550nmの両方でのスペキ
ュラー透過率を得た。
【0109】 表IV スペキュラリティの比較 ホスト 分光増 AgClエピ NST% 乳剤 感色素 タキシーM% 450nm 550nm 薄乳剤B 1&2 6 20.7 18.6 極薄乳剤A 1&2 6 70.7 71.6 表IVから、エピタキシャル増感極薄平板状粒子乳剤
は、薄平板状粒子乳剤と比較して、総透過率に占めるス
ペキュラー透過率の割合において著しく且つ驚くべき増
加を示すことが明らかである。
【0110】分光吸収移動 550nmで総透過率70%を与えた表IVに示したの
と同じ塗膜をさらに試験して、色素1及び色素2による
ピーク吸収波長(647nm)での吸収に対して、より
短波長での吸収を測定した。647nm吸収に対する6
00nm吸収との比較を表Vに示したが、全てのオフピ
ーク波長での吸収は、エピタキシャル増感極薄平板状粒
子乳剤の方が同様に増感した薄平板状粒子乳剤よりも低
い。
【0111】 表V 相対オフピーク吸収 エピタキシー 相対吸収 ホスト乳剤 色素 モル% A600/A647 薄乳剤B 1&2 6 0.476 極薄乳剤A 1&2 6 0.370 表Vから、分光増感・エピタキシャル増感極薄平板状粒
子乳剤は、同様に増感した比較の薄平板状粒子乳剤より
も、オフピーク吸収が顕著に少ないことが明らかであ
る。乳剤C この乳剤を、乳剤Aについて記載したのと同様の方法で
調製したが、沈殿操作を変更して成長中の均一ヨウ化物
濃度(AgBr0.880.12)をより高くするとともに、
粒度をより小さくした。
【0112】粒子パラメータを乳剤Aの場合と同様に測
定したところ、乳剤Cにおいて平板状粒子が総粒子投影
面積の99.4%を占め、平均粒子ECDが0.95μ
m(COV=61)であり、平均粒子厚さが0.049
μmであることが分かった。
【0113】スペキュラリティとエピタキシーレベルと
の関係 乳剤Cのホスト極薄平板状粒子上へのAgClエピタキ
シーの形成を、典型的には6モル%/分以上のエピタキ
シーが形成するような流量で、エピタキシャル増感に関
して上記した一般的な操作に準じて行った。イオウもし
くは金増感はスペキュラリティには大きな影響を及ぼさ
ないので、乳剤試料には、これらの増感は行わなかっ
た。分光増感色素2に加えて、以下の代替分光増感色素
を用いた: 色素3:アンヒドロ−6,6’−ジクロロ−1,1’−
ジエチル−3,3’−ビス(3−スルホプロピル)−
5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイミダゾ
ールカルボシアニン水酸化物、ナトリウム塩; 色素4:アンヒドロ−5−クロロ−9−エチル−5’−
フェニル−3’−(3−スルホブチル)−3−(3−ス
ルホプロピル)オキサカルボシアニン水酸化物、トリエ
チルアンモニウム塩; 色素5:アンヒドロ−5,5’−ジクロロ−3,3’−
ビス(3−スルホプロピル)チアシアニン水酸化物、ト
リエチルアンモニアウム塩。
【0114】エピタキシャル付着により、反応副生成物
として硝酸ナトリウムが化学量論的に相関した量で生成
され、もし塗布したときにこの副生成物が乳剤に残存し
ているならば、光学的測定を妨害する濁りを生じること
があるので、これらのエピタキシー処理乳剤は、塗布前
に全て凝集洗浄してこのような塩を除去した。
【0115】 表VI 異なるレベルのエピタキシーの極薄平板状粒子乳剤の スペキュラリティに及ぼす影響 エピタキシー NST(%) 色素 モル% 450nm 550nm 650nm 2 0 71.4 68.4 −− 2 12 65.7 67.0 −− 2 24 65.7 61.4 −− 2 36 64.0 64.3 −− 2 100 50.7 52.9 −− 3&4 0 −− −− 59.3 3&4 12 −− −− 57.1 5 0 −− 62.9 60.9 5 12 −− 57.6 57.7
【0116】表VIのデータから、エピタキシーなしの
ホスト乳剤について観察されるスペキュラリティは、エ
ピタキシャル付着後少しだけ減少する。さらに驚くべき
ことは、高レベルのエピタキシーにより高スペキュラリ
ティが観察されることである。450nmと550nm
でのスペキュラリティは、エピタキシーのレベルを0か
ら100%まで増加しても高いままであることに留意さ
れたい。Antoniades等はエピタキシャル増感
を用いなかったけれども、正規化スペキュラー透過率
は、表IVにおけるAntoniades等による報告
に匹敵する。さらに、エピタキシーレベルがMaska
skyIにおいて好ましいとされているよりも高くて
も、もしくははMaskaskyIが有用であると教示
しているよりも高くても、スペキュラー透過率の許容レ
ベルが達成されていることに留意する。
【0117】頑強性の比較 本発明の乳剤の頑強性を測定するために、分光増感色素
の量をわずかに多くした場合もしくはわずかに少なくし
た場合の効果を判断できるように増感を最適化するため
の操作を変更した以外は表IIに示した乳剤と同様に、
乳剤Aをエピタキシャル増感を実施して、また実施しな
いで、イオウ及び金増感した。
【0118】分光増感色素とイオウ及び金増感剤の好ま
しいレベルは、以下の方法により求めた:最初のレベル
は、これら乳剤及び類似の乳剤についての従来の経験に
基づいて選択したので、観察をほぼ最適な増感から開始
した。分光増感色素レベルは、この選定条件から、実行
可能な最適分光増感色素レベルまで変化させ、次に、イ
オウ及び金増感レベルをこの色素レベルについて最適化
した。得られたイオウ(Na223 ・5H2 O)と
金(KAuCl4 )の最適レベルは、それぞれ5及び
1.39mg/Agモルであった。
【0119】最適化されたイオウ及び金増感で分光増感
色素レベルを変化させて、色素レベルの差が乳剤感度に
影響を及ぼす程度を測定した。結果を表VIIにまとめ
て示す。
【0120】 表VII 頑強性試験:エピタキシーなしの最適イオウ及び金増感 極薄平板状粒子乳剤 色素1 色素2 相対 Δ 種別 mM/AgM mM/AgM スヒ゜ード Dmin スヒ゜ード 中レベル色素 0.444 1.731 100 0.14 対照 高レベル色素 0.469 1.827 117 0.14 +17 低レベル色素 0.419 1.629 84 0.15 −16
【0121】色素濃度を1%変化させるごとに、2.7
3logスピード単位の変化が生じた。2回目にスピー
ドの変動を調べたときは、分光増感色素の濃度を1%変
化させると、スピードが4.36logスピード単位変
化した。試験間の結果の変動は、エピタキシーを欠いた
乳剤が頑強性を欠如していることの裏付けを強める役割
を果たしたに過ぎなかった。
【0122】乳剤Aを、表IIにおけるエピタキシャル
増感乳剤と同様にしてさらにエピタキシャル増感した以
外は、上記の実験を反復した。イオウ(Na223
・5H2 O)と金(KAuCl4 )の最適レベルは、そ
れぞれ2.83及び0.99mg/Agモルであった。
結果を、以下の表VIIIにまとめて示す:
【0123】 表VIII 頑強性試験:エピタキシーを用いた最適イオウ及び金増感 極薄平板状粒子乳剤 色素1 色素2 相対 Δ 種別 mM/AgM mM/AgM スヒ゜ード Dmin スヒ゜ード 中レベル色素 0.444 1.73 100 0.14 対照 高レベル色素 0.469 1.83 107 0.15 + 7 低レベル色素 0.419 1.63 91 0.13 − 9
【0124】色素濃度を1%変化させるごとに、スピー
ドは1.31logスピード単位変化したにすぎなかっ
た。このことは、エピタキシャル増感極薄平板状粒子乳
剤の頑強性が予想以上に増加したことを示している。ヨウ化物プロフィール この一連の比較は、本発明の要件を満足するエピタキシ
ャル増感極薄平板状粒子においてヨウ化物プロフィール
を与えることによりなされるスピード−粒状度関係の増
強を示す目的で行う。
【0125】乳剤D(均一1.5M%ヨウ化物) 攪拌機を備えた容器に、酸化剤で処理してメチオニン含
量を減少することをしなかった石灰処理骨ゼラチン3.
75g、NaBr4.12g、消泡剤及び39°Cでp
Hを1.8に調整するに十分な量の硫酸を含有する水6
リットルを入れた。AgNO3 溶液とハロゲン化物(N
aBrとKIをそれぞれ98.5モル%及び1.5モル
%)溶液(両方とも2.5M)を、ヨウ臭化銀0.01
335モルを生成するのに十分な量)で、バランスをと
って同時4秒添加することにより達成される核形成中、
pBrとpHは、最初に反応器内溶液に設定された値に
ほぼ維持された。核形成に続いて、Oxone(商標、
2KHSO5 ・KHSO4・K2 SO4 )128mgを
水20ccに溶解した溶液を添加することにより反応器
内ゼラチンを迅速に酸化し、温度を9分間で54°Cに
上昇させた。反応器とその内容物とを、この温度で9分
間保持し、メチオニン酸化石灰処理骨ゼラチン100g
を水1.5リットルに溶解した溶液を54°Cで反応器
に添加した。次に、pHを5.90に上昇させ、1M
NaBr122.5ccを反応器に添加した。核形成か
ら24.5分後、成長段階が始まり、その間に2.5M
AgNO3 、2.8M NaBr及びAgIの0.0
524M懸濁液を、成長しているハロゲン化銀結晶中の
ヨウ化物レベルを1.5M%に均一に維持し、そして反
応器内pBrを核形成と成長の前に上記したNaBrの
添加により得られた値に維持した。このpBrは、ヨウ
臭化銀が0.825モル生成するまで維持するように比
例させて添加し(40分間、一定流量)、このときに、
1M NaBr105ccを添加して過剰Br- 濃度を
増加し、反応器内pBrを成長のバランスをとるのに生
じる値に維持した。反応体導入流量を、粒子成長の残り
64分間の間に約12倍加速した。ヨウ臭化銀が合計9
モル(1.5M%I)生成した。AgNO3 、AgI及
びNaBrの添加が完了したとき、得られた乳剤層を凝
集洗浄し、pHとpBrをそれぞれ保存値6と2.5に
調整した。
【0126】得られた乳剤を、SEMにより調査した。
平板状粒子が、総粒子投影面積の99%を超える割合を
占めており、乳剤粒子の平均ECDは1.98μm(変
動係数=34)であった。乳剤Aの場合と同様な測定法
で平均粒子厚さを測定したところ、0.055μmであ
った。
【0127】乳剤E(均一12M%ヨウ化物) この乳剤は、乳剤Dと同様の方法で沈殿させた。但し、
AgI:AgNO3 流量比を、均一12M%ヨウ化物ヨ
ウ臭化銀粒子組成物が得られるように増加し、そして成
長中のAgNO3 とNaBrとの流量を、成長時間が約
1.93倍長くなるように減少させて、溶解度がより低
くヨウ化物濃度がより高いこの乳剤の成長中に再核形成
が生じないようにした。
【0128】乳剤Dに用いたのと同様の分析法により乳
剤Eを分析したところ、数で98%が平板状粒子で構成
され、平板状粒子が総粒子投影面積の99%を超える割
合を占めていた。乳剤粒子の平均ECDは1.60μm
(COV=42)であり、平均厚さは0.086μmで
あった。沈殿中を通じてヨウ化物を12モル%導入する
ことにより、ヨウ臭化銀平板状粒子の厚みを増加する効
果が生じ、もはや極薄平板状粒子乳剤の要件を満足しな
いものとなることを特に注意した。
【0129】乳剤F(均一4.125M%ヨウ化物) この乳剤は、乳剤Dと同様の方法で沈殿させた。但し、
AgI:AgNO3 流量比を均一4.125M%ヨウ化
物ヨウ臭化銀粒子組成物が得られるように増加し、そし
て成長中のAgNO3 とNaBrとの流量を、成長時間
が約1.20倍長くなるように減少させて、溶解度がよ
り低くヨウ化物濃度がより高いこの乳剤の成長中に再核
形成が生じないようにした。
【0130】乳剤Dに用いたのと同様の分析法により乳
剤Eを分析したところ、数で97.8%が平板状粒子で
構成され、平板状粒子が総粒子投影面積の99%を超え
る割合を占めていた。乳剤粒子の平均ECDは1.89
μm(COV=34)であり、平均厚さは0.053μ
mであった。
【0131】乳剤G(プロフィールドヨウ化物) この乳剤は、乳剤Dと同様の方法で沈殿させた。但し、
1.5M%Iヨウ臭化銀粒子を含有する乳剤6.75モ
ル(総銀の75%に等しい)が生成した後、AgI:A
gNO3 添加比を増加して、9モルバッチの残存部が1
2M%Iであるようにした。このより高濃度のヨウ化物
バンド形成中、反応器に供給される総Agの速度を基準
とした流量は、乳剤Dの形成に用いた流量の約25%と
し(総成長時間は1.19倍長い)、溶解度がより低く
ヨウ化物濃度がより高いこの乳剤の成長中に再核形成が
生じないようにした。
【0132】乳剤Dに用いたのと同様の分析法により乳
剤Eを分析したところ、数で97%が平板状粒子で構成
され、平板状粒子が総粒子投影面積の99%を超える割
合を占めていた。乳剤粒子の平均ECDは1.67μm
(COV=39)であり、平均厚さは0.057μmで
あった。乳剤D〜Gに関する組成及び粒度データを、以
下の表IXにまとめて示す。
【0133】 表IX 乳剤粒子サイズ及びハロゲン化物についてのデータ AgIBr 粒子中 ECD 厚さ 乳剤 ヨウ化物 (μm(μm) アスペクト比 D 1.5M%I 1.98 0.055 36.0 (均一) E 12.0M%I 1.60 0.086 18.6 (均一) F 4.125M%I 1.89 0.053 35.7 (均一) G 1.5M%I 1.67 0.056 29.8 (最初 75%Ag) 12M%I (最終 25%Ag) 表IXのデータは、本発明の要件を満足する乳剤(乳剤
G)は、均一に分布したそれぞれ1.5又は4.125
M%ヨウ化物濃度を含有する乳剤D及びFの粒子に寸法
的に匹敵する粒子を含有していたことを示す。しかしな
がら、12.0M%ヨウ化物が粒子内に均一に分布した
乳剤Eでは、平均ECDの低下、平均粒子厚さの増加及
び粒子の平均アスペクト比の減少を示した。
【0134】増感 次に、乳剤試料を同様に増感して、乳剤D、E、F及び
Gの極薄平板状粒子のコーナー部位に選択的に銀塩エピ
タキシーを形成した。各場合において、ホスト乳剤の
0.5モル試料を40°Cで溶融し、AgNO 3 溶液と
KI溶液を同時添加することによりpBrを約4に調整
した。このとき、この調整中に少量沈殿したハロゲン化
銀は12M%Iであった。次に、2M%NaCl(極薄
平板状粒子乳剤中の銀の量を基準として)を添加後、色
素1と色素2を添加し、その後AgNO3 溶液とNaC
l溶液のバランスをとったダブルジェット添加により6
M%AgClエピタキシーを形成させた。エピタキシャ
ル付着を平板状粒子のコーナーに限定した。
【0135】エピタキシャル増感乳剤を、小さく分割し
て、続いて添加される増感成分の最適レベルを求めると
ともに、レベルの変動の影響を試験した。ポストエピタ
キシー成分には、色素1及び2の追加分、60mgNa
SCN/モルAg、Na2 23 ・5H2 O(イオ
ウ)、KAuCl4 (金)及び11.44mgAPMT
/モルAgが含まれていた。全ての成分を添加後、混合
物を60°Cに加熱して増感を完了させ、40°Cに冷
却後、さらにAPMT114.4mgを添加した。
【0136】得られた増感乳剤を、灰色銀ハレーション
防止層で被覆した酢酸セルロースフィルム支持体に塗布
し、4.3g/m2 ゼラチン層で乳剤層をオーバーコー
トした。乳剤塗布量は0.646gAg/m2 であり、
この層には、カプラー1及びカプラー2をそれぞれ0.
323g/m2 及び0.019g/m2 、4−ヒドロキ
シ−6−メチル−1,3,3A,7−テトラアザインデ
ン(Na+ 塩)10.5mg/m2 及び2−(2−オク
タデシル)−5−スルホヒドロキノン(Na+塩)1
4.4mg/m2 並びにゼラチン総量1.08g/m2
も含有させた。界面活性剤とゼラチン総重量基準で1.
75重量%のビス(ビニルスルホニル)メタン硬膜剤と
を含有する4.3g/m2 ゼラチン層でこの乳剤層をオ
ーバーコートした。
【0137】このように塗布した乳剤を、21ステップ
粒状度ステップタブレット(0〜3濃度範囲)を介し
て、Wratten23A(商標)濾過昼光バランス光
露光を0.01秒行った後、Kodak Flexic
olor(商標)C41カラーネガプロセスを用いて現
像した。スピードを最小濃度より0.30高い濃度で測
定した。
【0138】同じ処理試験片についての粒状度の読み取
りを、SPSE Handbookof Photog
raphic Science and Engine
ering W.Thomas編、第934〜939頁
に記載の方法に準じて行った。各ステップでの粒状度の
読み取り値を同じステップでのコントラストで割り、最
小コントラスト正規化粒状度の読み取り値を記録した。
コントラスト正規化粒状度を、粒子単位(g.u.)
(但し、各g.u.は5%の変化を表す)で示す;正の
変化及び負の変化は、それぞれ粒子の粗さがより大きい
像及び粒子の粗さがより小さい像に相当する(即ち、負
の変化が望ましい)。比較のためにコントラスト−正規
化粒状度を選択して、コントラストの差に起因する粒状
度の差を除去した。粒状度のランダムドットモデルは、
粒状度が像形成中心数の平方根に逆比例すること(M.
A.Kriss、The Theory of the
Photographic Process、第4版、
T.H.James編、ニューヨーク、Macmill
an、1977年;第625頁)及び感度を高めるには
一般的に粒子の大きさを大きくする必要があることを示
唆しているので、乳剤においては、粒状度は、一定のA
g塗布量及び光効率で30logスピード単位増加する
ごとに約7g.u.の割合で増加することが一般的に認
められる。
【0139】乳剤A及びBについて記載したように、乳
剤の各々の最適増感を完了させた。最適化増感について
の相対的対数スピードと最小コントラスト−正規化粒状
度を表Xに示す。
【0140】 表X 感度及びコントラスト正規化粒状度リスポンス 乳剤 Δスピード 相対粒状度 コントラスト D 対照 対照 0.85 E +9 +4.5 0.55 F +11 −3.0 0.91 G +21 −7.6 0.94 表Xのデータは、より高いヨウ化物外側配置領域粒子構
造が、全てがコーナーエピタキシャル増感であるときに
提供する前記3種の比較例乳剤(均一ヨウ化物極薄平板
状粒子)に対する利点を明らかに示している。本発明の
要件を満足する乳剤(乳剤G)は、最大写真スピード及
びコントラスト並びに最低像粒状度との両方を示すの
で、同様の構造の比較乳剤(しかし必要とするヨウ化物
プロフィールを欠如している)よりも明らかに写真的に
優れていた。
【0141】外側配置領域エピタキシーと中央領域エピ
タキシーとの比較 乳剤H(プロフィールドヨウ化物、AgBr中央領域) 本乳剤は、極薄平板状粒子の中央領域におけるヨウ化物
濃度低下させたことの顕著な相違を有する以外は、乳剤
D〜Gと同様に沈殿させた。吸着部位指向体が存在しな
いと中央領域により形成される極薄平板状粒子の主面の
部分が銀塩エピタキシーを受け入れるので、中央領域に
おけるヨウ化物が存在しないことが基本的に重要なこと
であった。従って、この構造を選択して、1個以上の吸
着部位指向体が、それぞれ存在するか又は存在しないか
で形成できる、中央領域と外側配置領域(具体的にはコ
ーナー)エピタキシャル増感の比較をした。ハロゲン化
物組成の上記変化に加えて、乳剤D〜Gについて上記し
た沈殿操作の他の変更点には、核形成ゼラチンのその場
での酸化に関してOxone(商標)ではなくNaOC
lの使用、バッチサイズの増加(9モルではなく12モ
ル)及び成長初期での流量の放物線状の増加が含まれ
る。
【0142】銀の最初の75%はヨウ化物の不存在下で
沈殿させ、一方、銀の残りの25%は、6M%Iの存在
下で沈殿させた。上記した分析法を用いて分析したとこ
ろ、乳剤Hは、平板状粒子98%(総粒子投影面積の9
9%を超える割合を占める)から構成されていることが
分かった。乳剤は、平均ECD2.19μm(COV=
54)、平均厚さ0.056μmであった。
【0143】乳剤H/CR(Central Region)(中央領
域エピタキシャル増感) 中央領域によって形成される乳剤Hの極薄平板状粒子の
主面の部分へのエピタキシーの形成に使用した操作は、
以下の点を除いて乳剤D〜Gのコーナーエピタキシャル
増感について上記した操作と同様であった: 1)エピタキシーの形成前の初期pBr調整は、AgN
3 とKIとを同時添加するのでなくAgNO3 単独で
行った。
【0144】2)pBrは、4ではなく約3.5に調整
した。 3)エピタキシーの形成前の色素添加を行わなかった。
(これらの差は、エピタキシーのコーナー部位指向を除
去するために行った)。 4)エピタキシャル付着前の乳剤G基準のAgClエピ
タキシーレベルは、6M%ではなく12M%であった。
【0145】走査電子顕微鏡による調査では、エピタキ
シーが極薄平板状粒子の主面に主に付着したことが分か
った。最適写真性能を得る努力において得られた面状
(facial)エピタキシーを有する乳剤について、分光増
感色素Na223 ・5H2 O及びKAuCl4 のレ
ベルを変化させた。試験した設計範囲内では、最適性能
を、これらの水準(単位:mg/モルAg)、即ち、2
50色素1、1025色素2、60NaSCN、3.1
3Na223 ・5H2 O、1.10KAuCl4
11.4mgAPMTで得た。これらの化合物を添加
後、得られた混合物を加熱して増感し易くし、その後1
14.4mgAPMTを安定化剤として添加した。塗布
フォーマット、露光及び処理は、乳剤D〜Gについて上
記したのと同様であった。
【0146】感度−粒状度関係を、比較のために表XI
にまとめて示す。
【0147】乳剤H/LDR(Laterally Displaced Re
gion)(外側配置領域エピタキシャル増感) コーナーエピタキシーの形成についての一般的操作は、
乳剤D〜Gについて上記で説明したのと同じであった。
但し、乳剤H/CRのように、6モル%ではなく12モ
ル%AgClエピタキシーを形成し、そしてこの乳剤の
最適写真性能を求める一手段として色素、イオウ及び金
レベルを変化させた。試験設計範囲内において、以下の
水準(単位:mg/モルAg)で最適レスポンスが観察
された、即ち、エピタキシー形成前では250色素1及
び1025色素2、そしてエピタキシー形成後ではそれ
ぞれ25mg及び102.5mg、3.13mgNa2
23 ・5H2 O及び0.9mgKAuCl4
【0148】得られたコーナーエピタキシャル増感乳剤
を、乳剤H/CRと同様に塗布し、露光し、処理した。 感度−粒状度関係を、比較のために表XIにまとめて示
す。
【0149】 表XI 感度及びコントラスト正規化粒状度リスポンス エピタキシー 乳剤 の位置 Δスピード 相対粒状度 H/CR 主面 対照 対照 H/LDR コーナー +51 +3
【0150】表XIのデータは、コーナーエピタキシャ
ル増感が、平板状粒子の主面に分布したエピタキシーを
含むエピタキシャル増感と比較して実質的な利点を有す
ることを明らかにしている。乳剤H/LDRは、3g.
u.不利なだけで、乳剤H/CRよりも51スピード単
位速かった。これは、非常に好ましいスピード/粒状度
関係である:上記の説明から、光効率が不変であると仮
定して、ランダムドットモデルが、一定Ag塗布量で
0.51logEスピードの増加に伴うペナルティーと
して約11.9g.u.の増加を予測していることは明
らかである。従って、本発明のプロフィールドヨウ化物
極薄平板状粒子乳剤のコーナーエピタキシャル増感は、
同じプロフィールドヨウ化物極薄平板状粒子乳剤ではあ
るが銀塩エピタキシーが粒子の主面上に分布しているも
のに対して、スピード−粒状度(光効率)の点で大きな
利点を有している。故に、本発明の乳剤の向上した光効
率は、単に選択されるヨウ化物プロフィールの作用だけ
でなく、銀塩エピタキシーとその配置の作用でもある。
【0151】エピタキシーにおけるヨウ化物の増加 乳剤Cの種々のヨウ化物増感 エピタキシャル増感中に導入される銀及びハロゲンイオ
ンと形成されるハロゲン化銀突起のヨウ化物レベルとの
関係を明らかにするために、一連の増感を行った。各場
合において、乳剤C0.25モルを1715mg/モル
Agの色素2で着色後、AgNO3 とKIとを、形成さ
れる少量のハロゲン化銀が最初の組成AgI0.12Br
0.88に相当するような相対速度で添加して、乳剤pBr
を4.0に調整した。
【0152】次に、ホスト平板状粒子に含有される銀の
12モル%に達するハロゲン化銀エピタキシーを沈殿さ
せた。ハロゲン化物溶液及び銀塩溶液を、塩化物を2モ
ル%過剰に維持してAgClを確実に沈殿させながら、
順次添加した。銀及びハロゲン化物の添加を、以下にホ
スト平板状粒子中の銀のモル%基準で示す。AgNO 3
の添加速度を調節して、エピタキシーを6モル%/分の
速度で沈殿させた。
【0153】増感C−1:12M%AgClの公称(イ
ンプット)エピタキシー組成物の場合、14M%NaC
lを添加後、12M%AgNO3 を添加した。 増感C−2:12M%AgI0.16Cl0.84の公称(イン
プット)エピタキシー組成物の場合、12.08M%N
aClを添加後、1.92M%AgI(Lippman
n)を添加し、その後10.08M%AgNO3 を添加
した。
【0154】増感C−3:12M%AgI0.16Br0.42
Cl0.42の公称組成物の場合、7.04M%NaClを
添加後、5.04M%NaBrを添加し、その後1.9
2M%AgI(Lippmann)を添加し、次に1
0.08M%AgNO3 を添加した。エピタキシャル付
着に続いて、別個に増感した試料を、化学増感仕上げ条
件に附したが、イオウ及び金増感は、エピタキシー突起
のハロゲン化物分析が複雑になるのを回避するために行
わなかった。仕上げとして、銀1モル当たりNaSCN
60mg及びAPMT11.4mgを添加した。これら
の添加後、混合物を50°Cに加熱し、その後APMT
を114.4mg/モルAg添加した。
【0155】次に、電子鏡検(AEM)法を用いて、ハ
ロゲン化銀エピタキシー突起の公称(インプット)組成
ではなく実際の組成を測定した。AEMの一般的な操作
は、J.I.Goldstein及びD.B.Will
iams、「X−ray Analysis in t
he TEM/STEM」、Scanning Ele
ctron Microscopy/1977;第1
巻、IIT Research Institute、
1977年3月、第651頁に記載されている。
【0156】個々のエピタキシー突起の組成は、電子ビ
ームを十分小さく集光して試験する突起のみを照射する
ことにより測定した。エピタキシー突起をホスト平板状
粒子のコーナーに選択的に配置させることにより、エピ
タキシー突起のみへのアドレッシングが容易となった。
25粒子の各々についての各コーナーエピタキシー突起
を、各増感について調べた。結果を、表XIIにまとめ
て示す。
【0157】 表XII エピタキシーにおけるハロゲン化物 検出ハロゲン化物 試料 添加ハロゲン化物 Cl Br C−1 C1 100% 72.6% 26.8% 0.6% I 16% C−2 C1 84% 69.4% 28.7% 1.9% I 16% C−3 Br/Cl 42% 28.4% 64.5% 7.2% 最小AEM検出限界は、ハロゲン化物濃度0.5M%で
あった。
【0158】表XIIから明らかなように、C−1に関
しては、塩化物が、エピタキシー突起の沈殿中にヨウ臭
化銀極薄平板状粒子乳剤に添加される唯一のハロゲン化
銀であった場合でも、ホスト乳剤からのエピタキシーへ
のヨウ素イオンの移動が少なく、1モル未満であった
が、臭素イオンの包含が多い。これはAgBrのAgC
lへの溶解度がAgIのAgClへの溶解度と比較して
大きいためと思われる。
【0159】C−2に関しては、エピタキシャル付着中
に塩化物と一緒にヨウ化物を添加した場合、ヨウ化物濃
度が1.5M%を超えて増加したが、エピタキシーにお
ける臭化物の包含は比較的一定のままであった。C−3
に関しては、C−2において添加した塩化物の半分を臭
化物に置き換えたばあい、同量のヨウ化物を各増感で添
加しても、ヨウ化物濃度はC−2と比較して大きく増加
した。
【0160】公称AgClと公称AgIClエピタキシ
ーとの比較 乳剤I 総銀基準で4.125M%Iを含有するヨウ臭化銀乳剤
を調製した。総銀の75%を占める粒子の中央領域は
1.5M%Iを含有するのに対して、総銀の残りの25
%を占める外側配置領域は12M%Iを含有していた。
【0161】攪拌機を備えた容器に、無水フタル酸処理
ゼラチン30.0g(10重量%)、NaBr3.60
g、消泡剤及び60°CでpHを2.0に調整するに十
分な量の硫酸を含有する水9.375リットルを入れ
た。AgNO3 及びハロゲン化物(AgNO3 0.09
0モル、NaBr0.1095モル、及びKI0.00
81モル)溶液を、バランスをとらないで30秒同時添
加することにより達成された核形成中、反応器内pBr
は核形成中に添加した過剰NaBrのために減少し、p
Hは反応器溶液内で最初に設定された値に対してほぼ一
定のままであった。核形成に続いて、Oxone(商
標)(2KHSO5 ・KHSO4 ・K2 SO 4 )102
1mgを水50ccに溶解した溶液を添加することによ
り反応器内ゼラチンを迅速に酸化した。反応器とその内
容物とをこの温度で7分間保持した後、メチオニン酸化
石灰処理骨ゼラチン100gをを溶解した1.5リット
ルの水を54°Cで反応器に添加した。次に、pHを
5.90に上昇させ、核形成完了から12分後、1M
NaBr196.0ccを反応器に添加した。核形成完
了から14分後成長段階を開始し、その間に2.30M
AgNO3 溶液、2.40M NaBr溶液及びAgI
(Lippmann)の0.04624M懸濁液を、成
長しているハロゲン化銀結晶中のヨウ化物レベルを1.
5M%に均一に保持するように、比例して添加した。反
応器内pBrは、核形成開始前及び核形成中並びに成長
前の上記NaBrの添加に由来した。このpBrを、ヨ
ウ臭化銀2.775モルが形成するまで維持し(流量
を、26.2分間かけてこのセグメントの開始の1.8
7倍に加速した)、このときに上記AgI懸濁液の流入
を停止し、より濃度の高いAgI懸濁液(0.4140
M)の添加を開始し、そしてこの12M%ヨウ化物部分
の成長が開始したら、AgNO3 の添加速度を約56%
まで減少させた。最終成長段階(最後の12.5分間)
中、AgNO3 流量加速(最終流量は、このセグメント
の開始時の1.52倍であった)を再開し、NaBr溶
液とAgI懸濁液の流入を調整して、反応器内pBrを
核形成前及び核形成中並びに成長開始前にNaBr添加
によって設定されたように維持し、AgI0. 12Br0.88
組成を達成した。ヨウ臭化銀が合計3.7モル生成し
た。AgNO3、AgI及びNaBrの添加が完了した
とき、得られた乳剤を凝集洗浄し、pHとpBrをそれ
ぞれ保存値6と3.0に調整した。
【0162】得られた乳剤を、SEMにより調査した。
総粒子投影面積の99%を超える割合が、平板状粒子に
より占められていた。乳剤粒子の平均ECDは0.57
μm(COV)=54であった。この乳剤がほとんど全
て平板状であるので、平均粒子厚さを色素吸着法を用い
て測定した。飽和カ被覆量に必要な1,1−ジエチル−
2,2’−シアニン色素のレベルを測定し、この色素の
溶液吸光係数が77,300リットル/モル−cmであ
り、1モル当たりの部位面積が0.566nm 2 である
と仮定して、表面積についての式を解いた。
【0163】この手法により、平均粒子厚さ値0.04
3μmが得られた。
【0164】増感I−1 公称AgCl 以下の方法を用いて、エピタキシー形成及び増感並びに
写真レスポンスの評価を行った。各場合において、乳剤
Iの0.5モル試料を40°Cで溶融し、そしてそのp
Brを、AgNO3 溶液とKI溶液とを同時添加するこ
とにより約4に調整した。この際、AgNO3 溶液とK
I溶液を、この調整中に沈殿する少量のハロゲン化銀が
12M%Iであるような比で同時添加した。次に、2M
%NaCl(乳剤Iの最初の量を基準として)を添加
し、その後Ag1モル当たり1696mgの色素4及び
152.7mgの色素6〔アンヒドロ−3,9−ジエチ
ル−3’−(N−スルホメチルカルバモイルメチル)オ
キサチアカルボシアニン水酸化物〕を添加し、その後6
M%AgClエピタキシーを、AgNO3 溶液とNaC
l溶液のバランスをとったダブルジェット添加(添加時
間:1分間)により形成させた。エピタキシー後の成分
(記載のレベル単位は、総銀1モル当たり)は、0.1
4mgのビス(2−アミノ−5−ヨードピリジン−ジヒ
ドロヨーダイド)ヨウ化第二水銀、137mgの色素
4、12.4mgの色素6、60mgのNaSCN、
6.4mgの増感剤1(イオウ)、3mgの増感剤2
(金)及び11.4mgのAPMTを含んでいた。
【0165】
【化3】
【0166】全ての成分を添加後、混合物を50°Cで
5分間加熱して増感を完了させ、40°Cに冷却後、A
PMTをさらに114.35mg添加した。塗布支持体
は、レムジェットアンチハレーションバッキングとゼラ
チン下塗り層(4.89g/m2 )とを有する酢酸セル
ロースフィルム支持体(厚さ:132μm)であり、ま
た乳剤層を界面活性剤及び総ゼラチン基準で1.75重
量%のビス(ビニルスルホニル)メタン硬膜剤を含有す
る4.3g/m2 ゼラチン層をオーバーコートした。乳
剤塗布量は0.538gAg/m2 であり、この層は、
カプラー3及びカプラー4をそれぞれ0.398g/m
2 及び0.022g/m2 、4−ヒドロキシ−6−メチ
ル−1,3,3a,7−テトラアザインデン(Na
+ 塩)8.72mg/m2 及び2−(2−オクタデシ
ル)−5−スルホヒドロキノン(Na+塩)11.96
mg/m2 、界面活性剤並びにゼラチン総量1.08g
/m2 も含有していた。
【0167】
【化4】
【0168】このように塗布した乳剤を、21ステップ
粒状度ステップタブレット(0〜3濃度範囲)を介し
て、Wratten9濾過(波長>460nm)昼光バ
ランス光露光を0.01秒行った後、Kodak Fl
exicolor C41カラーネガプロセスを用いて
現像した。スピードを最小濃度より0.15高い濃度で
測定した。同様に処理した試験片について粒状度の読み
取りを、乳剤D〜Gについて記載したように行った。
【0169】増感剤I−2 公称AgICl 増感、塗布及び評価を、増感D−1と同様に行った。但
し、エピタキシーのダブルジェット形成に用いたハロゲ
ン化物塩溶液は、NaClとして添加した92M%Cl
及びKIとして添加した8M%Iであった。増感I−1
及びI−2の性能比較を、表XIIIに示す。
【0170】 表XIII エピタキシーにおける種々のヨウ化物の性能比較 公称 コントラスト エピタキシー 正規化 ハロゲン化物 Dmin スピード コントラスト 粒状度* C1 0.10 198 1.15 対照 C1 0.92 I 0.08 0.08 196 1.39 −3.1g.u. *最小粒状度付近の4露光量ステップを越える読み取り値の平均
【0171】乳剤J 総銀基準4.125M%Iを含有するヨウ臭化銀乳剤を
調製した。総銀の75%を占める粒子の中央領域は1.
5M%Iを含有するのに対して、総沈殿銀の残りの25
%を占める外側配置領域は12M%Iを含有していた。
攪拌機を備えた容器に、石灰処理骨ゼラチン3.75
g、NaBr4.12g、消泡剤及び39°CでpHを
1.86に調整するのに十分な量の硫酸を含有する水6
リットルを入れた。AgNO3 及びハロゲン化物(Na
BrとKIがそれぞれ98.5M%及び1.5M%)溶
液を、両方2.5Mでヨウ臭化銀0.01335モルを
生成するのに十分な量でバランスをとり同時4秒添加す
ることにより達成された核形成中、pBrとpHはおお
よそ反応器内溶液で最初に設定された値のままであっ
た。核形成に続いて、Oxone(2KHSO5 ・KH
SO4・K2 SO4 )128mgを水50ccに溶解し
た溶液を添加することにより反応器内ゼラチンのメチオ
ニンを迅速に酸化し、温度を9分間で54°Cに上昇さ
せた。反応器とその内容物とをこの温度で9分間保持し
た後、メチオニン酸化石灰処理骨ゼラチン100gを水
0.5リットルに溶解した溶液を54°Cで反応器に添
加した。次に、pHを5.87に上昇させ、1M Na
Br107.0ccを反応器に添加した。核形成開始か
ら22分後、成長段階を開始し、その間に1.6M A
gNO3 溶液、1.75M NaBr溶液及びAgI
(Lippmann)の0.0222M懸濁液を、成長
しているハロゲン化銀結晶中のヨウ化物レベルを1.5
M%に均一に維持しそして、反応器内pBrを、核形成
及び成長開始前のNaBrの添加から得られた値に維持
するように比例して添加した。このpBrを、ヨウ臭化
銀0.825モルが形成するまで維持し(40分間一定
流量)、このときに1.75M NaBr75ccを添
加して過剰Br- 濃度を増加し、反応器内pBrを、バ
ランスよく成長させることから得られた値に維持した。
AgNO3 の流量を、次の成長41.3分間の間にその
出発値の約8.0倍まで加速した。乳剤4.50モルが
形成(1.5M%I)した後、AgI:AgNO3 流量
比を、6モルバッチの残りの部分が12M%Iであるよ
うに変更した。この高ヨウ化物バンドの形成開始時に、
反応器に供給する総銀のレート基準での流量を、最初に
前のセグメントの終わりでの値の約25%まで減少させ
て、この溶解度が低下しヨウ化物濃度が高くなったバン
ドの形成中に再核形成するのを回避したが、この流量
は、この部分での開始から最後の間に2倍にした。Ag
NO3 、AgI及びNaBrの添加が完了したとき、得
られた乳剤層を凝集洗浄し、pHとpBrをそれぞれ保
存値6と2.5に調整した。
【0172】粒子サイズと厚みを、乳剤Hについて記載
した方法により測定した。平均粒子ECDは1.30μ
m(COV=47)であり、厚みは0.052μmであ
った。平板状粒子は、総粒子投影面積の99%を超える
割合を占めていた。
【0173】増感J−1 公称AgCl 乳剤Jの0.5モル試料を40°Cで溶融し、そしてそ
のpBrを、この調整中に沈殿する少量のハロゲン化銀
が12M%Iであるような比で、AgNO3 溶液とKI
溶液とを同時添加することにより約4に調整した。次
に、2M%NaCl(乳剤Jの銀量を基準として)を添
加し、その後Ag1モル当たりで1170mgの色素
4、117.9mgの色素6及び119mgの色素7
〔アンヒドロ−9−エチル−5,6−ジメトキシ−5’
−フェニル−3,3’−ビス(スルホプロピル)オキサ
カルボシアニン水酸化物、ナトリウム塩〕を添加し、そ
の後、AgNO3 溶液とNaCl溶液とのバランスをと
ったダブルジェット添加(添加時間:1分間)により6
M%AgClエピタキシーを形成させた。エピタキシー
の形成後、得られた乳剤をチルセットした後、その0.
04モル部分を採取して、増感の残りの工程に用いた。
これによって、最適処理の組み合わせを決定ために増感
剤のレベルを変化させることができた。エピタキシー後
の成分(記載のレベルの単位は、銀1モル当たり)は、
色素4、色素6及び色素7、NaSCN60mg/モル
Ag、増感剤I(イオウ)、増感剤2(金)、及びN−
メチルベンゾチアゾリウムヨウ化物8.0mgを含んで
いた。全ての成分を添加後、混合物を50°Cで5分間
加熱して増感を完了させ、40°Cに冷却後、APMT
をさらに114.35mg添加した。
【0174】塗布、露光、処理及び評価を、乳剤Hの増
感について上記した方法により行った。調査設計範囲内
において、最適スピード/Dmin(Dmin=0.1
0以下)レスポンスを、これらのの後増感添加(レベ
ル:mg/モルAg)について観察された。243mg
の色素4、12.15mgの色素6、12.2mgの色
素7、2.68mgの増感剤1及び1.35mg増感剤
2。
【0175】増感J−2 公称AgICl 増感J−1と同様の操作を反復した。但し、エピタキシ
ーを形成するのに使用したハロゲン化物塩溶液は、84
M%NaCl及び16M%KIであった。即ち、最適写
真レスポンスは、増感E−2の公称AgClエピタキシ
ャル増感の場合と同じ増感剤レベルで観察された。
【0176】増感J−1及びJ−2の性能比較を、表X
IVに示す。
【0177】 表XIV エピタキシーにおける種々のヨウ化物の性能比較 公称 コントラスト エピタキシー 正規化 ハロゲン化物 Dmin スピード コントラスト 粒状度* C1 0.10 240 1.42 対照 C1 0.84 I 0.16 0.08 241 1.58 −2.8g.u. *最小粒状度付近の4露光量を越えるステップの読み取り値の平均 表XIIIと表XIVとの比較から、ハロゲン化銀エピ
タキシー中のヨウ化物を増加するとコントラストが増加
し粒状度が減少し、そして表XIIIと比較して表XI
Vにおけるヨウ化物のさらなる増加により、コントラス
トがさらに増加した。
【0178】乳剤K 総銀基準で4.125M%Iを含有するヨウ臭化銀乳剤
を調製した。総銀の74%を占める粒子の中央領域は
1.5M%Iを含有するのに対して、総沈殿銀の残りの
26%を占める外側配置領域は12M%Iを含有してい
た。攪拌機を備えた容器に、石灰処理骨ゼラチン3.7
5g、NaBr4.12g、消泡剤及び39°CでpH
を5.41に調整するのに十分な量の硫酸を含有する水
6リットルを入れた。AgNO3 及びハロゲン化物(N
aBrとKIがそれぞれ98.5M%及び1.5M%)
溶液を、両方2.5Mでヨウ臭化銀0.01335モル
を生成するのに十分な量でバランスをとって同時4秒添
加することにより達成された核形成中、pBrとpHは
ほぼ反応器内溶液で最初に設定された値のままであっ
た。核形成に続いて、4.74M%NaOClの溶液
0.656ccを添加することにより反応器内ゼラチン
中のメチオニンを迅速に酸化し、そして温度を9分間で
54°Cに上昇させた。反応器及びその内容物をこの温
度で9分間保持した後、メチオニン酸化石灰処理骨ゼラ
チン100gを水1.5リットルに溶解した54°C溶
液と1M NaBr122.5ccを添加した(添加後
のpHは約5.74であった)。核形成から24.5分
後、成長段階を開始し、その間に2.50M AgNO
3 溶液、2.80M NaBr溶液及びAgI(Lip
pmann)の0.0397M懸濁液を、成長している
ハロゲン化銀結晶中のヨウ化物レベルを1.5M%に均
一に維持し、反応器内pBrを、核形成及び成長開始前
に上記NaBrの添加から得られる値で維持するよう
に、比例して加えた。このpBrをヨウ臭化銀0.82
5モルが形成するまで維持し(40分間一定流量)、こ
のときに1M NaBr105ccを添加して過剰Br
- 濃度を増加し、反応器内pBrをバランスよく成長さ
せることから得られた値に維持した。AgNO3 の流量
を、次の成長52.5分間の間にこのセグメントにおけ
る出発値の約10倍まで加速した。乳剤6.69モルが
形成(1.5M%I)した後、AgI:AgNO3 流量
比を、9モルバッチの残りの部分が12M%Iであるよ
うに変更した。この高ヨウ化物バンドの形成開始時に、
反応器に供給された総銀の量基準での成長反応物流量
を、最初に前のセグメントの終わりでの値の約25%ま
で減少させてこの溶解度が低下しヨウ化物濃度が高くな
ったバンドの形成中に再核形成するのを回避したが、こ
の流量を、乳剤のこの部分の形成中に加速した(最終流
量は、このセグメントの開始時の1.6倍)。AgNO
3 、AgI及びNaBrの添加が完了したとき、得られ
た乳剤を凝集洗浄し、pHとpBrをそれぞれ保存値6
と2.5に調整した。
【0179】粒子サイズと厚みを、乳剤Hについて記載
した方法により測定した。平均粒子ECDは1.50μ
m(COV=53)であり、厚みは0.060μmであ
った。平板状粒子は、総粒子投影面積の99%を超える
割合を占めていた。
【0180】増感K−1 公称AgCl 乳剤Kの0.5モル試料を40°Cで溶融し、そのpB
rを、この調整中に沈殿する少量のハロゲン化銀が12
M%Iであるような比でAgNO3 溶液とKI溶液とを
同時添加することにより約4に調整した。次に、2M%
NaCl(乳剤F試料の最初の銀量を基準として)を添
加し、その後色素4及び色素6(それぞれ1173及び
106mg/モルAg)を添加し、その後6モル%エピ
タキシーを、次のようにして形成した。ホスト乳剤の最
初の量を基準として6M%NaClをシングルジェット
添加し、その後6M%AgNO3 をシングルジェット添
加した。AgNO3 の添加は1分間で行った。エピタキ
シー後の添加成分は、60mgNaSCN/モルAg、
Na223 ・5H2 O(イオウ増感剤)及びKAu
Cl4 (金増感剤)並びに3.99mg3−メチル1,
3−ベンゾチアゾリウムヨウ化物/モルAgであった。
イオウ及び金増感剤レベルは、数種の試行増感から得た
最良のレベルを用いた。全ての成分を添加後、混合物を
60°Cで8分間加熱して増感を完了させた。40°C
に冷却後、114.35mgAPMT/モルAgを添加
した。最適増感は、2.9mg/M Ag Na22
3 ・5H2 O及び1.10mg/M Ag KAuC
4 であった。
【0181】カプラー3の代わりにカプラー5(0.3
23g/m2 )を使用し、カプラー2の塗布量が0.0
16g/m2 であった以外は、塗布、露光、処理及び評
価を乳剤Hの増感について上記で記載した方法により行
った。
【0182】
【化5】
【0183】増感K−2 公称AgIBrCl 増感K−1と同様の操作を反復した。但し、6M%Na
Cl及び6M%AgNO3 を逐次シングルジェット添加
する代わりに、以下の物質を逐次添加した:2.52M
%NaCl、2.52M%NaBr、0.96M%Ag
I(Lippmann)及び5.04M%AgNO3
上記パーセンテージは乳剤Kにより供給される銀を基準
とする。最適増感は、2.3mg/M Ag Na2
23 ・5H2 O及び0.80mg/M Ag KAu
Cl4 であった。
【0184】増感K−1及びK−2の性能の比較を、表
XVにまとめて示す。
【0185】 表XV エピタキシーにおける種々のヨウ化物の性能比較 公称 コントラスト エピタキシー 正規化 ハロゲン化物 Dmin スピード コントラスト 粒状度* C1 0.09 100 0.51 対照 C1 0.42 Br 0.42 I 0.16 0.08 106 0.56 −3.5g.u. *最小粒状度付近の4露光量を越えるステップの読み取り値の平均 表XVから、ハロゲン化銀エピタキシーにおける臭化物
及びヨウ化物の増加により、コントラストが増加し粒状
度が低下したことが明らかである。
【0186】ドーパントの検討 相反則不軌道の減少 乳剤L (ヨウ化物バンド、ドーパント含まず) 2.38MのAgNO3 及び2.38MのNa(Br
0.950.05)の水溶液を、50℃で0.25分かけ、各
々105.6mL/分でダブルジェット法で、酸化メチ
オニン石灰処理骨ゼラチン3.84g/L、消泡剤及び
溶液pHを2.0の値に調整するのに十分なH2 SO4
を含有する0.0048MのNaBr6.56L中に導
入した。核形成及び14分の保持期間の後に、さらに酸
化メチオニンゼラチン(70g)を、塩基性水溶液中に
添加して、この添加後のpHを6.0(50℃)に高め
た。次に、核形成後19分で、1.95まで低下させる
のに十分な量の1.0MのNaBr溶液を添加した。総
銀量の75%を占める低ヨウ化物内部領域それに続けて
形成された総銀量の最後の25%を占める周辺領域を得
るために、粒子成長は、87分かけ50℃でヨウ化物源
として用いるAgI(リップマン)流を、2.38Mの
AgNO3 及び2.38MのNaBr試薬と併用して、
導入するヨウ化物濃度を12M%まで増加することによ
り行い、約4.5M%の全ヨウ化物平均含有量を得た。
最初の20.33分の沈殿は、pBrを1.95〜1.
7まで徐変(グラデーション)させて行った。その後は
pBrを一定に維持した。最初の59.83分の沈殿
(総銀量の75%を占める)は、11.0から76.8
mL/分へのAgNO3 流速線状ランプ(ramp)を
用いて行った。銀導入の最後の25%では、硝酸銀の流
速は、27.23分をかけて16.3〜47.3mL/
分まで上昇させ、そしてリップマン添加速度は銀に基づ
いて公称12M%のヨウ化物濃度を維持するように調整
した。この乳剤を次に限外濾過により洗浄し、次いでp
H及びpBrを調整してそれぞれ6.0及び3.4の貯
蔵値とした。
【0187】SEM分析によれば、1.29μmのEC
D(COV=60%)及び0.053μmの平均粒子厚
さであった。これらの平板状粒子は総粒子投影面積の>
95%の割合を占めていた。
【0188】乳剤M(ヨウ化物バンド、Irドーピン
グ) 70モル%の総銀量が導入された後に、そして銀及びハ
ロゲン化物の添加を中断することなく、乳剤を形成する
総銀1モル当たり0.05mgの量のK2 IrCl6
水溶液中に導入した以外は、乳剤Lの調製を反復した。
SEM分析によれば、乳剤粒子の物理的大きさは本質的
に不変のままであった。平均粒子ECDは1.24μm
であり、平均粒子厚さは0.055μmであった。総粒
子投影面積の%としての評価した平板状粒子投影面積は
不変であった。
【0189】増感及び評価 乳剤L及びMを同じように以下のようにして増感した:
乳剤試料1モルを40℃に加熱し、次いでAgNO3
びKI(モル比1:0.12)の同時添加により、その
pBrを約4に調整した。次に前記のpBr調整前に存
在した銀量に基づいて2M%のNaC1を添加した。赤
色分光増感剤、色素1及び色素8、アンヒドロ−5,
5’−ジクロロ−9−エチル−3,3’−ビス(2−ヒ
ドロキシ−3−スルホプロピル)チアカルボシアニン
トリエチルアンモニウム塩を、次に1.9mmol/M
Agの総モル濃度で添加した(色素1:色素8のモル
比1:4)。次の銀塩エピタキシーは、平板状粒子を形
成する銀量に基づいて6モル%の量付着した。このこと
は、CaCl2 、NaBr、AgIリップマン(Cl:
Br:Iのモル比 42:42:16)及びAgNO3
を逐次導入することにより行った。各溶液は3分以内に
導入した。得られた試料は大部分の平板状粒子コーナー
にエピタキシーを示した。
【0190】最適レベルの化学増感を得る目的で、次に
エピタキシャル増感乳剤を少部分に分割した。各試料に
60mg/AgモルNaSCN、イオウ増感剤としての
増感剤1、金増感剤としての増感剤2、8mg/Agモ
ルAPMT及び2.25mg/Agモルのビス(p−ア
セトアミドフェニル)ジスルフィドを添加した。増感剤
を添加した乳剤を55℃まで25分間加熱した。40℃
まで冷却後、114.4mgのさらなるAPMTを添加
した。各種レベルの増感剤1及び2から最適増感を求
め、以下の評価の基準とした。
【0191】得られた増感乳剤を、灰色銀ハレーション
防止層を被覆したセルロースアセテートフィルム支持体
上に塗布し、次いで乳剤総を1.0761g/m2 の界
面活性剤含有ゼラチン層及び総ゼラチン重量基準で1.
75重量%のビス(ビニルスルホニル)メタン硬化剤で
オーバーコートした。乳剤塗布量は0.646gAg/
2 であり、乳剤層はまた0.646gのカプラー1及
び0.21g/m2 のカプラー2を5.65mg/m2
の5−ブロモ−4−ヒドロキシル−6−メチル−1,
3,3a,7−テトラアザインデン トリエチルアンモ
ニウム塩及び界面活性剤と共に含有した。総ゼラチン量
は2.15g/m2 に達した。
【0192】乳剤L及びMを、乳剤Aと同様に露光し次
いで処理した。但し、異なる試料も、10- 5 〜1秒間
露光して、相反則不軌を検討した。表XVIにおいて、
10 - 5 秒露光及び10- 1 秒露光について観察された
スピードの差を、最小濃度より0.15、0.35、
0.55、0.75、0.95及び1.15高い濃度に
おいて示す。負の値は、より短い露光時間でスピードが
より低いことを示し、これは高照度相反則不軌を示して
いる。理想的には、相反則によれば、同じ露光量値(I
×t、ここで、Iは露光強度であり、tは露光時間であ
る)では、Iとtを変化させた場合同じスピードでなけ
ればならない。したがって、スピード変化(Δlog
E)0(ゼロ)は、写真の理想(相反則不軌がない)を
表す。
【0193】 表XVI イリジウムドーピングの相反則に及ぼす影響 ホスト中の K2I rCl6 Dmin上の濃度でのΔスピード 乳剤 mg/モル Ag Dmin 0.15 0.35 0.55 0.75 0.95 1.15 L 0 0.19 −0.08 −0.12 −0.15 −0.08 −0.22 −0.29 M 0.05 0.19 −0.05 −0.04 −0.03 −0.02 −0.02 −0.05 表中のデータが示すように、Irドーピング乳剤M(好
ましいゼロ近似スピードデルタにより示す)の相反則応
答が全体に改良されたばかりでなく、コントラスト相反
則が特に改良された。徐々に高くなる濃度での乳剤Lに
おける漸増するデルタは、Dminより0.15上のス
ピード点での閾値スピード相反則不軌よりコントラスト
相反則不軌がより強いことを表している。
【0194】極薄平板状粒子の浅い電子トラップドーパ
ント 乳剤N (ドーパント含まず) ヨウ臭化銀(2.6M%I,均一分布)乳剤を、Ant
oniades等が乳剤TE−4〜TE−11の沈殿に
用いたものと同様の操作により沈殿させた。平板状粒子
が総粒子投影面積の99%を超える割合を占めた。粒子
の平均ECDは2.45μmであり、粒子の平均厚さは
0.051μmであった。粒子の平均アスペクト比は4
8であった。この乳剤の沈殿中はドーパントを導入しな
かった。
【0195】乳剤0〜Y 一連の乳剤を乳剤Nと同様に調製した。但し、核形成に
続いて、平板状粒子厚さを最小にするために長時間の粒
子成長にわたってドーパントを極薄平板状粒子に添加し
た。核形成の前にドーパントを反応容器に導入すること
を試みたが、極薄平板状粒子の厚さ増加を招き、高濃度
のドーパントでは0.07μmを超える厚さの平板状粒
子が形成した。乳剤Q以外のすべての乳剤は、乳剤Nと
同一のヨウ化物含有量及びプロフィールを有した。乳剤
Qは、0.2〜55%の銀添加の間にヨウ化物を添加せ
ず、残りの沈殿について2.6M%でヨウ化物を導入す
ることにより沈殿させた。
【0196】結果を表XVIIに示す。ドーパント濃度
はAgのミリオンモル部当たりの添加ドーパントのモル
部(mppm)として表す。プロフィール%とは、最初
及び最後のドーパント導入での反応容器中に存在する総
銀量の%に対して、ドーパント導入の差を意味する。
【0197】 表XVII 局在 ドーパント ドーパント ドーパント 粒子 平均 の総量 の濃度 プロフィール 厚さ アスペクト 乳剤 (mppm) (mppm) (%) (μm) O 50 63 0.2 〜 80 0.050 48 P 110 138 0.2 〜 80 0.051 48 Q 110 275 0.2 〜 40 0.049 44 R 110 275 0.2 〜 40 0.050 46 S 110 275 40 〜 80 0.051 48 T 110 275 60 〜 100 0.049 51 U 110 550 60 〜 80 0.049 49 V 220 275 0.2 〜 80 0.050 45 W 220 1100 60 〜 80 0.050 50 X 440 550 0.2 〜 80 0.052 45 Y 880 1100 0.2 〜 80 0.053 49
【0198】増感及び評価 乳剤N〜Yを、同じように次のようにして化学増感及び
分光増感した:150mg/AgモルNaSCN、2.
1ミリモル/Agモルの色素2、20μモル/Agモル
増感剤1及び6.7μモル増感剤2を、乳剤に添加し
た。次に、乳剤を65°Cで15分間熱熟成した後、
0.45M%KI及びAgNO3 を添加した。
【0199】次に、増感乳剤の試料を、以下のように塗
布した:0.538gAg/m2 、2.152g/m2
ゼラチン(最初の乳剤から半分及び半分を添加)、0.
968g/m2 カプラー1及び1g/Agモル4−ヒド
ロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザイ
ンデン(Na+ 塩)。この乳剤層を1.62g/m2
ラチン及び乳剤とオーバーコート層における総ゼラチン
基準で1.75重量%のビス(ビニルスルホニル)メタ
ンでオーバーコートした。
【0200】乳剤塗膜を、Wratten(商標)23
Aフィルター(>560nm透過)を介して、5500
°K昼光で1/100秒間露光し、Kodak Fle
xicolor(商標)C41カラーネガプロセスで3
分15秒間処理した。スピードを最小濃度より0.15
高い濃度で測定した。センシトメトリー性能を、表XV
IIIにまとめて示す。
【0201】 表XVIII ドーパントによるスピード増加 ドーパント プロフィール 相対対数 乳剤 (mppm) スピード L 無 −− 210 T 110 60〜100 223 U 110 60〜80 222 V 220 0.2〜80 228 W 220 60〜80 229 X 440 0.2〜80 233 Y 880 0.2〜80 233
【0202】表XVIIIから明らかなように、浅い電
子トラップドーパントにより、スピードが0.13lo
gEから0.23logEに増加した。さらに、ドーピ
ングした乳剤(乳剤V)を2分間だけ処理したとき、ド
ーピングなしの対照乳剤(乳剤N)のスピードに等しい
スピードが実現できた。異なる処理時間での塗膜の写真
スピードを、表XIXにまとめて示す。
【0203】 表XIX 加速現像での感度の保持 相対対数スピード 相対対数スピード 乳剤 2分C41 3分15秒C41 N 193 210 V 210 228
【0204】表XIXから明らかなように、乳剤Vにお
けるドーパントにより、スピードの目立った低下なしに
処理時間を3分15秒から2分に減少できた。このよう
に、浅い電子トラップにより付与されたスピードについ
ての利点を、別途、現像を加速することに利用できる。
4 Ru(CN)6 のレベルを400mppmを超えて
増加したとき、最小濃度の増加が観察された。しかしな
がら、これはカブリ防止剤を添加することにより容易に
制御できることが観察された。上記乳剤N〜Yと同様に
調製し且つK4Ru(CN)6 を440ppm含有する
極薄平板状粒子乳剤に、20mg/Agモル3−(2−
メチル−スルファモイル)ベンゾチアゾリウムテトラフ
ルオロボーレートカブリ防止剤を塗布したとき、その最
小濃度は同一塗膜でカブリ防止剤を欠いているものと比
較して0.07減少した。上記乳剤N〜Yと同様に調製
し且つK4 Ru(CN)6 を880ppm含有する極薄
平板状粒子に1.55mg/Agモル4−カルボキシメ
チル−4−チアゾリン−2−チオンカブリ防止剤を塗布
したとき、その最小濃度は、同一塗膜でカブリ防止剤を
欠いているものと比較して0.29減少した。このよう
に、カブリ防止剤が最小濃度を減少するのに有用な場
合、浅い電子トラップドーパントが比較的高濃度である
のが有用であり、別の方法で実現できるよりも大きくス
ピードを増加できる。
【0205】浅い電子トラップ含有平板状粒子上のエピ
タキシーによるスピード増加 乳剤Z 極薄平板状粒子乳剤をAgBrを沈殿させて、銀量に基
づいて最初の55%の粒子を形成し、次いでAgBrI
を沈殿させて残りの粒子構造を形成することにより調製
した。110mppmK4 Ru(CN)6 を添加しその
間に総銀量の0.2〜40%を占める銀を導入すること
により浅い電子トラップを導入した。
【0206】以下の沈殿操作を用いた:高効率の攪拌機
を備えた反応容器に、酸化メチオニンゼラチン7.5g
及び消泡剤0.7mLを含む蒸留水6Lを添加した。反
応容器中の溶液を45℃、pH1.8及びpAg9.1
に調整した。粒子核形成中、AgNO3 12ミリモル及
びハロゲン化イオン、NaBr及びKI(モル比 9
8.5:1.5)12ミリモルを同時に別々の溶液とし
て一定流速で4秒間かけて添加した。反応容器中の温度
を60℃まで上昇させ、次いで蒸留水750mL中の酸
化メチオニンゼラチン100gを反応容器に添加した。
pHをNaOHを用いて5.85にそしてpAgを9.
0に調整した。第一成長段階において1.6M AgN
3 溶液0.83モル及び1.75M NaBr溶液
0.808モルを反応溶液に一定流速で40分間かけて
添加した。乳剤のpAgをNaBrを用いて60℃で
9.2に調整した。第二成長段階においては、第一成長
段階において用いた同一の銀溶液及び臭化物溶液を用い
て沈殿を続行したが、各溶液の流速は57分間で12c
c/分〜96cc/分に加速した。0.2〜40%(導
入したAgに基づいて)の沈殿の期間に、K4 Ru(C
N)6 110mppm(Agに基づいて)を臭化物溶液
と共に均一に添加した。銀導入の55〜100の期間に
AgIリップマン乳剤を臭化物溶液の流速と比例する流
速で添加して、Br:Iのモル比を97.4:2.6を
維持した。乳剤の総沈殿量は6モルであった。沈殿後、
この乳剤を凝集洗浄した。
【0207】乳剤を分割し、その両部分を乳剤L及びM
と同様に増感に付した。但し、(a)一方の部分はエピ
ターキシーを受けず、(b)他方の部分は以下のバリエ
ーションを施した:Agモル1モル当たり60mgのN
aSCN、2.4ミリモル/Agモルの色素2及び0.
08ミリモル/Agモルの色素9;5−ジ(1−エチル
−2(1H)−β−ナフト−チアゾリデネン)イソプロ
ピリデン−1,3−ジ(β−メトキシエチル−バルビツ
ル酸、21μモルの増感剤1、7.0μモルの増感剤2
を乳剤に添加し、次に、乳剤を65°Cで15分間熱熟
成した。次に、乳剤部分を、乳剤L及びMと同様に塗布
したエピタキシーを施した増感試料部分及びエピタキシ
ーなしの増感試料部分を、検量中性濃度ステップタブレ
ットを介して365nm光源を用いて100分の1秒間
露光した。エピタキシーを施した増感試料部分及びエピ
タキシーなしの他の増感試料部分を、Wratten
(商標)23Aフィルター(>560nm透過)を介し
て、5500°K昼光に露光した。露光試料を、Kod
ak Flexicolor(商標)C41カラーネガ
プロセスで3分15秒間処理した。
【0208】365nmで露光したエピタキシャル増感
乳剤試料は、対応するエピタキシーなしの試料より0.
65logE感度が高かった。>560nm光に露光し
たエピタキシャル増感乳剤試料は、対応するエピタキシ
ーなしの試料より0.69logE感度が高かった。こ
のことは、浅い電子トラップそれ自身がスピードを増加
することができるが、エピタキシーは、このスピード増
加にさらに大幅なスピード増加を加えることを実証する
ものである。
【0209】<追加の実施態様記> <態様1> 前記中央領域が、外側配置領域の半分未満
のヨウ化物濃度を有し、そして外側配置領域より少なく
とも1モル%低いヨウ化物濃度を有することをさらに特
徴とする請求項1記載の乳剤。 <態様2> 前記銀塩が、平板状粒子の端部及びコーナ
ーの少なくとも一つに隣接して主に配置されていること
をさらに特徴とする請求項1又は態様1記載の乳剤。
【0210】<態様3> 前記銀塩が、塩化銀を含んで
なることをさらに特徴とする態様2記載の乳剤。 <態様4> 前記銀塩が、臭化銀を含んでなることをさ
らに特徴とする態様2記載の乳剤。 <態様5> 前記中央領域が、10モル%未満のヨウ化
物を含むことをさらに特徴とする請求項1及び態様1〜
4のいずれか1項記載の乳剤。
【0211】<態様6> 前記中央領域が、8モル%未
満のヨウ化物を含有し、そして銀塩を平板状粒子の端部
及びコーナーの少なくとも一つに隣接してエピタキシャ
ル配置するための部位指向体を平板状粒子の主面に吸着
させることをさらに特徴とする態様5記載の乳剤。 <態様7> 前記中央領域が、6モル%未満のヨウ化物
を含むことをさらに特徴とする態様6記載の乳剤。
【0212】<態様8> 前記平板状粒子が、総粒子投
影面積の97%を超える割合を占めることをさらに特徴
とする請求項1及び態様1〜7のいずれか1項記載の乳
剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 359251 (32)優先日 1994年12月19日 (33)優先権主張国 米国(US) (72)発明者 ジョセフ チャールズ ディートン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14617, ロチェスター,ノブ ヒル 37 (72)発明者 ティモシー リチャード ジャージー アメリカ合衆国,ニューヨーク 14609, ロチェスター,アルフォード ストリート 53 (72)発明者 ジョセフ ジョージ ライトハウス アメリカ合衆国,ニューヨーク 14626, ロチェスター,カントリー シャー ドラ イブ 133 (72)発明者 ミラ トフォロン オルム アメリカ合衆国,ニューヨーク 14580, ウェブスター,ウィクリフ ドライブ 181 (72)発明者 シン ウェン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14618, ロチェスター,ティルストーン プレース 70 (72)発明者 ロバート ドン ウィルソン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14612, ロチェスター,シーファラーズ レーン 133

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i) 分散媒、 (ii) (a){111}主面を有し、(b)銀に対して
    70モル%を超える臭化物及び少なくとも0.25モル
    %のヨウ化物を含有し、(c)総粒子投影面積の90%
    を超える割合を占め、(d)平均等価円直径が少なくと
    も0.7μmであり、(e)平均厚さが0.07μm未
    満であり、そして(f)潜像形成性化学増感部位を平板
    状粒子の表面に有する、平板状粒子を含むハロゲン化銀
    粒子、 (iii) 乳剤の写真応答を向上させるに十分な、前記主面
    の間に広がる中央領域を有する前記平板状粒子の少なく
    とも一部であって、前記中央領域が、同様に前記主面の
    間に広がり、そして平板状粒子の端部及びコーナーを形
    成する外側配置領域より低いヨウ化物濃度を有するもの
    である平板状粒子の少なくとも一部、並びに (iv) 前記平板状粒子の少なくとも主面に吸着した分光
    増感色素、を含んでなる改良輻射線感受性乳剤であっ
    て、 前記表面化学増感部位が、前記平板粒子上にエピタキシ
    ャル配置され且つ前記平板粒子の外側配置領域に限定さ
    れた少なくとも一種の銀塩を含むことを特徴とする輻射
    線感受性乳剤。
  2. 【請求項2】 支持体、 前記支持体上に塗布され、そして500〜700nmの
    マイナスブルー可視波長領域内のスペキュラー光に露光
    したときに写真記録が生成するように増感された第一ハ
    ロゲン化銀乳剤層、及び第一ハロゲン化銀乳剤層の露光
    を目的としたスペキュラーマイナスブルー光を受光する
    第一ハロゲン化銀乳剤層上に塗布された、第二写真記録
    を生成することができる第二ハロゲン化銀乳剤層であっ
    て、スペキュラー光の形態で第一ハロゲン化銀乳剤の露
    光を目的としたマイナスブルー光の少なくとも一部分の
    デリバリー用透過媒体として作用することができる前記
    第二ハロゲン化銀乳剤層、を含んでなる写真要素であっ
    て、 前記第二ハロゲン化銀乳剤層が請求項1に記載の改良乳
    剤を含んでなることをさらに特徴とする写真要素。
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