JPH08171161A - 輻射線感性乳剤 - Google Patents

輻射線感性乳剤

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JPH08171161A
JPH08171161A JP21768595A JP21768595A JPH08171161A JP H08171161 A JPH08171161 A JP H08171161A JP 21768595 A JP21768595 A JP 21768595A JP 21768595 A JP21768595 A JP 21768595A JP H08171161 A JPH08171161 A JP H08171161A
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silver halide
silver
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tabular
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Richard L Daubendiek
リー ドーベンディーク リチャード
Donald Lee Black
リー ブラック ドナルド
Joseph C Deaton
チャールズ ディートン ジョセフ
Timothy R Gersey
リチャード ジャージー ティモシー
Joseph G Lighthouse
ジョージ ライトハウス ジョセフ
Myra T Olm
トフォロン オルム ミラ
Xin Wen
ウェン シン
Don Wilson Robert
ドン ウィルソン ロバート
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    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/06Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein with non-macromolecular additives
    • G03C1/08Sensitivity-increasing substances
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真用平板状粒子乳剤の性能を改善するこ
と。 【解決手段】 分散媒と、特定の平板状粒子を含むハロ
ゲン化銀粒子と、該平板状粒子の表面に吸着した分光増
感色素とを含む輻射線感性乳剤。前記表面化学増感部位
は、前記平板状粒子とのエピタキシャル接合部を形成す
るハロゲン化銀突起部を含み、前記突起部は、前記平板
状粒子の表面積の最大で50%を占めるように配置さ
れ、前記平板状粒子の少なくとも前記突起部とのエピタ
キシャル接合部を形成する部分よりも高い全体溶解度を
示し、面心立方晶格子を形成し、そして特定の配位錯体
を含むスピード向上性のドーパントを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀写真
に関する。より詳細には、本発明は、改良された分光増
感ハロゲン化銀乳剤及びこれらの乳剤の一種以上を含有
する多層写真要素に関する。
【0002】
【従来の技術】米国特許第4,439,520号明細書
(Kofron等)は、現在の高性能ハロゲン化銀写真
時代の到来を告げた。Kofron等は、直径が少なく
とも0.6μmで厚さが0.3μm未満である平板状粒
子が8よりも高い平均アスペクト比を示し且つ全粒子投
影面積の50%を超える割合を占める化学増感及び分光
増感された平板状粒子乳剤に関する注目すべき写真上の
利点を開示し且つ示した。示されている多数の乳剤のう
ち、これらの数値パラメータの一つ以上が、上記要件を
はるかに超えることがよくあった。Kofron等は、
種々の態様の一つ以上に開示されている化学増感及び分
光増感乳剤がカラー写真及び黒白写真(間接放射線写真
を含む)に有用であろうことを認識していた。黒白像形
成用途のためのオルソクロマチック及びパンクロマチッ
ク分光増感だけでなく、可視スペクトルの全ての部分及
びより長波長での分光増感も試みられた。Kofron
等は、一種以上の分光増感色素とミドルカルコゲン(例
えば、イオウ)及び/もしくは貴金属(例えば、金)化
学増感との組み合わせを用いた。しかしながら、Kof
ron等は、さらに別の常用の増感法、例えば還元増感
法も教示している。
【0003】Kofron等の教示について初期の相互
参照変更態様は、米国特許第4,435,501号明細
書(Maskasky)(以下、「Maskasky−
I」と称する)により提供された。Maskasky−
Iは、ホスト平板状粒子の表面に吸着したヨウ化物イオ
ン、アミノアザインデンもしくは選択された分光増感色
素等の部位指向体(site director)が、
銀塩エピタキシーをホスト粒子の選択された部位、典型
的にはエッジ及び/もしくはコーナーに向けることがで
きることを認識していた。銀塩エピタキシーの組成及び
部位に応じて、スピードの顕著な増加が認められた。M
askasky−Iが報告した最高の写真スピード及び
最高に制御された部位付着(例、角部に特異的なエピタ
キシー配置)が、ヨウ臭化銀平板状粒子上に塩化銀をエ
ピタキシャル付着させることによって得られた。
【0004】Maskasky−Iは、第26欄の第7
〜28行において、銀塩エピタキシー用の代わりとなる
各種ドーパントと、それらドーパントが付与しうる様々
な効果について開示している。Maskaskyの米国
特許第4,471,050号明細書(以降、Maska
sky−IIと称する)に、非同形銀塩を、補助的な部
位ディレクターに頼ることなくハロゲン化銀ホスト粒子
の縁部に選択付着させられることが記載されている。こ
の非同形銀塩には、チオシアン酸銀、β相ヨウ化銀(六
方ウルツ鉱型結晶構造を示す)、γ相ヨウ化銀(亜鉛ブ
レンド型結晶構造を示す)、リン酸銀(メタリン酸及び
ピロリン酸を含む)並びに炭酸銀がある。これら非同形
銀塩の中で、写真ハロゲン化銀に見られるタイプの面心
立方晶構造、すなわち岩塩型の同形面心立方晶構造を示
すものはない。実際、非同形銀塩エピタキシーによって
得られるスピードの向上は、比較できる同形銀塩エピタ
キシャル増感によって得られるスピード向上よりもはる
かに小さいものであった。
【0005】ハロゲン化銀乳剤用の浅い電子捕獲性(S
ET)部位を提供するドーパントが、Research
Disclosure(第367巻、1994年11
月、アイテム36736)に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般の平板状粒子乳剤
の数多くの利点、及びそれらが用いられているカラー写
真要素の特別な改良にもかかわらず、当該技術分野にお
いて得ることのできなかった平板状粒子乳剤における性
能向上に対する満たされてない必要性が残っている。具
体的には、スピードと粒状度の関係が改良される、すな
わちスピードの増加、粒状度の低下又はその両方の組合
せを可能にする平板状粒子乳剤に対するニーズが存在す
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】一つの態様によれば、本
発明は、(1)分散媒と、(2)(a){111}主面
を有し、(b)銀に対して、70モル%を超える臭化物
と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、(c)全粒
子投影面積の90%を超える割合を占め、(d)平均等
価円直径が0.7μm以上であり、(e)平均厚さが
0.07μm以上、0.3μm未満であり、そして
(f)表面に潜像形成性の化学増感部位を有する平板状
粒子を含むハロゲン化銀粒子と、(3)該平板状粒子の
表面に吸着した分光増感色素とを含む改良された輻射線
感性乳剤であって、前記表面化学増感部位は、前記平板
状粒子とのエピタキシャル接合部を形成するハロゲン化
銀突起部を含み、前記突起部は、前記平板状粒子の表面
積の最大で50%を占めるように配置され、前記平板状
粒子の少なくとも前記突起部とのエピタキシャル接合部
を形成する部分よりも高い全体溶解度を示し、面心立方
晶格子を形成し、そして(a)前記突起部のハロゲン化
銀結晶格子内のイオンを置換し且つその置換されるイオ
ンの正味の原子価よりも正側の正味の原子価を示し、
(b)いずれのハロゲン化物イオンよりも電気的陰性が
大きい少なくとも1種の配位子を含有し、(c)+2〜
+4の正の原子価を有し且つ最高エネルギー電子被占軌
道が満たされている金属イオンを含有し、そして(d)
最低エネルギー非被占軌道が前記突起部を形成するハロ
ゲン化銀結晶格子の最低エネルギー伝導帯よりも高いエ
ネルギーレベルにある配位錯体を含むスピード向上性の
ドーパントを含むことを特徴とする輻射線感性乳剤が提
供される。
【0008】
【発明の実施の形態】まったく意外なことに、ハロゲン
化銀エピタキシーによって平板状粒子乳剤に付与された
スピードの増加を、そのハロゲン化銀エピタキシー内に
浅い電子捕獲性部位を提供するように選ばれたドーパン
トを使用することによって、さらに増加できることが認
められた。このことは、より高いスピード、より低い粒
状度又はその両方の組合せを得ることに適用可能なより
良好なスピード−粒状度関係を示す平板状粒子乳剤を必
要とする当該技術分野の問題を解決することになる。
【0009】本発明は分光増感写真乳剤の改良に関す
る。この乳剤はカメラスピードのカラー写真フィルムへ
の組み込みを特に意図している。本発明の乳剤は、平板
状粒子が、(a){111}主面を有し、(b)銀に対
して、70モル%を超える臭化物と0.25モル%以上
のヨウ化物を含有し、(c)全粒子投影面積の90%を
超える割合を占め、(d)平均等価円直径(ECD)が
0.7μm以上であり、そして(e)平均厚さが0.0
7μm以上、0.3μm未満である、常用のいずれの平
板状粒子乳剤を化学的及び分光的に増感することによっ
ても実現することができる。
【0010】上記基準(a)〜(e)を満たす平板状粒
子乳剤は、本発明の主題であるその増感とは別に、常用
のものである。これらの基準を満たす平板状粒子乳剤に
ついての代表的な教示を以下に示す。Wilgusらの
米国特許第4,434,226号明細書;Kofron
らの米国特許第4,439,520号明細書;Daub
endiekらの米国特許第4,414,310号明細
書;Solbergらの米国特許第4,433,048
号明細書;Yamadaらの米国特許第4,672,0
27号明細書;Sugimotoらの米国特許第4,6
65,012号明細書;Yamadaらの米国特許第
4,679,745号明細書;Maskaskyの米国
特許第4,713,320号明細書;Nottorfの
米国特許第4,722,886号明細書;Sugimo
toの米国特許第4,755,456号明細書;God
aの米国特許第4,755,617号明細書;Elli
sの米国特許第4,801,522号明細書;Iked
aらの米国特許第4,806,461号明細書;Oha
shiらの米国特許第4,835,095号明細書;M
akinoらの米国特許第4,835,322号明細
書;Daubendiekらの米国特許第4,914,
014号明細書;Aidaらの米国特許第4,962,
015号明細書;Ikedaらの米国特許第4,98
5,350号明細書;Pigginらの米国特許第5,
061,609号明細書;Pigginらの米国特許第
5,061,616号明細書;Tsaurらの米国特許
第5,147,771号明細書;Tsaurらの米国特
許第5,147,772号明細書;Tsaurらの米国
特許第5,147,773号明細書;Tsaurらの米
国特許第5,171,659号明細書;Suttonら
の米国特許第5,300,413号明細書;Delto
nの米国特許第5,310,644号明細書;Chan
gらの米国特許第5,314,793号明細書;Bla
ckらの米国特許第5,334,495号明細書;Ch
affeeらの米国特許第5,358,840号明細書
及びDeltonの米国特許第5,372,927号明
細書。
【0011】複数種のハロゲン化物を含有する粒子及び
乳剤について記述する際、ハロゲン化物は、濃度の上昇
順序で記載されている。カメラスピードフィルム用に
は、平板状粒子が、ヨウ化物を銀に対して少なくとも
0.25モル%(好ましくは少なくとも1.0モル%)
含有することが一般に好ましい。本発明の乳剤における
平板状粒子は、いずれの場合も、ヨウ化物を10モル%
未満で、好ましくは6モル%未満で、そして最適には4
モル%未満で含有する。平板状粒子に少量の塩化物イオ
ンを含めることは可能である。例えば、米国特許第5,
372,927号明細書(Delton)は、総銀に対
して塩化物0.4〜20モル%及びヨウ化物10モル%
以下を含有し、ハロゲン化物の残部が臭化物である平板
状粒子乳剤について記載している。
【0012】全粒子投影面積の少なくとも90%を占め
る平板状粒子は、銀に対して少なくとも70モル%の臭
化物と少なくとも0.25モル%のヨウ化物とを含有す
る。これらの平板状粒子は、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀
及び塩ヨウ臭化銀粒子を含む。平板状粒子の組成物につ
いての全ての文献は、ハロゲン化銀エピタキシーを排除
している。
【0013】平板状粒子内のヨウ化物は、常用のいずれ
の方法において均一に分布しても不均一に分布してもよ
い。例えば、先に引用したWilgusらの米国特許第
4,434,226号明細書やKofronらの米国特
許第4,439,520号明細書は、常用のヨウ化物が
均一なヨウ臭化銀平板状粒子乳剤について記載してい
る。先に引用したSolbergらの米国特許第4,4
33,048号明細書及びChangらの米国特許第
5,314,793号明細書は、ヨウ化物をヨウ臭化銀
平板状粒子において不均一に配置することが、粒状度を
増大させることなく写真スピードを増加させる上で特に
好ましいとしている。本発明の乳剤の平板状粒子では、
平板状粒子の少なくとも化学増感剤として付着されるハ
ロゲン化銀とのエピタキシャル接合部を形成する{11
1}主面間に拡がる部分が、ハロゲン化銀エピタキシー
よりもヨウ化物濃度が低いことが特に好ましい。最も好
ましくは、平板状粒子はハロゲン化銀エピタキシーより
も全体にわたりヨウ化物濃度が低いこと、また最適に
は、平板状粒子が含有する全ヨウ化物がハロゲン化銀エ
ピタキシーよりも少ないことである。
【0014】本発明の乳剤における平板状粒子は、全て
{111}主面を有している。このような平板状粒子
は、典型的には三角主面もしくは六角主面を有してい
る。これら粒子の平板状構造は平行双晶面を含むことに
起因している。
【0015】本発明の乳剤の平板状粒子は、全粒子投影
面積の90%を超える割合を占める。平板状粒子が全粒
子投影面積の97%を超える割合を占める平板状粒子乳
剤が好ましい。平板状粒子が全粒子投影面積の99%を
超える割合(実質的にすべて)を占めることが最も好ま
しい。この種の乳剤は、例えば、先に引用したTsau
rら及びDeltonに記載されている。平板状粒子が
全粒子投影面積の高い割合を占める乳剤を提供すること
は、特に多層カラー写真フィルムにおいて最大達成可能
像鮮鋭度レベルを達成するために重要である。また、銀
を効率的に利用することや最も望ましいスピード−粒状
度関係を達成することも重要である。
【0016】全粒子投影面積の90%を超える割合を占
める平板状粒子は、少なくとも0.7μmの平均ECD
を示す。平均ECDを少なくとも0.7μmに維持する
ことにより実現される利点は、Antoniades等
の米国特許第5,250,403号明細書の表III及
びIVに示されている。極めて大きな平均粒子ECDを
有する乳剤は科学的粒子研究用に調製されることがある
が、写真用途の場合、ECDは通常10μm未満であ
り、ほとんどの場合5μm未満である。中位〜高位の像
構造品質に関する最適ECD範囲は、1〜4μmの範囲
である。
【0017】本発明の平板状粒子乳剤において、全粒子
投影面積の90%を超える割合を占める平板状粒子は平
均厚さが0.07μm以上、0.3μm未満である。先
に引用したKofronらは、より大きな平板状粒子厚
さを有する乳剤が青露光を記録するには有用であると教
示しているが、それらはスペクトルのマイナスブルー
(すなわち、緑及び/又は赤)の部分で記録するには絶
対的に劣っている。より低い銀要件による像形成レベル
の効率化は、平均平板状粒子厚さを0.3μm未満に維
持し且つ分光増感色素を使用することによって実現でき
る。平板状粒子の最低平均厚さが0.07μm以上であ
る場合、平均粒子厚さが0.07μm未満の平板状粒子
乳剤を製造するのに必要であるよりもはるかに幅広い乳
剤調製法及び調製条件を利用することができる。
【0018】好ましい平板状粒子乳剤は、粒子間の変動
が低レベルに保持されているものである。平板状粒子の
90%を超える部分が六角主面を有することが好まし
い。好ましい平板状粒子乳剤は、ECDに対する変動係
数(COV)が25%未満、最も好ましくは20%未満
を示す。本明細書中の用語「COV」は、ECDの標準
偏差(σ)を平均ECDで割り算して100を乗じた値
である。
【0019】写真感度及び粒状度がどちらも平均粒子E
CDの増加とともに増加することが認識される。異なる
粒子ECDを有する最適増感乳剤の感度と粒状度の比較
から、当該技術分野では、スピードが2倍(即ち、スピ
ードで0.3logE増加、ここでEは露光量(ルクス
−秒)である)増加するごとに、同じスピード−粒状度
関係を示す乳剤の粒状度が7粒状度単位増加することが
立証されている。本発明の平板状粒子乳剤におけるより
大きなECD粒子が小さな割合でも存在すると、乳剤の
粒状度が顕著に増加しうることが観察された。COVを
制限すると存在する平板状粒子のECDが必ず平均値に
近くなるので、通常の解決策は低COV乳剤を使用する
ことである。
【0020】本発明によれば、COVは乳剤の粒状度を
判断する上での最良の手法ではない。低乳剤COV値を
必要とすると、平均粒子ECDよりも大きい粒子集団と
小さい粒子集団の両方が制限されるのに対して、粒状度
を高レベルにするのは前者の粒子集団のみである。総C
OV測定値に依存するのは、粒度−頻度分布は、分散が
広いか狭いかには無関係に、沈殿法に固有であり且つ容
易に制御できない正規誤差関数分布であるとの仮定の上
でのことである。常用の平板状粒子沈殿法を変更して、
乳剤の平均ECDよりも大きなECDを示す平板状粒子
の粒度−頻度分布を選択的に減少させることが特に意図
される。平均値よりも小さいECDを有する粒子の粒度
−頻度分布は対応して減少しないので、総COV値は認
知できるほどには減少しない。しかしながら、乳剤粒状
度を減少させることによる利点は明確に立証されてい
る。
【0021】平均ECDよりも大きい平板状粒子(以
下、「>平均ECD粒子」と称する)の粒度−頻度分布
における不均化サイズ範囲の減少は、以下の方法で平板
状粒子乳剤の沈殿法を変更することにより実現できるこ
とが判明した:即ち、平板状粒子の核形成を天然メチオ
ニン含量を減少させる処理をされていないゼラチン状解
こう剤を用いて行う一方、存在するゼラチン状解こう剤
及び後で導入したゼラチン状解こう剤のメチオニン分を
実質的に除去した後に粒子成長を行う。これを達成する
のに都合のよい手法は、核形成後で成長が進行する前に
メチオニン酸化剤を導入するに十分な程度に沈殿を中断
することである。
【0022】ゼラチン状解こう剤のメチオニンを酸化す
るための従来の手法のいずれをも用いることができる。
米国特許第4,713,320(Maskasky)
(以下、「Maskasky−III」と称する)は、
酸化によりメチオニン量を、ゼラチン1グラム当たり3
0μモル未満、好ましくは、強力な酸化剤を用いること
により12μモル未満に減少させることを教示してい
る。事実、Maskasky−IIIが用いる酸化剤処
理により、メチオニンが検出限界未満にまで減少する。
ゼラチン状解こう剤中のメチオニンを酸化するために用
いられる薬剤としては、例えば、NaOCl、クロラミ
ン、一過硫酸カリウム、過酸化水素及び過酸化物放出化
合物並びにオゾンが挙げられる。米国特許第4,94
2,120号明細書(King等)は、ゼラチン状解こ
う剤のメチオニン成分をアルキル化剤で酸化することを
教示している。ヨーロッパ特許出願第0434012号
明細書(Takada等)は、次式のうちの一つで表さ
れるチオスルホネートの存在下での沈殿を開示してい
る: (I) R−SO2 S−M (II) R−SO2 S−R1 (III) R−SO2 S−Lm−SSO2 −R2 (式中、R、R1 及びR2 は同一もしくは異なり、脂肪
族基、芳香族基もしくは複素環式基であり、Mはカチオ
ンであり、Lは二価の結合基であり、そしてmは0もし
くは1であるが、但しR、R1 、R2 及びLは結合して
環を形成する)。ゼラチン状解こう剤には、ゼラチン、
例えば、アルカリ処理ゼラチン(家畜、骨もしくは皮ゼ
ラチン)もしくは酸処理ゼラチン(豚の皮ゼラチン)及
びゼラチン誘導体、例えば、アセチル化もしくはフタル
化ゼラチンが含まれる。
【0023】本発明の化学増感及び分光増感は、Mas
kasky−Iに記載されている最良の化学増感及び分
光増感を改善するものである。本発明を実施する際、平
板状粒子は、化学増感中に、エピタキシャル付着された
ハロゲン化銀を受けて平板状粒子表面の特定の部位に突
起物を形成する。この突起物は、平板状粒子の、少なく
ともエピタキシャル付着ホスト部位として働く部分、す
なわち付着されるハロゲン化銀とのエピタキシャル接合
部を形成する部分、を形成するハロゲン化銀よりも高い
全体溶解度を示す。「より高い全体溶解度」とは、その
突起部を形成するハロゲン化銀の平均溶解度がその平板
状粒子のホスト部を形成するハロゲン化銀のモル分率荷
重平均溶解度よりも高くなければならないことを意味す
る。温度範囲0〜100℃におけるAgCl、AgBr
及びAgIの水中での溶解度積がMeesの「The
Theory of the Photographi
cProcess」(第3版、Macmillan、N
ew York(1966))の第6頁、表1.4に報
告されている。例えば、一般的な乳剤調製温度である4
0℃では、AgClの溶解度積は6.22×10-10
AgBrは2.44×10-12 そしてAgIは6.95
×10-16 である。ハロゲン化銀の溶解度の差が大きい
ため、エピタキシャル付着するハロゲン化銀は、圧倒的
大多数の場合において、ホスト平板状粒子のエピタキシ
ャル付着を受ける部分よりも低いヨウ化物濃度を示さな
ければならないことは明白である。エピタキシャル付着
される突起部が平板状粒子の少なくとも突起部が付着す
る部分よりも高い全体溶解度を示さなければならないと
いう要件により、平板状粒子からハロゲン化物イオンが
置換されることが減り、よって粒子の平板形状の崩壊が
回避される。
【0024】Maskasky−Iは、ヨウ臭化銀平板
状粒子の特定部位にエピタキシャル付着する際に銀イオ
ンと塩化物イオンをダブルジェット注加すると写真感度
が最も高くなることを観測した。本発明の実施では、ど
の場合も、ハロゲン化銀突起部がホスト平板状粒子より
も10%以上、好ましくは15%以上、最適には20%
以上高い塩化物濃度を示すように析出させることが考え
られる。より正確には、平板状粒子のエピタキシャル接
合部を形成する部分における塩化物イオン濃度に対する
ハロゲン化銀突起部における塩化物濃度をさすべきであ
ろうが、平板状粒子の塩化物イオン濃度は実質的に均一
である(すなわち、平均レベルにある)か、又はエピタ
キシャル接合領域におけるヨウ化物の置換のため若干低
下すると考えられるので、必ずしも必要ではない。
【0025】Maskasky−Iの教示とは対照的
に、エピタキシャル付着を行うと同時に平板状粒子乳剤
に銀イオン及び塩化物イオンと共にヨウ化物イオンを添
加することによって、写真スピード及びコントラストが
改善されうることが認められた。このことは、銀イオン
及び塩化物イオンの添加工程中にヨウ臭化銀ホスト平板
状粒子から移行する低レベル(実質的に1モル%未満)
のヨウ化物を上回りエピタキシャル突起部におけるヨウ
化物濃度を上昇させることになる。エピタキシャル突起
部の面心立方晶格子構造のヨウ化物濃度の増加は写真性
能を改善するが、ハロゲン化銀突起部におけるヨウ化物
濃度を銀に対して少なくとも1.0モル%、好ましくは
少なくとも1.5モル%まで増加させることが好まし
い。臭化物イオンを塩化物イオン及びヨウ化物イオンと
一緒に添加すると、ハロゲン化銀エピタキシーに含まれ
うるヨウ化物量を増加させると同時に、意外なことに、
臭化物量の増加が、ヨウ化物包含量の増加による写真ス
ピード及びコントラストの増大を差し引くことはない。
臭化銀と塩化銀におけるヨウ化銀の一般に認められてい
る溶解度は総銀量に対してそれぞれ40モル%及び13
モル%であり、臭化銀と塩化銀の混合物はBr:Clの
モル比に依存して中間量のヨウ化銀を収容する。エピタ
キシーにおけるヨウ化銀を、エピタキシーにおける総銀
量に対して10モル%未満に維持することが好ましい。
さらには、ハロゲン化銀エピタキシーの全体溶解度を平
板状粒子のエピタキシャル付着のための付着部位として
働く部分の全体溶解度よりも高く維持することが好まし
い。混合ハロゲン化銀の全体溶解度は、個々のハロゲン
化銀の溶解度をモル分率荷重平均化したものである。
【0026】ハロゲン化銀エピタキシーが(1)ホスト
の平板状粒子とエピタキシャル付着した上記突起部との
間に塩化物濃度の大きな差を含み且つ(2)該突起部の
面心立方晶格子構造におけるヨウ化物包含量が高い場合
に、最高レベルの写真性能が実現されると考えられる。
【0027】先に具体的に記載した組成物の変更を受け
ることにより、化学増感及び分光増感の好ましい技法は
先に引用したMaskasky−Iに記載の技法と同じ
とすることができる。Maskasky−Iは、ホスト
平板状粒子表面の特定の部位にハロゲン化銀をエピタキ
シャル付着させることによる増感の改善を報告してい
る。Maskasky−Iは、観測されたスピード増加
を、ハロゲン化銀のエピタキシー付着をホスト平板状粒
子表面積の小さな領域に制限したためとしている。Ma
skasky−Iが教示するように、ハロゲン化銀エピ
タキシーを平板状粒子表面積の50%未満に、好ましく
はさらに制限することが考えられる。とりわけ、Mas
kasky−Iは、ハロゲン化銀エピタキシーをホスト
粒子表面積の25%未満、好ましくは10%未満、最適
には5%未満に制限することを教示している。Solb
ergら及びDaubendiekらIIが教示するよ
うに、平板状粒子がヨウ化物濃度の低い中央領域とヨウ
化物濃度の高い側部に配置された領域とを含む場合に
は、ハロゲン化銀エピタキシーを、典型的には平板状粒
子の縁部と角部を含む側部に配置された領域によって形
成される平板状粒子の部分に制限することが好ましい。
【0028】平板状粒子の部分によってヨウ化物濃度が
異なる場合には、エピタキシャル突起部のヨウ化物濃度
が、平板状粒子構造を破壊する恐れのない範囲でホスト
平板状粒子の全体平均濃度よりも高くなってもよいが、
但し、平板状粒子のエピタキシャル突起部の付着部位を
提供する部分のヨウ化物濃度はエピタキシャル突起部の
ヨウ化物濃度よりも高くなければならない。
【0029】Maskasky−Iのように、本発明の
実施には公称量のハロゲン化銀エピタキシー〔総銀(ホ
スト及びエピタキシーにおける銀を含む)に対して0.
05モル%程度〕が有効である。上記で説明したハロゲ
ン化銀エピタキシーによるホスト平板状粒子表面部被覆
量の増加と平板状粒子中の銀量の低下により、ハロゲン
化銀エピタキシーに存在する総銀の割合をより高めるこ
とができる。しかしながら、ハロゲン化銀エピタキシー
の割合を増加することにより得られる明確な利点がない
場合、ハロゲン化銀エピタキシーを総銀の50%までに
限定することが好ましい。一般的に、0.3〜25モル
%のハロゲン化銀エピタキシー濃度が好ましく、増感に
は濃度約0.5〜15モル%が一般的に最適である。
【0030】Maskasky−Iは、本発明の乳剤の
形成に適用できるハロゲン化銀エピタキシーによるホス
ト平板状粒子の表面部被覆を制限するための種々の手法
を教示している。Maskasky−Iは、ハロゲン化
銀エピタキシーを平板状粒子の縁部もしくは角部の方向
に向けることができる平板状粒子表面へ吸着した凝集形
態にある分光増感色素を用いることを教示している。J
−凝集形態でホスト平板状粒子表面へ吸着されるシアニ
ン色素は、特に好ましい種類の部位ディレクターを構成
する。また、Maskasky−Iは、アミノアザイン
デン類(例えば、アデニン)等の非色素吸着部位ディレ
クターを用いて、エピタキシーを平板状粒子の縁部もし
くは角部に向けることも教示している。さらに別の態様
では、Maskasky−Iは、ホスト平板状粒子内の
総ヨウ化物量を少なくとも8モル%として、エピタキシ
ーを平板状粒子の縁部もしくは角部に向けている。さら
に別の態様では、Maskasky−Iは、少量のヨウ
化物をホスト平板状粒子の表面に吸着して、エピタキシ
ーを粒子の縁部及び/もしくは角部に向けている。上記
の部位指向技法は、相互に互換性があり、本発明の特に
好ましい態様では組み合わせて用いられる。例えば、ホ
スト粒子におけるヨウ化物は、たとえ単独ではエピタキ
シーをホスト平板状粒子の縁部もしくは角部に向けるこ
とができる8モル%のレベルに達しないとしても、エピ
タキシーの位置決定において吸着表面部位ディレクター
(単一もしくは複数)(例えば、分光増感色素及び/も
しくは吸着ヨウ化物)とともに有効に作用することがで
きる。
【0031】ホスト平板状粒子へのハロゲン化銀エピタ
キシーの選択的部位付着により、像様露光での光子吸収
により放出された伝導帯電子に関する増感部位競争が低
減され、よって感度が向上することが一般的に認められ
ている。即ち、平板状粒子の主面の限定された部分への
エピタキシーは、主面の全部もしくはほとんどを覆うエ
ピタキシーよりも効率的であり、さらに好ましいのは、
ホスト平板状粒子の縁部に実質的に制限され、且つ主面
への被覆量が限定されるエピタキシーであり、さらに効
率的なのは、平板状粒子の角部にかもしくはその付近ま
たは別々に離散した部位に制限されるエピタキシーであ
る。ホスト平板状粒子それ自体の主面の角部の間隔は、
光電子競争をほぼ最大感度が実現できる程度に十分減少
させる。Maskasky−Iは、エピタキシャル付着
速度をゆっくりすることにより、ホスト平板状粒子への
エピタキシャル付着部位の数を減少できる。米国特許第
5,011,767号明細書(Yamashita等)
は、これをさらに進め、特定の分光増感色素とホスト粒
子1個当たり1個のエピタキシー接合を形成するための
条件を示唆している。Solberg等が教示している
ように、ホスト平板状粒子が側部に配置された領域にお
いてより高濃度のヨウ化物を含有する場合には、ハロゲ
ン化銀突起部をヨウ化物濃度の高い側部に配置された領
域に制限することによって写真性能の向上が認められ
る。
【0032】本発明の特別な認識は、先に記載した利点
と適合する写真性能の改善が、浅い電子トラップを形成
することによって写真スピードを増加させることができ
るドーパントを内蔵させることによって実現できる点で
ある。光子がハロゲン化銀粒子により吸収されると、電
子(以下、「光電子」と称する)が、ハロゲン化銀結晶
格子の価電子帯からその伝導帯に昇格されて、価電子帯
にホール(以下、「フォトホール」と称する)が生じ
る。粒子内に潜像部位を生じさせるには、1回の像様露
光で生成した複数の光電子が結晶格子内のいくつかの銀
イオンを還元してAg0 原子の小さなクラスターを形成
しなければならない。潜像が形成できる前の競争機構に
より光電子が散逸される程度まで、ハロゲン化銀粒子の
写真感度を減少させる。例えば、もし光電子がフォトホ
ールに戻るならば、そのエネルギーは潜像形成に寄与す
ることなく散逸される。
【0033】ハロゲン化銀エピタキシーをドープして、
より効率的に光電子を潜像形成に利用するのに寄与する
浅い電子トラップをその内部に生じさせることが考えら
れる。これは、面心立方晶格子に、結晶格子において置
換されるイオン(単一もしくは複数)の正味原子価より
も正である正味原子価を示すドーパントを導入すること
により達成される。例えば、可能な最も単純な形態で
は、ドーパントは結晶格子構造において銀イオン(Ag
+ )と置換する多価(+2〜+5)金属イオンであるこ
とができる。例えば一価Ag+ カチオンが二価カチオン
で置換されると、局部正味陽電荷を有する結晶格子が残
る。これにより、伝導帯のエネルギーが局部的に低下す
る。伝導帯の局部エネルギーが低下する量は、J.F.
Hamailton、Advances in Phy
sics、第37巻(1988年)、第395頁及びE
xcitonic Processes in Sol
ids、M.Ueta、H.Kanazaki、K.K
obayasi、Y.Toyozawa及びE.Han
amura、(1986年)、ベルリンにあるSpri
nger−Verlag社発行、第359頁に記載され
ているような有効質量近似を適用することにより推測で
きる。もし塩化銀結晶格子構造がドーピングにより+1
の正味陽電荷を受け取るならば、その伝導帯のエネルギ
ーはドーパント付近において約0.048電子ボルト
(eV)低下する。正味陽電荷が+2の場合、シフトは
約0.192eVである。臭化銀結晶格子構造の場合、
ドーピングにより付与された正味陽電荷+1により、伝
導帯エネルギーが局部的に約0.026eV低下する。
正味陽電荷が+2の場合、エネルギーの低下は、約0.
104eVである。
【0034】光の吸収により光電子が生じると、その光
電子はドーパント部位で正味陽電荷によって引き寄せら
れ、ドーパント部位に伝導帯エネルギーの局部減少に等
しい結合エネルギーで一時的に保持(即ち、結合もしく
は捕捉)される。より低エネルギーへの伝導帯の局部的
なたわみを生じさせるドーパントは、光電子をドーパン
ト部位に保持(トラップ)する結合エネルギーが電子を
ドーパント部位に永久的に保持するには不十分であるの
で、「浅い電子トラップ」と称される。それにもかかわ
らず、浅い電子トラップ部位は有用である。例えば、高
照度露光により発生させた非常に多くの光電子を、一時
的に浅い電子トラップに保持させて直ぐに散逸しないよ
うにすることができ、一方である時間をかけて潜像形成
部位に効率的に移動できるようにする。
【0035】ドーパントが浅い電子トラップを形成する
のに有用であるためには、単に結晶格子において置換さ
れるイオン(単一もしくは複数)の正味原子価よりもよ
り正である正味原子価を提供すること以上のさらなる基
準を満足しなければならない。ドーパントがハロゲン化
銀結晶格子に組み込まれると、ハロゲン化銀の価電子と
伝導帯からなるエネルギーレベルもしくは軌道の他に、
ドーパントの付近に新規な電子エネルギーレベル(軌
道)が形成される。ドーパントが浅い電子トラップとし
て有用であるためには、これらの追加の基準を満足しな
ければならない: (1)その最高エネルギー電子被占軌道(Highest ener
gy electron occupied molecular orbital:HOMO;
一般的に「フロンティア軌道」とも呼ばれる)が、満た
されていなければならない。例えば、軌道が2つの電子
(最高可能数)を保持できるものであれば、1つではな
く2つの電子を含まなければならない。 (2)その最低エネルギー非被占軌道(Lowest energy
unoccupied molecularorbital :LUMO)は、ハロ
ゲン化銀結晶格子の最低エネルギーレベル伝導帯よりも
高いエネルギーレベルでなければならない。もし条件
(1)及び/もしくは(2)が満足されないならば、局
部ドーパント誘発伝導帯最小エネルギーよりも低いエネ
ルギーで、結晶格子(未充満HOMOもしくはLUM
O)に局部ドーパント由来軌道があり、光電子が優先的
にこの低エネルギー部位で保持されることにより光電子
の潜像形成部位への効率的な移動が妨げられる。
【0036】基準(1)及び(2)を満足する金属イオ
ンは以下の通りである:原子価+2の第2族金属イオ
ン、原子価+3の第3族金属イオン(但し、基準(1)
を満足しない希土類元素58〜71を除く)、原子価+
2の第12族金属イオン(Hg +1に自然に戻るためと思
われる強力な減感剤であるHgを除く)、原子価+3の
第13族金属イオン、原子価+2もしくは+4である第
14族金属イオン及び原子価+3もしくは+5である第
15族金属イオン。基準(1)及び(2)を満足する金
属イオンのうち、ドーパントとして組み込むのに実用的
に都合のよい面から好ましいものには、以下の第4、5
及び6周期元素が含まれる:ランタン、亜鉛、カドミウ
ム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、
錫、鉛及びビスマス。浅い電子トラップの形成に使用さ
れる基準(1)及び(2)を満足するとりわけ好ましい
金属イオンドーパントは、亜鉛、カドミウム、インジウ
ム、鉛及びビスマスである。これらの種類の浅い電子ト
ラップドーパントの具体例は、上記したDeWitt、
Gilman等、Atwell等、Weyde等及びE
PO第0590674号明細書及び第0563946号
明細書(Murakami等)に記載されている。
【0037】そのフロンティア軌道を充満し、それによ
り基準(1)を満足する第8族、9族及び10族の金属
イオン(以下、一緒にして「第8族金属イオン類」と称
する)についても検討を行った。これらは、原子価+2
の第8族金属イオン、原子価+3の第9族金属イオン及
び原子価+4の第10族金属イオンである。これらの金
属イオンは、裸金属イオンドーパントとして組み込む
と、有効な浅い電子トラップを形成できないことが分か
った。これは、LUMOがハロゲン化銀結晶格子の最低
エネルギーレベル伝導帯より低いエネルギーレベルある
ことに起因している。
【0038】しかしながら、これらの第8族金属イオン
類だけでなくGa+3及びIn+3の配位錯体もドーパント
として用いると、有効な浅い電子トラップを形成でき
る。金属イオンのフロンティア軌道が充満されている要
件は、基準(1)を満足する。満足すべき基準(2)に
ついては、配位錯体を形成するリガンドの少なくとも一
つが、ハロゲン化物よりも電子求引性が強くなければな
らない(即ち、最も電子求引性が高いハロゲン化物イオ
ンであるフッ素イオンよりもより電子求引性でなければ
ならない)。
【0039】電子求引特性を評価する一つの一般的な方
法は、Inorganic Chemistry:Pr
inciples of Structure and
Reactivity、James E.Huhee
y、1972年、Harper及びRow、ニューヨー
ク並びにAbsorption Spectra an
d Chemical Bonding in Com
plexes、C.K.Jorgensen、1962
年、Pergamon Press、ロンドン、におい
て言及されている溶液での金属イオン錯体の吸収スペク
トルから得たリガンドの分光化学系列を参照することで
ある。これらの文献から明らかなように、分光化学系列
におけるリガンドの順序は、以下の通りである: I- <Br- <S- 2CN- <Cl- <No3 - <F- H <ox- 2 <H2 CS- <CH3 - 3 <en<dipy <phen<2 - <phosph<<- O。
【0040】使用される略語は、次の通りである:ox
=オキサレート、dipy=ジピリジン、phen=o
−フェナトロリン、及びphosph=4−メチル−
2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ〔2.
2.2〕オクタン。分光化学系列は、リガンドが電子求
引性の順序となっており、系列における最初(I- )の
リガンドは最も電子求引性が小さく、最後(CO)のリ
ガンドは最も電子求引性が大きい。下線は、多価金属イ
オンへのリガンドの結合部位を示している。ドーパント
錯体のLUMO値を上昇させるリガンドの能力は、金属
に結合するリガンド原子がClから、S、O、N、Cの
順序で変化するにつれて増加する。従って、リガンド
- 及びOがとりわけ好ましい。他の好ましいリガン
ドは、チオシアネート(CS- )、セレノシアネート
CSe- )、シアネート(CO- )、テルロシア
ネート(CTe- )及びアジド(N3 - )である。
【0041】ちょうど分光化学系列が配位錯体のリガン
ドに適用できるように、金属イオンにも適用できる。以
下の金属イオンの分光化学系列が、Absorptio
nSpectra and Chemical Bon
ding、C.K.Jorgensen、1962年、
Pergamon Press、Londonに報告さ
れている: Mn+2<Ni+2<Co+2Fe+2 <Cr+3、 V+3(Cr+3とほぼ同じ)<Co+3 <Mn+4<Mo+3Rh+3 、Ru+3(Rh+3とほぼ同じ)<Pd+4 Ir+3 Pt+4 下線をつけた金属イオンは、上記のフロンティア軌道要
件(1)を満足する。これにはドーパントとして配位錯
体に使用することを具体的に意図する全ての金属イオン
は含まれていないが、分光化学系列における残りの金属
の位置は、元素の周期表におけるイオンの位置が、第4
周期から、第5周期、第6周期へと増加するにつれて、
系列におけるイオンの位置が最も電気的陰性が小さい金
属Mn+2から最も電気的陰性が大きい金属Pt+4の方向
にシフトしていることから確認できる。即ち、第6周期
イオンであるOs+3は、第5周期で最も電気的陰性であ
るイオンPd+4よりも電気的陰性であるが、第6周期で
最も電気的陰性が小さいイオンPt+4よりも電気的陰性
が小さい。
【0042】上記説明から、Rh+3、Ru+3、Pd+4
Ir+3、Os+3及びPt+4は、明らかに上記フロンティ
ア軌道要件(1)を満足する最も電気的陰性が大きい金
属イオンであるので特に好ましい金属イオンである。上
記基準(2)のLUMO要件を満足するために、第8族
の充満フロンティア軌道多価金属イオンをリガンド含有
配位錯体に取り込む。これらのうち少なくとも一つ、最
も好ましくは少なくとも3つ、最適には少なくとも4つ
がハロゲン化物よりも電気的陰性であり、残りのリガン
ド(単一もしくは複数)がハロゲン化物リガンドであ
る。Os+3等の金属イオンがそれ自体非常に電気的陰性
であるときには、例えばカルボニル等の単一の電気的陰
性の大きいリガンドのみがLUMO要件を満足すること
が要求される。もし金属イオンそれ自体がFe+2等のよ
うに比較的電気的陰性度が低いならば、リガンドの全て
が高い電気的陰性であるものを選択することが、LUM
O要件を満足するために必要である。例えば、Fe(I
I)(CN)6 は、具体的に好ましい浅い電子トラップ
ドーパントである。実際に、シアノリガンド6個を含有
する配位錯体は、一般的に都合のよい好ましい種類の浅
い電子トラップドーパントの代表例である。
【0043】Ga+3及びIn+3は裸金属イオンとしてH
OMO及びLUMO要件を満足することができるので、
配位錯体に取り込まれるとき、電気的陰性度がハロゲン
化物イオンから第8族金属イオン類配位錯体について有
用であるもっと電気的陰性であるリガンドにわたる範囲
のリガンドを含有できる。第8族金属イオン類と電気的
陰性度が中間レベルであるリガンドの場合、特定の金属
配位錯体がLUMO要件を満足し、従って、浅い電子ト
ラップとしての役割を果たす金属とリガンド電気的陰性
度の適切な組み合わせを含有しているかどうかを容易に
決定できる。これは、電子常磁性共鳴(EPR)分光分
析を用いることにより行うことができる。この分析技術
は、分析法として広く使用され、Electron S
pin Resonance:A Compreshe
nsive Treatise on Experim
ental Techniques、第2版、Char
les P.Poole、Jr.(1983年)、Jo
ne Wiley & Sons社、ニューヨークに記
載されている。
【0044】浅い電子トラップにおいて光電子は、ハロ
ゲン化銀結晶格子の伝導帯エネルギーレベルにおける光
電子について観察されるのと極めて類似したEPR信号
を生じる。浅く捕捉された電子もしくは伝導帯電子から
のEPR信号は、電子EPR信号と称される。電子EP
R信号は、一般的にg因子と呼ばれるパラメータにより
特徴づけられる。EPR信号のg因子を計算するための
方法は、上記C.P.Pooleに記載されている。ハ
ロゲン化銀結晶格子における電子EPR信号のg因子
は、電子の付近のハロゲン化物イオン(単一もしくは複
数)の種類に依存する。即ち、R.S.Eachus、
M.T.Olm、R.Jane及びM.C.R.Sym
ons、Physica Status Solidi
(b)、第152巻(1989年)、第583〜592
頁により報告されているように、AgCl結晶において
電子EPR信号のg因子は1.88±0.001であ
り、AgBrにおいて電子EPR信号のg因子は1.4
9±0.02である。
【0045】下記で説明する試験乳剤において対応の未
ドープ対照乳剤と比較して電子EPR信号の大きさを少
なくとも20%増強するならば、配位錯体ドーパントは
本発明の実施において浅い電子トラップを形成するのに
有用であると認められる。未ドープ対照乳剤は、米国特
許第4,937,180号明細書(Marchetti
等)の対照1Aについて記載されているように、エッジ
長さが0.45±0.05μmの沈殿された(しかし、
続けては増感はしない)AgBr八面体乳剤である。M
archetti等の実施例1BにおけるOs(CN
64-の代わりに金属配位錯体を本発明の乳剤において
使用することを意図している濃度で使用する以外は、試
験乳剤を同様に調製する。
【0046】沈殿後、各々まず液体乳剤を遠心分離し、
上澄み液を除去し、上澄み液を同量の温蒸留水で置換
し、乳剤を再懸濁することにより電子EPR信号測定の
試験及び対照乳剤を準備をする。この操作を3回反復
し、最終遠心工程後、得られた粉末を空気乾燥する。こ
れらの操作を安全光条件下で行う。EPR試験を、各乳
剤の3種の試料をそれぞれ20、40及び60°Kに冷
却し、各試料を波長365nmの200WHgランプか
らの濾過光に露光し、露光中にEPR電子信号を測定す
ることにより実施する。もし選択された観察温度のいず
れかで、電子EPR信号の強度が、未ドープ対照乳剤に
対してドープ試験乳剤試料において顕著に増加(即ち、
信号ノイズよりも高く測定可能な程度に増加)するなら
ば、このドーパントは浅い電子トラップである。
【0047】上記のように行った試験の具体例として、
一般的に使用される浅い電子トラップドーパントのFe
(CN)6 4- を、上記したように沈殿中に銀1モル当た
り50×10-6モル濃度で添加したとき、電子EPR信
号強度は、20°Kで試験した場合、未ドープ対照乳剤
の8倍にまで増加した。ヘキサ配位錯体は、本発明の実
施に使用するのに好ましい配位錯体である。これらの錯
体は、結晶格子において銀イオンと6個の隣接するハロ
ゲン化物イオンを置換する金属イオンと6個のリガンド
を含有している。配位部位の1個もしくは2個は、カル
ボニル、アクオもしくはアミンリガンド等の中性リガン
ドにより占有されることができるが、リガンドの残り
は、結晶格子構造に配位錯体を効率的に取り込むのを容
易にするためにアニオンでなければならない。突起部に
包含するのに具体的に意図されるヘキサ配位錯体の実例
が、米国特許第5,037,732号明細書(Mcdu
gle等)、米国特許第4,937,180号明細書、
第5,264,336号明細書及び第5,268,26
4号明細書(Marchetti等)、米国特許第4,
945,035号明細書(Keevert等)及び特願
平2−249588号明細書(Murakami等)に
記載されている。ヘキサ配位錯体に有用な中性及びアニ
オン有機リガンドが、米国特許第5,360,712号
明細書(Olm等)に開示されている。慎重な科学的調
査により、R.S.Eachus、R.E.Grave
s及びM.T.Olm、J.Chem.Phys.、第
69巻、第4580〜7頁(1978年)及びPhys
ica Status Solidi A、第57巻、
第429〜37頁(1980年)に説明されているよう
に、第8族ヘキサハロ配位錯体が深い(減感)電子トラ
ップを形成することが明らかとなった。
【0048】特定の好ましい態様では、ドーパントとし
て下式を満足するヘキサ配位錯体を使用することが意図
される: (IV) 〔ML6n (式中、Mは充満フロンティア軌道多価金属イオン、好
ましくはFe+2、Ru+2、Os+2、Co+3、Rh+3、I
+3、Pd+4もしくはPt+4であり;L6 は独立して選
択することができる6個の配位錯体リガンドを表すが、
但し、リガンドの少なくとも4個はアニオンリガンドで
あり、リガンドの少なくとも1個(好ましくは少なくと
も3個及び最適には少なくとも4個)はいずれのハロゲ
ン化物リガンドよりも電気的陰性が高く;そしてnは−
2、−3もしくは−4である。
【0049】浅い電子トラップを提供することができる
ドーパントの具体例を以下に示す: SET−1 〔Fe(CN)6-4 SET−2 〔Ru(CN)6-4 SET−3 〔Os(CN)6-4 SET−4 〔Rh(CN)6-3 SET−5 〔Ir(CN)6-3 SET−6 〔Fe(ピラジン)(CN)5-4 SET−7 〔RuCl(CN)5-4 SET−8 〔OsBr(CN)5-4 SET−9 〔RhF(CN)5-3 SET−10 〔IrBr(CN)5-3 SET−11 〔FeCO(CN)5-3 SET−12 〔RuF2 (CN)4-4 SET−13 〔OsCl2 (CN)4-4 SET−14 〔RhI2 (CN)4-3 SET−15 〔IrBr2 (CN)4-3 SET−16 〔Ru(CN)5 (OCN)〕-4 SET−17 〔Ru(CN)5 (N3 )〕-4 SET−18 〔Os(CN)5 (SCN)〕-4 SET−19 〔Rh(CN)5 (SeCN)〕-3 SET−20 〔Ir(CN)5 (HOH)〕-2 SET−21 〔Fe(CN)3 Cl3-3 SET−22 〔Ru(CO)2 (CN)4-1 SET−23 〔Os(CN)Cl5-4 SET−24 〔Co(CN)6-3 SET−25 〔Ir(CN)4 (オキサレート)〕-3 SET−26 〔In(NCS)6-3 SET−27 〔Ga(NCS)6-3
【0050】さらに、米国特許第5,024,931号
明細書(Evans等)に教示されているように、オリ
ゴマー配位錯体を用いてスピード増加することも考えら
れる。ドーパントは、通常の濃度(ここで、濃度は、平
板状粒子における銀及び突起部における銀の両方を含め
た総銀を基準とした濃度である)で効果がある。一般的
に、浅い電子トラップ形成ドーパントを、銀1モル当た
り少なくとも1×10 -6モル〜溶解限界(典型的には銀
1モル当たり約5×10-4モル以下の濃度)で取り込む
ことが意図される。好ましい濃度は、銀1モル当たり約
10-5〜10-4モルの範囲である。勿論、一部分を平板
状粒子に取り込み、残部をハロゲン化銀突起部に取り込
むようにドーパントを分布させることができるが、これ
は好ましい態様ではない。ドーパントをハロゲン化銀突
起部に配置する利点は、(1)平板状粒子の厚化に寄与
するドーパントの危険性を排除すること、並びに(2)
ドーパントを突起部に配置することによって、一般に突
起部の平板状粒子との接合部に又はその付近に発生する
潜像形成部位の近くにドーパントが配置されることであ
る。ドーパントを潜像形成部位の近くに配置すると、ド
ーパントの効果が増す。
【0051】ハロゲン化銀エピタキシーは、それ自体、
写真スピードをイオウ及び/もしくは金を用いた実質的
に最適な化学増感により得られるのに匹敵するレベルま
で増加させる。ハロゲン化銀をエピタキシャル付着させ
た平板状粒子を通常のミドルカルコゲン(即ち、イオ
ウ、セレンもしくはテルル)増感剤もしくは貴金属(例
えば、金)増感剤でさらに化学増感すると、写真スピー
ドがさらに増加する。ハロゲン化銀エピタキシャル増感
に適用できるこれらの通常の化学増感法は、Resea
rch Disclosure、1989年12月、ア
イテム308119、セクションIII「化学増感」に
記載されている。Kofron等は、これらの増感を平
板状粒子乳剤に適用することを説明している。
【0052】ハロゲン化銀エピタキシャル増感の特に好
ましい手法では、イオウ含有熟成剤を、ミドルカルコゲ
ン(典型的にはイオウ)及び貴金属(典型的には金)化
学増感剤と組み合わせて用いる。意図するイオウ含有熟
成剤には、米国特許第3,271,157号明細書(M
cBride)、米国特許第3,574,628号明細
書(Jones)及び米国特許第3,737,313号
明細書(Rosencrants等)で説明されている
チオエーテルのような、チオエーテル類が含まれる。好
ましいイオウ含有熟成剤は、米国特許第2,222,2
64号明細書(Nietz)、米国特許第2,448,
534号明細書(Lowe等)及び米国特許第3,32
0,069号明細書(Illingsworth)で説
明されているチオシアネート類である。好ましい種類の
ミドルカルコゲン増感剤は、米国特許第4,749,6
46号明細書及び第4,810,626号明細書(He
rz等)に開示されている種類のテトラ置換ミドルカル
コゲン尿素である。好ましい化合物には、下式で表され
るものが含まれる:
【0053】
【化1】
【0054】(式中、Xはイオウ、セレンもしくはテル
ルであり;R1 、R2 、R3 及びR4 の各々は独立して
アルキレン、シクロアルキレン、アルカリーレン、アラ
ルキレンもしくは複素環アリーレン基を表すか、結合さ
れている窒素原子と一緒に、R1 とR2 もしくはR3
4 は、5〜7員複素環を完成することができ;そして
1 、A2 、A3 及びA4 の各々は独立して水素もしく
は酸基を含む基を表すことができ、但し、A11 〜A
44 の少なくとも一つは、炭素数1〜6の炭素鎖を介
して尿素の窒素に結合された酸基を含有する)。
【0055】Xは、好ましくはイオウであり、A11
〜A44 は、好ましくはメチルもしくはカルボキシメ
チル(但し、カルボキシ基は酸型でも塩型でもよい)で
ある。特に好ましいテトラ置換チオ尿素増感剤は、1,
3−ジカルボキシメチル−1,3−ジメチルチオ尿素で
ある。好ましい金増感剤は、米国特許第5,049,4
85号明細書(Deaton)で開示されている金
(I)化合物である。これらの化合物には、下式で表さ
れる化合物が含まれる: (VI) AuL2 + - もしくはAuL(L
1+ - (式中、Lはメソイオン化合物であり;Xはアニオンで
あり;そしてL1 はルイス酸供与体である)。
【0056】Kofron等は、化学増感を生じる加熱
工程(仕上げ)の前に分光増感色素を乳剤に導入する、
「仕上げ増感における色素」の利点を開示している。仕
上げ増感における色素は、分光増感色素が平板状粒子表
面に吸着してハロゲン化銀エピタキシャル付着の部位デ
ィレクターとして作用する本発明の実施に特に有利であ
る。Maskasky−Iは、J−凝集性分光増感色
素、特に緑色及び赤色吸収シアニン色素を部位ディレク
ターとして使用することを教示している。これらの色素
は、化学増感仕上げ工程前に乳剤に存在している。仕上
げに存在する分光増感色素がハロゲン化銀エピタキシー
の部位ディレクターとして利用されない場合には、はる
かに広範囲の分光増感色素が利用できる。Kofron
等により開示されている分光増感色素、特にスペクトル
の緑色部及び赤色部で吸収極大を示す構造およびより長
いメチン鎖類似体により示される青色分光増感色素が、
本発明の平板状粒子乳剤に含有させるのに特に好まし
い。J−凝集性青吸収分光増感色素を部位ディレクター
用として選択することが特に考えられる。有用な分光増
感色素が、Research Disclosure、
1989年12月、アイテム308119、セクション
IV.分光増感及び減感、A.分光増感色素、により一
般にまとめられている。
【0057】本発明の特に好ましい態様では、分光増感
色素は部位ディレクターとしても作用でき、そして/も
しくは仕上げ中に存在することができるが、本発明の乳
剤で分光増感色素が果たさなければならない唯一の機能
は、スペクトルの少なくとも一領域に対する乳剤の感度
を増加することである。従って、必要ならば、分光増感
色素は化学増感が完了した後、本発明による平板状粒子
に添加することができる。
【0058】上記した分光増感ハロゲン化銀エピタキシ
ャル増感平板状粒子乳剤の特徴の他に、本発明の乳剤及
び乳剤の調製は、いずれかの都合のよい通常の形態をと
ることができる。例えば、必須ではないが、本発明の要
件を満足する新規な乳剤を調製後、この乳剤を、本発明
による一種以上の他の新規な乳剤もしくはいずれか他の
通常の乳剤と配合できる。通常の乳剤の配合は、Res
earch Disclosure、アイテム3654
4、セクションI、E.ブレンド、層及び性能カテゴリ
ー、に説明されている。
【0059】一旦形成された乳剤は、さらにいずれかの
都合のよい通常の方法により写真用途に使用できるよう
にすることができる。さらなる通常の特徴は、上記した
Research Disclosure、アイテム3
6544、セクションII、ベヒクル、ベヒクル増量
剤、ベヒクル様添加剤及びベヒクル関連添加剤;セクシ
ョンIII、乳剤洗浄;セクションV、分光増感及び減
感;セクションVI、UV色素/蛍光増白剤/発光色
素;セクションVII、カブリ防止剤及び安定化剤;セ
クションVIII、吸収剤及び散乱剤;セクションI
X、コーティング物理特性変性剤;セクションX、色素
像形成剤及び改質剤に説明されている。VI、VII
I、IX及びXの特徴は、選択的に他の写真要素層に提
供することができる。写真要素の構成に関する他の特徴
は、セクションXI、層及び層配置;XII、カラーネ
ガにのみ適用可能な特徴;XIII、カラーリバーサル
にのみ適用可能な特徴;XIV、走査促進特徴並びにX
V、支持体に記載されている。
【0060】本発明の新規なハロゲン化銀エピタキシャ
ル増感平板状粒子乳剤を、いずれの他の通常の写真要素
にも用いることができる。この乳剤を、例えば、ハロゲ
ン化銀乳剤層を1層以上有する写真要素に含めることが
できる。一つの具体例では、本発明による新規な乳剤
は、観察もしくは走査用の銀もしくは色素写真像の作成
を意図した写真要素の単一乳剤層に存在できる。
【0061】簡単な一態様では、写真要素は、下に設け
た(第一)乳剤層がオルソクロマチックもしくはパンク
ロマチック増感される白黒(例えば、銀像形成)写真要
素であることができる。別の態様では、写真要素は、青
色記録(イエロー色素像形成)、緑色記録(マゼンタ色
素像形成)及び赤色(シアン色素像形成)層単位をいず
れかの塗布順序で含んでいる多色写真要素となることが
できる。多種多様な塗布配列が、上記したKofron
等、第56〜58欄に開示されており、ここでの開示
を、引用することにより本明細書の開示の一部とする。
【0062】
【実施例】以下に示す本発明の要件を満足する乳剤調
製、乳剤及び写真要素の実施例を参照することにより、
本発明をよりよく理解できる。写真感度を、スピード差
30log単位がスピード差0.3logE(但し、E
は単位:ルクスセカンドで表す露光量)に等しい相対的
な対数(log)スピードで表す。コントラストは、中
間スケールコントラストとして測定する。ハロゲン化物
イオン濃度は、銀に対するモル%(M%)で表す。
【0063】乳剤A この乳剤は2部プロセスで析出させた。第1部は、平均
直径約1.9μm、平均厚さ約0.047μmを有する
Ag(Br,I)乳剤を9モル形成させた。次いで、こ
の乳剤の一部を第2部でのさらなる成長のための種乳剤
として用いた。この第2部では、平板状粒子の主として
{111}主面に臭化銀を析出付着させた、すなわち析
出の第2部では側部成長ではなく厚さを増加させた。
【0064】第1部 攪拌機を備えた容器に、石灰処理骨ゼラチン3.75
g、NaBr4.12g、消泡剤、及び39°CでpH
を1.8に調整するのに十分な量の硫酸を含有する、水
6リットルを入れた。AgNO3 溶液とハロゲン化物
(NaBrとKIをそれぞれ98.5M%及び1.5M
%)溶液とを、共に2.5Mでヨウ臭化銀0.0133
5モルを生成するのに十分な量でバランスをとり、同時
に添加することにより達成された核形成中、pBrとp
Hは、最初に反応器内溶液で設定された値にほぼ維持さ
れた。核形成に続いて、Oxone(商標)(2KHS
5 ・KHSO4 ・K2 SO4 Aldrich製)12
8mgを水50mLに溶解した溶液を添加することによ
り反応器内ゼラチンを迅速に酸化し、温度を9分間で5
4°Cに上昇させた。反応器とその内容物とを、この温
度で9分間保持した後、メチオニン酸化石灰処理骨ゼラ
チン100gを水1.5リットルに溶解した溶液を54
°Cで反応器に添加した。次に、pHを5.90に上昇
させ、2.8MNaBr43.75mLを反応器に添加
した。核形成から25分後、成長段階が始まり、その間
に2.5M AgNO3 、2.8M NaBr及びAg
I(Lippmann)の0.108M懸濁液を、
(a)成長しているハロゲン化銀結晶中のヨウ化物濃度
を4.125M%に均一に維持すること、および(b)
ヨウ臭化銀が0.813モル生成するまで、反応器内p
Brを、核形成と成長の始まる前に上記したNaBrの
添加により得られた値に維持するように比例させて添加
し、このときに、2.8M NaBr37.5mLを添
加して過剰Br- 濃度を増加した;反応器内pBrを成
長のバランスをとるため得られた値に維持した。次に、
上記反応体の流入を再開し、流量を加速して、(全体で
127分かかった)成長終了時の最終流速を開始時の約
13倍とした;ヨウ臭化銀が合計9モル(4.125M
%I)生成した。
【0065】第2部 第一工程で形成された乳剤のうち6モルを抜き取り、反
応器に残した3モルをさらなる厚さ成長のための種結晶
として利用してさらに成長させた。この付加的な成長を
開始する前に、メチオニン酸化石灰処理骨ゼラチン34
gを54℃の水500mLに溶解した溶液を加え、そし
てAgNO3 を徐々に添加することにより反応器内pB
rを約2.05に調整した。次いで、反応器内pBrを
10分にわたり3.3にさらに調整するような相対速度
で3.0M AgNO3 と5.0M NaBrをダブル
ジェット法で添加して成長を開始させた。この高いpB
r値と54℃の温度を維持しながら、上記AgNO3
びNaBrの溶液を添加してさらに9.0モルの臭化銀
がホスト粒子表面に付着するまで成長を継続した。流速
は、第2部の162分の成長の間、1.85倍に加速さ
れた。
【0066】最終的に得られたヨウ臭化銀平板状粒子乳
剤の全体組成は、Br約98.97M%、I約1.03
M%であった。成長完了後、pBrを約2に低下させ、
そして乳剤を凝集洗浄した。洗浄後、pHとpBrをそ
れぞれ6.0と3.1に調整してから保存した。
【0067】得られた乳剤を、走査電子顕微鏡(SE
M)により調査し、IBM製パーソナルコンピューター
につなげたSummagraphics SummaS
ketch Plusサイジングタブレットを用いて得
られた粒子写真から平均粒子面積を決定した。全粒子投
影面積の98%を超える割合が平板結晶により占められ
ていた。乳剤粒子の平均ECDは1.37μm(変動係
数=43)であった。第2部において、平板状粒子乳剤
の平均ECDは実際には第1部の終了時の値より低下し
た。このことは、粒子数が一定であると仮定すると、負
の側部成長が起こったことを示しており、平板状粒子の
縁部において熟成が起こり、ハロゲン化銀の付着が主と
して平板状粒子の{111}主面に対して起こったこと
を示唆している。最終乳剤の粒子集団はほぼ独占的に平
板状粒子から成っていたので、粒子厚さは、色素吸着法
を用いて測定した:飽和被覆量に必要とされる1,1’
−ジエチル−2,2’−シアニン色素のレベルを測定
し、この色素の溶液吸収係数が77,300リットル/
モル−cmであり、1モル当たりの部位面積が0.56
6nm2 であると仮定して、表面積についての式を解い
た。この手法により、平均粒子厚さ値0.175μmが
得られた。
【0068】エピタキシャル増感 次に、これらの乳剤試料を、銀塩エピタキシーを存在さ
せた場合と存在させない場合とで増感した。対照 乳剤Aの試料0.5モルを40°Cで溶融し、AgNO
3 溶液とKI溶液を同時添加することによりpBrを約
4に調整した。このとき、AgNO3 溶液とKI溶液
は、この調整中に少量沈殿するハロゲン化銀が12%I
になるような比で添加した。次に、(ヨウ臭化銀ホスト
の最初の量を基準として)2M%のNaClを添加後、
分光増感色素1〔アンヒドロ−9−エチル−5’,6’
−ジメチオキシ−5−フェニル−3’−(3−スルホプ
ロピル)−3−(3−スルホブチル)オキサチア−カル
ボシアニン水酸化物〕及び色素2〔アンヒドロ−5,
5’−ジ−クロロ−9−エチル−3,3’−ビス(3−
スルホプロピル)チアカルボシアニン水酸化物、ナトリ
ウム塩〕を添加し、その後、CaCl2 、NaBr、A
gI及びAgNO3 を逐次添加することによりエピタキ
シーを形成させた。この操作により、エピタキシャル成
長が、ホスト平板状粒子の主として角部と縁部に生じ
た。出発の平板状粒子乳剤においてエピタキシーは銀の
6M%になった。平板状粒子ホストの公称組成、すなわ
ちホスト粒子を形成させるために添加されたハロゲン化
物、及びホスト粒子の実際の組成を表1に記載する。エ
ピタキシーの公称組成及びエピタキシーの実際の組成を
表2に記載する。
【0069】電子鏡検(AEM)法を用いて、ハロゲン
化銀エピタキシー突起の公称(インプット)組成ではな
く実際の組成を測定した。AEMの一般的な操作は、
J.I.Goldstein及びD.B.Willia
ms、「X−ray Analysis in the
TEM/STEM」、Scanning Elect
ron Microscopy/1977;第1巻、I
IT ResearchInstitute、1977
年3月、第651頁に記載されている。個々のエピタキ
シー突起の組成は、電子ビームを十分小さく集光して試
験する突起のみを照射することにより測定した。エピタ
キシー突起をホスト平板状粒子の角部に選択的に配置さ
せることにより、エピタキシー突起のみへのアドレッシ
ングが容易となった。25個の粒子の各々について各角
部エピタキシー突起を、各増感について調べた。結果を
表1にまとめて示す。
【0070】 表1:平板状粒子中のハロゲン化物 検出ハロゲン化物(標準偏差) 試料 添加ハロゲン化物 Cl Br 対照 Br 99% 4.6% 93.9% 1.5% I 1% (0.4) (0.6) (0.2)
【0071】 表2:エピタキシー中のハロゲン化物 検出ハロゲン化物(標準偏差) 試料 添加ハロゲン化物 Cl Br 対照 Cl 42% Br 42% 39.8% 54.6% 5.6% I 16% (9.9) (9.1) (1.6)
【0072】最小AEM検出限界はハロゲン化物濃度で
0.5M%であった。 実施例1 対照を調製する際に用いた調製手順を繰り返したが、ホ
スト粒子を形成するAg1モル当たり4×10-5モルの
4 Ru(CN)6 を、エピタキシーを形成する際に、
NaBrの添加とAgIの添加の間に、別の水溶液とし
て導入した。
【0073】エピタキシー後の調製 エピタキシャル増感乳剤を、小さく分割して、続いて添
加される増感成分の最適レベルを求めるとともに、レベ
ルの変動の影響を試験した。これらの分割部分に、色素
1及び2のさらなる部分、60mgNaSCN/モルA
g、硫黄増感剤1、金増感剤2及び11.44mgの1
−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテト
ラゾール(APMT)/モルAgを添加した。全ての成
分を添加後、混合物を50°Cに加熱して増感を完了さ
せ、冷却後、さらに114.4mgのAPMTを添加し
た。
【0074】
【化2】
【0075】乳剤の一部を用いて以下に報告したような
写真要素の構築とセンシトメトリー評価に基づき、対照
乳剤及び実施例1乳剤の各々における色素1と色素2の
最適濃度は、それぞれ87.7及び358.7mg/モ
ルAgであると決定された。増感剤1及び増感剤2の最
適濃度は、それぞれ2.7及び0.8mg/モルAg
(対照)並びに3.1及び0.95mg/モルAg(実
施例1)であると決定された。
【0076】得られた最適増感乳剤を、酢酸セルロース
フィルム支持体上のグレー銀ハレーション防止層の上に
塗布し、この乳剤層に、界面活性剤とビス(ビニルスル
ホニル)メタン硬膜剤(ゼラチン総重量に対して1.7
5重量%)とを含有する4.3g/m2 ゼラチン層をオ
ーバーコートした。乳剤塗布量は0.646g−Ag/
2 であり、この層には、カプラー1及びカプラー2を
それぞれ0.323g/m2 及び0.019g/m2
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7,−テ
トラアザインデン(Na+ 塩)を10.5mg/m2
びに2−(2−オクタデシル)−5−スルホヒドロキノ
ン(Na+ 塩)を14.4mg/m2 、界面活性剤およ
びゼラチン総量1.08g/m2 をも含有させた。
【0077】
【化3】
【0078】センシトメトリー このように塗布した乳剤を、校正中性ステップタブレッ
トを介して、Wratten23A(商標)濾過(波長
>560nm透過)昼光バランス光露光を0.01秒行
い、そしてカラーネガKodak Flexicolo
r(商標)C41プロセスを用いて現像した。スピード
を最低濃度より0.15高い濃度で測定した。
【0079】SPSE Handbook of Ph
otographic Science and En
gineering(W.Thomas編、第934−
939頁)に記載されている手順に従い粒状度を測定し
た。各段階における粒状度の読みを各段階におけるガン
マ〔ΔD÷ΔlogE、D=濃度、E=露光量(ルクス
−秒)〕で割り算し、そしてlogEに対してプロット
した。これらのプロットでは最小値が存在することが典
型的である。このガンマ正規化粒状度の最小値によっ
て、コントラストの異なるコーティングの比較ができ
る。値が小さいほど粒状度が低いことを示す。報告した
粒状度の読みは、スピード点近くからより高い露光量へ
向かう隣接した4つの露光ステップから得られた観測値
の平均とした。これらの4つの読みは、典型的には最小
粒状度付近にあった。
【0080】上記のように得られたコントラスト正規化
粒状度を粒子単位(g.u.)として以下の表3に報告
する。この中で、各g.u.は5%の変化量を表すが、
正の変化は像の粒状性が高いことに、また負の変化は像
の粒状性が低いことに、それぞれ対応する。換言すれ
ば、粒状度の差が負であると、粒状度が低下したことを
示す。これらの結果を表3にまとめて記載する。
【0081】 表3 相対log 中間スケール Δ正規化粒状度 試料 min スピード コントラスト (g.u) 対照 0.14 100 0.58 基準 実施例1 0.15 109 0.55 0.6
【0082】表3から明らかなことは、浅い電子捕獲部
位を提供するドーパントをエピタキシーに添加すると、
対応する粒状度の増加を伴うことなく写真スピードが増
加したことである。スピード単位が30増加する毎に7
g.u.の増加が伴うという一般に認められている基準
によると、実施例1の乳剤は、2.1g.u.の増加が
予想されたところわずかに0.6g.u.の増加で、対
照よりもスピードが9単位高いという利点を示した。こ
のように、浅い電子捕獲部位を提供するドーパントを存
在させると性能が有意に改善された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 359251 (32)優先日 1994年12月19日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 442228 (32)優先日 1995年5月15日 (33)優先権主張国 米国(US) (72)発明者 ジョセフ チャールズ ディートン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14617, ロチェスター,ノブ ヒル 37 (72)発明者 ティモシー リチャード ジャージー アメリカ合衆国,ニューヨーク 14609, ロチェスター,アルフォード ストリート 53 (72)発明者 ジョセフ ジョージ ライトハウス アメリカ合衆国,ニューヨーク 14626, ロチェスター,カントリー シャー ドラ イブ 133 (72)発明者 ミラ トフォロン オルム アメリカ合衆国,ニューヨーク 14580, ウェブスター,ウィクリフ ドライブ 181 (72)発明者 シン ウェン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14618, ロチェスター,ティルストーン プレース 70 (72)発明者 ロバート ドン ウィルソン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14612, ロチェスター,シーファラーズ レーン 133

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)分散媒と、 (2)(a){111}主面を有し、(b)銀に対し
    て、70モル%を超える臭化物と0.25モル%以上の
    ヨウ化物を含有し、(c)全粒子投影面積の90%を超
    える割合を占め、(d)平均等価円直径が0.7μm以
    上であり、(e)平均厚さが0.07μm以上、0.3
    μm未満であり、そして(f)表面に潜像形成性の化学
    増感部位を有する平板状粒子を含むハロゲン化銀粒子
    と、 (3)該平板状粒子の表面に吸着した分光増感色素とを
    含む改良された輻射線感性乳剤であって、 前記表面化学増感部位は、前記平板状粒子とのエピタキ
    シャル接合部を形成するハロゲン化銀突起部を含み、前
    記突起部は、前記平板状粒子の表面積の最大で50%を
    占めるように配置され、前記平板状粒子の少なくとも前
    記突起部とのエピタキシャル接合部を形成する部分より
    も高い全体溶解度を示し、面心立方晶格子を形成し、そ
    して(a)前記突起部のハロゲン化銀結晶格子内のイオ
    ンを置換し且つその置換されるイオンの正味の原子価よ
    りも正側の正味の原子価を示し、(b)いずれのハロゲ
    ン化物イオンよりも電気的陰性が大きい少なくとも1種
    の配位子を含有し、(c)+2〜+4の正の原子価を有
    し且つ最高エネルギー電子被占軌道が満たされている金
    属イオンを含有し、そして(d)最低エネルギー非被占
    軌道が前記突起部を形成するハロゲン化銀結晶格子の最
    低エネルギー伝導帯よりも高いエネルギーレベルにある
    配位錯体を含むスピード向上性のドーパントを含むこと
    を特徴とする輻射線感性乳剤。
  2. 【請求項2】 前記突起部が前記平板状粒子よりも10
    モル%以上高い塩化物濃度を示すことをさらに特徴とす
    る請求項1に記載の乳剤。
  3. 【請求項3】 前記突起部が前記平板状粒子よりも20
    モル%以上高い塩化物イオン濃度を示すことをさらに特
    徴とする請求項2に記載の乳剤。
  4. 【請求項4】 前記エピタキシャル付着ハロゲン化銀突
    起部が前記平板状粒子表面の25%未満に配置されてい
    ることをさらに特徴とする請求項1〜3のいずれか一項
    に記載の乳剤。
  5. 【請求項5】 前記エピタキシャル付着ハロゲン化銀突
    起部が前記平板状粒子の主として縁部と角部の少なくと
    も一つの付近に配置されていることをさらに特徴とする
    請求項4に記載の乳剤。
  6. 【請求項6】 前記金属イオンがFe+2、Ru+2、Os
    +2、Co+3、Rh+3、Ir+3、Pd+4及びPt+4の中か
    ら選ばれたことをさらに特徴とする請求項1〜5のいず
    れか一項に記載の乳剤。
  7. 【請求項7】 前記スピード向上性のドーパントがOs
    +2と少なくとも1個のシアノ配位子とを含むことをさら
    に特徴とする請求項6に記載の乳剤。
  8. 【請求項8】 前記スピード向上性のドーパントがRu
    +2又はOs+2と少なくとも3個のシアノ配位子とを含む
    ことをさらに特徴とする請求項6に記載の乳剤。
  9. 【請求項9】 前記スピード向上性のドーパントがFe
    +2、Ru+2又はOs +2と少なくとも5個のシアノ配位子
    とを含むことをさらに特徴とする請求項6に記載の乳
    剤。
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