JPH08100733A - 電磁式燃料噴射弁 - Google Patents

電磁式燃料噴射弁

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JPH08100733A
JPH08100733A JP7218445A JP21844595A JPH08100733A JP H08100733 A JPH08100733 A JP H08100733A JP 7218445 A JP7218445 A JP 7218445A JP 21844595 A JP21844595 A JP 21844595A JP H08100733 A JPH08100733 A JP H08100733A
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Kyoichi Uchiyama
恭一 内山
Haruo Watanabe
春夫 渡辺
Tokuo Kosuge
徳男 小菅
Akira Onishi
明 大西
Akane Terasaki
▲あかね▼ 寺崎
Hiroyuki Ando
弘之 安藤
Eiji Hamashima
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Abstract

(57)【要約】 【目的】旋回型の電磁式燃料噴射弁において、弁座とボ
ール弁間の加工時におけるストローク量の調整を簡略化
することを目的とする。 【構成】弁座に対してボール弁が移動可能に弁体を支持
する第1、第2の支持手段と、これら第1、第2の支持
手段との間に配置され、弁体の移動範囲を制限するスト
ッパを設けたものである。 【効果】単に、部品寸法を管理するのみで良いので、組
立作業が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関用電磁式燃料
噴射弁に係り、特に旋回型の電磁式燃料噴射弁に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の装置は、特開昭56−75955 号に記
載のようにボールを収納する案内孔と、この案内孔にほ
ぼその接線方向から燃料を導入するスワール通路とを持
つスワールプレートをハウジング内に設けた構成によっ
て燃料の霧化を向上できるとなっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、スワ
ール通路及びこのスワール通路に連通する4個の燃料通
路孔を、加圧燃料が通過する際にその損失なく十分な旋
回速度エネルギに変換するという点について配慮されて
おらず、燃料の霧化が効率よく行えないという問題があ
った。
【0004】本発明は、組立作業性が良く、加圧燃料を
損失なく旋回燃料に変換し優れた微粒化特性でもって噴
射供給を行い得る電磁式燃料噴射弁を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、弁座の上流
側に配設され、供給された燃料に旋回力を与える複数の
燃料通路が形成された燃料旋回素子と、前記弁座の下流
側に設けられ前記燃料旋回素子によって旋回される燃料
を噴射する単孔の燃料噴射孔と、電磁石により駆動さ
れ、前記弁座との間で燃料通路の開閉を行うボール弁と
を備えた電磁式燃料噴射弁において、前記弁座に対して
前記ボール弁が移動可能に弁体を支持する第1、第2の
支持手段と、これら第1、第2の支持手段の間に配置さ
れ、前記弁体の可動範囲を制限するストッパとを備える
ことによって達成される。
【0006】
【作用】燃料旋回素子は、ノズル体の急拡大孔を軸下方
に向う燃料流れと弁座および燃料噴射孔へ向う径方向の
燃料流れとその損失を小さく制御するものである。燃料
旋回素子によって加圧され、旋回力を与えられた燃料は
ボールと弁座によって形成される環状隙間を流れ、さら
に燃料噴射孔を通って噴射される。加圧燃料を効率良く
旋回速度エネルギに交換し燃料噴射孔へ導くためには、
可動部であるボール弁の移動量の精度を出さねばならな
い。このストローク量の精度を支持手段間に設けられた
ストッパにて持たせることとしたので、組立作業が容易
になる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図9に
より説明する。図1を用いて電磁式燃料噴射弁(以下、
‘噴射弁’という。)1の構造・動作について説明す
る。該噴射弁1は、コントロールユニット(図示せず)
により演算されたデューティのON−OFF信号により
シート部の開閉を行うことにより燃料の噴射を行うもの
である。磁気回路は、有底筒状のヨーク3,ヨーク3の
開口端を閉じる栓体部2aとヨーク3の中心に延びる柱
状部2bとから成るコア2及びコア2に空隙を隔てて対
面するプランジャ4とからなる。コア2の柱状部2aの
中心には、プランジャ4とロッド5とボール弁6からな
る可動部4Aをバルブガイド7に形成されたオリフィス
8のシート面9に押圧する弾性部材としてのスプリング
10を挿入保持する為の孔が開けてある。スプリング1
0の上端はセット荷重を調整する為にコア2の中心に挿
通されたスプリングアジャスタ11の下端に当接してい
る。コア2とアジャスタ11の間の隙間から外部に燃料
が流出するのを防ぐ為に両者間にOリング12が設けら
れている。また、コア2とヨーク3の間には、コア2と
ヨーク3の隙間から外部に燃料が流出するのを防ぐ為の
Oリング13が介装されている。磁気回路が励磁するコ
イル15はボビン14に巻かれ、その外側をプラスチッ
ク材でモールドされている。これらから成るコイル組立
体16の端子18はコア2のつば部に設けた孔17に挿
入され、端子18とコア2の間にはOリング19が介装
されている。噴射弁1の外側のモールド樹脂(以下ヨー
クモールドと称す)19aが成形時に噴射弁1内部に入
らないようにするためのカラー20が孔17の入口にか
ぶせられる。燃料や燃料蒸気の通路としてコア2との隙
間21,上部通路22,下部通路23が設けてある。ヨ
ーク3の外周には、環状溝25が形成されていて噴射弁
1と筺体としての図示しないソケットとの隙間から燃料
が流出するのを防ぐOリング24がそこに保持されてい
る。ヨーク3のまわりには燃料が流入する流入通路26
及び噴射弁1の中に溜まった気泡を含む余分な燃料を流
出させる流出通路27が開けられている。またヨーク3
の有底部には可動部4Aを受容するプランジャ受容部2
8が開けられており、更にプランジャ受容部28の径よ
り大径でそこでストッパ29及びバルブガイド7を受容
するバルブガイド受容部30がヨーク先端まで貫設され
ている。また、ヨーク3の外周には、燃料流入通路26
から燃料中,配管中のゴミや異物がバルブシート側へ侵
入するのを防ぐ環状フィルタ31が設けられている。コ
イル15へコントロールユニットからの信号を伝える端
子32は端子18に接合されている。これら端子32は
モールド樹脂によって電磁弁組体の上端にモールドされ
モールドコネクタ33を形成する。可動部4Aは、磁性
材製プランジャ4と、一端がプランジャ4に接合された
ロッド5とロッド5の他端に接合されたボールと、プラ
ンジャ4の上端開口部に固定された非磁性材からなるガ
イドリング34とから構成されている。ガイドリング3
4とコア2の先端に開けられた中空部の内壁35で、ま
たボールバルブ6はバルブガイド7の中空部の内壁36
に挿入される円筒状の燃料旋回素子37の内周面38
で、それぞれガイドされているバルブガイド7には、ボ
ール弁6をガイドする円筒状の燃料旋回素子37に引き
つづいて、ボール弁6をシートするシート面9が形成さ
れており、シール面9の中央には燃料噴射孔8が穿設さ
れている。バルブガイド7には更にシート面9とは反対
方向に延びる筒状部39が形成されている。図示しない
ソケットとバルブガイド7の外周面との間には燃料をシ
ールするOリング40が介装されている。実施例ではバ
ルブガイド7の外周の環状溝としてOリング受容部41
が形成されている。
【0008】以下噴射弁の組立方法及び流量の調整方法
について説明する。まず、電磁石部の組体の組立方法を
説明する。コイル組立体16の端子18部にOリング1
9をつけた後、コア2のつば部の孔17に端子18を挿
入し、次に端子18の上からカラー20を挿入する。そ
の後コアの栓体部外周下部にOリング13を取り付けヨ
ーク3内に嵌入する。この状態でヨーク3の内周上端縁
のコア当接面部42を軸方向に押圧し、コア2の栓体部
の外周に設けた溝43にヨーク3の材料を塑性流動によ
って半径方向に流し込みその緊迫力で固定する。いわゆ
るメタルフローを行う。可動部はそのボール弁6を燃料
旋回素子37の内壁面38でガイドすると共にコア2の
先端内壁面35で非磁性リング34をガイドして結局2
ケ所でガイドして軸方向に進退するため、ヨーク3のバ
ルブガイド7の受容部30の内径とコア2の内壁面35
の同軸度が正確に得られることが重要である。そこでバ
ルブガイド7の受容部30の内径及び、コア2の内壁面
35を精度よく支持した状態でメタルフローを行う。そ
の後、端子18に端子32をカシメあるいははんだ付
け、溶接等により固定し、その後樹脂により、モールデ
ィングを行う。次に、バルブガイド組体の組立について
説明する。バルブガイドは、可動部4Aと燃料旋回素子
37とバルブガイド7とから成る。可動部4Aはボール
弁6と焼入れ硬化したステンレス材製のロッド5を、抵
抗溶接あるいはレーザー溶接等により溶接接合する。次
いでロッド5の他端とプランジャ4とはロッド5の外周
に設けた溝44にメタルフローによってプランジャ4の
内壁を流動圧着することにより固定する。また、ガイド
リング34とプランジャ4の結合は、プランジャ4のボ
ール弁側の面45を雇で受けて、プランジャ4の先端内
周縁のガイドリング当接部46を軸方向に押圧し、ガイ
ドリングに半径方向の緊迫力を与えることによってメタ
ルフローで行うことができる。
【0009】燃料旋回素子37は、焼結合金を用いて円
筒状に型形成され、バルブガイド7の内壁面36に圧着
固定される。すなわち、燃料旋回素子37の外周面47
(4ケ所)をバルブガイド7の溝48にメタルフローに
よって流動圧着する(図2及び図2をA方向より見た図
3)。なお、本実施例では、上記の如くメタルフローに
て圧着固定する方法について述べるが、該燃料旋回素子
37は弾性部材によって、図2に示すA方向より固定し
てもその機能は同様に満足できる。
【0010】該燃料旋回素子37には、軸方向溝49と
径方向溝50が設けてある。本実施例では軸方向溝49
はDカット面を形成した。かかる溝49,50は、軸方
向より導入される燃料通路であるが、溝49を通過した
燃料は溝50にて軸中心より偏心導入される。いわゆる
燃料に旋回力が付与されバルブガイド7に設けた出口オ
リフィスの燃料噴射孔8より噴出する際の微粒化を促進
する働きがある。
【0011】ここに、燃料旋回素子37は次に示す配慮
がなされた上で設計製作され、バルブガイド7の内壁面
36に圧着固定されるものである。
【0012】燃料の静的流量に影響を与える因子とし
て、該燃料旋回素子37の流路の圧損と付与される旋回
力がある。流路の圧損は溝の断面積によって主に支配さ
れる。本実施例における径方向溝50の断面形状を図4
(図3のB−B方向断面図)に示した。図4における溝
の幅Wと溝の深さHより表わされる流れ学的相当径を用
いると断面積A1 は、
【0013】
【数1】
【0014】となる。ここに、n:溝の数である。
【0015】該断面積A1 は、燃料噴射孔8の断面積A
3
【0016】
【数2】
【0017】との比σ=A1/A3が1.5<σ<6.5と
なるように寸法決定されており、圧力損失をできるだけ
防ぐように設計されている。筆者らの実験結果を図5,
図6に示したが、これによって損失による影響がごく僅
かであることが証明されよう。
【0018】図5は、溝幅Wが静的流量に及ぼす影響を
示したもので、基準溝幅W0 に対する公差±aにおいて
流量の変化率は0.2% 弱である。図6は、溝深さHが
静的流量に及ぼす影響を示したもので、基準溝深さH0
に対する公差±aにおいて流量の変化率は0.1% 弱で
ある。従って、溝が静的流量に与える影響は、上記設計
条件において無視される程僅かである。なお、図5,図
6において静的流量Q0 は目標流量であり、QmaxはQ0
の+3%を表わし、QminはQ0 の−3%を表わしてい
る。また、公差±aは本実施例の場合20μm程度であ
る。
【0019】次に旋回力が静的流量に与える影響につい
て記述する。旋回強度を示すパラメータとして与えられ
るスワール数Sは次式で与えられる。
【0020】
【数3】
【0021】ここに、 L:溝の偏心量(図4参照) dS:流れ学的等価直径で溝径Wと溝深さHを用いて表
わされる(数1参照) n:溝の数 である。このスワール数Sの大きさが静的流量に与える
影響を次式によって説明すると共に、筆者らの実験結果
と合わせて記載する。先ず流量Qは数4で与えられる。
【0022】
【数4】
【0023】ここに、 Q:流量 C0:流量係数 d:オリフィス径 γ:比重量 P:燃料圧力 である。数4における流量係数C0 は、数3によって求
められるスワール数Sの逆数で示される特性値Kをもっ
て表わされ、これを図で表わすと図7のようになる。図
から明らかな様に、本実施例では流量係数C0 の変化率
が小さくなる領域で燃料の通過が許されるように設計さ
れている。言いかえれば、数3におけるスワール数Sの
大小は、溝の偏心量Lによって選択できる。この偏心量
Lは、流量係数C0 の変化率を小さくする寸法に決定さ
れているのは当然であるが、筆者らの実験結果を示す図
8によってこれが証明されよう。
【0024】図8において、基準偏心量L0 に対する公
差±aにおいて静的流量の変化率は±1%弱である。図
におけるハッチング部の流量変化に相当するが、この流
量変化は図7において示した流量係数C0 の変化C0
minからC0 maxに相当すると言えよう。
【0025】以上説明したように、燃料旋回素子37が
静的流量の変化に与える影響は比較的少なく、その製作
精度を緩くした単純な構成によって安価な燃料旋回素子
37が提供されることになる。該燃料旋回素子37は、
緩い製作精度で所望の寸法に製作されたのち、バルブガ
イド7の内壁面36の溝48にメタルフローによって流
動圧着することによって固定される。
【0026】次に、可動部4Aのストロークの調整につ
いて記述する。ストロークはロッド5の首部の受け面5
aとストッパ29間の空隙の寸法で決定される。
【0027】このストロークlが静的流量に与える影響
についての実験結果を図9に示す。図から明らかな様
に、ストロークlの増加に伴って流量は急激に上昇を始
め次第に勾配がゆるやかになりほぼ一定の流量Q0 とな
る。このストロークによって、ボール6と弁座9間に形
成される環状隙間の面積A2 は、図10を参照するが、
数5で与えられる。
【0028】
【数5】
【0029】ここに、D1 :図中台形の下辺 D1 :図中台数の上辺、すなわちシート径 h:図中台形の高さ である。
【0030】一定の流量Q0 になるための面積A2 は、
燃料噴射孔8の面積A3 との比δ=A2/A3で表わすと
き1<δである。本実施例では、図9に示すが、基準ス
トロークl0 に対する公差±aにおいて、十分余裕のあ
る寸法に決定されることがわかる。該ストロークl0
公差−aにおける比δは2以上である。なお、寸法a
は、前述したが約20μm程度である。
【0031】以上のように、可動部4Aのストローク量
は、静的流量に影響を及ぼさない絶対量であって、しか
も十分余裕のある寸法公差でもって決定される。したが
って、従来のように、可動部4Aと、バルブガイド7を
組合わせた状態で一旦リフト量を測定し、バルブガイド
の端面あるいは、ロッド5の首部の受け面5aを研摩し
て目標範囲のストロークに調整する必要がなく、部品寸
法の管理のみで良い。従って組立て作業が容易でかつ単
純化される。
【0032】次に、バルブガイド7に設けた燃料の噴出
口である燃料噴射孔8の静的流量への影響について述べ
る。単一燃料噴射孔8を通過する燃料の静的流量は図1
1に示される。基準オリフィス径d0 に対する公差±b
における静的流量の変化率は±1.5% 弱である。ここ
に、b寸法は5μm程度である。
【0033】前述したように、燃料噴射孔8の断面積A
3 は、可動部4Aのストローク時の環状隙間面積A2
よび燃料旋回素子37の溝面積A1 を用いてその関係を
表わすと
【0034】
【数6】 A1>A2>A3 …(数6) となる。いわゆる、本実施例における噴射弁1は、オリ
フィスの燃料噴射孔8によって燃料が計量される。
【0035】A2/A3なる比δは前記した様に、2以上
の値をとるが、このとき、燃料噴射孔8の流体損失が全
損失の95%以上を占めており、上記計量がこの燃料噴
射孔8によってなされることが裏付けされる。
【0036】また、図5ないし図8を用いて説明したが
燃料旋回素子37の流量への影響と図9,図10を用い
て説明したストロークの流量への影響とを考慮した流量
変化率は±1%程度であることも、流量の調整が出口オ
リフィスの燃料噴射孔8によって行われることを意味す
る。
【0037】以上のように、静的流量はストロークによ
ってほとんど影響されず、燃料旋回素子37によって±
1%程度、オリフィスによって±1.5 %程度で変化す
るが、噴射弁組体において目標とする±3%を十分満足
できる。
【0038】すなわち、静的流量の調整を分解組立てや
高い経費をかけて再び製造する必要のない安価な噴射弁
となる。なお、バルブガイド7に設けられたオリフィス
の静的流量が、バルブガイド7に燃料旋回素子37を圧
着固定する前に測定されることによっても、目標精度内
に管理されることはいうまでもない。
【0039】上記のように、組立てられたバルブガイド
組体をストッパ29とともに、電磁石組体のヨーク3の
バルブガイド受容部30へ挿入し両者を組立てる。両者
の固定はバルブガイド7の外周に設けた溝51にヨーク
3の先端内周壁をメタルフローにて塑性流動により流れ
込ませて固定する。その際ストッパ29は、可動部が吸
引されたときプランジャ4の先端とコア2の先端が直接
接触しないように、所定のエアギャップを持つような厚
みに設定する。次に、電磁石組体のコア2の中心に設け
た孔にバルブガイド7とは反対方向より、先端にスプリ
ング10を保持し外周にOリング12を取り付けたアジ
ャスタ11を挿入する一方、ヨーク3の外周にフィルタ
31及びOリング24を取り付け、図示しない雇へ一旦
収納して、そこで噴射量の試験に入る。噴射量試験は、
まず可動部をフルストロークさせた状態で測定し、その
時の噴射量が規定の噴射量になることを確認する。
【0040】その後、一定周期,一定開弁時間の噴射量
を規定の噴射量になるように、可動部の応答性をスプリ
ング10の荷重を変化させて決定し、しかるのちコア2
の上部突出部52の外周をモールド樹脂の孔から半径方
向に押圧し、アジャスタの溝部53にコアの内壁を喰い
込ませることにより固定する。
【0041】以上の通り構成された、本噴射弁の動作を
説明する。噴射弁1は電磁コイル15に与えられる電気
的なON−OFF信号により、可動部を操作してバルブ
シートの開閉を行い、それによって燃料の噴射を行う。
電気信号はコイル15にパルスとして与えられる。コイ
ル15に電流が流されるとコア2,ヨーク3,プランジ
ャ4で磁気回路が構成され、プランジャ4がコア2側に
吸引される。プランジャ4が移動すると、これと一体に
なっているボール弁6も移動して、バルブガイド7の弁
座9のシート面から離れ燃料噴射孔8を開放する。燃料
は、図示しない燃料ポンプや燃圧レギュレータにより加
圧調整され、フィルタ34を介して流入通路26より電
磁弁組体の内部に流入し、コイル組立体16の下部通路
23,プランジャ4の外周,ストッパ29とロッド5の
隙間,燃料旋回素子37の溝49,50を通って、シー
ト部へ旋回供給され、開弁時に燃料噴射孔8を通って吸
気管内に噴射される。
【0042】電磁コイル15が消勢されると可動部4A
はスプリング10に押されてバルブシート側に移動し、
ボール弁6が弁座9のシート面を閉塞する。
【0043】以上の説明で、流量の調整手段を必要とし
ないことは明らかになったが、ここに燃料の微粒化に寄
与する点について記述する。
【0044】燃料は、燃料旋回素子37に至ると、該旋
回素子に設けた軸方向溝49、これに連通する径方向溝
50から弁座9シート面に向って流れるが、この際に軸
中心より偏心して構成される径方向溝の出口において旋
回流れが発生する。この旋回流れは、弁座9のシート面
1に形成される損失のない環状隙間を経て下流に進む
が、その流れは助長されて十分な旋回エネルギを保持し
たまま燃料噴射孔8に至る。
【0045】なお、溝49,50及びボール6がリフト
した際に弁座9のシート面間に生ずる環状隙間を流れる
際の燃料の圧力降下はこれまでの説明から明らかなよう
にごく僅かである。従って、供給される燃料圧力を維持
したまま燃料の旋回供給が行われ、燃料噴射孔8部で十
分な噴射圧,旋回力で噴射されるため優れた微粒化燃料
が得られることになる。
【0046】ここで図12に、本発明の噴射弁を用いた
場合の、燃料の流路と流速との関係を表わす。図12か
らも明らかなように燃料の導入部から出口まで燃料噴射
孔の部分が流速が最も大きい。従って、燃料噴射孔即
ち、出口オリフィスのみで流量が計測できることにな
る。設計上は出口オリフィスを精度よく作れば流量が精
度よく計測することができるということである。
【0047】図13は、本発明の他の実施例を示すもの
で、燃料旋回素子37は、燃料の通路を許す十分な空隙
を有する軸方向溝49と燃料流れ損失の起こらない先絞
り形状となる径方向溝50とにより、その通過の際の圧
力損失がごく僅かになるように構成してあり、燃料は第
一の燃料旋回室54へ流入する。
【0048】図14は、本発明の他の実施例に係るノズ
ル装置の断面図である。図14において、37は別なる
燃料旋回素子、49は軸方向溝、50は径方向溝であ
る。
【0049】この実施例においても第一実施例と同様な
効果が得られるもので、構造が比較的簡単であり安価に
構成できるというものである。
【0050】なお、この実施例における軸方向溝49及
び径方向溝50は実施例から明らかなように任意の形状
を採ることができる。すなわち、噴射圧及び燃料旋回力
の調整を行うことが可能であり、燃料噴射孔8より噴射
される噴霧のパターンを選ぶこともできるということに
なる。さらに、軸方向溝49は面取りによる構成によっ
ても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0051】次に、図15は、本発明のさらに他の実施
例に係る電磁式燃料噴射弁の要部拡大図、図16は図1
5のB−B矢視断面図である。
【0052】図15において、37はフランジ51を有
する燃料旋回素子であり、このフランジ51の外周面が
ノズル装置2の急拡大孔5の内面に固着される。52は
フランジ51下部に形成される燃料溜り部で、これによ
り燃料は、弁座9面との対応面に設けられる径方向溝5
0から第1の燃料旋回室54へ至る。55は図16に示
した様にフランジ51に設けた複数個の切欠部55で燃
料溜り部52に連通する。
【0053】57は、ボール6下部に円すい状の弁座9
で形成される第2の燃料旋回室で、第1の燃料旋回室5
4より流入する燃料の旋回流れを助長する。
【0054】56は、ヨーク3の支承面1aと、前記ノ
ズル装置7の支承面2aとの間に挿入されるスペーサ部
材で、このスペーサ部材56は、前記バルブ装置の突起
面8aとの隙間を規制して、該バルブ装置の上方への移
動、すなわちリフト量を確保するものである。
【0055】この実施例においても、第1の実施例と同
様な効果が得られるが、特に、径方向溝50の直前にお
いて、加圧燃料の均一な配分が得られ、効率良く旋回燃
料に置換できるというものである。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、組立後の流量調整が不
要となる構成が単純でかつ、圧力降下のない燃料の供給
により効率の良い旋回燃料が得られ、優れた微粒化燃料
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る電磁式燃料噴射弁の縦
断面図。
【図2】燃料旋回素子,バルブガイド組立構造を説明す
る為の縦断面図。
【図3】図2のA方向よりの視図。
【図4】図3のB−B断面図。
【図5】溝幅と流量の関係を示す実験例。
【図6】溝深さと流量の関係を示す実験例。
【図7】本発明の実施例に係る燃料旋回強さと流量係数
の関係を示す図。
【図8】溝の偏心量と流量の関係を示す図。
【図9】バルブストロークと流量の関係を示す図。
【図10】ボールと弁座間に生ずる環状隙間を説明する
為の図。
【図11】オリフィス径と流量の関係を示す図。
【図12】燃料の流路と流速との関係を示す図。
【図13】本発明の他の実施例のボール弁体部分の断面
図。
【図14】本発明の他の実施例のボール弁体部分の断面
図。
【図15】本発明の他の実施例の要部拡大断面図。
【図16】図15のB−B断面図。
【符号の説明】
1…噴射弁、2…コア、3…ヨーク、4a…可動弁、4
…プランジャ、5…ロッド、6…ボール弁、8…燃料噴
射孔、9…弁座、15…コイル、37…燃料旋回素子、
49…軸方向溝、50…径方向溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 庸▲蔵▼ 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 内山 恭一 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 渡辺 春夫 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 小菅 徳男 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所佐和工場内 (72)発明者 大西 明 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所佐和工場内 (72)発明者 寺崎 ▲あかね▼ 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所佐和工場内 (72)発明者 安藤 弘之 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所佐和工場内 (72)発明者 浜島 英治 茨城県ひたちなか市東石川西古内3085−5 日立オートモティブエンジニアリング株 式会社

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁座の上流側に配設され、供給された燃料
    に旋回力を与える複数の燃料通路が形成された燃料旋回
    素子と、前記弁座の下流側に設けられ前記燃料旋回素子
    によって旋回される燃料を噴射する単孔の燃料噴射孔
    と、電磁石により駆動され、前記弁座との間で燃料通路
    の開閉を行うボール弁とを備えた電磁式燃料噴射弁にお
    いて、前記弁座に対して前記ボール弁が移動可能に弁体
    を支持する第1、第2の支持手段と、これら第1、第2
    の支持手段の間に配置され、前記弁体の可動範囲を制限
    するストッパとを備えた電磁式燃料噴射弁。
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