JPH0799928A - 濃縮ファフィア色素油を含有する甘味食品 - Google Patents

濃縮ファフィア色素油を含有する甘味食品

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JPH0799928A
JPH0799928A JP5277284A JP27728493A JPH0799928A JP H0799928 A JPH0799928 A JP H0799928A JP 5277284 A JP5277284 A JP 5277284A JP 27728493 A JP27728493 A JP 27728493A JP H0799928 A JPH0799928 A JP H0799928A
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JP
Japan
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oil
phaffia
dye
concentrated
pigment
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JP5277284A
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English (en)
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Kiyonori Nakai
清典 中井
Takeshi Koriyama
剛 郡山
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FOOD DESIGN GIJUTSU KENKYU KUMIAI
Original Assignee
FOOD DESIGN GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 濃縮ファフィア色素油を含有する甘味食品の
提供。 【構成】 アスタキサンチン産生ファフィア酵母からの
食品用濃縮天然赤色色素油であるアスタキサンチンを主
要成分とする濃縮ファフィア色素油を含有する甘味食
品。甘味食品食品としては、氷菓、菓子類、ゼリー類、
ジャム類などがある。アスタキサンチンを主要成分とす
る濃縮ファフィア色素油は好ましくは着色剤として含有
される。上記色素油は乳化物の形あるいは粉末の形で使
用することができる。 【効果】 色調、耐光性、着色性に優れるだけでなく、
抗酸化活性、抗炎症作用、免疫賦活作用等の生理活性を
有するアスタキサンチンを主要成分とするファフィア色
素を含有する甘味食品を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、濃縮ファフィア色素
油を含有する甘味食品に関するものである。詳しくは、
この発明は、着色剤としてアスタキサンチンを主要成分
とする濃縮ファフィア色素油を含有する氷菓、ジャム
類、菓子類、ゼリー類などの甘味食品に関するものであ
る。この発明の「アスタキサンチンを主要成分とする濃
縮ファフィア色素油」とは「アスタキサンチン産生ファ
フィア酵母からの食品用濃縮天然赤色色素油」を意味す
る。
【0002】
【従来の技術】食用色素には従来からさまざまな着色剤
が使用されている。合成着色料としては赤色、黄色、緑
色、青色タール色素とそのアルミニウムキレートおよび
酸化鉄や二酸化チタン、銅クロロフィリンナトリウム、
鉄クロロフィリンナトリウム、水溶性アナトー、β−カ
ロテンがその使用目的に応じ認可されている。これらの
着色料は消費者需要の多様化や着色の簡便性から広く利
用されているが、近年では、これら合成着色料は消費者
の健康や安全性への関心の高まりとともに天然色素へ代
わりつつある。
【0003】この様な天然色素としてはこれまでにβ−
カロチン、パプリカ色素、アナトー色素、紅麹色素、コ
チニール、紅花色素等が市場にあり、よく利用されてい
るが、原料のほとんどは輸入されており、供給、価格等
に不安定なものが多く、また、耐光性、耐熱性、色素濃
度、臭い等で満足の行くものがなく、食品業界では新た
な食用色素の開発が望まれている。
【0004】また、天然色素は、動植物といった天然物
から単に抽出、搾汁、濃縮、乾燥、粉砕等の操作で得ら
れたものが主体となっている。天然物から得られるとい
うことで抽出油は混在する成分が多いのも普通のことで
ある。市販の天然色素の純色素濃度としては数パーセン
トのものが多く、用途はその濃度の点から制限されるこ
とがある。天然色素の高度濃縮は色素開発の大きな課題
となっている。
【0005】天然色素としてアスタキサンチンを産生す
るファフィア酵母が知られている。ファフィア酵母が生
産する赤色色素はパプリカよりも赤く特異的な色調を有
するが、この天然色素も濃度をさらに上げる必要があ
る。また、ファフィア酵母から色素を抽出するには粉砕
処理を行った酵母から溶剤により行うが、この抽出に用
いる溶剤にはアセトンやエタノールといった極性の高い
溶剤が適している。これらの溶剤は食品添加物の抽出に
用いることができなかったり非常に高価であったり、ま
た高極性溶剤を用いることにより抽出色素油の夾雑物質
が増加したりする欠点がある。
【0006】菓子類において、赤色系の色素の利用範囲
は非常に広いことが知られている。これまでに利用され
ている天然色素はβ−カロテン、パプリカ色素、アナト
ー色素、紅麹色素、コチニール、紅花色素等が市場にあ
り、よく利用されているが、原料のほとんどは輸入され
ており、供給、価格等に不安定なものが多く、また、耐
光性、耐熱性、色素濃度、臭い等で満足の行くものがな
く、食品業界は新たな食用色素の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、濃縮ファ
フィア色素油を含有する甘味食品の提供を目的とする。
詳しくはこの発明は、天然色素の特徴を損なうことな
く、これまで天然色素の欠点となっていた着色性や安定
性、色素濃度に優れた、新しいアスタキサンチンを主要
成分とする濃縮ファフィア色素油を用いて着色した甘味
食品を提供することを目的としている。さらに詳しく
は、この発明は、着色剤としてアスタキサンチンを主要
成分とする濃縮ファフィア色素油を含有する氷菓、ジャ
ム類、菓子類、ゼリー類などの甘味食品の提供を目的と
する。
【0008】ファフィア色素は橙色から赤橙色の鮮やか
な色調を有し、耐光性の点でも同系色のパプリカ色素よ
りすぐれていることから、広く食品への応用が期待でき
る。この発明は菓子類、氷菓子類に係わる物で、たとえ
ばキャンデー、クリーム、ゼリー、ジャム、チョコレー
ト、和菓子、焼菓子、アイスクリーム等についてであ
る。この発明は、このような食品に対し安定で特徴的な
色調をもつ赤色色素のファフィア色素を利用することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の甘味食品が含
有するアスタキサンチンを主要成分とする濃縮ファフィ
ア色素油は、アスタキサンチン産生ファフィア酵母から
の食品用濃縮天然赤色色素油である。このアスタキサン
チン産生ファフィア酵母からの食品用濃縮天然赤色色素
油は、アスタキサンチン生産酵母ファフィア ロドチー
マ(Phaffia rhodozyma)に含まれる
色素を抽出した粗抽出色素油から得られた濃縮天然赤色
色素油である。
【0010】上記濃縮天然赤色色素油中のアスタキサン
チンを主要成分とするファフィア色素は、色調、耐光
性、着色性、耐熱性に優れるだけでなく、抗酸化活性、
抗炎症作用、免疫賦活作用等の生理活性を有する新たな
機能性食用天然色素として使用される。粗抽出色素油か
ら得られた食品用濃縮天然赤色色素油は、好ましくは濃
縮色素油の乳化物の形で使用することができる。場合に
よっては、食品用濃縮天然赤色色素油そのままの形で、
或いは粉末の形で使用することができる。これらの色素
油は好ましくは着色剤として使用される。
【0011】ファフィア色素の主要成分であるアスタキ
サンチンはβ−カロテン等のカロテノイド系色素の中で
も最も赤色色調が高く、熱、光、pH等にたいする安定
性も比較的良好である上、カニ、エビ、サケ等の生産食
品から日常的に摂取していることから安全性の点から問
題ない。
【0012】さらに、アスタキサンチンは抗酸化性、免
疫賦活等の有用機能を有していることも知られ、天然色
素としてもこれまでにない新しい機能性色素として注目
されている。このようなファフィア色素を実際にドロッ
プ、ゼリー、アイスキャンデーに使用したところ色調的
には鮮やかなフルーツ系の色を示し、既存の色素である
パプリカ色素と比べ赤色が強く、耐光性の点でも優れて
いた。
【0013】アスタキサンチンを主要成分とする濃縮フ
ァフィア色素油である上記食品用濃縮天然赤色色素油の
製造方法の概略は、以下の通りである。赤色色素を生産
するファフィア酵母を特定の抽出溶剤を用いて抽出処理
し、次いで得た粗抽出色素油を濃縮処理し、必要により
さらに脱臭処理することにより食品用濃縮天然赤色色素
油を製造する。上記特定の抽出溶剤としてヘキサンとエ
タノールの混液が使用される。すなわち上記の先行技術
の課題を解決するために、抽出溶剤としてヘキサンとエ
タノールの混合溶剤を採用しそれを用いてファフィア酵
母よりアスタキサンチンを抽出し、各種濃縮処理を行
い、必要によりさらに脱臭処理する。
【0014】上記濃縮処理手段としては、好ましくは低
温分別処理、ケン化処理、又は低温分別処理とケン化処
理の併用が採用される。低温分別処理とケン化処理を併
用するとき、低温分別処理をし、次いでケン化処理をす
る方法、低温分別処理とケン化処理を同時にする方法が
採用される。上記ケン化処理としては、好ましくは脂肪
酸のアルカリセッケン形成法を応用したもの又は脂肪酸
の金属セッケン形成法を応用したものが採用される。上
記脱臭処理としては、好ましくは水蒸気蒸留が採用され
る。
【0015】原料酵母として用いる赤色色素を生産する
ファフィア酵母は、微生物学分類上不完全菌類に属し赤
色色素を生産する酵母、例えばファフィア ロドチーマ
(Phaffia rhodozyma)である。抽出
に用いるファフィア酵母は培養後、遠心分離やろ過によ
り集めよく水洗したのち、そのままあるいは乾燥後、ボ
ールミル、凍結粉砕、圧縮粉砕、超音波処理等の物理的
破砕処理かセルラーゼ等を用いた酵素的処理により前処
理することが望ましい。湿菌体から有機溶剤を用いて色
素油を抽出した場合、夾雑物質の混入が著しく、また、
抽出率も一様に低下することから工業的には乾燥菌体か
ら溶剤抽出する方が一般的である。
【0016】ファフィア酵母から色素を抽出するときに
用いる抽出溶剤としてはアセトン、酢酸エチル、ヘキサ
ン、エタノール等が考えられる。しかしながら、抽出率
の良いアセトンや酢酸エチルは、食品添加物の抽出には
用いることができない。また、ヘキサンは価格が低い反
面抽出率の点で問題があり、エタノールは抽出率はよい
ものの抽出コストの増加や高極性成分の増加による濃縮
コストの増加の問題がある。
【0017】これらの問題を解決する手段として、ヘキ
サンの短所をエタノールを混合することにより改善し安
価で優れた食品用濃縮天然赤色色素油用の抽出溶剤とす
る。ファフィア酵母からアスタキサンチン色素を抽出す
るに当たり破砕したファフィア酵母からヘキサンおよび
エタノールの混合比率を適宜選ぶことによりアスタキサ
ンチンをより効率よく抽出することができる。
【0018】ヘキサンおよびエタノールの混合比率はエ
タノールの割合が高くなるほど抽出率は向上する。しか
しながら、エタノールの割合が増加すれば抽出コストの
増加と高極性物質が増加し、その後の濃縮操作が煩雑と
なる。したがって、混合比率としては色素の抽出率、抽
出コスト、ヘキサンとエタノールの共沸組成等から判断
した。ヘキサン:エタノールは90〜50:10〜5
0、好ましくは85〜80:15〜20の割合で使用さ
れる。抽出方法は抽出溶剤と乾燥菌体を撹拌混合した処
理液をポンプにて撹拌しながら圧縮粉砕機へ送液するこ
とによりよりスムーズに処理を行うことができる。破砕
処理は抽出に応じて複数回行うことが望ましい。
【0019】ファフィア酵母における脂質組成で主要と
なるのはトリグリセリドと遊離脂肪酸で抽出色素油の色
素濃度を上げるためにはこれら主要成分の効率的な除去
が必要となる。主要成分の1つであるトリグリセリドは
低温分別により効率的に除ける。低温分別は−60℃か
ら10℃、好ましくは−50℃でヘキサン、アセトン、
エタノール等の有機溶剤を用いて行うことができ、アス
タキサンチン類を濃縮精製することができる。例えば、
原料酵母としてトリグリセリドを特に多く含むものを使
用する場合、低温分別が優れた濃縮処理であるといえ
る。
【0020】主要成分の1つである遊離脂肪酸はケン化
処理により効率的に除ける。ケン化処理は水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ
を添加することにより生成する脂肪酸のアルカリ石鹸を
除き、アスタキサンチン類を濃縮精製することができ
る。例えば、原料酵母として遊離脂肪酸を特に多く含む
ものを使用する場合、ケン化処理が優れた濃縮処理であ
るといえる。ケン化処理はアセトン、ヘキサン等の有機
溶媒や油脂中で行うことができるが、もっとも効率的な
のはアセトン中で行うときである。
【0021】低温分別による濃縮は遊離脂肪酸の除去率
が約40%程度であり、また、セッケン形成法を利用し
た濃縮法では脂肪酸のみを選択的に除くことから、これ
らの方法を併用することにより、主要脂質成分が複数で
ある粗抽出色素油からより高度に色素を濃縮することが
できる。
【0022】また、濃縮天然赤色色素油の用途は食品用
であり、酵母臭の除去、脱溶剤のために脱臭処理を行う
ことが好ましい。脱臭処理手段としては水蒸気蒸留が採
用される。水蒸気蒸留は好ましくは通常100〜200
℃、好ましくは120〜150℃、真空度は30tor
r以下で行われる。ファフィア酵母から抽出した色素油
には、一般に発酵生産物特有の刺激臭が存在する。この
刺激臭は色素を高濃度で用いた場合に特にひどく、色素
油の利用範囲を著しく限定することになる。
【0023】この発酵臭は、ファフィア酵母を培養する
ときに用いる培地に由来することから、培養終了後に集
めた菌体を良く水洗することによりかなり軽減するが、
これだけでは色素油の脱臭は不十分である。また、抽出
溶剤に用いるヘキサンおよび濃縮時に用いるアセトン
は、最終生産物である色素油に残留してはいけないこと
になっている。従って、抽出後の色素油をさらに通常1
00〜200℃、好ましくは120〜150℃、真空度
は30torr以下で水蒸気残留を行うことにより発酵
臭は著しく低下し、さらに色素油中から抽出、精製溶剤
であるヘキサン、アセトンを水との共沸により完全に除
くことができる。
【0024】上記食品用濃縮天然赤色色素油は必要によ
り、乳化して乳化物の形で、あるいは粉末化して粉末の
形で使用される。乳化物は上記食品用濃縮天然赤色色素
油に食品用乳化剤を添加し撹拌し、乳化物とすることに
より製造される。食品用乳化剤として、食品衛生法で認
められている食品用乳化剤を用いる。食品衛生法で認め
られている食品用乳化剤としては、脂肪酸モノグリセリ
ド類、ポリグリセリン脂肪酸類、ソルビタン脂肪酸エス
テル類(スパン等)、ショ糖の脂肪酸エステル等の非イ
オン活性剤及びレシチン、酵素処理レシチン、アラビア
がム、キラヤ抽出物、卵黄等の天然物がある。
【0025】これらの食品用乳化剤は、例えば脂肪酸モ
ノグリセリド類をショートニングに1〜2%加えると、
これを用いてパン、ケーキ類をつかったとき水分を多く
含み、柔らかく、かさのあるものができるし、マーガリ
ンに約0.3%用いると乳化作用のほかに柔らかい状態
に保てる温度範囲が拡大するし、アイスクリームに0.
3〜1.0%用いるとよい組織が得られる。
【0026】またピーナツバターに0.25〜0.50
%用いると油の分離が防げるし、感触がなめらかにな
る。このほかキャンデー、チューインガム、マヨネー
ズ、サラダドレッシング等に用いられる。ソルビタン脂
肪酸エステル類にはソルビタンモノオレイン酸エステル
(スパン80)、ソルビタンモノラウリン酸エステル
(スパン20)等があり、キャラメル、チューインガム
類に用いると塑性、結着性がよくなり、歯切れもよくな
る。ショ糖の脂肪酸エステルの脂肪酸としてパルミチン
酸、ステアリン酸を含むエステルが上記各種の食品に用
いられ、またレシチンはマーガリン、マヨネーズ等に用
いられる。
【0027】本発明においては、添加する甘味食品に応
じて最適な食品用乳化剤を選択して最適量使用する。具
体的には食品用乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステ
ル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそれらの
組合わせが用いられる。好ましくは食品用乳化剤として
脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリンエステルが用
いられる。
【0028】色素油の皮膜材、エマルジョンの安定剤と
しての蛋白質は大豆、トウモロコシなどの植物蛋白、脱
脂乳、卵白アルブミン、カゼイン、ホエー、ゼラチンな
どの動物蛋白などが用いられる。同じく炭水化物はトウ
モロコシ、タピオカ、甘薯、馬鈴薯などの澱粉、粉あ
め、デキストリン、しょ糖、ぶどう糖、乳糖などであ
る。このほかにエマルジョンの安定剤としてリン酸カ
リ、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの塩
類、さらにアラビアガム、ペクチンなどの天然ガム、C
MC、MC、アルギン酸ソーダなどの安定剤が用いられ
る。酸化防止のためにはトコフェロール、BHA、BH
Tなどの抗酸化剤が使用される。
【0029】このようにして得られた乳化物はO/W型
のエマルジョンであり、これを噴霧乾燥することによっ
て、粉末化することができる。すなわちマイクロカプセ
ル化の原理の応用で、蛋白質、炭水化物の皮膜に色素油
がとじこめられるわけである。さらに、粉末化物は、例
えば上記食品用濃縮天然赤色色素油にゼイン及び/又は
グルテンを分散した溶媒をゼイン及び/又はグルテン1
00重量部当たり、上記ファフィア色素油1〜51重量
部添加撹拌し、しかる後、溶媒を除去して粉末化して得
られる。
【0030】さらにまた、上記食品用濃縮天然赤色色素
油を含む原料を水または有機溶剤の存在下エクストルー
ダー内において高温高圧下に溶融して、共存する水及び
/または有機溶剤が液体でかつ均一に分散された溶融物
を形成し、ただちにその溶融物をダイ部から大気圧に、
あるいはそれより低い圧力に保持されている帯域に吐出
して、共存する水及び/又は有機溶剤を爆発的に蒸発さ
せるとともに、溶融した原料を凝固させ、表面に皮膜を
形成させることにより得られる。
【0031】
【実施例】本発明の詳細を実施例で説明する。本発明は
実施例によってなんら限定されることはない。 抽出例 ファフィア ロドチーマ(Phaffia rhodo
zyma)に属する菌株を培養し、得られた培養物を遠
心分離やろ過により集め、スプレードライヤーにより乾
燥菌体を得た。この乾燥菌体各300gにエタノール、
ヘキサン、アセトン、酢酸エチル、ヘキサンとエタノー
ルの各比率の混合溶剤3Lを加え撹拌混合しながら圧縮
粉砕機(APV GAULIN社製 15MR)を用い
圧縮粉砕を行った。結果を表1(溶剤による色素抽出
率)に示した。
【0032】
【表1】
【0033】アセトン、酢酸エチルは食用色素の抽出に
は不適当であるが、どちらも抽出率は90%以上と良好
であることから、他の利用分野では十分利用可能であ
る。ヘキサンのみの色素抽出率は65.8%と低いがエ
タノールの含有率が高くなるにつれ、ほぼ直線的に抽出
率が向上しエタノール含有率が15%のとき87%とな
った。抽出率が90%以上になるにはエタノール含有率
75%以上でなくてはならないが、アスタキサンチン類
以外の高極性の成分の割合が増加し、その後の処理が煩
雑となることや、ヘキサンとエタノールの共沸組成比か
らヘキサン:エタノール=85:15が最も望ましい値
であることが明らかとなった。
【0034】濃縮天然赤色色素油の製造例1 粗色素油から遊離脂肪酸、トリグリセリドを除くため
の、低温分別処理を行った。粗抽出色素油に10,5,
3倍量のアセトンあるいはn−ヘキサン/エタノール
(85:15)を加え、−50℃、1時間の撹拌を行っ
た後、4A濾紙(ADBANTEC製)で濾別し、濾液
を減圧濃縮して脂質量、カロテノイド量を求めた。添加
する溶剤が抽出油の3倍のときは、溶液中の沈殿物の濃
度が濃く、低温分別中に固まり分別が不可能であった
が、5倍量のアセトンにより低温分別を行うことにより
トリグリセリド、ステロール、リン脂質が除かれ色素濃
度は約1.5倍に濃縮された。その結果を表2(低温分
別処理による色素油の濃縮)に示す。
【0035】
【表2】
【0036】濃縮天然赤色色素油の製造例2 粗色素油中の遊離脂肪酸と当量の水酸化カリウムを0.
8%含水アセトン20mlに40℃で撹拌溶解させ、1
gの色素油(遊離脂肪酸75.39%)を添加し、室温
で10分間撹拌しながらカリウムセッケンを形成させ
た。金属セッケン形成のため、遊離脂肪酸の4倍当量の
塩化カルシュウムを粉末のまま添加し室温で金属石鹸生
成まで十分撹拌しろ過した。ろ液を減圧濃縮して得られ
た油状物質に残存する脂肪酸と色素の回収率を求めた結
果を表3(色素油中の脂肪酸の除去)に示した。遊離脂
肪酸の90%以上が除かれ、色素濃度は2.9倍に濃縮
された。
【0037】
【表3】
【0038】濃縮天然赤色色素油の製造例3 色素油(遊離脂肪酸:75.39%)1gを20mlの
アセトンに溶解し、色素油中の遊離脂肪酸と当量の水酸
化カリウムを添加し、脂肪酸が十分に沈殿するまで撹拌
し、生成したカリウムセッケンをろ過し濃縮を行った。
ろ液からアセトンを減圧留去し得られた油状物質に残存
する脂肪酸と色素の回収率を求めた。表4(色素油中の
脂肪酸の除去)に示すように、遊離脂肪酸は92.1%
除かれ色素回収は90.2%と向上し、色素濃度は2.
8倍となった。
【0039】アルカリ処理による抽出色素油の脂質組
成、脂肪酸組成、色素組成への影響を表5(濃縮処理に
よる組成変化)に示した。アルカリ処理により脂質では
脂肪酸が選択的に除かれ、遊離脂肪酸ではパルミチン酸
の除去率が最も高く、ついでオレイン酸、リノール酸の
順であった。色素組成ではアスタキサンチンの割合に変
化はなく、アルカリ処理の影響はなかった。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】同様の処理をヘキサン、ヘキサン:エタノ
ール(85:15)、エタノールにて行い、その脂肪回
収率、色素回収率を求めたところ、表6(ヘキサン、エ
タノール系での色素油中の脂肪酸の除去)に示すよう
に、これらの溶剤の脂質の除去率、色素の回収率はアセ
トンと比べ著しく低く、その濃縮効果はみられなかっ
た。
【0043】
【表6】
【0044】濃縮天然赤色色素油の製造例4 アルカリ処理と低温分別を連続して、あるいは同時に行
った場合を示す。連続処理は粗抽出色素油10gを5倍
量のアセトンに溶解し、色素油中の遊離脂肪酸と当量の
水酸化カリウムを加え、カリウムセッケンが十分に生成
するまで撹拌した後、一度カリウムセッケンを濾別し、
さらに−50℃で1時間低温分別を行った。同時処理
は、粗抽出色素油10gに5倍量のアセトンを加え、色
素油中の遊離脂肪酸と当量の水酸化カリウムを添加し、
−50℃にて1時間の低温分別を行った。アルカリ処理
に続いて低温分別をした場合、アルカリ処理で残った少
量の遊離脂肪酸、トリグリセリド、ステロールなどが除
かれ、色素は約4.4倍に濃縮された。2つの処理を同
時に行った場合でも色素は4.2倍に濃縮された。アル
カリ処理と低温分別の連続処理と同時処理の結果を表7
に示す。
【0045】
【表7】
【0046】濃縮天然赤色色素油の製造例5 色素製造例4の連続処理により得られた濃縮色素油約2
0kgを下記条件で水蒸気残留を行った。 真空度:30Torr 温度:塔頂 96℃,塔底 140℃ 蒸気量:5kg/hr フィード量:20kg/hr 残存溶剤は、水蒸気蒸留前に0.3%であったものが完
全に除去されていた。また、脱臭効果も官能的評価では
利用に当たって全く問題の無いレベルまで低下してい
た。水蒸気蒸留は比較的高温で行うため色素の損失が懸
念されるが、水蒸気との向流接触であることから高温下
の滞留時間が短いため処理前後の色素量の減少はほとん
ど認められなかった。
【0047】乳化物の製造例1 下記の配合比にて、蒸留水にシュガーエステル、カゼイ
ンナトリウムを溶解した。これに色素製造例5で得られ
た濃縮色素油、モノグリセリドを加温下(70℃)で撹
拌しながら混合し、プレ乳化物を得た。このプレ乳化物
を高圧ホモジナイザー(150kg/cm、2回)に
かけ、乳化濃縮色素油を得た。 濃縮色素油 20g シュガーエステル 0.6g モノグリセリド 0.4g カゼインナトリウム 1.0g 蒸留水 78g
【0048】乳化物の製造例2 上記製造例1と同様の方法により、下記の配合比にて乳
化濃縮色素油を得た。 濃縮色素油 20g 酵素処理レシチン 0.2g モノグリセリド 0.2g ポリグリセリンエステル 0.6g 蒸留水 79g
【0049】実施例1 ドロップ 砂糖65gを水15gに溶解し、水飴50gを混合した
ところで、水分1〜2%まで鍋で煮詰め、放冷後撹拌し
ながらクエン酸0.5g、香料0.2g、乳化したファ
フィア色素(色価=50)を加えて混合した後、手早く
型に流し込み成形した。添加したファフィア色素は0.
15、0.3、0.45gでそれぞれの色調を比較し
た。色調は以下のようになった。
【0050】
【表8】
【0051】ファフィア色素の色調はパプリカに比べて
赤色が強く、トロピカルフルーツの様なさわやかな色に
なった。このような色調はコチニール、ラック、モナス
カス等の他の天然色素には見られないものであった。
【0052】実施例2 ゼリー ペクチン13g、砂糖500g、水飴500gを混合し
たものを撹拌しながら水に添加、加熱溶解したのち色素
を添加し容器に小分けした。添加したファフィア色素は
色価50のO/W乳化剤を用いた。添加量0.1、0.
2で行ったところ色調は非常に明るく鮮明な赤橙色でパ
ッションフルーツの様なイメージを持った製品となっ
た。また、耐光性を5000ルクスの照度の蛍光灯下で
測定したところパプリカ色素より優れていることがわか
った。
【0053】実施例3 氷菓 下記のベースに対しファフィア色素の乳化製剤(色価5
0)を0.2%添加し、アイスキャンデーの型に流し込
み、凍結させた。得られたアイスキャンデーは赤黄色の
鮮やかな色調で異臭の無いものであった。 糖液 :液糖 650.0g 砂糖 30.0g クエン酸 2.5g 食塩 1.5g 安定剤 1.0kg 全量 1L 糖液:かき氷=1L:2kg
【0054】
【発明の効果】色調、耐光性、着色性に優れるだけでな
く、抗酸化活性、抗炎症作用、免疫賦活作用等の生理活
性を有するアスタキサンチンを主要成分とするファフィ
ア色素を含有する甘味食品を提供することができる。天
然色素の特徴を損なうことなく、これまで天然色素の欠
点となっていた着色性や安定性、色素濃度に優れた、新
しいアスタキサンチンを主要成分とする濃縮ファフィア
色素油を用いて着色した甘味食品を提供することができ
る。着色剤としてアスタキサンチンを主要成分とする濃
縮ファフィア色素油を含有する氷菓、ジャム類、菓子
類、ゼリー類などの甘味食品を提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスタキサンチンを主要成分とする濃縮
    ファフィア色素油を含有することを特徴とする甘味食
    品。
  2. 【請求項2】 着色剤としてアスタキサンチンを主要成
    分とする濃縮ファフィア色素油を含有することを特徴と
    する甘味食品。
  3. 【請求項3】 濃縮ファフィア色素油を、濃縮ファフィ
    ア色素油の乳化物として含有する請求項1又は請求項2
    記載の甘味食品。
  4. 【請求項4】 甘味食品が氷菓である請求項1、請求項
    2又は請求項3記載の甘味食品。
  5. 【請求項5】 甘味食品が菓子類である請求項1、請求
    項2又は請求項3記載の甘味食品。
  6. 【請求項6】 甘味食品がゼリー類である請求項1、請
    求項2又は請求項3記載の甘味食品。
  7. 【請求項7】 甘味食品がジャム類である請求項1、請
    求項2又は請求項3記載の甘味食品。
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