JPH0799129A - 永久磁石およびその製造方法ならびに永久磁石材料 - Google Patents

永久磁石およびその製造方法ならびに永久磁石材料

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JPH0799129A
JPH0799129A JP6114455A JP11445594A JPH0799129A JP H0799129 A JPH0799129 A JP H0799129A JP 6114455 A JP6114455 A JP 6114455A JP 11445594 A JP11445594 A JP 11445594A JP H0799129 A JPH0799129 A JP H0799129A
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建夫 菅沼
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乾式成形を利用して酸化物永久磁石を製造す
るに際し、簡易な手法により配向性および成形性を著し
く向上させる。 【構成】 酸化物永久磁石材料粒子からなる原料粉末の
水スラリー中に、アニオン系界面活性剤、またはアニオ
ン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を添加した
後、乾燥することにより、アニオン系界面活性剤、また
はアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が
表面に吸着している酸化物永久磁石材料粒子からなる永
久磁石材料を得る工程と、少なくとも型枠と上部パンチ
と下部パンチとにより成形空間が形成されている乾式成
形装置を用いて、前記永久磁石材料を磁場中で乾式成形
して成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程とを設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式成形法を用いて製
造された酸化物永久磁石およびその製造方法と、この製
造方法に用いる永久磁石材料とに関する。
【0002】
【従来の技術】SrフェライトやBaフェライト等のマ
グネトプランバイトの異方性酸化物永久磁石が知られて
いる。このような酸化物永久磁石は、磁場中で成形した
のち焼結して製造される。一般に成形装置では、成形空
間は型枠と上部パンチと下部パンチとで構成され、上部
パンチまたは下部パンチを移動させることにより加圧が
行なわれる。成形方法は乾式成形法と湿式成形法に大別
されるが、通常、高磁気特性のものは湿式成形法で製造
される。
【0003】湿式成形法では、酸化物永久磁石材料粒子
からなる永久磁石材料を水等の分散媒に懸濁したスラリ
ーを成形装置の成形空間内に圧送充填し、磁場中で加圧
するとともに、成形空間内から分散媒を排除しながら成
形する。湿式成形法では永久磁石材料粒子が回転し易い
ため配向性が良好となり高特性が得られるが、加圧成形
中に分散媒を成形空間外に排出する必要があるため、生
産性は低くなり、また、金型構造が複雑になって装置が
大がかりになる。
【0004】一方、乾式成形法では、乾燥している永久
磁石材料を成形空間内に充填し、磁場中で成形する。乾
式成形法は配向性が湿式成形法に劣るが、生産性が高く
装置の構成も単純なので、コストが低くて済む。
【0005】乾式成形法において配向度が低くなるの
は、永久磁石材料が加圧されていく際の粒子同士の接触
摩擦のためであると考えられる。また、粒子と金型との
間にも摩擦力がはたらくため、加圧による圧密作用が不
十分となって成形性も低くなる。このため、乾式成形法
において永久磁石材料に低摩擦の潤滑剤を添加する各種
提案がなされている。
【0006】例えば、特公昭60−22484号公報で
は、ステアリン酸マグネシウムを結着剤として混合し、
乾式で磁界中加圧成形することが提案されている。しか
し、この方法では、粒子個々の表面に均一にステアリン
酸マグネシウムを被着させることが難しい。このため、
添加量を多くせざるを得なくなり、焼結後の磁石中の炭
素量が多くなって高磁気特性が得られなくなる。
【0007】また、特開昭62−176102号公報で
は、固体状のバインダを用いた場合には均一に混合し難
いとして、粒子の表面に、加熱あるいは減圧により気相
状としたバインダをコーティングする提案がなされてい
る。しかし、この方法では、設備が大がかりになり、ま
た、時間と手間がかかる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、乾式成形を
利用して酸化物永久磁石を製造するに際し、簡易な手法
により配向性および成形性を著しく向上させることを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(18)の本発明により達成される。 (1)酸化物永久磁石材料粒子からなる原料粉末の水ス
ラリー中に、アニオン系界面活性剤、またはアニオン系
界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を添加した後、
乾燥することにより、アニオン系界面活性剤、またはア
ニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が表面
に吸着している酸化物永久磁石材料粒子からなる永久磁
石材料を得る工程と、少なくとも型枠と上部パンチと下
部パンチとにより成形空間が形成されている乾式成形装
置を用いて、前記永久磁石材料を磁場中で乾式成形して
成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程とを有する
ことを特徴とする永久磁石の製造方法。 (2)前記アニオン系界面活性剤がカルボン酸塩を含む
上記(1)の永久磁石の製造方法。 (3)前記アニオン系界面活性剤が低分子量ポリオレフ
ィン系ワックスを含む上記(1)または(2)の永久磁
石の製造方法。 (4)前記ノニオン系界面活性剤がポリオキシアルキレ
ン系化合物を含む上記(1)〜(3)のいずれかの永久
磁石の製造方法。 (5)前記酸化物永久磁石材料粒子の比表面積が5m2/g
以上である上記(1)〜(4)のいずれかの永久磁石の
製造方法。 (6)複数の酸化物永久磁石材料粒子が結合して顆粒化
している永久磁石材料を乾式成形する上記(1)〜
(5)のいずれかの永久磁石の製造方法。 (7)成形体の相対密度が54〜69%である上記
(1)〜(6)のいずれかの永久磁石の製造方法。 (8)成形体を形成した後、上部パンチと下部パンチと
による加圧を維持したまま型枠をこれらに対して相対的
に移動させて成形体中の気体を排出し、次いで上部パン
チと下部パンチとによる加圧を解除する上記(1)〜
(7)のいずれかの永久磁石の製造方法。 (9)少なくとも一方のパンチが成形空間対向面に開口
する排気孔を有する乾式成形装置を用いる上記(1)〜
(8)のいずれかの永久磁石の製造方法。 (10)永久磁石材料の前記排気孔内への侵入を防ぐた
めに、少なくとも前記排気孔を覆うように通気性フィル
タが設けられている乾式成形装置を用いる上記(9)の
永久磁石の製造方法。 (11)前記排気孔から成形空間内の気体を吸気するた
めの吸気手段が設けられている乾式成形装置を用いる上
記(9)または(10)の永久磁石の製造方法。 (12)一方のパンチが型枠内に侵入せずに成形が行な
われる構成を有し、前記一方のパンチの成形空間対向面
が通気性フィルタにより覆われており、前記通気性フィ
ルタが通気路を形成している乾式成形装置を用いる上記
(1)〜(11)のいずれかの永久磁石の製造方法。 (13)少なくとも一方のパンチの成形空間対向面に排
気孔を有する乾式成形装置を用いる上記(12)の永久磁
石の製造方法。 (14)上記(1)〜(13)のいずれかの方法に用いら
れることを特徴とする永久磁石材料。 (15)乾式成形法を用いて製造された酸化物永久磁石
であって、配向方向の残留磁化を飽和磁化で除した値で
ある配向度が91%以上であることを特徴とする永久磁
石。 (16)乾式成形法を用いて製造された酸化物永久磁石
であって、残留磁化Br が4000G 以上であり、かつ
保磁力Hcjが2800 Oe 以上であることを特徴とする
永久磁石。 (17)配向方向の残留磁化を飽和磁化で除した値であ
る配向度が91%以上である上記(16)の永久磁石。 (18)上記(1)〜(13)のいずれかの永久磁石の製
造方法により製造された上記(15)〜(17)のいずれか
の永久磁石。
【0010】
【作用および効果】本発明では、酸化物永久磁石材料粒
子からなる原料粉末の水スラリー中に、アニオン系界面
活性剤を添加する。酸化物永久磁石材料粒子の表面は親
水性であるため、アニオン系界面活性剤の官能基部分が
粒子表面に速やかに吸着する。この後、粉末を乾燥させ
れば、アニオン系界面活性剤が表面に均一に吸着した酸
化物永久磁石材料粒子からなる永久磁石材料が得られ
る。前記粒子の表面は極めて低摩擦となるので、成形時
の粒子同士の接触摩擦が極めて小さくなり、配向性が著
しく向上する。
【0011】乾式成形において、磁気特性向上のために
粒子の径を小さく、特に比表面積5m2/g以上にすると、
粒子同士の摩擦や粒子と金型との摩擦が著しく大きくな
って加圧による圧密作用が不十分となり、良好な成形性
が得られない。しかし、本発明では粒子表面の摩擦が小
さいので、成形性が良好である。
【0012】ただし本発明では、粒子表面にアニオン系
界面活性剤が極めて均一に吸着しており、特に、アニオ
ン系界面活性剤としてカルボン酸塩を用いた場合には、
空気等の気体と粒子表面との親和性が高くなっているの
で、成形開始時に成形空間内に存在していた気体が加圧
時に抜けにくい。従って、成形終了後に成形体内に気体
が比較的多量に封じ込められている。このため、成形体
には膨張しようとする力がはたらき、離型する際に金型
と擦れてクラックが発生することがあり、場合によって
は爆発的に発生するクラックにより成形体が分断されて
しまうこともある。
【0013】このようなクラックの発生を防ぐために
は、アニオン系界面活性剤としてカルボン酸塩と低分子
量ポリオレフィン系ワックスとを併用することが有効で
ある。カルボン酸塩は粒子表面の摩擦低減効果が高く、
一方、低分子量ポリオレフィン系ワックスは加圧時に粒
子同士の凝集力を増大させ、粒子間の結合力を高める効
果が高いため、これらを併用することにより、成形体の
配向性が良好となり、しかもクラックの発生も防ぐこと
ができる。また、ノニオン系界面活性剤も、低分子量ポ
リオレフィン系ワックスと同様な作用により成形体のク
ラック発生を防ぐことができる。ノニオン系界面活性剤
は、アニオン系界面活性剤による粒子表面の低摩擦化に
はほとんど影響を与えない。
【0014】また、本発明では、成形空間内に含まれる
気体の少なくとも一部を排出しながら圧縮成形したり、
圧縮成形後に、成形体中の気体の少なくとも一部を排出
してから離型したりすることなどによっても、クラック
を防止することができる。具体的には、以下の〜の
各方法の少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0015】 成形時に成形体密度を上げることによ
って保形力を高める。
【0016】 アニオン系界面活性剤を吸着させた粒
子を顆粒化し、これを成形することにより、成形空間内
の気体の排出を容易にする。
【0017】 上部パンチと下部パンチとで成形体を
加圧した状態のときに、型枠をこれらに対して相対的に
移動させる。この場合、成形体の側面を型枠から露出さ
せて、成形体中の気体をその側面から排気する構成とし
てもよく、上部パンチを型枠の上縁付近まで上昇させる
か、下部パンチを型枠の下縁付近まで下降させて、型枠
とパンチとの間隙から成形体中の気体を排気する構成と
してもよい。
【0018】 パンチに排気孔を設けたり、パンチと
型枠との間に通気性フィルタを設けたりし、成形空間内
の気体を排気孔や通気性フィルタから排出しながら圧縮
成形する。
【0019】このように、本発明では極めて簡易な方法
で高い配向性および成形性が得られるため、高性能な永
久磁石を生産性よく製造することができる。
【0020】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0021】本発明の永久磁石の製造方法は、永久磁石
材料製造工程と、成形工程と、焼結工程とをこの順で有
する。
【0022】<永久磁石材料製造工程>本発明の永久磁
石材料は、アニオン系界面活性剤、またはアニオン系界
面活性剤およびノニオン系界面活性剤が表面に吸着して
いる酸化物永久磁石材料粒子からなる。永久磁石材料製
造工程は、原料粉末の水スラリー中に、アニオン系界面
活性剤、またはアニオン系界面活性剤およびノニオン系
界面活性剤を添加する工程を有する。
【0023】原料粉末は、酸化物永久磁石材料粒子から
なる粉末、すなわち、成形・焼結により酸化物永久磁石
となる粉末であり、通常、各種酸化物や水酸化物等の出
発原料の仮焼物を粉砕して得られる。この粉砕を水を用
いて湿式で行なえば、原料粉末の水スラリーが得られ
る。ただし、乾式粉砕を行なった後に、水と混合してス
ラリー化してもよい。水スラリー中の原料粉末の濃度は
特に限定されないが、通常、10〜50重量%程度とす
る。
【0024】磁石材料粒子の粒子径が小さいほど、すな
わち原料粉末の比表面積が大きいほど本発明は高い効果
を発揮し、比表面積が5m2/g以上、特に6m2/g以上であ
る場合に本発明の効果は顕著である。なお、比表面積の
上限は、通常、9m2/g程度である。また、空気透過法に
より測定される原料粉末の平均粒子径は、0.8〜1.
2μm 程度である。
【0025】本発明では、アニオン系界面活性剤として
少なくともカルボン酸塩を用いることが好ましい。
【0026】カルボン酸塩としては、ポリカルボン酸塩
を用いることが好ましい。ポリカルボン酸塩としては、
不飽和炭化水素と低級不飽和カルボン酸との共重合物の
塩、例えばアンモニウム塩やナトリウム塩などが好まし
い。不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロ
ピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、スチレン、プロ
ペニルベンゼン、スチルベン、ビニルナフタレンなどが
挙げられ、低級不飽和カルボン酸としては、例えば、ア
クリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、イソクロトン
酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルマロン酸、グル
タコン酸、チグリン酸、ビニル酢酸、アトロパ酸、ベン
ゾイルアクリル酸等が挙げられる。なお、低級不飽和カ
ルボン酸はエステルでも用いられる。その中でも特にH
LB(親水親油バランス)が25以下になるように重合
させたものの効果が著しい。
【0027】また、モノカルボン酸塩を用いた場合でも
効果が大きく、スルホン酸塩等の他のアニオン系界面活
性剤を用いることもできる。モノカルボン酸塩として
は、具体的には、例えば、ステアリン酸アンモニウム、
ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステ
アリン酸アルミニウム、ステアリン酸水素アンモニウ
ム、オレイン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、
オレイン酸カリウムなど、炭素原子数10〜30程度の
飽和または不飽和の脂肪酸塩の少なくとも1種を含むも
のが好ましい。
【0028】なお、アニオン系界面活性剤である2種以
上のカルボン酸塩を併用してもよい。
【0029】本発明では、アニオン系界面活性剤として
カルボン酸塩と低分子量ポリオレフィン系ワックスとを
併用することが好ましい。低分子量ポリオレフィン系ワ
ックス添加により、前述したように成形体のクラック発
生を防ぐことができる。本発明で用いるアニオン系の低
分子量ポリオレフィン系ワックス(酸化ポリオレフィン
系ワックス)は、酸価が好ましくは5〜50、より好ま
しくは15〜35、平均分子量が好ましくは1000〜
10000、より好ましくは2000〜6000のもの
である。原料モノマーの炭素数は、2〜3程度であるこ
とが好ましい。
【0030】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シアルキレン系化合物を少なくとも用いることが好まし
い。ポリオキシアルキレン系化合物としては、ポリオキ
シアルキレン、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオ
キシアルキレンエーテルなどが挙げられ、特にポリオキ
シアルキレンが好ましい。ポリオキシアルキレンとして
は、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリ
コールを重合したものが好ましく、特にエチレングリコ
ールのモル比率が0.2〜0.8であるものが好まし
い。ポリオキシアルキレン系化合物の平均分子量は、好
ましくは1000〜25000、より好ましくは300
0〜20000である。具体的には、ポリエチレングリ
コールおよび下記化1で表わされるポリオキシアルキレ
ンの少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】上記化1においてa+b+c=1であり、
a+cは0.2〜0.8であることが好ましい。
【0033】なお、2種以上のノニオン系界面活性剤を
併用してもよい。
【0034】原料粉末100重量部に対するアニオン系
界面活性剤の添加量は、0.1〜2.0重量部とするこ
とが好ましい。特にモノカルボン酸塩では0.5〜1.
5重量部、ポリカルボン酸塩では0.3〜1.0重量部
添加したとき、本発明の効果が顕著である。そして、低
分子量ポリオレフィン系ワックスを併用する場合、原料
粉末100重量部に対する低分子量ポリオレフィン系ワ
ックスの添加量は、0.1〜0.8重量部とすることが
好ましい。また、原料粉末100重量部に対するノニオ
ン系界面活性剤の添加量は、0.1〜0.8重量部とす
ることが好ましい。アニオン系界面活性剤およびノニオ
ン系界面活性剤のいずれにおいても、添加量が上記範囲
未満であると、添加による効果が不十分であり、上記範
囲を超えていると、焼結時の有機物質炭化により密度を
低下させてしまい、磁気特性が劣化してしまう。
【0035】アニオン系界面活性剤およびノニオン系界
面活性剤は、水溶液とされるか、水溶性でない場合には
エマルジョンなど水系になじむ状態とされて、原料粉末
の水スラリー中に添加される。水溶液やエマルジョン中
におけるアニオン系界面活性剤の濃度およびノニオン系
界面活性剤の濃度は特に限定されないが、いずれも50
重量%以下とすることが好ましい。これは、水溶液やエ
マルジョンを添加したときに水スラリー中に速やかに分
散できる程度の濃度のときが、均一吸着効果が顕著であ
るためである。
【0036】アニオン系界面活性剤、またはこれとノニ
オン系界面活性剤とを添加した後、スラリーを乾燥させ
る。乾燥手段に特に制限はないが、乾燥時の温度は、用
いたアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤
の分解温度よりも低い温度とする。
【0037】<成形工程>成形工程では、少なくとも型
枠と上部パンチと下部パンチとにより成形空間が形成さ
れている乾式成形装置を用いて、永久磁石材料を磁場中
で乾式成形して成形体を得る。
【0038】乾式成形の方法は特に限定されないが、カ
ルボン酸塩が吸着している永久磁石材料を成形した場
合、上述したように成形体中に気体が封じ込められやす
いので、下記の方法を用いて成形を行なうことが好まし
い。
【0039】第1の方法 第1の方法では、成形体密度を高めて乾式成形を行な
う。通常、酸化物永久磁石材料粒子は粒子同士の摩擦お
よび粒子と金型との間の摩擦が高いため、成形体密度を
高くすることが難しい。例えば、Srフェライト磁石製
造の際に密度が3g/cm3 の成形体を製造することは可能
だが、金型の寿命が著しく短くなってしまう。しかし、
本発明では粒子表面の摩擦が低いので加圧による圧密作
用が向上し、相対密度(実測密度/理論密度)が54〜
69%(Srフェライト磁石換算で2.8〜3.5g/cm
3 )の成形体が容易に得られる。密度の高い成形体中で
は材料粒子間距離が小さくなり、また、粒子同士の接触
面積が大きくなる。その結果、付着力が向上してクラッ
クが防止される。アニオン系界面活性剤として低分子量
ポリオレフィン系ワックスを添加した場合や、ノニオン
系界面活性剤を添加した場合には、凝集力が増大して粒
子同士の付着力が向上するが、成形体密度を高めること
によりさらに凝集力および付着力が向上するため、クラ
ック防止効果が著しく高くなる。成形体の相対密度が5
4%未満であると成形体内の気体の膨張力が粒子同士の
固結力よりも大きくなってクラックが発生することがあ
り、69%を超えると配向の低下が生じるおそれがあ
る。
【0040】第2の方法 第2の方法では、複数の酸化物永久磁石材料粒子を結合
させて顆粒化した後、乾式成形する。顆粒化は、前述し
たアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を添加
した後の水スラリーを、通常、磁場中で湿式成形し、得
られた成形体を適度な粒子径に解砕、整粒することによ
り行なう。ただし、低HLBのアニオン系界面活性剤を
添加した場合、湿式成形では配向が劣化してしまうこと
があるので、より高い配向が得られるように、顆粒化の
際の磁場中成形には湿式法または乾式法を適宜選択して
用いることが好ましい。顆粒の平均粒子径は、50〜3
00μm 程度とすることが好ましい。
【0041】第3の方法 第3の方法では、成形体を形成した後、上部パンチと下
部パンチとによる加圧を維持したまま型枠をこれらに対
して相対的に移動させることにより、成形体中の気体を
排出し、次いで上部パンチと下部パンチとによる加圧を
解除する。前述したようにこの方法では、成形体の側面
から気体を排出する構成としてもよく、型枠とパンチと
の間隙から気体を排出する構成としてもよい。このよう
に、磁化容易軸方向の膨張を抑えた状態で磁化困難軸方
向の加圧を解除すれば、層状クラックは生じない。
【0042】第4の方法 第4の方法では、パンチの排気口やパンチと原料粉末と
の間に設けられた通気性フィルタを通して成形空間内の
気体を排出しながら乾式成形を行なう。
【0043】第4の方法に用いる乾式成形装置の一例の
部分断面図を図1に示す。同図に示される乾式成形装置
は、型枠2と上部パンチ3と下部パンチ4とで成形空間
5が形成されており、上部パンチ3および下部パンチ4
それぞれの成形空間5対向面に、排気孔31および41
が開口し、これらの排気孔は装置外部と連通している。
【0044】排気口の径や配設密度等は特に限定されな
い。例えば、成形空間5内の永久磁石材料が細かい場合
には、成形空間内からさらに気体が抜けにくくなるの
で、排気孔の配設密度を比較的高くするなど、実験など
に基づいて適宜決定すればよいが、通常、排気孔の径は
0.1〜2mm程度とすることが好ましい。排気孔の径が
小さすぎると成形空間からの気体の抜けが悪くなり、径
が大きすぎると排気孔中に永久磁石材料が多量に侵入す
る恐れがある。また、排気孔の配設密度は特に限定され
ないが、一般に1〜4個/cm2 程度とすることが好まし
い。
【0045】なお、通常の永久磁石材料は磁気凝集して
おり流動性が低いので、排気孔の径を粒子径よりも小さ
く設定しなくても排気孔中へは殆ど永久磁石材料は侵入
しないが、本発明の永久磁石材料は分散性が高く流動性
が向上しているので、少なくとも排気孔を覆うように通
気性フィルタを設けて排気孔中への永久磁石材料の侵入
を防ぐことが好ましい。通気性フィルタとしては、布や
紙等を用いることができ、必要に応じてこれらに微細な
孔を穿設してもよい。また、穿孔した樹脂フィルムを用
いてもよい。
【0046】上述したように、排気孔は上部パンチおよ
び下部パンチのいずれか一方にだけ設けてもよいが、好
ましくは両パンチに設ける。
【0047】パンチが移動して永久磁石材料の圧縮が開
始されると、成形空間内の気体が排気孔から排出される
が、排気孔に連通してポンプ等の吸気手段を設け、成形
空間内の気体を強制的に排気する構成としてもよい。
【0048】本発明では、圧縮成形時に上部パンチが移
動する構成としてもよく下部パンチが移動する構成とし
てもよい。また、少なくとも一方のパンチが型枠内に侵
入せずに成形が行なわれる構成としてもよい。
【0049】なお、本発明では磁場中成形を行なうた
め、通常、型枠2には磁界発生用のコイル(図示せず)
が巻回されている。
【0050】図2に、第4の方法に用いる乾式成形装置
の他の例の部分断面図を示す。この装置は、上部パンチ
3が型枠2内に侵入せずに成形が行なわれる構成を有
し、型枠2と上部パンチ3の下降または下部パンチ4の
上昇により圧縮成形が行なわれる。この装置では、上部
パンチ3の成形空間5対向面が通気性フィルタ6により
覆われており、この通気性フィルタ6は通気路を形成し
ている。すなわち、通気性フィルタ6を通して成形空間
5内の気体が装置外へ排出される。
【0051】通気性フィルタ6に用いる材質は、厚さ方
向に垂直な方向(面内方向)に気体が移動できるもので
あれば特に制限はないが、通常、布や紙等を用いること
が好ましい。通気性フィルタ6の厚さは特に限定されな
いが、気体を効率よく排出するためには0.1〜1mm程
度の厚さとすることが好ましい。
【0052】なお、下部パンチが型枠内に侵入しない構
成としてもよい。この場合、下部パンチと型枠との間に
通気性フィルタが設けられる構成となる。
【0053】図2に示される態様では成形時に通気性フ
ィルタ6に永久磁石材料が付着して目詰まりが生じる。
また、排気孔を設ける態様において通気性フィルタを用
いる場合にも同様に通気性フィルタに目詰まりが生じ
る。このため、通気性フィルタを適時に交換することが
好ましい。図2に示されるように上部パンチ3が型枠2
内に侵入しない構成では、長尺の通気性フィルタを2本
のロールに巻回し、一方のロールを繰り出しロールとし
他方のロールを巻き取りロールとして適時に回転させる
構成とすることができる。これにより、通気性フィルタ
交換のために作業を中断する必要がなくなる。
【0054】なお、通気性フィルタを用いた場合、成形
体およびこれを焼結した永久磁石の表面の一部には、通
気性フィルタの転写パターンが存在する。
【0055】乾式成形装置 本発明で用いる乾式成形装置は特に限定されず、成形空
間が型枠と上部パンチと下部パンチとで構成され、上部
パンチまたは下部パンチを移動させることにより加圧が
行なわれる構成であればよい。図示例では成形空間の形
状は円柱状であるが、必要に応じ、円筒状や弧状等の他
の形状としてもよい。第3の方法または第4の方法を用
いる場合には、成形空間内の気体が上述したように排出
される構成であればよく、成形空間の形状は限定されな
い。ただし、体積に対しパンチとの接触面積が比較的小
さい成形体を製造する場合には、成形空間内から気体が
特に抜けにくくなるので、第3の方法および第4の方法
はこのような場合に特に高い効果を発揮する。例えば、
型枠が弧状曲面を構成する成形空間を有する装置を用い
て弧状成形体を製造する場合や、円筒状の成形体を形成
する場合などである。なお、第1の方法および第2の方
法は、成形空間の形状や大きさに拘らず高い効果を発揮
する。
【0056】本発明では、上記した第1の方法から第4
の方法までの2種以上を組み合わせて成形を行なっても
よい。ただし、高磁気特性の磁石が得られること、生産
性が高いことなどから、第1の方法が最も好ましい。
【0057】本発明では成形圧力や成形時に印加する磁
界強度などの各種条件は特に限定されず、通常の範囲か
ら適宜選択すればよい。ただし、第1の方法を用いる場
合には、成形体密度が前述した範囲となるように成形圧
力を設定する。
【0058】<焼結工程>成形体を焼結する焼結工程で
の各種条件は特に限定されず、通常の条件範囲から適宜
選べばよいが、例えば雰囲気中の酸素分圧を適宜制御し
ながら、1200〜1300℃に保持して0.5〜4時
間程度焼結すればよい。
【0059】<永久磁石>本発明により製造される酸化
物永久磁石は特に限定されないが、通常、Srフェライ
トやBaフェライト等のマグネトプランバイト型の異方
性酸化物永久磁石である。具体的には、MO・nFe2
3 (nは、好ましくはSrおよびBaの1種以上、n
=5.0〜6.5)であることが好ましい。このような
フェライトには、さらにSi、Ca、Pb、Al、G
a、Sn、Zn、In、Co、Ni、Ti、Cr、M
n、Cu、Ge、Nb、Zr、B、P等が含有されてい
てもよい。残留磁化Br および保磁力Hcjを後述する範
囲とするためには、SiおよびCaが含まれていること
が好ましく、さらにAlが含まれているとより好まし
い。Siの含有率はSiO2 に換算して0.1〜1.0
重量%であることが好ましく、Caの含有率はCaOに
換算して0.05〜1.5重量%であることが好まし
く、Alの含有率はAl23 に換算して2重量%以下
であることが好ましい。なお、Si、Ca、Al以外の
各元素は、それぞれを酸化物に換算したとき、合計で5
重量%以下であることが好ましい。
【0060】本発明により製造される酸化物永久磁石
は、製造の際に乾式成形法を用いるにもかかわらず、極
めて高い磁気特性が得られる。具体的には、残留磁化B
r が4000G 以上であって、かつ保磁力Hcjが280
0 Oe 以上であるSrフェライト磁石が得られる。ま
た、91%以上の配向度が得られる。この場合の配向度
とは、配向方向の残留磁化を飽和磁化で除した値であ
る。
【0061】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0062】<実施例1>100重量部のSrフェライ
ト仮焼粉と、0.5重量部のSiO2 と、1重量部のC
aCO3 とを、仮焼粉が下記表1に示される比表面積と
なるように水を用いて湿式微粉砕し、原料粉末のスラリ
ーとした。そして、ポリカルボン酸アンモニウムの水溶
液をこのスラリー中に投入して30分間攪拌し、ポリカ
ルボン酸アンモニウムを粒子表面に吸着させた。原料粉
末100重量部に対するポリカルボン酸アンモニウムの
添加量を、表1に示す。次いでスラリーを乾燥させた
後、アトマイザーで分散し、永久磁石材料とした。
【0063】次いで、永久磁石材料を磁場中で乾式成形
した。乾式成形装置には、図2に示されるように上部パ
ンチが型枠内に侵入しない構成で、かつ、上部パンチの
成形空間対向面に排気孔が開口した構成のものを用い、
さらに、排気孔から成形空間内の気体を吸引する構成と
した。成形は上部パンチおよび型枠を下降させて行なっ
た。排気孔は直径1mmとし、配設密度は2個/cm2 とし
た。上部パンチの成形空間対向面には、紙製の通気性フ
ィルタ(厚さ0.2mm)を設けた。成形圧力は400kg
f/cm2 とした。
【0064】次いで、成形体を1238℃で焼成し、直
径約21mm、高さ約10mmの磁石サンプルとした。磁石
サンプルの磁気特性を表1に示す。
【0065】なお、比較のために、ポリカルボン酸アン
モニウムを吸着させずに同様な成形を行なって得られた
磁石サンプルについても同様な測定を行なった。結果を
表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】表1から本発明の効果が明らかである。す
なわち、ポリカルボン酸アンモニウムが吸着している粒
子からなる本発明の永久磁石材料を用いたサンプルで
は、残留磁化Br が4000G 以上、保磁力Hcjが28
00 Oe 以上、焼結体の配向度が91%以上と極めて高
い磁気特性が得られている。なお、配向度は残留磁化を
飽和磁化で除して求めた。飽和磁化は、最大印加磁界強
度12kOe で求めた。
【0068】<実施例2>下記表2に示される比表面積
となるように、Srフェライトの仮焼粉を水を用いて湿
式粉砕し、スラリー化した。次いで、ポリカルボン酸ア
ンモニウムの替わりにオレイン酸アンモニウムを用いた
他は実施例1と同様の操作を行なって、ほぼ同形状の磁
石サンプルとした。
【0069】各磁石サンプルの磁気特性を表2に示す。
なお、比較のために、オレイン酸アンモニウムを吸着さ
せずに同様な成形を行なって得られた磁石サンプルにつ
いても同様な測定を行なった。結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】表2からも本発明の効果が明らかである。
すなわち、モノカルボン酸塩を用いた場合でも、ポリカ
ルボン酸塩と同様に4000G 以上のBr 、2800 O
e 以上のHcj、91%以上の配向度が得られている。
【0072】<実施例3>アニオン系界面活性剤とし
て、実施例1で用いたポリカルボン酸アンモニウムに加
え、低分子量ポリオレフィン系ワックスを用いた他は、
実施例1と同様な操作により永久磁石材料を作製した。
低分子量ポリオレフィン系ワックスには、前述したより
好ましい範囲の酸価および平均分子量を有するものを用
いた。このものは水溶性ではないため、エマルジョンに
してスラリーに添加した。これらの永久磁石材料を用
い、排気孔および通気性フィルタを設けない他は実施例
1と同様な装置を用いて磁場中で乾式成形を行ない、成
形体を得た。
【0073】また、比較のために、低分子量ポリオレフ
ィン系ワックスを添加せずに作製した永久磁石材料を用
い、同様にして成形体とした。
【0074】原料粉末100重量部に対するポリカルボ
ン酸アンモニウムおよび低分子量ポリオレフィン系ワッ
クスの添加量を表3に示す。
【0075】表3に示す各条件において50個の成形体
を製造し、クラックが発生した成形体の個数を調べた。
結果を表3に示す。なお、成形体の寸法は、直径約25
mm、高さ約15mmの円柱状であり、クラックの発生した
ものでは、成形体の底面にほぼ垂直なクラックにより成
形体が分断されており、焼結は不可能であった。
【0076】各成形体を1238℃で焼成し、直径約2
1mm、高さ約11.5mmの磁石サンプルとした。磁石サ
ンプルの磁気特性を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】表3から本発明の効果が明らかである。す
なわち、低分子量ポリオレフィン系ワックスの添加によ
り成形体のクラック発生が激減し、特に、0.3重量部
以上添加した場合にはクラックの発生は認められない。
また、低分子量ポリオレフィン系ワックスの添加量が
0.8重量部以下であれば、磁石の特性劣化はほとんど
認められず、4000G 以上のBr 、2800 Oe 以上
のHcj、91%以上の配向度が得られている。
【0079】<実施例4>低分子量ポリオレフィン系ワ
ックスの替わりにノニオン系界面活性剤を添加した他は
実施例3と同様な操作により永久磁石材料を作製した。
ノニオン系界面活性剤には、前述したより好ましい範囲
の分子量を有するポリエチレングリコール、または前記
化1で表わされるポリオキシアルキレンであって、a+
cが好ましい範囲のものを用いた。これらの永久磁石材
料を用い、実施例3と同様にして磁場中で乾式成形を行
ない、成形体を得た。この結果、ポリエチレングリコー
ルおよび前記化1で表わされるポリオキシアルキレン
は、実施例3で添加した低分子量ポリオレフィン系ワッ
クスと同等の効果を示した。
【0080】<実施例5>実施例1および実施例2と同
様な操作で作製した永久磁石材料を用い、実施例1と同
様にして磁場中乾式成形を行ない、成形体を得た。
【0081】また、比較のために、排気孔を設けない
か、または排気孔および通気性フィルタを設けない他は
実施例1と同様な装置を用いて成形体を製造した。
【0082】原料粉末の比表面積、原料粉末100重量
部に対するポリカルボン酸アンモニウムおよびオレイン
酸アンモニウムの添加量ならびに成形時の加圧時間を、
下記表4に示す。
【0083】表4に示す各条件において50個の成形体
を製造し、クラックが発生した成形体の個数を調べた。
結果を表4に示す。なお、成形体の寸法は、直径約25
mm、高さ約15mmの円柱状であり、クラックの発生した
ものでは、成形体の底面にほぼ平行なクラック(ラミネ
ーションクラック)が発生しており、焼結は不可能であ
った。
【0084】
【表4】
【0085】表4の結果から、本発明の効果が明らかで
ある。
【0086】<実施例6>実施例5と同じ永久磁石材料
を用い、図1に示される構成の装置を用いて成形体を製
造した。
【0087】また、比較のために、排気孔を設けない他
は同様な装置を用いて成形体を製造した。
【0088】原料粉末の比表面積、原料粉末100重量
部に対するポリカルボン酸アンモニウムおよびオレイン
酸アンモニウムの添加量ならびに成形時の加圧時間を、
下記表5に示す。
【0089】表5に示す各条件において50個の成形体
を製造し、クラックが発生した成形体の個数を調べた。
結果を表5に示す。なお、成形体の寸法は、直径約30
mm、高さ約15mmの円柱状であり、クラックの発生した
ものでは、成形体の底面にほぼ垂直なクラックにより成
形体が分断されており、焼結は不可能であった。
【0090】
【表5】
【0091】表5の結果から、本発明の効果が明らかで
ある。
【0092】<実施例7>実施例5と同じ永久磁石材料
を用い、図1に示される構成で排気孔を設けない装置に
より成形体を製造した。
【0093】原料粉末の比表面積、原料粉末100重量
部に対するポリカルボン酸アンモニウムおよびオレイン
酸アンモニウムの添加量ならびに成形体密度を、下記表
6に示す。
【0094】表6に示す各条件において50個の成形体
を製造し、クラックが発生した成形体の個数を調べた。
結果を表6に示す。なお、成形体の寸法は、直径約30
mm、高さ約15mmの円柱状であった。
【0095】
【表6】
【0096】表6の結果から、本発明の効果が明らかで
ある。すなわち、成形体密度が2.8〜3.5g/cm3
(相対密度54〜69%)の範囲のときにはクラックは
認められない。
【0097】なお、排気孔を有しない他は図1と同様な
構成の装置を用い、上部パンチと下部パンチとで成形体
を加圧した状態で型枠だけを外して成形体中の気体を磁
化困難軸方向から排出させた後、両パンチによる加圧を
解除した場合、成形体のクラック発生はみられなかっ
た。
【0098】また、磁石材料粒子を配向させて顆粒化し
た原料粉末を用いた場合、磁気特性はやや低下したがク
ラック発生は認められなかった。ただし、この場合、ア
ニオン系界面活性剤を吸着させずにかつ顆粒化した場合
よりは磁気特性が高かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる乾式成形装置の一例を示す部分
断面図である。
【図2】本発明に用いる乾式成形装置の一例を示す部分
断面図である。
【符号の説明】
2 型枠 3 上部パンチ 31 排気孔 4 下部パンチ 41 排気孔 5 成形空間 6 通気性フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/26 H01F 1/11 (72)発明者 中野 淳二 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物永久磁石材料粒子からなる原料粉
    末の水スラリー中に、アニオン系界面活性剤、またはア
    ニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤を添加
    した後、乾燥することにより、アニオン系界面活性剤、
    またはアニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性
    剤が表面に吸着している酸化物永久磁石材料粒子からな
    る永久磁石材料を得る工程と、 少なくとも型枠と上部パンチと下部パンチとにより成形
    空間が形成されている乾式成形装置を用いて、前記永久
    磁石材料を磁場中で乾式成形して成形体を得る工程と、 成形体を焼結する工程とを有することを特徴とする永久
    磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アニオン系界面活性剤がカルボン酸
    塩を含む請求項1の永久磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アニオン系界面活性剤が低分子量ポ
    リオレフィン系ワックスを含む請求項1または2の永久
    磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ノニオン系界面活性剤がポリオキシ
    アルキレン系化合物を含む請求項1〜3のいずれかの永
    久磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸化物永久磁石材料粒子の比表面積
    が5m2/g以上である請求項1〜4のいずれかの永久磁石
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 複数の酸化物永久磁石材料粒子が結合し
    て顆粒化している永久磁石材料を乾式成形する請求項1
    〜5のいずれかの永久磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 成形体の相対密度が54〜69%である
    請求項1〜6のいずれかの永久磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 成形体を形成した後、上部パンチと下部
    パンチとによる加圧を維持したまま型枠をこれらに対し
    て相対的に移動させて成形体中の気体を排出し、次いで
    上部パンチと下部パンチとによる加圧を解除する請求項
    1〜7のいずれかの永久磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも一方のパンチが成形空間対向
    面に開口する排気孔を有する乾式成形装置を用いる請求
    項1〜8のいずれかの永久磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 永久磁石材料の前記排気孔内への侵入
    を防ぐために、少なくとも前記排気孔を覆うように通気
    性フィルタが設けられている乾式成形装置を用いる請求
    項9の永久磁石の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記排気孔から成形空間内の気体を吸
    気するための吸気手段が設けられている乾式成形装置を
    用いる請求項9または10の永久磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 一方のパンチが型枠内に侵入せずに成
    形が行なわれる構成を有し、前記一方のパンチの成形空
    間対向面が通気性フィルタにより覆われており、前記通
    気性フィルタが通気路を形成している乾式成形装置を用
    いる請求項1〜11のいずれかの永久磁石の製造方法。
  13. 【請求項13】 少なくとも一方のパンチの成形空間対
    向面に排気孔を有する乾式成形装置を用いる請求項12
    の永久磁石の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかの方法に用
    いられることを特徴とする永久磁石材料。
  15. 【請求項15】 乾式成形法を用いて製造された酸化物
    永久磁石であって、配向方向の残留磁化を飽和磁化で除
    した値である配向度が91%以上であることを特徴とす
    る永久磁石。
  16. 【請求項16】 乾式成形法を用いて製造された酸化物
    永久磁石であって、残留磁化Br が4000G 以上であ
    り、かつ保磁力Hcjが2800 Oe 以上であることを特
    徴とする永久磁石。
  17. 【請求項17】 配向方向の残留磁化を飽和磁化で除し
    た値である配向度が91%以上である請求項16の永久
    磁石。
  18. 【請求項18】 請求項1〜13のいずれかの永久磁石
    の製造方法により製造された請求項15〜17のいずれ
    かの永久磁石。
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