JPH0797917A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JPH0797917A
JPH0797917A JP24300193A JP24300193A JPH0797917A JP H0797917 A JPH0797917 A JP H0797917A JP 24300193 A JP24300193 A JP 24300193A JP 24300193 A JP24300193 A JP 24300193A JP H0797917 A JPH0797917 A JP H0797917A
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泰生 原田
Yasushi Araki
康 荒木
Shinya Hirota
信也 広田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 NOX 吸収剤の再生終了後の待機期間中の温
度低下を防止し、NOX吸収再開時の吸収能力を高く維
持する。 【構成】 内燃機関1の排気通路3にNOX 吸収剤5
a、5bを並列に接続し、排気切換え弁2、22により
排気を交互に切り換えてNOX 吸収剤5a、5bの再生
を交互に行う。エンジン制御回路(ECU)20は、排
気切換え弁2、22を切り換えてNOX 吸収剤に流入す
る排気流量を低減するとともに、還元剤供給装置11か
ら排気流量を低減した側のNOX 吸収剤に還元剤を供給
しNOX 吸収剤の再生を行い、再生終了後は、待機中の
NOX 吸収剤を通過する排気空燃比が理論空燃比近傍に
なるように還元剤の供給を継続する。待機中もNOX
収剤上で還元剤の酸化反応が生じるため、NOX 吸収剤
の温度低下が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の排気浄化装
置に関し、詳細には、ディーゼルエンジンや希薄燃焼を
行うガソリンエンジン等、リーン空燃比の燃焼を行う内
燃機関の排気中のNOX を効果的に除去可能な排気浄化
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の排気浄化装置の例としては、例
えば特開昭62─106826号公報に開示されたもの
がある。同公報の装置は、ディーゼル機関の排気通路
に、酸素の存在下でNOX を吸収する吸収剤(触媒)を
配置して排気中のNOX を吸収させ、該吸収剤のNOX
吸収能力が飽和したときに吸収剤への排気の流入を遮断
して吸収剤に還元剤を供給し、NOX 吸収剤をリッチ空
燃比下の雰囲気にすることにより吸収剤からNOXを放
出させるとともに放出されたNOX を還元浄化するよう
にしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭62─10
6826号公報の排気浄化装置では、NOX 吸収剤への
排気の流入を遮断してNOX 吸収剤に還元剤を供給する
ことにより、NOX 吸収剤の再生操作を行っている(な
お、本明細書では上記のNOX 吸収剤からのNO X 放出
及び還元浄化の操作を「NOX 吸収剤の再生操作」と呼
ぶ)。ところが、上記公報の装置では再生操作終了後、
次のNOX 吸収操作再開までの待機期間中NOX 吸収剤
を排気の流入を遮断したままの状態に保持すると、高温
の排気が供給されないため、待機期間中にNOX 吸収剤
の温度が低下してしまう場合がある。特に、排気通路に
複数のNOX 吸収剤を並列に接続して、順番に排気の流
入を遮断してNOX 吸収剤の再生を行うような場合に
は、各NOX 吸収剤のNOX 吸収能力を最大限に利用す
るためにNOX の吸収を行う時間は再生に必要な時間よ
り大幅に長く設定される。このため、再生操作終了後の
待機期間が長くなり、NOX 吸収剤の温度低下も大きく
なる。
【0004】NOX 吸収剤のNOX 吸収能力は低温域で
は大幅に低下してしまうため、上記のように待機期間中
にNOX 吸収剤の温度が低下すると、NOX の吸収を再
開した場合にNOX 吸収剤が所定の吸収能力を発揮でき
ず、排気中のNOX の浄化効率が低下してしまう問題が
生じる。これを解決するために、NOX 吸収剤の再生終
了後直ちにNOX 吸収操作を開始して待機期間中のNO
X 吸収剤の温度低下を防止することも可能であるが、前
述のように複数のNOX 吸収剤を並列に排気通路に接続
して切り換えて使用するような場合には吸収と再生の切
換え周期を短縮すると各NOX 吸収剤のNOX 吸収能力
を有効に活用できなくなる問題がある。また、NOX
収剤への排気流入遮断に伴う排気抵抗の変動により機関
出力に影響が生じる場合があり、切換え周期を短縮する
ことは好ましくない。
【0005】本発明は上記に鑑み、再生操作終了後の待
機期間中のNOX 吸収剤の温度低下を防止し、NOX
収操作再開時のNOX 吸収剤の吸収能力を高く維持する
ことが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、リーン
空燃比の燃焼を行うことのできる内燃機関の排気通路
に、流入排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOX
を吸収し、流入排気中に還元剤が供給され酸素濃度が低
下したときに吸収したNOX を放出するNOX 吸収剤を
配置し、NOX を吸収させた後にNOX 吸収剤に流入す
る排気流量を低減するとともにNOX 吸収剤に還元剤を
供給して吸収したNOX を放出させる再生操作と、再生
終了後に排気流量を回復させてNOX 吸収を再開する操
作とを繰り返す内燃機関の排気浄化装置において、排気
流量を回復させて前記NOX 吸収を再開する前の所定期
間NOX 吸収剤に還元剤を供給してNOX 吸収剤を通過
する排気空燃比を理論空燃比近傍に制御する手段を設け
たことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供され
る。
【0007】
【作用】NOX 吸収再開前に、NOX 吸収剤に理論空燃
比近傍の空燃比の排気と還元剤との混合気が供給され、
NOX 吸収剤上で還元剤の酸化反応熱が生じる。これに
より、待機期間中のNOX 吸収剤の温度が高く維持さ
れ、NOX 吸収再開時のNOX 吸収剤の吸収能力低下が
生じない。
【0008】
【実施例】以下、添付図面を用いて本発明の実施例を説
明する。図1において、1はディーゼルエンジン、希薄
燃焼を行うガソリンエンジン等のリーン空燃比の燃焼を
行うことのできる内燃機関、3は内燃機関1の排気通路
を示す。本実施例では排気通路3には2つの分岐通路3
a、3bが設けられており、通路3a、3bにはそれぞ
れ流入する排気空燃比がリーンのときに排気中のNOX
を吸収し、排気中の酸素濃度が低下したときに吸収した
NOX を放出するNOX 吸収剤、それぞれ5a、5bが
接続されている。
【0009】また、排気通路3の通路3a、3bの分岐
部には排気切り換え弁2が設けられ、排気通路3a、3
bの任意の一方を所定の開度に閉鎖して排気通路3a、
3bに排気を分配するようになっている。例えば排気切
換え弁2が図1に実線で示した位置に切り換えられる
と、排気の大部分は分岐通路3b側に流入し、分岐通路
3a側に流入する排気流量が低減される。また、排気切
換え弁2が図1に点線で示した位置に切り換えられる
と、排気の大部分は分岐通路3a側に流入し、分岐通路
3b側に流入する排気流量が低減される。図に2aで示
すのは、後述するエンジン制御回路(ECU)20から
の制御信号により切り換え弁2を駆動して所定の切り換
え位置をとらせるための負圧アクチュエータ等、適宜な
形式のアクチュエータである。
【0010】また、本実施例では分岐通路3a、3bは
NOX 吸収剤5a、5b下流側で再び合流しており、こ
の合流部には排気切換え弁2と同様な排気切換え弁22
と、アクチュエータ22aとが設けられている。排気切
換え弁22は、排気切換え弁2と連動して作動し、それ
ぞれの分岐通路に流入する排気流量を制御するととも
に、後述のNOX 吸収剤再生操作時に再生中のNOX
収剤に下流側から排気が逆流することを防止している。
【0011】更に、分岐通路3a、3bのNOX 吸収剤
5a、5b上流側には後述する還元剤供給装置11から
NOX 吸収剤5a、5bに還元剤を供給する還元剤供給
ノズル、それぞれ12a、12bが接続されている。ま
た、図1に7a、7bで示すのは、それぞれ分岐通路3
a、3bのNOX 吸収剤5a、5b下流側に配置された
空燃比センサである。空燃比センサ7a、7bは排気中
の酸素濃度を検出し、広い範囲で排気空燃比に対応した
出力電圧を発生する、いわゆる全域空燃比センサが使用
される。
【0012】図に20で示すのはエンジン1の制御回路
(ECU)である。ECU20はCPU、RAM、RO
M、及び入力ポート、出力ポートを相互に双方向バスで
接続した構成の公知のディジタルコンピュータからな
り、エンジンの燃料噴射量制御等の基本制御を行ってい
る。また、本実施例ではECU20は、更に、図示しな
い駆動回路や負圧制御弁等を介してアクチュエータ2
a、22aを駆動して排気切り換え弁2、22の切り換
え位置制御を行うほか、還元剤供給装置11からの還元
剤供給制御を行っている。これらの制御のためECU2
0の入力ポートには、空燃比センサ7a、7bからの空
燃比信号が入力されている他、エンジン回転数、機関吸
入空気量等の信号がそれぞれ図示しないセンサから入力
されている。
【0013】還元剤供給装置11は還元剤容器、加圧ポ
ンプ等から構成される還元剤供給源13と、還元剤供給
源13から還元剤供給ノズル12a、12bに供給され
る還元剤供給量の流量を調節する制御弁14a、14b
及び、ノズル12a、12bと制御弁14a、14bと
の間に配置された排気逆流防止用の逆止弁15a、15
bとを備えている。制御弁14a、14bは、後述する
NOX 吸収剤5a、5bの再生操作時及び、その後の待
機期間中に、ECU20の制御信号に応じて所定の開度
をとり、開度に応じた量の還元剤をNOX 吸収剤5a、
5bに供給するものである。
【0014】NOX 吸収剤5a、5bのNOX 放出、還
元操作(再生操作)に使用する還元剤としては、排気中
で炭化水素、一酸化炭素等の還元成分を発生するもので
あれば良く、水素、一酸化炭素等の気体、プロパン、プ
ロピレン、ブタン等の液体又は気体の炭化水素、ガソリ
ン、軽油、灯油等の液体燃料等が使用できる。NOX
収剤5a、5bは例えばアルミナ等の担体を使用し、こ
の担体上に例えばカリウムK,ナトリウムNa ,リチウ
ムLi ,セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウム
Ba , カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタン
La ,イットリウムYのような希土類から選ばれた少な
くとも一つと、白金Pt のような貴金属とが担持されて
いる。このNOX 吸収剤5a、5bは流入する排気の空
燃比がリーンの場合にはNOX を吸収し、酸素濃度が低
下するとNOX を放出するNOX の吸放出作用を行う。
【0015】なお、上述の排気空燃比とは、ここではN
X 吸収剤5a、5bの上流側の排気通路やエンジン燃
焼室、吸気通路等にそれぞれ供給された空気量の合計と
燃料と還元剤の合計との比を意味するものとする。従っ
て、NOX 吸収剤5a、5bの上流側排気通路に燃料、
還元剤または空気が供給されない場合には排気空燃比は
エンジンの運転空燃比(エンジン燃焼室内の燃焼におけ
る空燃比)と等しくなる。
【0016】本実施例では、リーン空燃比の燃焼を行う
機関が使用されているため、通常運転時の排気空燃比は
リーンであり、NOX 吸収剤5a、5bは排気中のNO
X の吸収を行う。また、還元剤供給装置11から排気中
に還元剤が導入されて酸素濃度が低下すると、NOX
収剤5a、5bは吸収した還元剤の放出を行う。この吸
放出作用の詳細なメカニズムについては明らかでない部
分もある。しかし、この吸放出作用は図2に示すような
メカニズムで行われているものと考えられる。次にこの
メカニズムについて担体上に白金Pt およびバリウムB
a を担持させた場合を例にとって説明するが他の貴金
属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同
様なメカニズムとなる。
【0017】すなわち、流入排気がかなりリーンになる
と流入排気中の酸素濃度が大巾に増大し、図2(A) に示
されるようにこれら酸素O2 がO2 - またはO2-の形で
白金Pt の表面に付着する。一方、流入排気中のNOは
白金Pt の表面上でこのO2 - またはO2-と反応し、N
2 となる(2NO+O2 →2NO2 ) 。次いで生成さ
れたNO2 の一部は白金Pt上で酸化されつつ吸収剤内
に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、図2
(A) に示されるように硝酸イオンNO3 - の形で吸収剤
内に拡散する。このようにしてNOX がNOX 吸収剤5
a、5b内に吸収される。
【0018】従って、流入排気中の酸素濃度が高い限り
白金Pt の表面でNO2 が生成され、吸収剤のNOX
収能力が飽和しない限りNO2 が吸収剤内に吸収されて
硝酸イオンNO3 - が生成される。これに対して流入排
気中の酸素濃度が低下してNO2 の生成量が減少すると
反応が逆方向(NO3 - →NO2 )に進み、こうして吸
収剤内の硝酸イオンNO3 - がNO2 の形で吸収剤から
放出される。すなわち、流入排気中の酸素濃度が低下す
るとNOX 吸収剤5a、5bからNOX が放出されるこ
とになる。
【0019】一方、流入排気中にHC、CO等の還元成
分が存在すると、これらの成分は白金Pt 上の酸素O2
- またはO2-と反応して酸化され、排気中の酸素を消費
して排気中の酸素濃度を低下させる。また、排気中の酸
素濃度低下によりNOX 吸収剤5a、5bから放出され
たNO2 は図2(B) に示すようにHC,COと反応して
還元される。このようにして白金Pt の表面上にNO2
が存在しなくなると吸収剤から次から次へとNO2 が放
出される。
【0020】すなわち、流入排気中のHC,COは、ま
ず白金Pt 上のO2 - またはO2-とただちに反応して酸
化され、次いで白金Pt 上のO2 - またはO2-が消費さ
れてもまだHC,COが残っていればこのHC,COに
よって吸収剤から放出されたNOX 、および排気ととも
に流入するNOX が還元される。本実施例では、排気切
換え弁2、22の操作によりNOX 吸収剤5aと5bの
NOX 吸収と放出とを交互に行う。すなわち、本実施例
では、排気切換え弁2、22の操作により一方のNOX
吸収剤(例えば5a)に大部分の排気を流してNOX
吸収させる。また、NOX 吸収剤5aのNOX 吸収量が
増大してくると、排気切換え弁2、22を切り換えて他
方のNOX 吸収剤5bに排気を流し、NO X 吸収剤5a
に流入する排気流量を低減するとともに、還元剤供給ノ
ズル12aからNOX 吸収剤5aに還元剤を供給してN
X 吸収剤5aの再生を行う。また、切換え後NOX
収剤5bのNOX 吸収量が増大してくると、再度排気切
換え弁2、22の切換えを行い、NOX 吸収剤5a側に
排気を流してNOX 吸収剤5aによるNOX 吸収を再開
するとともにNOX 吸収剤5bの再生を行う。
【0021】上記の、NOX 吸収剤がNOX 吸収を行う
ことのできる時間は、例えば10分程度と比較的長いの
に対して、NOX 吸収剤の再生に必要な時間は、例えば
数十秒程度と比較的短い。従って、再生操作が終了した
NOX 吸収剤は、次に排気切換え弁が切り換えられてN
X 吸収を再開するまでの間、排気流量を低減したまま
で待機状態に置かれることになる。このため、待機期間
中にNOX 吸収剤の温度が低下してしまう問題が生じ
る。
【0022】本発明による実施例では、待機中のNOX
吸収剤に還元剤を供給し、NOX 吸収剤を通過する排気
の空燃比を理論空燃比近傍に維持することにより、NO
X 吸収剤の温度低下の問題を解決している。すなわち、
NOX 吸収剤は図2で説明したように、酸素の存在下で
HC、CO等の還元成分の酸化を促進する酸化触媒とし
ての機能を有している。従って、待機中のNOX 吸収剤
に酸素と還元剤とを供給することにより、NOX 吸収剤
上で還元剤の酸化反応を生じさせ、反応熱によりNOX
吸収剤の温度低下を防止することが可能となる。本発明
による実施例では、上記酸化反応に最適な理論空燃比近
傍に維持した排気と還元剤との混合気を待機中のNOX
吸収剤に供給することにより、NOX 吸収剤の温度を高
く保持してNOX 吸収再開時の吸収能力の低下を防止し
ている。
【0023】次に、本実施例の排気浄化操作について説
明する。以下の説明では、図1のNOX 吸収剤5aのN
X 吸収及び再生操作について説明するが、NOX 吸収
剤5bについても全く同様に吸収、再生操作が行われ
る。排気切換え弁2、22が図1の点線の位置に保持さ
れ、NOX 吸収剤5aに機関の排気の大部分が流入する
と、NOX 吸収剤5aは前述のように排気中のNO X
吸収を行う。次いで、所定時間が経過してNOX 吸収剤
5aのNOX 吸収量が増大するとECU20は、排気切
換え弁2、22を図1の実線の位置に切り換え、NOX
吸収剤5aの再生操作を開始する。
【0024】なお、本実施例ではNOX 吸収剤の再生は
一定時間毎に行われるが、機関のNOX 発生量に応じて
NOX 吸収剤のNOX 吸収量が所定値に達する毎にNO
X 吸収剤の再生を行うようにしてもよい。この場合、E
CU20は、機関の単位時間当たりのNOX 発生量を機
関負荷(例えば、機関1回転当たりの吸入空気量)と機
関回転数との関数としてROMに予め格納しておき、所
定時間毎に機関負荷条件を読みとり、ROMから上記の
NOX 発生量を読みだし、この発生量に一定の係数を乗
じたものを積算してNOX 吸収剤のNOX 吸収量とす
る。このNOX 吸収量が所定値に達したときにNOX
収剤の再生を行うようにすれば、機関NO X 発生量の変
化にかかわらず、NOX 吸収剤のNOX 吸収能力を有効
に活用することができる。
【0025】排気切換え弁2、22が図1の実線の位置
に切り換えられると、NOX 吸収剤5aに流入する排気
流量が低下し、排気の大部分はNOX 吸収剤5bを通過
して流れるため、NOX 吸収剤5bによる排気中のNO
X 吸収が行われる。NOX 吸収剤5aの再生操作は、以
下の手順で行われる。まず、ECU20は、NOX の吸
収を開始したNOX 吸収剤5bの下流側に配置された空
燃比センサ7bの出力から機関の排気空燃比を読みと
り、この排気空燃比と、再生を行うNOX 吸収剤5a側
に流入する排気流量とからNOX 吸収剤5aに供給すべ
き還元剤流量を決定する。本実施例では、再生操作時に
NOX 吸収剤に供給する還元剤流量は、NOX 吸収剤に
流入する排気空燃比を理論空燃比より所定量だけリッチ
側に維持する量とされる。また、再生操作時に排気切換
え弁を通過してNOX 吸収剤に流入する排気流量は、機
関負荷、回転数等の運転条件の関数として、予め実測な
どにより求めておき、ROMに格納しておく。
【0026】ECU20は、還元剤供給装置11の制御
弁14を、上記により算出された還元剤流量に対応する
開度に設定してNOX 吸収剤5aに還元剤の供給を行う
とともに、NOX 吸収剤5a下流側の空燃比センサ7a
の出力に基づいて還元剤の供給時間を制御する。前述の
ように、NOX 吸収剤への還元剤供給が開始されると、
まず還元剤は排気中やNOX 吸収剤のPt表面のO2
消費し、このO2 を消費した後にNOX の還元浄化を開
始する。従って、還元剤供給開始後初期の段階では、N
X 吸収剤から流出する排気中の酸素濃度は比較的高く
なっており、上記O2 が消費され、NOX の還元が始ま
ると排気中の酸素濃度が急激に低下する。ECU20
は、空燃比センサ7aの出力変化から上記酸素濃度の低
下を検出した後所定期間の間、排気空燃比がリッチにな
るように前記還元剤供給量を維持する。これによりNO
X 吸収剤再生終了後に過剰な還元剤がNOX 吸収剤から
流出することが防止される。なお、この期間は、NOX
吸収剤に吸収したNOX 量(吸収時間)に応じて予め設
定されている。
【0027】上記再生操作終了後、NOX 吸収剤5aは
排気の流量を低減したまま次回のNOX 吸収開始に備え
て待機状態に置かれる。本実施例ではECU20は、上
記再生時間が経過した後、待機中のNOX 吸収剤5a下
流側の排気空燃比が理論空燃比近傍になるように、空燃
比センサ7aの出力に基づいて制御弁14aの開度をフ
ィードバック制御する。このように、下流側の空燃比セ
ンサ出力に基づいて還元剤供給量をフィードバック制御
することにより、待機中のNOX 吸収剤を通過する排気
空燃比は正確に理論空燃比近傍に保持されるため、NO
X 吸収剤に供給された還元剤の良好な酸化反応が得ら
れ、待機中のNOX 吸収剤温度を高く維持することがで
きる。また、これによりNOX 吸収剤に供給された還元
剤の全量を酸化することができるため、過剰な還元剤が
NOX 吸収剤下流に流出することが防止される。
【0028】図3は、上記操作による、NOX 吸収剤に
流入する排気空燃比の変化サイクルを示している。図3
において、NOX 吸収剤のNOX 吸収操作時にはNOX
吸収剤に流入する排気空燃比はリーン空燃比に維持され
る(図3、区間 I)。次いで排気切換え弁の切換えが行
われると、NOX 吸収剤に還元剤が供給され、切換え後
の所定期間排気空燃比はリッチ空燃比に保持され、NO
X 吸収剤の再生が行われる(図3、区間II)。また、N
X 吸収剤の再生が終了したあとの待機期間中は、排気
空燃比は理論空燃比近傍に維持され、NOX 吸収剤の温
度が高く維持される(図3、区間 III)。この状態で再
度排気切換え弁の切換えが行われるとNOX 吸収剤に流
入する排気の空燃比は再びリーン空燃比になり、NOX
吸収剤は温度が低下することなくNOX 吸収を再開する
(図3、区間 IV )。
【0029】なお、上述の実施例ではNOX 吸収剤の再
生操作が終了後、引き続きNOX 吸収剤に流入する排気
空燃比を理論空燃比に維持しているが、待機期間が特に
長い場合には、再生操作終了後一旦還元剤の供給を停止
し、NOX 吸収を再開する前の所定の期間だけ還元剤を
供給して排気空燃比を理論空燃比に維持することによ
り、NOX 吸収再開前にNOX 吸収剤温度を上昇させる
ようにしてもよい。
【0030】また、本実施例では、還元剤の供給量の制
御のみによって待機中のNOX 吸収剤に流入する排気空
燃比を調節しているが、還元剤供給量とともに排気切換
え弁2、22の開度を制御して流入する排気量を調節す
ることにより排気空燃比を制御することも可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明の排気浄化装置は、上述のように
NOX 吸収再開前の待機中のNOX 吸収剤に理論空燃比
近傍の排気と還元剤との混合気を供給するようにしたこ
とにより、待機中のNOX 吸収剤の温度低下を有効に防
止し、NOX 吸収開始時のNO X 吸収剤の吸収能力を高
く維持することが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気浄化装置の一実施例を示す全体図
である。
【図2】NOX 吸収剤のNOX の吸放出作用を説明する
図である。
【図3】NOX 吸収剤に流入する排気空燃比の変化サイ
クルを説明する図である。
【符号の説明】
1…内燃機関 3…排気通路 3a、3b…分岐通路 5a、5b…NOX 吸収剤 2、22…排気切り換え弁 11…還元剤供給装置(全体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F01N 3/20 ZAB N (72)発明者 小端 喜代志 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リーン空燃比の燃焼を行うことのできる
    内燃機関の排気通路に、流入排気の空燃比がリーンのと
    きに排気中のNOX を吸収し、流入排気中に還元剤が供
    給され酸素濃度が低下したときに吸収したNOX を放出
    するNOX 吸収剤を配置し、NOX を吸収させた後にN
    X 吸収剤に流入する排気流量を低減するとともにNO
    X 吸収剤に還元剤を供給して吸収したNOX を放出させ
    る再生操作と、再生終了後に排気流量を回復させてNO
    X 吸収を再開する操作とを繰り返す内燃機関の排気浄化
    装置において、 排気流量を回復させて前記NOX 吸収を再開する前の所
    定期間NOX 吸収剤に還元剤を供給してNOX 吸収剤を
    通過する排気空燃比を理論空燃比近傍に制御する手段を
    設けたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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