JPH0797234A - 低融点光学ガラス - Google Patents

低融点光学ガラス

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JPH0797234A
JPH0797234A JP5262993A JP26299393A JPH0797234A JP H0797234 A JPH0797234 A JP H0797234A JP 5262993 A JP5262993 A JP 5262993A JP 26299393 A JP26299393 A JP 26299393A JP H0797234 A JPH0797234 A JP H0797234A
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/12Silica-free oxide glass compositions
    • C03C3/16Silica-free oxide glass compositions containing phosphorus
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/12Silica-free oxide glass compositions
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 より高屈折率及び高分散特性を有するととも
に、低い温度でガラスが失透せずに軟化してプレス成形
することが可能であり、かつ液相温度が低く安定性に優
れた光学ガラスの提供。 【構成】 重量%で表示して、P2 5 を2〜29%、
Na2 Oを2〜25%、Nb2 5 を4%以上22%未
満、WO3 を20〜52%含むことを特徴とする低融点
光学ガラス。このガラスは、屈折率が1.70〜1.8
6、分散率が21〜35、ガラス屈伏点が570℃以下
である。重量%で表示して、P2 5 を12〜32%、
2 3 を0.5〜16%、Li2 Oを0.3〜6%、
Na2 Oを2〜22%、Nb2 5 を8〜52%含むこ
とを特徴とする低融点光学ガラス。このガラスは、屈折
率が1.69〜1.83、分散率が21〜32、ガラス
屈伏点が570℃以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低温度でプレスするこ
とができ、非球面精密プレス用として有用な低融点光学
ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高屈折率、高分散を示す光学ガラ
スとしては、例えばP2 5 −Nb25 −アルカリ金
属酸化物系ガラス(特公昭56−40094号公報)が
ある。さらに、SiO2 −TiO2 −Nb2 5 −アル
カリ金属酸化物系ガラス(特開昭63−265840号
公報)も高屈折率、高分散を示す光学ガラスである。し
かし、これらのガラスの屈伏温度(Ts)は600℃以
上と高い。通常、精密プレス成形は、屈伏温度(Ts)
より30℃〜50℃高い温度で行なわれる。よって、上
記のガラスを精密プレス成形する場合、プレス温度は6
50℃〜700℃の範囲となる。ところが、このような
高温でプレスを繰り返し行うと、型材の劣化が著しく、
プレス開始後、比較的短時間の内に精密なガラス面が得
られなくなってしまう。そこで、精密なガラス面を得る
ためには型の交換を頻繁に行う必要があるが、それでは
精密レンズを量産することは非常に困難である。
【0003】このような観点から、精密プレスレンズ製
造における型の寿命を延長するための1つの策として、
屈伏温度(Ts)の低いガラスを用いることが挙げられ
る。例えば、特開平1−308843号公報には、高屈
折率、高分散を示す低融点光学ガラスであるSiO2
PbO−アルカリ金属酸化物系のガラスが開示されてい
る。さらに、特開平5−51233号公報には、高屈折
率、高分散を示す低融点光学ガラスであるSiO2
GeO2 −TiO2 −Nb2 5 −アルカリ金属酸化物
系のガラスが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の特許公報に記載のガラスにはいくつかの問題点があっ
た。例えば、特開平1−308843号記載のガラスは
多量の酸化鉛を含んでいる。一方、ガラスのプレスは、
通常、型の酸化を防ぐために還元性雰囲気で行われる。
そのため、上記酸化鉛含有ガラスの場合、ガラス中の酸
化鉛が還元性雰囲気中で還元されて金属鉛が表面に折出
する。析出した金属鉛は、型表面に付着して、ガラスを
プレスする際にガラス表面に凸凹をつくり、面精度が悪
くなってしまう。それに対して特開平5−51233号
に記載のガラスは、ガラス成分中にPbOを含まない低
融点光学ガラスである。しかし、このガラスは液相温度
が高く、軟化温度付近での失透傾向も強い。そのため、
ガラスプリフォームを昇温して軟化させ、精密プレス成
形をするのは困難であり、プレスレンズの製造には適さ
ない。
【0005】そこで本発明の目的は、高屈折率及び高分
散特性を有するとともに、低い温度でガラスが失透せず
に軟化してプレス成形することが可能であり、かつ液相
温度が低く安定性に優れた光学ガラスを提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様の光
学ガラスは、重量%で表示して、P2 5 を2〜29
%、Na2 Oを2〜25%、Nb2 5 を4以上22%
未満、WO3 を20〜52%含むことを特徴とする低融
点光学ガラスに関する。
【0007】本発明の第2の態様の光学ガラスは、重量
%で表示して、P2 5 を12〜32%、B2 3
0.5〜16%、Li2 Oを0.3〜6%、Na2 Oを
2〜22%、Nb2 5 を8〜52%含むことを特徴と
する低融点光学ガラスに関する。
【0008】以下、まず、本発明の第1の態様の光学ガ
ラスについて、各成分およびその含量の限定理由を説明
する。P2 5 は燐酸塩ガラスにおいてガラス形成成分
として欠かせない成分である。燐酸塩ガラスは珪酸塩ガ
ラスと比べて低い温度でガラスを溶融することができ、
可視域の透過率が高いという特徴をもつ。また同じガラ
ス形成酸化物成分であるSiO2 やB2 3 に比べてP
2 5 は高分散側に位置する成分のため、アッベ数35
以下の光学特性を得るには、P2 5 は少なくとも2%
は必要である。逆に29%を越えると失透性が強くな
り、安定なガラスが得られなくなる。そのため、P2
5 の含量は2〜29%に限定される。好ましいP2 5
の含量は4〜26%の範囲である。
【0009】Na2 Oはガラスの屈伏温度(Ts)を下
げ、液相温度を下げる成分として欠かせない成分であ
る。またガラスの粘性を下げることができるので低温で
溶解が可能となり、白金るつぼの浸食による着色を抑え
ることができる。Na2 Oが2%未満では失透性が強く
上記の効果が得られない。また25%を越えると、耐失
透性、化学的耐久性が悪くなる。従ってNa2 Oの含量
は2〜25%に限定され、好ましくは4〜22%であ
る。
【0010】Nb2 5 は、目的とする高屈折率、高分
散特性を得るために不可欠な成分であり、また耐久性を
上げる効果のある成分でもある。Nb2 5 が4%未満
であると目的とする高屈折率・高分散特性が得られなく
なり、22%以上では耐失透性が悪くなり、ガラスの屈
伏点(Ts)が上昇する。このためNb2 5 は4%以
上22%未満に限定される。好ましいNb2 5 の含量
は6〜21.5%である。
【0011】WO3 は目的とする高屈折率・高分散特性
を得るために不可欠な成分であり、またガラスの屈伏点
(Ts)を下げるのに非常に有効な成分である。WO3
が20%未満であると目的とする高屈折率・高分散特性
が得られなくなり、ガラスの屈伏点も上昇する。また5
2%を越えると耐失透性が悪くなり、かつガラスが強く
着色することになる。このためWO3 は20〜52%に
限定される。好ましいWO3 の含量は23〜49%であ
る。
【0012】本発明の第1の態様の低融点光学ガラス
は、後述の実施例からも明らかなように高屈折率で高分
散特性を有し、かつ低融点特性を有している。例えば屈
折率は1.70〜1.86の範囲にあり、アッベ数は3
5〜21の範囲でガラス屈伏点(Ts)は570℃以下
の範囲である。また液相温度(L・T)を下げることが
でき、かつガラス塊をプレスする際のガラス軟化点での
失透性も従来品よりも優れている。
【0013】本発明の第1の態様の低融点光学ガラス
は、前記成分以外に任意成分として更に、B2 3 、G
eO2 、Li2 O、K2 O、Cs2 O、MgO、Ca
O、SrO、BaO、ZnO、TiO2 、Ta2 5
As2 3 、Sb2 3 等の成分を含むことができる。
これら任意成分の含量は、重量%で表示して、B2 3
が0〜15%、GeO2 が0〜27%、Li2 Oが0〜
4%、K2 Oが0〜15%、Cs2 Oが0〜5%、Mg
Oが0〜5%、CaOが0〜5%、SrOが0〜5%、
BaOが0〜15%、ZnOが0〜7%、TiO2 が0
〜16%、Ta2 5 が0〜7%、As2 3 が0〜2
%、Sb2 3 が0〜2%の範囲である。以下にその理
由を説明する。
【0014】B2 3 及びGeO2 は、ガラスの安定性
を上げる効果が非常に大きな成分である。しかし、B2
3 は15%を越え、GeO2 は27%を越えると、目
的とする高屈折率・高分散特性が得られなくなり、また
ガラスの屈伏点も上昇する。そのためB2 3 の含量は
0〜15%の範囲に、GeO2 は0〜27%の範囲に限
定される。好ましくは、B2 3 は0〜13%の範囲で
あり、GeO2 は0〜25%の範囲である。
【0015】Li2 O、K2 O及びCs2 Oは、ガラス
の屈伏温度(Ts)を下げる効果が非常に大きな成分で
ある。しかし、Li2 Oは4%を越え、K2 Oは15%
を越え、Cs2 Oは5%を越えると、それぞれ耐失透
性、化学的耐久性が悪化する。そのためLi2 Oは0〜
4%の範囲、K2 Oは0〜15%の範囲、Cs2 Oは0
〜5%の範囲に限定される。好ましくは、Li2 Oは0
〜2%の範囲、K2 Oは0〜13%の範囲、Cs2 Oは
0〜3%の範囲である。
【0016】アルカリ土類金属酸化物であるMgO、C
aO、SrO及びBaOはガラスの液相温度を下げ、安
定性を増す効果が大きな成分である。しかし、MgOは
5%を越え、CaOは5%を越え、SrOは5%を越
え、BaOは15%を越えると、目的とする高屈折率・
高分散特性が得られず、かつ耐失透性が悪くなる。この
ためMgO、CaO及びSrOの含量は、それぞれ0〜
5%の範囲に限定され、BaOは0〜15%の範囲に限
定される。好ましくは、MgO、CaO及びSrOはそ
れぞれ0〜3%の範囲であり、BaOは0〜13%の範
囲である。
【0017】TiO2 は高屈折率・高分散特性を得る効
果が大きい成分である。しかし、16%を越えると耐失
透性が悪くなり、ガラスの屈伏点が上昇し、強く着色す
ることがある。そのため、TiO2 の含量は、0〜16
%の範囲である。
【0018】ZnO及びTa2 5 は、耐失透性を損な
わずに少量添加により屈折率の調整をすることが可能で
ある。しかし、それぞれ7%を越えると耐失透性が悪く
なる。そのため、ZnO及びTa2 5 の含量は、いず
れも0〜7%の範囲に限定され、好ましくは0〜5%の
範囲である。
【0019】As2 3 及びSb2 3 は消色剤および
清澄剤として有効である。しかし、いずれも2%を越え
て添加すると耐失透性を悪くする。そのため、As2
3 及びSb2 3 の含量は、それぞれ0〜2%の範囲に
限定される。尚、本発明の第1の態様の光学ガラスは、
本発明の目的を損なわない範囲で、上記の成分以外の成
分を含有することもできる。
【0020】次に、本発明の第2の態様の光学ガラスに
ついて、各成分およびその含量の限定理由を説明する。
2 5 は燐酸塩ガラスにおいて、ガラス形成成分とし
て欠かせない成分である。燐酸塩ガラスは珪酸塩ガラス
と比べて低い温度でガラスを溶融することができ、可視
域の透過率が高いという特徴をもつ。また同じガラス形
成酸化物成分である、SiO2 やB2 3 に比べてP2
5 は高分散側に位置する成分のためアッベ数32以下
の光学特性を得るにはP2 5 は少なくとも12%は必
要である。逆に32%を越えると失透性が強くなり、安
定なガラスが得られなくなるためP2 5 の含量は12
〜32%の範囲に限定される。好ましいP2 5 の含量
は14〜30%の範囲である。
【0021】B2 3 は燐酸塩ガラスにおいて適量添加
により耐失透性が極めて良くなり、かつ、P2 5 、S
iO2 といった他のガラス形成酸化物成分に比べてガラ
ス屈伏点(Ts)を下げる効果が大きい。そのため、本
発明には欠かせない成分である。B2 3 が0.5%未
満であると上記のごとく耐失透性が悪くなり、ガラスの
屈伏点(Ts)が上昇し、16%を越えると目的とする
高屈折率・高分散特性が得られなくなる。このためB2
3 は0.5〜16%の範囲に限定される。好ましいB
2 3 の含量は1〜14%の範囲である。
【0022】Li2 Oは、目的とするガラス屈伏点(T
s)が570℃以下の低融点特性を得るために不可欠な
成分である。Li2 Oが0.3%未満であると目的とす
る低融点特性が得られなくなり、6%を越えると耐失透
性が悪くなる。このためLi2 Oは0.3〜6%の範囲
に限定される。好ましいLi2 Oの含量は0.3〜4%
の範囲である。
【0023】Na2 Oはガラスの屈伏温度(Ts)を下
げ、液相温度を下げる成分として欠かせない成分であ
る。またガラスの粘性を下げることができるので低温で
溶解が可能となり、白金るつぼの浸食による着色を抑え
ることができる。Na2 Oが2%未満では失透性が強く
上記の効果が得られない。また22%を越えると、耐失
透性、化学的耐久性が悪くなる。従ってNa2 Oの含量
は2〜22%の範囲に限定され、好ましくは4〜20%
の範囲である。
【0024】Nb2 5 は、目的とする高屈折率・高分
散特性を得るために不可欠な成分であり、また耐久性を
上げる効果のある成分である。Nb2 5 が8%未満で
あると目的とする高屈折率・高分散特性が得られなくな
り、52%を越えると耐失透性が悪くなり、かつガラス
の屈伏点(Ts)が上昇する。このためNb2 5 は8
〜52%の範囲に限定される。好ましいNb2 5 の含
量は10〜50%の範囲である。
【0025】本発明の第2の態様の低融点光学ガラス
は、後記の実施例からも明らかなように高屈折率で高分
散特性を有し、かつ低融点特性を有している。例えば、
屈折率は1.69〜1.83の範囲にあり、アッベ数は
32〜21の範囲でガラス屈伏点(Ts)は570℃以
下の範囲である。また、液相温度(L・T)を下げるこ
とができ、かつガラス塊をプレスする際のガラス軟化点
での失透性も従来品よりも優れている。
【0026】本発明の第2の態様の低融点光学ガラス
は、前記成分以外に任意成分として更に、SiO2 、G
eO2 、K2 O、MgO、CaO、SrO、BaO、Z
nO、Al2 3 、TiO2 、Ta2 5 、WO3 、A
2 3 、Sb2 3 等の成分を含むことができる。こ
れら任意成分の含量は、重量%で表示して、SiO2
0%〜5%、GeO2 が0〜12%、K2 Oが0〜12
%、K2 Oが0〜12%、MgOが0〜5%、CaOが
0〜5%、SrOが0〜5%、BaOが0〜12%、Z
nOが0〜5%、Al2 3 が0〜5%、TiO2 が0
〜12%、Ta25 が0〜5%、WO3 が0%以上2
0%未満、As2 3 が0〜2%、Sb23 が0〜2
%である。
【0027】SiO2 及びGeO2 は、ガラスの安定性
を上げる効果が非常に大きな成分である。しかし、Si
2 が5%を越え、GeO2 が12%を越えると目的と
する高屈折率・高分散特性が得られなくなり、またガラ
スの屈伏点も上昇する。このためSiOの含量は0%〜
5%、GeO2 は0〜12%の範囲に限定される。好ま
しくは、SiO2 は0〜4.5%の範囲、GeO2 は0
〜10%の範囲である。
【0028】K2 Oはガラスの屈伏点(Ts)を下げる
効果が非常に大きな成分である。しかし、K2 Oが12
%を越えると耐失透性、化学的耐久性が悪化する。その
ためK2 Oは0〜12%の範囲に限定される。好ましい
2 Oの含量は0〜10%の範囲である。
【0029】アルカリ土類金属酸化物であるMgO、C
aO、SrO及びBaOはガラスの液相温度を下げ安定
性を増す効果が大きな成分である。しかし、MgOは5
%を越え、CaOは5%を越え、SrOは5%を越え、
BaOは12%を越えると、目的とする高屈折率・高分
散特性が得られず、かつ耐失透性が悪くなる。このため
MgO、CaO及びSrOの含量は、いずれも0〜5%
の範囲に限定され、BaOは0〜12%の範囲に限定さ
れる。好ましくは、MgO、CaO及びSrOはそれぞ
れ0〜3%の範囲であり、BaOは0〜10%の範囲で
ある。
【0030】TiO2 及びWO3 は高屈折率・高分散特
性を得る効果が大きい成分である。しかし、TiO2
12%を越え、WO3 は20%以上になると、耐失透性
が悪くなり、ガラスの屈伏点が上昇し、強く着色するよ
うになる。このためTiO2は0〜12%の範囲に限定
され、WO3 は0%以上20%未満に限定される。好ま
しくは、TiO2 は0〜10%の範囲で、WO3 は0〜
19.5%範囲である。
【0031】ZnO、Ta2 5 及びAl2 3 は、耐
失透性を損なわずに少量添加により、屈折率の調整をす
ることが可能な成分である。しかし、それぞれ5%を越
えると耐失透性が悪くなる。そのため、それぞれの含量
は0〜5%の範囲に限定され、好ましくは0〜3%の範
囲である。
【0032】As2 3 及びSb2 3 は、消色剤およ
び清澄剤として有効である。しかし、2%を越える量の
添加は耐失透性を悪くする。そのため、As2 3 及び
Sb2 3 の含量はそれぞれ0〜2%の範囲に限定され
る。尚、本発明の第2の態様の光学ガラスは、本発明の
目的を損なわない範囲で、上記の成分以外の成分を含有
することもできる。
【0033】本発明の低融点光学ガラスは、第1の態様
及び第2の態様いずれの場合も、原料として、P2 5
は正燐酸(H3 PO4 )、メタリン酸塩、五酸化二燐
等、他の成分については炭酸塩、硝酸塩、酸化物等を適
宜用いることが可能である。これらの原料を所望の割合
に秤取し、混合して調合原料とし、これを1000℃〜
1200℃に加熱した熔解炉に投入し、熔解、清澄後、
攪拌し、均一化してから鋳型に鋳込み徐冷することによ
り、本発明の低融点光学ガラスを得ることができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例によりさらに本発明について説
明する。 実施例1〜14 本発明の低融点光学ガラス(第1の態様)の調合組成
(重量%)及び光学的性能を表1及び2に示す。各ガラ
スの原料は、P2 5 の場合H3 PO4 であり、Na2
Oの場合Na2 CO3 であり、K2 Oの場合KNO3
あり、Li2 Oの場合Li2 CO3 であり、Cs2 Oの
場合Cs2 CO3 であり、MgOの場合MgCO3 であ
り、CaOの場合CaCO3 であり、SrOの場合Sr
(NO3 2 であり、BaOの場合BaCO3 であり、
2 3 の場合H3 BO3 であり、その他の成分につい
ては、表1及び2に示した酸化物をそのまま使用した。
表1及び2の実施例1〜14に示した各ガラスは、定め
られた組成に調合した後、白金坩堝を用いて1000℃
〜1200℃で熔解した。30〜40分熔解し均質化し
た後、金型に鋳込み徐冷することによりガラスを得た。
【0035】表中の屈折率(nd )、アッベ数(νd
は徐冷降温速度−30℃/hrにした場合の結果であ
る。ガラス転移点Tg、ガラス屈伏点(Ts)は熱膨張
測定機を用いて8℃/minで昇温した場合の測定結果
である。液相温度(L・T)は400℃〜1050℃の
温度勾配のついた失透試験炉に30分保持し、倍率80
倍の顕微鏡により結晶の有無を観察し、軟化点付近の失
透性も液相温度測定の際同時に目視により観察した結果
である。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】比較例1〜11 特公昭56−40094号公報に記載の実施例7と14
のガラスを比較用ガラスとして、その屈折率、アッベ
数、液相温度、ガラス屈伏点(Ts)を測定した。結果
を表3(比較例1、比較例2)に示す。この比較ガラス
はNb2 5 を多く含んでいるため、耐失透性が悪くガ
ラス屈伏点も600℃以上と精密プレス成形用ガラスと
しては実用的でないことがわかる。比較例3のガラス
は、特開昭63−265840号公報に記載の実施例4
のガラスの屈折率、アッベ数、液相温度(L・T)、ガ
ラス屈伏点(Ts)を測定した結果である(表3)。こ
のガラスもガラス屈伏点が622℃と高く、軟化点付近
で30分間保持するとガラスが失透してしまうため、実
用的でないことがわかる。比較例4のガラスは、特開平
1−308843号公報に記載の実施例29のガラスの
屈折率、アッベ数、ガラス屈伏点(Ts)を測定した結
果である(表3)。このガラスはガラス屈伏点が428
℃と非常に低いが、PbOを多量に含むため還元性雰囲
気でガラスをプレスするとPbOが還元され型に付着
し、その後精密プレスが不可能となり実用的でないこと
がわかる。
【0039】比較例5〜11(表3及び4)のガラス
は、特開平5−51233号公報に記載の実施例1、
2、3、4、5、6、8のガラスの屈折率、アッベ数、
ガラス屈伏点(Ts)を測定した結果である。これらの
ガラスはガラス熔解中にガラスが失透したり、熔解後キ
ャストしてガラスになったものでも液相温度は1000
℃以上と高く、軟化点付近で30分間保持するとガラス
が失透してしまうため、いずれも実用的でないことが分
かる。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】比較例の各ガラスと比較して、表1及び2
に示すように、実施例1〜14の本発明のガラスは、高
屈折率かつ高分散の低融点ガラスである。さらに、実施
例1〜14の本発明のガラスは、ガラス屈伏点(Ts)
が570℃以下で、ガラスの液相温度(L・T)はすべ
て950℃以下であり、軟化点付近でガラスを30分間
保持してもガラスは失透することがなかった。従って、
いずれのガラスも精密プレスによるレンズを大量に生産
することが可能な安定性を有することが分かる。
【0043】実施例21〜30 本発明の低融点光学ガラス(第2の態様)の調合組成
(重量%)及び光学的性能を表5及び6に示す。各ガラ
スの原料は、P2 5 の場合H3 PO4 であり、Na2
Oの場合Na2 CO3 であり、K2 Oの場合KNO3
あり、Li2 Oの場合Li2 CO3 であり、Al2 3
の場合Al(OH)3 であり、MgOの場合MgCO3
であり、CaOの場合CaCO3 であり、SrOの場合
Sr(NO3 2 であり、BaOの場合BaCO3 であ
り、B2 3 の場合H3 BO3 である。その他の成分に
ついては、表5及び6に示した酸化物をそのまま使用し
た。表5及び6の実施例21〜30に示した各ガラス
は、定められた組成によって調合した後、白金坩堝を用
いて1000℃〜1200℃で熔解した。30〜40分
熔解し均質化した後、金型に鋳込み徐冷することにより
ガラスを得た。
【0044】表中の屈折率(nd )、アッベ数(νd
は徐冷降温速度−30℃/hrにした場合の結果であ
る。ガラス転移点(Tg)、ガラス屈伏点(Ts)熱膨
張測定機を用いて8℃/minで昇温した場合の結果で
ある。又、液相温度(L・T)は400℃〜1050℃
の温度勾配のついた失透試験炉に30分保持し、倍率8
0倍の顕微鏡により結晶の有無を観察し、軟化点付近の
失透性も液相温度測定の際同時に目視により観察した結
果である。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】前記表3の比較例1、2の特公昭56−4
0094号公報に記載の比較ガラスはガラス形成酸化物
として、P2 5 だけを用いているため耐失透性が悪
く、ガラス屈伏点(Ts)も高い。またガラスの屈伏点
を下げるのに最も効果の高いアルカリ金属酸化物として
2 Oのみを用いているためガラス屈伏点が高く、精密
プレス成形用ガラスとしては実用的でない。さらに表3
及び4の比較例3〜11のガラスは前記のようにそれぞ
れ問題点がある。
【0048】それに対して実施例21〜30の本発明の
ガラスは、高屈折率・高分散の低融点ガラスであり、ガ
ラス屈伏点(Ts)が570℃以下で、ガラスの液相温
度(L・T)はすべて950℃以下である。実施例21
〜30のガラスは、軟化点付近でガラスを30分間保持
してもガラスは失透することがなかった。従って、いづ
れのガラスも精密プレスによるレンズを大量に生産する
ことが可能な安定性を有することが分かる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、高屈折率・高分散特性
を有するとともに、ガラス屈伏点が570℃以下で耐失
透性を有し安定であり、かつ、成形性にすぐれた低融点
光学ガラスを提供することができる。本発明の低融点光
学ガラスを用いることにより、精密プレス用の成形型の
寿命を延ばしてレンズを生産することが可能である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で表示して、P2 5 を2〜29
    %、Na2 Oを2〜25%、Nb2 5 を4%以上22
    %未満、WO3 を20〜52%含むことを特徴とする低
    融点光学ガラス。
  2. 【請求項2】 屈折率nd が1.70〜1.86の範囲
    であり、分散率νdが35〜21の範囲であり、かつガ
    ラス屈伏点(Ts)が570℃以下である請求項1に記
    載の低融点光学ガラス。
  3. 【請求項3】 重量%で表示して、P2 5 を12〜3
    2%、B2 3 を0.5〜16%、Li2 Oを0.3〜
    6%、Na2 Oを2〜22%、Nb2 5 を8〜52%
    含むことを特徴とする低融点光学ガラス。
  4. 【請求項4】 屈折率nd が1.69〜1.83の範囲
    であり、分散率νdが32〜21の範囲であり、かつガ
    ラス屈伏点Tsが570℃以下である請求項3に記載の
    低融点光学ガラス。
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