JPH0796294A - 生物膜濾過装置の気水分配装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生物膜濾過装置の運転性能を向上させ、保守
性にも優れた、散気と処理水回収を同時に実施できる構
造を備えた生物膜濾過装置用の気水分配装置を提供す
る。 【構成】 粒状媒体を敷きつめた支持層５ならびに濾過
層４を経て濾過処理された原水を回収するための集水用
ブロック６と、散気用空気流を濾過層４に向けて散気す
るための散気用ブロック７から構成される、濾過装置本
体１下部に配設される気水分配装置２。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、生活廃水、食品廃水、
化学・製薬廃水、埋立地浸出水、上水、用水、ならびに
海水等の幅広い分野の水を濾過する生物膜濾過装置に付
設する気水分配装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、円形または矩形の濾過槽内
に、砂利、砂、活性炭およびプラスチック濾材などの粒
状媒体を支持材によって支持して濾層を形成し、該濾層
を常に好気的に保ち、濾過槽上部から原水を供給して下
向流で通水し散気空気と向流で接触させて粒状媒体表面
に付着する微生物膜により原水中の汚濁物質を生物酸化
処理と、濾過作用を利用する生物膜濾過装置、例えば、
図６の概略構成図に示したような生物膜濾過装置が実用
されている。

【０００３】この生物膜濾過装置 100によると、上部に
原水供給口 102を有する濾過槽 101内の最下部に散気、
洗浄用空気の分配および処理水、逆洗水の集配水を均等
に行う気水分配装置 103が設置され、装置 103の上に数
層の砂利による支持層 104を介して微生物膜を付着させ
た濾材を充填して濾層 105を形成し、上部フリーボード
部に水抜管 107と逆洗排水トラフ 108を設け、懸濁物を
多量に含んだ洗浄排水を確実に効率よく排出するように
したものであり、懸濁物の多い原水に対しては、濾層中
間部よりやや上部に中間洗浄管 106を設けて通水中に濾
層 105上部の中間洗浄を図ろうとするものである。

【０００４】上記濾層 105を形成する濾材には、微生物
の付着性が良く、充分な強度を有し長期間の使用に安定
であり、比表面積が大きく、気液接触効率が高く、比重
が小さく、また、逆洗動力が小さくてすむなどの性能が
要求される。 これらの要件を満足させるために、一般
には、SiO₂を主成分とする粒径３〜20mm程度の多孔質粒
状濾材が使用され、濾材の粒径は処理目的に応じて使い
分けられている。

【０００５】上記分配装置 103は、通水時には散気空気
の分散および処理水の集水、逆洗時には洗浄空気および
逆洗水の分散を均等に行う役割をもつもので、従来の気
水分配装置 103としては、所謂「有孔ブロック」（特公
昭60− 13724号公報参照）を並列的に組み合わせて用い
ている。

【０００６】図７はこの従来の分配装置を構成する有孔
ブロックの断面図である。

【０００７】この有孔ブロックは、矩形断面の外殻 109
と、この外殻 109内に逆Ｖ字形断面の内殻 112を配装し
て中央通路 110と中央通路 110両側に側部通路 111を画
成し、前記側部通路 111に連通して外殻 109上面に多数
のオリフィス群 113を設け、前記中央通路 110と側部通
路 111に連通して内殻 112に洗浄用空気オリフィス群11
4、 115および通水オリフィス群 116を上下に位置を違
えて設けたもので、通水時と逆洗時に空気や水の量が変
化しても内部の空気均等圧室 117により均等性を維持す
るような配慮がなされている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
有孔ブロックは、通常の濾過装置において濾過水の集水
と洗浄用空気および逆洗水の均等分配を図るものである
が、濾過通水中の濾層に下方から常時少量の空気を散気
する生物膜濾過装置に適用した場合には、側部通路に連
通して外殻上面に設けた各オリフィスが、空気の通路と
同時に水の通路でもあるために、オリフィス下部にエア
溜まりを生じ、オリフィスを介して外殻外に出ようとす
る上向きの空気流と、外殻内に入ろうとする下向きの濾
過水流とが互いに抵抗となって通気、集水の不均等化に
よる障害を生じ易く、また目詰まりによるこのような障
害も発生し易かった。

【０００９】すなわち、外殻 109上面に設けたオリフィ
ス 113において、散気空気のみがオリフィス 113を介し
て上向きに通過することとなり、濾過水がオリフィス 1
13を通過することが阻害されるために、有孔ブロックを
介して濾過水が集水されることがない。 そのために、
濾過槽 101内の濾過水の水位が上昇し、ある一定の圧力
に達した場合にのみ、オリフィス 113、通水オリフィス
群 116などを濾過水が急激に通過して集水され、濾過槽
101内の水位が急激に低下することとなる。

【００１０】従って、このような急激な集水となるため
に、濾過水が集水配管などから噴き出すとともに、濾過
に十分な時間が取れずに不十分な濾過となり処理能力の
低下をきたすこととなっていた。 また、水位が上昇し
すぎた場合には、濾過槽 101より濾過水が溢れることも
多々あり問題があった。

【００１１】本発明は、このような現状を考慮して、濾
過水の集水と散気が同時に効率良く行え、保守性にも優
れた気水分配装置を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
に鑑み発明されたものであって、従来の気水分配装置の
構成に改良を加えて、散気と処理水回収を同時に実施で
きる構造を付与することにより、生物膜濾過装置の運転
性能を向上させ、保守性にも優れた気水分配装置を提供
することを目的とする。

【００１３】すなわち、本発明の要旨とするところは；
処理すべき原水を粒状媒体を充填して形成した濾層を含
む生物膜濾過槽に下向流で通水すると共に濾層下部より
散気を行うための生物膜濾過装置の前記濾過槽の下部に
付設された、前記濾過槽を通って処理された処理水を集
水するための集水用ブロックと前記濾過槽に空気を送給
するための散気用ブロックから構成された気水分配装置
であって、前記集水用ブロックが、外殻、および前記外
殻内において中央通路と前記中央通路両側に側部通路と
を画成する前記外殻内に配装された逆Ｖ字形断面の内殻
からなり、さらに、前記外殻上部に前記両側部通路に連
通する少なくとも一つのオリフィス、および前記内殻の
上方部分に、前記中央通路と側部通路とを連通する少な
くとも一つのオリフィスが設けられており；および前記
散気用ブロックが、外殻、および前記外殻内において中
央通路と前記中央通路両側に側部通路とを画成する前記
外殻内に配装された逆Ｖ字形断面の内殻からなり、さら
に、前記外殻上部に前記両側部通路に連通する少なくと
も一つのオリフィス、前記内殻の上方部分に、前記中央
通路と側部通路とを連通する少なくとも一つのオリフィ
ス、および前記内殻の下方部分に散気用空気を受け入れ
るための開口部が設けられていることを特徴とするもの
である。

【００１４】特に、前記ブロックが、前記集水用ブロッ
クと前記散気用ブロックが交互に並列連結されているこ
とを特徴とする気水分配装置である。

【００１５】

【作用】本発明の気水分配装置により、濾床に対する適
度の散気と、濾層を通過した処理水の回収が並行して、
濾層全体に均一に実施できる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付した図面を参照
して説明する。

【００１７】図１には、本発明の気水分配装置２を備え
た生物膜濾過装置１の概略図が示されている。 すなわ
ち、この装置１によると、原水供給口３を有する濾過槽
４内の下部に本発明の気水分配装置２が設置され、装置
２の上に数層の砂利による支持層５を介して微生物膜を
付着させた濾材を充填して濾層４を形成したものであ
る。 詳細には、本発明の気水分配装置２は、前出の図
７に示したブロックと同様の構造を有する集水用ブロッ
ク６と集水用ブロック６の底面にさらに散気用開口部を
備えた構造の散気用ブロック７が、交互に並列連結され
た構成になっている。

【００１８】このように構成される本発明の気水分配装
置２を、図１に示したような構成の生物膜濾過装置１に
用いた場合の作用について説明する。

【００１９】まず、図２に示したように、一般的に濾過
槽の最下部には、縦方向に複数の有孔ブロック11（集水
用ブロック６もしくは散気用ブロック７）が接続されて
なる一列の気水分配装置12が、横方向に複数列 12a、 1
2b、……のように並列的に接続してなる構成である。

【００２０】そして、図３及び図４に示したように、気
水分配装置21の下方には、気水分配装置21を横断する方
向に、画室22が設けられており、画室22内には、空洗用
ヒューム管23と、散気用ヒューム管24が配設されてい
る。 また、図３および図４に示したように、空洗用ヒ
ューム管23には、画室22の上方に位置する気水分配装置
21a、 21b、 21cの集水用ブロック25、26もしくは散気
用ブロック27に対応する位置にそれぞれ、空気孔 23a、
23b、 23cが形成されている。

【００２１】同様に、散気用ヒューム管24には、画室22
の上方に位置する気水分配装置 21bの散気用ブロック27
に対応する位置に、空気孔 24bが形成されている。

【００２２】一方、画室22の上方に位置する集水用ブロ
ック25、26もしくは散気用ブロック27の底部には、前記
空気孔 23a、 23b、 23c及び空気孔 24bに対応する位置
にそれぞれ、開口部 25a、 25b、および 25cが形成され
ている。

【００２３】一方、図３に示したように、気水分配装置
21の端部の集水用ブロック25、26の側壁には、開口部28
が設けられるとともに、開口部28に接続して、気水分配
装置21を横断する方向に、集水した濾過水を集水するた
めの集水用溝室29が設けられている。

【００２４】このような構成とすることにより、図３及
び図５に示したように、空洗用ヒューム管23の空気孔 2
3a、 23b、 23cより噴出された洗浄用空気は、集水用ブ
ロック25、26もしくは散気用ブロック27の底部に形成さ
れた開口部 25a、 25b、 25cを通過して、集水用ブロッ
ク25、26もしくは散気用ブロック27の中央通路 25d、25
e、 25fに導入される。 また、洗浄に用いるガスは、
空気に限らず、例えば二酸化炭素等の空気以外のガスを
用いることも可能である。 一方、散気用ブロック27に
のみ接続された散気用ヒューム管24の空気孔 24bより噴
出された散気用空気は、散気用ブロック27の底部に形成
された開口部 25bを通過して、散気用ブロック27の中央
通路 25eに導入される。

【００２５】そして、中央通路 25d、 25e、 25fに導入
された洗浄用空気もしくは散気用空気は、散気用ブロッ
ク27を例にとると、気水分配装置21の長手方向に均等に
分配されるとともに、各有孔ブロックの内殻30に設けら
れたオリフィス群 30a〜 30cを介して、側部通路31を通
過して外殻32の上部壁に設けられたオリフィス 32a〜32
c、 32d〜 32fを介して、濾過槽４へと導かれる。

【００２６】これにより、散気用ブロック27において
は、散気用ヒューム管24から送り込まれた曝気のための
空気が、内殻30に形成されたオリフィス 30a、 30b、 3
0cを介して、側部通路31に流入するとともに、外殻32の
上部壁に形成されたオリフィス32a、 32b、 32cを介し
て生物膜濾過装置１濾過槽４へと空気が導入されるので
ある。 なお、散気用ヒューム管24の流れを制御するこ
とにより、ヒューム管24から送給される空気の量が加減
でき、これにより、濾過槽４に着生させた微生物の生育
に適切な条件の維持を可能とするのである。

【００２７】一方、集水用ブロック25、26においては、
生物膜濾過装置１の濾過槽４で濾過された濾過水が、外
殻33のに形成されたオリフィス 33a、 33b、 33cを介し
て、側部通路34に流入するとともに、内殻35に形成され
たオリフィス 35a、 35b、 35cを介して中央通路 25d、
25fに流入し、集水用溝29を介して集水されるのであ
る。

【００２８】この本発明の気水分配装置の構成により、
濾床に対する適度の散気と、濾層を通過した処理水の回
収の濾層全体での均一な実施が実現されたのである。

【００２９】

【発明の効果】すなわち、本発明の気水分配装置による
と、散気が継続して行われるので、濾床に着生させた微
生物に継続して酸素供給ができ、また、オリフィスに付
着した成長微生物による目詰まりも解消できる。 そし
て、濾層を通過した処理水も適切に回収でき、さらに、
散気と集水が個別のブロックによって行われるため、生
物膜濾過装置は全体として継続稼働することができるの
で、汚水、上水、用水、海水処理の理想的な生物的処理
を実施することが可能になり、その結果、省エネ化が達
成されるなど幾多の作用効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の気水分配装置を備えた生物膜濾過装
置を示す図である。

【図２】 気水分配装置の濾過層への配置状態を説明す
る部分切欠斜視図である。

【図３】 図２のＡ−Ａ線についての部分拡大断面図で
ある。

【図４】 図２の一部の上面図である。

【図５】 有孔ブロックを通過する洗浄用空気などの通
過状態を説明する部分拡大斜視図である。

【図６】 一般的な生物膜濾過装置の概略構成を説明す
る図である。

【図７】 従来の分配装置を構成する有孔ブロックの断
面図である。

【符号の説明】

１……生物膜濾過装置 ２……気水分配装置 ３……原水供給口 ４……濾過層 ５……支持層 ６……集水用ブロック ７……散気用ブロック 11……有孔ブロック 12……気水分配装置 21……気水分配装置 22……画室 23……空洗用ヒューム管 24……散気用ヒューム管 25、26……集水用ブロック 27……散気用ブロック 28……開口部 29……溝室 30……内殻 31……側部通路 32……外壁 33……外殻 34……側部通路 35……内殻

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粒状媒体を充填して形成した濾層を含む
   生物膜濾過槽に原水を下向流で通水すると共に濾層下部
   より散気を行う生物膜濾過装置における前記濾過槽の下
   部に付設された気水分配装置であって、 前記気水分配装置が、前記濾過槽を通って処理された処
   理水を集水するための集水用ブロックと前記濾過槽に空
   気を送給するための散気用ブロックを含み、 前記集水用ブロックが、外殻、および前記外殻内におい
   て中央通路と前記中央通路両側に側部通路とを画成する
   前記外殻内に配装された逆Ｖ字形断面の内殻からなり、
   さらに、前記外殻上部に前記両側部通路に連通する少な
   くとも一つのオリフィス、および前記内殻の上方部分に
   前記中央通路と側部通路とを連通する少なくとも一つの
   オリフィスが設けられており；および前記散気用ブロッ
   クが、外殻、および前記外殻内において中央通路と前記
   中央通路両側に側部通路とを画成する前記外殻内に配装
   された逆Ｖ字形断面の内殻からなり、さらに、前記外殻
   上部に前記両側部通路に連通する少なくとも一つのオリ
   フィス、前記内殻の上方部分に前記中央通路と側部通路
   とを連通する少なくとも一つのオリフィス、および前記
   内殻の下方部分に散気用空気を受け入れるための開口部
   が設けられている、 ことを特徴とする生物膜濾過装置の気水分配装置。
2. 【請求項２】 前記気水分配装置が、前記集水用ブロッ
   クと前記散気用ブロックが交互に並列連結されている請
   求項１に記載の気水分配装置。