JPH0795900A - 単糖および/または少糖の反応および/または分解方法 - Google Patents
単糖および/または少糖の反応および/または分解方法Info
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- JPH0795900A JPH0795900A JP24332893A JP24332893A JPH0795900A JP H0795900 A JPH0795900 A JP H0795900A JP 24332893 A JP24332893 A JP 24332893A JP 24332893 A JP24332893 A JP 24332893A JP H0795900 A JPH0795900 A JP H0795900A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 利用価値の高い物質を選択的に且つ効率良く
回収することのできる方法を提供する。 【構成】 単糖および/または少糖を、超臨界状態また
は亜臨界状態の水を溶媒として用い、生成物量を制御し
つつ選択的に反応および/または分解する。
回収することのできる方法を提供する。 【構成】 単糖および/または少糖を、超臨界状態また
は亜臨界状態の水を溶媒として用い、生成物量を制御し
つつ選択的に反応および/または分解する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単糖や少糖を反応およ
び/または分解させることによって、糖類や糖類由来の
有用物質を回収することのできる方法に関し、詳細には
超臨界状態または亜臨界状態にある水が良好なイオン的
反応領域を形成することを利用し、糖類を構成単位若し
くは糖類由来の反応生成物、例えばグルコースにあって
は、異性体であるフルクトースやマンノース、および分
子内脱水生成物であるアンヒドログルコース等まで効率
良く且つ選択的に反応および/または分解することので
きる方法に関するものである。
び/または分解させることによって、糖類や糖類由来の
有用物質を回収することのできる方法に関し、詳細には
超臨界状態または亜臨界状態にある水が良好なイオン的
反応領域を形成することを利用し、糖類を構成単位若し
くは糖類由来の反応生成物、例えばグルコースにあって
は、異性体であるフルクトースやマンノース、および分
子内脱水生成物であるアンヒドログルコース等まで効率
良く且つ選択的に反応および/または分解することので
きる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業・家庭廃棄物には、多量のバイオポ
リマーや合成ポリマーが含まれているが、そのほとんど
が再利用されずに廃棄されているのが実情である。これ
らのポリマーは貴重な化学原料やエネルギー資源となり
得るものであり、これらを大量に処理して有効に利用す
ることのできる技術の開発が望まれている。
リマーや合成ポリマーが含まれているが、そのほとんど
が再利用されずに廃棄されているのが実情である。これ
らのポリマーは貴重な化学原料やエネルギー資源となり
得るものであり、これらを大量に処理して有効に利用す
ることのできる技術の開発が望まれている。
【0003】ポリマー資源のうち最も期待されているも
のの1つとしては、紙,木材,わら等の農林生産物中に
含まれている大量のセルロースやリグニンが挙げられ
る。以下、セルロースを代表的に取り挙げて説明を進め
る。セルロースからグルコースを生成する技術としては
基本的に、熱分解法、酸触媒を用いた高温加水分解
法、酵素による加水分解法等、様々な方法が知られて
いるが、いずれの方法もグルコースの大量生産方法とい
う観点では有効な方法とは言い難いのが実情である。
のの1つとしては、紙,木材,わら等の農林生産物中に
含まれている大量のセルロースやリグニンが挙げられ
る。以下、セルロースを代表的に取り挙げて説明を進め
る。セルロースからグルコースを生成する技術としては
基本的に、熱分解法、酸触媒を用いた高温加水分解
法、酵素による加水分解法等、様々な方法が知られて
いるが、いずれの方法もグルコースの大量生産方法とい
う観点では有効な方法とは言い難いのが実情である。
【0004】上記の方法では、反応制御が不可能であ
り、グルコースの生成率が低いという欠点がある。また
の方法では、添加する酸による装置腐食や生成物から
の酸除去等の問題があり、またこの様な不都合を回避す
る為に酸の濃度を抑制するとグルコースの生成率が低く
なるという欠点がある。更にの方法では、反応速度が
遅く工業的な生産技術としては利用できない。
り、グルコースの生成率が低いという欠点がある。また
の方法では、添加する酸による装置腐食や生成物から
の酸除去等の問題があり、またこの様な不都合を回避す
る為に酸の濃度を抑制するとグルコースの生成率が低く
なるという欠点がある。更にの方法では、反応速度が
遅く工業的な生産技術としては利用できない。
【0005】上記の様な背景の下で、本発明者らはセル
ロースを効果的に分解する方法について様々な角度から
検討を重ねてきた。そして、超臨界状態または亜臨界状
態の水を用いてセルロースを分解することによって、酸
を用いずとも20%以上の高収率で制御性良くグルコー
スが生成できることを見出し、その技術的意義が認めら
れたので先に出願している(特開平5−31000
号)。またこの発明で対象とするポリマーとしては、上
記セルロースに限らず、リグニン,キチン,キトサン,
絹等のバイオポリマー、ナイロン,ポリエステル,ポリ
ウレタン,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレ
ン等の合成ポリマーも例示した。この発明の完成によっ
て、従来ほとんど再利用されずに廃棄されていたバイオ
ポリマーや合成ポリマーを、例えばグルコースの様に再
利用が可能な程度までに分解することができる様になっ
た。
ロースを効果的に分解する方法について様々な角度から
検討を重ねてきた。そして、超臨界状態または亜臨界状
態の水を用いてセルロースを分解することによって、酸
を用いずとも20%以上の高収率で制御性良くグルコー
スが生成できることを見出し、その技術的意義が認めら
れたので先に出願している(特開平5−31000
号)。またこの発明で対象とするポリマーとしては、上
記セルロースに限らず、リグニン,キチン,キトサン,
絹等のバイオポリマー、ナイロン,ポリエステル,ポリ
ウレタン,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレ
ン等の合成ポリマーも例示した。この発明の完成によっ
て、従来ほとんど再利用されずに廃棄されていたバイオ
ポリマーや合成ポリマーを、例えばグルコースの様に再
利用が可能な程度までに分解することができる様になっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記技術
は、ポリマーを単に分解させることを基本的な構成とす
るものであり、利用価値の高い様々な有用物質を選択的
に回収できるものではなく、経済的な観点から更なる改
良が望まれていた。本発明はこうした状況のもとになさ
れたものであって、その目的は、上記方法を更に改良
し、利用価値の高い物質を選択的に且つ効率良く回収す
ることのできる方法を提供することにある
は、ポリマーを単に分解させることを基本的な構成とす
るものであり、利用価値の高い様々な有用物質を選択的
に回収できるものではなく、経済的な観点から更なる改
良が望まれていた。本発明はこうした状況のもとになさ
れたものであって、その目的は、上記方法を更に改良
し、利用価値の高い物質を選択的に且つ効率良く回収す
ることのできる方法を提供することにある
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明とは、単糖および/または少糖を、超臨界状態または
亜臨界状態の水を溶媒として用い、生成物量を制御しつ
つ選択的に反応および/または分解する点に要旨を有す
るものである。
明とは、単糖および/または少糖を、超臨界状態または
亜臨界状態の水を溶媒として用い、生成物量を制御しつ
つ選択的に反応および/または分解する点に要旨を有す
るものである。
【0008】
【作用】図1は本発明を実施する為に構成される装置例
を示す概略説明図であり、1はサンプラー、2は保圧
弁、3は冷却器、4は反応管、5はプレヒーター、7は
圧力計、8,10,11はポンプ、9は溶媒タンク、1
2は試料溶液用タンク、13は冷水用タンクを夫々示
し、この装置は流通式のものである。
を示す概略説明図であり、1はサンプラー、2は保圧
弁、3は冷却器、4は反応管、5はプレヒーター、7は
圧力計、8,10,11はポンプ、9は溶媒タンク、1
2は試料溶液用タンク、13は冷水用タンクを夫々示
し、この装置は流通式のものである。
【0009】図1に示した装置を用い、試料としてセル
ロースを用い、先に提案した発明の反応機構について更
に詳細な検討を加えた。まずセルローススラリー(2重
量%)を試料溶液用タンク12から高速液体クロマトグ
ラフィー(以下、HPLCと記す)用の高圧ポンプ10
によって反応管4に送液すると共に、溶媒タンク9から
流量:14cc/minで脱気した水をプレヒーター5
で加熱しつつ反応管4に送液し、所定の温度および圧力
とした後反応管4内にて反応を開始した。このとき反応
管4としては、外径:1/16インチのステンレス管
(内容積:55〜81μl)を用いた。そして、反応管
4の出口側で冷却器3で外部水冷を行ないつつ、冷水用
タンク13から冷水を流量:14cc/minで直接供
給して急速に反応を停止させた。そして生成物量をHP
LCを用いて測定すると共に、セルロースの残渣を回収
してその重量を測定した。
ロースを用い、先に提案した発明の反応機構について更
に詳細な検討を加えた。まずセルローススラリー(2重
量%)を試料溶液用タンク12から高速液体クロマトグ
ラフィー(以下、HPLCと記す)用の高圧ポンプ10
によって反応管4に送液すると共に、溶媒タンク9から
流量:14cc/minで脱気した水をプレヒーター5
で加熱しつつ反応管4に送液し、所定の温度および圧力
とした後反応管4内にて反応を開始した。このとき反応
管4としては、外径:1/16インチのステンレス管
(内容積:55〜81μl)を用いた。そして、反応管
4の出口側で冷却器3で外部水冷を行ないつつ、冷水用
タンク13から冷水を流量:14cc/minで直接供
給して急速に反応を停止させた。そして生成物量をHP
LCを用いて測定すると共に、セルロースの残渣を回収
してその重量を測定した。
【0010】一方、セルロースの熱分解反応速度につい
て、熱天秤を用いて常圧He気流中での重量変化を測定
して評価した。また超臨界水中でのセルロースの加水分
解速度を、上記によって求めた超臨界水中での分解速度
とここで得られた熱分解速度との差により評価した。
て、熱天秤を用いて常圧He気流中での重量変化を測定
して評価した。また超臨界水中でのセルロースの加水分
解速度を、上記によって求めた超臨界水中での分解速度
とここで得られた熱分解速度との差により評価した。
【0011】超臨界水中でのセルロースの加水分解速度
と、常圧He中でのセルロースの熱分解速度を比較して
図2に示す(図中kは反応速度定数である)。また超臨
界水中の加水分解反応の活性化エネルギーは45.4k
cal/molであり、常圧He中の熱分解反応の活性
化エネルギーは33.6kcal/molであった。こ
の結果から、高温ほど加水分解反応が支配的に進行する
ことがわかる。またセルロースの加水分解速度は超臨界
状態で非常に大きくなり、圧力が高いほど大きくなるこ
とがわかる。即ち、圧力が高いほど加水分解生成物であ
るグルコースが生成し易いとがわかる。
と、常圧He中でのセルロースの熱分解速度を比較して
図2に示す(図中kは反応速度定数である)。また超臨
界水中の加水分解反応の活性化エネルギーは45.4k
cal/molであり、常圧He中の熱分解反応の活性
化エネルギーは33.6kcal/molであった。こ
の結果から、高温ほど加水分解反応が支配的に進行する
ことがわかる。またセルロースの加水分解速度は超臨界
状態で非常に大きくなり、圧力が高いほど大きくなるこ
とがわかる。即ち、圧力が高いほど加水分解生成物であ
るグルコースが生成し易いとがわかる。
【0012】セルロースの分解反応が臨界点近傍で特異
な挙動を示すことがわかったが、本発明者らはその要因
について検討した。上述の如く、セルロース加水分解速
度は圧力の増大にともない大きく増大するが、この要因
を誘電率εの変化によって説明することを試みた。加水
分解速度kH を、誘電率εと極性の関係を表すカークウ
ッド(Kirkwood)の式を用いてプロットした結果を図3
に示す。このときの反応温度は380℃であり、圧力は
25〜40MPaで変化させたものである。これらから
セルロースの加水分解速度はカークウッドの式で概略、
記述できることがわかる。また超臨界水中での反応速度
の特異な挙動は超臨界水の誘電率εの変化によるもので
あることが示された。
な挙動を示すことがわかったが、本発明者らはその要因
について検討した。上述の如く、セルロース加水分解速
度は圧力の増大にともない大きく増大するが、この要因
を誘電率εの変化によって説明することを試みた。加水
分解速度kH を、誘電率εと極性の関係を表すカークウ
ッド(Kirkwood)の式を用いてプロットした結果を図3
に示す。このときの反応温度は380℃であり、圧力は
25〜40MPaで変化させたものである。これらから
セルロースの加水分解速度はカークウッドの式で概略、
記述できることがわかる。また超臨界水中での反応速度
の特異な挙動は超臨界水の誘電率εの変化によるもので
あることが示された。
【0013】本発明者らは、上記の様な反応機構を他の
物質に応用すべく、更に検討を加えた。そしてまずグル
コースについて、上記と同様にして実験を行なった。即
ち、図1に示した装置において、試料溶液用タンク12
から試料溶液(グルコース濃度:0.3〜4重量%)を
反応管4に送液する以外は、上記と同様にして反応試験
を行なった。そして反応残量および生成物量をHPLC
により測定し、グルコース分解反応速度について評価し
た。
物質に応用すべく、更に検討を加えた。そしてまずグル
コースについて、上記と同様にして実験を行なった。即
ち、図1に示した装置において、試料溶液用タンク12
から試料溶液(グルコース濃度:0.3〜4重量%)を
反応管4に送液する以外は、上記と同様にして反応試験
を行なった。そして反応残量および生成物量をHPLC
により測定し、グルコース分解反応速度について評価し
た。
【0014】その結果を図4に示す。またグルコース分
解反応の活性化エネルギーは19.8kcal/mol
であった。図4から明らかな様に、グルコース分解速度
の圧力依存性はセルロース加水分解速度の場合とは逆に
低圧ほど高くなっていることが分かる。これはグルコー
ス分解反応の主反応である異性化反応や分子内脱水反応
が高圧下では抑制されるためであると考えられた。こう
した傾向は、セロビオース,マルトース,マルトペンタ
オース等の少糖類においても認められた。そして、セル
ロースの分解条件よりも低圧側で反応条件を適切に設定
することによって、生成物量を制御しつつ選択的に反応
および/または分解できることを見出し、本発明を完成
した。
解反応の活性化エネルギーは19.8kcal/mol
であった。図4から明らかな様に、グルコース分解速度
の圧力依存性はセルロース加水分解速度の場合とは逆に
低圧ほど高くなっていることが分かる。これはグルコー
ス分解反応の主反応である異性化反応や分子内脱水反応
が高圧下では抑制されるためであると考えられた。こう
した傾向は、セロビオース,マルトース,マルトペンタ
オース等の少糖類においても認められた。そして、セル
ロースの分解条件よりも低圧側で反応条件を適切に設定
することによって、生成物量を制御しつつ選択的に反応
および/または分解できることを見出し、本発明を完成
した。
【0015】本発明を実施するに当たり、その圧力はセ
ルロースの分解のときよりも低圧にする必要があるのは
上記した通りであるが、この圧力は15〜25MPa程
度が好ましい。また反応温度は、300〜400℃程
度、反応時間は30〜200msec程度が適当であ
る。こうした反応条件範囲内で圧力、温度および時間を
適切に制御することによって、生成物量を制御しつつ選
択的に反応および/または分解できる。
ルロースの分解のときよりも低圧にする必要があるのは
上記した通りであるが、この圧力は15〜25MPa程
度が好ましい。また反応温度は、300〜400℃程
度、反応時間は30〜200msec程度が適当であ
る。こうした反応条件範囲内で圧力、温度および時間を
適切に制御することによって、生成物量を制御しつつ選
択的に反応および/または分解できる。
【0016】本発明で対象とする物質は、単糖や少糖で
あるが、その由来については限定するものではなく、市
販のものを用いても良いことは勿論であるが、例えばセ
ルロース等のポリマーを分解することによってグルコー
ス等を生成し、これに本発明を適用して更に反応および
/または分解する様にしても良く、こうした技術的応用
は従来の技術背景に即して有用である。
あるが、その由来については限定するものではなく、市
販のものを用いても良いことは勿論であるが、例えばセ
ルロース等のポリマーを分解することによってグルコー
ス等を生成し、これに本発明を適用して更に反応および
/または分解する様にしても良く、こうした技術的応用
は従来の技術背景に即して有用である。
【0017】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0018】
【実施例】グルコースの二量体であるセロビオースおよ
びマルトースを用いて実験を行なった。セロビオースは
グルコースがβ結合したものであり、マルトースはα結
合したものある。セロビオース、マルトースの分解速度
の圧力依存性を図5に示す。この結果から明らかな様
に、セルロース加水分解速度の場合とは逆に、圧力の増
加と共に分解速度は減少する傾向が見られることが分か
る。この様な傾向はマルトペンタオースの場合にも同様
であった。これは加水分解だけでなく、熱分解反応や異
性化反応の影響が表れているためと考えられたが、この
要因について検討するために速度論的な評価を行なっ
た。
びマルトースを用いて実験を行なった。セロビオースは
グルコースがβ結合したものであり、マルトースはα結
合したものある。セロビオース、マルトースの分解速度
の圧力依存性を図5に示す。この結果から明らかな様
に、セルロース加水分解速度の場合とは逆に、圧力の増
加と共に分解速度は減少する傾向が見られることが分か
る。この様な傾向はマルトペンタオースの場合にも同様
であった。これは加水分解だけでなく、熱分解反応や異
性化反応の影響が表れているためと考えられたが、この
要因について検討するために速度論的な評価を行なっ
た。
【0019】図6は、マルトース分解における反応率お
よび加水分解生成物であるグルコースの生成選択率を示
す。ここで、生成選択率は生成物中の炭素の割合として
評価した。この結果から明らかな様に、反応時間が長く
なるほど、グルコース選択率が低下していることが分か
る。これは、反応時間が長いとグルコースの分解が進
み、その生成物が生じるためであると考えられる。また
同じ反応時間で各圧力における反応率を比較すると、圧
力が低いほど短い時間で反応が進行することがわかる。
これは異性化反応が進行し易いためであると考えられ
る。以上の結果に基づき、セロビオースの分解反応経路
を図7のように仮定した。
よび加水分解生成物であるグルコースの生成選択率を示
す。ここで、生成選択率は生成物中の炭素の割合として
評価した。この結果から明らかな様に、反応時間が長く
なるほど、グルコース選択率が低下していることが分か
る。これは、反応時間が長いとグルコースの分解が進
み、その生成物が生じるためであると考えられる。また
同じ反応時間で各圧力における反応率を比較すると、圧
力が低いほど短い時間で反応が進行することがわかる。
これは異性化反応が進行し易いためであると考えられ
る。以上の結果に基づき、セロビオースの分解反応経路
を図7のように仮定した。
【0020】図7から次の様に考察できる。セロビオー
スは、まず異性化によってグルコシルマンノースに転化
する。これはグルコースとマンノースの二量体であり、
この速度kI は低圧ほど高くなる。従って、セロビオー
ス、グルコシルマンノースの加水分解によってグルコー
スおよびマンノースが生じる。ここでkG はグルコース
分解速度であり、kH は加水分解速度である。またセロ
ビオースの異性体であるグルコシルマンノースの加水分
解速度kH は、セロビオースの加水分解速度と等しいと
した。反応が一次であることおよび分解速度を加水分解
速度と異性化速度の和とすることにより下記(1)〜
(6)式ができる。この(1)〜(6)式を用いて実験
によって求めたセロビオースの分解速度k、グルコース
の分解速度kG およびセロビオース濃度CC から加水分
解速度kH を求めた。またマルトースについても同様の
評価を行なった。
スは、まず異性化によってグルコシルマンノースに転化
する。これはグルコースとマンノースの二量体であり、
この速度kI は低圧ほど高くなる。従って、セロビオー
ス、グルコシルマンノースの加水分解によってグルコー
スおよびマンノースが生じる。ここでkG はグルコース
分解速度であり、kH は加水分解速度である。またセロ
ビオースの異性体であるグルコシルマンノースの加水分
解速度kH は、セロビオースの加水分解速度と等しいと
した。反応が一次であることおよび分解速度を加水分解
速度と異性化速度の和とすることにより下記(1)〜
(6)式ができる。この(1)〜(6)式を用いて実験
によって求めたセロビオースの分解速度k、グルコース
の分解速度kG およびセロビオース濃度CC から加水分
解速度kH を求めた。またマルトースについても同様の
評価を行なった。
【0021】
【数1】
【0022】求めたセロビオース、マルトースの加水分
解速度を図8に示す。尚図8には、セルロースの加水分
解速度についても示した。この結果から明らかな様に、
圧力の増加に伴って、加水分解速度はセロビオースおよ
びマルトースともに増大していることが分かる。またマ
ルトースの加水分解速度kH1とセロビオース加水分解速
度kH2の比(kH1/kH2)は2.3であり、α結合の加
水分解がβ結合の加水分解より速いことを示していた。
この値は常温付近での酸触媒加水分解反応についての既
存の報告とほぼ同じであった。このことから、超臨界水
中での加水分解反応は機構的には常温での酸触媒加水分
解反応と同じであると考えられた。即ち、超臨界水中で
の分解速度は非常に高く且つ圧力の増大と共に高くなる
が、これは超臨界水の物性の変化によるものであると考
えられた。
解速度を図8に示す。尚図8には、セルロースの加水分
解速度についても示した。この結果から明らかな様に、
圧力の増加に伴って、加水分解速度はセロビオースおよ
びマルトースともに増大していることが分かる。またマ
ルトースの加水分解速度kH1とセロビオース加水分解速
度kH2の比(kH1/kH2)は2.3であり、α結合の加
水分解がβ結合の加水分解より速いことを示していた。
この値は常温付近での酸触媒加水分解反応についての既
存の報告とほぼ同じであった。このことから、超臨界水
中での加水分解反応は機構的には常温での酸触媒加水分
解反応と同じであると考えられた。即ち、超臨界水中で
の分解速度は非常に高く且つ圧力の増大と共に高くなる
が、これは超臨界水の物性の変化によるものであると考
えられた。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、超
臨界または亜臨界の水を溶媒として用いることによっ
て、単糖や少糖を効果的に且つ選択的に反応および/ま
たは分解することができる様になった。
臨界または亜臨界の水を溶媒として用いることによっ
て、単糖や少糖を効果的に且つ選択的に反応および/ま
たは分解することができる様になった。
【図1】本発明を実施する為に構成される装置例を示す
概略説明図である。
概略説明図である。
【図2】超臨界水でのセルロースの加水分解速度と、常
圧He中でのセルロースの熱分解速度を比較して示すグ
ラフである。
圧He中でのセルロースの熱分解速度を比較して示すグ
ラフである。
【図3】セルロースの加水分解速度と誘電率の変化との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
【図4】超臨界水中でのグルコースの分解実験の結果を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図5】セロビオースおよびマルトースの分解速度の圧
力依存性を示すグラフである。
力依存性を示すグラフである。
【図6】マルトース分解における反応率、および加水分
解物であるグルコースの生成選択率を示すグラフであ
る。
解物であるグルコースの生成選択率を示すグラフであ
る。
【図7】セロビオースの分解反応経路を示す図である。
【図8】セロビオースおよびマルトースの加水分解速度
を示すグラフである。
を示すグラフである。
1 サンプラー 2 保圧弁 3 冷却器 4 反応管 5 プレヒーター 7 圧力計 8,10,11 ポンプ 9 溶媒タンク 12 試料溶液用タンク 13 冷水用タンク
Claims (3)
- 【請求項1】 単糖および/または少糖を、超臨界状態
または亜臨界状態の水を溶媒として用い、生成物量を制
御しつつ選択的に反応および/または分解することを特
徴とする単糖および/または少糖の反応および/または
分解方法。 - 【請求項2】 単糖および/または少糖が、グルコー
ス,セロビオース,マルトースおよびマルトペンタオー
スよりなる群から選択される1種以上である請求項1に
記載の方法。 - 【請求項3】 生成物が、フルクトース,アンヒドログ
ルコース,マンノース,グルコシルマンノースおよびグ
リセルアルデヒドよりなる群から選択される1種以上で
ある請求項1または2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24332893A JPH0795900A (ja) | 1993-09-29 | 1993-09-29 | 単糖および/または少糖の反応および/または分解方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24332893A JPH0795900A (ja) | 1993-09-29 | 1993-09-29 | 単糖および/または少糖の反応および/または分解方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0795900A true JPH0795900A (ja) | 1995-04-11 |
Family
ID=17102195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24332893A Pending JPH0795900A (ja) | 1993-09-29 | 1993-09-29 | 単糖および/または少糖の反応および/または分解方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0795900A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6258940B1 (en) * | 1997-04-30 | 2001-07-10 | Ajinomoto Co., Inc. | Method for producing erythrose |
WO2005044833A1 (ja) * | 2003-11-06 | 2005-05-19 | Kanazawa, University, Technology, Licensing, Organization, Ltd. | レボグルコサンの製造方法 |
JP2007217386A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | アンヒドロ糖の製造方法 |
-
1993
- 1993-09-29 JP JP24332893A patent/JPH0795900A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6258940B1 (en) * | 1997-04-30 | 2001-07-10 | Ajinomoto Co., Inc. | Method for producing erythrose |
WO2005044833A1 (ja) * | 2003-11-06 | 2005-05-19 | Kanazawa, University, Technology, Licensing, Organization, Ltd. | レボグルコサンの製造方法 |
JPWO2005044833A1 (ja) * | 2003-11-06 | 2007-11-29 | 有限会社金沢大学ティ・エル・オー | レボグルコサンの製造方法 |
JP4756212B2 (ja) * | 2003-11-06 | 2011-08-24 | 国立大学法人金沢大学 | レボグルコサンの製造方法 |
JP2007217386A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | アンヒドロ糖の製造方法 |
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