JPH079500U - 発酵処理用台車装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 糞尿などの発酵槽に沿い走行する台車に固設
した円形軌条上の回転車を確実に回動反転せしめられる
ようにした糞尿又は汚泥を発酵処理するための台車装置
を提供する。 【構成】 台車４の囲枠基台１に固設した円形軌条５
に、少なくとも撹拌装置８を備えた回転車７を少なくと
も３個の車輪１０，１０，１０を介して載置し、少なく
とも３個の車輪１０を夫々の駆動装置１１により駆動せ
しめられる駆動車輪とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、糞尿、汚泥などのスラリー状の被発酵処理物を発酵処理するに用い られる台車装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、囲枠基台の両側に走行車輪を配設して成る台車に、該囲枠基台の中央に 円形軌条を固設し、撹拌装置を支持した車台とこれに前後左右に４個配設した車 輪とから成る回転車を、該円形軌条にこれらの車輪を介して載置し、該車台に取 り付けたこれら車輪のうちその１つ又は２つの車輪を駆動装置に連結し、該駆動 装置の駆動を介して該回転車を回動せしめるようにして成る糞尿処理用台車装置 は公知である。該台車装置は、発酵槽のピットの両側の平行するコンクリート製 の肉厚の側壁の上面に敷いた走行用レール上にその台車の左右の車輪を載置し、 該台車の往動方向に走行させる間に撹拌装置を作動させてピット内の糞尿堆積層 を撹拌し、その往動方向の一端に達したら該台車を停止させ、この状態で該回転 車の１つ又は２つの車輪に連なる駆動装置を駆動させることにより、該回転車を 回動反転させ、再び台車を走行させ、その走行中にその撹拌装置を作動させてピ ット内の糞尿堆積層を撹拌するようにし、その復動方向の他端において該台車を 停止させ、この状態で該回転車を前記の１つの駆動車輪の駆動により回動反転さ れ、このようにして上記の台車の往復動走行を繰り返し行うようにして、その往 復動走行中に撹拌機による糞尿の撹拌を行うようにし、堆積糞尿層を好気的条件 下で高温発酵、熟成、乾燥させて堆肥を作製するべく使用される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし乍ら、上記従来の回転車は、該駆動装置により１つ又は２つの車輪を駆 動させても、所定の回動反転が得られないことがしばしばであった。その原因を 検討してみると、円形軌条は、糞尿堆積層を撹拌装置の撹拌機で撹拌する場合に 空気中に放出される粉塵と水蒸気が該円形軌条面に付着し、ぬめりを生ずるので 、車輪がすべり易く、車輪が空回りすることがその原因の１つであり、また、撹 拌装置を支持した車台の囲枠は、その重量により僅かに歪みを生じて、駆動車輪 が軌条より浮き上がることも原因となることが分かった。かくして、駆動車輪が １つの場合は勿論、２つの駆動車輪を具備しても、このようなすべりや浮き上が りのため、回転車を確実に回転せしめることが出来ないことが判った。 かゝる不都合な現象はまた、該撹拌装置の撹拌機が、糞尿堆積層中に在るので 、その回転車の回転に際し、該糞尿堆積層が該撹拌機の回転に対し抵抗するため 、回転車の回転を困難にし、特に、糞尿堆積層の厚さが増大するにつれて、その 抵抗力は増大し、特に厚い糞尿堆積層では回転車の回転を不可能になることがし ばしば見られる。 また、出願人が先に開示したように、回転車の支持用囲枠に、撹拌装置と散布 装置と脱臭装置とを載置し、その荷重が極めて大きくなると、更に、上記の問題 を生じた。 従って、かゝる発酵用台車装置の上記の不都合を解消することが望まれる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案者は、種々検討の結果、上記のすべりや歪みのある悪条件下でも回転車 を確実に回転できるようした発酵用台車装置を提供するもので、囲枠基台とその 両側に配設した車輪とから成る台車の該囲枠基台の中央に円形軌条を固設し、撹 拌装置を支持した車台とこれに円形軌道上に配設した車輪とから成る回転車を、 これらの車輪を介して該円形軌条上に載置して成る発酵処理用台車装置において 、該回転車に少なくとも３個の車輪を配設すると共に、そのうちの少なくとも３ 個の車輪を夫々の駆動装置により駆動する駆動車輪に構成したことを特徴とする 。

【０００５】

【作用】

本考案の発酵用台車装置の回転車は、その回転車の車台に配設した少なくとも ３個の車輪の夫々を駆動装置により直接駆動される駆動車輪としたので、夫々の 駆動装置の駆動により該回転車に夫々の駆動車輪により積極的な駆動回転が与え られ、円形軌条面がぬめり面となっていても、また囲枠や円形軌条が荷重で歪み を生じても、必ず少なくとも１つの駆動車輪により常に積極的に該回転車を回動 させることができ、その回転車の車台に付設の撹拌機の回転時に生ずる深い糞尿 堆積層の大きい抵抗に抗して回転車を撹拌機と共に回動させることができるので 、従来のような回転車の回転の停止の発生する恐れが全くなくなり、該回転車の 所要の回動を必要時に確実に行うことができる。

【０００６】

【実施例】

本考案の発酵用台車装置の実施の１例を添付図面に基づいて説明する。 図面で１は断面コ字状、エ字状などのスチール製杆１ａを一辺とする方形の、 図示の例では正方形のスチール製囲枠基台を示す。該囲枠基台１は、その四隅に 互いに直角に交叉する辺杆１ａ，１ａ間を斜めに連結するスチール製補強杆１ｂ を具備する。 而して、該囲枠基台１は、その幅方向の左右の辺杆１ａ，１ａには、等間隔に 配置された脚２を４本配設し、その夫々の下端に走行車輪３を備え駆動装置によ り前後方向に走行し得る台車４に構成する。 該台車４の該囲枠基台１には、その囲枠中央の空間内に円形軌条５をその四辺 杆１ａ，１ａ，１ａ，１ａの中央部の内面と四隅の補強杆１ｂ，１ｂ，１ｂ，１ ｂの中央部の内面に接触させて嵌め込み、且つこれらの相互接触部で互いに溶接 して該円形軌条５を該囲枠基台１に固設する。図面では、更に、該円形軌条５と 該囲枠基台１を下面において跨がる連結具６により結着し、その固設を更に強固 にした。

【０００７】 ７は、該円形軌条５上に載置した回転車を示す。該回転車７は、少なくとも撹 拌装置８を支持する囲枠とから成る車台９と該車台９に円軌道上に少なくとも３ 個配設した車輪１０とから成り、これらの車輪１０を介して該円形軌条５上に回 転走行自在に載置される。 本考案によれば、図示の例では、５個の車輪１０，１０，…を配設し、そのう ちの４個の車輪１０，１０，１０，１０を下記詳述するように、夫々の駆動装置 で直接駆動する駆動車輪とし、残る１つは、駆動装置により直接駆動されない遊 動車輪とした。尚、図示しないが、３個の車輪を配設した場合は、その全てを夫 々の駆動装置で駆動する駆動車輪とするが、これらの車輪の配設は、円軌道上に 等間隔に配設するようにすることが好ましく一般である。

【０００８】 次に、本考案の最も好ましい実施例を詳述する。 該車台９は、例えば、図７、図８、図９に明示のように、断面コ字状のスチー ル製支持杆で構成した長矩形状囲枠部９ａとその中央部の後面に延設した囲枠部 ９ｂとから成る全体としてＴ字状の囲枠に構成した。更に図面において該長矩形 状の囲枠９ａは、その中央に縦方向の支持杆により左側の囲枠部１２と右側の囲 枠部１３とに構成され、その左側囲枠部１２には、図１に示す散布装置１４を嵌 合し、これら囲枠部１２の底面に突設した固定用耳板１５，１５，…上に載置し ボルトにより固定するようにした。その右側の囲枠部１３は、更に中間に横方向 に渡した支持杆により前後の囲枠部１３ａ，１３ｂに区画形成し、その前部囲枠 部１３ａには、図１に示す撹拌装置８を嵌合し、その底面に突設した固定用耳板 １５，１５，…上に載置しボルトにより固定するようにし、その後部囲枠部１３ ｂ上には図１に示す脱臭装置１６の脱臭フード１６ａをボルトナットにより取り 付けるようにした。 また、該車台囲枠９の該囲枠部９ｂ上には、該脱臭装置１５の脱臭筐１６ｂを 載置し、該脱臭筐１６ｂを該囲枠部９ｂに裏面からボルト結着するようにした。

【０００９】 本考案によれば、該車台を構成する囲枠９に、その長矩形状囲枠部９ａの左右 前後の４つの隅角部の外面にボルト孔を有するブラケット取り付け用スチール製 基板１７を夫々設け、これらの基板１７，１７，…に車輪１０を駆動するための 駆動装置１１を設置するための金属製のブラケット１８を鎖線示のように取り付 けるようにした。尚、該囲枠９の後側の囲枠部９ｂの後端支持杆の中央にも同様 の取り付け用基板１７を設け、これに図１示のように遊動車輪１０の支持ベアリ ング装置１９を設置するためのブラケット１８を取り付けるようにした。更に、 該囲枠部９ｂの左右の支持杆の外面には、同様に取り付け用基板１７を設け、こ れに図１に示す吸気用ファン装置１６ｃを設置するためのブラケット１８を取り 付けるようにした。

【００１０】 かくして、本考案の回転車７は、図１〜図６示のように、車台９の囲枠９ａに 、その左右前後に取り付けた該四隅にボルト１７ａにより結着したブラケット１ ８，１８，１８，１８上に夫々駆動装置１１，１１，１１，１１を設置した。該 駆動装置１１は、駆動モータ１１ａ、減速機１１ｂ、スプロケット、チェーンス プロケット１１ｃから成り、これによりその回転軸の先端に車輪１０を連結し、 かくして、回転車７の該長矩形状囲枠９ａの左右前後に配設した４つの車輪１０ ，１０，１０，１０を駆動車輪に構成した。また、該囲枠９ｂの後端にも該ブラ ケット１８をボルト結着し、これに設けたベアリング装置１９を介して遊動車輪 １０を設けた。 かくして、該台車４はこれら駆動車輪１０，１０，１０，１０及び該囲枠９の 後端の遊動車輪１０の合計５個の車輪を介して該円形軌条５に載置し、安定良好 な回転走行が行われるようにすると共に、その上面に載置した撹拌装置８、散布 装置１４及び脱臭装置１６の大きい荷重を安定良好に支持するようにした。 図面で１６ｃは、該囲枠９ｂの左右に取り付けたブラケット１８，１８上に設 置した吸気用ファン、１６ｄは各吸気用ファン１６ｃを介して該脱臭フード１６ ａと該脱臭筐１６ｂを接続する吸気管を示す。 尚、該撹拌装置８は駆動部により駆動される該囲枠９より下方に延び、発酵槽 のピット内の糞尿や汚泥のスラリー状の被発酵処理物の堆積層を撹拌する横型撹 拌機８ａと、その前方左右に配設された縦型スクリュー式撹拌機８ｂ，８ｂとか ら成る。該散布装置１４は、該スラリー状の被発酵処理物を収容、放出するため の上面を開放したタンク１４ａを主体とし、該タンク１４ａを傾倒自在に駆動す る駆動装置１４ｂと該タンク１４ａ内に装備した被発酵処理物を掻き出すための 掻き出し板を駆動するための駆動装置１４ｃとから成る。

【００１１】 図面で２０は、外部電源に接続するケーブルを巻付け、巻解し支持するコード リール、２１はメインコントロールボックス、２２は該メインコントロールボッ クス２１から導出のリード線２３を垂れ下がらないように支持する架枠２４を介 して接続するスリップリング（スイベルベース）、２５はサブコントロールボッ クスを示す。該メインコントロールボックスは、台車４の前後方向の走行、停止 を行う駆動装置、回転車７の回転走行、停止を行う４個の駆動車輪の駆動装置１ １、前記の撹拌装置８、散布装置４、吸気ファン１６ｃ等の駆動、停止を夫々行 う駆動装置の全てを、プログラムに従って、制御するべく作動する。該サブコン トロールボックスは、駆動モータ、スイッチング装置などの制御機器の過熱など の異常発生を検知、予防するべく作動する。

【００１２】 尚、上記のように構成した本考案の発酵処理用台車装置は、図示のように、長 手の発酵槽の両側壁にその荷重がかゝらないように次のように構成することが好 ましい。即ち、その該台車４の該囲枠基台１の幅寸法を、所定の幅の長手の発酵 槽のピット２６を区劃成形する左右の平行する長手の発酵槽側壁２７，２７より も外方に突出する広幅に形成すると共に、その両側の脚２，２，…をその下端の 走行車輪３，３，…がピット２６の両側壁２７，２７の外側の床面２８，２８上 に載置し、その床面２８，２８上を沿い走行する高さを有するものに構成した。 尚、この場合、図示のように、該床面２８，２８には、該両側壁２７，２７に平 行する左右一対の軌条２９，２９を敷設し、この上を該台車４が走行するように した。かくして、本考案の装置の負荷は、該両側壁２７，２７に全くかゝらない ので、従来のような発酵槽の両側壁を肉厚の堅牢なコンクリート製で構築し、そ の上面に敷設した軌条上に発酵処理用台車装置を載せ、走行せしめる発酵装置と 異なり、両側壁２７，２７を軽量なパネルなどで構築できるなど容易に且つ安価 に発酵槽を構築し得られ、また、台車装置の安定良好な運転をもたらす。

【００１３】 上記のように、本考案の発酵処理用台車装置は、上記のように発酵槽と組み合 わせて発酵装置を構成するが、その作動は次の通りである。即ち、該発酵槽の両 側壁２７，２７に沿い床面２８，２８の軌条２９，２９上を往復動走行させ、そ の走行中に、撹拌装置８の撹拌機８ａ，８ｂによるピット２６内の糞尿堆積層の 撹拌と散布装置８による糞尿の散布とを行う。この間、撹拌により立ち上る水蒸 気、臭気は、吸気用ファン１６ｃの作動により脱臭フード１６ａにより吸引され 、該脱臭筐１６ｂ内の脱臭剤充填層により除去される。その往復動走行の一端又 は他端で台車４の走行を停止させた後、該回転車７を回動反転させて方向転換さ せるが、本考案によれば、該回転車７の前後左右に配設した４個の車輪１０，１ ０，１０，１０は、その夫々に具備せしめた駆動装置１１，１１，１１，１１に より直接駆動させる駆動車輪に構成されているので、該回転車７は大きい駆動力 を与えられ、その回転に伴い、糞尿堆積層内の該撹拌機８ａ，８ｂも該糞尿堆積 層の大きい抵抗に抗して確実に回転することができる。また、前後左右の４個の 駆動式車輪１０，１０，１０，１０のうち、最悪の場合でも左右の少なくとも２ 個の駆動車輪が該円形軌条５から離れることはないので、常に確実に該回転車７ の所定の回動反転を行うことができる。

【００１４】

【考案の効果】

このように本考案の発酵処理用台車装置は、その台車に固定した円形軌条上に 載置せしめる回転車に少なくとも３個の車輪を配設すると共に、その少なくとも ３個の車輪の夫々を夫々の駆動装置１１に連結し、その少なくとも３個を駆動車 輪に構成したので、均一に且つ比較的大きい駆動力が得られ、円形軌条面がしめ った糞尿の粉塵でぬめった状態にあり、また装置に歪みがあっても、常に回転車 の回動反転を確実に行うことができ、上記従来のような回転車のような回動反転 が円滑に行われず、或いは、回動反転ができなくなる等の不都合を解消すること ができる等の効果をもたらす。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の発酵処理用台車装置を備えた発酵装置
の平面図である。

【図２】同装置の正面図である。

【図３】同装置の右側面図である。

【図４】図１示の装置の一部の拡大平面図である。

【図５】図４の一部の側面図である。

【図６】図４のＶＩ−ＶＩ線裁断線の矢示方向から見た
図である。

【図７】車台を構成する囲枠基台の平面図である。

【図８】該囲枠基台の右側面図である。

【図９】該囲枠基台の正面図である。

【符号の説明】

１ 囲枠基台 １ａ 片杆 ３
車輪 ４ 台車 ５ 円形軌条 ７
回転車 ８ 撹拌装置 ９ 車台、囲枠 １
０ 車輪 １１ 駆動装置

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 囲枠基台とその両側に配設した車輪とか
   ら成る台車の該囲枠基台の中央に円形軌条を固設し、撹
   拌装置を支持した車台とこれに円形軌道上に配設した車
   輪とから成る回転車を、これらの車輪を介して該円形軌
   条上に載置して成る発酵処理用台車装置において、該回
   転車に少なくとも３個の車輪を配設すると共に、そのう
   ちの少なくとも３個の車輪を夫々の駆動装置により駆動
   する駆動車輪に構成したことを特徴とする発酵処理用台
   車装置。
2. 【請求項２】 該車台は、少なくとも該撹拌装置と散布
   装置とを支持する囲枠から成り、該長矩形の囲枠の左右
   前後に４個の車輪を配設し、その夫々を夫々の駆動装置
   により駆動する駆動車輪に構成して成る請求項１記載の
   発酵処理用台車装置。
3. 【請求項３】 該車台は、該撹拌装置と散布装置と脱臭
   装置とを支持するＴ字状の囲枠とその長矩形の囲枠部の
   左右前後に配設した４個の駆動車輪とから成り、１側に
   散布装置を他側にその前後に脱臭用フードと撹拌装置を
   支持し、且つその前方又は後方の中央部に脱臭筐を支持
   すると共に、その脱臭筐を支持する側の囲枠部に遊動車
   輪を設け、これを該円形軌条に載置せしめて成る請求項
   １又は２記載の発酵処理用台車装置。