JPH0792562B2 - 液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents

液晶表示装置の駆動方法

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JPH0792562B2
JPH0792562B2 JP60170440A JP17044085A JPH0792562B2 JP H0792562 B2 JPH0792562 B2 JP H0792562B2 JP 60170440 A JP60170440 A JP 60170440A JP 17044085 A JP17044085 A JP 17044085A JP H0792562 B2 JPH0792562 B2 JP H0792562B2
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謙一 中川
耕次郎 坪田
邦彦 山本
裕 石井
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、キラル・スメクチックC相液晶等の強誘電性
を示す液晶を用いる強誘電性液晶表示装置の駆動方法に
関するものである。
<発明の背景> 現在、最も広く用いられている液晶表示装置の動作モー
ドは、ツイステッド・ネマチック電界効果型であるが、
応答時間が10mS(ミリ秒)以上と遅いことが短所であ
る。最近、その欠点を克服するための動作モードの一つ
として、強誘電性を示すキラル・スメクチックC相液晶
を利用した光スイッチング素子(Surface−Stabilized
Ferroelectric Liquid−Crystal Display;以下SSF−LCD
と略す。)が、N.A.ClarkとS.T.Lagerwallによって、Ap
pl.Phys.Leff.,36,899(1980)に公表された。SSF−LCD
は、薄い液晶セル内においては、印加電界の極性と液晶
の自発分極との相互作用によって、これら液晶の配向方
向のセル面内方位角が制御できることに基づくものであ
る。
この動作モードの原理を簡単に第3図及び第4図ととも
に説明する。第3図(A)は電界印加時のSSF−LCDセル
の断面を示したもので1はガラス基板、2は透明電極、
3は液晶分子、4は偏光子、5は検光子、6は外部光で
ある。セル内部の電界は図中の上から下に向っている。
この電界に対して、液晶分子3の双極子モーメントは矢
印のように配列する。第3図(B)はこの状態の分子配
向をセル面に垂直な方向から見た図であるが、液晶分子
3はその配列格子面の垂線から角度θだけ傾いている。
このセルを第3図(B)に記した角度配置でクロスニコ
ル中に配置すると光は遮断され、暗状態を表示する。
次に、印加電界の極性を反転すると第4図(A)に示し
たように液晶分子はその双極子モーメントを反転させ、
同時に第4図(B)に示したようにセル面内での方位角
を変えて−θだけ傾く。この状態では、液晶層を通過し
た光は、正常光と異常光との間に位相差が生じるため、
直線偏光は楕円偏光となり検光子5を通過する光成分が
生じ、明状態を表示する。
このようにSSF−LCDの表示状態は、液晶層の光軸とクロ
スニコルの配置の角度関係及び印加電界の極性の2つの
要素により決定される。以下の説明では明状態を表示す
る電界極性を正とする。
SSF−LCDは、メモリ効果を示す。すなわち、第5図に示
したように、正と負のパネル状の電界によって明暗状態
はスイッチングした後に電圧をOVにしても、それぞれの
明暗状態がそのまま保持される。これをメモリ効果と称
す。
SSF−LCDの応答時間では、前述の文献によれば τ∝η/Ps・E ……(1) (ここにηとPsはそれぞれ液晶材料の粘度と自発分極を
表わし、Eは電界強度を表す。)という式で表わされて
いる。印加電界と応答時間はあらゆる電界強度(E)に
わたって常に式(1)の関係に従っている訳ではない
が、低い電圧でも長時間印加すれば表示状態が変化する
可能性がある点には注意を要する。
本発明の駆動方法が適用される動作モードは、上に述べ
たように液晶分子配向のセル面内での方位角が印加電界
の極性によって制御することができ、またそれがメモリ
ー効果を有するものであれば良く、表示を行なうための
光学的現象を特定するものではない。表示セルは透過型
の構成のみならず反射型の構成でも同様に適用される。
また、強誘電性液晶に二色性色素を溶解したゲストホス
ト液晶を用いて、吸光係数が入射光の偏光角度によって
異なるという現象を利用するものであってもよい。
従来公知の大容量表示SSF−LCDのマルチプレックス駆動
波形は、原理的に第5図(A)に示したような正負が対
称となる交流波形を基本としている。前述したように本
来SSF−LCDにおいては正または負の電圧印加によってス
イッチングされ、その後はメモリー効果の利用により表
示状態が保持される。しかし、マトリクス状の電極構成
のSSF−LCDを正または負の直流パルスでマルチプレック
ス駆動しようとすると非選択絵素にも不可避的に直流バ
イアスが印加されるため、既に書き込んだ表示状態が乱
され失なわれる。そこで、第5図(A)に示したよう
に、正のパルスt32と負のパルスt35それぞれの直前に負
の補償パルスt31と正の補償パルスt34を付加することと
し、直流成分の無い交流波形で表示状態をスイッチング
すればバイアス波形も交流になる。その具体的な例を第
6図に示す。
第6図(A)は走査電極の電圧波形VX,同(B)は信号
電極の電圧波形VY,同(C)は絵素の液晶に印加される
電圧波形VX−VY,同(D)は透過光強度の変化である。
各電極へ供給する電圧のレベルはa3とした1/aバイ
アス法に従うレベルに設定されている。また、t41の期
間とt42の期間は波形の位相180゜異なっており、これに
よって、消去と書込みを選別する。このような交流の駆
動波形によって、表示内容を乱さないバイアス波形が得
られ、SSF−LCDのメモリー効果を大容量表示に利用する
ことが概ね可能となる。
しかしながら、この完全な正負対称の交流駆動波形で
は、実用に耐え得る品位の表示はできないのが現状であ
る。すなわち、駆動波形の諸パラメータ(ピーク電圧,
バイアス電圧,パルス幅)を最適化しても、なお動作マ
ージンが狭いために、1回の走査では書き込みが不充分
な部分が残る等の現象で見られた。
<発明の目的> 本発明はSSF−LCDの駆動において、液晶層に電圧を印加
する絵素電極間に発生する駆動波形が交流電圧に一定の
直流電圧VOS(VOS≠0)の重畳された波形となるような
駆動電圧を電極に供給することにより、動作マージンの
拡大,メモリー特性の改善,書込み時間の短縮等を図っ
た新規な駆動方法を提供することを目的とする。
<発明の原理と作用> 本発明はSSF−LCDが明→暗,暗→明とスイッチングする
過程が従来考えられていたような正負対称なものではな
く、LCD内部に直流バイアスが存在するという新たな事
実を実験結果として見い出したことに基いて創作された
ものである。以下この新事実とその駆動法への利用につ
いて説明する。
まず、スイッチング過程とメモリー状態を透過光強度の
変化で観察するにあたって、SSF−LCDの分子の動きに伴
なう光軸の変化の対称性が、透過光強度の変化に偏りな
く反映されるように第1図(A)に示した角度配置でSS
F−LCDセルをクロスニコル中に配置した。すなわち、ス
メクチック相の層法線が偏光子の偏光軸とω=22.5
゜の角度を為すようにセルを配置する。検光子の偏光軸
は偏光子の偏光軸と直交している。また明状態での
液晶のディレクタ▲▼と暗状態での液晶のディレク
タ▲▼はスメクチックC相での分子のチルト角θだ
けから逆向きにねじれている。このように構成すれば
明→暗,暗→明のスイッチング過程で分子の動きが層法
線について対称である限り、それに伴なう透過光量の
変化も対称となり、分子の動きの対称性を光学的測定に
反映できる。このような測定システムで種々の配向処理
を施して作製したSSF−LCD試料について、メモリー効果
の対称性を調べたところ程度の差はあれ全ての試料につ
いてメモリ効果が非対称であった。代表的な例を第1図
(B)に示す。このような現象はSSF−LCDの表示特性と
して好ましいものではなく、極端な場合には、双安定と
はならずに、片方の状態のみが安定な単安定となってし
まい、マルチプレックス駆動で表示が不可能となる。
そこで、発明者は、対称で双安定なメモリ効果が得られ
るように検討を重ねた結果、液晶に印加する交流波形に
直流オフセット電圧を重畳すれば対称な特性と安定なメ
モリー効果が得られることを見い出した。第1図(C)
にオフセット電圧VOS(VOS≠OV)を適切に設定して得ら
れたメモリー効果を示す。
このように、直流オフセット電圧を考慮してはじめて対
称性のよい特性になることは、応答時間,分極反転電
流,D−Eヒステリシスについても見られた。これらのこ
とから、SSF−LCD内部には内部バイアス電界Eibなる電
界があって、外部からEibを打消すだけのVOSを含む電圧
を印加して初めて液晶分子が対称な動きを示すと思われ
る。セラミック系強誘電体では内部バイアスの存在は既
に知られているが、強誘電性液晶についてはEibが存在
することはこれまでに報告が無い。
SSF−LCDにおける内部バイアスの原因は未だ特定できな
いが、液晶の分子配向方向に何らかの原因で偏りが生じ
ているためであることは確実である。従って、2枚のガ
ラス基板に性質の異る配向膜処理を施した場合には双極
子モーメントの配向に偏りが生じ、これによって内部バ
イアスの生ずることが予想される。しかし、実際には両
基板の双方に全く同じ配向膜を設けて作製したSSF−LCD
においても、内部バイアスEibが零でない値を示すこと
が判明した。
このような内部バイアスを持ったSSF−LCDをマルチプレ
ックス駆動するにあたって内部バイアスを考慮していな
い正負対称の交流駆動波形を用いると次のような不都合
が生ずる。第1にメモリー状態が安定に保持できない。
これは第1図(B)に示した現象である。第2に、次に
説明するように動作マージンが減少する。尚、簡単のた
めに1/aバイアス法の波形を用いて説明するが、書込み
・消去用パルスと補償用パルスの組合せで交流化した駆
動波形であれば、本質的には同じである。第2図は、E
ib>0の場合のSSF−LCDのスイッチング特性とそれを駆
動するために必要なパルスの波高値の関係を示したもの
である。第2図(A)は、縦軸にメモリー状態での透過
光強度,横軸に双極性パルスの波高値をとっている。2
本の曲線はそれぞれ明状態から暗状態および暗状態から
明状態へのスイッチングを表わしている。今、Eibが零
でないのでそれぞれの曲線の閾電圧と飽和電圧は、第2
図(A)の横軸に書き入れてあるように、各電圧の対称
な部分V1,V2と非対称な成分Eibを用いて表わせる。第2
図(B)と第2図(C)は、それぞれこのような特性の
SSF−LCDをオフセット電圧なしでマルチプレックス駆動
する際の選択電圧波形(波高値±Vs)および半選択電圧
波形(波高値±Vns)である。ここで、±Vsは明暗状態
をスイッチングできるように VsV1+Eibかつ−Vs−V1+Eib を満たしている。また、±Vnsは明暗状態を変化させな
いように VnsV2+Eibかつ−Vns−V2+Eib を満たしている。
ここで、この駆動波形のマージンVMを見積ってみる。
今、Eib≠0である場合を考えているので、印加電圧の
余裕は正の電圧領域と負の領域とで対称ではない。この
ような場合マージンとしては、正と負の領域でのマージ
ンの共通部分が真のマージンとなる。従って、Vsについ
ては第2図(C)に示したようにVs−(V1+Eib)だけ
の余裕があり、Vnsについては第2図(C)に示したよ
うに−Vns−(−V2+Eib)だけの余裕がある。マージン
VMはこれらの余裕の和と考えて、 VM={Vs−(V1+Eib)}+{−Vns−(−V2+Eib)} =(Vs−Vns)−(V1−V2)−ZEib を得る。つまり、内部バイアスEibの存在によって動作
マージンが2Eibだけ狭くなっていることがわかる。
発明者らは、以上のような知見と考察に基づき、内部バ
イアスを相殺するような大きさと極性の直流オフセット
電圧VOSを駆動波形に重畳することにより、メモリーの
保持とマージンの拡大を計った。その結果、後述する実
施例1,2に示す如く、2枚の基板の配向膜が同種であるS
SF−LCDのみならず、メモリー効果の無かった異種配向
膜のSSF−LCDも、良好にマルチプレックス駆動すること
ができた。
本発明の駆動法は、スタティック駆動においても有効で
ある。SSF−LCDを矩形波でスイッチングした場合、明か
ら暗への応答速度と暗から明への反応速度は一般に異な
っている。この相違もまた、内部バイアスに起因するも
のと考えられ、実際、後述する実施例3,4に示す如く、V
OSを適切に選ぶことにより、2つの応答速度を等しくす
ることができる。SSF−LCDを光シャッタ等に応用する場
合、遅い方の反応速度に合せてシステムを設計しなけれ
ばならないので、2つの応答速度を等しくすれば、SSF
−LCDの高速応答性を無駄なく発揮させることができ
る。
以上述べたように、本発明の原理はSSF−LCDの応答速
度,メモリー効果,スイッチング特性などに見られる非
対称な特性が、その内部バイアスに起因するものである
ことを見出し、その内部バイアスを駆動電圧の直流オフ
セットで相殺することである。従って、直流オフセット
電圧を含んだ駆動波形を用いたSSF−LCDの駆動法は本発
明に適用可能である。
<発明の効果> 以上詳述した如く、2枚の基板の配向膜の種類が同じで
あってもSSF−LCDの内部バイアスEibは一般にゼロでは
ないので、本発明のオフセット電圧が重畳された交流パ
ルス波形の駆動電圧を用いてSSF−LCDを駆動することに
より内部バイアスEibの影響を打ち消す駆動法が良好な
表示を行なう上で有効となる。さらに、2枚の基板の配
向膜として、異る極性の材料を用いて、無電界時の表示
状態を明または暗のいずれかに固定する方法が知られて
いるが、この方法は必然的に双安定なメモリー効果がな
いためにマルチプレックス駆動には適さないとされてき
た。しかし、このような片安定なSSF−LCDも、本発明に
係る駆動法によれば、メモリー効果を生かしたマルチプ
レックス駆動を行うことができる。従って本発明は、SS
F−LCDによる大容量表示装置の実用化に不可欠の技術で
ある。
<実施例1,2> マトリクス状に交叉するように、1対のパターン化され
たITO透明導電膜付きガラス基板を対向配置し、該ガラ
ス基板上に、表1に示した配向膜を形成した。ポリビニ
ルアルコール(PVA)の膜にはラビングを施した。それ
ぞれ基板間間隙が2μmとなるように貼合せた後、キラ
ルスメクチックC相を示す液晶を封入し、ホモジニアス
配向させて、マトリクス型SSF−LCDを作製した。
それぞれのセルを1/6バイアス法の交法波形で駆動試験
し、メモリ効果と表示が可能となるピーク電圧の範囲を
求めた。次にオフセット電圧VOSを調節して、スイッチ
ング特性とメモリー効果が対称となるVOSを求め、そのV
OSを重畳したマルチプレックス駆動波形を用いた時に表
示可能となるピーク電圧の範囲を求めた。表1にまとめ
たように、これらの結果から、オフセット電圧VOSを適
切に選定することによりメモリー状態の安定化,駆動電
圧の余裕の拡大ができ、さらに、従来、マルチプレック
スには適さなかった実施例2のような片メモリーのセル
にも双安定なメモリー効果を賦与できることがわかる。
<実施例3,4> 上記実施例1,2で作製したSSF−LCDに100Hz,±10Vの矩形
波を印加し、応答時間を測定した。応答時間の定義は、
印加電圧の極性を切り換えた時点から、光強度変化の50
%の光強度になるまでの時間で定義し、明から暗および
暗から明への応答時間を、それぞれ、τとτとし
た。表2に、それぞれのSSF−LCDについて、VOS=OVの
場合と、τ=τとなるようにVOSを設定した場合の
応答時間を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の基本原理と構成を説明する
説明図である。 第3図及び第4図はSSF−LCDの動作モードを説明する説
明図である。 第5図はSSF−LCDの明暗状態のスイッチング動作を説明
する説明図である。 第6図は正負対称の交流波形を用いたSSF−LCDの駆動法
を説明するパルス波形図である。 1……ガラス基板、2……透明電極、3……液晶分子、
4……偏光子、5……検光子、6……外部光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ヤープ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−187324(JP,A) 特開 昭60−15624(JP,A) 特開 昭60−33535(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下一対の基板に配置された上下一対の電
    極間に強誘電性を示す液晶を封入してホモジニアス配向
    させ、前記一対の電極間に印加する1組の交流パルス波
    形の駆動電圧により前記液晶をスイッチングさせる液晶
    表示装置の駆動方法において、前記駆動電圧は、零電位
    を基準として振幅の等しい正負のパルスからなる交流電
    圧をオフセット電圧成分だけシフトしてなる直流成分の
    重畳された交流パルス波形で構成され、前記オフセット
    電圧成分は、前記液晶の内部に存在するバイアス電界を
    略打ち消す値に設定されていることを特徴とする液晶表
    示装置の駆動方法。
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