JPH0792040B2 - エンジンの点火時期制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はエンジンの点火時期制御装置に関し、特にハイ
オクタンガソリン（以下、単にハイオクと言う）仕様エ
ンジンの車両において、低オクタンガソリン（以下、単
にレギュラーと言う）で走行した場合のエンジンの点火
時期制御装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年の自動車エンジンは、レギュラー使用を前提とした
点火時期を設定したものと、熱効率や出力を良くするた
めにハイオク使用を前提とした点火時期を設定した車両
とがある。

従って、設定と異なった燃料を使用する場合には、TDC
（上死点）に対する点火進角の変更が必要になる。即
ち、レギュラー設定車にハイオクを使用する場合はその
設定進角から更に進ませることが必要になり、また、ハ
イオク設定車にレギュラーを使用する場合には設定進角
を遅らせる処置が必要になる。

従来の点火時期の制御は、エンジンの外壁に取り付けた
ノックセンサの信号に基づき、その時の点火進角に遅れ
量を適宜加えることによって行っていた。

しかしながら、この場合、ハイオクとレギュラーの判定
をしていないので、ハイオク仕様車にレギュラーを使用
した場合にはノッキングが発生するので、ノックセンサ
によって検出補正ができるが、レギュラー車にハイオク
を入れた場合には、ノッキングが発生しないので検出す
ることができず、そのため、オーバーヒートを起こす虞
がある。

そこで、特開昭64−60775号公報では、ハイオク用遅角
制限値（ノッキング発生に伴って点火時期を徐々に遅れ
させて行った時の制限値）と、レギュラーの進角制限値
（ノッキングが発生しないために点火時期を徐々に進め
させて行った時の制限値）とを定め、ハイオク用遅角制
限値近傍で所定時間ノッキングが検出されればレギュラ
ーと判定すると共に、レギュラー用進角制限値近傍で所
定時間ノッキングが発生しないときにはハイオクと判定
して、それぞれの点火時期を設定する方法を提案してい
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、レギュラー及びハイオクのノッキングを
開始する進角度（ノッキングゾーン）は、エンジンの回
転数と負荷のそれぞれの点で差がある。

また、レギュラーとハイオクとのノッキングゾーンの差
は高負荷ほど大きくなり、負荷の小さい所では差が小さ
くなり、最終的には一致してしまう。

このため、特開昭64−60775号公報の方法では回転数の
みをパラメータにしているので、ノッキングゾーンの差
が大きい高負荷側ではハイオク設定のエンジンにおいて
レギュラーを使用した場合には、その差を正確に補正で
きず誤判定を生ずるという問題点があった。

従って、本発明は、ハイオク設定されているエンジンに
レギュラーを使用した場合に、エンジンの回転数と負荷
を考慮してレギュラー判定し最適な点火時期に制御でき
る装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の問題点を解決する手段として、本発明に係るエン
ジンの点火時期制御装置おいては、エンジンの吸気圧の
検出手段と、エンジンの回転数検出手段と、ノック検出
手段と、点火時期調整手段と、該ノック検出に基づく点
火時期の遅れ量からレギュラーガソリン使用と判定した
とき現在の吸気圧が閾値以上であればハイオクガソリン
とレギュラーガソリンの点火時期の差に相当する遅れ補
正量を吸気圧と回転数で表したテーブルから求めて現在
の点火時期を該点火時期調整手段により補正させる制御
手段と、を備え該補正を行っているか否かによって、該
閾値を異ならせヒステリシスを持たせている。

〔作用〕

本発明のエンジンの点火時期制御装置では、制御手段
は、ノック検出手段によるノック検出に基づいて算出さ
れる点火時期の遅れ量から使用ガソリンがレギュラーガ
ソリンであるか否かを判定する。

この結果、レギュラーガソリンと判定したときには吸気
圧検出手段によって検出された現在の吸気圧が閾値以上
であればレギュラーガソリンとハイオクガソリンとの点
火時期の差に対応した点火時期の遅れ補正量を、吸気圧
とエンジン回転数で表した補正テーブルを参照すること
によりエンジンの回転数検出手段により検出された現在
のエンジン回転数と現在の吸気圧に応じて求め、点火時
期調整手段を制御して点火時期を遅れ補正している。

そして、上記の閾値は補正の有無によって異ならせヒス
テリシスを持たせるようにしているので、過度に頻繁な
制御を排除することができる。

〔実 施 例〕

第１図は、本発明に係るエンジンの点火時期制御装置の
一実施例の構成を示したもので、１はエンジン、２はエ
ンジンの点火栓、３はエンジンの吸気管、４はエンジン
の排気管、５はエンジンのノッキングを検出するノック
センサ、６は吸入空気圧よりエンジンの負荷を検出する
吸気圧（MAP）センサ、７はエンジン回転数センサ、８
は点火時期を定めて高圧電気を発生させる点火時期調整
手段としてのイグナイタ、９は高圧電気を点火栓に供給
するイグニッションコイル、10は高圧電気を分配するデ
ィストリビュータ、11はセンサ５〜７からの入力により
イグナイタ８に制御信号を出す制御手段としてのコント
ローラである。

第２図は、第１図に示したコントローラ11に格納され且
つ実行されるプログラムのフローチャートであり、以
下、このフローチャートを参照しながら第１図の実施例
の動作を説明をする。

先ず、現在使用されているガソリンがレギュラーである
か否かの判定が既に行われているか否かをフラグＡ（こ
れは後述するステップS7でセットされるようになってい
る）でチェックする（第２図ステップS1）。

ステップS1でフラグＡ＝“0"でありレギュラーの判定が
未だ行われていなければ、レギュラー点火時期の補正量
を“0"とし（同ステップS2）、ノックセンサ５によって
検出されたノックにより制御される現在の点火時期進角
の遅れ量が、レギュラー判定用の遅れ閾値より大きいか
小さいかを判定する（同ステップS3）。

ここで、現在の点火時期進角の遅れ量とは、第３図
（ｂ）に示すように、エンジンの回転数と吸気圧とによ
って決まる点火時期進角からノック制御により遅らせて
点火させることによりノッキングを無くそうとする進角
を示している。

この判定の結果、遅れ量が閾値を越えているときには、
使用ガソリンはレギュラーであると判定できるが、ここ
では即座にその判定結果を出さずに一定の時間監視を行
う。

即ち、第３図（ａ）に示すように、レギュラー判定用遅
れ閾値を示すｇ線より大きい場合は、タイマを“1"だけ
増加し（同ステップS4）、このｇ線より小さい場合はハ
イオク判定方向にあるため、タイマを１だけ減らす（同
ステップS5）。

そして、ステップS6では、積算したタイマがその判定の
ための閾値を示す線ｈを越えたか否かをチェックし（同
ステップS6）、越えているときは使用ガソリンがレギュ
ラーであるとしてフラグＡを“1"にセットする（同ステ
ップS7）が、越えていないときにはレギュラー判定せず
に、即ち、ハイオクであると判定してこのルーチンを出
る。

レギュラー判定が行われてフラグＡが“1"になると、ス
テップS1から今度はステップS8に進んでレギュラー点火
時期の補正が行われているか否かをチェックする。

最初はステップS2において補正量＝“0"に設定している
ので、ステップS9に進むが、前回補正が行われて補正量
≠“0"のときにはステップS10に進む。

ステップS9,S10は、第４図に示す吸気圧と回転数で表さ
れる２次元マップにおいて、レギュラーがノッキングを
行こさない、従って、点火時期の補正を必要としない吸
気圧閾値を設定するものであり、ステップS9では前回補
正が行われていなかった場合には、吸気圧閾値は高い方
Ｈが設定され、ステップS10では前回補正が行われてい
た場合には吸気圧閾値は低い方Ｌが設定されて、ヒステ
リシスを持たせ、過度に頻繁な制御を排除している。

そして、ステップS11では、センサ６で検出された吸気
圧MAPが吸気圧閾値より小さければ上述の如くハイオク
とレギュラーとのノッキングゾーンの差が小さいため使
用ガソリンがレギュラーであっても点火時期の補正は行
わず（同ステップS12）、吸気圧MAPが閾値以上の場合の
み補正を行う（同ステップS13）。

この場合の補正について第５図を用いて説明すると、第
５図にはエンジンの吸気圧（吸気負圧）と回転数と点火
時期とによって構成される３次元のタイミングテーブル
が示されており、同図（ａ）は通常の点火時期を求める
ためのテーブルであり、同図（ｂ）は補正用のテーブル
である。この補正用のテーブルとは、ハイオクの場合の
同様のテーブルからレギュラーの場合の同様のテーブル
を差し引くことによって得たものである。

従って、ステップS13では、現在のエンジン回転数rpmと
吸気圧MAPとに基づいて補正点火進角を同図（ｂ）のテ
ーブルから検索し、これを同図（ａ）のテーブルから差
し引くことによりノック制御における点火時期がより遅
らされることとなる。

そして、この補正動作は、吸気圧が閾値以上である限り
は継続される。

従って、ステップS1においてレギュラー判定のフラグＡ
が“1"である時は、警告ランプを点灯して、ドライバに
誤ってレギュラーが入れられたことを告げるようにする
ことが好ましい。

尚、ステップS7のフラグＡは、一度判定するとコントロ
ーラの電源を切らない限り記憶し続ける。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係るエンジンの点火時期
制御装置によれば、ノック検出に基づく点火時期の遅れ
量からレギュラーガソリン使用と判定したとき現在の吸
気圧が補正の有無によって異なる閾値以上であればハイ
オクとレギュラーの点火時期の差に相当する点火時期補
正量を吸気圧と回転数で表したテーブルから求めて現在
の点火時期を遅れ補正させるように構成したので、ハイ
オク仕様エンジンにレギュラーを使用してもエンジンの
状態に正確に対応して点火時期の制御を行うことがで
き、オーバーヒートを起こさずに運転を継続することが
出来るとともに過度に頻繁な制御を排除している。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るエンジンの点火時期制御装置の
一実施例を示すシステム構成図、 第２図は、本発明において第１図に示したコントローラ
で実行されるプログラムのフローチャート図、 第３図は、本発明におけるレギュラー判定を説明するた
めのグラフ図、 第４図は、本発明に用いる吸気圧の閾値を説明するため
の図、 第５図は、エンジンの吸気圧・回転数・点火時期で構成
されるタイミングテーブルを示す図、である。 第１図において、１はエンジン、３は吸気管、５はノッ
クセンサ、６は吸気圧センサ、７はエンジン回転数セン
サ、８はイグナイタ、10はコントローラ、をそれぞれ示
す。 図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンの吸気圧の検出手段と、エンジン
   の回転数検出手段と、ノック検出手段と、点火時期調整
   手段と、該ノック検出に基づく点火時期の遅れ量からレ
   ギュラーガソリン使用と判定したとき現在の吸気圧が閾
   値以上であればハイオクガソリンとレギュラーガソリン
   の点火時期の差に相当する遅れ補正量を吸気圧と回転数
   で表したテーブルから求めて現在の点火時期を該点火時
   期調整手段により補正させる制御手段と、を備え該補正
   を行っているか否かによって該閾値を異ならせヒステリ
   シスを持たせたことを特徴とするエンジンの点火時期制
   御装置。