JPH0791300A - ディーゼルエンジンの噴射時期制御装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの噴射時期制御装置

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JPH0791300A
JPH0791300A JP23521693A JP23521693A JPH0791300A JP H0791300 A JPH0791300 A JP H0791300A JP 23521693 A JP23521693 A JP 23521693A JP 23521693 A JP23521693 A JP 23521693A JP H0791300 A JPH0791300 A JP H0791300A
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JP
Japan
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fuel
injection timing
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rotation fluctuation
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Application number
JP23521693A
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English (en)
Inventor
Takashi Fukuda
隆 福田
Hiromichi Miwa
博通 三輪
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition

Landscapes

  • High-Pressure Fuel Injection Pump Control (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 失火限界に対応するしきい値を学習値で構成
することにより、噴射ポンプに部品バラツキがあって
も、失火が生じないようにする。 【構成】 計算手段57はタイマーピストン位置対応デ
ューティー値Drealと基準燃料用デューティー値D
timとの比または差を計算する。判定手段63の判定
結果より低粘度燃料の使用時に回転変動量が第1の回転
変動量以上のときは噴射時期を徐々に進角させることで
探索を開始し回転変動量が第1の回転変動量未満になっ
た直前の前記比または差の計算値を失火限界値として、
また低粘度燃料の使用時に回転変動量が第1の回転変動
量未満のときは噴射時期を徐々に遅角させることで探索
を開始し回転変動量が第1の回転変動量以上になった直
前の比または差の計算値を失火限界値として探索手段6
4が取り出し、この探索された失火限界値にもとづいて
書換手段65がメモリ58のしきい値学習値FTHを書
き換える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はディーゼルエンジンの
噴射時期制御装置、特に失火防止に関する。
【0002】
【従来の技術】電子制御の分配型燃料噴射ポンプでは、
コントロールスリーブ位置で燃料の噴射量を決定し、ま
た噴射時期はタイマーピストンの端面高圧室から低圧室
への漏れ量を調整するタイミングコントロールバルブを
デューティー制御することで調整している。
【0003】ここで、コントロールスリーブ駆動用アク
チュエーターに与える駆動量とタイミングコントロール
バルブに与えるデューティー値とがいずれも基準燃料に
対してマッチングされている場合に、軽質燃料(基準燃
料より低粘度)の使用で燃料粘度が低くなると、ポンプ
内部のフィードポンプのポンプ効率が低下し、またプラ
ンジャー圧送行程でのリーク量が多くなるため、コント
ロールスリーブ位置が同じでも、燃料噴射量が減少して
出力が低下する。
【0004】なお、燃料は年間を通してあるいはいずれ
の地域でも常に一定の性状のものがガソリンスタンドか
ら供給されるのではなく、寒冷地になると、特3号軽油
といった軽質燃料が供給される。特3号軽油は、寒冷地
における軽油のワックス化を防止し、寒冷地での使用環
境にあわせた粘度特性が得られるようにしたもので、冬
期の寒冷地での使用では正常な運転性を示す。ところ
が、春先や秋口には比較的気温の高い状態のときがあ
り、このときにも特3号軽油が使用されると、上記問題
点が発生するのである。
【0005】このため、特開昭59−185832号公
報では、タイミングコントロールバルブに与えるデュー
ティー値が同じでも、燃料粘度の低下による高圧室の圧
力低下でタイマーピストン位置が遅角側に移動すること
に着目し、まずタイマーピストン位置が基準燃料のとき
と同じになるように、タイミングコントロールバルブに
与えるデューティー値をフィードバック補正する。たと
えば、タイマーピストン位置センサで検出したタイマー
ピストン位置Tadと、基準燃料に対してマッチングし
てある基本タイマーピストン位置Tbaseとを比較す
ると、Tbase>Tadとなる(噴射時期が遅れてい
る)ので、デューティー値を減少補正することで、軽質
燃料の使用時にも、タイマーピストン位置を同じにする
わけである。
【0006】次に、定常時において、先のフィードバッ
ク補正によって得たデューティー値DTRと、この定常
時と同一の条件で基準燃料に対してマッチングしてある
基本デューティー値DTTの差ΔD(=DTR−DT
T)を計算すると、この差ΔD(<0)が軽質燃料の使
用に伴う燃料粘度の変化分を表すので、この差ΔDに応
じて増量補正量ΔQ(>0)を求め、この補正量ΔQ
を、基準燃料に対応してマッチングしてある最大噴射量
Qfullに加算することによって最大噴射量を増量側
に修正する。
【0007】このようにして修正された最大噴射量は軽
質燃料に適した値になり、後はこの修正された最大噴射
量に対応するコントロールスリーブ位置を限界位置とし
て、コントロールスリーブ駆動用アクチュエータに与え
る駆動量を決定する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の装置
のように、軽質燃料の使用時にもタイマーピストン位置
が基準燃料の使用時と同じになるようタイミングコント
ロールバルブに与えるデューティー値を小さくなる側に
フィードバック補正しても、このときの噴射時期が軽質
燃料に適切な値であるとはいえない。軽質燃料に適切な
噴射時期は基準燃料に対するよりも進角側にくるはず
で、基準燃料と同じにしたのでは、失火する可能性がな
お高いのである。
【0009】一方、燃料粘度の低下で遅角側に移動した
タイマーピストン位置に対応するデューティ値Drea
lは同じ運転条件でタイミングコントロールバルブに与
える基準燃料用デューティー値Dtimよりも大きくな
るので、両者の比Fd(=Dtim/Dreal)が所
定のしきい値より小さくなると、軽質燃料の使用時であ
ると判断し、基準燃料用に定めてある基本噴射時期を進
角補正することで、補正後の噴射時期が軽質燃料に適し
た値となる。タイミングコントロールバルブに与えるデ
ューティ値や基本噴射時期の特性が基準燃料に対してマ
ッチングされている場合に、軽質燃料が使用されても、
失火を確実に防止することができるのである。
【0010】しかしながら、この場合にしきい値が一定
だと、噴射ポンプの部品バラツキ(フィードポンプやタ
イミングコントロールバルブの特性バラツキなど)によ
って、軽質燃料の使用時であるかどうかの判断に誤りが
生じる。実際には軽質燃料が使われているのに、軽質燃
料の使用時でない(基準燃料のままである)と誤判断さ
れたのでは、実質的に噴射時期が大きく遅角されること
になり失火を生じてしまうことがあるのである。
【0011】そこでこの発明は、失火限界に対応するし
きい値を学習値で構成することにより、噴射ポンプに部
品バラツキがあっても、失火が生じないようにすること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図1に示
したように、タイマーピストンの一端の高圧室からバイ
パスして低圧側に漏らされる燃料流量がタイミングコン
トロールバルブ52に与える駆動量に応じて調整される
分配型の噴射ポンプと、基準燃料に対してマッチングし
た基本噴射時期ITtをエンジン回転数に応じて算出す
る手段53と、この基本噴射時期ITtにもとづいて前
記タイミングコントロールバルブ52に与える基準燃料
用デューティー値Dtimを算出する手段54と、前記
タイマーピストン位置を検出するセンサ55と、このタ
イマーピストン位置の検出値からタイマーピストン位置
対応デューティ値Drealを算出する手段56と、こ
のタイマーピストン位置対応デューティー値Dreal
と前記基準燃料用デューティー値Dtimとの比または
差を計算する手段57と、しきい値の学習値FTHを記
憶するメモリ58と、このメモリ58に記憶されたしき
い値学習値FTHと前記比または差の計算値とを比較す
ることにより前記基準燃料が使用されているのかそれと
も前記基準燃料より低粘度の燃料が使用されているのか
を判定する手段59と、この判定結果より低粘度燃料の
使用時には前記基本噴射時期ITtを進角補正して噴射
時期ITを算出し、また基準燃料の使用時には前記基本
噴射時期ITtをそのまま噴射時期ITとして算出する
手段60と、この算出された噴射時期ITを前記タイミ
ングコントロールバルブ52に与える駆動量に変換する
手段61と、前記低粘度燃料の使用時に回転変動量ΔN
を算出する手段62と、この回転変動量ΔNが第1の回
転変動量(たとえばΔNL)以上かどうかを判定する手
段63と、この判定結果より回転変動量ΔNが第1の回
転変動量ΔNL以上のときは噴射時期を徐々に進角させ
ることで探索を開始し回転変動量ΔNが第1の回転変動
量ΔNL未満になった直前の前記比または差の計算値を
失火限界値として、また回転変動量ΔNが第1の回転変
動量ΔNL未満のときは噴射時期を徐々に遅角させるこ
とで探索を開始し回転変動量ΔNが第1の回転変動量Δ
NL以上になった直前の比または差の計算値を失火限界
値として取り出す手段64と、この探索された失火限界
値にもとづいて前記メモリ58に記憶されたしきい値学
習値FTHを書き換える手段65とを設けた。
【0013】第2の発明は、第1の発明において、前記
しきい値学習値の書き換えは未学習の場合に一度だけ行
う。
【0014】第3の発明は、第2の発明において、図1
6に示したように、前記低粘度燃料の使用時の回転変動
量ΔNが前記第1の回転変動量より大きな第2の回転変
動量(たとえばΔNH)以上かどうかを判定する手段8
1と、この判定結果より回転変動量ΔNが第2の回転変
動量ΔNH以上のときは噴射時期を徐々に進角させるこ
とで探索を開始し回転変動量ΔNが前記第1の回転変動
量ΔNL未満になった直前の前記比または差の計算値を
失火限界値として取り出す手段82と、この探索された
失火限界値にもとづいて前記メモリ58に記憶されたし
きい値学習値FTHを書き換える手段83とを設けた。
【0015】
【作用】基本噴射時期ITtを基準燃料に対してマッチ
ングしている場合に、基準燃料より低粘度の燃料が使用
されたときは、ポンプ内部のフィードポンプのポンプ効
率の低下やプランジャーの圧送行程でのリーク量の増加
で、タイマーピストンが遅角側に移動し、このときのタ
イマーピストン位置対応デューティ値Drealが同じ
運転条件での基準燃料用デューティー値Dtimより大
きくなり、両デューティ値のたとえば比Fd(=Dti
m/Dreal)が小さくなるので、その比Fdが所定
のしきい値より小さくなると、低粘度燃料の使用時であ
ると判断できる。
【0016】この場合に、しきい値が一定だと、噴射ポ
ンプの部品バラツキによって、低粘度燃料の使用時であ
るかどうかの判断に誤りが生じ、実際には低粘度燃料が
使われているのに、基準燃料の使用時であると誤判断さ
れたのでは、実質的に噴射時期が大きく遅角されること
になり失火を生じてしまう。
【0017】これに対して、第1の発明で、低粘度燃料
の使用時に回転変動量ΔNが第1の回転変動量ΔNL以
上かどうかが判断され、回転変動量ΔNが第1の回転変
動量以上のときは噴射時期を徐々に進角させることで探
索を開始し回転変動量ΔNが第1の回転変動量ΔNL未
満になった直前の前記比Fdの値が、また回転変動量Δ
Nが第1の回転変動量ΔNL未満のときは噴射時期を徐
々に遅角させることで探索を開始し回転変動量ΔNが第
1の回転変動量ΔNL以上になった直前の前記比Fdの
値が失火限界値として取り出され、この探索された失火
限界値にもとづいてメモリ58に記憶された学習値が書
き換えられると、噴射ポンプに部品バラツキがあって
も、失火が確実に防止され、書き換え後であれば、軽質
燃料と重質燃料を交互に使用する場合にも失火が発生す
ることがない。
【0018】第2の発明で、しきい値学習値の書き換え
が未学習の場合に一度だけ行われると、その後の書き換
えは原則的に不要となる。
【0019】第3の発明では、第2の発明において、し
きい値学習値の書き換え後であっても、噴射ポンプに経
時劣化を生じて低粘度燃料の使用時の回転変動量ΔNが
第1の回転変動量ΔNLより大きな第2の回転変動量Δ
NH以上になったときは、しきい値学習値が再度書き換
えられることから、第2の発明の作用に加えて、噴射ポ
ンプに初回学習後の経時劣化が生じたときにも失火を生
じることがない。
【0020】
【実施例】図2は分配型の燃料噴射ポンプで公知であ
る。
【0021】まず、燃料は、ポンプ本体の図示しない入
口からドライブシャフト(エンジン出力軸に連結されて
いる)2により駆動されるフィードポンプ3によって吸
引され、ポンプ室5に導かれた燃料は、作動部分の潤滑
を行うと同時に吸入ポート6を通って高圧プランジャポ
ンプ7に送られる。
【0022】ポンプ7のプランジャ8は、ドライブシャ
フト2に連結したカムディスク9に固定されており、継
手2Aを介してドライブシャフト2によりエンジン回転
に同期して駆動される。カムディスク9は、エンジンの
シリンダ数と同数のフィイスカム10をもち、回転しな
がらローラーリング11に配設されたローラー12をこ
のフェイスカム10が乗り越えるたびに、所定のカムリ
フトだけ往復運動する。
【0023】このようにしてプランジャ8が回転しなが
ら往復運動をすると、この往復運動によって吸入ポート
6から吸引された燃料が分配ポート13よりデリバリー
バルブ14を通って図示しない噴射ノズルへと圧送され
る。
【0024】一方、燃料の噴射量は、プランジャ8に形
成したカットオフポート15を被覆するコントロールス
リーブ16の位置により決められる。たとえば、カット
オフポート15の開口部がプランジャ8の右側への移動
により、コントロールスリーブ16の右端部を越える
と、それまで高圧室7A内から分配ポート13へと圧送
されていた燃料が、カットオフポート15を通って低圧
のポンプ室5へと解放されるので、分配ポート13への
圧送を終了する。
【0025】このため、コントロールスリーブ16をプ
ランジャ8に対して右方向に相対的に変位させると、燃
料噴射終了時期が遅くなって燃料噴射量が増加し、逆に
左方向に変位させたときは燃料噴射終了時期が早まって
燃料噴射量が減少するのである。
【0026】コントロールスリーブ16はロータリーソ
レノイド(比例ソレノイドの一種)21のローター22
先端に偏心して設けたボール23に支持され、図3に示
したローター(回転シャフト)22の回転角に応じてコ
ントロールスリーブ位置が変位する。図4にも示したよ
うに、ローター22の回転運動がコントロールスリーブ
16の左右方向への直線運動に変換されるわけである。
【0027】図4において、ローター22の時計方向へ
の回転角が大きくなるほど、コントロールスリーブ16
の右方向への移動量が大きくなる(燃料噴射量が多くな
る)ので、ロータリーソレノイド21に与えるデューテ
ィー値(一定時間当たりのON時間割合)に比例してロ
ーター22の時計方向への回転角が大きくなるようにし
ている。
【0028】燃料の噴射時期は、ローラーリング11に
よりフェイスカム10とローラー12との相対位置を変
化させることによって調整される。
【0029】ローラーリング11は、タイマースライド
ピン25を介してローラーリング11の回転接線方向に
回動自在なタイマーピストン26と連結される。図5に
も示したようにシリンダ27の中で摺動するタイマーピ
ストン26の一端面の高圧室28に通路29を介してポ
ンプ室5の燃料圧力が導かれ、また反対側の低圧室30
はフィードポンプ3の吸い込み側に連通して負圧に近い
状態になるが、スプリング31の弾性力でタイマピスト
ン26を押し戻している。
【0030】ポンプ室5の燃料圧力がエンジン回転の上
昇で高くなると、タイマーピストン30が図5で右方へ
と押され、これによりカムディスク8の回転と逆方向へ
ローラーリング11を回動し、噴射時期を相対的に早め
るように作用する。カムディスク9のフェイスカム10
がローラー12に乗り上げたときに燃料が噴射されるの
で、カムディスク9の回転方向と逆方向にローラーリン
グ11を回動させると、フェイスカム10のローラー1
2に乗り上げる時期がそれだけ早くなり、クランク角に
対する燃料の噴射時期を早めることができるわけであ
る。
【0031】しかしながら、ポンプ室5の燃料圧力は、
エンジン回転数に比例して直線的に増加するので、噴射
時期も基本的にエンジン回転数に比例して直線的に進角
させることができるだけである。このため、バイパス通
路32に設けたタイミングコントロールバルブ33を開
けることによって高圧室28の燃料を低圧側に漏らす
と、同じ回転数でも噴射時期を遅らせることができる。
低圧側への漏らし流量をタイミングコントロールバルブ
33に与えるデューティー値により調整する(漏らし流
量はデューティに比例して増える)のである。
【0032】上記のロータリーソレノイド21とタイミ
ングコントロールバルブ33をともに制御するのは、マ
イクロコンピュータからなるコントロールユニットであ
る。
【0033】まず、燃料噴射量に関しては、エンジン回
転数Neとアクセル開度から定まる図7に示した噴射量
Qtを基本値としてロータリーソレノイド21を制御す
る。エンジン回転数Neとアクセル開度から図7を内容
とするマップを参照して基本噴射量Qtを求め、この値
を図8に示した特性を用いてロータリーソレノイドに与
えるデューティ値Drotに変換するわけである。
【0034】次に、噴射時期に関しては、エンジン回転
数Neから定まる図10に示した噴射時期ITtを基本
値とし、この噴射時期ITtとエンジン回転数Neから
定まる図11に示したデューティ値Dtimをタイミン
グコントロールバルブ33に与える。
【0035】ここで、図10の基本噴射時期ITtを基
準燃料(JIS2号軽油)に対してマッチングしている
場合に、特3号軽油などの軽質燃料が使用されると、燃
料粘度の低下に伴いタイマーピストン26が遅角側(図
5で左側)に移動するので、このときのタイマーピスト
ン位置対応デューティ値Drealを求めると、これは
同じ運転条件での基準燃料用デューティー値Dtimよ
り大きくなり、両デューティ値の比Fd(=Dtim/
Dreal)が小さくなる。
【0036】そこで、その比Fdが所定のしきい値より
小さくなると、軽質燃料の使用時であると判断し、基準
燃料に対してマッチングしてある基本噴射時期ITtを
進角補正することで、補正後の噴射時期が軽質燃料に適
した値となり、軽質燃料の使用時においても失火を確実
に防止することができる。
【0037】しかしながら、しきい値が一定だと、噴射
ポンプの部品バラツキ(フィードポンプ3やタイミング
コントロールバルブ33の特性バラツキなど)によっ
て、軽質燃料の使用時であるかどうかの判断に誤りが生
じ、失火を生じることがある。
【0038】これに対処するため、コントロールユニッ
トでは失火限界に対応するしきい値を学習値として構成
し、所定の条件が成立したときに学習値を書き換える。
【0039】この制御に必要となる各種のセンサのう
ち、タイマーピストン位置センサ39は図5にも示した
ように取り付けられ、タイマーピストン26の変位量を
電圧値に変換して出力する。このタイマーピストン位置
センサ39からの信号が、図6に示したように、アクセ
ル開度を検出するセンサ36、エンジン回転数Neを検
出するセンサ37からの信号とともに、コントロールユ
ニット35に入力されている。なお、エンジン回転数は
ポンプ回転数から求めることもできる。
【0040】図9は使用されている燃料が軽質燃料であ
るのかそれとも基準燃料であるのかの判断と、その判断
結果に応じた噴射時期の算出を示す流れ図で、これは一
定周期で実行する。
【0041】ステップ1では、エンジン回転数Ne、ア
クセル開度、タイマーピストン位置Ctimを読み込
み、エンジン回転数Neからステップ2で図10の特性
を内容とするテーブルを参照して基本噴射時期ITtを
求め、またこの基本噴射時期ITtとエンジン回転数N
eからステップ3で図11の特性を内容とするマップを
参照してタイミングコントロールバルブに与える基準燃
料用デューティー値Dtimを求める。基本噴射時期I
Ttは、基準燃料用デューティー値Dtimとともに基
準燃料(JIS2号軽油)用にマッチングした値であ
る。
【0042】ステップ4では、タイマーピストン位置C
timから図12の特性を内容とするテーブルを参照し
てタイマーピストン位置対応デューティー値Dreal
を求める。
【0043】ステップ5,6では比Fdの値を前回値を
入れる変数Fdn-1に移し、基準燃料用デューティー値
Dtimとタイマーピストン位置対応デューティー値D
realとから、両者の比Fdを Fd=Dtim/Dreal …(1) の式で計算する。
【0044】燃料粘度の低下に伴うタイマーピストンの
遅角側への移動でタイマーピストン位置対応デューティ
ー値Drealが基準燃料用デューティDtimより大
きくなるので、軽質燃料の使用によってFdの値が1よ
り小さくなる。なお、Fdn-1の値は、後述するしきい
値の学習値の書き換えのときに必要になるものである。
【0045】ステップ7,8,9は、Fdの値としきい
値(学習値)との比較により、軽質燃料が使用されてい
るのかそれとも基準燃料の使用であるのかを判断する部
分である。
【0046】ここでのしきい値は、図13のようにヒス
テリシスをつけており(FTHH>FTHL)、これら
のしきい値の初期値には標準特性のタイミングコントロ
ールバルブにマッチングした値を入れ、また軽質フラグ
はリセット状態に初期設定している。軽質フラグは軽質
燃料が使用されていたのか基準燃料が使用されていたの
かの前回の判定結果を表すフラグで、軽質フラグがセッ
トされていれば前回は軽質燃料の使用時であったと、リ
セットのとき前回は基準燃料の使用時であったと判定さ
れたことを表しているわけである。
【0047】軽質フラグがリセット(前回は基準燃
料)でFd>FTHLのとき(ステップ7,8)は今回
も軽質燃料でないとしてステップ10に進み、基本噴射
時期ITtを変数ITに入れる。ステップ11では次回
の判定に備えて軽質フラグをリセットする。同様にし
て、軽質フラグがセット(前回は軽質燃料)でFd>
FTHHのとき(ステップ7,9)は今回初めて基準燃
料になったと判断し、このときもステップ10,11に
進む。
【0048】これに対して軽質フラグがリセット(前
回は基準燃料)でFd≦FTHLであることより(ステ
ップ7,8)、今回初めて軽質燃料になったときである
と判断したときと、軽質フラグがセット(前回は軽質
燃料)でFd≦FTHHであることより(ステップ7,
9)、今回も軽質燃料であると判断したときは、ステッ
プ12にいずれも進み、基本噴射時期ITtに進角補正
量ITkを加えた値を変数ITに入れることによって、
噴射時期をITkの分だけ進角側に補正する。軽質燃料
の使用時は失火防止のため基準燃料より噴射時期を進め
るわけである。
【0049】ステップ13では軽質フラグをセットする
ことで、次回の判定に備え、ステップ14のしきい値学
習のサブルーチンに進む。
【0050】図14はしきい値学習のサブルーチンで、
これも一定の周期(たとえば200ms)で実行する。
【0051】ステップ21では、エンジンの1演算周期
当たりの回転変動量ΔNを計測する。この回転変動量Δ
Nは前回までの所定回数のデータの平均値をとることに
より、データの信頼性を上げることができる。
【0052】この回転変動量ΔNにもとづいてステップ
22〜24は学習条件が成立するかどうかをみる部分で
ある。次の 〈1〉ΔN≦ΔNHかつ未学習かつ定常運転時 または、 〈2〉ΔN>ΔNHのとき(失火に伴う回転変動が非常
に大きい場合) のいずれかが成立したときだけ学習条件が成立したと判
断して、ステップ25以降に進み、それ以外ではリター
ンに進む。
【0053】ここで、〈1〉の条件でいう未学習には既
に学習ずみであってもRAMデータが削除されたときも
含まれる。〈1〉の条件で定常運転時を要件とするの
は、定常時のほうが過渡時より学習値の精度がよくなる
ためである。工場からの出荷時の回転変動量は許容範囲
内にあるため、初めて学習条件が成立するのは〈1〉の
条件の場合であり、〈2〉の条件が成立するのは主に
〈1〉での学習の後に経時劣化により大きな回転変動が
生じた場合である。
【0054】図15において縦軸に回転変動量ΔNをと
ると、回転変動の領域は失火により回転変動の生じてい
る領域(AとBの領域)と失火しておらず回転変動が許
容範囲内に収まっている領域(Cの領域)の2つにな
り、さらに失火領域は回転変動の非常に大きな領域Aと
中程度の領域Bの2つに分けることができる。これら3
つの領域を分ける値が上記の所定値ΔNHと後述する所
定値ΔNL(ΔNL<ΔNH)である。
【0055】ステップ25以降は失火限界点でのFdの
値を探索し、その値にもとづいて学習値を書き換える部
分である。失火が発生している状態(つまりΔN≧ΔN
Lのとき)から探索を開始するときは噴射時期を徐々に
進角していき、失火がなくなった(つまりΔN<ΔNL
となった)直前のタイミングでのFdの値を失火限界点
での値として取り出す。同様にして、失火が発生してな
い状態からの探索では、噴射時期を徐々に遅角してい
き、失火が生じた直前のタイミングでのFdの値を失火
限界点での値として取り出す。
【0056】失火が発生してない状態からの失火限界値
の探索について詳述すると、ステップ25でΔN>ΔN
Lであることより失火が発生していると判断したとき
は、ステップ26で進角補正量ITkを ITk=ITk+ΔITk …(2) により一定量ΔITk(たとえば0.05°CA)大き
くする。サブルーチンの演算周期は200msであるか
ら、進角の速度は約0.1°CA/secである。
【0057】ステップ27では進角補正量の最大値まで
達したかどうかみて、最大値に達したときは故障である
可能性が強いので、ステップ28に進み、警告灯などで
運転者に知らせるか、さらに他の信号を用いて故障判定
を行う。
【0058】ステップ27で最大値に達していないとき
は、ステップ29に進み、カウンタの値が初期値の0で
あるかどうかみる。
【0059】このカウンタの値は初めてしきい値学習に
入ったときに0でない値に初期化している。このため、
未学習の状態ではステップ31に進み、進角フラグがセ
ットされているかどうかをみる。この進角フラグも未学
習の状態でセット状態に初期化しているので、ステップ
32に進み、進角フラグをセットし、カウンタの値をイ
ンクリメントし、進角補正量ITkを変数ITkn-1
入れることによって記憶する。ITkn-1の値を記憶す
るのは、この値が次回に図9のステップ12で必要にな
るためである。
【0060】失火の状態が続いても、ステップ26、図
9のステップ12で徐々に進角補正量を大きくしての進
角補正を繰り返すことによってやがては回転変動量がΔ
N<ΔNLとなり、ステップ25からステップ35に進
む。このときは、失火が生じてないのであるから、今度
は進角補正量ITkを ITk=ITk−ΔITk …(3) の式で一定量ΔITkだけ小さくする。
【0061】ステップ36では進角補正量が最小かどう
かみるが、前回まで進角補正量ITkを大きくしていた
のであるから進角補正量ITkが最小ということはな
く、ステップ37と39に進み、カウンタの値と進角フ
ラグをみる。前回までカウンタの値をインクリメント
し、また前回も進角フラグをセットしているので、ステ
ップ40〜44に進む。前回まで進角を続けた後に今回
初めてΔN<ΔNLとなったのであるから、前回が失火
限界点になるわけで、このときに限り、ステップ40〜
44に進むわけである。
【0062】ステップ40,41ではFdn-1の値(前
回のFdの値)とメモリに格納されているしきい値学習
値を読みだし、 FTHHnew=(FTHHold+Fdn-1)/2+β …(4) FTHLnew=(FTHLold+Fdn-1)/2+β …(5) ただし、FTHHnew;書き換え後のしきい値FTH
H FTHHold;書き換え前のしきい値FTHH FTHLnew;書き換え後のしきい値FTHL FTHLold;書き換え前のしきい値FTHL β;所定値(β>0) の式で右辺の値を計算し、この右辺の値で学習値を書き
換える。
【0063】(4),(5)式で所定値β(たとえば
0.25°CA)を加算しているのは、しきい値をちょ
うど失火限界点に設定するのでなく、失火を起こさない
ように若干の余裕代をみているためである。βの値は、
使用するエンジンや噴射ポンプの相違で違ってくるた
め、マッチングで最適な値を選択する。
【0064】ステップ41〜44では後処理として、カ
ウンタをクリアし、進角補正量ITkを変数ITkn-1
に移し、学習の終了をRAMに記憶する。
【0065】失火してない状態からの失火限界値の探索
も、失火状態からの探索とその制御の内容は同様であ
る。失火してない状態では進角補正量ITkを徐々に減
少しての噴射時期の遅角を行い(図14のステップ3
5,36,37,39,45,46,47,図9のステ
ップ12)、初めてΔN≧ΔNLとなったときは、カウ
ンタの値が0でなく進角フラグはリセット状態にあるの
で、ステップ26,27,29,31,40,41,4
2,43,44に進み、学習値の書き換えを行う。
【0066】ただし、進角補正量ITkの減少過程で、
進角補正量の最小値まで達したときは、ステップ36か
らステップ48に進み、しきい値の学習値を FTHHnew=FTHHold−γ …(6) FTHLnew=FTHLold−γ …(7) ただし、γ;所定値(γ>0) の式で書き換える。
【0067】軽質燃料の使用時と判断されていながら、
進角補正量ITkが最小値(遅角側の限界値)に達した
ということは、使用されている燃料は軽質燃料でないと
考えられるので、しきい値の学習値を軽質燃料であると
判定されにくい方向(つまり学習値を小さくする方向)
に所定値γ(この場合0.05°CA)だけシフトする
わけである。
【0068】上記のしきい値の学習は原則的に1回だけ
であるが(しきい値の学習の終了によってステップ23
からステップ24に進むことができない)、学習後に経
時劣化によって失火に伴う大きな回転変動が生じたとき
は、再学習を行う。
【0069】このときは失火状態からの失火限界値の探
索を行う(失火してない様態からの探索はない)。
【0070】前述の失火状態からの失火限界値の探索と
異なるのは、ステップ29に初めて進んだときカウンタ
の値が0になっている点で、このときはステップ30で
進角フラグをセットする。ステップ29,30が必要と
なるのは、1回目の学習が、失火状態からの失火限界値
の探索の後に行われたとき、進角フラグがリセット状態
のままになっているので、進角フラグをセットしない
と、進角補正量ITkの減少を1回行っただけでステッ
プ31からステップ40にいきなり進んでしまうことに
なるので、これを避けるためである。
【0071】ここで、この例の作用を説明する。
【0072】基本噴射時期ITtを基準燃料(JIS2
号軽油)に対してマッチングしている場合に、JIS特
3号軽油などの軽質燃料が使用されたときは、粘度の低
下でタイマーピストン26が遅角側に移動して、このと
きのタイマーピストン位置対応デューティ値Dreal
が同じ運転条件での基準燃料用デューティー値Dtim
より大きくなり、両デューティ値の比Fd(=Dtim
/Dreal)が小さくなるので、その比Fdが所定の
しきい値より小さくなると、軽質燃料の使用時であると
判断できる。
【0073】この場合に、しきい値が一定だと、噴射ポ
ンプの部品バラツキ(フィードポンプ3やタイミングコ
ントロールバルブ33の特性バラツキなど)によって、
軽質燃料の使用時であるかどうかの判断に誤りが生じ、
実際には軽質燃料が使われているのに、基準燃料の使用
時であると誤判断されたのでは、実質的に噴射時期が大
きく遅角されることになり失火を生じてしまう。
【0074】これに対して、この例では、軽質燃料の使
用時に回転変動量ΔNが所定値(第1の回転変動量)Δ
NL以上であるかどうかが判断され、ΔN≧ΔNL(失
火が生じている)のときは噴射時期を徐々に進角させる
ことで失火限界値の探索を開始し回転変動量ΔNが所定
値ΔNL未満となった直前の比Fdの値が、またΔN<
ΔNL(失火を生じてない)のときは噴射時期を徐々に
遅角させることで探索を開始しΔ≧ΔNLとなった直前
の比Fdの値が失火限界値として取り出され、この失火
限界値にもとづいてしきい値学習値FTHHとFTHL
が書き換えられると、噴射ポンプに部品バラツキがあっ
ても、失火を確実に防止することができ、生産エンジン
への適用が可能となる。
【0075】たとえば、標準特性のタイミングコントロ
ールバルブでは、軽質フラグがリセット状態でかつFd
>FTHLより基準燃料の使用時であると判断される場
合に、部品バラツキで標準特性より開度の大きなタイミ
ングコントロールバルブになったときは、同じ基準燃料
用デューティ値Dtimであっても、標準特性のタイミ
ングコントロールバルブのときよりタイマーピストン位
置が遅角側に移動する(デューティ値Drealが大き
くなる)ため、比Fdの値がしきい値FTHLと一致し
たとすれば、軽質燃料の使用時であると誤判断される。
【0076】この場合に、標準特性より開度の大きなタ
イミングコントロールバルブでは、失火限界に対応する
しきい値学習値FTHLとFTHHが小さくなる側に書
き換えられることから、このしきい値学習値の書き換え
後は、標準特性のタイミングコントロールバルブが用い
られるときと同じに、Fd>FTHLとなる。標準特性
より開度の大きなタイミングコントロールバルブが用い
られるときは、その標準特性からのずれに応じてしきい
値学習値が変更されることで、タイミングコントロール
バルブの特性バラツキが吸収されるわけである。
【0077】また、しきい値学習値FTHHとFTHL
の書き換えは、未学習の場合に一回だけ行えばよく、そ
の後の書き換えは原則的に不要である。
【0078】さらに、しきい値学習値の書き換え後であ
っても、噴射ポンプに経時劣化を生じて軽質燃料の使用
時の回転変動量ΔNが所定値ΔNLより大きな所定値
(第2の回転変動量)ΔNH以上になったときは、しき
い値学習値が再度書き換えられることから、噴射ポンプ
に初回学習後の経時劣化が生じたときにも失火を生じる
ことがない。
【0079】ところで、始動時に燃料の着火遅れが存在
し、また始動時はクランキング回転数が低くプランジャ
ーのリーク量も多く燃料の圧送の立上がりの遅れが存在
することで失火が発生することから、特開昭63−15
4841号公報に記載の公知例では、冷間始動時に噴射
時期を大幅に進角することによって失火を防止する。そ
の一方で、始動後になると、上記のうちプランジャーの
リーク起因の圧送遅れが大幅に減少するため、今度は噴
射時期の進角のしすぎで、要求される噴射時期よりも早
い時期に噴射を終了することになり、燃料の気化による
筒内温度の低下で燃焼できなくなって、失火、未燃燃料
の残存などの問題が発生する。この場合の失火防止を行
うため、始動後には進角のしすぎを防止するという観点
から噴射時期を遅角補正している。
【0080】これに対して、本願発明は、暖機終了後で
かつ基本噴射時期を基準燃料に対してマッチングしてあ
る場合に軽質燃料が使用されたときに、プランジャーリ
ーク量が増大することが原因で噴射時期が要求より大幅
に遅角する現象を対象とするものであり、燃料の変更を
考慮する点で上記の公知例の思想とは異なっている。
【0081】なお、この公知例では、回転変動の平均値
と所定気筒の回転変動の比較から失火の兆候があると判
断したときは、噴射時期を遅角補正することで失火を防
止するとともに、その遅角量を学習し、その後の始動時
にはその学習値を用いることにより始動直後の失火をも
防止するものであるが、失火の兆候があるかどうかの判
断は常時行っているため、軽質燃料と基準燃料を交互に
入れ換えて使用するときに、入れ換え直後に失火が生じ
る。基準燃料の使用時に学習した遅角量は、基準燃料に
対してだけ有効なものであり、使用燃料が軽質燃料に入
れ換わると、入れ換え後に軽質燃料に対して学習が行わ
れるまでは、その遅角量は軽質燃料と合わない値となっ
てしまうからである。
【0082】これに対して、本願発明によれば、しきい
値を学習するので、学習後であれば、軽質燃料と重質燃
料を交互に使用する場合にも失火が発生することがな
く、商品性が向上する。
【0083】実施例では、JIS2号軽油を基準燃料、
特3号軽油を軽質燃料として述べたが、この発明は、燃
料粘度が相対的に高い燃料と相対的に低い燃料との2つ
の燃料の間であれば適用することができる。たとえば、
JIS2号軽油を軽質燃料に、この燃料より高粘度の燃
料を基準燃料に置き換えたときも、同様に考えられるの
である。なお、基本噴射時期とタイミングコントロール
バルブに与えるデューティ値とが軽質燃料に対してマッ
チングしてある場合に基準燃料が使用されるときも、同
様に適用することがきることはいうまでもない。
【0084】実施例ではまた、比Fdが分子を基準燃料
用デューティー値Dtim、分母をタイマーピストン位
置に対応するデューティー値Drealとする場合で述
べたが、この逆にFd2=Dreal/Dtimとして
もかまわないし、比の代わりにDtim−Drealや
Dreal−Dtimといった差を用いることもでき
る。
【0085】
【発明の効果】第1の発明では、タイマーピストンの一
端の高圧室からバイパスして低圧側に漏らされる燃料流
量がタイミングコントロールバルブに与える駆動量に応
じて調整される分配型の噴射ポンプと、基準燃料に対し
てマッチングした基本噴射時期をエンジン回転数に応じ
て算出する手段と、この基本噴射時期にもとづいて前記
タイミングコントロールバルブに与える基準燃料用デュ
ーティー値を算出する手段と、前記タイマーピストン位
置を検出するセンサと、このタイマーピストン位置の検
出値からタイマーピストン位置対応デューティ値を算出
する手段と、このタイマーピストン位置対応デューティ
ー値と前記基準燃料用デューティー値との比または差を
計算する手段と、しきい値の学習値を記憶するメモリ
と、このメモリに記憶されたしきい値学習値と前記比ま
たは差の計算値とを比較することにより前記基準燃料が
使用されているのかそれとも前記基準燃料より低粘度の
燃料が使用されているのかを判定する手段と、この判定
結果より低粘度燃料の使用時には前記基本噴射時期を進
角補正して噴射時期を算出し、また基準燃料の使用時に
は前記基本噴射時期をそのまま噴射時期として算出する
手段と、この算出された噴射時期を前記タイミングコン
トロールバルブに与える駆動量に変換する手段と、前記
低粘度燃料の使用時に回転変動量を算出する手段と、こ
の回転変動量が第1の回転変動量以上かどうかを判定す
る手段と、この判定結果より回転変動量が第1の回転変
動量以上のときは噴射時期を徐々に進角させることで探
索を開始し回転変動量が第1の回転変動量未満になった
直前の前記比または差の計算値を失火限界値として、ま
た回転変動量が第1の回転変動量未満のときは噴射時期
を徐々に遅角させることで探索を開始し回転変動量が第
1の回転変動量以上になった直前の比または差の計算値
を失火限界値として取り出す手段と、この探索された失
火限界値にもとづいて前記メモリに記憶されたしきい値
学習値を書き換える手段とを設けたので、噴射ポンプに
部品バラツキがあっても、失火を確実に防止することが
できるとともに、書き換え後は低粘度燃料と基準燃料と
を交互に使用する場合にも、失火が発生することがな
い。
【0086】第2の発明は、前記しきい値学習値の書き
換えは未学習の場合に一度だけ行うため、第1の発明の
効果に加えて、その後の書き換えは原則的に不要とな
る。
【0087】第3の発明は、前記低粘度燃料の使用時の
回転変動量が前記第1の回転変動量より大きな第2の回
転変動量以上かどうかを判定する手段と、この判定結果
より回転変動量が第2の回転変動量以上のときは噴射時
期を徐々に進角させることで探索を開始し回転変動量が
前記第1の回転変動量未満になった直前の前記比または
差の計算値を失火限界値として取り出す手段と、この探
索された失火限界値にもとづいて前記メモリに記憶され
たしきい値学習値を書き換える手段とを設けたので、第
2の発明の効果に加えて、噴射ポンプに経時劣化が生じ
たときにも失火を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のクレーム対応図である。
【図2】燃料噴射ポンプの縦断面図である。
【図3】ロータリーソレイノドの斜視図である。
【図4】ロータリーソレイノドの回転シャフトとコント
ロールスリーブとの位置関係を示す図である。
【図5】タイマー部分の断面図である。
【図6】コントロールユニットに対する入出力の構成図
である。
【図7】基本噴射量Qtの特性図である。
【図8】ロータリーソレイノドに与えるデューティ値D
rotの特性図である。
【図9】使用燃料が軽質燃料であるのかそれとも基準燃
料であるのかの判断とその判断結果に応じた噴射時期の
算出を示す流れ図である。
【図10】基本噴射時期ITtの特性図である。
【図11】タイミングコントロールバルブに与えるデュ
ーティ値Dimの特性図である。
【図12】タイマーピストン位置に対応するデューティ
値Drealの特性図である。
【図13】しきい値につけたヒステリシスを説明するた
めの特性図である。
【図14】しきい値学習のサブルーチンを説明するため
の流れ図である。
【図15】失火領域と回転変動領域とを重ねて示す特性
図である。
【図16】第3の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
16 コントロールスリーブ 21 ロータリーソレイノド 26 タイマーピストン 33 タイミングコントロールバルブ 35 コントロールユニット 36 アクセルセンサ 37 エンジン回転数センサ 39 タイマーピストン位置センサ 51 噴射ポンプ 52 タイミングコントロールバルブ 53 基本噴射時期算出手段 54 基準燃料用デューティー値算出手段 55 タイマーピストン位置センサ 56 タイマーピストン位置対応デューティー値算出手
段 57 比・差計算手段 58 学習値メモリ 59 使用燃料判定手段 60 噴射時期算出手段 61 駆動量変換手段 62 回転変動量算出手段 63 判定手段 64 失火限界値探索手段 65 学習値書換手段 81 判定手段 82 失火限界値探索手段 83 学習値書換手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 45/00 364 K

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タイマーピストンの一端の高圧室からバイ
    パスして低圧側に漏らされる燃料流量がタイミングコン
    トロールバルブに与える駆動量に応じて調整される分配
    型の噴射ポンプと、 基準燃料に対してマッチングした基本噴射時期をエンジ
    ン回転数に応じて算出する手段と、 この基本噴射時期にもとづいて前記タイミングコントロ
    ールバルブに与える基準燃料用デューティー値を算出す
    る手段と、 前記タイマーピストン位置を検出するセンサと、 このタイマーピストン位置の検出値からタイマーピスト
    ン位置対応デューティ値を算出する手段と、 このタイマーピストン位置対応デューティー値と前記基
    準燃料用デューティー値との比または差を計算する手段
    と、 しきい値の学習値を記憶するメモリと、 このメモリに記憶されたしきい値学習値と前記比または
    差の計算値とを比較することにより前記基準燃料が使用
    されているのかそれとも前記基準燃料より低粘度の燃料
    が使用されているのかを判定する手段と、 この判定結果より低粘度燃料の使用時には前記基本噴射
    時期を進角補正して噴射時期を算出し、また基準燃料の
    使用時には前記基本噴射時期をそのまま噴射時期として
    算出する手段と、 この算出された噴射時期を前記タイミングコントロール
    バルブに与える駆動量に変換する手段と、 前記低粘度燃料の使用時に回転変動量を算出する手段
    と、 この回転変動量が第1の回転変動量以上かどうかを判定
    する手段と、 この判定結果より回転変動量が第1の回転変動量以上の
    ときは噴射時期を徐々に進角させることで探索を開始し
    回転変動量が第1の回転変動量未満になった直前の前記
    比または差の計算値を失火限界値として、また回転変動
    量が第1の回転変動量未満のときは噴射時期を徐々に遅
    角させることで探索を開始し回転変動量が第1の回転変
    動量以上になった直前の比または差の計算値を失火限界
    値として取り出す手段と、 この探索された失火限界値にもとづいて前記メモリに記
    憶されたしきい値学習値を書き換える手段とを設けたこ
    とを特徴とするディーゼルエンジンの噴射時期制御装
    置。
  2. 【請求項2】前記しきい値学習値の書き換えは未学習の
    場合に一度だけ行うことを特徴とする請求項1に記載の
    ディーゼルエンジンの噴射時期制御装置。
  3. 【請求項3】前記低粘度燃料の使用時の回転変動量が前
    記第1の回転変動量より大きな第2の回転変動量以上か
    どうかを判定する手段と、この判定結果より回転変動量
    が第2の回転変動量以上のときは噴射時期を徐々に進角
    させることで探索を開始し回転変動量が前記第1の回転
    変動量未満になった直前の前記比または差の計算値を失
    火限界値として取り出す手段と、この探索された失火限
    界値にもとづいて前記メモリに記憶されたしきい値学習
    値を書き換える手段とを設けたことを特徴とする請求項
    2に記載のディーゼルエンジンの噴射時期制御装置。
JP23521693A 1993-09-21 1993-09-21 ディーゼルエンジンの噴射時期制御装置 Pending JPH0791300A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8423267B2 (en) 2007-07-31 2013-04-16 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Cetane number detection device and cetane number detection method

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8423267B2 (en) 2007-07-31 2013-04-16 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Cetane number detection device and cetane number detection method

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