JPH079122A - アルゴン溶接に於て溶填金属を予置する方法及びその部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルゴン溶接に於て管状物或は小物組立部品
等の大量生産に適する上、自動化による生産もできるよ
うにすることを目的とする。 【構成】 アルゴン溶接の溶接材料で溶接物品の接合部
に固定して設置することができる上、予定ビード軌跡と
同様の曲線輪郭をもつ溶填金属輪を具有する溶填金属部
品を造り、その溶填金属輪は溶接の際に必要な溶填金属
を提供し、溶接棒を使用することなくして、溶接効率の
向上を達成すると共に、安定した溶接品質を得ることが
できる。更に、人力負担の減少ができ、パルスアルゴン
溶接の自動化目標を促すことができるアルゴン溶接に於
て溶填金属を予置する方法とその部品。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、アルゴン溶接に於て、
事前に溶填金属部品を製造して、二つの溶接部品の間隙
に予置して溶接を行うアルゴン溶接方法とその部品に関
する。

【０００２】

【従来の技術】一般に品質の要求が高く、高強度を要す
る薄肉管状物の溶接に於て、最も広く応用されている溶
接方法はアルゴン溶接である。これはアルゴン溶接が上
述の特点を有するからである。従来のアルゴン溶接方法
は良好な溶接品質の要求を達成することは云うまでもな
いが、溶接の際、各操作過程に於ては細心な注意をはら
う必要があり、且つ、熟練した作業者が溶接を施行する
必要があり、さもなければ良好な溶接品質を得ることが
できない。故に、伝統的な人工アルゴン溶接方法の生産
効率は非常に低く、人工操作によるコストも高いため、
大量生産に応用することは根本的に不可能で、アルゴン
溶接はこれがため応用上多大な制限を受けている。

【０００３】然るに現今、大量生産の工業製品はアルゴ
ン溶接に頼らなければその高度な溶接品質を得ることが
できず、而して、低効率、コスト高に直面せざるを得な
い状況にあって、唯一の解決方法はアルゴン溶接の自動
化である。一般的にアルゴン溶接の方法は、フラット溶
接とパルス溶接の二方式に分けられる。此の二方式の
中、パルス溶接のビード品質はフラット溶接より良く、
その熱量も小さいため、溶接物に対する熱影響も少な
く、よって溶接による変形も小さく、且つ、強度が高
い、故に工業界に於ては大多数パルスアルゴン溶接法を
採用している。

【０００４】パルスアルゴン溶接の電弧は一定周波数の
間歇式電弧で、操作時溶接棒の溶填動作は必ず電弧周波
数と相互に配合しなければならない。さもなければ良好
なビードを得ることができない。一般的に人工的操作に
よるパルスアルゴン溶接は操作人員の感覚及び人工的溶
填金属の溶填動作のコントロールによって、溶接棒の溶
填と電弧の周波数を相互に配合させることができる。然
るに、一般自動化のパルスアルゴン溶接設備は全部溶接
棒送り装置を利用して溶接溶填の動作を行っている。若
し溶接棒の送りと電弧パルス周波数を相互に配合させる
ためには、必ず溶接棒の送り装置の送り速度を注意深く
調整して毎度の電弧発生時固定的に一定長さの溶接棒を
送ることができるようにしなければならない。

【０００５】而して、事実上該溶接棒送り装置とアルゴ
ン溶接機とは各自独立した系統になっている。此のため
如何に精確な調整を行っても、溶接棒の送り装置を電弧
パルス周波数二者間には必ず微小誤差があって完全に同
歩することができない。此の微小誤差が存在することに
よって、最初溶接を始めた時、溶接設備は正常な運行を
するかも知れないが、各使用毎にある時間を経過した後
は、逐次此の微小誤差は累積される。而して、此の累積
誤差が過大となった時は、電弧発生時溶填金属の送りが
及ばなくなる状態が発生する。或は電弧が未だ発生して
いない状態の下に溶填金属が送り込まれることが起こ
る。これにより厳重な溶接欠陥を造成する。甚だしいと
きは電弧の発生が不正常となって電極は破壊される。こ
のような現象は不断に出現する上、その発生率もますま
す高くなる。一般にパルス溶接機の電弧発生率は元来よ
り不安定の現象があって、加うるに溶接棒送り速度を精
確にコントロールすることが難しいためにかかる現象を
深め、よってパルスアルゴン溶接の自動化を計ることが
できない難しさを有している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のこの
ような問題を解決し、アルゴン溶接に於て、管状物或は
小物組立部品等の大量生産に適する上、自動化による生
産もできるようにすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決する手段として、アルゴン溶接の溶接材料で溶接物品
の接合部に固定して設置することができる上、予定ビー
ド軌跡と同様の曲線輪郭をもつ溶填金属輪を具有する溶
填金属部品を造り、その溶填金属輪は溶接の際に必要な
溶填金属を提供し、溶接棒を使用することなくして、溶
接効率の向上を達成すると共に、安定した溶接品質を得
ることができる。更に、人力負担の減少ができ、パルス
アルゴン溶接の自動化目標を促すことができるアルゴン
溶接に於て溶填金属を予置する方法とその部品を提供す
る。

【０００８】

【実施例】本発明は、アルゴン溶接に於て、溶填金属を
予置する方法とその部品に関するもので、特に管状物或
はその他の小物組立部品の大量生産に適するもので、主
として溶填金属部品でもって溶接に必要な溶填金属を提
供し、人工による又は溶接棒送り装置による溶接棒の溶
填方法を代替する方法である。これにより溶接品質の安
定性を向上することができ、且つ、人力の負担を減少す
ることができる。更に、これにより従来の自動パルスア
ルゴン溶接設備の溶接棒送りと電弧パルス周波数間の配
合が難しい欠点を解決することができて、パルスアルゴ
ン溶接自動化の生産に応用する目的をも達成できる。

【０００９】本発明の方法は、 アルゴン溶接の溶接材と同材質の金属で溶填金属部
品２０を造り、該溶填金属部品２０は環状の溶填金属輪
２１を具有し、該溶填金属輪２１は予定ビード軌跡と同
様の輪郭形状を有し、且つ、均一な断面面積を具備して
いる。該溶填金属輪２１の内縁は底板２２と連接してい
て、該底板２２でもって該溶填金属輪２１を二つの溶接
部品の接合部に設置し、且つ、その形状が変形しないよ
うに保持している。

【００１０】 該溶填金属部品２０を該二つの溶接部
品の接合部に設置し、該溶填金属輪２１をして予定のビ
ード軌跡上に位置させて保持する。 アルゴン溶接の電極ホルダー３０を該溶填金属輪２
１に沿って該二つの溶接部品に対して溶接を行う。 上記の方法と順序を利用して、電極ホルダーのタングス
テン電極３１の電弧３２が該二つの溶接部品に対して溶
接を施行した時、該溶填金属部品の溶填金属輪２１は該
電弧３２によって溶融され、該二つの溶接部品の溶融池
を充填する。該二つの溶接部品と溶填金属輪２１の溶填
金属が冷却して凝固した後、該二つの溶接部品のビード
を形成することになる。

【００１１】本発明は事前に溶填金属輪２１をビード軌
跡上に設置することを利用して必要な溶填金属を提供す
る方法である。故に、アルゴン溶接の際に溶接棒を送る
手数を省けるばかりでなく、自動溶接に応用した時、溶
接棒の送りと電弧が相互に配合できない状況が発生しな
い。更に、該溶填金属輪２１の断面積は均一であるた
め、ビード各部の溶填金属量も等しく、溶接ビードの寸
法も非常に均一である効果を得ることができる。よって
アルゴン溶接の人工操作を簡素化することができる上、
溶接品質の安定性を向上することができる。これにより
パルスアルゴン溶接の自動化を計ることができる。特
に、該溶填金属輪２１は底板２２に固定して連接してい
るため、溶接時ビード軌跡上に固定して保持することが
てきて、該溶填金属輪２１のねじれ変形或は脱落するよ
うなことが起らない。

【００１２】本発明の方法は上述のような特性を有して
いる故、人工アルゴン溶接の人工負担を低減、品質安定
性の向上、伝統的自動パルスアルゴン溶接で遭遇する困
難等を完全に克服することができる。よってアルゴン溶
接の効率を大きく向上させ、又、該溶填金属部品２０は
自動化工具機で迅速に製造することができる故、大量生
産のアルゴン溶接に本発明の方法を応用することができ
得る上、コストを低減することができる。

【００１３】図１及び図２は、本考案の一実施例で、円
形管をスミ肉溶接でもって平坦表面を有する物体に溶接
する応用で、それに応用する溶填金属部品２０の構造は
図３及び図４に示すものである。此の実施例における該
溶填金属部品２０の底面は平面になっていて、平板１１
の表面と接合する便を来している。その外縁には円環状
の溶填金属輪２１があり、管状物１２の溶接端に嵌合す
ることができ、その底部を平板１１上に密接させること
ができるようになっている。又、その内側と管状物１２
との間隙は極く小さいため、該溶填金属輪２１が溶融さ
れた後、管状物１２と平板１１の接合部を充填すること
ができて、均一な粗さのビードを形成することができ
る。

【００１４】該溶填金属輪２１の底部内縁は底板２２を
有し、該底板２２の厚度は極く小さく、此のため平板１
１の表面と管状物１２端部の間に設置することができ、
且つ、スポット溶接或はその他の方法で平板１１の溶接
位置に固定することができる。その最大効果は、容易に
該溶填金属輪２１を定位上に固定することができ、且
つ、該溶填金属輪２１の強度を強化し得て製造運搬時の
変形を防止し、該溶填金属輪２１の形状を保持すること
ができる所にある。よって溶接時溶融して断裂した時で
も熱変形の影響がなく、又は、脱落してビードからかた
より溶接ができなくなるようなことが起こらない。

【００１５】該溶填金属部品２０の中心には孔２３が設
置されていて、該孔２３を利用して平板１１上の孔１３
と配合し、適当な挟み道具で迅速に、且つ正確に、該溶
填金属部品２０を平板１１上の定位置に位置決めするこ
とができて加工上に便を来している。更に溶接後、若し
酸洗い又は電気メッキの後続処理を行う際、該二つの孔
を排水孔に利用することができて液体が管状物１２内部
に残留することを防止することができる。

【００１６】該溶填金属部品２０の各部寸法は実際加工
の必要に応じて定められる。該溶填金属輪２１の内径は
管状物１２の溶接部の外径と緊密嵌合することができる
ことを原則とする。而して、その断面寸法はビードの大
小如何によって定める。若し粗いビードであれば、比較
的大きい断面積の溶填金属輪２１を採用し、比較的多い
溶填金属を提供することができる。若し粗いビードであ
れば、上述と相反した方法を採用すればよい。

【００１７】該底板２２中央の孔２３の大小は特に制限
はなく、その大小は該底板２２の幅が狭すぎない程度
で、且つ、溶接時電弧で溶融切断ができて、更に充分な
強度を具備し、該溶填金属輪２１が変形しないように保
持する範囲内で必要に応じて変化すればよい。該底板２
２の厚度については本発明者の多数による試験結果、最
適な寸法は約該溶填金属輪２１の厚度の１／５である。
斯くして充分な強度を有すると共に、該溶填金属わ２１
を固持する目的を達成することができ、且つ、管状物１
２の端面をできるだけ平板１１の表面に近接させること
ができる。

【００１８】該実施例の操作方法は主要として、先ず該
溶填金属部品２０を該平板１１の上に置き、適当な挟み
道具を利用して定位上に挟み、次にスポット溶接或はそ
の他の方式で該底板２２を平板１１上に固定する。然る
後、管状物１２の溶接を該溶填金属輪２１内に嵌め込ん
で固定する。該溶填金属部品２０と管状物１２を平板１
１に装置した後、人工による溶接を行うことができる。
或は管状物１２と平板１１を自動溶接の設備上に架設
し、該溶填金属輪２１の周辺を基準にして溶接の軌跡を
設定し、全ての取付け及び設定が完成した後、該自動ア
ルゴン溶接の設備を利用して該管状物１２と平板１１に
対して自動溶接を行う。

【００１９】本発明に於て使用する溶填金属部品の構造
は実際運用時、加工の必要性、溶接物及び溶接位置の形
態によって変化することができる。図５及び図６に示す
如く、該溶填金属部品の溶填金属輪２１の断面形状は上
述の各図に示している方形断面とは限らない。又、該実
施例に示す扇形断面を採用してもよく、又はその他の断
面形状であってもよい。即ち、均一な溶填金属を提供す
ることができる目的を達成すれば、断面形状は必要に応
じて変化することができる。此の外、該溶填金属部品２
０の中央部分に凸出部（図７、図８、図９に示す如く）
を設けてもよい。但し、此の凸出部２４を有する溶填金
属部品の重量を低減するために、該凸出部に若干の孔２
５を設けることができる。又はその中央の孔２３を拡大
して該凸出部２４の材料を減少してもよい。

【００２０】図１０に示すのは本発明の方法を傾斜接合
の管状物溶接に応用したものである。該実施例に於て応
用する溶填金属部品２０の溶填金属輪２１の断面形状も
又管状物１２の傾斜角度に合わしている。これにより、
該管状物１２を傾斜して該溶填金属輪２１内に差し込む
ことができる。図１１、図１２及び図１３は本発明の方
法を二つの管状物の接合に応用した状況を示している。
図１４乃至図１６に示すものは、該実施例に於て使用す
る溶填金属部品２０の底面が管状物１４の管壁及び管状
物１２の端部形状に合わせて下向きに湾曲した形状にな
っている。依って、該底板２２は管状物１４の管壁と管
状物１２端部の間に設置することができ、該溶填金属輪
２１も又該管状物１２接合端の管壁に緊密に密接するこ
とができる外、予定の溶接軌道と同様の曲線輪郭を有し
ている。

【００２１】上記各円形管状物の溶接に本発明を応用し
た実施例の外、本発明の溶填金属部品２０は溶接物品の
形状、構造及び寸法とビード軌跡の輪郭に等によって溶
填金属輪と底板の形状及び寸法を変えることができる。
かくすることによって、その他の不同形状或は構造の管
状物又は物品の溶接に応用することができる。なお、本
発明の上述した実施例は、単に説明の便宜のために取り
上げたものに過ぎないので、それによって本発明の技術
的範囲を限定する意図はなく、前記特許請求の範囲に記
載された技術範囲に属する各 の設計変更が、全て本発
明に属することは云うまでもない。

【００２２】

【発明の効果】本発明のアルゴン溶接に於て溶填金属部
品を予置する方法とその部品は、高級溶接品質で大量生
産を必要とする製品に全て応用することができる。更
に、本発明の方法は従来のパルスアルゴン自動化時にお
ける種々の技術問題を完全に克服することができて生産
効率の向上、コストの低減に大きく寄与することができ
るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明第一実施例の断面図で、管状物と平板の
溶接に応用した状況を示している。

【図２】本発明第一実施例の操作示意図である。

【図３】本発明第一実施例に於て応用した溶填金属部品
の側面図で、本発明の溶填金属部品の構造を示してい
る。

【図４】本発明第一実施例が応用した溶填金属部品の底
面図である。

【図５】本発明に於て他種断面形状の溶填金属輪をもつ
溶填金属部品の具体的実施例である。

【図６】図５に於て使用した溶填金属部品の断面図であ
る。

【図７】本発明に於て中央に凸出部を有する溶填金属部
品を実施例に利用した断面図である。

【図８】本発明に於て中央に凸出部を有する溶填金属部
品の断面図である。

【図９】本発明に於て中央に凸出部を有する溶填金属部
品の底面図である。

【図１０】本発明に於て傾斜角度を有する管状物の溶接
に応用した実施例の断面図である。

【図１１】本発明を二つの管状物接合に応用した実施例
の正面断面図である。

【図１２】本発明を二つの管状物接合に応用した実施例
の側面断面図である。

【図１３】本発明を二つの管状物接合に応用した実施例
の側面図である。

【図１４】本発明を二つの管状物接合に応用した溶填金
属部品の側面図である。

【図１５】本発明を二つの管状物接合に応用した溶填金
属部品の正面断面図である。

【図１６】本発明を二つの管状物接合に応用した溶填金
属部品の底面図である。

【符号の説明】

１１ 平板 １２ 管状物 １３ 孔 １４ 管状物 ２０ 溶填金属部品 ２１ 溶填金属輪 ２２ 底板 ２３ 孔 ２４ 凸出部 ２５ 孔 ３０ 電極ホルダー ３１ 電極 ３２ 電弧

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルゴン溶接に於て、溶填金属を予置
   する方法で、該方法は下記部分を含んでいる。； ａ．溶填金属部品を製造する該溶填金属部品は、溶接の
   際に必要な溶填金属を提供するもので、溶接部品の予定
   ビード軌跡と同曲線輪郭を具有する環状体を成す溶填金
   属部と、 該溶填金属部の底部から内側へ延伸することによって形
   成され、該厚度は該溶填金属部の厚度よりやや小さい底
   板とから構成している； ｂ．該溶填金属部品の底板を二つの溶接部品溶接部の間
   隙に挟んで固定し、斯くして該溶填金属部品の溶填金属
   部は該二つの溶接部品の予定ビード軌跡上に設置され
   る。 ｃ．アルゴン溶接の電極ホルダーを予定ビードに沿って
   該二つの溶接部品に対して溶接を行う；上述の方法によ
   って、該アルゴン溶接電極ホルダーの電弧が該二つの溶
   接部品の接合部に溶け込んで接合するものである。
2. 【請求項２】 アルゴン溶接の予置溶填金属部品で、
   特に管状物の溶接に適合するもので、その主要部分は；
   二つの溶接部品接合部の予定ビード軌跡と同様な曲線輪
   郭を具有する溶填金属輪と、 該溶填金属輪の底部から内側に伸び、その厚度はやや該
   溶填金属輪より小さく、該二つの溶接部品接合部の間隙
   に挟むことができる底板と、 から組合わされ、アルゴン溶接の電弧が該二つの部品に
   対して溶接を行うとき、該溶填金属輪は溶融され溶填金
   属になって該二つの溶接部品の接合部を充填する。