JPH0790551B2 - 樹脂補強用不織布及び該不織布を用いた成形用シート - Google Patents

樹脂補強用不織布及び該不織布を用いた成形用シート

Info

Publication number
JPH0790551B2
JPH0790551B2 JP2041757A JP4175790A JPH0790551B2 JP H0790551 B2 JPH0790551 B2 JP H0790551B2 JP 2041757 A JP2041757 A JP 2041757A JP 4175790 A JP4175790 A JP 4175790A JP H0790551 B2 JPH0790551 B2 JP H0790551B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
woven fabric
resin
weight
bundle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2041757A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH037308A (ja
Inventor
秀樹 保城
宏直 船曵
憲二 西面
俊英 大東
博 杉島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2041757A priority Critical patent/JPH0790551B2/ja
Publication of JPH037308A publication Critical patent/JPH037308A/ja
Publication of JPH0790551B2 publication Critical patent/JPH0790551B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、有機合成繊維からなる樹脂補強用不織布に関
するもので、その目的とするところは、耐衝撃性が極め
て優れた成形物を得ることが出来る樹脂補強用不織布並
びに該不織布に樹脂組成物を含浸してなる成形用シート
を提供することにある。
(従来の技術) 従来、SMCで代表される補強材で補強された成形用シー
トは、不飽和ポリエステル樹脂に充填剤、着色剤、内部
離型剤、硬化剤、増粘剤等を混和した樹脂組成物と、ガ
ラス繊維ロービングヤーンのカツト物(いわゆるガラス
繊維チョップドストランド)を複合し、ポリエチレンフ
イルム等で両面をカバーして加圧し、前記樹脂混合物を
ガラス繊維チョップドストランド間へ含浸させて、脱泡
を行ない、適度な温度下で熟成して得られるものであ
る。このように従来より樹脂補強用繊維としては一般に
ガラス繊維が用いられているが、この理由は、ガラス繊
維が繊維強度、剛性等の機械的物性や耐熱性、寸法安定
性、あるいは加工性等に優れている点にある。
(発明が解決しようとする課題) これらガラス繊維で補強された繊維補強樹脂成形物(以
下FRPと略記する)の最大の弱点は耐衝撃性能に劣るこ
とである。もし、FRPの耐衝撃性能、特に耐落球衝撃性
能が高いならば、成形体に衝撃が加わつた際に成形物表
面にクラツクあるいは白化が発生しにくく、製品の品質
並びに外観が損なわれることがない。したがつて、高い
耐落球衝撃性能は、自動車、車両、船舶等の外板のみな
らずパイプ、浴槽等の用途には欠く事の出来ない条件で
はあるが、現実には成形物の補強材料としてガラス繊維
が用いられている以上この要求を満たすことが出来な
い。
このようなことにより、FRPの分野において耐落球衝撃
性能を飛躍的に向上させる技術が求められていた。
本発明者らは、FRPの耐落球衝撃性能を高める技術に関
して研究を続けた結果、耐落球衝撃性能を高めるために
は、(1)有機合成繊維、特に高強度で高弾性率を有す
る有機合成繊維を使用すること、(2)単繊維を比較的
均一に分散させること、(3)デニールの大きい単繊維
を補強材として用いること、さらに(4)補強材の形態
は不織布状態が望ましいことを見いだした。本発明者ら
は、これらの(1)〜(4)の知見をもとにさらに検討
を続けた結果、本発明に到達した。
なお、特開昭63−42952号公報には樹脂補強用不織布と
して非ガラス繊維系ステープル繊維を用い、しかもその
ステープル繊維が、解繊されたステープル繊維群と複数
本の繊維が集束状態で存在する未解繊ステープル繊維群
とを混在させ、両者繊維間を接着性繊維で接合した不織
布が記載されている。そして、その構成の不織布とする
ことによつてガラス繊維チヨツプトストランドマツトに
比べて繊維含有量が半分以下で強度、弾性率が共に高い
FRP製品が得られることが記載されている。しかし、こ
の発明においては、解繊されたステープル繊維群と未解
繊ステープル群との配合状態が明かにされていない。FR
P製品の引っ張り強度、曲げ強度並びに耐衝撃性能等は
繊維の太さ、集束状態及び分布状態によつて大きく変化
するものであり、単に解繊されたステープル繊維群と未
解繊ステープル群とを配合しただけでは、優れたFRP製
品は得られない。しかも該発明においては、繊維群を結
合するバインダーは接着性繊維が用いられている。しか
し、接着性繊維がバインダーとして機能するには、添加
量を増やさねばならず、主補強材の添加量が少なくな
り、結果として補強効果が低下する。また樹脂成形物成
形の際、繊維群と繊維群との結合の解除が実際上不利と
なり、その流動性が悪いために深絞り成形品の加工が出
来ないという欠点がある。したがつて本発明は、このよ
うな公知技術の問題点をも解決したものである。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明は、「樹脂成形品を補強するための有
機合成繊維からなる不織布であつて、該不織布は、単繊
維デニール1〜50、繊維長5〜200mmの有機合成繊維単
繊維(A)及びその集束体(B)からなり、(A)+
(B)中に占める(A)の割合が0〜50重量%であり、
かつ(A)+(B)中に占めるトータルデニール300以
下の集束体(B′)と(A)の合計量が20〜80重量%で
あり、さらに(A)+(B)中に占めるトータルデニー
ル500以上5000以下の集束体(B″)の割合が5〜20重
量%であり、該単繊維(A)及びその集束体(B)が非
繊維バインダー1〜20重量%/(A)+(B)を用いて
固定されたことを特長とする樹脂補強用不織布」であ
り、また「前記不織布に樹脂組成物が含浸されてなるこ
とを特長とする成形用シート」に関するものである。
我々は、FRPの耐落球衝撃性能を高めるために、有機合
成繊維を用いた補強材の最適単繊維デニールを検討した
結果、単繊維デニールは、1〜50が好ましく、5〜30が
より好ましいことを見い出した。すなわち、通常ガラス
繊維で使用されている太さよりも太いものの方が優れて
いる事を見い出した。
一般的にガラス繊維は、単繊維が太くなると繊維強度及
び剛性が急激に低下する傾向があるが、有機合成繊維は
ガラス繊維に比べて、比較的性能の低下が少ない。この
ため、有機合成繊維を補強材として用いる場合は、単繊
維を太くしてFRPの引張り・曲げ強度を低下させずに、
耐落球衝撃性を上げる事が可能である。
SMCの製造し易さに関しても、単繊維のデニールが1よ
り小さくなると、得られる不織布が紙状になつてしまい
樹脂含浸性や繊維の流動性が悪い。逆に単繊維デニール
が50を越えて大きくなつても得られるFRPの表面性が悪
くなるという問題点を有する。
耐落球衝撃性能を向上させるためには、不織布中におい
て単繊維デニール1〜50の有機合成単繊維及びトータル
デニールが小さい集束体が均一に分散していることが最
も好ましい。これは、FRPに衝撃が加わつた際衝撃エネ
ルギーが均一に分散した単繊維の破断によつて吸収さ
れ、樹脂領域が破断されにくいからである。すなわち、
単繊維デニール1〜50の有機合成繊維単繊維(A)及び
その集束体(B)からなる不織布において、(A)+
(B)中に占める(A)の割合が、0〜50重量%であ
り、かつ(A)+(B)中に占めるトータルデニール30
0以下の(B)と(A)の合計量が20〜80重量%である
ときに、耐落球衝撃性が優れていることを見いだした。
しかしながら、樹脂補強用不織布が主として単繊維から
なり、均一に分散している場合は、耐落球衝撃性は優れ
ているものの繊維の引き抜き抵抗が小さくなつて、FRP
の完全破断までに吸収するエネルギー量、即ちアイゾツ
ト衝撃性は低いという欠点を有する。逆に、トータルデ
ニールの大きい集束体を多く含む不織布は、繊維の引き
抜き抵抗が大きくなつてアイゾツト衝撃性は向上するも
のの、樹脂領域で破断が起こり、繊維の物性が充分に生
かされず、耐落球衝撃性及びFRPの曲げ強度等機械的物
性が低下する。このために、いずれの衝撃性をも満足
し、充分な機械的物性を得る単繊維及び集束体の分布状
態を検討した結果、上記集束分布条件に加えてトータル
デニール500以上の集束体(B″)の割合が5〜20重量
%である樹脂補強用不織布が最も好ましいことを見い出
した。
我々の実験結果から判断すると、トータルデニールが50
0以上である集束体が全体の5重量%より小さくなると
アイゾツト衝撃性の著しい向上が見られず、また逆に集
束体(B″)が全体の20重量%を越えてもFRPの機械的
性能が低下するばかりでなく、表面性が悪くなるという
問題点を有することが判つた。なお、集束体の途中で裂
けた物のデニールは、裂けている箇所の長さが繊維長さ
方向で50%以内であれば、もとの集束体のデニールで表
す事とする。
樹脂補強用不織布としては、本発明に記載された繊維集
束状態及び分布状態を有していることが重要であり、不
織布の製造方法は、特に限定しない。このため、本発明
に記載した単繊維及び集束体を適量混合して、そのまま
不織布を製造しても構わないし、集束体を製造中に適度
に解繊(割裂)して不織布を製造しても構わない。しか
しながら、得られる樹脂補強用不織布の製造コストを考
慮すると繊維集束体を適度に解繊し、それを不織布化す
ることが好ましい。
不織布を製造する際に使用する集束体のトータルデニー
ルは、500〜5000が好ましく、700〜3000がより好まし
い。トータルデニールが500より小さくなると、製造時
に繊維がほぼ単繊維状に分散してしまい集束体による効
果が充分には得られない。また逆にトータルデニールが
5000を越える集束体を使用すると不織布中に極めて大き
い集束体が存在することになり、FRP性能及び表面性に
悪い影響を与える。
現在、SMC用に使用されているガラス繊維の場合は、ト
ータルデニール500〜700のガラス繊維ロービングヤーン
をロービングカツターで切断してすぐにSMC製造するた
め、ほとんど集束体が分繊されず、したがつて集束体は
本発明に記載されているような分布状態を有せず、ほと
んどトータルストランドデニール500〜700のガラス繊維
ストランドからなる。
繊維及びその集束体の繊維長は、構成する単繊維のデニ
ールにもよるが、5〜200mmが好ましく、10〜100mmがよ
り好ましい。繊維長が5mmより短くなると繊維の機械的
物性が充分に生かされず、また繊維長が200mmを越える
ものは、不織布の製造が極めて困難になる。
得られるFRPの性能を考慮すると不織布を構成する有機
合成繊維の単繊維強度は、80〜500kg/mm2、単繊維の初
期弾性率は2500〜25000kg/mm2が好ましい。また、成形
体樹脂と繊維との接着性を高めるために、有機合成繊維
は表面が粗面化されたものや異形断面を有するものを用
いてもかまわない。
不織布を構成する有機合成繊維としては、ポリビニルア
ルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリエステル系繊維、アラミド系繊維、ポ
リアリレート系繊維等が挙げられるが、得られるFRPの
引張強度、曲げ強度、耐衝撃性等を必要とする用途で
は、ポリビニールアルコール系繊維、アラミド系繊維、
ポリアリレート系繊維が特に好ましい。用途によつて
は、有機合成繊維単独では、剛性、耐熱性及び寸法安定
性に問題があるために、ガラス繊維を始め炭素繊維、ボ
ロン繊維、炭化ケイ素繊維等の有機合成繊維以外の繊維
を単独或は目的に応じて数種類組合せても構わない。
集束体を製造するために用いる接着樹脂としては、ポリ
酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキ
シ系樹脂、ビニルエステル系樹脂、不飽和ポリエステル
系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フエノー
ル系樹脂等が可能であり、その付着量としては、繊維に
対して0.1〜20重量%が好ましい。また、樹脂と有機合
成繊維との接着性を高めるために、重合助触媒、シラン
カツプリング剤、樹脂浸透剤等を接着樹脂に適量混合し
ても構わない。
各集束体及び/または単繊維間を固定するために、用い
るマツト形成バインダーとしては、非繊維バインダーを
用いることが肝要である。本発明においては、いわゆる
バインダー繊維(例えば、熱易溶融性ポリエステル系繊
維、ポリオレフイン系繊維)は、下記の理由で用いるの
に好ましくないことがわかつた。(1)繊維状バインダ
ーは、その繊維の太さ(2〜5dr)とその捲縮形態のた
めに、不織布が嵩高くなり、繊維含有量の高いFRPが得
られないこと、(2)繊維状バインダーは接着効率が悪
いために、充分な接着力を出すためには、繊維状バイン
ダーの添加量を増やす必要性があること、またその結
果、補強効果が低下すること、(3)繊維状バインダー
は、各集束体及び/または単繊維間の結合解除が容易で
なく、したがつて深絞り成形体を加工する際、繊維を端
部まで分散させ難いという問題点を有する。
従つて、本発明のマツト形成バインダーとしては、不飽
和ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等を溶液、エマル
ジヨン、サスペンジヨン、粉末状物等として用いるもの
である。また上記バインダー樹脂をメルトブロー方式等
で極細繊維からなる薄い不織布を予めつくつておき、集
束体及び/または単繊維と張り合わせることも可能であ
る。このメルトブロー等の不織布物は、その構成繊維が
極細で、かつ目付けの小さい極めて薄い不織布形態とす
ることが出来、いわゆる熱易溶融性バインダー繊維を用
いる場合の不満足がなく使用できることが判つた。ま
た、主に不飽和ポリエステル樹脂をマトリツクスとして
製造するSMC用途の場合には、該不飽和ポリエステル樹
脂の架橋剤がスチレンであることを考慮し、バインダー
樹脂としては、このスチレン可溶性の樹脂を用いればよ
り好ましい。そのようなバインダー樹脂としては、ポリ
酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂が良い。また、その
付着量は、1〜20重量%が好ましい、即ち本発明は、SM
C製造に際して、仕込時は2次元シートとしての工程通
過性を確保し、SMCシート成形後の熟成時にバインダー
が溶解して、樹脂成形体製造時に単繊維並びにその集束
体が極めて容易に流動して分散するものである。なお、
不織布を製造するために用いられるマツト形成バインダ
ー樹脂は、集束体を形成しているバインダーを再度熱溶
融して、マツト形成バインダーとして利用しても構わな
い。
本発明によつて得られる不織布は、SMC用途に用いるだ
けでなく、通常のハンドレイアツプ法、マツチドダイ
法、レジンインジエクシヨン法、レジントランスフアー
モールデイング法等のFRP製造方法やスタンパブルシー
ト製造方法の様なFRTP製造方法に用いることも可能であ
る。このために用いる樹脂としては、不飽和ポリエステ
ル樹脂、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、メラミン樹脂
等の熱硬化性樹脂だけでなく、ポリプロピレン樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹
脂、ポリフエニレンサルフアイド樹脂、ポリアミド樹
脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂も用いられる。
なお、本発明の不織布の代表的な製造方法としては下記
のような方法がある。単繊維デニールが1〜50である繊
維をトータルデニールが500〜5000となるように揃え、
前記集束用樹脂を0.1〜20重量%、好ましくは、0.3〜10
重量%付着させる。得られた樹脂集束ヤーンを5〜200m
mに切断し、ネツト上に集束体が分散されるように力を
加えつつエアーブローするか、或は解繊機等により一部
解繊させる。場合により、工程通過性を良くするために
軽くニードルパンチングする。その後、マツト形成バイ
ンダーをスプレーにて均一に噴霧し、熱プレスして単繊
維及び集束体を結合させ、不織布を製造する。
得られる不織布の目付(g/m2)は、用いるFRPの繊維添
加量によつて異なるが、20〜1000g/m2が好ましく、50〜
500g/m2がより好ましい。不織布の厚みはFRPの施工性を
考慮すると、0.2〜3.0mmが好ましい。また、不織布の密
度は0.01〜0.5g/cm3の領域であることが望ましい。な
お、ここで言う不織布の厚みは、JIS P8118によつて測
定された値を示す。
上記の如く得られた補強用不織布を用い、成形用シート
並びに成形物を製造する方法の例を以下に示す。成形用
シートは、通常のSMC製造装置を使用する。即ち、不飽
和ポリエステル樹脂に充填剤、硬化剤、増粘剤、着色剤
等を混合した樹脂組成物の中に前記不織布を連続的に挿
入し、ポリエチレンフイルム等で両面をカバーして加圧
し、前記樹脂組成物を不織布の繊維間に含浸させ、脱泡
して所定の長さに巻きとつた後、適当な温度下で熟成し
て成形用シートを得る。この成形用シートを従来のSMC
と同様に鋳型に入れ、熱加圧成形することによつて成形
体を得ることが出来る。また、別な方法としては、鋳型
の中に不織布を入れ、鋳型を閉じた後に樹脂をインジエ
クシヨンして成形物を得ることが出来る。また、鋳型の
中に樹脂組成物と補強用不織布を入れて、内部から加圧
脱泡させるいわゆるバッグ成形によつて成形体を得るこ
とが出来る。また、前記不織布をテープ状に細長く切断
して樹脂に含浸した後、通常のフイラメントワインデイ
ング法によつてパイプ状に成形加工することも可能であ
る。また、ポリプロピレン樹脂シート間に前記不織布を
挟み込んで加圧し、繊維内部まで樹脂を含浸させたスタ
ンパブルシートを鋳型の中に入れ、加熱圧縮成形して成
形体を得ることもできる。
FRP製造時、本発明によつて得られる樹脂補強用不織布
は、単独で用いても構わないし、ガラス繊維チョップド
ストランドマツト、ガラス繊維織布、ガラス繊維エンド
レスマツト等の従来一般的に使用されているガラス繊維
補強材や炭素繊維、アラミド繊維の編織布及び不織布等
を必要に応じて積層して用いても構わない。
本発明によつて得られる樹脂補強用不織布は、下記の様
な特徴を有する。
1) 本発明で得られる樹脂補強用繊維不織布は、樹脂
の含浸性が極めて優れ、従来のガラス繊維チョップドス
トランドマツトと同様な使い方が出来るために、通常の
ハンドレイアツプ、フイラメントワインデイング法、マ
ツチドダイ法、レジンインジエクシヨン法、レジントラ
ンスフアーモールデイング法等のFRP製造用不織布やス
タンパブルシート製造法の様なFRTP製造用不織布として
用いることも可能である。
2) 有機合成繊維を大した設備投資を必要とせずに、
SMC製造装置に供給することが可能であり、得られる成
形用シートは、繊維流動性が極めて優れているために、
従来のSMCと同様に使用することが可能である。
3) 得られるFRPは、従来のガラス繊維で補強したFRP
に比べて耐衝撃性、特に耐落球衝撃性能が優れる。
4) 有機合成繊維は、ガラス繊維に比べて比重が小さ
いために、得られるFRPも軽量である。
以下実施例によつてさらに具体的に説明する。
実施例1 単繊維デニール10drで単繊維強度270kg/mm2、初期弾性
率7000kg/mm2のポリビニルアルコール系繊維にポリ酢酸
ビニール系樹脂(大同化成(株)製商品名ビニゾール21
02)を1.0重量%付着させてヤーンデニール2500drに集
束し、50mmに切断した繊維集束体を作つた。この繊維集
束体を解繊機に掛けてネツト上にランダムに落下させて
乾式ウエブを作成し、これにポリエステル系樹脂エマル
ジヨン(東洋紡(株)製バイロナールMD1200)を噴霧
し、乾燥させて目付け200g/m2の不織布を得た。不織布
のポリビニルアルコール繊維に対するポリエステル系樹
脂の付着重量比は、5%であつた。得られた不織布は、
単繊維が5重量%、トータルデニールが300以下である
単繊維及び集束体が全体の35重量%であり、且つトータ
ルデニールが500以上である集束体が全体の15重量%で
あつた。上記不織布を通常のSMC製造装置に挿入し、不
飽和ポリエステル樹脂組成物と混合したものをポリエチ
レンフイルムにサンドイツチ状に挟みこんで、以下常法
によつてSMCを製造した。このSMCに用いた組成物は次の
通りである。
樹 脂:不飽和ポリエステル樹脂 (武田薬品(株)商品名ポリマール6709) 部数100 触 媒:過酸化ベンゾイル (日本油脂(株)商品名パーブチルZ) 1.5 充填剤:炭酸カルシウム (日東粉化(株)商品名Sライト) 120 増粘剤:酸化マグネシウム (協和化学(株)商品名キヨーワマグ40F) 1.5 また補強不織布は、このSMC中で20体積%となるように
合わせた。このSMCを8層に重ね、常法によつて、150
℃、100kg/cm2の加熱加圧条件で成形し、厚み5mm、15cm
×15cmのFRP枚を得た。得られたFRPの性能を第1表に示
す。尚以下の実施例および比較例においても、SMCの製
造条件並びに該SMCを用いたFRPの製造条件は、本実施例
の条件と同一であり、それらについての記載を省略し
た。
実施例2 単繊維デニール10drで単繊維強度350kg/mm2、初期弾性
率8800kg/mm2のポリアリレート系繊維にスチレンラテツ
クス(日本ゼオン(株)製NipolLX303)を4.0重量%付
着させてヤーンデニール1800drに集束し、50mmに切断し
て繊維集束体を作つた。この繊維集束体を解繊機にかけ
てネツト上にランダムに落下させて乾式ウエブを作り、
これを150℃、100kg/cm2でローラー熱プレスして目付20
0g/m2の不織布とした。得られた不織布は、単繊維が5
重量%、単繊維とトータルデニール300以下である集束
体の合計量が全体の25重量%であり、且つトータルデニ
ールが500以上である集束体が全体の10重量%であつ
た。
実施例3 実施例2で製造したポリアリレート系繊維の集束体のカ
ツト物を送綿機の中に投入し、エアーブローした後、連
続的にネツト上に均一かつランダムに落下させて乾式ウ
エブを作成し、これにポリエステル系樹脂エマルジヨン
(東洋紡(株)製バイロナールMD1200)を噴霧し、乾燥
させて目付け150g/m2の不織布を得た。ポリエステル系
樹脂のポリアリレート系繊維に対する付着量は、7%で
あつた。得られた不織布は、単繊維が10重量%であり、
単繊維とトータルデニールが300以下である集束体の合
計量が全体の75重量%であり、且つトータルデニールが
500以上である集束体が全体の7重量%であつた。
実施例4 単繊維デニールが1.5drで単繊維強度315kg/mm2、初期弾
性率11300kg/mm2のアラミド繊維に酢酸ビニール系樹脂
(大同化成(株)製商品名ビニゾール2102)を1.0重量
%付着させてヤーンデニール1500drに集束し、50mmに切
断した繊維集束体と上記未集束の同じく50mmに切断した
アラミド単繊維を重量比30対70の割合で解繊機に挿入
し、ネツト上にランダムに落下させて乾式ウエブを作成
し、その上に不飽和ポリエステル樹脂粉末(三洋化成
(株)製商品名ケミチレンPEB−13)を均一に5重量%
添加し、150℃、80kg/cm2でローラー熱プレスして不織
布とした。不織布は単繊維が40重量%、単繊維とトータ
ルデニールが300以下である集束体の合計量が全体の70
重量%であり、且つトータルデニールが500以上である
集束体が全体の15重量%であつた。
実施例5 実施例1で製造したポリビニルアルコール系繊維の集束
体にガラス繊維ロービング(日東紡(株)製商品名RS24
0PA−549SS)を50mmに切断したストランドを体積比で70
対30の割合で混合し、実施例1と同様な操作によつて不
織布を製造した。
比較例1 実施例1で製造したポリビニルアルコール系繊維集束体
を振動定量供給装置であるボールフイーダーの中に投入
し、ネツト上に均一かつランダムに落下補集して乾式ウ
エブを得、これに実施例1と同じくポリエステル樹脂エ
マルジヨン(東洋紡(株)バイロナールMD1200)を噴霧
し、乾燥させて目付200g/m2の不織布を得た。バインダ
ー付着量は、繊維に対して5重量%であつた。得られた
不織布の集束体は、全く分繊されていないためにトータ
ルデニールは、すべて2500drであつた。
比較例2 単繊維デニール10drで単繊維強度230kg/mm2、処理弾性
率6440kg/mm2のポリビニルアルコール系繊維に酢酸ビニ
ル系樹脂を1.0重量%付着させてヤーンデニール400drに
集束し、50mmに切断した繊維集束体を用いて、比較例1
と同様の手法によつて不織布を製造した。得られた不織
布中の集束体は、全く分繊されていないため、すべて40
0drであつた。
比較例3 単繊維デニール17drで単繊維強度270kg/mm2、初期弾性
率7000kg/mm2のポリビニルアルコール系繊維を集束させ
ずに80mmに切断し、常法によつてニードルパンチング法
乾式不織布を製造した。
得られた不織布は、単繊維が完全に均一分散されている
ものであつた。
比較例4 実施例2とは、集束デニールが1000drである点を除い
て、他は同一の繊維集束体をつくり、この繊維集束体を
実施例2と同様に解繊機にかけてネツト上にランダムに
落下させ補集して乾式ウエブを作り、これに実施例2と
同じく150℃、100kg/cm2でローラー熱プレスして目付20
0g/m2の不織布を得た。
得られた不織布は、単繊維が8重量%、単繊維とトータ
ルデニールが300dr以下である集束体の合計量が全体の3
1重量%、トータルデニールが500dr以上である集束体が
全体の4%であつた。
比較例5 実施例2とは、集束デニールが4000drである点を除いて
他は同一の繊維集束体を作り、この繊維集束体を実施例
2と同様に解繊機にかけてネツト上にランダムに落下さ
せ、補集して乾式ウエブを作り、これに実施例2と同じ
く150℃、100kg/cm2でローラー熱プレスして目付180g/m
2の不織布を得た。この場合、得られた不織布は、単繊
維が6重量%、単繊維とトータルデニールが300以下で
ある集束体の合計量が全体の19重量%、トータルデニー
ルが500dr以上である集束体が全体の18%であつた。
以上の各実施例及び比較例で得られた補強用不織布を用
いて得られた各成形物の物性が、実験条件等と共に第一
表で示される。尚第一表には、市販のSMC(昭和高分子
(株)製リゴラツクMG−100)を積層してFRPを製造した
参考例1をも併せて示す。
本各実施例においては、曲げ強度は、ガラス繊維補強成
形物のそれと同等であり、しかもその上で落球衝撃性並
びにアイゾツト衝撃性が著しく改善されることが示され
る。
比較例6 実施例1で得られた2500drで、50mmの繊維集束体を用
い、この繊維集束体に、単繊維デニール2.5drの捲縮し
た熱易溶融性繊維((株)クラレ製商品名ソフイツトN7
10)を20重量%添加して均一に混合し、これらの繊維を
解繊機にかけてネツト上にランダムに落下させ、170
℃、100kg/cm2でローラー熱プレスして不織布とした。
得られた不織布の繊維繊度の分布は、実施例1とほぼ等
しいものであつたが、この不織布を用い、実施例1と同
様条件で成形用シートをつくり、さらにその成形用シー
トから成形物を作つたところ、その物性値は、次のよう
になつた。
これで示される様に、マツトバインダーとしていわゆる
熱易溶融性繊維を用いる場合は、接着効率が悪いため
に、熱易溶融性繊維の添加量を増やす必要があり、補強
材の添加量が少なくなり、結果として曲げ強度並びに衝
撃性が低下する。
実施例6 実施例1で製造したポリビニルアルコール系繊維集束体
を解繊機に掛けてネツト上にランダムに落下させて乾式
ウエブを作成した。これに、あらかじめ不飽和ポリエス
テル樹脂粉末(三洋化成(株)製商品名ケミチレンPEB
−13)をメルトブロー方式で作成した目付10g/m2のバイ
ンダー不織布(単繊維径1〜5μm)を重ね、150℃、1
00kg/cm2のローラー熱プレスして不織布を製造した。こ
の不織布を用い、実施例1の場合と同じ樹脂組成並びに
成形条件を用いて成形物を製造した。
得られた成形物の物性は、下記に示す如く実施例1の場
合と同様に、曲げ強度に優れかつ落球衝撃性並びにアイ
ゾツト衝撃性に優れているものであつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大東 俊英 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 杉島 博 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 (56)参考文献 特開 昭60−13511(JP,A) 特開 昭64−56738(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂成形品を補強するための有機合成繊維
    からなる不織布であって、該不織布は、単繊維デニール
    1〜50、繊維長5〜200mmの有機合成繊維単繊維(A)
    及びその集束体(B)からなり、(A)+(B)中に占
    める(A)の割合が0〜50重量%であり、かつ(A)+
    (B)中に占めるトータルデニール300以下の集束体
    (B′)と(A)の合計量が20〜80重量%であり、さら
    に(A)+(B)中に占めるトータルデニール500以上5
    000以下の集束体(B″)の割合が5〜20重量%であ
    り、該単繊維(A)及びその集束体(B)が非繊維バイ
    ンダー1〜20重量%/(A)+(B)を用いて固定され
    たことを特徴とする樹脂補強用不織布。
  2. 【請求項2】有機合成繊維で補強した樹脂成形品を得る
    ための成形用シートであって、該成形用シートは、単繊
    維デニール1〜50、繊維長5〜200mmの有機合成繊維単
    繊維(A)及びその集束体(B)からなり、(A)+
    (B)中に占める(A)の割合が0〜50重量%であり、
    かつ(A)+(B)中に占めるトータルデニール300以
    下の集束体(B′)と(A)の合計量が20〜80重量%で
    あり、さらに(A)+(B)中に占めるトータルデニー
    ル500以上5000以下の集束体(B″)の割合が5〜20重
    量%であり、該単繊維(A)及びその集束体(B)が非
    繊維バインダー1〜20重量%/(A)+(B)を用いて
    固定された不織布と該不織布に含浸された樹脂組成物と
    からなることを特徴とする成形用シート。
JP2041757A 1989-03-31 1990-02-21 樹脂補強用不織布及び該不織布を用いた成形用シート Expired - Fee Related JPH0790551B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2041757A JPH0790551B2 (ja) 1989-03-31 1990-02-21 樹脂補強用不織布及び該不織布を用いた成形用シート

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8211289 1989-03-31
JP1-82112 1989-03-31
JP2041757A JPH0790551B2 (ja) 1989-03-31 1990-02-21 樹脂補強用不織布及び該不織布を用いた成形用シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH037308A JPH037308A (ja) 1991-01-14
JPH0790551B2 true JPH0790551B2 (ja) 1995-10-04

Family

ID=26381409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2041757A Expired - Fee Related JPH0790551B2 (ja) 1989-03-31 1990-02-21 樹脂補強用不織布及び該不織布を用いた成形用シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0790551B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4951001A (en) * 1989-09-12 1990-08-21 Television Corporation Of America Limiter and detector circuit and method
US8452148B2 (en) 2008-08-29 2013-05-28 Corning Cable Systems Llc Independently translatable modules and fiber optic equipment trays in fiber optic equipment
WO2010061549A1 (ja) * 2008-11-26 2010-06-03 株式会社クラレ 耐衝撃性複合体
EP2959044A1 (de) * 2013-02-20 2015-12-30 SGL Automotive Carbon Fibers GmbH & Co. KG Faserbasierte trägerstruktur für flüssigkeiten und feststoffpartikel

Also Published As

Publication number Publication date
JPH037308A (ja) 1991-01-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5047288A (en) Nonwoven fabric comprising single filaments and filament bundles that yield improved impact resistant molded articles
EP1675892B1 (en) Development of thermoplastic composites using wet use chopped strand (wucs)
US4751134A (en) Non-woven fibrous product
JP5194453B2 (ja) 繊維強化樹脂
US4946738A (en) Non-woven fibrous product
JPS621969B2 (ja)
US3063883A (en) Reinforced resin laminates
DK174173B1 (da) Kompositmateriale omfattende en matriksharpiks forstærket med p-aramidfibre
JP6776735B2 (ja) 繊維強化熱可塑性プラスチック作製用プレシートの製造方法
JP2004518834A (ja) かさ高加工した繊維を用いた補強材
JP2885038B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂シ−ト及びその製造方法
JPH0790551B2 (ja) 樹脂補強用不織布及び該不織布を用いた成形用シート
JPH07108511A (ja) 木質系熱可塑性成形用板材
JP3067058B2 (ja) 樹脂補強用不織布
JP2005526188A (ja) 天然及びガラス繊維のマット
JPH0137503B2 (ja)
JPS6387228A (ja) 複合体の製造方法
JPH043461B2 (ja)
JPH08134757A (ja) 補強材及びそれを用いた繊維補強樹脂成型物
JPH0246056B2 (ja)
JPH07197304A (ja) ヘルメット
JPH0827281A (ja) ガラス繊維強化複合材料
JPH0798867B2 (ja) 成形物およびその製造方法
GB1454503A (en) Asbestos reinforced plastics materials
JPH06226739A (ja) 強度特性の優れたスタンパブルシート

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees