JPH0789676A - 工事用エレベータの運転制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 運転形態に改良を加えることにより、作業員
を実作業階に早く到着できるようにする。 【構成】 工事現場に立設したマストに駆動装置により
駆動昇降可能にエレベータ本体を設けるとともに、その
エレベータ本体の昇降経路に沿って所定間隔を隔てた各
階に開閉扉を設けた工事用エレベータの運転制御装置に
おいて、タッチパネルにより予め所定の階を停止階に設
定しておき、第１の切換スイッチ９を切換操作すること
により、呼び出し階に応答して停止する平常運転状態
と、予め設定した指定階にのみ停止するラッシュ運転状
態とに切換えられるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、躯体工事や内装工事な
どの建築工事や土木工事などの工事現場において、作業
員を搭乗するために、工事現場に立設したマストに駆動
装置により駆動昇降可能にエレベータ本体を設けるとと
もに、そのエレベータ本体の昇降経路に沿って所定間隔
を隔てた各階に開閉扉を設けた工事用エレベータの運転
制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築工事や土木工事などの工事現場で
は、工費面やスペース面などから、その建築物の大きさ
など工事規模に照らし合わせて、工事用エレベータの設
置台数が必要最小限に抑えられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
工事用エレベータでは、呼び出し階に応答して停止する
ようになっているため、朝の作業開始時とか、昼休み終
了間際の作業再開時などのように搭乗する作業員が集中
する場合でも、搭乗する作業員が要求した階の全てに停
止するために停止階数が多く、一旦上昇した後戻ってく
るまでに時間がかかって待ち時間が長くなり、作業員が
実作業階に到着して実際に作業を開始する時間が遅れが
ちで、工期が長くなるとともに人件費に起因して工費が
増大する欠点があった。

【０００４】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、運転形態に改良を加えることにより、
作業員を実作業階に早く到着できるようにすることを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述のような
目的を達成するために、工事現場に立設したマストに駆
動装置により駆動昇降可能にエレベータ本体を設けると
ともに、そのエレベータ本体の昇降経路に沿って所定間
隔を隔てた各階に開閉扉を設けた工事用エレベータの運
転制御装置において、呼び出し階に応答して停止する平
常運転状態と、予め設定した停止階にのみ停止するラッ
シュ運転状態とに切換える切換制御部をエレベータ本体
に付設して構成する。

【０００６】

【作用】本発明の工事用エレベータの運転制御装置の構
成によれば、平常時においては、搭乗する作業員が要求
する呼び出し階ごとに停止させながら、朝の作業開始時
とか、昼休み終了間際の作業再開時などのように搭乗す
る作業員が集中する場合には、切換制御部によりラッシ
ュ運転状態に切換え、例えば、３階おきとか、作業が集
中していて作業員が多い階など、所定の階を選択して停
止階として設定し、その停止階にのみエレベータ本体を
停止させ、停止する階数を少なくして、一旦上昇した後
にエレベータ本体が戻ってくるまでに要する時間を短縮
することができる。

【０００７】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

【０００８】図１の（ａ）は、本発明に係る工事用エレ
ベータの運転制御装置の実施例を示す全体概略側面図、
図１の（ｂ）は、その全体概略正面図であり、建設現場
の躯体１に隣接してマスト２が立設されるとともに、そ
のマスト２にエレベータ本体３が昇降可能に設けられ、
一方、エレベータ本体３の昇降経路Ｒに沿って所定間隔
を隔てた躯体１の各階に開閉扉４…が設けられ、作業員
を搭乗させる乗用型の工事用エレベータが構成されてい
る。

【０００９】マスト２に、その全長にわたる状態でラッ
クギア５が設けられ、一方、エレベータ本体３に、ラッ
クギア５に咬合するピニオンギア（図示せず）を駆動す
る駆動装置としての正逆転可能な一対の電動モータ６，
６が設けられ、両電動モータ６，６を互いに同調駆動し
てエレベータ本体３を駆動昇降するように構成されてい
る。

【００１０】また、図２の要部の概略斜視図に示すよう
に、エレベータ本体３内に、移動階数をデジタル表示す
る階数表示部７と、行先階を指示する行先階ボタン８…
と、キー操作式の第１および第２の切換スイッチ９，１
０と、非常停止用の押しボタンスイッチ１１とを備えた
親機１２が設けられている。親機１２と、地上に設置さ
れた電源ボックス１３とがトラベリングケーブル１４を
介して接続されるとともに、各階に設けられた子機１５
…それぞれとが、ケーブル１６と電源ボックス１３およ
びトラベリングケーブル１４を介して接続されている。

【００１１】子機１５…それぞれには、エレベータ本体
３の移動階数をデジタル表示する階数表示部１７と上階
行呼出しランプ１８ａおよび下階行呼出しランプ１８ｂ
が備えられている。第１の切換スイッチ９は、朝や昼の
作業開始前などのラッシュ時において、複数階ごとなど
予め選択設定した階にのみ停止させるラッシュ運転状態
と平常の運転状態とに切換えるスイッチであり、一方、
第２の切換スイッチ１０は、自動運転状態と、子機１５
…からの呼び出しと無関係に手動で昇降運転する状態
と、停止状態とに切換えるスイッチである。

【００１２】エレベータ本体３に制御器１９が設けら
れ、この制御器１９と親機１２とが中継ボックス２０を
介して接続されている。また、制御器１９に、アンテナ
付の非常時通話用の通話装置親機２１が接続され、更
に、中継ボックス２０に、非常時に、遠隔装置２２から
の無線信号を受信して駆動装置６の駆動を制御する遠隔
操作部としての無線機２３が付設されている。遠隔操作
部としては、専用の無線機２３に限らず、単に、中継ボ
ックス２０に受信部を備えるように構成するものでも良
い。

【００１３】エレベータ本体３の躯体１側の上下それぞ
れに一対の支柱２４，２４が立設されるとともに、エレ
ベータ本体３から昇降方向それぞれに所定距離離れた位
置において、両支柱２４，２４の一方に、赤外線を投射
する投光器２５が、他方に、投光器８からの赤外線を受
ける受光器２６がそれぞれ取り付けられて障害物センサ
２７が構成されている。

【００１４】そして、受光器２６，２６それぞれに比較
器２８が接続されるとともに、比較器２８，２８それぞ
れが中継ボックス２０を介して制御器１９に接続され、
受光器２６，２６における受光量が設定値よりも低くな
ったときや受光量の入力が無くなったとき、すなわち、
投光器２５と受光器２６との間に鉄骨や鉄筋といった各
種の資材などの障害物が入り込んだとか、それらの障害
物と衝突したといったように、要するに、障害物センサ
２７で障害物を検出したときに、比較器２８から制御器
１９に昇降停止信号を出力し、エレベータ本体３の昇降
を自動的に停止するように安全制御手段が構成されてい
る。

【００１５】電動モータ６，６を取り付けた支持プレー
ト２９に、ラックギア５に咬合するピニオンギア（図示
せず）を備えたロータリー・エンコーダ３０が取り付け
られるとともに、そのロータリー・エンコーダ３０と親
機１２とが接続され、ロータリー・エンコーダ３０によ
り回転数を計測することによってエレベータ本体３の移
動階を検出し、その移動階を親機１２および子機１５…
それぞれの階数表示部７，１７…にデジタル表示するよ
うに構成されている。

【００１６】各階の開閉扉４…に、それが閉じた状態で
作用して開閉状態を検出する扉用リミットスイッチ３１
が付設されるとともに、扉用リミットスイッチ３１…そ
れぞれと子機１５…それぞれとが接続され、各階の開閉
扉４…において、開き状態を検出したときに、その信号
を子機１５から親機１２に送り、親機１２において、開
閉扉４…の開いている階がエレベータ本体３の停止階と
異なるときに、その階に対応する行先階ボタン８を点滅
して表示させるとともに、制御器１９に昇降停止信号を
出力し、エレベータ本体３の昇降を自動的に停止するよ
うに構成されている。

【００１７】また、親機１２から子機１５…に所定周期
で監視信号を送信し、トラベリングケーブル１４や電源
ボックス１３と子機１５間のケーブル、ならびに、子機
１５，１５…間それぞれのケーブルの断線を監視し、そ
の断線を検知したときに、制御器１９に昇降停止信号を
出力し、エレベータ本体３の昇降を自動的に停止するよ
うに構成されている。

【００１８】安全制御手段の一例を示せば、図３のシー
ケンス回路図に示すように、前記障害物センサ２７，２
７に対応する上昇側常閉接点ＯＳＵと下降側常閉接点Ｏ
ＳＤとは互いに並列に接続され、手動操作によって開閉
される常開式の手動上昇用接点ＭＵと自動運転モードに
おいて自動的に開閉される常開式の自動上昇用接点ＡＵ
とを互いに並列接続した回路に、上昇側常閉接点ＯＳＵ
と、電動モータ６，６を上昇側に駆動する上昇側リレー
回路Ｕ_R と、上昇側インターロック用接点ＩＵとが直列
接続され、一方、手動操作によって開閉される常開式の
手動下降用接点ＭＤと自動運転モードにおいて自動的に
開閉される常開式の自動下降用接点ＡＤとを互いに並列
接続した回路に、下降側常閉接点ＯＳＤと、電動モータ
６，６を下降側に駆動する下降側リレー回路Ｄ_R と、下
降側インターロック用接点ＩＤとが直列接続され、更
に、両回路と直列に、過負荷検出によって開かれる過負
荷用常閉接点Ｏ．Ｌが接続され、エレベータ本体３を昇
降しているときに、上昇側または下降側のいずれであっ
ても、障害物を検出するに伴って、逆方向への移動を許
容する状態で、障害物検出側への移動を停止するように
構成されている。前記上昇側インターロック用接点ＩＵ
ならびに下降側インターロック用接点ＩＤそれぞれは、
上昇側リレー回路Ｕ_R と下降側リレー回路Ｄ_R とを同時
に励磁することを防止するために接続されているもので
ある。

【００１９】前記親機１２は、図４の（ａ）の要部の拡
大斜視図に示すように、本体パネル１２ａに表パネル１
２ｂが蝶番３２，３２を介して開閉可能に設けられると
ともに、フック３３，３３により閉じ状態で固定するよ
うに構成され、表パネル１２ｂの外面に、前述した階数
表示部７と行先階ボタン８…と第１および第２の切換ス
イッチ９，１０と押しボタンスイッチ１１とが備えられ
ている。

【００２０】表パネル１２ｂを開いた状態の本体パネル
１２ａの前面には、図４の（ｂ）の正面図に示すよう
に、タッチパネル３４が設けられ、その画面に、例え
ば、「停止階の指定をして下さい」といった案内メニュ
ーとともに、「０〜９」の数字が表示され、それらの数
字を押すことにより、停止階を選択して予め設定できる
ように構成されている。この停止階の選択は、例えば、
３階おきとか、作業が集中していて作業員が多い階など
に応じて行えば良い。殊に、工事現場では、工事の進行
に応じて、作業が集中する階が変動する事が多く、それ
らに応じて選択設定し直せば良い。

【００２１】上記設定に伴い、第１の切換スイッチ９を
ラッシュ運転状態に切換えたときに、選択設定された停
止階の行先階ボタン８…のみが点滅し、それを押したと
きに点灯状態に切換わり、停止階以外の行先階ボタン８
…を押しても点灯状態にならず、予め設定した停止階に
のみエレベータ本体３を停止させるように構成されてい
る。また、子機１５…においては、ラッシュ運転状態へ
の切換えに伴い、予め設定された停止階以外のもので
は、上階行呼出しランプ１８ａおよび下階行呼出しラン
プ１８ｂのいずれを押しても点灯状態にならず、予め設
定された停止階のもののみ点灯状態になるように構成さ
れている。

【００２２】以上の構成により、平常時においては、エ
レベータ本体３に搭乗して行先階ボタン８を押すとか、
各階において、上階行呼出しランプ１８ａおよび下階行
呼出しランプ１８ｂを押すことにより、専用のオペレー
タが搭乗しなくても、制御器１９に所定の信号を出力
し、所定の階に自動的に昇降して停止できる。

【００２３】そして、エレベータ本体３の昇降時に、そ
の昇降経路Ｒ途中に障害物が侵入したときには、それを
障害物センサ２７で検知して、制御器１９に昇降停止信
号を出力し、エレベータ本体３を自動的に停止できる。
また、停止階以外の開閉扉４が開いているときとか、親
機１２と子機１５…間の通信系の異常（ケーブル断線）
を検知したときにも、制御器１９に昇降停止信号を出力
し、エレベータ本体３を自動的に停止できる。

【００２４】障害物や開閉扉４の不測の開き状態や通信
系の異常といった異常事態の発生によってエレベータ本
体３が停止したときには、非常時用の現場事務所や警備
室などに置かれた通話装置子機３５，３５を用い、通話
装置親機２１との間で通話し、搭乗者の有無を確認する
とともに、搭乗者が有る場合には、先ず、エレベータ本
体３の外部に出ないように注意し、遠隔装置２２により
無線機２３を通じて制御器１９に無線信号を送信して駆
動装置６を操作し、例えば、エレベータ本体３の上方に
障害物が有る場合であれば、エレベータ本体３を停止位
置に近い所定の安全階に下降させ、逆に、下方に障害物
が有る場合であれば、エレベータ本体３を停止位置に近
い所定の安全階に上昇させ、それ以外の場合には、停止
位置に最も近い所定の安全階にエレベータ本体３を上昇
あるいは下降させ、エレベータ本体３を安全側に移動さ
せて搭乗者を速やかに脱出させることができる。

【００２５】しかる後に、障害物を撤去するとか、開閉
扉４を閉じるとか、通信系の修理を行うなど、異常原因
を除去して安全な状態に復帰させてから運転を再開する
ことができる。

【００２６】更に、朝の作業開始時や昼休み終了間際の
作業再開時などにおいて、第１の切換スイッチ９によ
り、ラッシュ運転状態に切換えたときには、予め設定さ
れた停止階にのみエレベータ本体３を停止させ、作業員
を実作業階に迅速に到着させることができる。実作業階
が停止階以外の作業員は、その実作業階に最も便利な停
止階を選択して降り、後は階段を利用して実作業階に行
くことになる。

【００２７】上記実施例では、ラッシュ運転状態での停
止階を設定するのに、タッチパネル３４を用いて行うよ
うに構成しているが、例えば、予め、全階に対応したＯ
Ｎ−ＯＦＦスイッチやキースイッチを備えさせ、そのＯ
Ｎ状態に切換えることで停止階を設定できるように構成
するなど、各種の変形が可能であり、それらのラッシュ
運転状態での停止階を設定するための構成と、平常運転
状態からラッシュ運転状態に切換えるための第１の切換
スイッチ９とから成る構成をして、切換制御部と総称す
る。

【００２８】上記実施例では、ラックザピニオン構成に
より、駆動装置として、ピニオンギヤを駆動する電動モ
ータ６を用いたものを示したが、本発明としては、エレ
ベータ本体３を電動ウィンチによって駆動されるワイヤ
ーに連結するタイプのものにも適用できる。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の工事用エ
レベータの運転制御装置によれば、平常時においては、
搭乗する作業員それぞれが要求する呼び出し階ごとに停
止させながら、朝の作業開始時とか、昼休み終了間際の
作業再開時などのように搭乗する作業員が集中する場合
には、ラッシュ運転状態に切換え、搭乗する作業員の要
求とは無関係に予め設定した停止階にのみエレベータ本
体を停止させ、停止する階数を少なくして、一旦上昇し
た後にエレベータ本体が戻ってくるまでに要する時間を
短縮するから、全体として、多くの作業員を実作業階に
早く到着させることができ、エレベータ本体の停止時間
の増大に起因する作業の遅れを回避でき、工期を短縮で
きるとともに人件費を低減できるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、本発明に係る工事用エレベータの運
転制御装置の実施例を示す全体概略側面図、（ｂ）は、
その全体概略正面図である。

【図２】要部の概略斜視図である。

【図３】シーケンス回路図である。

【図４】（ａ）は親機の全体斜視図、（ｂ）は表パネル
を開いた状態の親機の全体正面図である。

【符号の説明】

２…マスト ３…エレベータ本体 ４…開閉扉 ６…駆動装置としての電動モータ ９…第１の切換スイッチ ３４…タッチパネル Ｒ…昇降経路

フロントページの続き (72)発明者 豊島 義臣 大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式会 社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 谷口 惺 大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式会 社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 大内 一夫 大阪府大阪市淀川区西宮原２丁目７番50号 商工ビル 東菱機械産業株式会社内 (72)発明者 清水 徳行 大阪府大阪市淀川区西宮原２丁目７番50号 商工ビル 東菱機械産業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工事現場に立設したマストに駆動装置に
   より駆動昇降可能にエレベータ本体を設けるとともに、
   そのエレベータ本体の昇降経路に沿って所定間隔を隔て
   た各階に開閉扉を設けた工事用エレベータの運転制御装
   置において、 呼び出し階に応答して停止する平常運転状態と、予め設
   定した停止階にのみ停止するラッシュ運転状態とに切換
   える切換制御部を前記エレベータ本体に付設したことを
   特徴とする工事用エレベータの運転制御装置。