JPH0786318B2 - 鋼製構造体の継手構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、上下水道，地下鉄トンネル等の管渠，立
坑，サイロ等の塔状構造体あるいは地下駐車場，建築物
等の構造体を、鋼製ユニットを用いて構築する場合に使
用する鋼製構造体の継手構造に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、上下水道，地下鉄トンネル等の管渠を構築する場
合に使用する鋼製セグメントすなわち鋼製ユニットの継
手構造としては、特開昭60−246999号公報により公表さ
れているように、鋼製ユニットにおける継手板の内側
に、中間部が継手板から離反するように彎曲している複
数の鋼製アーチ形状板を、継手板長手方向に間隔をおい
て配置し、各アーチ形状板の両端部を、継手板長手方向
に間隔をおいて配置すると共に継手板に付し溶接により
固着して、タイドアーチを構成し、各アーチ形状板の中
央部に継手板のボルト孔と一致する中心線を有するボル
ト孔を設けた継手構造が知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

前記従来の継手構造の場合は、複数のアーチ形状板を継
手板に対し別個に溶接により固着するので、溶接量が多
くなると共に継手部の製作が煩雑になってコスト高にな
り、かつ小型の複数のアーチ形状板を別個に溶接により
固着するので、溶接歪が発生し易く、しかも継手部の製
作精度が低下する恐れがある。

また前記従来の場合は、継手板の長手方向において複数
のアーチ形状板のアーチの両端部（各基端部）を継手板
に固着するようにしているので、アーチの基端部の位置
においては、アーチ形状板は継手板の曲げ変形を防止す
る抵抗部材としての作用効果を有しないため、鋼板製フ
ランジの曲げ抵抗力に期待しなければならないという欠
点がある。

この発明は、１本物の鋼製帯状アーチ形状板４を一方の
主桁７の内面から他方の主桁８の内面にわたって継手板
2,3に直接または間接的に固着することにより、前記帯
状アーチ形状板４が、長手方向のどの断面位置において
も、継手板2,3の曲げ変形に有効に抵抗できるようにし
て、前述の問題を有利に解決した鋼製構造体の継手構造
を提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

前記目的を達成するために、この発明の鋼製構造体の継
手構造においては、鋼製ユニット１における継手板2,3
の内側に、一方の主桁７の内面から他方の主桁８の内面
にわたって継手板2,3の長手方向に延長すると共に、巾
方向の中間部が前記継手板から離反するように彎曲して
いるアーチ形断面を有する鋼製帯状アーチ形状板４が配
置され、その帯状アーチ形状板における巾方向の両側縁
部が、前記継手板2,3の巾方向の両側に対し溶接により
直接または間接的に固着されて、タイドアーチが構成さ
れ、前記帯状アーチ形状板４における巾方向の中央部
に、継手板2,3のボルト孔５と一致する中心線を有する
複数のボルト孔６が帯状アーチ形状板長手方向に間隔を
おいて設けられている。

〔実施例〕

次にこの発明を図示の例によって詳細に説明する。

図面はこの発明の一実施例を示すものであって、間隔を
おいて平行に配置された円弧状の鋼製主桁7,8の左右両
端部に、その主桁7,8とほぼ同一厚さの鋼製継手板2,3の
端部が溶接により固着され、かつその主桁7,8および継
手板2,3からなる枠体の背面に鋼製スキンプレート９が
溶接により固着されて円弧状の鋼製箱状体が構成され、
その箱状体の内部に複数の鋼製縦リブ10,吊手板11,グラ
ウト注入用ソケット12が溶接により固着され、前記継手
板2,3に複数（図示の場合は４つ）のボルト孔５が継手
板長手方向に間隔をおいて設けられ、前記主桁7,8に複
数（図示の場合は４つ）のボルト孔13が設けられて、鋼
製セグメントからなる鋼製ユニット１が構成されてい
る。

前記継手板2,3の内側に、一方の主桁７の内面から他方
の主桁８の内面にわたって継手板2,3の長手方向に延長
すると共に、巾方向の中間部が前記継手板2,3から離反
するように彎曲しているアーチ形断面を有する鋼製帯状
アーチ形状板４が配置され、主桁7,8の端部と、継手板
2,3におけるスキンプレート９と反対側の部分との間
に、鋼板製フランジ14が配置され、そのフランジ14は、
主桁7,8と継手板2,3とに溶接により固着され、前記帯状
アーチ形状板４の巾方向の一側縁における各ボルト孔６
に対向する部分は、スキンプレート９における継手板2,
3に近い位置に溶接により固着され、前記帯状アーチ形
状板４の巾方向の他側縁における各ボルト孔６に対向す
る部分は、前記フランジ14の巾方向中間部に溶接により
固着されている。

第３図ないし第５図は２つの鋼製ユニット１を連結した
状態を示すものであって、連結すべき２つの鋼製ユニッ
ト１における継手板2,3が相互に接合され、かつ各鋼製
ユニット１における各帯状アーチ形状板４のボルト孔６
と継手板2,3のボルト孔５とにわたってボルト15が挿通
され、そのボルト15とこれに螺合されたナット16とによ
り２つの鋼製ユニット１の端部が締付連結されている。

前記実施例の場合は、帯状アーチ形状板４の両側縁がス
キンプレート９およびフランジ14を介して継手板2,3に
固着されているが、帯状アーチ形状板４の両側縁が継手
板2,3に対し溶接により直接固着されてもよい。

この発明を実施する場合、第６図に示すように、帯状ア
ーチ形状板４におけるボルト15の頭部またはナット16を
支承する部分に、支承平面17を設けてもよい。

〔発明の効果〕

この発明は前述のように構成されているので、以下に記
載するような効果を奏する。

継手板2,3に対し溶接により直接または間接的に固着さ
れるアーチ形状板４が帯状の長い１本物であり、かつそ
の帯状アーチ形状板４に複数のボルト孔６が設けられて
いるので、継手板の長手方向に複数のアーチ形状板を別
個に溶接により固着する前記従来の場合に比べて、鋼製
ユニット１の継手部の製作が容易であり、かつ継手部の
溶接歪を少なくして高精度で製作することができ、さら
に前記アーチ形状板４は長い１本物であるので、少ない
溶接量で強固に固着することができると共に、継手部を
低コストで製作することができる。

また特にこの発明の場合は、一方の主桁７の内面から他
方の主桁８の内面にわたって継手板2,3の長手方向に延
長する１本物の鋼製帯状アーチ形状板４が配置されて直
接または間接的に固着されているため、曲げ変形に対し
ては、前記アーチ形状板４が、長手方向のどの断面位置
でも有効に抵抗できるため（梁効果があるため）、鋼板
製フランジ14がなくとも有効な曲げ抵抗力を発揮できる
し、鋼板製フランジ14があれば（本発明の実施例の場
合）、それと相まって一層の曲げ抵抗力を生起させるこ
とができる。

さらに前記従来の継手構造を有する鋼製セグメントを、
カーブ区間のシールドトンネルにおけるテーパーセグメ
ントや蛇行修正用テーパーセグメントとして使用する場
合は、これらのテーパーセグメントの巾（継手板の長
さ）がセグメントごとに異なるので、多種類の寸法のア
ーチ形状板を製作する必要がある。しかし、この発明の
場合は、シールドトンネルのカーブ用や蛇行修正用のセ
グメント巾の変化に容易に対応することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すものであって、第１図は
この発明の継手構造を有する鋼製ユニットの斜視図、第
２図は第１図のＡ−Ａ線拡大断面図、第３図は２つの鋼
製ユニットを連結した状態を示す平面図、第４図は第３
図のＢ−Ｂ線断面図、第５図は連結部の拡大縦断側面図
である。第６図は帯状アーチ形状板にボルト頭部または
ナットを支承する支承平面を設けた状態を示す縦断側面
図である。 図において、１は鋼製ユニット、２および３は継手板、
４は帯状アーチ形状板、５および６はボルト孔、７およ
び８は主桁、９はスキンプレート、14はフランジ、15は
ボルト、16はナットである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鋼製ユニット１における継手板2,3の内側
   に、一方の主桁７の内面から他方の主桁８の内面にわた
   って継手板2,3の長手方向に延長すると共に、巾方向の
   中間部が前記継手板から離反するように彎曲しているア
   ーチ形断面を有する鋼製帯状アーチ形状板４が配置さ
   れ、その帯状アーチ形状板における巾方向の両側縁部
   が、前記継手板2,3の巾方向の両側に対し溶接により直
   接または間接的に固着されて、タイドアーチが構成さ
   れ、前記帯状アーチ形状板４における巾方向の中央部
   に、継手板2,3のボルト孔５と一致する中心線を有する
   複数のボルト孔６が帯状アーチ形状板長手方向に間隔を
   おいて設けられている鋼製構造体の継手構造。