JPH078550A - 医療用リン酸カルシウム - Google Patents

医療用リン酸カルシウム

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JPH078550A
JPH078550A JP5184418A JP18441893A JPH078550A JP H078550 A JPH078550 A JP H078550A JP 5184418 A JP5184418 A JP 5184418A JP 18441893 A JP18441893 A JP 18441893A JP H078550 A JPH078550 A JP H078550A
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phosphate
calcium
barium
medical
calcium phosphate
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JP5184418A
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Mitsuo Kondo
光雄 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】医療用リン酸カルシウムにおいて、その機械的
強さが大きいあるいはX線不透過性を持つ医療用リン酸
カルシウムを提供することを目的とする。 【構成】バリウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロン
チウム、ケイ素の群から選ばれた少なくとも一つの元素
を固溶していることを特徴とする医療用リン酸カルシウ
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医科や歯科などに用いら
れる医療用リン酸カルシウムあるいはその原料である。
詳しくは病的あるいは外的原因等により生じた骨や歯な
どの硬組織の欠損部や空隙部に充填する医療用リン酸カ
ルシウム、あるいはその原料であり、その機械的強さが
大きい、あるいはX線不透過性を持つ医療用リン酸カル
シウムである。
【0002】
【従来の技術】リン酸カルシウムは医療用材料として注
目されている。ハイドロキシアパタイトCa10(P
46(OH)2は骨や歯など生体硬組織の主成分であ
り、化学合成したハイドロキシアパタイトも生体親和性
に優れることが知られている。またリン酸三カルシウム
Ca3(PO42はα型リン酸三カルシウムα−Ca
3(PO42、β型リン酸カルシウムβ−Ca3(P
42が知られており、これらも生体親和性に優れるリ
ン酸カルシウムとして臨床応用や研究が進められてい
る。
【0003】またリン酸四カルシウムCa4(PO42
Oも特願平4−350691に見られるように医療用硬
化性組成物の一成分として注目されている。例えばリン
酸四カルシウムとリン酸水素カルシウムCaHPO4
等モル混合物は水などで練和すると硬化し、生体親和性
に優れるハイドロキシアパタイトになる。
【0004】これらの医療用リン酸カルシウムは生体親
和性に優れる材料、あるいは生体親和性に優れる材料の
構成成分であるが、臨床応用を考えた場合、X線不透過
性に劣る、機械的強さが小さいなどの問題点があった。
これらの問題点を解決するために硫酸バリウム、バリウ
ムガラス、ストロンチウムガラス、ジルコニア、ヨード
ホルムなどのX線不透過性の材料、あるいはアルミナな
ど硬材料をリン酸カルシウムに混合する方法が提案され
ているが、リン酸カルシウムとX線不透過性材料との混
合物では、混合物のX線不透過性は優れたものになるが
生体親和性に劣ったり、硬化性組成物中に、硫酸バリウ
ム、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ジルコニ
ア、ヨードホルムなどのX線不透過性の材料を混合した
場合は、その硬化体の機械的強さが小さくなったりして
問題が多い解決法であった。また硬化性組成物において
硬化体の機械的強さの向上を目的として硬材料を混合し
た場合も硬化体の強さが、逆に小さくなるなど解決法と
は至らなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のリン酸カルシウ
ムは生体親和性に優れる、あるいは生体親和性に優れる
材料の構成成分となるがX線不透過性に劣ったり、機械
的強さが不十分であった。本発明は生体親和性に優れ、
かつX線不透過性を有する、あるいは機械的強さが大き
い医療用リン酸カルシウムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前項に記載したリン酸カ
ルシウムにおけるX線不透過性、機械的強さに関する問
題点を解決するために本発明者は新たなリン酸カルシウ
ムを種々検討した結果、リン酸カルシウムにおいてバリ
ウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ
素の群から選ばれた少なくとも一つを固溶していること
を特徴とする医療用リン酸カルシウムが優れたX線不透
過性、あるいは機械的強さを示し、臨床応用可能な医療
用リン酸カルシウムであることを見いだし本発明を完成
した。
【0007】即ち、本発明の医療用リン酸カルシウムと
はリン酸カルシウムにおいてバリウム、ビスマス、ジル
コニウム、ストロンチウム、ケイ素の群から選ばれた少
なくとも一つを固溶していることを特徴とする医療用リ
ン酸カルシウムである。
【0008】本発明でいうリン酸カルシウムとはリン酸
PO4、ならびにカルシウムCaを主成分として含有す
る化合物であり、その水素塩も含まれる。また本発明に
おいて用いられる場合にはリン酸カルシウムに他の元素
が固溶されている場合もリン酸カルシウムと呼ぶ。
【0009】本発明でいう固溶とは、異なる物質が互い
に溶け合った状態をいう。本発明で用いられる場合、固
溶とは全組成にわたって元素が均一である必要はなく一
部分が溶け合った状態もこれに含まれる。
【0010】本発明でいうリン酸四カルシウムはCa4
(PO42Oであり、一般的な合成方法としては、原料
のカルシウムとリン酸のモル比が2:1になるように混
合し1200度以上で焼成後急冷あるいは窒素等不活性
ガス雰囲気下で1200度に焼成すれば得られる。例え
ば原料としてリン酸水素カルシウムと炭酸カルシウムを
等モル混合したものが例示される。機械的強さの向上な
どを目的としてリン酸四カルシウムにリン酸三カルシウ
ムを混合させるためにカルシウムとリン酸の比を2:1
より小さくすることも可能である。
【0011】本発明でいうリン酸三カルシウムはCa3
(PO42でありα−Ca3(PO42、β−Ca3(P
42のいずれでもよいが、α−Ca3(PO42がよ
り生体活性な材料として知られている。リン酸三カルシ
ウムの製造法としてはカルシウム源とリン酸源を3:2
のモル比に混合し加熱する。1200度以上ではα型リ
ン酸三カルシウムが1000度以下ではβ型リン酸三カ
ルシウムが主に生成することが公知となっている。
【0012】本発明でいうハイドロキシアパタイトはC
10(PO46(OH)2であり、カルシウム源とリン
酸源を5:3のモル比に混合し加熱する。原料により多
少異なるが800度から1200度でハイドロキシアパ
タイトが生成する。
【0013】本発明でいうバリウム化合物とは化学式中
にバリウムを含む化合物であり、酢酸バリウム、臭化バ
リウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウ
ム、フッ化バリウム、ギ酸バリウム、水酸化バリウム、
ヨウ化バリウム、マンガン酸バリウム、モリブデン酸バ
リウム、硝酸バリウム、亜硝酸バリウム、酸化バリウ
ム、過塩素酸バリウム、リン酸バリウム、ステアリン酸
バリウム、硫酸バリウム、硫化バリウム、チオシアン酸
バリウム、チタン酸バリウム、タングステン酸バリウム
などで例示されるバリウム化合物である。
【0014】本発明でいうビスマス化合物とは化学式中
にビスマスを含む化合物であり、酢酸ビスマス、炭酸ビ
スマス、クエン酸ビスマス、塩化ビスマス、水酸化ビス
マス、ヨウ化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、
オキシ塩化ビスマス、硫酸ビスマスなどで例示されるビ
スマス化合物である。
【0015】本発明でいうジルコニウム化合物とは化学
式中にジルコニウムを含む化合物であり、ジルコニウム
アセチルアセトネート、ホウ化ジルコニウム、炭酸ジル
コニウム、塩化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、窒
化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコ
ニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニ
ウム、オキシリン酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム
などで例示されるジルコニウム化合物である。
【0016】本発明でいうストロンチウム化合物とは化
学式中にストロンチウムを含む化合物であり、酢酸スト
ロンチウム、臭化ストロンチウム、炭酸ストロンチウ
ム、塩化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、水酸
化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酸化ストロン
チウム、硫酸ストロンチウムなどで例示されるストロン
チウム化合物である。
【0017】本発明でいうケイ素化合物とは化学式中に
ケイ素を含む化合物であり、四塩化ケイ素、一酸化ケイ
素、二酸化ケイ素、ケイタングステン酸、ヘキサフルオ
ロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸カルシウムなどで例示されるケイ素化合物で
ある。
【0018】本発明は下に記述する原理で構成される。
【0019】リン酸カルシウムの多くは乾式法によって
製造される。すなわちリン酸源およびカルシウム源とな
る原料粉末を混合し、高温に加熱して製造する。リン酸
カルシウムの製造方法としては他にも水溶液中における
カルシウムイオンとリン酸イオンの反応による湿式法が
あるが、リン酸四カルシウムおよびリン酸三カルシウム
などは乾式法によってしか製造されない。
【0020】一方、X線不透過性はバリウム、ビスマ
ス、ジルコニウム、ストロンチウムなどの元素によって
もたらされる。これらの元素、あるいはこれらの元素を
含む化合物は高温に加熱するとリン酸カルシウムに固溶
するのでリン酸カルシウムの製造に際してバリウム、ビ
スマス、ジルコニウム、ストロンチウムなどの元素、あ
るいはこれらの元素を含む化合物を混合しておけばバリ
ウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウムなど、
あるいはその化合物を固溶したリン酸カルシウム、すな
わちX線不透過性のある医療用リン酸カルシウムを製造
することができる。
【0021】同様にケイ素あるいはケイ素を含む化合物
をリン酸カルシウムの製造に際して混合しておけばケイ
素あるいはケイ素化合物を固溶した医療用リン酸カルシ
ウム、すなわち機械的強さの大きい医療用リン酸カルシ
ウムを製造することができる。
【0022】本発明の医療用リン酸カルシウムにおい
て、バリウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウ
ム、ケイ素元素、あるいはバリウム、ビスマス、ジルコ
ニウム、ストロンチウム、ケイ素化合物がリン酸カルシ
ウムに固溶していることは必要かつ十分条件である。
【0023】従って、上述の製造法とは異なる製造方
法、例えばリン酸カルシウムを製造する際にバリウム、
ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ素元
素、あるいはバリウム、ビスマス、ジルコニウム、スト
ロンチウム、ケイ素化合物を混合するのではなく、製造
されたリン酸カルシウムとバリウム、ビスマス、ジルコ
ニウム、ストロンチウム、ケイ素元素、あるいはバリウ
ム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ素
化合物を混合、高温で処理し、バリウム、ビスマス、ジ
ルコニウム、ストロンチウム、ケイ素元素、あるいはバ
リウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケ
イ素化合物をリン酸カルシウムに固溶させることも本発
明に含まれる。
【0024】従って現在行われている、リン酸カルシウ
ムとX線不透過性材料との単純な混合などは本発明に含
まれず、また本質的に異なるものである。
【0025】固溶と混合の重大な差異は、医療用リン酸
カルシウムにおいて、生体親和性が重要な性質の一つで
あることに起因する。リン酸カルシウムは非常に良好な
生体親和性を示すことが既に知られているが、一方バリ
ウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ
素元素、あるいはバリウム、ビスマス、ジルコニウム、
ストロンチウム、ケイ素化合物は必ずしも良好な生体親
和性を示すとは報告されていない。材料における生体親
和性は材料表面と生体との反応であり、材料表面ができ
る限り生体親和性に優れるリン酸カルシウムであること
が生体親和性の点からは好ましい。
【0026】例えばX線不透過性を得ることを目的とし
てリン酸四カルシウムに30重量パーセントの炭酸バリ
ウムを混合したとすれば30重量パーセントの炭酸バリ
ウムの表面はその全てが、生体と接触することになる。
一方、バリウム元素として30重量パーセントを固溶し
たリン酸四カルシウムが生体と接触することを考えた場
合、大部分のバリウム元素は医療用リン酸カルシウムの
内部に含有されているので、生体親和性には大きな影響
を与えない。
【0027】リン酸カルシウムを原料とする硬化性組成
物の場合には、更に大きな差異が生じる。例えばリン酸
四カルシウムとリン酸水素カルシウムの等モル混合物か
らなる硬化性組成物にX線不透過性の付与を目的として
X線不透過性材料である次炭酸ビスマスを混合したとす
る。当然、次炭酸ビスマスを混合した硬化性組成物はX
線不透過性を有し、その硬化体もX線不透過性を有する
が、次炭酸ビスマスは硬化反応に寄与せず、不純物とし
て反応を阻害するだけであり、結果として機械的強さに
劣る硬化体を与える硬化性組成物となる。
【0028】本発明の医療用リン酸カルシウムは以下に
記載する方法で製造される。
【0029】例えば医療用リン酸四カルシウムを製造す
る場合、上述した様に、原料のカルシウム成分とリン酸
成分のモル比が2:1になるように混合し1200度以
上で焼成後急冷あるいは窒素等不活性ガス雰囲気下で1
200度に焼成すれば得られる。例えば原料としてはカ
ルシウム源としては炭酸カルシウム、酸化カルシウム、
水酸化カルシウム、リン酸源として五酸化二リン、正リ
ン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウムな
どが、またカルシウムとリン酸とを両方含有する原料と
してはリン酸水素カルシウム、ホスフィン酸カルシウム
などを使用することができる。
【0030】このカルシウム源およびリン酸源を所望の
カルシウムとリン酸のモル比になるように混合する際に
リン酸カルシウムに、バリウム、ビスマス、ジルコニウ
ム、ストロンチウム、ケイ素の群から選ばれた所望の元
素の少なくとも一つを固溶させる目的でバリウム、ビス
マス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ素の群から
選ばれた少なくとも一つの元素あるいはその化合物をリ
ン酸源およびカルシウム源と共に混合し、その後に焼成
する。するとバリウム、ビスマス、ジルコニウム、スト
ロンチウム、ケイ素の群から選ばれた元素は、元素とし
てあるいは化合物としてリン酸四カルシウムに固溶す
る。
【0031】この際にバリウム、ビスマス、ジルコニウ
ム、ストロンチウム、ケイ素の化合物のいくつかはリン
酸と、あるいはカルシウムと化合物を生成する。例えば
バリウムの場合、Ba3(PO42、Ba10(PO46
(OH)2などを生成する。生成する化合物は焼成の温
度などに大きく依存するが、いずれにしてもリン酸、あ
るいはカルシウムがリン酸カルシウム生成以外に用いら
れるので当初のカルシウムとリン酸のモル比を生成する
バリウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、
ケイ素のリン酸化合物あるいはカルシウム化合物を考慮
に入れて補正することが好ましい。
【0032】リン酸カルシウムの原料と混合するバリウ
ム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ素
の群から選ばれる元素あるいは化合物の量については特
に制限はなく、例えばX線不透過性についてなら当該元
素の量が多くなるに従いX線不透過性が向上する。しか
しながら、臨床上の利便性を考慮すると極少量当該元素
あるいはその化合物を混合して焼成した結果得られる当
該元素が固溶した医療用リン酸カルシウムでは本発明の
効果が必ずしも顕著ではない。したがって本発明によっ
て得られる医療用リン酸カルシウムの重量に占めるバリ
ウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ
素の元素の重量の合計がリン酸カルシウムに対して重量
パーセントで3重量パーセント以上であることが好まし
く、5重量パーセント以上であることがより好ましい。
【0033】X線不透過性などは当該元素の含有量によ
って影響される。例えば医療用リン酸四カルシウムの製
造に際してカルシウム成分、リン酸成分に加えて塩化バ
リウムを混合、焼成した場合、塩素イオンが残存するの
で塩化バリウムがリン酸四カルシウムに固溶した医療用
リン酸カルシウムが製造できるが、塩素のX線不透過性
はバリウムに比較して無視できるほど小さい。従ってバ
リウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケ
イ素の元素の医療用リン酸カルシウムにおける重量パー
セントを計算するにはバリウム、ビスマス、ジルコニウ
ム、ストロンチウム、ケイ素化合物として計算するので
はなくバリウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチ
ウム、ケイ素の元素として計算することが本質的であ
る。
【0034】本発明において医療用リン酸カルシウム製
造の際にバリウム、ビスマス、ジルコニウム、ストロン
チウム、ケイ素元素、あるいはバリウム、ビスマス、ジ
ルコニウム、ストロンチウム、ケイ素化合物の二つ以上
をカルシウム原料、リン酸原料と混合し、焼成すること
は本発明に含まれる概念である。例えば医療用リン酸カ
ルシウムを製造する際に、X線不透過性に影響の大きい
バリウムと機械的強さの向上に影響の大きいケイ素を両
方混合するとX線不透過性を持ち、機械的強さの大きい
医療用リン酸カルシウムを製造することができる。
【0035】本発明を実施例で更に詳しく説明する。な
お最近、リン酸三カルシウムおよびリン酸四カルシウム
は、リン酸カルシウムなど他のリン酸カルシウムと混合
し、その混合粉末を水などで練和することによりセメン
トの様に硬化することがわかり、現在注目されている。
したがって実施例では単独の医療用リン酸カルシウムの
製造だけでなくリン酸四カルシウムとリン酸水素カルシ
ウムの粉末を等モル混合して製造した硬化性組成物につ
いても示した。この場合、硬化性組成物の機械的強さの
測定は日本工業規格T6602に規定されている歯科用
りん酸亜鉛セメントの破砕抗力試験に準じて測定した。
ただし、この規格は歯科用りん酸亜鉛セメント用であ
り、日本工業規格T6602に規定は「標準ちょう度の
セメントを練和を開始してから3分を経過したときに恒
温器中に移す」と規定されているが本実施例の場合には
硬化性組成物の臨床応用を考慮してP/Lを4.0と
し、練和を開始して1分で恒温器中に試料を移した。ま
た硬化性組成物の硬化物における成分は、粉末X線回折
法によって分析した。
【0036】
【実施例1】炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、
炭酸バリウムをボールミルで24時間混合した。なお焼
成後、Ba3(PO42が固溶しているリン酸四カルシ
ウムが生成すると仮定して医療用リン酸四カルシウムで
あるBa3(PO42が固溶しているリン酸四カルシウ
ムに対するバリウム元素の重量パーセントが10重量パ
ーセントになるように、また生成するBa3(PO42
を除いたカルシウムとリン酸とのモル比がリン酸四カル
シウムのカルシウムとリン酸のモル比である2.0にな
るように炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよび
炭酸バリウムを混合した。混合物を電気炉にて大気中1
600度で24時間焼成し、その後、デシケータ中で室
温まで急冷した。乳鉢にて粉砕後、本医療用リン酸四カ
ルシウムのX線不透過性を医療用レントゲンにて測定す
ると骨などと十分に識別可能なX線不透過性を示した。
【0037】
【実施例2】実施例1と同様にリン酸四カルシウムを製
造したが炭酸バリウムは混合しなかた。したがってバリ
ウムが固溶していない純粋なリン酸四カルシウムが製造
された。本リン酸四カルシウムのX線不透過性を医療用
レントゲンにて測定すると皮質骨と同程度のX線不透過
性を示したが、X線不透過性は十分ではなかった。
【0038】
【実施例3】実施例2で製造したリン酸四カルシウムに
炭酸バリウムをバリウム元素の重量パーセントが10重
量パーセントになるよう混合した。本医療用リン酸四カ
ルシウムのX線不透過性を医療用レントゲンにて測定す
ると骨などと十分に識別可能なX線不透過性を示した。
【0039】
【実施例4】実施例1で製造した医療用リン酸四カルシ
ウムと市販のリン酸水素カルシウムを1:1のモル比で
混合した硬化性組成物を製造した。水を練和液として練
和した硬化体の24時間後の破砕抗力は960kgf/
cm2であった。硬化体の主成分はハイドロキシアパタ
イトであり、また硬化体のX線不透過性を医療用レント
ゲンにて測定すると骨などと十分に識別可能なX線不透
過性を示した。
【0040】
【実施例5】実施例1で製造した医療用リン酸四カルシ
ウムのかわりに実施例2で製造したリン酸四カルシウム
を使用して硬化性組成物を製造し、実施例4と同様な検
討を行った。硬化体の24時間後の破砕抗力は実施例4
の場合と同じ960kgf/cm2であり、硬化体の主
成分もハイドロキシアパタイトであった。しかし硬化体
のX線不透過性を医療用レントゲンにて測定すると皮質
骨と同程度あるいはそれより低いX線不透過性を示し、
X線不透過性は十分ではなかった。
【0041】
【実施例6】実施例5で製造した硬化性組成物に炭酸バ
リウムを硬化性組成物に対するバリウム元素の重量パー
セントが10重量パーセントになるように混合した新規
の硬化性組成物を製造した。水を練和液として練和した
硬化体の24時間後の破砕抗力は660kgf/cm2
であり有意に実施例4および実施例5で得た硬化体より
機械的強さが小さいものであった。しかし、硬化体のX
線不透過性を医療用レントゲンにて測定すると骨などと
十分に識別可能なX線不透過性を示した。
【0042】
【実施例7】炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、
次炭酸ビスマスをボールミルで24時間混合した。なお
焼成後、Ca3Bi(PO43が固溶しているリン酸四
カルシウムが生成すると仮定して医療用リン酸四カルシ
ウムであるCa3Bi(PO43が固溶しているリン酸
四カルシウムに対するビスマス元素の重量パーセントが
7重量パーセントになるように、また生成するCa3
i(PO43を除いたカルシウムとリン酸とのモル比が
リン酸四カルシウムのカルシウムとリン酸のモル比であ
る2.0になるように炭酸カルシウム、リン酸水素カル
シウムおよび次炭酸ビスマスを混合した。混合物は電気
炉にて大気中1500度で24時間焼成し、その後、デ
シケータ中で室温まで急冷した。乳鉢にて粉砕後、本医
療用リン酸四カルシウムのX線不透過性を医療用レント
ゲンにて測定すると実施例1で製造されて医療用リン酸
四カルシウムには劣るが骨などと十分に識別可能なX線
不透過性を示した。
【0043】
【実施例8】炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、
酸化ジルコニウムをボールミルで24時間混合した。な
お焼成後、CaZr(PO42が固溶しているリン酸三
カルシウムが生成すると仮定して医療用リン酸三カルシ
ウムであるCaZr(PO42が固溶しているリン酸三
カルシウムに対するジルコニウム元素の重量パーセント
が10重量パーセントになるように、また生成するCa
Zr(PO42を除いたカルシウムとリン酸とのモル比
がリン酸三カルシウムのカルシウムとリン酸のモル比で
ある1.5になるように炭酸カルシウム、リン酸水素カ
ルシウムおよび酸化ジルコニウム混合した。混合物は電
気炉にて大気中1700度で24時間焼成し、その後、
デシケータ中で室温まで急冷した。乳鉢にて粉砕後、本
医療用リン酸四カルシウムのX線不透過性を医療用レン
トゲンにて測定すると実施例1で製造されて医療用リン
酸四カルシウムど同程度で骨などと十分に識別可能なX
線不透過性を示した。
【0044】
【実施例9】炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、
ケイ酸カルシウムをボールミルで24時間混合した。な
お焼成後、Si3(PO44が固溶しているハイドロキ
シアパタイトが生成すると仮定して医療用ハイドロキシ
アパタイトであるSi3(PO44が固溶しているハイ
ドロキシアパタイトに対するケイ素元素の重量パーセン
トが10重量パーセントになるように、また生成するS
3(PO44を除いたカルシウムとリン酸とのモル比
がハイドロキシアパタイトのカルシウムとリン酸のモル
比である1.67になるように炭酸カルシウム、リン酸
水素カルシウムおよびケイ酸カルシウムを混合した。混
合物は電気炉にて大気中1300度で24時間焼成し、
その後、デシケータ中で室温まで急冷した。乳鉢にて粉
砕後、本医療用ハイドロキシアパタイトのX線不透過性
を医療用レントゲンにて測定すると実施例1で製造され
て医療用リン酸四カルシウムど同程度で骨などと十分に
識別可能なX線不透過性を示した。
【0045】
【実施例10】実施例9で製造した医療用ハイドロキシ
アパタイト粉末をラバープレスし、1300度で24時
間焼成し、その後炉冷し、ハイドロキシアパタイト焼結
体を製造した。本ハイドロキシアパタイト焼結体のX線
不透過性を医療用レントゲンにて測定すると実施例1で
製造した医療用リン酸四カルシウムよりは劣るが骨など
と識別可能なX線不透過性を示した。またこのハイドロ
キシアパタイト焼結体の機械的強さを測定するために焼
結体を長さ25mm、幅6mm、暑さ3mmに加工し、
スパン距離20mm、クロスヘッドスピード0.5mm
/分で三点曲げ試験を行うと、本焼結体の曲げ強さは約
90MPaであった。
【0046】
【実施例11】市販のハイドロキシアパタイト粉末を用
いてケイ素が固溶していないハイドロキシアパタイト焼
結体を製造し実施例10と同様な検討を行った。本ハイ
ドロキシアパタイト焼結体のX線不透過性を医療用レン
トゲンにて測定すると実施例1で製造した医療用リン酸
四カルシウムよりは劣るが骨などと識別可能なX線不透
過性を示した。実施例10で製造したハイドロキシアパ
タイト焼結体とのX線不透過性に関する差異は顕著でな
かった。このハイドロキシアパタイト焼結体の機械的強
さを測定するために焼結体を長さ25mm、幅6mm、
暑さ3mmに加工し、スパン距離20mm、クロスヘッ
ドスピード1mm/分で三点曲げ試験を行うと、本焼結
体の曲げ強さは約120MPaであり、実施例10で製
造したハイドロキシアパタイト焼結体より大きい機械的
強さを示した。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウムにおいて、バリウム、
    ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ素の群
    から選ばれた少なくとも一つの元素を固溶していること
    を特徴とする医療用リン酸カルシウム。
  2. 【請求項2】 リン酸カルシウムがリン酸四カルシウ
    ム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイトであ
    ることを特徴とする請求項1の医療用リン酸カルシウ
    ム。
  3. 【請求項3】 リン酸カルシウムに含有されるバリウ
    ム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ素
    の元素の重量の合計がリン酸カルシウムに対して3重量
    %パーセント以上であることを特徴とする請求項1の医
    療用リン酸カルシウム。
  4. 【請求項4】 リン酸カルシウムに含有されるバリウ
    ム、ビスマス、ジルコニウム、ストロンチウム、ケイ素
    の元素の重量の合計がリン酸カルシウムに対して3重量
    %パーセント以上であることを特徴とする請求項2の医
    療用リン酸カルシウム。
  5. 【請求項5】 リン酸カルシウムがリン酸四カルシウ
    ム、リン酸三カルシウムであることを特徴とする請求項
    1の医療用リン酸カルシウム。
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