JPH0784101A - 耐衝撃性プラスチックレンズ - Google Patents

耐衝撃性プラスチックレンズ

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JPH0784101A
JPH0784101A JP5250948A JP25094893A JPH0784101A JP H0784101 A JPH0784101 A JP H0784101A JP 5250948 A JP5250948 A JP 5250948A JP 25094893 A JP25094893 A JP 25094893A JP H0784101 A JPH0784101 A JP H0784101A
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JP
Japan
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plastic lens
primer layer
resistant plastic
weight
lens
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JP5250948A
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English (en)
Inventor
Tomoya Shitsuin
智哉 執印
Toshihiko Horibe
敏彦 堀部
Koji Watanabe
浩二 渡邉
Toshio Konishi
図志夫 小西
Toru Yashiro
透 八代
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ハードコート層形成時にプライマー層であるポ
リウレタンが溶出せず、米国のFDA規格を十分合格す
る強度を備えたプラスチックレンズであって、更に高屈
折率レンズ基材に対しても高いプライマー屈折率を有す
る耐衝撃性プラスチックレンズを得る。 【構成】プラスチックレンズ基材の少なくとも一方の表
面上に基材側から順にプライマー層、ハードコート層を
形成してなる耐衝撃性プラスチックレンズにおいて、前
記プライマー層が熱硬化性ポリウレタン樹脂よりなるも
の。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被覆膜の耐衝撃性、密
着性が良好で、レンズ染料の脱色や加熱によるレンズの
変形がなく、耐擦傷性、耐薬品性、耐候性、反射防止性
の優れたプラスチックレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、従来のガラスレ
ンズに比べ軽量で、かつ加工性、耐衝撃性に優れ、染色
し易い等の有用な利点を備えており、ガラスレンズに変
わるものとして使用されつつある。そのため、使用目的
に応じて改良したプラスチックレンズが次々に提案さ
れ、最近では、高屈折率、低色収差のプラスチックレン
ズが数多く提供されている。
【0003】このようなプラスチックレンズは、前述し
たような数多くの有用な利点を有しているが、硬度が不
十分で非常に傷つき易い、溶媒に侵され易い、帯電して
埃を吸着する、耐熱性が不十分等の欠点もまた有してい
る。
【0004】従って、通常提供されているプラスチック
レンズには、硬度の向上を測るためにその表面にハード
コート膜を形成させたものが一般的である。さらに、場
合によっては、表面反射を抑止するために形成させたハ
ードコート膜の上に反射防止膜を形成させている。
【0005】しかしながら、ハードコート膜またはハー
ドコート膜と反射防止膜の双方を設けたプラスチックレ
ンズは、ハードコート膜がプラスチックレンズに比べて
硬すぎるため、膜を一切設けないプラスチックレンズに
比べ、耐衝撃性に劣るという欠点がある。
【0006】従って、この問題の解決が多方面で検討さ
れており、その一つにレンズ基材とハードコート膜の間
に衝撃を緩衝するウレタン系樹脂製のプライマー層を設
けたものが提案されている。
【0007】一般に、ウレタン系樹脂製のプライマー層
は、予め活性水素化合物とポリイソシアネートを反応さ
せてポリウレタンを合成し、そのポリウレタンを溶媒に
溶かして得た塗料をレンズ基材に塗布した後、溶媒を揮
発させることにより得るものがある。
【0008】例えば、ジオールとジイソシアネートの反
応により生成させたポリウレタン樹脂を溶媒に溶かした
溶液をレンズ基材に塗布した後、加熱処理して溶媒を揮
発させることにより熱可塑性のポリウレタン膜を形成さ
せたプラスチックレンズが開示されている。(特開昭6
3−87223号公報)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリウ
レタンを溶媒に溶かして得た塗料をレンズ基材に塗布し
た後、溶媒を揮発させることにより得た熱可塑性ポリウ
レタンのプライマー層は、架橋構造を有していないため
に耐衝撃性が著しく落ちる。更に、このポリウレタン製
プライマー層を形成させたレンズをハードコート液に浸
すと、プライマー層のポリウレタンが、溶剤に溶出して
ハードコート液を汚染する可能性がある。
【0010】更に、このような架橋構造を有していない
熱可塑性ポリウレタンのプライマー層は、耐衝撃性は米
国のFDA規格は満足するものの、更なる耐衝撃性を有
するプラスチックレンズの要望もある。
【0011】また、高屈折率のプラスチックレンズ基材
にプライマー層を設けた場合、プライマー層の屈折率が
プラスチックレンズ基材の屈折率と大きく異なると、プ
ライマー層の屈折率とプラスチックレンズ基材屈折率と
の差による干渉縞が発生しやすい。さらに、その上にプ
ライマー層との屈折率の差が大きいハードコート層を設
けると干渉縞は一層顕著となり、外見上非常に見苦しい
レンズとなる。
【0012】従って本発明は、ハードコート層形成時に
プライマー層であるポリウレタンが溶出せず、米国のF
DA規格を十分合格する強度を備えたプラスチックレン
ズであって、更に高屈折率レンズ基材に対しても高いプ
ライマー屈折率を有する耐衝撃性プラスチックレンズを
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
本発明の請求項1に係る発明は、プラスチックレンズ基
材の少なくとも一方の表面上に、基材側から順にプライ
マー層、ハードコート層を形成してなる耐衝撃性プラス
チックレンズにおいて、前記プライマー層が熱硬化性ポ
リウレタン樹脂よりなることを特徴とするものである。
【0014】請求項2に係る発明は、請求項1の耐衝撃
性プラスチックレンズにおいて、前記プライマー層は、
非ブロック型ポリイソシアネートとポリオール及び/又
はポリチオールとを主成分とした組成物の反応生成物よ
りなることを特徴とするものである。
【0015】また、請求項3に係る発明は、請求項1の
耐衝撃性プラスチックレンズにおいて、前記プライマー
層が鎖延長剤を含んでいることを特徴とするものであ
る。
【0016】更に、請求項4に係る発明は、請求項2の
耐衝撃性プラスチックレンズにおいて、前記ポリオール
は、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオ
ール、アクリルポリオールのいずれか一種以上から選ば
れたことを特徴とするものである。
【0017】請求項5に係る発明は、請求項1〜3のい
ずれかの耐衝撃性プラスチックレンズにおいて、前記プ
ライマー層は、硬化触媒を用いてなることを特徴とする
ものである。
【0018】また、請求項6に係る発明は、請求項1〜
5のいずれかの耐衝撃性プラスチックレンズにおいて、
前記プライマー層の膜厚が、0.5μm〜5μmの範囲
を満たしていることを特徴とするものである。
【0019】更に、請求項7に係る発明は、請求項1〜
6のいずれかの耐衝撃性プラスチックレンズにおいて、
前記プラスチックレンズ基材の表面に形成されたハード
コート層上に反射防止膜が形成されてなることを特徴と
するものである。
【0020】請求項8に係る発明は、請求項1〜7のい
ずれかの耐衝撃性プラスチックレンズにおいて、前記プ
ラスチックレンズ基材は、主鎖および/または側鎖に、
ベンゼン環、ナフタレン環、カーボネート結合、ウレタ
ン結合、ハロゲン元素を少なくとも1種有する液状硬化
性化合物よりなることを特徴とするものである。
【0021】
【作用】本発明では、プライマー層として熱硬化性ポリ
ウレタン樹脂を用いる。さらに好ましくは、プライマー
層として非ブロック型ポリウレタン樹脂を用いる。具体
的には、活性水素化合物とポリイソシアネートと溶媒と
必要に応じて用いられる硬化触媒とからなる塗料をレン
ズ基材に塗布し、加熱処理することにより活性水素化合
物とポリイソシアネートを反応させて用いる。
【0022】得られたプライマー層は、架橋構造を有す
る熱硬化性ポリウレタン樹脂よりなるため、耐衝撃性が
向上すると共にプライマー層形成後にレンズ基材をハー
ドコート液に浸してもポリウレタンが溶出することがな
く、ハードコート液を汚染する心配がない。
【0023】しかし、主成分のポリイソシアネートがブ
ロック型の場合、110℃以上の高温で加熱しないとイ
ソシアネート基を保護しているブロッキング剤が遊離し
ないため、100℃以下ではポリオールの活性水素とイ
ソシアネート基が反応できない。従って、ブロック型ポ
リイソシアネートを使用すると必然的に処理温度が高く
なる。
【0024】処理温度が高いと、例えば、端面の薄いレ
ンズや非球面レンズ、変形し易いプラスチックレンズ、
加熱による変色し易いレンズ、分散染料を基材内部に有
している染色レンズ等に適応させることができない。
【0025】即ち、これらのレンズは110℃以上の高
温で加熱するとレンズ基材の変形や、レンズ基材の変色
等の問題を生じる。特に、染色レンズは分散という形で
染料が基材の内部に入っているため、ハードコート層を
形成させるために高温の熱を加えると染料が昇華または
拡散という形で基材内部から外に移行し、レンズ基材の
脱色並びにハードコート液の汚染が起こる。
【0026】従って、本発明は好ましくは、非ブロック
型ポリイソシアネートとポリオール及び/又はポリチオ
ールとを主成分とした組成物の反応生成物よりプライマ
ー層を形成させると良い。この場合、イソシアネート基
とポリオールの活性水素との反応を常温で進行させるこ
とが可能で、低い温度で塗膜を形成させることが可能で
ある。
【0027】これにより、高温処理による影響、具体的
には、プラスチックレンズの変形や、変色、レンズ基材
の脱色並びにハードコート液の汚染等を防ぐことが可能
であるのは勿論、高温処理を行うと悪影響が出るために
従来適応できなかったレンズ類に対しても適応させるこ
とが可能である。
【0028】非ブロック型ポリイソシアネートの例とし
ては、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニル
メタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジ
イソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェ
ート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメ
チルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジエソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジ
ンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデ
カントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−
4−イソシナネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキ
サメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリ
イイソシアネートなどの単量体および/または数分子を
種々の方法で結合させた付加物や、イオウ若しくはハロ
ゲン基を1種または2種以上含むポリイソシアネート、
およびその変性体などが挙げられる。変性体の例として
はビュウレット、イソシアヌレート、アロファネート、
カルボジイミドなどが挙げられる。これらは単独で用い
てもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
【0029】更に、本発明において、ポリウレタンプラ
イマー層の屈折率は、芳香環またはイオウ、ハロゲン基
なとをポリイソシアネートまたはポリオールに含ませる
ことにより1.49〜1.65の間を変化させることが
できる。
【0030】通常使用されるプラスチックレンズ基材の
屈折率は、1.49〜1.65の範囲にあるから、プラ
イマー層として必要な屈折率は1.49〜1.65の範
囲であれば問題ないが、目的とするプラスチックレンズ
の屈折率とプライマー層との屈折率の差の絶対値が0.
01以内にあるプライマーが好ましく、本発明において
はその調整が可能である。
【0031】即ち、本発明のプライマー層は、目的とす
るプラスチックレンズ基材の屈折率に合わせて調整する
ことができるので、プライマー層上にハードコートを形
成させても、反射光の干渉による干渉縞の発生を抑えた
プラスチックレンズを得ることができる。
【0032】ここで、プライマー層の組成物中の主成分
であるイソシアネート基と水酸基の比率をモル比で1.
0±0.3、特に好ましくは、1.0±0.2の範囲に
すれば、未反応のイソシアネートまたは水酸基を極力少
なくすることができ、これにより塗膜時に未反応のイソ
シアネートまたは水酸基の存在により発生するクモリな
どを防止することができる。
【0033】また、組成物を構成する成分は、ケトン
類、エステル類、エーテル類、アミン類等の溶媒により
ある決められた濃度に希釈される。その他の公知の溶媒
も使用可能であるが、特に好ましくは、酢酸エチル、メ
チルエチルケトン、エチレングリコールモノエチルエー
テル、ジメチルホルムアミドである。これらは単独で用
いても良いし、2種以上の混合溶媒としても良い。
【0034】前記組成物中には、塗布性を改善するため
のレベリング剤や耐候性向上のための紫外線吸収剤や酸
化防止剤を添加することも可能である。前記組成物の塗
布方法はスピンコート法、ディッピング法等公知の方法
であれば特に制限はないが、ポットライフなどを考える
とスピンコート法が好ましい。
【0035】更に、本発明では、プライマー層の組成物
が鎖延長剤を含んでいるものであるため、塗膜の架橋密
度を調整することができるので、擦傷性、衝撃性、共に
優れた耐衝撃性プラスチックレンズを得ることができ
る。また、鎖延長剤としてチオールを使用すれば、耐衝
撃性を低下させることなく、膜を高屈折率にすることも
できる。
【0036】前記鎖延長剤として、例えば、単鎖ジオー
ル、単鎖トリオール、単鎖チオール等が好ましい。その
中で具体的には、例えば、1,4−ブチレングリコー
ル、1,4−メルカプトメチル−3,6−ジチアート−
1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。
【0037】また、前記ポリオールは、ポリカーボネー
トポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリ
オールのいずれか一種類以上から選ばれたものを用いる
のが好ましく、例えば、水酸基を一分子内に複数個有す
るポリエステル、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、
ポリカーボネート、ポリアクリレート、および1種また
は2種以上の芳香環もしくはイオウ、ハロゲン基を含む
ポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いても
よいし、2種以上組み合わせてもよい。
【0038】また、非ブロック型ポリイソシアネートと
ポリオール及び/又はポリチオールとを主成分とした組
成物により前記プライマー層を形成させる際に、好まし
くは、硬化触媒を用いると良い。
【0039】これにより、温度の上昇を抑えて反応を進
行させることができると共に、時間の短縮を行うことが
できるので作業性が向上する。硬化触媒の具体的な例と
しては、有機錫化合物、三級アミン化合物、有機亜鉛化
合物などが挙げられるが、これは特に限定せず公知に知
られたものでも良い。
【0040】本発明の耐衝撃性プラスチックレンズは、
前記プライマー層の膜厚が、0.5μm〜5μmの範囲
を満たしているものである。好ましくは、1.0〜3μ
mの範囲が好ましい。前記プライマー層の膜厚が0.5
μmより薄いと耐衝撃性が著しく劣るので米国FDA規
格を十分に満足するとは言えず、5μmよりも厚いと耐
衝撃性の面からは問題がないが、ハードコート層の耐擦
傷性が低減すると共にプライマー層の耐熱性が劣化し、
また、面精度も著しく劣化する。
【0041】本発明の耐衝撃性プラスチックレンズは、
前記シリコン系ハードコート層上に更に単層または多層
の反射防止膜を設けているが、プラスチックレンズ基材
とハードコート層の間に前記プライマー層を設けている
ため、ハードコート層の上に反射防止膜を形成させた場
合であっても、耐衝撃性に優れていると共に、米国のF
DA規格を満足する耐衝撃性以上の耐衝撃性を有するプ
ラスチックレンズを得ることができる。
【0042】この反射防止膜に用いる物質としては、金
属、金属または半金属の酸化物、フッ化物等が挙げら
れ、SiO2 、ZrO2 等の金属酸化物、MgF2 等の
フッ化物が代表的な例である。単層または多層の反射防
止膜を形成させる方法としては、真空蒸着法、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシ
スト法等が挙げられる。
【0043】また、本発明では、使用するプラスチック
レンズの材質の種類については特に限定しないが、好ま
しくは、主鎖および/または側鎖に、ベンゼン環、ナフ
タレン環、カーボネート結合、ウレタン結合、ハロゲン
元素を少なくとも1種有する液状硬化性化合物よりなる
ものを用いる。
【0044】前記液状硬化性化合物の重合方法は公知に
用いられている方法でよい。さらに、形成させたプラス
チックレンズ基材は、必要に応じてアルカリ処理、プラ
ズマ処理、紫外線処理等の前処理を行っておくことが望
ましい。
【0045】また、ハードコート剤は、硬さを重視しな
いのであればメラミン系、アクリル系でも差し支えない
が、硬さを重視するならば、メラミン系、アクリル系の
樹脂よりも硬いハードコート層が得られるシリコン系が
好ましく、中でもプライマー層の屈折率と同等の屈折率
を有しているシリコーン系ハードコート剤がより好まし
い。
【0046】本発明の硬化被膜中には、一般的に表面硬
度の向上を目的としてよく使用される微粒子状無機物が
添加されていても何ら問題はない。ここで、微粒子状無
機物とは、平均粒子形が約1〜300μmのものが好ま
しく、さらに好ましくは約5〜200μmのものが用い
られる。
【0047】微粒子状無機物の具体例としては、二酸化
ケイ素などの酸化ケイ素化合物、三酸化アルミニウムな
どのアルミニウム化合物、二酸化チタンなどの酸化チタ
ン化合物、二酸化ジルコニウムなどの酸化ジルコニウム
化合物、二酸化スズなどの酸化スズ化合物、三酸化アン
チモン、五酸化アンチモンなどの酸化アンチモン化合物
等が挙げられる。
【0048】本発明における硬化被膜はその形成に際し
て、硬化促進、低温硬化等を可能とする目的で各種の硬
化剤が含まれていても何ら問題はない。よく使用される
硬化剤としては、各種エポキシ樹脂硬化剤、あるいは、
各種有機ケイ素樹脂硬化剤等が知られている。
【0049】これらの硬化剤の具体例としては、各種の
有機酸及びそれらの酸無水物、窒素含有有機化合物、各
種金属錯化合物あるいは金属アルコキシド、さらにアル
カリ金属の有機カルボン酸塩、炭酸塩等の各種塩が挙げ
られる。
【0050】さらに、ハードコート剤の塗布法はディッ
ピング法、スプレー法、スピンコート法等、一般に実施
されている方法であればどのような方法でも良いが、作
業性を考慮すればディッピング法が最も好ましい。
【0051】また、ハードコート剤を塗布した後、加熱
硬化、紫外線硬化、エレクトロンビーム硬化というよう
なそのハードコート剤の硬化手段に応じた方法で硬化処
理されて、プラスチックレンズ表面に形成されたポリウ
レタンプライマー層上にハードコート層が形成される。
【0052】ハードコート層の膜厚は1.0μm〜5μ
mの範囲を満たしており、好ましくは1.5μm〜4μ
mにすると良い。なぜなら、1.0μmより薄いと耐擦
傷性が著しく劣り、5μmよりも厚いとプライマー層の
効果が半減し、耐衝撃性が著しく低下するためである。
【0053】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
がこれらによって限定されることはない。
【0054】実施例1 (1-1) プラスチックレンズ基材 屈折率1.498のCR−39眼鏡用プラスチックレン
ズ基材を用いた。
【0055】(1-2) プライマー用組成物の調製及び塗布
硬化 ヘキサメチレンジエソシアネートタイプの非ブロック型
ポリイソシアネート(商品名「コノネードHX」日本ポ
リウレタン工業(株)製)10.0重量部と、ポリエス
テルタイプのポリオール(商品名「ニッポラン125」
日本ポリウレタン工業(株)製)16.7重量部と、硬
化触媒としてオクチル酸亜鉛0.2重量部と、レベリン
グ剤としてフッ素系レベリング剤(商品名「フロラード
FC−431」住友スリーエム(株)製)0.01重量
部と、溶媒として酢酸エチル50.0重量部及びメチル
エチルケトン25.0重量部とから成る混合物を均一な
状態になるまで十分に攪拌し、これをプライマー組成物
とした。
【0056】前処理としてアルカリ処理を行った(1-1)
のプラスチックレンズ基材上にスピンコート法(回転数
1000回/min)にて前述の組成のプライマー組成
物を塗布し、塗布したプラスチックレンズ基材を60℃
で30分間加熱処理してプライマーを硬化させた。
【0057】(1-3) シリコン系ハードコート剤の調整 撹拌子を入れたガラス製フラスコ中に、イソプロピルア
ルコール675重量部とビス(トリメトキシシリル)エ
タン105重量部とを加え、撹拌を行いながら0.05
規定の塩酸水50重量部を滴下した。さらに撹拌を続け
た後、一昼夜熟成した。次に、メタノール分散シリカゲ
ル170重量部と、シリコーン系界面活性剤0.2重量
部を加え十分撹拌を行った後、濾過してハードコート剤
を得た。
【0058】(1-4) シリコーン系ハードコート剤の塗布
硬化 (1-2) で得られたプライマー層を有するプラスチックレ
ンズ基材のプライマー層上に、(1-3) で得られたシリコ
ーン系ハードコート剤をディッピング法(引き上げ速度
100cm/min)にて塗布した。塗布したレンズを
100℃で120分間加熱処理してハードコート層を硬
化させた。
【0059】(1-5) 反射防止膜の形成 (1-4) で得られたプライマー層及びシリコーン系ハード
コート層を有するプラスチックレンズ基材上にSiO2
/ZrO2 系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成
させた。
【0060】このようにして得られた複合膜を有するプ
ラスチックレンズは、後述する試験方法で性能を評価し
た。プライマー層の膜厚は1.2μm、屈折率は1.5
0、ハードコート層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.
50であった。試験結果は表1及び表2に示す。
【0061】実施例2 (2-1) プラスチックレンズ基材 屈折率1.56の眼鏡用プラスチックレンズ基材を用い
た。
【0062】(2-2) プライマー用組成物の調製及び塗布
硬化 キシリレンジイソシアネートタイプの非ブロック型ポリ
イソシアネート(商品名「タケネートD−110N」武
田薬品工業(株)製)10.0重量部と、ポリエステル
タイプのポリオール(商品名「ニッポラン125」日本
ポリウレタン工業(株)製)9.0重量部と、硬化触媒
としてオクチル酸亜鉛0.2重量部と、レベリング剤と
してフッ素系レベリング剤(商品名「フロラードFC−
431」住友スリーエム(株)製)0.01重量部、溶
媒として酢酸エチル60.0重量部とから成る混合物を
均一な状態になるまで十分に攪拌し、これをプライマー
組成物とした。
【0063】このプライマー組成物を前処理としてアル
カリ処理を行なった (2-1)のプラスチックレンズ基材上
にスピンコート法(回転数1000回/min)にて塗
布したレンズを60℃で30分間加熱処理してプライマ
ーを硬化させた。
【0064】(2-3) シリコン系ハードコート剤の調整 撹拌子を入れたガラス製フラスコ中にイソプロピルアル
コール675重量部とビス(トリメトキシシリル)エタ
ン105重量部とを加え、撹拌を行いながら、0.05
規定の塩酸水50重量部を滴下した。さらに、撹拌を続
けた後、一昼夜熟成した。次に水分散五酸化アンチモン
ゾル(固形分濃度30%、平均粒子径10nm)100
重量部と、シリカゾル(固形分濃度30%、平均粒子径
10nm、水性ゾル)70重量部とシリコーン系界面活
性剤0.2重量部とを加え、十分撹拌を行った後、濾過
してハードコート剤を得た。
【0065】(2-4) シリコーン系ハードコート剤の塗布
硬化 (2-2) で得られたプライマー層を有するプラスチックレ
ンズ基材のプライマー層上に、(2-3) で得られたシリコ
ーン系ハードコート剤をディッピング法(引き上げ速度
100cm/min)にて塗布した。塗布したレンズを
100℃で120分間加熱処理してハードコート層を硬
化させた。
【0066】(2-5) 反射防止膜の形成 (2-4) で得られたプライマー層及びシリコン系ハードコ
ート層を有するプラスチックレンズ基材上にSiO2
ZrO2 系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成さ
せた。
【0067】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.3μm、屈折率は1.54、ハードコー
ト層の膜厚は2.5μm、屈折率は1.56であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0068】実施例3 プライマー組成物として、テトラメチルキシレンジイソ
シアネートタイプの非ブロック型ポリイソシアネート
(商品名「タケネートD−181N」武田薬品工業
(株)製)10.0重量部と、ポリカーボネートタイプ
のポリオール(商品名「ニッポラン983」日本ポリウ
レタン工業(株)製)10.8重量部と、硬化触媒とし
てオクチル酸亜鉛0.2重量部と、レベリング剤として
フッ素系レベリング剤(商品名「フロラードFC−43
1」住友スリーエム(株)製)0.01重量部と、溶媒
として酢酸エチル65.0重量部とから成る混合物を均
一な状態になるまで十分に撹拌したものを用いている以
外は、実施例2と同様の処理を施して複合膜を有するプ
ラスチックレンズを得た。
【0069】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.3μm、屈折率は1.57、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.56であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0070】実施例4 プライマー組成物として、キシリレンジイソシアネート
タイプの非ブロック型ポリイソシアネート(商品名「タ
ケネートD−110N」武田薬品工業(株)製)10.
0重量部と、ポリカーボネートタイプのポリオール(商
品名「ニッポラン983」日本ポリウレタン工業(株)
製)14.00重量部と、硬化触媒としてオクチル酸亜
鉛0.2重量部と、レベリング剤としてフッ素系レベリ
ング剤(商品名「フロラードFC−431」住友スリー
エム(株)製)0.01重量部と、溶媒として酢酸エチ
ル60.0重量部とから成る混合物を均一な状態になる
まで十分に撹拌したものを用いている以外は、実施例2
と同様の処理を施して複合膜を有するプラスチックレン
ズを得た。
【0071】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.2μm、屈折率は1.56、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.56であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0072】実施例5 撹拌子を入れたガラス製フラスコ中にイソプロピルアル
コール675重量部とビス(トリメトキシシリル)エタ
ン105重量部とを加え、撹拌を行いながら、0.05
規定の塩酸水50重量部を滴下した。さらに撹拌を続け
た後、一昼夜熟成した。次に水分散五酸化アンチモンゾ
ル(固形分濃度30%、平均粒子径10nm)100重
量部と、シリカゾル(固形分濃度30%、平均粒子径1
0nm、水性ゾル)70重量部とシリコーン系界面活性
剤0.2重量部とを加え、十分撹拌を行った後、濾過し
てハードコート剤を得た。このハードコート剤を使用し
ている以外は、実施例3と同様の処理を施して複合膜を
有するプラスチックレンズを得た。
【0073】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.3μm、屈折率は1.57、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.60であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0074】実施例6 プラスチックレンズ基材として、屈折率1.60のウレ
タン系眼鏡用プラスチックレンズ基材を用いた以外は実
施例5と同様の処理を施して複合膜を有するプラスチッ
クレンズを得た。
【0075】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.3μm、屈折率は1.57、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.60であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0076】実施例7 プライマー組成物として、キシリレンジイソシアネート
タイプの非ブロック型ポリイソシアネート(商品名「タ
ケネートD−110N」武田薬品工業(株)製)9.0
重量部と、ポリカーボネートタイプのポリオール(商品
名「ニッポラン983」日本ポリウレタン工業(株)
製)5.0重量部と、ペンタエリストールテトラキス
(3ーメタカプトプロヒオン酸)4.0重量部と、硬化
触媒としてオクチル酸亜鉛0.2重量部と、レベリング
剤としてフッ素系レベリング剤(商品名「フロラードF
C−431」住友スリーエム(株)製)0.01重量部
と、溶媒として酢酸エチル40.0重量部と、メチルエ
チルケトン20.0重量部とから成る混合物を均一な状
態になるまで十分に撹拌したものを用いている以外は、
実施例6と同様の処理を施して複合膜を有するプラスチ
ックレンズを得た。
【0077】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.3μm、屈折率は1.59、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.60であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0078】実施例8 プライマー組成物として、ヘキサメチレンジエソシアネ
ートタイプの非ブロック型ポリイソシアネート(商品名
「コノネードHK」日本ポリウレタン工業(株)製)1
1.0重量部と、ポリエステルタイプのポリオール(商
品名「ニッポラン2200」日本ポリウレタン工業
(株)製)10.0重量部と、鎖延長剤として1,4−
ブチレングリコール2.0重量部と、硬化触媒としてオ
クチル酸亜鉛0.2重量部と、レベリング剤としてフッ
素系レベリング剤(商品名「フロラードFC−431」
住友スリーエム(株)製)0.01重量部と、溶媒とし
て酢酸エチル50.0重量部及びメチルエチルケトン3
0.0重量部とから成る混合物を均一な状態になるまで
十分に攪拌してなるものを用いている以外は、実施例1
と同様の処理を施して複合膜を有するプラスチックレン
ズを得た。
【0079】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.1μm、屈折率は1.49、ハードコー
ト層の膜厚は2.8μm、屈折率は1.50であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0080】実施例9 プライマー組成物として、キシリレンジイソシアネート
タイプの非ブロック型ポリイソシアネート(商品名「タ
ケネート−500」武田薬品工業(株)製)11.0重
量部と、ポリエステルタイプのポリオール(商品名「ニ
ッポラン2200」日本ポリウレタン工業(株)製)1
0.0重量部と、鎖延長剤として4−メルカプトメチル
−3,6−ジチアート−1,8−オクタンジオール9.
0重量部と、硬化触媒としてオクチル酸亜鉛0.1重量
部と、レベリング剤としてフッ素系レベリング剤(商品
名「フロラードFC−431」住友スリーエム(株)
製)0.01重量部と、溶媒としてメチルエチルケトン
50.0重量部とエチルセロソルブ50.0重量部とか
ら成る混合物を均一な状態になるまで十分に撹拌してな
るものを用いている以外は、実施例6と同様の処理を施
して複合膜を有するプラスチックレンズを得た。
【0081】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.4μm、屈折率は1.61、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.60であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0082】なお、実施例1〜実施例9のプライマー組
成物中に存在するイソシアネート基と水酸基の比率は、
全てモル比で1.0±0.3の範囲なるように調整して
いる。
【0083】比較例1 プライマー組成物として、熱可塑性ポリウレタン(商品
名「LQ3510」三洋化成(株)製)32.00重量
部と、レベリング剤としてフッ素系レベリング剤(商品
名「フロラードFC−431」住友スリーエム(株)
製)0.03重量部と、溶媒としてトルエン45.00
重量部と、イソプロピルアルコール22.00重量部と
から成る混合物を均一な状態になるまで十分に攪拌した
ものを用い、コーティング時に引き上げ速度を2.0m
m/secした以外はすべて実施例2と同様の処理を施
して複合膜を有するプラスチックレンズを得た。
【0084】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.0μm、屈折率は1.48、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.56であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0085】比較例2 ハードコート剤として、屈折率1.60の可染タイプの
酸化スズと酸化タングステンの複合ゾルを含んだシリコ
ーン系ハードコート剤を用いた以外は実施例2と同様の
処理を施して複合膜を有するプラスチックレンズを得
た。
【0086】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は1.3μm、屈折率は1.54、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.60であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0087】比較例3 プライマーの溶剤として、酢酸エチル100重量部、メ
チルエチルケトン100重量部を用いた以外は実施例2
と同様の処理を施して複合膜を有するプラスチックレン
ズを得た。
【0088】得られたプラスチックレンズのプライマー
層の膜厚は0.3μm、屈折率は1.54、ハードコー
ト層の膜厚は2.3μm、屈折率は1.56であった。
このプラスチックレンズの評価は実施例1と同様な試験
方法で行った。試験結果は表1及び表2に示す。
【0089】比較例4 プライマー層を一切設けないこと以外はすべて実施例1
と同様の処理を施して複合膜を有するプラスチックレン
ズを得た。このプラスチックレンズの評価は実施例1と
同様な試験方法で行い、試験結果は表1及び表2に示
す。
【0090】上述した方法で得られた各実施例及び比較
例におけるプラスチックレンズを用いて、以下に記す試
験に供し、性能評価を行った。
【0091】1)膜の密着性 膜の密着性を評価するためのクロスハッチテープテスト
を次の方法で実施した。コーティング層表面にナイフで
1mm角の基盤目(100マス)を作り、その後セロハ
ン粘着テープ(商品名「セロテープ」ニチバン(株)
製)を強く張りつけた後、テープの一端を持ち、90°
方向に勢いよく剥がすことを10回繰り返した。
【0092】その後、コーティング層表面の基盤の目が
レンズから何個剥ぎ取られずに残っているかを調べ、剥
れなかった基盤の目の数をXとしてX/100で表わし
た。この場合、Xが大きいほど密着性が良いということ
になる。即ち、クロスハッチテープテストの結果が「1
00/100」であれば、膜が全く剥がれなかったこと
を示している。
【0093】2)耐擦傷性 膜の表面を#0000のスチールウールで摩擦して傷の
つき難さを調べ、次のような基準で評価を行った。 A:強く摩擦しても傷つかない B:強く摩擦すると少し傷つく C:弱い摩擦でも傷がつく
【0094】3)耐衝撃性 鋼球落球試験により評価した。16.2gの鋼球を12
7cmの高さからレンズの中心部に向かって自然落下さ
せ、割れる1回前の回数をレンズの耐衝撃性とし、最高
で5回まで落下させた。なお、本試験に用いたレンズの
中心厚はすべて1.0mmとした。
【0095】4)耐候性 紫外線ロングライフフェードメーター(スガ試験機
(株)製)を用いて300時間の耐候性試験を行い、そ
の後の黄変度を測定した。評価は次のような基準で行っ
た。 A:300時間後の黄変度2.0未満 B:300時間後の黄変度2.0以上2.5未満 C:300時間後の黄変度2.5以上
【0096】5)耐薬品性 pH1およびpH12の塩酸および水酸化ナトリュウム
溶液を用いて、各溶液に8時間浸漬しレンズの変化を調
べた。評価は次のような基準で行った。 A:酸性、アルカリ性双方に侵されない B:酸性またはアルカリ性どちらか一つに侵される C:酸性、アルカリ性双方に侵される
【0097】6)染色性 一般的な分散染料であるニコンライトブラウン7部を水
1000部に添加した染浴中で90℃、10分間の条件
で浸漬処理にて染色し、視感度透過率計で測定しこの値
が80%以下の物を染色性良好と判定した。
【0098】7)外観 暗室にてレンズに蛍光灯の光を当て、目視で透明度を観
察した。評価は次のような基準で行った。 A:クモリ無し B:クモリが少し目立つ C:クモリがはっきり目立つ
【0099】8)干渉縞 暗室にてレンズに蛍光灯の光を当て、反射による干渉縞
の程度を目視で評価した。評価は次のような基準で行っ
た。 A:干渉縞がほとんど見えない。 B:干渉縞が少し目立つ C:干渉縞がはっきり目立つ
【0100】なお、膜の密着性、耐擦傷性、耐衝撃性、
耐候性、外観、干渉縞テスト、耐薬品性は各種の膜を施
した最終状態のもので行ない、染色性は反射防止コート
層を施す前、すなわちハードコート層を施した後の状態
のものを使用した場合の性能テストである。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、耐衝撃
性、密着性に大変優れた耐衝撃性プラスチックレンズが
得られることは勿論、プライマー層を形成するポリウレ
タン樹脂がハードコート形成時に溶剤中に溶出して剥れ
落ち、ハードコート層を汚染することがない。
【0104】また、レンズ基材表面に形成させるプライ
マー層は低い温度で硬化させることができるので、従来
発生していた高温処理による影響、具体的には、プラス
チックレンズの変形や、変色、染色レンズ基材の脱色並
びにハードコート液の染料による汚染等を防止すること
が可能である。従って、様々な種類のプラスチックレン
ズ基材に適応させることができる。
【0105】勿論、プライマー層を設けても、耐擦傷
性、表面硬度、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、耐候性、
反射防止性、透明性などは従来のプラスチックレンズと
同等に良好であり、米国FDA規格を十分に満足する耐
衝撃性プラスチックレンズが得られる。
【0106】また、低〜高屈折率のプラスチックレンズ
基材を使用し、基材側から順にプライマー層、ハードコ
ート層、反射防止膜を形成した場合においても、プラス
チックレンズ表面に干渉縞が発生せず、反射色のムラが
生じない耐衝撃性プラスチックレンズが得られる。
【0107】さらに、プライマー層を形成している物質
が密着性が大変良いポリウレタンであるので、多くのプ
ラスチックレンズ基材に用いることができ、前述のプラ
イマー層形成温度の低下によるレンズ基材の種類に対す
る適応範囲の拡大に加え、さらに適応範囲が広くなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 図志夫 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 八代 透 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックレンズ基材の少なくとも一
    方の表面上に、基材側から順にプライマー層、ハードコ
    ート層を形成してなる耐衝撃性プラスチックレンズにお
    いて、 前記プライマー層が熱硬化性ポリウレタン樹脂よりなる
    ことを特徴とする耐衝撃性プラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】 前記プライマー層は、非ブロック型ポリ
    イソシアネートとポリオール及び/又はポリチオールと
    を主成分とした組成物の反応生成物よりなることを特徴
    とする請求項1に記載の耐衝撃性プラスチックレンズ。
  3. 【請求項3】 前記プライマー層が鎖延長剤を含んでい
    ることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性プラスチ
    ックレンズ。
  4. 【請求項4】 前記ポリオールは、ポリカーボネートポ
    リオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオー
    ルのいずれか一種以上から選ばれたことを特徴とする請
    求項2に記載の耐衝撃性プラスチックレンズ。
  5. 【請求項5】 前記プライマー層は、硬化触媒を用いて
    なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    耐衝撃性プラスチックレンズ。
  6. 【請求項6】 前記プライマー層の膜厚が、0.5μm
    〜5μmの範囲を満たしていることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載の耐衝撃性プラスチックレン
    ズ。
  7. 【請求項7】 前記プラスチックレンズ基材の表面に形
    成されたハードコート層上に反射防止膜が形成されてな
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐
    衝撃性プラスチックレンズ。
  8. 【請求項8】 前記プラスチックレンズ基材は、主鎖お
    よび/または側鎖に、ベンゼン環、ナフタレン環、カー
    ボネート結合、ウレタン結合、ハロゲン元素を少なくと
    も1種有する液状硬化性化合物よりなることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の耐衝撃性プラスチッ
    クレンズ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998054604A1 (fr) * 1997-05-27 1998-12-03 Nippon Arc Co., Ltd. Papier de fibres de carbone pour piles a combustible a polymeres solides
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