JPH0782685A - 製紙用ニードルフエルト - Google Patents

製紙用ニードルフエルト

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JPH0782685A
JPH0782685A JP22761593A JP22761593A JPH0782685A JP H0782685 A JPH0782685 A JP H0782685A JP 22761593 A JP22761593 A JP 22761593A JP 22761593 A JP22761593 A JP 22761593A JP H0782685 A JPH0782685 A JP H0782685A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエーテルポリアミドが有する弾性持続
性、表面平滑性を損なわずに繊維の絡み合い性を改善し
て脱毛を防止し、しかも繰返しのプレス圧により弾性を
失うことのない厚み維持特性に優れた製紙用ニードルフ
エルトの提供。 【構成】 ポリアミド樹脂とポリエーテルポリアミドと
の2成分よりなる偏心的芯鞘構造を有する繊維をバット
層に用いてなる製紙用ニードルフエルト。 【効果】 本発明の製紙用ニードルフエルトを用いた製
紙機械で製紙を行うと、従来の製紙用ニードルフエルト
を用いた場合と比べて製紙用ニードルフエルトから脱毛
する繊維が少ないことから、本発明の製紙用ニードルフ
エルトを用いた製紙機械により製造された紙に印刷を行
うと、繊維が付着していることに起因する白抜けという
現象が生じることが少なくなるため、紙の商品価値が向
上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製紙機械のプレスパート
で使用される製紙用フエルトに係わり、詳しくはポリア
ミド樹脂とポリエーテルポリアミドとの2成分からなる
偏心的芯鞘構造を有する複合繊維を用いた製紙用ニード
ルフエルトに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に製紙工程においては、パルプにサ
イズ剤等の薬品を添加した完成紙料の懸濁液が製紙機械
のワイヤー(湿紙形成用織物)上に流され多量の水が脱
水され、シート状の湿紙と呼ばれるものが形成される。
この後この湿紙は製紙機械のプレスパート、次いでドラ
イパートを通過する。プレスパートにおいて、湿紙は1
対のローラに移送され、この湿紙と製紙用ニードルフエ
ルトとは機械的圧力によって圧縮され、湿紙から水が搾
り出される。上記製紙用ニードルフエルトは、一般にバ
ット繊維からなるバット層をニードリングして基布と一
体化することによって製造され、多数の機能を有するも
のである。第1の機能は形成された湿紙をプレスパート
の間中支持することであり、第2の機能は各プレスニッ
プから搾り出された水を受け入れることであり、第3の
機能は紙の表面を平滑にすることである。また、この製
紙用ニードルフエルトのバット層は湿紙のための支持体
及び緩衝体の役を果すものであり、他方の織られた基布
は湿紙から搾り出された水を受容するための主として空
隙を提供するものである。
【0003】ところで、製紙用ニードルフエルトのバッ
ト層の弾性、表面性などの性質の経時変化はたいへん重
要な因子である。従来、弾性持続性、良好な表面平滑性
を得るには弾性繊維が良いとされ、ポリウレタン弾性繊
維が古くから知られており、このポリウレタン弾性繊維
をバット層に用いることが試みられてきたが、その伸び
易さのため未だ実用化に至っていないのが現状であっ
た。即ち、ポリウレタン弾性繊維は伸び易さのために、
製紙用ニードルフエルトの製造工程におけるカーディン
グ、ニードリングを行うことが困難であった。
【0004】このような問題を解決するためにポリアミ
ドエラストマー繊維を用いた製紙用ニードルフエルト
(特開平4−34095号公報)が作られており、これ
に関しては良好な弾性持続性が高く評価されているが、
ポリエーテルポリアミドのみで作られた繊維は、製紙機
械上で行われる高圧シャワー等による洗浄時に毛羽立ち
易く、製紙用ニードルフエルトからの脱毛に結び付き易
いという欠点があり、近年特に、紙の印刷特性の向上の
要求が強く製紙用ニードルフエルトからの脱毛量の減少
が要望されている。それは、製紙用ニードルフエルトか
ら脱毛した繊維が付着した紙に印刷を行うと、繊維が付
着した部分だけインキが乗らない、いわゆる白抜けとい
う現象を生じ、これによって紙の商品価値が下がってし
まうからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は製
紙用ニードルフエルトからの脱毛量を減少させるには、
繊維自体の強化の他に、繊維同士の絡み合いを増すこと
が必要であるとの結論に至った。本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、ポリエーテルポリアミドが有す
る弾性持続性、表面平滑性を損なわずに繊維の絡み合い
性を改善して脱毛を防止し、しかも繰返しのプレス圧に
より弾性を失うことのない厚み維持特性に優れた製紙用
ニードルフエルトを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を達成
するために、それ自体がエラストマー性を有する繊維に
更に自己捲縮性を与えたことをその骨子とする。即ち、
繊維に捲縮性を与える方法は従来種々知られているが、
本発明は、特にポリアミド樹脂とポリエーテルポリアミ
ドとの2成分の素材を利用して、材質の相違した2部分
の偏心的芯鞘構造に由来する自己捲縮性が付与された繊
維を用いることを上記課題の解決手段とした。従って、
請求項1記載の製紙用ニードルフエルトにあっては、ポ
リアミド樹脂とポリエーテルポリアミドの2成分よりな
る偏心的芯鞘構造を有する繊維をバット層に用いたこと
を上記課題の解決手段とした。
【0007】上記偏心的芯鞘構造を有する繊維の芯鞘部
分にそれぞれ用いる材料は、本発明では幾つかの組合わ
せが有り得る。従って、請求項2記載の製紙用ニードル
フエルトにあっては、偏心的芯鞘構造を有する繊維の芯
が非エラストマー性材料であるポリアミド樹脂あるいは
ポリアミド樹脂を主体としたポリエーテルポリアミドと
の組成物からなり、一方鞘がエラストマー性材料である
ポリエーテルポリアミドあるいはポリエーテルポリアミ
ドを主体としたポリアミド樹脂との組成物からなること
を上記課題の解決手段とした。
【0008】また、請求項3記載の製紙用ニードルフエ
ルトにあっては、請求項2記載の製紙用ニードルフエル
トとは逆に、偏心的芯鞘構造を有する繊維の芯が上記エ
ラストマー性材料であるポリエーテルポリアミドあるい
はポリエーテルポリアミドを主体としたポリアミド樹脂
との組成物からなり、一方鞘が上記非エラストマー性材
料であるポリアミド樹脂あるいはポリアミド樹脂を主体
としたポリエーテルポリアミドとの組成物からなること
を上記課題の解決手段とした。また、請求項4記載の製
紙用ニードルフエルトにあっては、上記請求項1、2ま
たは3記載の製紙用ニードルフエルトにおいて、ポリア
ミド樹脂がナイロン12であり、かつポリエーテルポリ
アミドのポリアミド成分がナイロン12であることを上
記課題の解決手段とした。また、請求項5記載の製紙用
ニードルフエルトにあっては、上記請求項1、23また
は4記載の製紙用ニードルフエルトにおいて、偏心的芯
鞘構造を有する繊維の芯部分と鞘部分との重量の割合
が、2対8から8対2の範囲にあることを上記課題の解
決手段とした。また、請求項6記載の製紙用ニードルフ
エルトにあっては、上記請求項1、23、4または5記
載の製紙用ニードルフエルトで用いた偏心的芯鞘構造を
有する繊維の1種以上をバット層に30〜100%含む
ことを上記課題の解決手段とした。なお、本発明におい
てエラストマー性、非エラストマー性とは偏心的芯鞘構
造を有する繊維に用いる2成分相互間での相対的な意味
に止まる。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。本発明で
用いられる偏心的芯鞘構造を有する繊維をなす一方の成
分のエラストマー性材料であるポリエーテルポリアミド
は、ポリアミドとポリエーテルとのブロック共重合体で
あり、すなわちハードセグメントとソフトセグメントと
を持つブロック共重合体である。この共重合体のハード
ソグメントをなすポリアミドは、ナイロン6、ナイロン
6.6、ナイロン11、ナイロン12等である。このポ
リアミドは、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、シュ
ウ酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシ
ルジカルボン酸の如きジカルボン酸とエチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、デカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルジ
アミン、m−キシリレンジアミンの如きジアミンの重縮
合;カプロラクタム、ラウロラクタムの如き環状ラクタ
ムの重合;アミノエナント酸、アミノノナン酸、アミノ
ウンデカン酸の如きアミノカルボン酸の重縮合、あるい
は上記環状ラクタムとジカルボン酸とジアミンとの共重
合等によって得られるものである。
【0010】また、上記共重合体のソフトセグメントと
しては、出発物質として下記一般式(I)
【0011】
【化1】
【0012】(式中、R1とR4は、それぞれ炭素数が2
以上、好ましくは3〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基
である。ただし、R1とR4は、互いに同一でもよく、ま
た異るものでもよい。R2とR3は、それぞれ炭素数が2
以上、好ましくは3〜4の直鎖又は分岐の、R1と同一
でも良いアルキレン基である。ただし、R2とR3は互い
に異るものである。mは2〜30の整数である。nは0
又は2〜30の整数である。)で示されるジアミンが使
用される。例えば、下記一般式(II)
【0013】
【化2】
【0014】(式中、eは2〜30の整数、好ましくは
6〜30の整数である。)で示されるビス(3−アミノ
プロピル)−ポリテトラヒドロフランの混合物、下記一
般式(III)
【0015】
【化3】
【0016】(式中、eは2〜30の整数である。)で
示されるビス−(3−アミノプロピル)−ポリプロピレ
ンオキサイドの混合等が挙げられる。また、ポリオキシ
プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリ
コール等のポリエーテルグリコールも使用できる。この
ようなポリエーテルポリアミドブロック共重合体は、通
常上述のポリアミド成分形成化合物と上記ポリエーテル
含有ジアミンおよびジカルボン酸との縮合反応によって
製造される。
【0017】本発明に用いられるポリエーテルポリアミ
ドブロック共重合体は、数平均分子量が1万以上である
ものが好ましく、また溶融粘度が102〜105ポイズ
(200℃−荷重10kg)であるものが好ましい。そ
してこのようなポリエーテルポリアミドブロック共重合
体にポリアミド樹脂を配合してなる組成物を複合繊維の
芯あるいは鞘成分として使用することも良好なクリンプ
特性を得るためには有効な手段である。その場合、配合
されるポリアミド樹脂は、数平均分子量が1万以上であ
るものが好ましく、また溶融粘度が102〜105ポイズ
(270℃−荷重12kg)が好ましい。そして、上記
組成物において、ポリエーテルポリアミドブロック共重
合体の混合割合が50%−95%、ポリアミド樹脂の混
合割合が50%−5%であることが好ましい。
【0018】本発明で用いられる偏心的芯鞘構造を有す
る繊維をなすもう一方の成分の非エラストマー性材料で
あるポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン
6.6、ナイロン6.10、ナイロン6.12、ナイロ
ン11、ナイロン12、ナイロン12.12あるいはそ
の共重合体ポリアミド等のような溶融紡糸可能なポリア
ミドを用いれば良く、特に強伸度、耐屈曲疲労性等の実
用物性良好な複合繊維を得るためには、その数平均分子
量が1万以上であるものが好ましい。
【0019】さらに製紙用ニードルフエルトは湿潤状態
で使用されることから、製紙用ニードルフエルトに用い
る偏心的芯鞘構造を有する繊維は、水分を吸収しても物
性が大きく変化しないものが好ましく、芯部分と鞘部分
の界面の剥離の問題を考えると、芯と鞘との成分の組み
合わせにおいて、ポリアミド樹脂とポリエーテルポリア
ミド中のポリアミド成分は同一種のポリアミドであるこ
とが好ましい。従って、水分吸水率が低いポリアミドで
あるナイロン11系樹脂あるいはナイロン12系樹脂と
同種のナイロン11系ポリエーテルポリアミドあるいは
ナイロン12系ポリエーテルポリアミドの組み合わせが
最も好ましい。
【0020】また上記偏心的芯鞘構造を有する繊維にお
いて、芯部分にポリアミド樹脂を用い、かつ鞘部分にポ
リエーテルポリアミドを用い、またその逆の組み合わせ
である芯部分にポリエーテルポリアミドを用い、かつ鞘
部分にポリアミド樹脂を用いるどちらの組み合わせにお
いても捲縮性およびその回復力は良好である。また、製
紙用ニードルフエルトの製造工程において寸法の安定性
を得るための高温のヒートセット(170℃)を必要と
する場合には、融点の低いポリマーを繊維の鞘部分に使
用することは融着が起こることからその使用は避けて芯
部分に使用するのが好ましい。この場合鞘部分に使用す
るポリマーの融点は200℃以上であるものを用いるこ
とが良い。上記偏心的芯鞘構造を有する繊維において、
芯部分と鞘部分との重量の割合が、2対8から8対2の
範囲にあることが好ましい。芯部分と鞘部分との重量の
割合が上記好ましい範囲にないと、十分な捲縮性が得ら
れないからである。尚、繊維の力学特性、製造条件等を
勘案すると4対6から6対4の範囲が更に好ましい。
【0021】本発明の製紙用ニードルフエルトは、例え
ばバット繊維からなるバット層をニードリングして基布
と一体化して得られるものであり、その場合、バット繊
維のすべてが上記偏心的芯鞘構造を有する繊維であって
もよく、また、バット繊維が製紙用ニードルフエルトに
通常使用されているナイロン6あるいはナイロン6.6
繊維等と上記偏心的芯鞘構造を有する繊維とを混合した
ものであってもよい。また、上記偏心的芯鞘構造を有す
る繊維を製紙用ニードルフエルトの上層のみあるいは中
間層のみに使用することも可能である。また、バット層
に用いられる上記偏心的芯鞘構造を有する繊維は、全て
同一種のものであってもよく、また二種以上を混合した
ものであってもよい。このような製紙用ニードルフエル
トのバット層中の上記偏心的芯鞘構造を有する繊維の混
合割合は30%以上であることが好ましく、これ30%
未満の混合割合ではポリエーテルポリアミドの持つ弾性
的性質がフエルトとしての物性に表れ難いからである。
【0022】バット繊維のすべてを上記偏心的芯鞘構造
を有する繊維を用いた製紙用ニードルフエルトにおいて
も、該繊維の持つ優れた捲縮性と回復力のためにバット
繊維の3次元的絡み合いが強固になり、従来のポリエー
テルポリアミドのみからなる繊維がポリエーテルポリア
ミドとしての換算値で同量混合された製紙用ニードルフ
エルトと比較して、良好な耐脱毛性を示す。このことか
ら、製紙機械上において洗浄に使用される高圧シャワー
等に起因する製紙用ニードルフエルト表面の毛羽立ちが
防止され、繊維の脱毛が少なくなる。また、高圧シャワ
ーの様な繊維の絡み合いをほぐすような力が働かない場
合において、製紙機械上のロール及びサクションボック
ス等との接触により製紙用ニードルフエルトが摩耗され
る場合においても、上記偏心的芯鞘構造を有する繊維の
優れた絡み合いにより耐摩耗性を発揮する。従って、上
記偏心的芯鞘構造を有する繊維の持つ良好な捲縮性は脱
毛などの減少だけではなく、耐圧縮性の改良にも有効に
作用する。
【0023】ところで、従来の製紙用ニードルフエルト
では、プレスパートにおける圧縮時に繊維そのもの自体
が圧縮されるだけではなく、繊維が曲げられ捲縮が真直
化されること等によっても厚みが減少してしまう。ま
た、従来の製紙用ニードルフエルトのバット層に通常使
用されているナイロン6あるいはナイロン6.6繊維は
機械的に捲縮が作られているのみであるため複合繊維の
自己捲縮性に基づくような曲げ及び引張応力等に対する
良好な回復力はない。これに対して本発明に用いられる
偏心的芯鞘構造を有する繊維は、自己捲縮性に基づくよ
うな曲げ及び引張応力等に対する良好な回復力があるた
め、この繊維を用いた本発明の製紙用ニードルフエルト
は繰り返しの圧縮応力を受けた場合、通常繊維で形成さ
れた従来の製紙用ニードルフエルトよりも優れた耐圧縮
性を示し、製紙機械上での使用時においてその厚みの持
続性に優れる。また、本発明に用いられる偏心的芯鞘構
造を有する繊維は、溶融複合紡糸する事によって得られ
たポリエーテルポリアミドとポリアミド樹脂による偏心
的複合繊維であり、通常の方法で捲縮発現されて捲縮繊
維としての弾性特性を発揮することができる。捲縮性の
みを考える場合、該繊維の構造は芯鞘構造以外にサイド
バイサイド接合型複合構造が考えられるが、製紙用ニー
ドルフエルトの使用条件は厳しく、剥離が生じ易い接合
型ではなく芯鞘構造であることが必要である。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 (実施例1)製紙用ニードルフエルトに一般に使用され
ている直径0.2mmのナイロン6のモノフィラメント
の撚糸を織成することによつて形成された2重構造の基
布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロン12系ポリ
エーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持つ偏心的複合
繊維(15デニール)のみを用いた80g/m2のバッ
ト層を9層、裏側に同一のバット層を1層、合計10層
をニードリングによって基布と一体化させて製紙用ニー
ドルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯部分がナイ
ロン12系樹脂であり、鞘部分がナイロン12系ポリエ
ーテルポリアミドであった。2成分の樹脂の割合は1対
1であった。
【0025】(実施例2)製紙用ニードルフエルトに一
般に使用されている直径0.2mmのナイロン6のモノ
フィラメントの撚糸を織成することによって形成された
2重構造の基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持
つ偏心的複合繊維(15デニール)のみを用いた80g
/m2のバット層を9層、裏側に同一のバット層を1
層、合計10層をニードリングによって基布と一体化さ
せて製紙用ニードルフエルトを得た。芯鞘構造におい
て、芯部分がナイロン12系樹脂であり、鞘部分がナイ
ロン12系ポリエーテルポリアミドとナイロン12系樹
脂との組成物であった。この組成物中の組成比はナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドが60%、ナイロン1
2系樹脂が40%である。また、芯と鞘の重量割合は、
1対1であった。
【0026】(実施例3)製紙用ニードルフエルトに一
般に使用されている、直径0.2mmのナイロン6のモ
ノフィラメントの撚糸を織成することによって形成され
た2重構造の基布の表側にナイロン6系樹脂とナイロン
12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持つ
偏心的複合繊維(15デニール)のみを用いた80g/
2のバット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、
合計10層をニードリングによって基布と一体化させて
製紙用ニードルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯
部分がナイロン6系樹脂であり、鞘の部分がナイロン1
2系ポリエーテルポリアミドであった。2成分の樹脂の
割合は、1対1であった。
【0027】(実施例4)実施例1において使用した基
布と同一基布の表側に、ナイロン6系樹脂とナイロン1
2系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持つ偏
心的複合繊維(15デニール)のみを用いた80g/m
2のバット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、ニ
ードリングによって基布と一体化させて製紙用ニードル
フエルトを得た。芯鞘構造において、芯部分がナイロン
12系ポリエーテルポリアミドであり、鞘部分がナイロ
ン6系樹脂であった。2成分の樹脂の割合は、1対1で
あった。
【0028】(実施例5)実施例1において使用した基
布と同一基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロン
12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持つ
偏心的複合繊維(15デニール)とナイロン6繊維(1
5デニール)を1対1に混合した80g/m2のバット
層を9層、裏側に同一のバット層を1層、ニードリング
によって基布と一体化させて製紙用ニードルフエルトを
得た。芯鞘構造において、芯部分がナイロン12系樹脂
であり、鞘部分がナイロン12系ポリエーテルポリアミ
ドであった。2成分の樹脂の割合は、1対1であった。
【0029】(実施例6)実施例1において使用した基
布と同一基布の表側に、ナイロン6系樹脂とナイロン1
2系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持つ偏
心的複合繊維(15デニール)とナイロン6繊維(15
デニール)を1対1に混合した80g/m2のバット層
を9層、裏側に同一のバット層を1層、ニードリングに
よって基布と一体化させて製紙用ニードルフエルトを得
た。芯鞘構造において、芯部分がナイロン6系樹脂であ
り、鞘部分がナイロン12系ポリエーテルポリアミドで
あった。2成分の樹脂の割合は、1対1であった。
【0030】(比較例1)実施例1において使用した基
布と同一基布の表側に、ナイロン6繊維(15デニー
ル)とナイロン12系ポリエーテルポリアミドからなる
繊維(15デニール)の1対1の混合バット層(80g
/m2)を9層、裏側に同一のバット層を1層、ニード
リングによって基布と一体化させて製紙用ニードルフエ
ルトを得た。 (比較例2)実施例1において使用した基布と同一基布
の表側に、ナイロン6繊維(15デニール)のバット層
(80g/m2)を9層、裏側に同一のバット層を1層
ニードリングによって基布と一体化させて製紙用ニード
ルフエルトを得た。 (比較例3)実施例1において使用した基布と同一基布
の表側に、ナイロン6系樹脂とナイロン12系ポリエー
テルポリアミドからなる接合型(サイドバイサイド)の
構造を持つ複合繊維(15デニール)のみを用いた80
g/m2のバット層を9層、裏側に同一のバット層を1
層、ニードリングによって基布と一体化させて製紙用ニ
ードルフエルトを得た。接合型構造の複合繊維におい
て、2成分の樹脂の割合は1対1であった。
【0031】ついで、上記実施例1〜6の製紙用ニード
ルフエルトおよび比較例1〜3の製紙用ニードルフエル
トの耐圧縮性、耐摩耗性について調べた。その結果を下
記表1に示す。ここでの耐圧縮性は、直径30cmの1
対のロールで線圧500kg/cmをかけ100回プレ
スを繰り返す高加圧試験により評価した。製紙工程にお
ける通常のプレス条件は直径60cm以上のロールで加
圧は100kg/cm程度である。上記高加圧テストは
通常のプレス条件と比較して、製紙用ニードルフエルト
の耐圧縮性に関しては1万倍以上の促進試験に相当す
る。また、耐摩耗性は学振型の摩耗試験により評価し
た。この摩耗試験において、摩耗子は400番の紙やす
りであり、大きさは2×2cm、荷重は400g、摩耗
子のストロークは10cm、ストローク回数は1500
回であり、試験は上記の高加圧試験を行った後のサンプ
ルについて行った。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1中、密度は高加圧試験を行う前の
製紙用ニードルフエルトの密度であり、高加圧試験の数
値は100回プレス後の密度(g/cm3)の値であ
り、摩耗試験の数値は摩耗によって脱落した繊維の重量
(g)である。
【0034】上記表1に示した結果から明らかなよう
に、ポリエーテルポリアミドのみからなる繊維を使用し
た比較例1の製紙用ニードルフエルトに比べて実施例1
〜6の製紙用ニードルフエルトは、複合化繊維、すなわ
ちポリアミド樹脂とポリエーテルポリアミドとの2成分
よりなる偏心的芯鞘構造を有する繊維を用いたことによ
り摩耗量が大きく減少していることがわかる。また、実
施例1〜6の製紙用ニードルフエルトは、圧縮特性も大
きく向上しており、特にナイロン12系樹脂とナイロン
12系ポリエーテルポリアミドを用いた偏心的芯鞘構造
の繊維でバット層が形成された実施例1〜2の製紙用ニ
ードルフエルトは、比較例1〜2の製紙用ニードルフエ
ルトに比べてその密度の上昇が小さく良好な耐圧縮性を
示していることがわかる。また、接合型(サイドバイサ
イド)構造の複合繊維を用いた比較例3の製紙用ニード
ルフエルトは、芯鞘型の複合繊維を用いた実施例1〜6
の製紙用ニードルフエルトと比べてプレス荷重による剥
離により摩耗試験による摩耗量が大きくなっていること
が分る。
【0035】(実施例7)実施例1において使用した基
布と同一の基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持
つ偏心的複合繊維(15デニール)の80g/m2のバ
ット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、合計10
層をニードリングによって基布と一体化させて製紙用ニ
ードルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯部分がナ
イロン12系ポリエーテルポリアミドであり、鞘部分が
ナイロン12系樹脂であった。芯部分と鞘部分の重量の
割合は、2対8であった。
【0036】(実施例8)実施例1において使用した基
布と同一の基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持
つ偏心的複合繊維(15デニール)の80g/m2のバ
ット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、合計10
層をニードリングによって基布と一体化させて製紙用ニ
ードルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯部分がナ
イロン12系樹脂であり、鞘部分がナイロン12系ポリ
エーテルポリアミドであった。芯部分と鞘部分の重量割
合は、2対8であった。
【0037】(実施例9)実施例1において使用した基
布と同一の基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持
つ偏心的複合繊維(15デニール)とナイロン6繊維
(15デニール)を3対7の割合に混合したの80g/
2のバット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、
合計10層をニードリングによって基布と一体化させて
製紙用ニードルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯
部分がナイロン12系樹脂であり、鞘部分がナイロン1
2系ポリエーテルポリアミドであった。芯部分と鞘部分
の重量の割合は、4対6であった。
【0038】(比較例4)実施例1において使用した基
布と同一の基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持
つ偏心的複合繊維(15デニール)の80g/m2のバ
ット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、合計10
層をニードリングによって基布と一体化させて製紙用ニ
ードルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯部分がナ
イロン12系ポリエーテルポリアミドであり、鞘部分が
ナイロン12系樹脂であった。芯部分と鞘部分の重量の
割合は、1対9であった。
【0039】(比較例5)実施例1において使用した基
布と同一の基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持
つ偏心的複合繊維(15デニール)の80g/m2のバ
ット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、合計10
層をニードリングによって基布と一体化させて製紙用ニ
ードルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯部分がナ
イロン12系樹脂であり、鞘部分がナイロン12系ポリ
エーテルポリアミドであった。芯部分と鞘部分の重量の
割合は、1対9であった。
【0040】(比較例6)実施例1において使用した基
布と同一の基布の表側に、ナイロン12系樹脂とナイロ
ン12系ポリエーテルポリアミドからなる芯鞘構造を持
つ偏心的複合繊維(15デニール)とナイロン6繊維
(15デニール)を1対9の割合に混合したの80g/
2のバット層を9層、裏側に同一のバット層を1層、
合計10層をニードリングによって基布と一体化させて
製紙用ニードルフエルトを得た。芯鞘構造において、芯
部分がナイロン12系樹脂であり、鞘部分がナイロン1
2系ポリエーテルポリアミドであった。芯部分と鞘部分
の重量の割合は、4対6であった。
【0041】ついで、上記実施例7〜9の製紙用ニード
ルフエルトおよび比較例4〜6の製紙用ニードルフエル
トの耐圧縮性、耐摩耗性をついて調べた。その結果を下
記表2に示す。ここでの耐圧縮性は上述の高加圧試験に
より同様にして評価し、また耐摩耗性は上述の学振型の
摩耗試験により同様にして評価した。
【0042】
【表2】
【0043】上記表2中、密度は高加圧試験を行う前の
製紙用ニードルフエルトの密度であり、高加圧試験の数
値は100回プレス後の密度(g/cm3)の値であ
り、摩耗試験の数値は摩耗によって脱落した繊維の重量
(g)である。上記表2に示した結果から明らかなよう
に芯部分と鞘部分の重量の割合が2対8である偏心的複
合繊維を用いた実施例7〜8の製紙用ニードルフエルト
は、芯部分と鞘部分の重量の割合が1対9である偏心的
複合繊維を用いた比較例4〜5の製紙用ニードルフエル
トに比べてその密度の上昇が小さく良好な耐圧縮性を示
していることがわかる。また、芯鞘構造を有する偏心的
複合繊維の混合割合が30%である実施例9の製紙用ニ
ードルフエルトは、芯鞘構造を有する偏心的複合繊維の
混合割合が10%である比較例6の製紙用ニードルフエ
ルトと比べてその密度の上昇が小さく良好な耐圧縮性を
示していることがわかる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したよう本発明の製紙用ニード
ルフエルトは、ポリアミド樹脂とポリエーテルポリアミ
ドとの2成分よりなる偏心的芯鞘構造を有する繊維をバ
ット層に用いたものであるので、該繊維に自己捲縮性に
基づく様な曲げ及び引張応力等に対する良好な回復力が
あることから、繰り返しの圧縮応力を受けた場合、従来
の製紙用ニードルフエルトよりも優れた耐圧縮性を示
し、製紙機械上での使用時においてその厚みの持続性に
優れる。また、ポリエーテルポリアミドの持つ優れた弾
性持続性と複合化によって発現する回復力の優れた捲縮
性による繊維どうしの絡み合いが強固となるので、耐脱
毛性と耐摩耗性とを兼ね備えたものとなる。すなわち、
本発明によれば、ポリエーテルポリアミドが有する弾性
持続性、表面平滑性を損なわずに繊維の絡み合い性を改
善して脱毛を防止し、しかも繰返しのプレス圧により弾
性を失うことのない厚み維持特性に優れた製紙用ニード
ルフエルトが提供できる。従って、本発明の製紙用ニー
ドルフエルトを用いた製紙機械で製紙を行うと、従来の
製紙用ニードルフエルトを用いた場合と比べて製紙用ニ
ードルフエルトから脱毛する繊維が少ないことから、本
発明の製紙用ニードルフエルトを用いた製紙機械により
製造された紙に印刷を行うと、繊維が付着していること
に起因する白抜けという現象が生じることが少なくなる
ため、紙の商品価値が向上するという利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高山 裕二 愛知県宝飯郡小坂井町大字伊奈字南山新田 350 (72)発明者 日達 才登 愛知県宝飯郡小坂井町大字伊奈字南山新田 528 (72)発明者 伊藤 正之 千葉県佐倉市ユーカリが丘7−20−1

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂とポリエーテルポリアミ
    ドとの2成分よりなる偏心的芯鞘構造を有する繊維をバ
    ット層に用いたことを特徴とする製紙用ニードルフエル
    ト。
  2. 【請求項2】 偏心的芯鞘構造を有する繊維の芯がポリ
    アミド樹脂あるいはポリアミド樹脂とポリエーテルポリ
    アミドとの組成物からなり、かつ鞘がポリエーテルポリ
    アミドあるいはポリアミド樹脂とポリエーテルポリアミ
    ドとの組成物からなることを特徴とする請求項1記載の
    製紙用ニードルフエルト。
  3. 【請求項3】 偏心的芯鞘構造を有する繊維の芯がポリ
    エーテルポリアミドあるいはポリアミド樹脂とポリエー
    テルポリアミドとの組成物からなり、かつ鞘がポリアミ
    ド樹脂あるいはポリアミド樹脂とポリエーテルポリアミ
    ドとの組成物からなることを特徴とする請求項1記載の
    製紙用ニードルフエルト。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の製紙用ニー
    ドルフエルトにおいて、ポリアミド樹脂がナイロン12
    であり、かつポリエーテルポリアミドのポリアミド成分
    がナイロン12であることを特徴とする製紙用ニードル
    フエルト。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載の製紙用
    ニードルフエルトにおいて、偏心的芯鞘構造を有する繊
    維の芯部分と鞘部分との重量の割合が、2対8から8対
    2の範囲にあることを特徴とする製紙用ニードルフエル
    ト。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5記載の製
    紙用ニードルフエルトで用いた偏心的芯鞘構造を有する
    繊維の1種以上をバット層に30〜100%含むことを
    特徴とする製紙用ニードルフエルト。
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