JPH0782400A - 保水性発泡体 - Google Patents

保水性発泡体

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JPH0782400A
JPH0782400A JP5180782A JP18078293A JPH0782400A JP H0782400 A JPH0782400 A JP H0782400A JP 5180782 A JP5180782 A JP 5180782A JP 18078293 A JP18078293 A JP 18078293A JP H0782400 A JPH0782400 A JP H0782400A
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water
foam
open porous
porous body
adhesive
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JP5180782A
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Masahiko Momose
雅彦 百瀬
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い吸水性および保水性を有するとともに、
高い空気含有(供給)性能をも合わせて有する保水性発
泡体を提供する。 【構成】 開放性多孔質体1の小片を、高吸水性ポリマ
ーおよび/または吸水してゲル化する物質2を含む接着
剤3にて結合してなる。また、吸水性の高い開放性多孔
質体の小片と、吸水性の低い開放性多孔質体の小片との
混合体を、水不溶性の接着剤にて結合してなるか、ネッ
ト状体で少なくとも上面を覆ってなる。この場合、上層
部が、これより下層の部分に比して、吸水性の高い開放
性多孔質体の含有率が1〜5倍となっていることが好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い吸水性および保水
性を有するとともに、高い空気含有(供給)性能をも合
わせて有する保水性発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオールとポリイソシアネートと発泡
剤とから得られる基本的なポリウレタンフォームは、一
般的には、吸水性や保水性に乏しく、上面から散水した
り水に浸しても殆ど吸水せず、また一旦吸水しても短時
間で放水し乾燥してしまい、むしろ疎水性フォームの性
質を示す。このように積極的な吸水性や保水性が無いこ
とから、ポリウレタンフォームは、従来、建造物、電気
機器、家具類、自動車、その他各種物品の断熱材、緩衝
材(クッション材)などとして多用されている。
【0003】ところで、近年、上記のような疎水性のポ
リウレタンフォームに、吸水性や保水性を付与し、言わ
ば親水性のポリウレタンフォームとするための研究も種
々なされている。例えば、ポリオール分子鎖中にオキシ
エチレン基などの親水性基を導入する技術がある(特公
昭58−56605号公報など参照)。
【0004】このように親水性が付与されたポリウレタ
ンフォームなどの合成樹脂発泡体にあっては、例えば、
塗料や化粧料の各種塗布用具の塗布部材として、あるい
は切り花用、その他植物、生鮮食料などの水補給部材な
どとしての用途が広まっている。
【0005】一方、植物の育苗あるいは播種の際の床
(以下、これらをまとめて「苗床」と言う)として、土
壌に代えて、上記のような親水性のポリウレタンフォー
ムなどが多用されるようになって来ている。また、近年
の我が国の作付け土地の事情悪化に伴い水耕栽培が注目
されるようになって来ており、この水耕栽培の際の床
(以下、「水耕栽培用床」と言う)としても、上記のよ
うな親水性のポリウレタンフォームなどが使用されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
ポリオール分子鎖中にオキシエチレン基などの親水性基
を導入して親水性を付与する技術のみでは、苗床や水耕
栽培用床などとして必要な高い吸水性および保水性を有
し、かつ適度な空気を保持するには、未だ充分とは言え
ない。
【0007】これに対し、高い吸水性を有するために、
今日まで、土壌代替の苗床などとして広く使用されて来
ているものに、ロックウールなどの繊維質物質がある。
【0008】しかし、繊維質物質の場合、吸水性が高す
ぎるために、吸水後の繊維質物質内の空気保有量が極め
て少なく、植物の根への酸素の供給が不充分となる。し
かも、繊維質物質は、形状の復元性が悪いため、成育途
上の手入れの過程などで変形が生じた場合には、この変
形形状を維持することとなり、植物の成育に悪影響を及
ぼすこともある。加えて、繊維質物質は、上記の親水性
ポリウレタンフォームに比して、乾燥速度が早く、一時
的な保水性には優れるものの、苗床などとして必要な長
期間の保水性は必ずしも充分とは言えない。
【0009】本発明は、以上の諸点を考慮し、ロックウ
ールなどの繊維質物質並みの高い吸水性を有し、しかも
長期間に渡って優れた保水性を維持することができると
ともに、高い空気保有性をも維持する保水性発泡体を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による保水性発泡体は、開放性多孔質体の小
片を、高吸水性ポリマーおよび/または吸水してゲル化
する物質を含む接着剤にて結合してなることを特徴とす
る(以下、これを「第1の保水性発泡体」と言う)。
【0011】また、本発明による保水性発泡体は、吸水
性の高い開放性多孔質体の小片と、吸水性の低い開放性
多孔質体の小片との混合体を、水不溶性の接着剤にて結
合してなるか、ネット状体で少なくとも上面を覆ってな
ることを特徴とする(以下、これを「第2の保水性発泡
体」と言う)。
【0012】この第2の保水性発泡体は、上層部が、こ
れより下層の部分に比して、吸水性の高い開放性多孔質
体の含有率が1〜5倍となるようにすることが好まし
い。
【0013】先ず、第1の保水性発泡体について詳細に
説明する。第1の保水性発泡体における開放性多孔質体
としては、例えば、ポリウレタンフォーム、ユリアフォ
ーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ポ
リエチレンフォーム、ポリビニルアクリレートフォー
ム、ラバーフォーム、ロックウール、グラスウール、パ
ームロック、不織布、織布などのように、疎水性、親水
性、いずれの性質のものであってもよい。
【0014】したがって、ポリウレタンフォームの場合
には、前述した特公昭58−56605号公報に開示さ
れる、ポリウレタン原料のポリオール分子鎖中にオキシ
エチレン基などの親水性基を多く導入したり、またポリ
ウレタンフォーム製造時の補助原料の1つである界面活
性剤として親水性の高いポリオキシエチレン系のものを
使用したり、あるいはポリウレタンフォームに親水性を
付与するためにカチオン系,アニオン系,ノニオン系の
界面活性剤を配合するなどして、良好な親水性を付与し
たポリウレタンフォームであってもよい。
【0015】これらの開放性多孔質体は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組合せた混合体として使用する
ことができる。
【0016】第1の保水性発泡体においては、以上のよ
うな開放性多孔質体の小片を、高吸水性ポリマーおよび
/または吸水してゲル化する物質を含む接着剤にて結合
するが、このときの開放性多孔質体の小片の大きさは、
あまり大きすぎると、相対的に接着剤が少なくなりす
ぎ、これに伴って高吸水性ポリマーおよび/または吸水
してゲル化する物質も少なくなりすぎるため、高吸水性
ポリマーおよび/または吸水してゲル化する物質による
所期の吸水性能および保水性能を得ることができなくな
る場合がある。逆に、あまり小さすぎても、取扱性が悪
くなる上、上記とは逆の現象、すなわち相対的に接着剤
(高吸水性ポリマーおよび/または吸水してゲル化する
物質)が多くなりすぎ、開放性多孔質体の量が少なくな
りすぎて、開放性多孔質体による空気保有性能が低下し
てしまう場合がある。したがって、本発明では、開放性
多孔質体の小片の大きさを2〜30mm程度とすること
が適している。
【0017】上記の接着剤に含有させる高吸水性ポリマ
ーとは、自重の数10倍から1000倍以上もの水を吸
収するポリマーであって、一般に高吸水性ポリマーと言
われているものを指す。この高吸水性ポリマーとして
は、例えば、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリオキ
シエチレン、架橋ポリアクリル酸塩系物質、イソブチレ
ン/マレイン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩
系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物
質、架橋カルボキシメチルセルロースなどが挙げられ、
これらはそれぞれ単独であるいは2種以上を混合して使
用することができる。
【0018】上記の高吸水性ポリマーは、後述する接着
剤に混合(分散)されるが、このとき均一な分散状態と
するために、粒径が数μm〜数100μmの範囲内のも
のを使用することが好ましくは。粒径がこれより大きい
と、採用する混合手法にもよるが、均一な分散状態を得
ることが困難になることがあり、これより小さいと、取
扱性が低下するのみならず、混合工程中で高吸水性ポリ
マーが凝集して粒径が大きくなることがあり、やはり均
一な分散状態を得ることが困難になるからである。
【0019】また、吸水してゲル化する物質とは、本発
明の保水性発泡体を実際に使用しているときに、水を吸
収すればゲル(すなわち、ヒドロゲル)化するが、この
水が無くなれば元の粉末状態に戻る物質(以下、これを
「ヒドロゲル化物質」と言う)を言う。このヒドロゲル
化物質としては、例えば、寒天、ゼラチンなどが挙げら
れ、これらはそれぞれ単独で、あるいは2種以上を混合
して使用することができる。
【0020】このヒドロゲル化物質も、上記の高吸水性
ポリマーと同様に、接着剤に混合(分散)されるが、こ
のとき均一な混合(分散)状態とするために、粒径が数
10〜数100μmの範囲内のものを使用することが好
ましい。
【0021】上記の高吸水性ポリマーおよび/またはヒ
ドロゲル化物質が混合される接着剤は、水不溶性で、上
記の高吸水性ポリマーおよび/またはヒドロゲル化物質
とを良好(均一)に混合することができ、しかも上記の
開放性多孔質体との濡れ性がよく、かつ該開放性多孔質
体を適度な強度で結合し得るものであればよい。例え
ば、ウレタンプレポリマーや有機溶剤系接着などが挙げ
られる。
【0022】上記の接着剤に混合する上記の高吸水性ポ
リマーおよび/またはヒドロゲル化物質の量は、多けれ
ば多いほど、吸水性能も保水性能も向上するため、所望
する吸水性能および保水性能に応じて決定すればよい。
ただし、多すぎると、相対的に接着剤の量が少なくなり
すぎて、開放性多孔質体の小片の結合強度が低下しすぎ
てしまう。逆に、少なすぎれば、混合する技術的意義が
生ぜず、高い吸水性能も保水性能をも得ることができな
くなる。
【0023】したがって、接着剤中に、高吸水性ポリマ
ーおよび/またはヒドロゲル化物質(双方を混合する場
合は、双方の合計量)が、3〜50重量%程度含まれる
ような量とすることが好ましい。この範囲内において、
製品発泡体の用途に応じて必要とする吸水性能・保水性
能および結合強度を保有し得るような量を選定すればよ
い。
【0024】以上のような素材からなる第1の保水性発
泡体を製造するには、例えば、上記の寸法を有する開放
性多孔質体の小片の1個づつに、あるいは集合体に、上
記の高吸水性ポリマーおよび/またはヒドロゲル化物質
を含む接着剤を噴霧し、接着剤を乾燥、加熱硬化あるい
は反応硬化させる方法、この接着剤を入れた槽に開放性
多孔質体の小片を投入し、引き上げて乾燥、加熱硬化あ
るいは反応硬化させる方法などによればよい。
【0025】次に、第2の保水性発泡体について詳細に
説明する。第2の保水性発泡体における吸水性の高い開
放性多孔質体と吸水性の低い開放性多孔質体とは、前述
した第1の保水性発泡体の開放性多孔質体と同様のもの
であって、吸水性能の差による。
【0026】すなわち、吸水性の高い開放性多孔質体と
は、開放性多孔質体を水に浮かべた際、あるいは開放性
多孔質体上に水を注いだ際などに、外力がなんら加わら
なくても、水が速やかに開放性多孔質体中に浸透し得る
ものを言う。これに対し、吸水性の低い開放性多孔質体
とは、上記のように水に浮かべたり、水を注いだだけで
は、水は浸透し難いが、手で揉んだ際などには、浸透す
るものを言う。
【0027】したがって、具体的には、高吸水性の開放
性多孔質体としては、例えば、ユリアフォーム、ポリビ
ニルアルコールフォーム、ビスコーススポンジ、海綿、
セルロースフォームなどのように、本来的に親水性のフ
ォームでかつ上記のような高い吸水性能を示すものの他
に、上記した第1の保水性発泡体の開放性多孔質体と同
様の良好な親水性(ただし、上記のような高い吸水性能
を示す程度の親水性)が付与されたポリウレタンフォー
ム、フェノールフォームなどが挙げられる。これらは、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組合せて使用する
ことができる。
【0028】一方、低吸水性の開放性多孔質体として
は、疎水性を示す一般のポリウレタンフォーム、疎水性
のフェノールフォーム、ポリビニルアクリレートフォー
ム、ラバーフォームなどが挙げられる。これらも、それ
ぞれ単独で、あるいは2種以上を組合せて使用すること
ができる。
【0029】第2の保水性発泡体は、上記の両開放性多
孔質体の小片を混合してなるものであるが、これら両開
放性多孔質体の小片の大きさは、特に制限しない。ただ
し、両開放性多孔質体の大きさが極端に異なる場合は、
後述する両開放性多孔質体の混合割合にもよるが、混合
割合にあまり差がない場合には、一般には、いずれか大
きい方の開放性多孔質体の性質が顕著に現れる傾向があ
る。したがって、製品発泡体の性質の制御のし易さか
ら、両開放性多孔質体の大きさは、極端な差がないもの
同士を使用することが好ましく、2〜30mm程度の小
片が適している。
【0030】また、これら両開放性多孔質体の混合割合
も、特に限定せず、高吸水性の開放性多孔質体が多けれ
ば多いほど、吸水性能はもとより、保水性能も高まるた
め、第2の保水性発泡体の用途に応じて所期の吸水性能
および保水性能を保持するように、これら両開放性多孔
質体の混合割合を適宜選定すればよい。
【0031】第2の保水性発泡体は、これら両開放性多
孔質体の混合体を、接着剤にて結合したものであるか、
ネット状体で少なくとも上面を覆ったものである。この
接着剤は、水不溶性のものであってもよいし、親水性、
保水性を有するものであってもよい。
【0032】水不溶性の接着剤としては、例えば、上記
した第1の保水性発泡体と同じ接着剤が挙げられる。ま
た、水不溶性でかつ親水性および保水性を有する接着剤
としては、この水不溶性の接着剤に、上記した第1の保
水性発泡体と同様の高吸水性ポリマーおよび/またはヒ
ドロゲル化物質を第1の保水性発泡体と同様にして混合
したものが、好ましく使用できる。
【0033】これらの接着剤により上記した両開放性多
孔質体の小片を結合するには、どのような方法で行って
もよく、例えば、両開放性多孔質体の小片の所要量を混
合したものに接着剤を噴霧し、所望の体積に圧縮した状
態で接着剤を乾燥、加熱硬化あるいは反応硬化させる方
法や、この混合体を接着剤を入れた槽に投入し、引き上
げ後、所望の体積に圧縮した状態で乾燥、加熱硬化ある
いは反応硬化させる方法などが挙げられる。
【0034】また、上記のネット状体としては、通常の
天然繊維、合成繊維、半合成繊維製の糸、各種プラスチ
ック製のロープ、紐、その他適宜の材料で構成したもの
が使用できる。
【0035】これらのネット状体で上記混合体の全面を
覆ってもよいが、例えば、箱、その他各種の容器に混合
体を投入して使用する場合などにおいては、混合体の下
面あるいは側面には、これらの容器の側壁や底面が存在
しているため、ネット状体で覆う必要はない。また、混
合体の下面あるいは側面を上記のような接着剤にて結合
したり、溶融するなどすれば、これらの面からの開放性
多孔質体の脱落がないため、ネット状体で覆う必要はな
くなる。
【0036】上記した第2の保水性発泡体においては、
上記の混合体の上層部が、これより下層の部分に比し
て、高吸水性の開放性多孔質体の含有割合が1〜5倍程
度となっていることが好ましい実施態様である。
【0037】上層部の高吸水性の開放性多孔質体の含有
割合を上記のようにするのは、次のような理由による。
【0038】(1)水分は、一般に、表面から蒸発して
行くため、第2の保水性発泡体の使用中(例えば、苗床
としての使用中)に該保水性発泡体に吸収された水分
も、該保水性発泡体の表面部(上層部)において急速に
消失する。したがって、この水分が急速に消失する上層
部に、高吸水性の開放性多孔質体を多量に含ませておけ
ば、該開放性多孔質体は保水性も高いため、水分の消失
を効果的に防止することができるからである。
【0039】(2)植物は、発芽時に大量の水分を必要
とする一方、種は、一般に、苗床の上層部に播かれる。
したがって、この部分に高吸水性の開放性多孔質体が多
量に存在すれば、発芽時の必要水分量を容易に確保する
ことができる。
【0040】(3)水分は自重で下方に移行し易く、上
層部が乾燥し、下方部に水が溜まりすぎ、第2の保水性
発泡体を苗床などとして使用する場合には、根腐れの懸
念がある。したがって、乾燥し易い上層部に高吸水性の
開放性多孔質体を多量に含ませておけば、上層部の乾燥
(水分の下方部への移行)を良好に防止することができ
る。
【0041】(4)例えば、散水や降雨の際に、保水性
発泡体は、水を素早く取り込むことが必要であり、これ
が不可能であれば、水は該発泡体の上面を流れて発泡体
外に流出してしまう。このような水と接する部分に高吸
水性の開放性多孔質体を多量に含ませておけば、該多孔
質体が水を素早く取り込むことができる。
【0042】
【作用】第1の保水性発泡体は、例えば、図1(A),
(B)の模式図に示されるように、開放性多孔質体1
が、高吸水性ポリマーおよび/またはヒドロゲル化物質
2を含む接着剤3で結合されているもので、図1(A)
は、開放性多孔質体1がこの接着剤3で囲われている場
合を、(B)は、この接着剤3が繋がっており、水が接
着剤3に良く行き渡る場合を、それぞれ示している。
【0043】このように構成される第1の保水性発泡体
においては、接着剤3中の高吸水性ポリマーおよび/ま
たはヒドロゲル化物質1が、優れた吸水性と保水性とを
発現する。したがって、第1の保水性発泡体に給水すれ
ば、接着剤3中の高吸水性ポリマーおよび/またはヒド
ロゲル化物質2が、水を大量に吸収し、かつ吸収した大
量の水を長期間にわたって保持する。
【0044】なお、ヒドロゲル化物質では、水を吸収し
てゲル化し、この吸収水が(大気中に揮発あるいは放散
したり、また植物の根などに吸収されたり、他の物体側
へ転写されるなどして)無くなれば元の粉末状態に戻
り、再び吸水してゲル化する。これを、理論的には無限
に繰り返すことができるため、長期間にわたって、優れ
た吸水性能と保水性能とを保持することとなる。
【0045】一方、開放性多孔質体1は、優れた空気保
有(供給)性を発現する。したがって、第1の保水性発
泡体が、上記のように大量の水を吸収しても、開放性多
孔質体1による高い空気保有(供給)量を維持すること
ができる。そして、開放性多孔質体1のセル内の空気が
無くなる(例えば、苗床などに使されていて、植物の根
の成長のために空気が消費される)場合には、接着剤3
の切れ間(外気)に開放しているセルから新鮮な空気が
導入され、この空気が、連通するセルを通って多孔質体
の内部にまで至ることができる。
【0046】また、図1(A)や(B)における微小な
隙間Sにも、上記の水や空気が保有され、保水性および
空気保有(供給)性がなお一層向上する。
【0047】第2の保水性発泡体においては、基本的に
は図2に示すように、高吸水性の開放性多孔質体1aと
低吸水性の開放性多孔質体1bとの混合体からなる。こ
の混合体において、高吸水性の開放性多孔質体1aが、
吸水性と保水性とを発現し、低吸水性の開放性多孔質体
1bが、第1の保水性発泡体における開放性多孔質体と
同様の優れた空気保有(供給)性を発現する。しかも、
両開放性多孔質体1a,1b間の微細な隙間Sも、水や
空気を保有(供給)する作用をなすため、保水性および
空気保有性はなお一層向上する。
【0048】この混合体が、水不溶性の接着剤で結合さ
れている場合(図示省略)には、水が高吸水性の開放性
多孔質体1aや隙間Sに吸収されるとともに、空気が低
吸水性の開放性多孔質体1bや隙間Sに導入される。こ
の水不溶性の接着剤が親水性および保水性をも有する場
合には、接着剤を通しても、水が、高吸水性の開放性多
孔質体1a、隙間Sに導かれるとともに、接着剤自体の
吸水により、さらに保水性を高める。また、混合体の少
なくとも表面がネット状体4で覆われている場合には、
ネットの目の部分から水や空気が混合体内部に導かれ
る。
【0049】そして、このような態様の第2の保水性発
泡体においては、接着剤やネット状体4が、混合体の取
扱を容易にするとともに、使用時の両開放性多孔質体1
a,1bの逸散を防止する作用をなす。
【0050】以上をまとめれば、第1、第2の保水性発
泡体によれば、長期間にわたって優れた吸水性能と保水
性能とを有すると同時に、優れた空気保有性能をも有し
得、例えば、苗床や水耕栽培用床などとして使用する場
合に、植物の根の成育に必要な水、栄養、酸素を良好に
補給することができる。しかも、根が隙間S内に入り込
み易く(例えば、図3参照)、根の成長にとって極めて
良好である。
【0051】
【実施例】
〔第1,第2保水性発泡体の調製例〕 実施例1(第1の保水性発泡体の調製) 疎水性ポリウレタンフォームを粒径2〜10mmに粉砕
したものを、開放性多孔質体の小片とした。一方、分子
量3000のポリエーテルポリオールに対し、化学量論
的に5倍のトリレンジイソシアネート(TDI−80)
を加え、攪拌・混合し、一昼夜放置し、末端イソシアネ
ートのプレポリマーを得た。このプレポリマー100重
量部に対し、30重量部のデンプン/ポリアクリル酸塩
系物質を加え、均一に攪拌して、高吸水性ポリマーを含
む接着剤を調製した。
【0052】上記のポリウレタンチップ(開放性多孔質
体)700gを容器に入れ、これに上記のようにして調
製したデンプン/ポリアクリル酸塩系物質(高吸水性ポ
リマー)を含む接着剤120gを噴霧した後、該ポリウ
レタンチップを嵩高さで略1/3まで圧縮した状態で、
蒸気を吹きつけて該接着剤を硬化させ、嵩密度が略45
kg/mの第1の保水性発泡体を得た。
【0053】このようにして得られた第1の保水性発泡
体は、図1(A),(B)の模式図に示すようなものか
ら構成されていた。
【0054】実施例2(第2の保水性発泡体の調製) 分子鎖中に多量のオキシエチレン基を導入したポリオー
ルを使用して製造した良好な親水性を有するポリウレタ
ンフォームを3〜10mmに粉砕したものを、高吸水性
の開放性多孔質体の小片とした。一方、分子量3000
のプロピレングリコールを使用して製造した疎水性のポ
リウレタンフォームを3〜10mmに粉砕したものを、
低吸水性の開放性多孔質体の小片とした。
【0055】上記の高吸水性のポリウレタンフォーム1
00gと、低吸水性のポリウレタンフォーム100gと
を均一に混合して容器に入れ、この容器内混合体にネオ
プレン系の接着剤(水不溶性の接着剤)30gを噴霧し
た後、嵩高さで略1/4まで圧縮した状態で、加熱して
接着剤を乾燥(溶剤を揮散)させ、嵩密度が略40kg
/mの第2の保水性発泡体を得た。
【0056】このようにして得られた第2の保水性発泡
体は、図2の模式図に示すものからネット状体4を除い
たような構成を有していた。
【0057】実施例3 実施例2で使用したものと同じ高吸水性のポリウレタン
フォーム100gと低吸水性のポリウレタンフォーム1
00gとを用意し、先ず、高吸水性のポリウレタンフォ
ーム20gと低吸水性のポリウレタンフォーム90gと
を均一に混合したものを容器に入れ、次いで、この混合
体の上に高吸水性のポリウレタンフォーム80gと低吸
水性のポリウレタンフォーム10gとを均一に混合した
ものを入れる以外は、実施例2と同様にして、嵩密度が
略40kg/mの第2の保水性発泡体を得た。
【0058】本例で得られる第2の保水性発泡体は、上
層部の高吸水性ポリウレタンフォームの含有割合が、こ
れより下層の高吸水性ポリウレタンフォームの含有割合
の約4.9倍である。
【0059】実施例4 実施例2で使用したものと同じ高吸水性のポリウレタン
フォーム100gと低吸水性のポリウレタンフォーム1
00gとの均一混合体を、ナイロン繊維製のネット状体
(目の大きさ約1mm)で調製した袋に入れ、第2の保
水性発泡体を得た。
【0060】このようにして得られた第2の保水性発泡
体は、図2の模式図に示すような構成を有していた。
【0061】実施例5 実施例2で使用したものと同じ高吸水性のポリウレタン
フォーム100gと低吸水性のポリウレタンフォーム1
00gとを用意し、先ず、高吸水性のポリウレタンフォ
ーム20gと低吸水性のポリウレタンフォーム90gと
を均一に混合したものを、実施例4で使用したものと同
じネット状体(シート状のもの)を敷いた容器(ネット
状体の大きさは、この容器の底面および4側面に上面を
加えた面積より大きい)に入れ、次いで、この混合体の
上に高吸水性のポリウレタンフォーム80gと低吸水性
のポリウレタンフォーム10gとを均一に混合したもの
を入れた後、容器からはみ出している部分のネット状体
を混合体の表面に被せて、緊締し、第2の保水性発泡体
を得た。
【0062】本例で得られる第2の保水性発泡体も、実
施例3と同様に、上層部の高吸水性ポリウレタンフォー
ムの含有割合が、これより下層の高吸水性ポリウレタン
フォームの含有割合の約4.9倍である。
【0063】〔吸水性能、保水性能および空気保有性能
の比較〕上記の実施例1で得た第1の保水性発泡体につ
いては、実施例2〜5で得た第2の保水性発泡体と同じ
大きさに裁断したものをサンプルとし、実施例2〜5で
得た第2の保水性発泡体については、そのままサンプル
とした。また、参考のために、従来のロックウールにつ
いても、同じ寸法に裁断したものをサンプルとした。
【0064】これら各サンプルをビーカー中の水に浸漬
させて、各サンプルの吸水状態を調べた。この結果、実
施例1〜5で得た第1,第2の保水性発泡体およびロッ
クウールは、いずれも急速に水を吸い込ん。
【0065】また、これらの各サンプルについて水を飽
和するまで吸収させ、これを蓋なしのプラスチック容器
に一列に並べ、常温で1週間放置した後、水分の残存量
を調べた。この結果、実施例1で得た第1の保水性発泡
体は、かなりの量の水分が消失していたが、指で押圧す
ると、内部に残存していた水が滲み出てきた。これに対
し、実施例2〜5で得た第2の保水性発泡体は、かなり
の量の水分が残存しており、ロックウールは、完全に乾
燥していた。
【0066】また、上記の各サンプルに、水(肥料含有
水)を飽和するまで吸収させ、貝割れ大根の種を播き、
成長を観察した。この結果、播種してから1週間経過し
た後(この間、水の補給は一切しなかった)、実施例1
〜5で得た本発明の保水性発泡体に播いたものについて
は、いずれも発芽し、かつ良好な成長を示していた。な
お、図3は、第2の保水性発泡体に貝割れ大根Pが発芽
した状態の断面を模式的に示した図である。一方、ロッ
クウールに播いたものについては、発芽はしたが、殆ど
が萎れて成長していなかった。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明による第1
の保水性発泡体は、開放性多孔質体を高吸水性ポリマー
および/またはヒドロゲル化物質を含む接着剤で結合
し、第2の保水性発泡体は高吸水性の開放性多孔質体と
低吸水性の開放性多孔質体との混合体からなっているた
め、次のような効果を奏することができる。
【0068】(1)高い空気保有性を損なうことなく、
優れた吸水性および保水性を保持させることができる。
しかも、この保水性は、長期間にわたって持続し得るも
のであり、従来の一時的な保水性に優れたロックウール
に比して、優れた性能である。
【0069】(2)第1,第2の保水性発泡体を、例え
ば、苗床や水耕栽培用床などとして使用する場合に、植
物の根に必要な水分、養分、酸素の供給を良好に行うこ
とができる。
【0070】(3)しかも、開放性多孔質体の小片間の
隙間に植物の根が張り込み易く、根の張り込み難い繊維
質のロックウールに比して、根の成長が極めて良好に行
われる。
【0071】(4)第1,第2の保水性発泡体を、例え
ば、湿気補給用部材などとして使用する場合には、長期
間にわたって吸水作業を要せず、優れた使用が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の保水性発泡体の一構成例を模式的に示す
図である。
【図2】第2の保水性発泡体の一構成例を模式的に示す
図である。
【図3】第2の保水性発泡体を使用して植物を成育させ
た際の成育の状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 開放性多孔質体 1a 吸水性の高い開放性多孔質体 1b 吸水性の低い開放性多孔質体 2 高吸水性ポリマーおよび/またはヒドロゲル化物
質 3 接着剤 4 ネット状体 S 開放性多孔質体の小片間の隙間 P 植物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開放性多孔質体の小片を、高吸水性ポリ
    マーおよび/または吸水してゲル化する物質を含む接着
    剤にて結合してなることを特徴とする保水性発泡体。
  2. 【請求項2】 吸水性の高い開放性多孔質体の小片と、
    吸水性の低い開放性多孔質体の小片との混合体を、水不
    溶性の接着剤にて結合してなるか、ネット状体で少なく
    とも上面を覆ってなることを特徴とする保水性発泡体。
  3. 【請求項3】 上層部が、これより下層の部分に比し
    て、吸水性の高い開放性多孔質体の含有率が1〜5倍と
    なっていることを特徴とする請求項2記載の保水性発泡
    体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004060985A1 (ja) * 2002-12-27 2004-07-22 Tuchiyagomu Co., Ltd. 多孔質弾性体及びその製造方法
WO2005020671A1 (de) * 2003-08-21 2005-03-10 Gelita Ag Wasserspeichermaterial
CN104780754A (zh) * 2012-11-19 2015-07-15 东洋橡胶工业株式会社 人工土壤培养基
CN113150736A (zh) * 2021-04-15 2021-07-23 浙江鲁班建材科技股份有限公司 一种吸水型高聚物改性聚氨酯灌浆料及其制备方法

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