JPH078197Y2 - ワイヤドットプリンタ用印字ヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 本考案は、ワイヤドットプリンタ用印字ヘッドにかか
り、とくに印字ワイヤとビームの先端部との接合固定部
の構造に関し、 印字ヘッドにおける印字ワイヤと印字ワイヤ駆動用ビー
ムの接合固定部の損傷をなくし、印字ヘッドの長寿命化
を図ることを目的とし、 先端部に印字ワイヤの接合固定された印字ワイヤ駆動用
のビームをそなえるワイヤドットプリンタ用印字ヘッド
において、上記印字ワイヤを接合固定させるビーム端部
の形状をビーム幅をさらに増加させるよう該ビーム幅の
側面から印字ワイヤの長さ方向に沿って延びるとともに
その尖端が印字ワイヤに接する円弧状部分とし該円弧状
部分の尖端を印字ワイヤの印字端方向として該ビームの
先端部と印字ワイヤとを接合固定させた構成とする。

〔産業上の利用分野〕

本考案は、ワイヤドットプリンタ用印字ヘッドにかか
り、とくに印字ワイヤとビームの先端部との接合固定部
の構造の改良に関する。

近来、各種コンピュータの端末や、ワードプロセッサな
どのプリンタとして、ドットによって文字などを形成す
るワイヤドットプリンタが実用化されている。

なかでも、シリアルドットプリンタは文字などをドット
で形成して記録をするものであるから、文字などの種類
をきわめて多く形成し得るので、オフイスオートメーシ
ョン（OA:Office Automation）における端末機として
ますます用途が拡大されている。

このプリンタの印字ヘッドの長寿命化は必須要件であっ
て、このために印字ワイヤと印字ワイヤ駆動用のビーム
との接合固定部の損傷をなくすことが重要な課題であ
る。

〔従来の技術〕

第３図の斜視図に示されるように印字ヘッドは、印字ワ
イヤ１の一端を短冊状のビーム２の先端部にほぼ直角状
態に銀蝋などで接合固定し、ビーム２の後端部を支持す
るアーマチュア３に対向させた電磁石４、および、この
アーマチュア３を電磁石４の吸引方向の反対方向に付勢
させた板ばね５ならびに、板ばね５の付勢力に抗してア
ーマチュア３をつねに電磁石４に吸着させるための永久
磁石６、さらには、電磁石４と板ばね５を永久磁石６を
介して磁気的、機械的に結合するためのヨーク７および
継鉄８とで構成されている。

以上のような構成であって、アーマチュア３はつねに電
磁石４に吸着されているが、印字信号による電磁石４へ
の励磁電流で永久磁石６の吸着磁力が打ち消されて開放
されることとなり、印字ワイヤ１は板ばね５に付勢され
ている復元力で矢印Ａ方向に衝撃的に跳ね上がり、その
先端面で印字が行なわれる。

〔考案が解決しようとする課題〕

以上説明のように、ワイヤドットプリンタ用印字ヘッド
の印字ワイヤ１は、短冊状のビーム２の先端部に略直角
に接合固定されているので、印字動作にともなう衝撃力
が印字ワイヤ全体に軸方向に作用する。

一方、印字ワイヤ１の自由端側である先端部は印字面に
対して位置ずれすることなくそれぞれ所定の固定位置と
するために、図示省略のガイドによって軸方向へのみ移
動自在にして、横方向への移動をなくすよう直進可能な
ようにガイドで規制されている。印字ワイヤ１のビーム
２側の端部は、継鉄８に固定された板ばね５の先端側が
電磁石４への吸着離脱にともなって固定側に対して微少
角の回転運動を行なうことになる。

したがって、板ばね５の自由端側に取り付けられたアー
マチュア３およびビーム２の先端部は、逐次回転運動量
が拡大された状態となり、ビーム２の先端部に接合固定
された印字ワイヤ１もこの回転運動が行なわれることに
なる。

以上のことを印字ワイヤ１についてみれば、印字動作に
ともなって、先端の印字端部はガイドによって軸方向へ
の直進方向にのみの移動であるが、ビーム２に接合固定
された部分は回転運動による軸方向への動きが付与され
ることになる。したがって、印字ワイヤ１の回転運動に
よる動きは先端部の図示されないガイドに規制されてい
る部分とビーム２に固定されている間の自由部分が繰り
返し彎曲変形を起こすことになる。

印字に必要な動作はきわめて短時間であって、板ばね
５、アーマチュア３、ビーム２および印字ワイヤ１すべ
ての可動部の全質量による運動量が印字ワイヤ１の印字
動作に作用することとなり、この作用力は印字ワイヤ１
に関してみれば、ビーム２の先端部の接合固定部と、印
字ワイヤ先端面の印字部との間の全長わたって作用する
こととなる。

このような印字動作にともなう衝撃時間は一瞬のきわめ
て短時間であるから、ビーム２は十分な剛性強度を有し
ていることから、印字ワイヤ１には座屈を生じるような
応力が一瞬間だけ発生することになる。この応力による
歪みは断面積が極端に大きく変化するビーム２の接合固
定部の境界部分に集中することになり、この部分に印字
ワイヤ１の曲げが圧縮方向の変形とともに局部的に発生
する結果、上述の彎曲変形とも協働し、両者を接合して
いる蝋付け部分の剥がれ、クラックなどを生じることに
なるといった問題がおこり得る。

本考案は、以上のようなことから、ワイヤドットプリン
タ用印字ヘッドにおける、ビームと印字ワイヤとの接合
固定部の損傷発生をなくし、印字ヘッドの長寿命化を図
ることを考案の課題とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記課題を達成するための本考案の構成手段は第１図の
要部斜視図に示されるように、先端部に印字ワイヤ１の
接合固定された印字ワイヤ駆動用のビーム９をそなえる
ワイヤドットプリンタ用印字ヘッドにおいて、上記印字
ワイヤ１を接合固定させるビーム９の端部の形状をビー
ム幅をさらに増加させるよう該ビーム幅の側面から印字
ワイヤの長さ方向に沿って延びるとともにその尖端が印
字ワイヤに接する円弧状部分10とし該円弧状部分10の尖
端を印字ワイヤ１の印字端方向として該ビーム９の先端
部と印字ワイヤ１とを接合固定させてなるようにしたも
のである。

〔作用〕

ビーム端部の形状がビームの側面から印字ワイヤの長さ
方向に沿って延び、その尖端が印字ワイヤに接する円弧
状部分に形成されて印字ワイヤと接合固定されたことに
より、印字ワイヤの印字動作にともなう彎曲ならびに蝋
付け部分が、ビームの接合部の極端な断面形状の変化が
緩和されて尖端部と協働して局部的な応力発生がなくな
り、蝋付け部分の剥離、クラックがなくなる。このビー
ムの補強形状は直線状でなく、円弧状であるから応力の
分担が円滑となり徐々に緩和されるものとなる。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本考案のワイヤドットプリンタ用
印字ヘッドを構成要旨にもとづき、具体的実施例で詳細
に説明する。

第１図は本考案の一実施例の要部斜視図であって、全図
を通じて同一部分には同一符号を付して示してある。

第１図に示されるように、本考案によれば印字ワイヤ１
を接合固定させるビーム９端部の形状をビーム幅をさら
に増加させるよう、ビーム幅の側面から印字ワイヤ１の
長さ方向に沿って延びるとともに、その尖端が印字ワイ
ヤ１に接する円弧状部分10とし、この円弧状部分10の尖
端を印字ワイヤ１の印字端方向としてビーム９の尖端部
と印字ワイヤ１とを蝋付けし接合固定させてなるもので
ある。なお、符号の３はアーマチュア、５は板ばね、４
は電磁石、である。

以上のように、ビーム９の端部を円弧状部分10として箆
状に形成し、印字ワイヤ１とは箆状の端部尖端方向が印
字端側となるように蝋付け接合される。このような構成
により、ビーム９と印字ワイヤ１との接合は従来のよう
に極端な断面形状の変化ではなくなり、きわめて自然に
徐々に変化するものとなる。

したがって、印字ワイヤの彎曲変形に対してはビーム９
の尖端部が追従して変形することから、この部分での接
合蝋付けが剥離したり、クラックの発生することがなく
なる。印字の衝撃による圧縮方向の変形に対してもビー
ム９の尖端部が微少な断面から徐々に増加するので、尖
端部が追従変形して同様に離反するような動作がなくな
り、このような問題についても蝋付け部分に影響を及ぼ
すことがなくなる。

第２図の（ａ）図に従来、（ｂ）図に本考案、の印字ワ
イヤの応力分布の図表を示す。

（ａ）図に示される従来の応力分布によれば、印字ワイ
ヤ１先端に彎曲変形にもとづく矢印方向の曲げ力が働い
たとすると、印字ワイヤ１のビーム２との接合部の断面
変化部分の端部2aの部分に急激な応力が集中することと
なり、図示されるように横方向の軸上に集中応力が生じ
ることになる。

（ｂ）図に示される本考案の応力分布によれば、印字ワ
イヤ１先端に同様な矢印Ｐ方向の曲げ力が働いたとする
と、印字ワイヤ１のビーム９と接合部の断面変化部が円
弧状部分10により幅方向が拡大されていることにより、
しかも円弧状部分10の尖端部から印字ワイヤ１が徐々に
補強されているので、補強効果によってビーム９の立ち
上がり部9aの内部応力は緩やかなものとなり、横方向の
軸上に集中する応力が作用しなくなっていることがよく
示されている。

以上のようなことは、横方向の彎曲変形力にかぎらず、
印字による印字ワイヤ１への軸方向への圧縮力による圧
縮変形に対する圧縮応力に抗しても同様な作用、効果が
得られるものである。

〔考案の効果〕

以上詳細に説明したように本考案のワイヤドットプリン
タ用印字ヘッドによれば、印字ワイヤに印字による衝撃
力が作用した場合の印字ワイヤの変形がビームの接合固
定部の格別な形状により、集中応力が緩和されて接合固
定のための蝋付け部の剥離、クラックなどの発生をなく
すことができるために、印字ヘッドの長寿命化を図るこ
とができる。したがって、経済上および産業上多大の効
果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のワイヤドットプリンタ用活字ヘッドの
要部斜視図、 第２図（ａ），（ｂ）は従来と本考案のワイヤドットプ
リンタ用印字ヘッドに於ける印字ワイヤの応力分布を示
す図表、 第３図は従来のワイヤドットプリンタ用印字ヘッドの斜
視図、 である。 各図において、 １は印字ワイヤ、２はビーム、３はアーマチュア、４は
電磁石、５は板ばね、６は永久磁石、７はヨーク、８は
継鉄、９はビーム、9aは立ち上がり部、10は円弧状部
分、である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】先端部に印字ワイヤ（１）の接合固定され
   た印字ワイヤ駆動用のビーム（９）をそなえるワイヤド
   ットプリンタ用印字ヘッドにおいて、 上記印字ワイヤ（１）を接合固定させるビーム（９）端
   部の形状をビーム幅をさらに増加させるよう該ビーム幅
   の側面から印字ワイヤの長さ方向に沿って延びるととも
   にその尖端が印字ワイヤ（１）に接する円弧状部分（1
   0）とし該円弧状部分の尖端を印字ワイヤ（１）の印字
   端方向として該ビーム（９）の先端部と印字ワイヤ
   （１）とを接合固定させてなることを特徴とするワイヤ
   ドットプリンタ用印字ヘッド。